説明

カード処理装置

【課題】 複数種類のカードを同一の搬送路を搬送してデータ処理する装置の小型化を可能にするカード処理装置を提供する。
【解決手段】 データを記録するトラック位置が異なり且つ厚みの異なる複数種類のカードを搬送して各カードのデータの読取り又は書込み処理を個別に実行可能とするカード処理装置であって、前記複数種類のカードを搬送する同一の搬送路5に、前記各カードに対して前記データ処理をそれぞれ行う各読取書込部を、前記各カードのトラック位置に対応して搬送方向に直交する方向の略同一軸上に配列してデータ処理手段1とする構成とした。さらに、前記各読取書込部と同じ搬送路5位置に第1モータ8Aにより駆動される搬送手段6を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを記録するトラック位置が異なり且つ厚みの異なる複数種類のカードを搬送して各カードのデータの読取り又は書込み処理を個別に実行可能とするカード処理装置に関し、特に、装置の小型化を可能にするカード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のカード処理装置は、一つのカード挿入口から例えば磁気カードやクレジットカード等を挿入できるようにし、搬送路の途中でカードの種別を検出器により検出して、検出器の後方に設けた振分手段によりカードの種別に応じて搬送路を振り分け、それぞれ専用の搬送路の基で個別にデータ処理できるようにしたものである(例えば、特許文献1又は2参照)。
【特許文献1】特開2002−83347号公報
【特許文献2】特開2003−108948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような従来のカード処理装置においては、挿入口は同一であるものの各カードの処理は、分岐して設けられた専用の搬送路でそれぞれ処理するようにしたものであったため、装置が大型化するものであった。
また、カード毎にデータの読取又は書込み処理を行う各読取書込部を搬送方向に直列に接続してカード処理装置を構成することも考えられるが、この場合は、搬送路が長くなり、装置の小型化の実現が困難である。
【0004】
そこで、本発明は上記問題点に着目してなされたもので、複数種類のカードを同一の搬送路を搬送してデータ処理する装置の小型化を可能にするカード処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このために、請求項1の発明は、データを記録するトラック位置が異なり且つ厚みの異なる複数種類のカードを搬送して各カードのデータの読取り又は書込み処理を個別に実行可能とするカード処理装置であって、前記複数種類のカードを搬送する同一の搬送路に、前記各カードに対して前記データ処理をそれぞれ行う各読取書込部を、前記各カードのトラック位置に対応して搬送方向に直交する方向の略同一軸上に配列する構成とした。
【0006】
このような構成により、データを記録するトラック位置が異なり且つ厚みの異なる複数種類のカードを同一の搬送路を個別に搬送し、データの読取り又は書込み処理を行う読取書込部を各カードのトラック位置に対応して搬送方向に直交する方向の略同一軸上に配列し、該各読取書込部で各カードに対してデータ処理をそれぞれ行う。
【0007】
本発明のカード処理装置は、さらに、請求項2のように、前記各読取書込部と同じ搬送路位置に駆動部により駆動される搬送手段を設けるとよい。この場合、請求項3のように、前記各読取書込部の配列方向の少なくとも一側方に前記搬送手段を設けると共に、該搬送手段の軸支部と、前記各読取書込部の上方に軸支されて該各読取書込部にカードを圧接する押圧ローラの軸支部とを分離してもよい。
【0008】
請求項4の構成の場合においては、前記搬送手段は、互いに同期して駆動する搬送部材を前記搬送路を挟んで上下に設ける構成とした。この場合、前記上下の搬送部材は、請求項5のように駆動ギアで連結するとよい。
