説明

カード処理装置、券発行機

【課題】カードの反転を必要時のみ実行することで、カードの処理に要する時間を短縮する。
【解決手段】挿入されたカード50の表裏をカード方向検出センサ14で検出し、カード50が表裏誤りなく挿入されたか否かを判別する。カード50に対する処理がサーマルヘッド13による印刷を伴う処理であって、かつ、カード50の表裏に誤りがある場合は、反転機構30によりカード50を反転させる。カード50に対する処理がサーマルヘッド13による印刷を伴わない処理である場合は、カード50の表裏の正誤にかかわらず、反転機構30によるカード50の反転を行わない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに記録されている情報を読み取って所定の処理を行うカード処理装置、およびそれを搭載した券発行機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道の定期券は磁気カードが主流であったが、最近では非接触型自動改札機の普及に伴い、ICカードの定期券が主流となっている。また、料金をチャージして買物にも利用できる機能を備えた定期券や、クレジットカードと兼用した複合型の定期券も登場している。
【0003】
一方、駅務の自動化の進展に伴い、利用者の操作により定期券を発行する定期券発行機も普及している。この定期券発行機では、新規に購入する定期券だけでなく、定期券情報を更新した継続定期券も購入できるようになっている。継続定期券の購入にあたっては、旧定期券を挿入して所定の情報を入力すると、入力情報に基づいて券に内蔵されたICの定期券情報が更新されるとともに、券面に印刷された情報が書き換えられ、旧定期券が継続定期券となって発行される。券面情報の書き換えは、サーマルヘッドにより行われる。
【0004】
ところで、カード処理装置においては、挿入するカードの表裏方向に制約のある場合がある。例えば、前述のようなクレジットカード兼用の定期券であれば、一方の面にクレジットカードの情報(クレジット番号やクレジット会社名など)が印刷されており、他方の面に定期券の情報(乗車区間や有効期限など)が印刷されている。したがって、これを定期券発行機に挿入して継続定期券を購入する場合、クレジットカード情報の印刷面を表側にしてカードを挿入すると、裏側の定期券情報の印刷面がサーマルヘッドと対向しないため、定期券情報の書き換えができなくなる。したがって、この場合は、定期券情報の印刷面を表側にしてカードを挿入する必要がある。
【0005】
一方、クレジットカード兼用の定期券によりクレジット決済をする場合は、定期券情報の印刷面を表側にしてカードを挿入すると、クレジットカード情報の印刷面に設けられている磁気ストライプが磁気ヘッドと対向しないため、磁気ストライプに対する情報の読み書きができなくなり、クレジット決済が不可能となる。したがって、この場合は、クレジットカード情報の印刷面を表側にしてカードを挿入する必要がある。
【0006】
上記のようなカードの表裏方向の制約は、クレジットカード兼用の定期券だけでなく、通常の定期券や、クレジットカード、キャッシュカード等についても当てはまる。
【0007】
このようにカードの表裏方向に制約がある場合に、表裏を誤ってカードを挿入すると、カードに対する処理ができなくなるため、従来は、いったんカードを返却し、正しい向きに挿入するよう表示や音声で案内していた。しかし、これでは、返却されたカードを再投入して操作をやり直さねばならず、利用者にとって不便であった。
【0008】
そこで、表裏を誤ってカードを挿入した場合でも、カードを返却することなく、表裏を自動的に反転して処理を継続することを可能にしたカード処理装置が提案されている。
【0009】
例えば、下記の特許文献1には、磁気カードが表裏前後どの方向で挿入されたかを判定し、挿入方向が適切でない場合は表裏前後を自動的に修正した後、磁気処理を行うようにしたカード処理装置が記載されている。このカード処理装置においては、表裏前後判定用のセンサで磁気バーコードの読み取りを行い、その結果に基づいてカードの挿入方向を判別する。そして、カードが正常な表裏・前後方向に挿入された場合は、修正を行わずにそのまま通常処理を行い、カードが表裏逆に挿入された場合はカードを反転して表裏を修正し、カードが前後逆に挿入された場合はカードを回転させて前後を修正し、カードが表裏・前後とも逆に挿入された場合は反転と回転により表裏・前後の修正を行うようにしている。
【0010】
