説明

カード処理装置

【課題】
カードの搬送路を複数持ち、その搬送路間のカードの受け渡しを行うカード回転機構を持つカード処理装置について、カード回転機構を縮小することで、カード処理装置を小型化する。
【解決手段】
カード回転機構内のカード位置を検知するためのセンサを設け、カード回転機構でのカード回転中に起こるカード位置のズレを補正し、回転後のカード位置を安定させることで、カード回転機構の搬送路を短縮することができ、カード回転機構の縮小、カード処理装置の小型化を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば交通機関の定期券や銀行等の金融機関のキャッシュカードとして使用される磁気カード、接触式ICカード、非接触式ICカード等の媒体の搬送、発行を行うカード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置としては、特開2005−100170(特許文献1)に記載のものがある。特許文献1の図3によれば、カード供給部32に垂直方向に蓄えられたベースカード12が水平方向に繰り出されて必要事項が印刷されて新規カードとして発行される。
【0003】
【特許文献1】特開2005−100170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カード処理装置において搬送路の短縮や装置の小型化等を目的として、カードの搬送路を複数設置し、各搬送路間のカードの受け渡しを行うために、カードを回転させることで搬送方向を変更するカード回転機構を配置することが考えられる。一般的にカードの搬送方法としては、搬送路上にある2つの対向した搬送ローラがカードを挟んで圧接した状態で片側の搬送ローラを回転させ、カードを搬送ローラに追従させることで搬送を行う方法が使用されている。この搬送方法でのカード回転機構の一例を図7を用いて説明する。
【0005】
まず、搬送ローラ100を回転軸とした回転部を、回転部の搬送方向が搬送路110の方向に合う位置まで回転させて、搬送路110上の搬送ローラ対111、112に挟持されているカード(図示せず)を、回転部の中央までカードを搬送し、搬送ローラ100、101でカードを挟持した状態で保持する。そして、搬送ローラ100を回転軸として回転部の搬送路方向が搬送路120の方向に合う位置まで回転させた後、搬送ローラ100、101を回転させることによって搬送路120へカードを搬送する。この一連の動作により、搬送路間のカードの受け渡しを行う。
【0006】
ここで、回転部を回転させたときに、回転軸である搬送ローラ100が回転部に完全に追従して回るとカードが移動することはないが、搬送ローラ110の負荷等により回転量が安定せず、回転中に搬送ローラ100、101にて狭持したカードの位置が変わることがある。また、カードの移動量も一定ではなく回転後のカード位置にバラツキが起きることがある。そのため、移動したカードが受け取り側の搬送路ガイドに接触し、回転部が回転できなくなる場合がある。
【0007】
このような回転中のカードの移動に基づく不具合を避けるためには、カード受け取り側の搬送路ガイドをカードの移動量分逃がさなければならない。しかし、カード受け渡しの搬送路ガイド間の隙間が広くなると、カードが搬送路ガイドから逃げ、カードが搬送路ガイドに引っ掛り易くなり、カードジャムの要因になる。そのため、カード回転機構側の搬送ガイドを広がった隙間分延長する必要がある。その結果、カード回転機構部の搬送ガイドは「カード長さ+カードの最大ズレ量」の長さが必要となり、カード回転機構が大きくなり、延いては装置も大きくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、カード回転機構内のカード位置を検知するためのセンサを設け、カード回転機構でのカード位置のズレを補正することで、より小型化したカード処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
上記の手段により、回転中のカード位置のズレの影響を受けることなく、回転後も安定したカード位置を得られるため、カード回転機構の搬送路を短縮することができ、カード回転機構を小さくし、小型化したカード処理装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施例の基本的な構成を図5〜図6の構成図を例に用いて以下に説明する。図5〜6は2つの搬送路を持つカード処理装置のカード回転機構部周辺を示した図である。本機構は搬送路a1、搬送路b2とカード回転機構3の大きく3つの機構から構成される。
