説明

カード処理装置

【課題】 主電源の供給が停止した電断の発生時に、本体内部に取り込んでいるカードを、カードデータを破壊することなく、速やかに利用者に返却することができるカード処理装置を提供する。
【解決手段】 カード処理装置1は、主電源の電断が発生すると、カードに対して実行している処理を中止し、バックアップ電源部6によるバックアップ電源の供給が安定するのを待つ。そして、今回中止した処理がカードデータを破壊する可能性が高い、カードデータの書き込みにかかる処理であれば、中止した処理をやり直す。一方、今回中止した処理がカードデータを破壊する可能性が低い処理であれば、カードをカー素挿入口へ搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カード挿入口に挿入された磁気カードやICカード等のカードを本体に取り込み、このカードに対してカードデータの読み取りや書き込みにかかる処理を行うカード処理装置に関し、特に外部から供給されている主電源の供給停止に対するバックアップ機能を有するカード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気ストライプが形成された磁気カードや、ICが搭載されたICカードを本体内部に取り込み、取り込んだカードに対してカードデータの読み取りや、書き込みにかかる処理を行うカード処理装置が実用化されている。カード処理装置は、金融機関の店舗に設置されているATMやCD、駅に設置されている券売機等、種々の機器に適用されている。
【0003】
一般的なカード処理装置は、カード挿入口に挿入されたカードを本体内部に取り込み、このカードに記録されているカードデータの読み取りや、このカードに対するカードデータの書き込みにかかる処理を行っているときに、主電源の供給が停止しても、装置本体に取り込んでいるカードを利用者に返却できるように構成されている。具体的には、バックアップ電源としてコンデンサや2次電池を備え、主電源の供給が停止した電断時にバックアップ電源による電源供給を開始し、少なくとも装置本体に取り込んでいるカードをカード挿入口へ搬送し、該カードを利用者に返却するように構成されている。
【0004】
バックアップ電源としてコンデンサを用いたカード処理装置では、バックアップ電源で装置本体を動作させることができる時間が短い。例えば、容量が180mF、耐圧が50Vの電解コンデンサをバックアップ電源として用いた場合、カードの搬送用モータの電源がDC24Vであると、バックアップ電源で装置本体を動作させることができる時間は10秒程度である。このため、主電源の供給が停止すると、装置本体に取り込んでいるカードに対して実行している処理を中止し、バックアップ電源により該カードをカード挿入口へ搬送し、カードを利用者に返却している。しかし、主電源の供給が停止したときにカードに対して実行していた処理がカードのデータの書き込みであった場合、このカードデータの書き込みを中止したことにより、利用者に返却したカードのカードデータは破壊されている。言い換えれば、カードデータが破壊されたカードを利用者に返却することになる。
【0005】
なお、バックアップ電源として用いるコンデンサの容量を増大すれば、主電源の供給が停止した電断時に実行していた処理を最後まで行ってからカードを利用者に返却するように構成できるが、上記の容量のコンデンサであっても350ml缶程度の大きさであり、カード処理装置を大型化させるという問題がある。
【0006】
一方、バックアップ電源として2次電池、例えばニッケル水素電池、を用いたカード処理装置では、バックアップ電源により装置本体を数分間動作させることができるので、主電源の供給が停止しても、装置本体に取り込んでいるカードに対して実行している処理を継続し、この処理の完了後にカードをカード挿入口へ搬送し、利用者に返却することができる。したがって、電断時にカードデータの書き込みにかかる処理を実行していても、カードデータが破壊されたカードを利用者に返却するのを防止できる。
【0007】
なお、バックアップ電源として用いる一般的な2次電池は、単セルが1.1〜1.5V程度であるから、20本程度用いることになり、その大きさはタバコ4〜5箱分程度である。
【0008】
また、実行中の処理にかかるデータをバッテリバックアップされたメモリ(RAM)に一時記憶し、電断が生じたときには、この電断の回復後に電断が生じたときの処理をやり直すことが提案されている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載されている構成では、必要なバックアップ電源の容量が極めて小さいので、装置本体を小型に構成できる。