【特許文献1】特開平11−85913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の特許文献1では、表裏を誤ってカードを挿入した場合は、常にカードの反転処理が実行される。しかしながら、カードの処理種別によっては、例えば料金チャージや残額表示のように、印字処理等を必要としない場合があり、このときはカードの表裏が誤っていても支障は生じない。しかるに、特許文献1においては、そのような場合でもカードの反転処理が行われるため、処理時間が不必要に長くなるという不具合があった。
【0012】
本発明は、上述した問題点に鑑み、カードの反転を必要時のみ実行することで、カードの処理に要する時間を短縮することが可能なカード処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るカード処理装置は、カードに記録されている情報を読み取って所定の処理を行うカード処理装置において、挿入されたカードの表裏を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果に基づいて、カードが表裏誤りなく挿入されたか否かを判別する判別手段と、カードの表裏を反転するための反転機構と、カードに対する処理の種別と、判別手段の判別結果とに基づいて、反転機構によるカードの反転を制御する制御手段とを備えたものである。
【0014】
本発明では、表裏を誤ってカードが挿入されたことの判別だけでなく、カードに対する処理の種別も考慮してカードの反転を制御するので、カード反転を要しない処理の場合は、反転機構による反転動作を省略することができ、無駄な動作をなくして処理効率を上げることができる。
【0015】
本発明においては、カードに対する処理が印刷を伴う処理であって、かつ、判別手段がカードの表裏に誤りがあると判定した場合に、反転機構によりカードを反転させ、カードに対する処理が印刷を伴わない処理である場合は、判別手段の判別結果にかかわらず、反転機構によるカードの反転を行わないようにしてもよい。
【0016】
これによると、印刷を伴うカード処理の場合は、表裏を逆にしてカードを挿入すると、表裏が自動的に反転されて印刷が行われる。一方、印刷を伴わないカード処理の場合は、表裏を逆にしてカードを挿入しても、カードの反転は行われず、本来の処理のみが実行されるので、カードの情報を更新した後、カードを返却することで、処理の迅速化を図ることができる。
【0017】
また、本発明においては、カードに対する処理が、カード情報の読み取りを伴う処理であって、かつ、判別手段がカードの表裏に誤りがあると判定した場合に、反転機構によりカードを反転させ、カードに対する処理がカード情報の読み取りを伴わない処理である場合は、判別手段の判別結果にかかわらず、反転機構によるカードの反転を行わないようにしてもよい。
【0018】
これによると、カード情報の読み取りを伴うカード処理の場合は、表裏を逆にしてカードを挿入すると、表裏が自動的に反転されてカード情報の処理が行われる。一方、カード情報の読み取りを伴わないカード処理の場合は、表裏を逆にしてカードを挿入しても、カードの反転は行われないので、本来の処理を行った後にカードを返却することで、処理の迅速化を図ることができる。
【0019】
本発明に係る券発行機は、上述した本発明のカード処理装置と、カードに対する処理の種別を選択するための接客部とを備えている。この券発行機では、接客部において選択された処理種別と、カードが表裏誤りなく挿入されたか否かの判別結果とに基づいて、カード反転の制御が行われるので、カード反転を要しない処理の場合は、反転機構による反転動作を省略して、券発行処理を迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カードの反転を必要時のみ実行することで、カードの処理に要する時間を短縮することが可能なカード処理装置を提供できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のカード処理装置が搭載された定期券発行機100のブロック図である。制御部1は、CPUやメモリ等から構成され、装置全体の動作を制御する。接客部2は、情報の入力および表示を行うタッチパネルを備えている。紙幣処理装置3は、投入された紙幣の鑑別・搬送・収納、および放出する紙幣の繰り出し・鑑別・搬送を行う。硬貨処理装置4は、投入された硬貨の鑑別・搬送・収納、および放出する硬貨の繰り出し・鑑別・搬送を行う。カード処理装置5は、定期券の発行処理を行い、また、不用になった定期券の回収処理を行う。カード処理装置5の詳細については後述する。通信部6は、ホスト装置(図示省略)との間で通信を行う。電源部7は、定期券発行機100の各部に電源を供給する。