【0011】
搬送路a1は、搬送路上のカード22を挟持して搬送するための搬送ローラa4と、その搬送ローラa4を駆動するための搬送モータa5、カード回転機構3から渡されるカード22の先端位置をガイドするための搬送路aガイド6から構成される。搬送路b2についても搬送路a1と同様に、搬送ローラb7、搬送モータb8、搬送路bガイド9から構成される。
【0012】
カード回転機構3はカード22を回転させるための回転部10、回転部10と一体となったギア11、ギア11と連結し回転部10を回転させるための回転モータ12、回転部10の回転軸方向の位置(搬送方向)が搬送路a1の向きに合った状態を検知するためのセンサa13、回転部10の回転軸方向の位置(搬送方向)が搬送路b2の向きにあった状態を検知するためのセンサb14から構成される。
【0013】
この中の回転部10は、搬送路から渡されたカード22を挟持し、カード22の保持、搬送を行うための搬送ローラc15、搬送ローラd16、搬送路a1、搬送路b2から渡されるカード22の先端位置をガイドするための搬送ガイド17から構成される。ここで搬送ローラc15は回転部10の回転軸を共用しており、その搬送ローラc15を駆動するための搬送モータc18は回転部10の外のフレームに固定されている。また、搬送モータa5、搬送モータb8、搬送モータc18はカード22の搬送量を、回転モータ12は回転部10の回転量を、制御できるように全てステッピングモータとする。
【0014】
本構成の場合、搬送ローラc15と搬送ローラd16とでカード22を狭持した状態で、搬送路a1から搬送路b2へ回転部10を回転させたときは、搬送路b2から離れる方向にカード22のズレが発生する。また、搬送路b2から搬送路a1へ回転部10を回転させたときは搬送路a1に近づく方向にカード22のズレが発生する。
【0015】
上記の基本構成に、回転部10内のカード22の位置を検知するためのセンサを設置し、カード位置のズレの修正を行う。センサの設置位置とその機構での動作についての具体的な実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1を図1を用いて説明する。本機構は上記の基本構成にセンサc19を追加した構成である。センサc19は回転部10に取り付けられており、回転部10にあるカード22のカード端を検知するためのセンサである。
【0017】
まず、搬送路a1から搬送路b2にカード22の受け渡しを行う動作を説明する。回転モータ12を起動し、センサa13が検知するまで回転部10を回転させ、回転部10の搬送方向を搬送路a1の方向に合わせる。搬送モータa5、搬送モータc18を起動し、搬送ローラa4、搬送ローラc15、搬送ローラd16を回転させ搬送路a1上のカード22を回転部10へ搬送する。センサc19がカード端を検知した(ライトからダークに切り替わった)時点から、搬送モータa5、搬送モータc18を逆転させ、所定の距離分(例えば1mm)カードを戻した位置で搬送モータa5、搬送モータc18を停止する。
【0018】
回転モータ18を起動し、センサb14が検知するまで回転部10を回転させ、回転部10の搬送方向を搬送路b2の方向に合わせる。この回転中にカード22が搬送路b2から離れる方向へ移動する場合があるため、回転中にセンサc19がカード端を検知した(ライトからダークに切り替わった)場合ごとに、搬送モータc18を起動し、搬送路b2に近づく方向に所定の距離分(例えば1mm)カード22を搬送することで、カード位置のズレを修正し、回転部10からのカード22の飛び出しを防止する。
【0019】
回転部10を搬送路b2の方向にあわせた後、搬送モータb8、搬送モータc18を起動し、搬送ローラb7、搬送ローラc15、搬送ローラd16を回転させ回転部10のカード22を搬送路b2に搬送し、カード22の受け渡しを行う。
【0020】
次に、搬送路b2から搬送路a1にカード22の受け渡しを行う動作を説明する。回転モータ12を起動し、センサb14が検知するまで回転部10を回転させ、回転部10の搬送方向を搬送路b2の方向に合わせる。搬送モータb8、搬送モータc18を起動し、搬送ローラb7、搬送ローラc15、搬送ローラd16を回転させ搬送路b2上のカード22を回転部10へ搬送する。センサc19がカード端を検知した(ライトからダークに切り替わった)時点から、所定の距離分(例えば1mm)カード22を搬送して搬送モータb8、搬送モータc18を停止する。