【特許文献1】実公平7−28611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、バックアップ電源として2次電池を用いた従来のカード処理装置は、主電源の供給が停止した電断を検知したときに、バックアップ電源による電源供給を開始する構成であるので、電断の発生からバックアップ電源により供給される電源が安定するまでに、数10ms程度のタイムラグが存在し、このタイムラグの期間の動作が不安定になる。このため、電断の発生時に実行している処理がカードデータの書き込みであると、多くの場合、上記タイムラグの期間に書き込み不良が発生し、このカードデータの書き込みに失敗する。したがって、電断の発生時に実行していたカードデータの書き込みにかかる処理(一度失敗した処理)をやり直してから、カードを利用者に返却することになり、主電源の供給が停止した電断の発生からカードを利用者に返却するまでに長い時間を要し、利用者を待たせるといという問題があった。
【0010】
また、特許文献1に記載されている構成では、電断が復旧するまで利用者にカードを返却することができない。したがって、電断の発生からカードを利用者に返却するまでに要する時間については、バックアップ電源として2次電池を用いたカード処理装置よりも長くなる。
【0011】
この発明の目的は、主電源の供給が停止した電断の発生時に、本体内部に取り込んでいるカードを、カードデータを破壊することなく、速やかに利用者に返却することができるカード処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明のカード処理装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を備えている。
【0013】
(1)カード挿入口に挿入されたカードを搬送し本体内部に取り込んだり、本体に取り込んだカードを搬送し前記カード挿入口へ排出するカード搬送手段と、
前記カード搬送手段により本体に取り込んだカードに対して、カードデータの読み取りや、書き込みを行うカードデータ処理手段と、
本体に供給されている主電源の供給停止を検知する電断検知手段と、
前記電断検知手段により主電源の供給停止が検知されたときに、バックアップ電源により本体に対する電源供給を開始するバックアップ電源供給手段と、
前記電断検知手段により主電源の供給停止が検知されたときに、その時点で実行しているカードに対する処理を中止し、前記バックアップ電源供給手段による電源供給開始後に、該カードに対して今回中止した処理を最初からやり直し、前記カード搬送手段により該カードを前記カード挿入口へ排出するバックアップ手段と、を備えている。
【0014】
この構成では、電断検知手段が本体に対する主電源の供給停止を検知すると、搬送手段により本体に取り込んでいるカードに対して実行している処理が中止される。また、バックアップ電源供給手段がバックアップ電源による電源供給を開始する。バックアップ手段がバックアップ電源による電源供給が安定するのを待って、中止した処理をやり直し、カード搬送手段がカードをカード挿入口へ搬送し、利用者に返却する。電断検知手段が主電源の供給停止を検知してから、バックアップ電源による電源供給が安定するまでに要する時間は、数10ms程度である。
【0015】
このように、主電源の供給が停止すると、そのときに行っていた処理を中止する(従来のカード処理装置のように継続して行わない。)。言い換えれば、電断の発生からバックアップ電源による電源供給が安定するまでの期間に失敗している可能性が高い処理を最後まで実行するという、無駄な処理を行わない。また、バックアップ電源による電源供給が安定してから、電断の発生時に実行していた処理をやり直す。したがって、カードデータを破壊することなく、速やかにカードを利用者に返却することができる。また、電断の発生時に無駄な処理を実行しないので、必要になるバックアップ電源の容量も抑えることができ、装置本体の小型化が図れる。
【0016】
(2)前記バックアップ電源供給手段は、2次電池と、この2次電池の出力を昇圧する昇圧回路と、を有する。
【0017】
この構成では、昇圧回路で2次電池の出力を昇圧する構成としたので、必要になる2次電池の本数を抑えることができ、装置本体の小型化が図れる。
【0018】
(3)前記バックアップ手段は、前記電断検知手段により主電源の供給停止が検知されたときに、カードに対して実行している処理がカードデータの読み取りであれば、前記バックアップ電源供給手段による電源供給開始後に、中止したカードデータの読み取りにかかる処理をやり直すことなく前記カード搬送手段により該カードを前記カード挿入口へ排出する。
【0019】
この構成では、電断の発生時に行っていた処理がカードデータの読み取りであれば、電断の発生時にカードデータが破壊されることがないので、このカードに対して実行していたカードデータの読み取りにかかる処理をやり直すことなく、カードをカード挿入口に搬送し、利用者に返却する。したがって、速やかにカードを利用者に返却することができ、利用者を待たせることがない。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、カードデータを破壊することなく、速やかにカードを利用者に返却することができる。また、電断の発生時に無駄な処理を実行しないので、必要になるバックアップ電源の容量を抑えることができ、装置本体の小型化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態であるカード処理装置について説明する。