【0009】
請求項6の構成の場合においては、前記上下の搬送部材の少なくとも一方のカード接触面を弾性部材で形成した。この場合、前記弾性部材は、請求項7のように樹脂とするとよい。
【0010】
請求項8の場合においては、前記上下の搬送部材の少なくとも一方は、その軸支部の両端が付勢手段で他方の搬送部材側に付勢された構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカード処理装置によれば、データを記録するトラック位置が異なり且つ厚みの異なる複数種類のカードを同一の搬送路を個別に搬送し、データの読取り又は書込み処理を行う読取書込部を各カードのトラック位置に対応して搬送方向に直交する方向の略同一軸上に複数配列し、該各読取書込部で各カードに対してデータ処理をそれぞれ行うようにしたことにより、複数種類のカードを搬送する搬送路を短くして装置を小型化することができる。
【0012】
また、各読取書込部と同じ搬送路位置に駆動部により駆動される搬送手段を設ければ、各読取書込部を通過する各カードの往復搬送を安定して行うことができる。したがって、データの処理ミスが減り、安定したデータ処理を実行することができる。
【0013】
さらに、搬送手段の軸支部と、各読取書込部の上方に軸支されて該各読取書込部にカードを圧接する押圧ローラの軸支部とを分離する構成とすれば、各読取書込部を一体的に配列したデータ処理手段を搬送路に対して固定して配設することができる。したがって、データ処理手段の構成を簡単にすることができる。
【0014】
また、搬送手段を駆動ギアで連結されて互いに同期して駆動する搬送部材を搬送路を挟んで上下に設ける構成とすれば、搬送力を高くすることができる。したがって、往復方向に各カードをより一層安定して搬送することができる。
【0015】
さらに、上下の搬送部材の少なくとも一方の表面を弾性部材、具体的には発泡性弾性部材で形成すれば、厚みの異なるカードや表面にエンボス領域を設けたカードに対しても発泡性弾性部材が弾性変形し、カードの厚みの変化や表面の凹凸変化を吸収して安定して搬送することができる。
【0016】
そして、上下の搬送部材の少なくとも一方の軸支部の両端が付勢手段で搬送路側に付勢されようにすれば、上下の搬送部材の表面同士を確実に密接させることができる。したがって、厚みの異なるカードも安定して搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明に係るカード処理装置の実施形態の側面透視図を示し、図2は搬送路を示す。
図1及び図2において、本実施形態のカード処理装置は、例えば駐車場の駐車料金精算機等に搭載され、データを記録するトラック位置が異なり且つ厚みの異なる複数種類のカードを搬送して各カードのデータの読取り又は書込み処理を個別に実行可能とするものであり、搬送路5と、データ処理手段1と、搬送手段6とを備えて構成する。
【0018】
上記搬送路5は、カードの幅に対応して略同じ幅で形成された一本の通路であり、例えば磁気カードやクレジットカード等の厚みの異なる複数種類のカードを搬送するものである。上記搬送路5には、図2に示すように後述の駆動部としてのモータによって駆動される搬送ローラ3a,3b,3c,3d,3e,3f、及び図1に示すようにばねにより所定の押圧力で押圧された押圧ローラ2a,2b,2c,2d,2e,2fを搬送方向に沿って挿入/返却口11側から順に設け、カードを所定の速度で搬送できるようにしている。なお、挿入/返却口11には、挿入部シャッター26を設けてカードのデータ処理中に別のカードが挿入されないようにしている。
【0019】