【0021】
回転モータ12を起動し、センサa13が検知するまで回転部10を回転させ、回転部10の搬送方向を搬送路a1の方向に合わせる。この回転中にカード22が搬送路a1に近づく方向へ移動する場合があるため、回転中にセンサc19がカード端を検知した(ダークからライトに切り替わった)場合ごとに、搬送モータc18を起動し、搬送路a1から離れる方向に所定の距離分(例えば1mm)カード22を搬送することで、カード位置のズレを修正し、回転部10からのカード22の飛び出しを防止する。
【0022】
回転部10を搬送路a1の方向にあわせた後、搬送モータa5、搬送モータc18を起動し、搬送ローラa4、搬送ローラc15、搬送ローラd16を回転させ回転部10のカード22を搬送路a1に搬送し、カード22の受け渡しを行う。
【0023】
以上の構成、動作とすることにより、回転部10の搬送ガイド17の長さは「カードの長さ+ズレの修正量(本実施例1では、例えば前後1mmずつ)」があれば良いため、カード回転機構3を小型化することができる。
【0024】
なお、回転部10は、前回に回転させた状態の方向を基本位置(ホームポジション)として保持してもよいし、搬送路a1もしくは搬送路b2のいずれかの方向をホームポジションとして、受け渡し動作が終了する毎にその位置にセットされるように構成してもよい。これは以下の実施例2でも同様である。
【実施例2】
【0025】
本発明の実施例2を図2〜図4を用いて説明する。本機構は上記の基本構成にセンサd20、センサe21を追加した構成である。センサd20、センサe21は回転部10の外のフレームに取り付けられており、センサd20は回転部10を搬送路a1側に合わせたときの回転部10にあるカード22のカード端を検知するためのセンサ、センサe21は回転部10を搬送路b2側に合わせたときの回転部10にあるカード22のカード端を検知するためのセンサである。ここで回転部10の中心にカード22がある状態を回転部10でのカード22の定位置として、センサd20、センサe21は定位置のカード22が搬送路から離れる方向に所定の距離(例えば5mm)移動したときにカード端を検知する位置にそれぞれ取り付けている。
【0026】
まず、搬送路a1から搬送路b2にカード22の受け渡しを行う動作を説明する。回転モータ18を起動し、センサa13が検知するまで回転部10を回転させ、回転部10の搬送方向を搬送路a1の方向に合わせる。搬送モータa5、搬送モータc18を起動し、搬送ローラa4、搬送ローラc15、搬送ローラd16を回転させ搬送路a1上のカード22を回転部10へ搬送する。センサd20がカード端を検知した(ライトからダークに切り替わった)時点から、搬送モータa5、搬送モータc18を逆転させ回転部10でのカード22の定位置に戻る分のパルスを加え搬送モータa5、搬送モータc18を停止する。
【0027】
回転モータ12に一定パルスを加え、回転部10のカード22が搬送路b2側に飛び出した時にカード22が搬送路bガイド9に当る手前の図3に示した位置で回転部10を一旦停止させる。ここでカード22のズレが小さくセンサe21までカード端が到達していない場合(センサe21がライト)は、カード22が搬送路b2から離れる方向に搬送モータc18を起動し、センサe21がカード端を検知した(ライトからダークに切り替わった)時点から、搬送モータc18を逆転させ回転部10でのカード22の定位置に戻る分のパルスを加え搬送モータc18を停止する。
【0028】
逆にカード22のズレが大きくカード端がセンサe21を通過している場合(センサe21がダーク)は、カード22が搬送路b2に近づく方向に搬送モータc18を起動し、センサe21がカード端を検知した(ダークからライトに切り替わった)時点から、回転部10でのカード22の定位置に戻る分のパルスを加え搬送モータc18を停止する。この動作により、回転中のカード位置のズレを修正する。
【0029】
回転モータ12を起動し、センサb14が検知するまで回転部10を回転させ、回転部10の搬送方向を搬送路b2の方向に合わせる。搬送モータb8、搬送モータc18を起動し、搬送ローラb7、搬送ローラc15、搬送ローラd16を回転させ回転部10のカード22を搬送路b2に搬送し、カード22の受け渡しを行う。