【0022】
図2は、カード処理装置5のブロック図である。制御部10は、CPUやメモリ等から構成され、カード処理装置5の動作を制御する。ICリーダライタ11は、アンテナコイルを備えており、カードに内蔵されたICに記録されている情報を読み取り、またICに情報の書き込みを行う。磁気ヘッド12は、カードの磁気ストライプに記録されている情報を読み取り、また磁気ストライプに情報の書き込みを行う。サーマルヘッド13は、券面の定期券情報の印刷や書き換えを行う。カード方向検出センサ14は、反射型の光センサからなり、カードの表裏と前後を光学的に検出する。搬送モータ15は、カードを搬送するための搬送ローラ等を駆動するためのモータである。反転モータ16は、カードの表裏を反転させる際に、後述の反転機構を駆動するためのモータである。
【0023】
以上の構成において、制御部10は、本発明における制御手段および判別手段の一実施形態であり、カード方向検出センサ14は、本発明における検出手段の一実施形態である。
【0024】
図3は、カード処理装置5の概略機構図を示している。ICリーダライタ11は、カード搬送路40の下側に設けられている。磁気ヘッド12は、カード搬送路40の上下に一対設けられている。サーマルヘッド13は、カード搬送路40の上側に設けられている。カード方向検出センサ14は、カード搬送路40の上下に、左右に間隔をおいて一対設けられている。21は、カード搬送路40の複数箇所に上下一対設けられた搬送ローラであり、図2の搬送モータ15により駆動される。22は、サーマルヘッド13と対向して設けられたプラテンローラである。
【0025】
反転機構30は、ローラ31〜34と、プーリ35と、これらを支持するフレーム38とを備えている。ローラ31とローラ32との間には、搬送用ベルト37が架設されている。フレーム38には軸36が連結されており、プーリ35はこの軸36に固定されている。ローラ33とローラ34は、図2の搬送モータ15により駆動される。そして、ローラ33の回転が、図示しないギヤを介してローラ31に伝達され、ローラ31の回転が、ベルト37を介してローラ32に伝達される。また、プーリ35と反転モータ16との間には、反転用ベルト39が架設されている。
【0026】
挿入口41から挿入されたカード50は、反転機構30の搬送用ベルト37を介して内部に取り込まれ、搬送ローラ21により矢印A方向に搬送される。この過程で、カード方向検出センサ14によりカード50の表裏が検出され、表裏に誤りがない場合は、サーマルヘッド13による券面情報の書き換えが行われ、また、磁気ヘッド12やICリーダライタ11による記録情報の読み取りおよび/または書き込みが行われる。そして、これらが終了すると、カード50は、搬送ローラ21により矢印B方向に搬送され、反転機構30の搬送用ベルト37を介して挿入口41から排出される。
【0027】
一方、カードの表裏に誤りがある場合(表裏が逆の場合)は、取り込まれたカード50は、搬送ローラ21により矢印B方向に搬送されて、反転機構30に送られ、後述の手順によりカードの表裏が反転される。表裏が反転されたカードは、再び搬送ローラ21により矢印A方向に搬送され、上述したように、サーマルヘッド13、磁気ヘッド12、ICリーダライタ11による処理が行われた後、矢印B方向に搬送されて挿入口41から排出される。なお、後述のように、カードの表裏に誤りがある場合でも、印刷処理や磁気処理等を伴わない場合は、反転機構30による反転は行われない。
【0028】
図4は、反転機構30によるカードの反転動作を説明する図である。図4(a)において、ローラ31,32とローラ33,34との間に、カード50が挟持されている。この状態から、反転モータ16を駆動し、ベルト39を介してプーリ35を矢印a方向に回転させると、プーリ35が固定されている軸36も一体に回転し、軸36に連結されたフレーム38が矢印b方向に回転する。そして、フレーム38が180°回転すると、反転モータ16は停止し、図4(b)の状態となる。図4(b)では、反転機構30の上下が図4(a)と逆となり、カード50の表裏が反転されている。
【0029】
図5、図6は、カード処理の一連の手順を示したフローチャートである。以下、これらのフローチャートに従って、カード処理の手順をさらに詳しく説明する。