ここで、搬送ローラ3aは、タイミングベルト7aで第1モータ8Aに連結された第1タイミングプーリー9Aによって駆動され、搬送ローラ3cは、タイミングベルト7bで第2モータ8Bに連結された第2タイミングプーリー9Bによって駆動され、搬送ローラ3eは、タイミングベルト7cで第3モータ8Cに連結された第3タイミングプーリー9Cによって駆動されるようになっている。また、搬送ローラ3bはタイミングベルト7dで第1タイミングプーリー9Aと連結された第1プーリー10Aによって駆動され、搬送ローラ3dはタイミングベルト7eで第2タイミングプーリー9Bと連結された第2プーリー10Bによって駆動され、搬送ローラ3fはタイミングベルト7gで第3タイミングプーリー9Cと連結された第3プーリー10Cによって駆動されるようになっている。
【0020】
また、上記搬送路5には、図2に示すようにカードの挿入/返却口11から奥に向かって順次カードを検出するカード検出センサー12a,12b,12c,12d,12e,12f,12gを設けている。上記挿入/返却口11の両側に配設したカード検出センサー12a,12bは、カードの挿入及びカードの幅を検出するものである。また、その左隣に配設したカード検出センサー12cは、図2中左方向に搬送されるカードを検出してデータ処理手段1による磁気処理開始を指示するものである。さらに、中央部右に配設したカード検出センサー12dは、左方向に搬送されるカードを検出して、後述のサーマルヘッド13による印字開始を指示するものである。また、その左隣に配設したカード検出センサー12eは、右方向に搬送されるカードを検出してデータ処理手段1による磁気処理開始を指示するものである。さらに、終端近傍部に配設したカード検出センサー12fは、右方向に搬送されるカードを検出して、サーマルヘッド13による印字開始を指示すると共に、後述の給紙機構から供給される例えば領収書用紙又は磁気ロール紙の先端を検出してその後端部のカットを指示するものである。そして、左端に配設したカード検出センサー12gは、カードの待機位置を検出するものである。
【0021】
さらに、搬送路5の中程には、サーマルヘッド13とプラテンローラ14とで構成する印字手段を設けて、給紙機構と連動して領収書を発行できるようにしている。
【0022】
また、図1に示すように搬送路5の挿入/返却口11近傍部及び中程にカードを回収する第1及び第2キャプチャ15A,15Bを備え、該第1又は第2キャプチャ15A,15Bを搬送路5の路面上に起立させ、不要となったカードを第1又は第2回収路16A,16Bに取り込み回収できるようにしている。
【0023】
そして、搬送路5の終端近傍部には、図示省略の給紙機構を備え、押圧ローラ2gと搬送ローラ3eに挟まれて供給される領収書用紙又は磁気ロール紙をガイド部材27で案内して挿入/返却口11側に向かって搬送路5上に供給できるようになっている。
【0024】
上記搬送路5には、搬送ローラ3aと搬送ローラ3bとの間にデータ処理手段1を固定して配置している。このデータ処理手段1は、各カードに対してデータの読取り又は書きこみ処理をそれぞれ行う各読取書込部1a,1b,1c,1dを、各カードのトラック位置に対応して搬送方向に直交する方向の略同一軸上に一体的に配列する構成としたものであり、磁気ヘッドにより構成されている。なお、この場合、上記読取書込部1a〜1dは、磁気ヘッドのギャップ部であり、該ギャップ部を搬送路5の路面位置に配置してカードの磁気トラックと密接できるようにしている。
【0025】
上記読取書込部1a,1bは、図3に示すようにカード裏面の略中央部に設けられた二本の磁気トラック16a,16bに対してデータの読取り又は書込み処理をするものであり、例えば駐車カード(磁気カード)4Aのデータ処理用として設けている。また、上記読取書込部1c,1dは、図4(a)に示すようにカード裏面の一端部近傍部に設けられた二本の磁気トラック16c,16dに対してデータの読取り処理をするものであり、例えばクレジットカード4Bのデータ処理用として設けている。なお、この場合、上記二本の磁気トラック16c,16dには、IS0−IとISO−IIの磁気トラックが対応する。
【0026】