【0022】
図1は、この発明の実施形態であるカード処理装置の構成を示すブロック図である。この実施形態のカード処理装置1に外部から供給される主電源は24Vである。この実施形態のカード処理装置1は、磁気カードを処理するカード処理装置である。この実施形態のカード処理装置1は、本体の動作を制御する制御部2と、カード挿入口に挿入されたカードを搬送するカード搬送部3と、カードに対してカードデータの読み取りや書き込みを行うカード処理部4と、主電源の供給が停止したかどうかを検知する電断検知部5と、主電源の供給が停止しているときに動作電源を供給するバックアップ電源部6と、主電源を降圧するDC−DCコンバータ7と、上位装置との通信を行う通信部8とを備えている。カード処理装置1は、カード搬送部3、カードデータの書込回路(カード処理部4)等に主電源を直接供給し、制御部2、カードデータの読取回路(カード処理部4)、通信部8等に対してDC−DCコンバータ7で降圧した電源(例えば、5V)を供給する。
【0023】
制御部2は、カード搬送部3、カード処理部4、電断検知部5、バックアップ電源部6、DC−DCコンバータ7、および通信部8の各部を制御する。カード搬送部3は、モータの駆動によりカードをカード搬送路に沿って搬送する。また、カード搬送部3はカード挿入口近傍に配置したシャッタ(不図示)の開閉を行う。このシャッタは、カード挿入口から装置内に異物が挿入されたり、塵や埃が入り込むの抑えるために設けている。カード処理部4は、搬送路を搬送されているカードに形成されている磁気ストライプに当接する位置に配置した磁気ヘッドを有している。カード処理部4は、この磁気ヘッドで、搬送されているカードの磁気ストライプに記録されているカードデータの読み取りや、磁気ストライプへのカードデータの書き込みを行う。電断検知部5は、外部から供給されている主電源の電圧を監視し、主電源の供給が停止したかどうかを検知する(電断の発生有無を検知する。)。
【0024】
バックアップ電源部6は、図2に示すように、2次電池11、この2次電池11を充電する充電回路12、2次電池11の出力を昇圧する昇圧回路13、および2次電池11を充電するか、2次電池11による電源供給を行うかを切り替える切替回路14を有している。この実施形態のカード処理装置1は、主電源を直接供給するカード搬送部3、カードデータの書込回路(カード処理部4)等については昇圧回路13で昇圧した電源を供給し、てDC−DCコンバータ7で降圧した電源を供給する制御部2、カードデータの読取回路(カード処理部4)、通信部8等については2次電池11の出力を直接供給する。2次電池11は、ニッケル水素電池であり、5Vの出力が得られるように、5〜6本直列に接続している。このように、昇圧回路13を設けることにより、必要な2次電池の本数を抑えることができ、装置本体を小型に構成できる。充電回路12には、主電源が接続されている。2次電池11の充電は、主電源により行われる。昇圧回路13は、2次電池11の出力を24Vに昇圧する。切替回路14は、電断検知部5において主電源の供給が行われていることが検知されているとき(電断が発生していないとき)に2次電池11を充電する側に切り替えられ、主電源の供給が停止していることが検知されているとき(電断が発生しているとき)に2次電池で動作電源を供給する側に切り替えられる。
【0025】
DC−DCコンバータ7は、主電源を5Vに降圧する回路であり、上述したように制御部2等に降圧した電源を供給する。通信部8は、このカード処理装置1が適用されている装置、例えばATM、CD、券売機等の上位装置に対して、挿入されたカードから読み取ったカードデータを送信したり、上位装置から送信されたきたカードに書き込むカードデータを受信する。
【0026】
次に、この実施形態のカード処理装置1の動作を説明する。まず、この実施形態のカード処理装置1の動作の概略を説明する。図3は、この実施形態のカード処理装置の動作の概略を説明するフローチャートである。カード処理装置1は、カード挿入口にカードが挿入されるのを待っている(s1)。カード挿入口には、挿入された物体の幅がカードと同じ幅であるかどうかを検知する幅検知センサや、カード挿入口に挿入された物体に磁気ストライプが形成されているどうかを検知する磁気センサが配置されている。カード処理装置1は、カード挿入口に挿入された物体がカードと同じ幅で、且つ磁気ストライプが形成されていれば、カード挿入口にカードが挿入されたと判定する。カード挿入口にカードが挿入されると、カード搬送部3がシャッタを開して挿入されたカードを本体に取り込む(s2)。また、カード処理部4がカード搬送部3により搬送されているカードの磁気ストライプに記録されているカードデータの読み取りや、磁気ストライプへのカードデータの書き込みにかかるカード処理を行う(s3)。カード処理は、カード搬送部3でカードを搬送しながら、このカードの磁気ストライプに当接している磁気ヘッドによりカードデータの読み取りや、書き込みを行う。通信部8が、カードから読み取ったカードデータを上位装置に送信するとともに、上位装置から送信されてきたカードに書き込むカードデータを受信する。