【0030】
図5は、本発明の第1実施形態によるカード処理手順であって、定期券発行機で継続定期券を購入する場合の定期券情報更新処理を示している。この更新処理には、券面に印刷されている定期券情報の更新と、券に記録されている定期券情報の更新とが含まれる。なお、図5において、上位装置の手順は、定期券発行機100の制御部1(図1)により実行され、カード処理装置の手順は、カード処理装置5の制御部10(図2)により実行される。後述する図6、図7においても同様である。
【0031】
ステップS1では、ユーザによりカード50がカード処理装置5の挿入口41(図3)に挿入される。この場合のカード50は、非接触式のICカードからなる定期券である。カード50が挿入されると、ステップS2へ移り、カード処理装置5がカード50を取り込み、カード方向検出センサ14の検出結果に基づいて、カード50の表裏・前後の方向を判別する。続くステップS3では、挿入されたカード50が受付可能な媒体か否かを判定し、受付可能な媒体でなければ(ステップS3:NO)、ステップS16へ移行して、ステップS17でカード50を挿入口41から返却する。カード50が受付可能な媒体であれば(ステップS3:YES)、ステップS4へ移行する。なお、受付可能な媒体か否かは、例えば、挿入口41付近に設けた図示しないセンサの出力に基づいて判別する。
【0032】
ステップS4では、定期券発行機100の接客部2(図1)に、カード50の受付をしたことの表示を行う。そして、ステップS5で、ユーザは、接客部2のタッチパネルの画面において、カード50に対する処理を選択する。例えば、継続定期券の発行であれば、画面に表示されている継続定期券のボタンを選択し、使用開始日や有効効期間等の選択を行う。これらの選択が行われると、定期券発行機100では、ステップS6において、選択された処理が印刷を伴う処理であるか否かを判定する。印刷を伴う処理としては、上述した継続定期券の購入のほか、定期券の払戻し処理、経路変更処理などがある。また、印刷を伴わない処理としては、料金チャージ、残額表示、カード返還時のデポジット金額払戻し、オートチャージ額の設定変更、新カードへの変更処理、他のカードからの金額移し替え処理などがある。
【0033】
ステップS6の判定結果が印刷を伴う処理である場合は(ステップS6:YES)、ステップS7へ進み、定期券発行機100からカード処理装置5に対して印刷指示が送られる。カード処理装置5では、印刷指示を受け取ると、ステップS8で、カード50が印刷可能な方向に挿入されているか否か、すなわち、カード50の表裏に誤りがないか否かを、ステップS2での判別結果に基づいて判定する。そして、表裏に誤りがない場合は(ステップS8:YES)、ステップS13で定期券発行機100からカード処理装置5に対してカード情報の更新が指示される。この指示を受けて、カード処理装置5では、ステップS14において、カード50のICに記録されている定期券情報を、ICリーダライタ11による書き込みによって更新するとともに、ステップS15で、カード50の券面に印刷されている定期券情報を、サーマルヘッド13による印刷で書き換えて更新する。
【0034】
ステップS14、S15での更新処理が終了すると、ステップS16において、定期券発行機100からカード処理装置5に対してカードの返却指示が送られる。カード処理装置5では、返却指示を受け取ると、ステップS17でカード50を返却し、返却されたカード50をユーザがステップS18で抜き取ることにより、一連の動作が終了する。
【0035】
また、ステップS8で、カードが印刷可能な方向に挿入されていない、すなわちカードの表裏に誤りがあると判定された場合は(ステップS8:NO)、ステップS9において、定期券発行機100からカード処理装置5に対してカードの反転指示が送られる。カード処理装置5では、反転指示を受け取ると、ステップS10において、カード50を反転機構30へ搬送し、反転機構30(図3、図4)を駆動して、カード50の表裏を反転する。そして、ステップS11でカード50の表裏・前後を判別した後、ステップS12で、カード50が印刷可能な方向に挿入されているか否か、すなわち、カード50の表裏に誤りがないか否かを再度判定し、表裏に誤りがない場合は(ステップS12:YES)ステップS13へ移って、以後は上述したステップS14〜S18の手順を実行する。一方、表裏に誤りがある場合は(ステップS12:NO)、ステップS16へ移って、以後は上述したステップS17〜S18の手順を実行する。