また、上記データ処理手段1のカード挿入方向前方には、磁気ヘッド18が設けられている。この磁気ヘッド18は、図4(b)に示すクレジットカード4B表面に設けられたJIS−IIの磁気トラック16eに対してデータの読取り処理をするものであり、図5に示すように、読取書込部を下側にしてばね19で支持されて搬送路5の上方に設けられている。そして、搬送路5を挟んで対向して設けたローラ2と接触している。このローラ2は内部にベアリングを有し、軸とは空転して突入してきたカードの表面との摩擦力により回転するようになっている。この場合、クレジットカード4Bが搬送される際には、磁気ヘッド18がクレジットカード4Bの表面を弾性的に押圧するようになっている。なお、クレジットカードの表面には、同図(b)に示すように、JIS−IIの磁気トラック16eを形成した端部と反対側端部近傍は表面を凸状に形成したエンボス領域17が設けられている。
【0027】
上記読取書込部1a〜1dを一体的に設けたデータ処理手段1の一側方には、搬送手段6が設けられている。この搬送手段6は、データ処理手段1に突入するカード4を一定速度で搬送してデータ処理を安定して実行させるためのものであり、図6に示すように搬送路5を挟んで上側に搬送部材としての搬送ローラ3hを設け、下側に搬送部材としての搬送ベルト20を設けて構成し、それぞれ同期して駆動するようになっている。なお、上記搬送手段6は、データ処理部1の搬送方向に直交する方向の両側に設けてもよく、また上下とも搬送ローラ3hで形成してもよい。
【0028】
ここで、上記搬送ローラ3hは、カード接触面が弾性力を有し摩擦係数の高い弾性部材、例えば樹脂であり、柔軟性、耐磨耗性、温度特性が安定して得られるように成分調整されたもので、例えば発泡ウレタン、ウレタンゴム、シリコンゴム等で形成されている。また、上記搬送ベルト20は、図1に示す第1プーリー10Aに連結されたプーリー23aと搬送ローラ3hの下方に設けたプーリー23bとの間に掛け渡されており、プーリー23aが第1モータ8Aの動力によって回転駆動されるのに伴って駆動するようになっている。
【0029】
図6に示すように、上記搬送ローラ3hの軸支部21の一端部には、駆動ギア24aが設けられており、該駆動ギア24aがプーリー23bの軸支部25の一端部に設けた駆動ギア24bに噛合って回転し、搬送ベルト20の駆動力が搬送ローラ3hに伝達されるようにしている。
【0030】
また、上記搬送ローラ3hは、その軸支部21の両端が密巻き形成された付勢手段としての押圧ばね22aで搬送路5側に付勢されており、該押圧ばね22aによる下方への押圧力によりばね(弾性力)を強くすることにより、真直ぐ下へ押圧するため、厚みの違うカードが入っても軸が斜めにならないようにして、搬送ベルト20に安定してローラ表面が均一に密着するようになっている。そして、搬送ローラ3hと搬送ベルト20との間を厚みの異なるカード4や表面に凹凸が形成されたカードが通過しても、この厚みの変化や凹凸を発泡ウレタンで吸収し、搬送ローラ3hの軸支部21が上下動しないようにしている。これにより、駆動ギア24A,24Bの噛合い状態は変動せず、搬送ローラ3hと搬送ベルト20の駆動状態を安定させることができる。
【0031】
さらに、上記データ処理手段1の上方には、押圧ローラ2hを設けている。この押圧ローラ2hは、押圧ばね22bの付勢力によりカードを圧接してカードとデータ処理手段1の読取書込部1a〜1cとの密着性をよくするためのものであり、データ処理手段1のカード接触幅に略等しい幅を有している。そして、押圧ローラ2hの軸支部28を搬送ローラ3hの軸支部21と分離し、押圧ローラ2hが独立してデータ処理手段1を押圧するようになっている。
【0032】
次に、このように構成された本発明のカード処理装置の動作を駐車料金精算機に搭載した場合を例に説明する。
例えば、本発明のカード処理装置を搭載した駐車料金精算機の前に停車した車を車両感知器が感知すると、図1に示すカードの挿入/返却口11側に設けた挿入部シャッター26が開き、カードを受け付け入れ可能状態にする。このとき、挿入/返却口11から駐車カード4Aが挿入されると、第1及び第2モータ8A,8Bが回転動作して駐車カード4Aを搬送する。そして、挿入部シャッター26が閉まる。