【0027】
カード処理装置1は、s3にかかるカード処理が完了すると、装置本体に取り込んだカードをカード挿入口に搬送し(s4)、該カードを利用者に返却する。利用者がカード挿入口からカードを抜き取ると(s5)、シャッタを閉して本処理を終了する(s6)。
【0028】
なお、上位装置は、カード処理装置1から送信されてきたカードデータを用いて、入出金処理(ATMやCDの場合)や発券処理(券売機の場合)等を行い、必要に応じてカードに書き込むカードデータを作成し、カード処理装置1へ送信する。
【0029】
カード処理装置1は、この図3に示した処理を実行しているとき、電断検知部5において主電源の供給が停止したかどうかを常に監視している。カード処理装置1は、主電源の供給停止を検知すると、図4に示す電断処理を行う。図4は、この実施形態のカード処理装置における電断処理を示すフローチャートである。カード処理装置1は、主電源の供給が停止していないとき(主電源の電断が発生していないとき)、切替回路14を充電回路12側に接続し、充電回路12により2次電池11を充電している。カード処理装置1は、電断検知部5において主電源の供給が停止した電断の発生を検知すると、バックアップ電源部6による動作電源の供給を開始する(s11)。具体的には、切替回路14において2次電池11の接続を充電回路12から昇圧回路13側に切り替える。
【0030】
また、カード処理装置1は、この電断の発生時に実行していた処理を中止する(s12)。図5に示すように、電断の発生(図5に示すタイミングt1)からバックアップ電源部6による電源供給が安定するまでに(図5に示すタイミングt2)、数10ms程度のタイムラグが存在する。このため、このt1からt2の期間に動作を行っても、その動作が安定せず、失敗する可能性が高い。したがって、s12で実行中の処理を中止することで、失敗する可能性が高い処理を無駄に行うのを防止できる。
【0031】
カード処理装置1は、s12で電断の発生時に実行していた処理を中止すると、バックアップ電源部6による電源供給が安定するのを待つ(s13)。s13では、予め定めた時間、例えば数10ms、待つように構成してもよいし、またバックアップ電源部6から供給している電源を監視し、その電源が安定するのを検知する構成としてもよい。
【0032】
カード処理装置1は、バックアップ電源部6による電源供給が安定すると、s12で中止した処理がカードデータの書き込みにかかる処理であるか、その他の処理(カードデータの読み取りや、カードの排出等にともなう搬送にかかる処理)であるかどうかを判定する(s14)。カード処理装置1は、s14でカードの書き込みにかかる処理でないと判定すると、本体内部に取り込んでいるカードをカード挿入口へ搬送し(s15)、利用者によってカードが抜き取られたことを検出すると(s16)、シャッタを閉し(s17)、本処理を終了する。
【0033】
このように、カード処理装置1は、電断の発生時に実行していた処理が途中で中止してもカードデータを破壊する恐れがない、カードデータの読み取りや単なるカードの搬送であれば、バックアップ電源部6による電源供給が安定すると、直ぐに本体に取り込んでいるカードをカード挿入口に搬送するので、電断の発生時にカードを利用者に速やかに返却することができる。また、上位装置で行われていた処理は、必要に応じて取り消される。例えば、挿入されたカードのカードデータの読み取りを開始した直後に電断が発生した場合には、このカードに対する上位装置での処理は取り消される。一方、上位装置での処理が完了しており、カードを利用者に返却するためにカード挿入口へ搬送しているときに電断が発生した場合には、このカードに対する上位装置での処理は取り消されない。
【0034】
カード処理装置1は、s14でカードデータの書き込みにかかる処理であると判定すると、電断の発生時に行っていた処理が磁気ストライプに対するカードデータの書き込み中であったのか、書き込んだカードデータが正しく書かれているかを確認するために読み取り中であったのかを判定する(s18)。カード処理装置1は、s18で書き込み中であったと判定すると、カードを書き込み開始位置に戻し(s19)、該カードに対して中止したカードデータの書き込みをやり直す(s20)。そして、カードデータを読み取って、s20でカードデータが正しく書き込めたかどうかを確認する(s21)。カード処理装置1は、s21でカードデータが正しく書き込めていることを確認すると、上述したs15〜s17の処理を行う。また、カードデータが正しく書き込めていないと、カードデータの書き込みをもう一度実行し(リトライし)(s22)、本処理を終了する。s22にかかるリトライでは、カードデータの書き込み、カードデータが正しく書き込めたかどうかを確認する処理、およびカードをカード挿入口へ搬送する処理が行われる。また、このリトライで、再度カードデータの書き込みに失敗した場合には、カードが破損していることを利用者に通知するための報知を行う。
【0035】