【0036】
また、ステップS6の判定結果が印刷を伴わない処理である場合は(ステップS6:NO)、ステップS7〜S12の各処理を実行することなく、ステップS13へ移行し、以後は上述したステップS14〜S18の手順を実行する。すなわち、印刷を伴わない処理の場合は、カード50の表裏の正誤にかかわらず、反転機構30によるカード50の反転は行われない。
【0037】
なお、ステップS15における印刷処理では、ステップS2、S11での前後判別結果が参照され、カード50が前後方向に正しく挿入されていれば、通常の印字を行い、カード50が前後方向を逆にして挿入されていれば、印字データを並び替えた上で印字を行う。したがって、前後方向に関しては、カード50が正しい方向に挿入されていなくても、カード50を回転させる等の操作は行わずにデータ上で処理する。
【0038】
以上のように、図5の手順においては、カード50に対する処理が印刷を伴う処理であって(ステップS6:YES)、かつ、カードの表裏に誤りがあると判定した場合(ステップS8:NO)に、反転機構30によりカード50を反転させ(ステップS10)、カード50に対する処理が印刷を伴わない処理である場合(ステップS6:NO)は、カードの表裏の正誤にかかわらず、反転機構30によるカード50の反転を行わないようにしている。
【0039】
したがって、印刷を伴う継続定期券発行の場合は、表裏を逆にしてカード50を挿入すると、表裏が自動的に反転されて更新された券面情報が印刷される。一方、印刷を伴わない料金チャージ等の場合は、表裏を逆にしてカード50を挿入しても、カードの反転は行われず、本来の処理のみが実行されるので、カード50の情報を更新した後、カード50を返却することで、処理の迅速化を図ることができる。
【0040】
図6は、本発明の第2実施形態によるカード処理手順であって、定期券の料金をクレジットカードで支払う場合の決済処理を示している。
【0041】
ステップS21では、ユーザによりカード50がカード処理装置5の挿入口41(図3)に挿入される。この場合のカード50は、磁気ストライプを有するクレジットカード、または当該クレジットカードを兼用した非接触式のICカードからなる定期券である。カード50が挿入されると、ステップS22へ移り、カード処理装置5がカード50を取り込み、カード方向検出センサ14の検出結果または磁気ヘッド12の読み取り結果に基づいて、カード50の表裏・前後の方向を判別する。続くステップS23では、挿入されたカード50が受付可能な媒体か否かを判定し、受付可能な媒体でなければ(ステップS23:NO)、ステップS34へ移行して、ステップS35でカード50を挿入口41から返却する。カード50が受付可能な媒体であれば(ステップS23:YES)、ステップS24へ移行する。なお、受付可能な媒体か否かは、例えば、挿入口41付近に設けた図示しないセンサの出力に基づいて判別する。
【0042】
ステップS24では、定期券発行機100の接客部2(図1)に、カード50の受付をしたことの表示を行う。そして、ステップS25で、ユーザは、接客部2のタッチパネルの画面において、カード50に対する処理を選択する。例えば、クレジットカードで決済をする場合は、画面に表示されているクレジットカード支払いのボタンを選択し、支払方法(一括/分割)を選択する。これらの選択が行われると、定期券発行機100では、ステップS26において、選択された処理が磁気処理を伴う処理であるか否かを判定する。磁気処理とは、カードの磁気情報を読み取り、読み取った結果をクレジット会社等の上位決済サーバへ通知し、サーバで認証を行う処理をいう。
【0043】
磁気処理を伴う処理としては、上述したクレジットカード支払いのほか、デビットカード支払いなどがある。また、磁気処理を伴わない処理としては、他のカードによる支払いや現金支払いがある。例えば、クレジットカード兼用の定期券(カードAとする)で継続定期券(カードAを更新したもの)を購入する場合、カードAでは決済せずに他のカード(カードBとする)による決済を希望するときは、カードBを別に受け付けてカードBで決済が行われるが、この場合のカードAに対する処理は、磁気処理を伴わない処理となる。現金支払いの場合も同様である。
【0044】