【0033】
搬送ローラ3aによって搬送された駐車カード4Aがデータ処理手段1に達すると、搬送手段6がこれを捕らえてデータ処理手段1上を強制的に搬送する。同時に、上記駐車カード4は、押圧ローラ2hによりデータ処理手段1に圧接される。このとき、データ処理手段1は、読取書込部1a,1bで駐車カード4Aの磁気トラック16a,16bに記録されている駐車開始時刻を読み取る。
【0034】
次に、上記駐車開始時刻に基づいて駐車料金が算出されると、第2及び第3モータ8B,8Cが順次回転動作してデータ処理手段1上の駐車カード4を図1中左方向に搬送する。
【0035】
第2及び第3モータ8B,8Cの回転動作によって搬送された駐車カード4をカード検出センサー12gが検知すると、精算のためにクレジットカード4Bの挿入を受け付けるために挿入部シャッター26が開く。そして、精算動作が完了するまで第2及び第3モータ8B,8Cの回転動作が停止し、検知した駐車カード4Aを搬送路5の終端部に待機させる。
【0036】
カードの挿入/返却口11からクレジットカード4Bが挿入されると、第1モータ8Aが回転動作してクレジットカード4Bを図1中左方向に搬送する。そして、挿入部シャッター26が閉まる。
【0037】
搬送ローラ3aによって搬送されたクレジットカード4Bがデータ処理手段1に達すると、搬送手段6がこれを捕らえてデータ処理手段1上を強制的に搬送する。同時に、データ処理手段1は、、読取書込部1c,1dでクレジットカード4BのISO−I及びISO−IIの磁気トラック16c,16dに記録された情報を読み取る。また、クレジットカード4Bの表面に形成されたJIS−IIの磁気トラック16eの情報は、搬送路5奥に配設した磁気ヘッド18で読み取る。データ処理手段1又は磁気ヘッド18が上記情報を読み取ると、該情報に基づいてクレジットカード4Bによる駐車料金の精算処理が実行される。
【0038】
上記駐車料金の精算処理が終了すると、第1及び第2モータ8A,8Bが回転動作し、クレジットカード4Bを挿入/返却口11方向に搬送する。同時に挿入部シャッター26を開いてクレジットカード4Bを挿入/返却口11から返却する。
【0039】
さらに、第1〜3モータ8A〜8Cが回転動作して待機位置に待機中の駐車カード4Aを図1中右方向に搬送し、搬送路5の路面上に同図中二点鎖線で示すように起立した第1キャプチャ15Aによって第1回収路16Aに取り込み回収する。
【0040】
領収書ボタンが操作された場合は、第1〜3モータ8A〜8Bが回転動作し、図示省略の給紙機構部から領収書用紙を搬送路5上に供給し、サーマルヘッド13により利用年月日や駐車料金等を印字して領収書を発行し、挿入/返却口11から排紙する。
【0041】
ここで、本発明のカード処理装置は、上記データ処理手段1が読取書込部1a〜1dを搬送方向に直交する方向の略同一軸上に一体的に配列する構成として異種類のカードを一つのデータ処理手段1でデータ処理すると共に、搬送路5を短くし、装置を小型化している。この場合、上記読取書込部1a〜1dが搬送方向に直交する方向に並べて配置されているのでデータ処理手段1の幅に合わせて押圧ローラ2hも幅広くしている。そして、厚みの薄いカードも良好な密着性が得られるよう押圧ばね22hによって通常よりも強い押圧力が付与されている。この押圧ローラ2hは、自ら回転するものではなく、押圧ローラ22hとデータ処理手段1との間にカードが差し込まれたときに回転する。したがって、カードが差し込まれるまでは、負荷となりカードの搬送の妨げとなる。特に、厚みの厚いカードに対しては、より大きな負荷となる。それ故、データ処理手段1の前後に設けた搬送ローラ3a,3bのみでは、往復搬送される各カードは、押圧ローラ22hの存在によりデータ処理手段1の部分を安定して搬送できない。
【0042】