【0030】
次に、搬送路b2から搬送路a1にカード22の受け渡しを行う動作を説明する。回転モータ12を起動し、センサb14が検知するまで回転部10を回転させ、回転部10の搬送方向を搬送路b2の方向に合わせる。搬送モータb8、搬送モータc18を起動し、搬送ローラb7、搬送ローラc15、搬送ローラd16を回転させ搬送路b2上のカード22を回転部10へ搬送する。センサd20がカード端を検知した(ライトからダークに切り替わった)時点から、搬送モータb8、搬送モータc18を逆転させ回転部10でのカード22の定位置に戻る分のパルスを加え搬送モータb8、搬送モータc18を停止する。
【0031】
回転モータ12に一定パルスを加え、回転部10のカード22が搬送路a1側に飛び出した時にカード22が搬送路aガイド6に当る手前の図4に示した位置で回転部10を一旦停止させる。ここでカード22が搬送路a1から離れる方向に搬送モータc18を起動し、センサd20がカード端を検知した(ライトからダークに切り替わった)時点から、搬送モータc18を逆転させ回転部10でのカード22の定位置に戻る分のパルスを加え搬送モータc18を停止する。この動作により、回転中のカード位置のズレを修正する。
【0032】
回転モータ12を起動し、センサa13が検知するまで回転部10を回転させ、回転部10の搬送方向を搬送路a1の方向に合わせる。搬送モータa5、搬送モータc18を起動し、搬送ローラa4、搬送ローラc15、搬送ローラd16を回転させ回転部10のカード22を搬送路a1に搬送し、カード22の受け渡しを行う。
【0033】
以上の構成、動作とすることにより、回転部10の搬送ガイド17の長さは「カードの長さ+修正後の少ない回転範囲でのズレ量」があれば良いため、カード回転機構3を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例1を説明する図である。
【図2】実施例2を説明する図である。
【図3】実施例2を説明する図である。
【図4】実施例2を説明する図である。
【図5】回転部を説明する図である。
【図6】回転部を説明する図である。
【図7】回転機構によるカードの受け渡しを説明する図である。
【符号の説明】
【0035】
1:搬送路a、2:搬送路b、3:カード回転機構、4:搬送ローラa、5:搬送モータa、6:搬送路aガイド、7:搬送ローラb、8:搬送モータb、9:搬送路bガイド、10:回転部、11:ギア、12:回転モータ、13:センサa、14:センサb、15:搬送ローラc、16:搬送ローラd、17:搬送ガイド、18:搬送モータc、19:センサc、20:センサd、21:センサe、22:カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを回転することによってカードの方向を変える回転機構を有し、第1の搬送路と第2の搬送路との間でカードの受け渡しを行うカード処理装置であって、
前記回転機構による回転中のカード位置を補正することを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカード処理装置であって、
前記回転機構はカードを搬送して狭持する搬送ガイドと搬送ローラとを有し、当該回転機構の回転軸と前記搬送ローラの回転軸とが共用されていることを特徴とするカード処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカード処理装置であって、
前記搬送ガイド端部に第1のセンサを設け、
前記第1のセンサによって前記回転機構部による回転中のカードのずれを検出することを特徴とするカード処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載のカード処理装置であって、
前記搬送ガイドが回転する領域外に第2のセンサを設け、
前記第2のセンサによって前記回転機構部による回転中のカードのずれを検出することを特徴とするカード処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−131445(P2007−131445A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328248(P2005−328248)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】