ステップS26の判定結果が磁気処理を伴う処理である場合は(ステップS26:YES)、ステップS27へ進み、定期券発行機100からカード処理装置5に対して磁気処理の指示が送られる。カード処理装置5では、磁気処理の指示を受け取ると、ステップS28で、カード50が磁気処理可能な方向に挿入されているか否か、すなわち、カード50の表裏に誤りがないか否かを、ステップS22での判別結果に基づいて判定する。そして、表裏に誤りがない場合は(ステップS28:YES)、ステップS33に移行し、磁気ヘッド12によってカード50に対する磁気処理(クレジット番号の読み取り等)を行う。
【0045】
ステップS33での磁気処理が終了すると、ステップS34において、定期券発行機100からカード処理装置5に対してカードの返却指示が送られる。カード処理装置5では、返却指示を受け取ると、ステップS35でカード50を返却し、返却されたカード50をユーザがステップS36で抜き取ることにより、一連の動作が終了する。
【0046】
また、ステップS28で、カードが磁気処理可能な方向に挿入されていない、すなわちカードの表裏に誤りがあると判定された場合は(ステップS28:NO)、ステップS29において、定期券発行機100からカード処理装置5に対してカードの反転指示が送られる。カード処理装置5では、反転指示を受け取ると、ステップS30において、カード50を反転機構30へ搬送し、反転機構30(図3、図4)を駆動して、カード50の表裏を反転する。そして、ステップS31でカード50の表裏・前後を判別した後、ステップS32で、カード50が磁気処理可能な方向に挿入されているか否か、すなわち、カード50の表裏に誤りがないか否かを再度判定し、表裏に誤りがない場合は(ステップS32:YES)ステップS33へ移って、以後は上述したステップS34〜S36の手順を実行する。一方、表裏に誤りがある場合は(ステップS32:NO)、ステップS34へ移って、以後は上述したステップS35〜S36の手順を実行する。
【0047】
また、ステップS26の判定結果が磁気処理を伴わない処理である場合は(ステップS26:NO)、ステップS27〜S33の各処理を実行することなく、ステップS34へ移行し、以後は上述したステップS35〜S36の手順を実行する。すなわち、磁気処理を伴わない処理の場合は、カード50の表裏の正誤にかかわらず、反転機構30によるカード50の反転は行われない。
【0048】
以上のように、図6の手順においては、カード50に対する処理が磁気処理を伴う処理であって(ステップS26:YES)、かつ、カードの表裏に誤りがあると判定した場合(ステップS28:NO)に、反転機構30によりカード50を反転させ(ステップS30)、カード50に対する処理が磁気処理を伴わない処理である場合(ステップS26:NO)は、カードの表裏の正誤にかかわらず、反転機構30によるカード50の反転を行わないようにしている。
【0049】
したがって、磁気処理を伴うカード処理の場合は、表裏を逆にしてカード50を挿入すると、表裏が自動的に反転されて磁気処理が行われる。一方、磁気処理を伴わないカード処理の場合は、表裏を逆にしてカード50を挿入しても、カードの反転は行われないので、本来の処理を行った後にカード50を返却することで、処理の迅速化を図ることができる。
【0050】
本発明は、以上述べた以外にも、種々の実施形態を採用することができる。例えば、図5の実施形態では、定期券発行機100で継続定期券を購入する場合の券面印刷情報の書き換えを例に挙げたが、本発明は、プリペイドカードの裏面に印刷されている残額情報を書き換えるような場合にも適用することができる。
【0051】
また、図6の実施形態では、定期券発行機100で定期券を購入する場合の決済処理を例に挙げたが、本発明は、定期券に限らず他の物品やサービスを購入する場合のクレジット決済やデビット決済にも適用することができる。
【0052】
また、図6の実施形態では、クレジット情報が磁気記録されたカードを例に挙げたが、本発明は、クレジット情報がICに記録された接触式のICカードを用いて決済処理を行う場合にも適用することができる。この場合は、カード搬送路40(図3)の上側に、ICカードの端子と接触する接触子が別に設けられる。また、図6のフローチャートのステップS26、S27、S28、S32、S33の「磁気処理」が「IC処理」に置き換わる。IC処理とは、カードのICに記録されている情報を読み取り、読み取った結果をクレジット会社等の上位決済サーバへ通知し、サーバで認証を行い、また必要に応じてカードのICへ書き込みを行う処理をいう。
【0053】