そこで、本発明のカード処理装置は、データ処理手段1の搬送方向に直交する方向の一側方にモータ駆動される搬送手段6を配設して、データ処理手段1の部分における各カードの搬送を強制的に行うようにしている。これにより、各カードの往復搬送を安定して行うことができる。特に、搬送路5を挟んで上側に搬送ローラ3hを配設し、下側に搬送ベルト20を配設して両方が各軸支部21,25の端部に備えた駆動ギアにより同期して回転するので、搬送力がより高まり各カードをより安定して往復搬送する。
【0043】
この場合、搬送ローラ3hの軸支部21の両端が押圧ばね22aで搬送ベルト20側に付勢された構成としているので、加工公差を吸収して搬送ローラ3hと搬送手段20の表面同士が安定して密接する。したがって、厚みの薄いカードも安定して搬送される。
【0044】
また、搬送ローラ3hのカード接触面を弾性力の大きい発泡ウレタンで形成しているため、厚みの厚いクレジットカード4Bが搬送手段6に突入しても発泡ウレタンが弾性変形して受け入れ、搬送ローラ3hの軸支部21が上下動しない。それ故、駆動ギア24A,24Bの噛合い状態は変動せず、厚みの厚いカードも安定して搬送される。
【0045】
さらに、図6(b)に示すようにクレジットカード4Bの表面に形成された凸状のエンボス領域17が同図(a)に示すように上記搬送ローラ3hを通過しても、搬送ローラ3hの発泡ウレタンが変形して上記凸状のエンボスを吸収するので搬送速度が乱されることがない。
【0046】
また、搬送ローラ3hの軸支部21と、データ処理手段1の上方に軸支されて該データ処理手段1にカードを圧接する押圧ローラ2hの軸支部28とを分離する構成としているので、押圧ローラ2hが搬送ローラ3hと共に回転駆動することがない。したがって、本発明のカード処理手段においては、押圧ローラ2hとデータ処理手段1とが接触しても支障がない。そこで、厚さの異なるカードの対策としてデータ処理手段1を可動させるような構成を採用する必要はなく、データ処理手段1を搬送路5に対して固定して配設できる。これにより、データ処理手段1の構成が簡単になる。
【0047】
一方、搬送路5の奥に配設した磁気ヘッド18部分もカードの搬送に対して負荷となる。この場合、カードの先端が磁気ヘッド18部分に到達するときは、まだカードはデータ処理手段1部分を抜けておらず、カードは、搬送ローラhと搬送ベルト20とを駆動ギアで連結して駆動力を高めた搬送手段6により搬送されるので、上記磁気ヘッド18部分が負荷となってもカードの搬送が乱されることがない。
【0048】
このように、本発明のカード処理装置によれば、データを記録するトラック位置が異なり且つ厚みの薄い例えば磁気ロール紙からなる駐車カード4Aや厚いクレジットカード4B等の複数種類のカードを同一の搬送路5を搬送し、データの読取り又は書き込み処理を行う読取書込部1a〜1cを上記各カードの磁気トラック16a〜16dに対応して搬送方向に直交する方向に一体的に配列したデータ処理手段1で各カードのデータ処理をするようにしたことにより、搬送路を短くすることができる。したがって、装置を小型化することができる。
【0049】
また、上記データ処理手段1の搬送方向に直交する方向の一側方に、モータで駆動される搬送手段6を設けたことにより、データ処理手段1を通過する各カードを往復の何れの方向にも安定して搬送することができる。したがって、データの処理ミスをなくして安定した処理動作をデータ処理手段1にさせることができる。
【0050】
さらに、搬送手段6の搬送ローラ3hを発泡ウレタンで形成したことにより、厚みの厚いクレジットカード4Bが搬送された場合にも発泡ウレタンが弾性変形して該クレジットカード4Bを受け入れて搬送することができる。また、この場合、クレジットカード4Bの表面に形成された凸状のエンボス領域17が搬送ローラ3hを通過しても発泡ウレタンが弾性変形して上記凸状のエンボスを吸収し、クレジットカード4Bを安定して搬送することができる。
【0051】