このように、この実施形態のカード処理装置1は、カードデータを書き込んでいるときに電断が発生すると、この処理を中止し、バックアップ電源部6による電源供給が安定すると、中止した処理を最初からやり直すので、従来のカード処理装置のように電断の発生からバックアップ電源部6による電源供給が安定するまでの期間に失敗している可能性が高い処理を最後まで実行するという、無駄な動作を行わない。また、バックアップ電源部6による電源供給が安定してから、電断の発生時に実行していたカードデータの書き込みにかかる処理をやり直す。したがって、カードデータを破壊することなく、速やかにカードを利用者に返却することができる。また、電断の発生時に無駄な処理を実行しないので、必要になるバックアップ電源の容量も抑えることができ、装置本体の小型化が図れる。
【0036】
さらに、カード処理装置1は、書き込んだカードデータが正しく書かれているかを確認するために読み取り中であったと判定すると、該カードを書き込み開始位置に戻し(s23)、上述したs21以降の処理を実行する。したがって、電断の発生時に行っていた処理がカードデータの書き込みにかかる処理であっても、カードデータの書き込みが完了し、カードデータが正しく書き込めたかどうかを確認するための処理であれば、再度カードデータを書き込むという無駄な処理を行うことがなく、速やかにカードを利用者に返却することができる。
【0037】
また、図6に示すように、s13、s14の処理を入れ替えてもよい。この場合には、電断の発生時に実行していた処理がバックアップ電源部6による電源供給が安定していない状態で実行してもカードデータを破壊する恐れがない、カードデータの読み取りや単なるカードの搬送であれば、カードを利用者に一層速やかに返却することができる。
【0038】
なお、上記実施形態では、磁気ストライプが形成されたカードを処理するカード処理装置を例にして本願発明を説明したが、本願発明はICが搭載されたICカード等、他の種類のカードを処理するカード処理装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の実施形態であるカード処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施形態であるカード処理装置のバックアップ電源部の構成を示す図である。
【図3】この発明の実施形態であるカード処理装置の動作の概略を示すフローチャートである。
【図4】この実施形態のカード処理装置における電断処理を示すフローチャートである。
【図5】電断の発生から、バックアップ電源の供給が安定するまでのタイムラグを説明する図である。
【図6】別の実施形態のカード処理装置における電断処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1−カード処理装置
2−制御部
3−カード搬送部
4−カード処理部
5−電断検知部
6−バックアップ電源部
7−DC−DCコンバータ
8−通信部
11−2次電池
12−充電回路
13−昇圧回路
14−切替回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード挿入口に挿入されたカードを搬送し本体内部に取り込んだり、本体に取り込んだカードを搬送し前記カード挿入口へ排出するカード搬送手段と、
前記カード搬送手段により本体に取り込んだカードに対して、カードデータの読み取りや、書き込みを行うカードデータ処理手段と、
本体に供給されている主電源の供給停止を検知する電断検知手段と、
前記電断検知手段により主電源の供給停止が検知されたときに、バックアップ電源により本体に対する電源供給を開始するバックアップ電源供給手段と、
前記電断検知手段により主電源の供給停止が検知されたときに、その時点で実行しているカードに対する処理を中止し、前記バックアップ電源供給手段による電源供給開始後に、該カードに対して今回中止した処理を最初からやり直し、前記カード搬送手段により該カードを前記カード挿入口へ排出するバックアップ手段と、を備えたカード処理装置。
【請求項2】
前記バックアップ電源供給手段は、2次電池と、この2次電池の出力を昇圧する昇圧回路と、を有する請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項3】
前記バックアップ手段は、前記電断検知手段により主電源の供給停止が検知されたときに、カードに対して実行している処理がカードデータの読み取りであれば、前記バックアップ電源供給手段による電源供給開始後に、中止したカードデータの読み取りにかかる処理をやり直すことなく前記カード搬送手段により該カードを前記カード挿入口へ排出する請求項1または2に記載のカード処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−92190(P2006−92190A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275825(P2004−275825)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】