また、本発明における反転機構は、図4に示した反転機構30に限定されるものではなく、他の構造を備えた反転機構、例えば前記の特許文献1に示されるような反転機構であってもよい。
【0054】
また、図5の実施形態においては、カード50の前後方向に誤りがあった場合に、カード50を回転させずに印字データを並び替えて印字を行う例を挙げたが、前後方向に誤りがあった場合にカードを回転させる回転機構を設けてもよい。この回転機構としては、特許文献1に示されているような機構を利用してもよい。
【0055】
さらに、上述した定期券発行機100は、定期券発行の機能のみを有する専用機に限らず、切符を発行する自動券売機に定期券発行の機能を付加したものであってもよい。また、本発明に係る券発行機は、定期券発行機に限らず、例えば、ICカードに所定の情報を印刷して当該カードを発行する券発行機であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のカード処理装置が搭載された定期券発行機のブロック図である。
【図2】カード処理装置のブロック図である。
【図3】カード処理装置の概略機構図である。
【図4】反転機構によるカードの反転動作を説明する図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるカード処理手順を示したフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態によるカード処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
5 カード処理装置
10 制御部
11 ICリーダライタ
12 磁気ヘッド
13 サーマルヘッド
14 カード方向検出センサ
15 搬送モータ
16 反転モータ
30 反転機構
50 カード
100 定期券発行機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに記録されている情報を読み取って所定の処理を行うカード処理装置において、
挿入されたカードの表裏を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、カードが表裏誤りなく挿入されたか否かを判別する判別手段と、
前記カードの表裏を反転するための反転機構と、
カードに対する処理の種別と、前記判別手段の判別結果とに基づいて、前記反転機構によるカードの反転を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカード処理装置において、
前記制御手段は、
前記カードに対する処理が印刷を伴う処理であって、かつ、前記判別手段がカードの表裏に誤りがあると判定した場合に、前記反転機構によりカードを反転させ、
前記カードに対する処理が印刷を伴わない処理である場合は、前記判別手段の判別結果にかかわらず、前記反転機構によるカードの反転を行わないことを特徴とするカード処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカード処理装置において、
前記カードに対する処理が印刷を伴わない処理である場合に、当該カードの情報を更新した後、カードを返却することを特徴とするカード処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載のカード処理装置において、
前記制御手段は、
前記カードに対する処理が、カード情報の読み取りを伴う処理であって、かつ、前記判別手段がカードの表裏に誤りがあると判定した場合に、前記反転機構によりカードを反転させ、
前記カードに対する処理が、カード情報の読み取りを伴わない処理である場合は、前記判別手段の判別結果にかかわらず、前記反転機構によるカードの反転を行わないことを特徴とするカード処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のカード処理装置と、
前記カードに対する処理の種別を選択するための接客部と、
を備えたことを特徴とする券発行機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−134571(P2010−134571A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308118(P2008−308118)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】