なお、上記実施形態においては、データ処理手段1を搬送路5に固定して配置した場合について説明したが、これに限らず、データ処理手段1を搬送路5に対して上下動するように設けてもよい。この場合、データ処理手段1は、垂直方向に上下動するように形成するのが望ましい。これにより、データ処理手段1上にカードが達したことをカード検知センサーで検知するとデータ処理手段1を垂直方向に上昇させる。この場合、厚みの異なる各カードに対しても読取書込部を確実に当接させてデータ処理を良好に実行することができる。
【0052】
また、本発明に係るカード処理装置は、駐車料金精算機に搭載されるものに限らず、同一の搬送路5により厚みの異なる複数種類のカードを処理するものであればいかなるものにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明によるカード処理装置の実施の形態を示す側面透視図である。
【図2】上記カード処理装置の搬送路を示し平面図である。
【図3】上記カード処理装置に適用される駐車カードの磁気トラックの例を示す平面図である。
【図4】上記カード処理装置に適用されるクレジットカードの磁気トラックを示す平面図であり、(a)は裏面を示し、(b)は表面を示す。
【図5】上記クレジットカードの表面に形成された磁気トラックのデータを読み取る磁気ヘッドを示す側面図である。
【図6】上記カード処理装置の搬送手段の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0054】
1…データ処理手段
1a〜1d…読取書込部
2a〜2h…押圧ローラ
3a〜3g…搬送ローラ
3h…搬送ローラ(搬送部材)
4…カード
4A…駐車カード
4B…クレジットカード
6…搬送手段
8A〜8C…第1〜第3モータ(駆動部)
20…搬送ベルト(搬送部材)
22a…押圧ばね
22b…押圧ばね(付勢手段)
24a,24b…駆動ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記録するトラック位置が異なり且つ厚みの異なる複数種類のカードを搬送して各カードのデータの読取り又は書込み処理を個別に実行可能とするカード処理装置であって、
前記複数種類のカードを搬送する同一の搬送路に、前記各カードに対して前記データ処理をそれぞれ行う各読取書込部を、前記各カードのトラック位置に対応して搬送方向に直交する方向の略同一軸上に配列する構成としたことを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
前記各読取書込部と同じ搬送路位置に駆動部により駆動される搬送手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項3】
前記各読取書込部の配列方向の少なくとも一側方に前記搬送手段を設けると共に、該搬送手段の軸支部と、前記各読取書込部の上方に軸支されて該各読取書込部にカードを圧接する押圧ローラの軸支部とを分離したことを特徴とする請求項2に記載のカード処理装置。
【請求項4】
前記搬送手段は、互いに同期して駆動する搬送部材を前記搬送路を挟んで上下に設ける構成としたことを特徴とする請求項2又は3に記載のカード処理装置。
【請求項5】
前記上下の搬送部材は、駆動ギアで連結したことを特徴とする請求項4に記載のカード処理装置。
【請求項6】
前記上下の搬送部材の少なくとも一方のカード接触面を弾性部材で形成したことを特徴とする請求項4又は5に記載のカード処理装置。
【請求項7】
前記弾性部材は、樹脂であることを特徴とする請求項6に記載のカード処理装置。
【請求項8】
前記上下の搬送部材の少なくとも一方は、その軸支部の両端が付勢手段で他方の搬送部材側に付勢された構成としたことを特徴とする請求項6又は7に記載のカード処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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