説明

カード処理装置

【課題】搬送面の上方を開放可能とすることによりメンテナンス作業を容易にすると共に、装置の上部のオープンスペースを狭くできるようにする。
【解決手段】搬送面7の下側に配設され、搬送面7に沿って搬送ベルト12を設けてカードを搬送可能にした本体部2と、搬送面7の上側に配設され、弾性ローラとカードを磁気ヘッドに圧接する押圧ローラとを設け、搬送面7の幅方向の一側方に該搬送面7に対して垂直に設けた案内部22に沿って上下動可能とされ、案内部22の上端部で搬送面7の幅方向の一方側に回動して搬送面7上方を開放可能とした上部ユニット4と、案内部22の下端部で上部ユニット4を本体部2にロックするロック手段8と、を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードの搬送面に沿って搬送されるカードを磁気ヘッドに圧接し、カードに対してデータの読取り又は書込み処理を行なうカード処理装置に関し、特に、搬送面の上方を開放可能とすることによりメンテナンス作業を容易にすると共に、装置の上部のオープンスペースを狭くできるカード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカード処理装置は、図8に示すように複数の押圧ローラ1を備えた本体部2と複数の搬送ローラ3を備えた上部ユニット4とによって構成され、該上部ユニット4が本体部2の長手方向の一端部に設けたヒンジ5を中心として本体部2に対して回動可能に結合されおり、上部ユニット4が本体部2を覆って閉じた状態において、本体部2と上部ユニット4との間にカード6を搬送する搬送面7が形成されるようになっていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−296664号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような従来のカード処理装置においては、上部ユニット4が本体部2の長手方向の一端部に設けたヒンジ5を中心に回動するようになっているので、搬送面7全体を開くためには図8に示す上部ユニット4の回動半径Rが長くなり、装置の上部に広いオープンスペースを確保しなければならなかった。
【0004】
そこで、本発明は上記問題点に着目してなされたもので、搬送面の上方を開放可能とすることによりメンテナンス作業を容易にすると共に、装置の上部のオープンスペースを狭くできるカード処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このために、請求項1の発明は、カードの搬送面に沿って搬送されるカードを磁気ヘッドに圧接し、前記カードに対してデータの読取り又は書込み処理を行なうと共に、カードを搬送する搬送ベルトの対向位置にカードとの接触面に弾性部材を有した弾性ローラを前記搬送ベルトと同期して回転可能に備えたカード処理装置であって、前記搬送面の下側に配設され、前記搬送面に沿って前記搬送ベルトを設けて前記カードを搬送可能にした本体部と、前記搬送面の上側に配設され、前記弾性ローラと前記カードを前記磁気ヘッドに圧接する押圧ローラとを設け、前記搬送面の幅方向の一側方に該搬送面に対して垂直に設けた案内部に沿って上下動可能とされ、前記案内部の上端部で前記搬送面の幅方向の一方側に回動して搬送面上方を開放可能とした上部ユニットと、前記案内部の下端部で前記上部ユニットを前記本体部にロックするロック手段と、を備える構成とした。
【0006】
このような構成により、本体部上に装着されてロック手段でロックされた上部ユニットのロックを解除し、その後、搬送面の幅方向の一側方に該搬送面に対して垂直に設けた案内部で案内して上部ユニットを上方に移動し、案内部の上端部で上部ユニットを搬送面の幅方向の一方側に回動して搬送面上方を開放する。
【0007】
請求項2の構成においては、前記ロック手段は、前記上部ユニットにスライド可能に設けたロック部材と、前記本体部側に設けたロック用ピンとを備え、前記ロック部材に形成した係止部の前記ロック用ピンに対する係止及び係止解除操作により前記本体部に上部ユニットをロック及びロック解除する構成とした。この場合、前記ロック部材は、請求項3のように、前記上部ユニットの上面に搬送面に沿って一対設けられ、前記カードの搬送方向にスライドする基部と、該基部から前記搬送面に平行な面内にてカードの搬送方向と直交する方向に延び、前記上部ユニットの側面に沿って折れ曲がった係止片とからなり、該係止片の先端部に前記係止部を設けるとよい。この場合、前記ロック部材の基部の上面には、請求項4のように、スライド操作する操作部を突設するとよい。また、前記ロック部材は、請求項5のように、ばね部材により前記係止部が前記ロック用ピンに係止する方向に弾性付勢されてもよい。
【0008】
そして、請求項6の構成の場合においては、前記搬送面の幅方向の一方側にて前記案内部の側方には、前記カードに対するデータの読取り又は書込み処理を行なう処理回路を設けた回路基板を垂設した。
【発明の効果】
【0009】
本発明のカード処理装置によれば、搬送面の上方を開放することができるので、搬送面の点検又は清掃等のメンテナンス作業や、詰ったカードの除去等のトラブル処理を容易にすることができる。この場合、上部ユニットを搬送面の幅方向の一方側に回動して搬送面を開くようになっているので、上部ユニットの回動半径が小さくなり、装置の上部のオープンスペースを狭くすることができ、装置を小型化することができる。
【0010】
また、搬送面を開く際、上部ユニットを一旦上方に移動し、その後、搬送面の幅方向の一方側に回動するようにしているので、搬送面の幅を規制する背丈の高い側壁が設けられている場合には、弾性ローラや押圧ローラを備えて厚みが厚く形成された上部ユニットと上記側壁の干渉を回避することができる。又は、本体部側の搬送ベルトの駆動力を上部ユニット側の弾性ローラに伝達するギヤを配設した側に上部ユニットを回動する場合には、本体部及び上部ユニットのそれぞれに設けた上記ギヤ同士の干渉を回避することができる。したがって、上部ユニットの回動方向はギヤの配設位置に影響されず、ギヤ側又はその反対側のいずれの側にも回動可能であり、装置の設計自由度が増す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、図8と同一の要素については、同一符号を用いて示す。
図1に本発明に係るカード処理装置の実施形態の正面断面図を示し、図2に図1のX−X線断面図を示す。
図1において、本実施形態のカード処理装置は、カードの搬送面に沿って搬送されるカードを磁気ヘッドに圧接し、厚みの異なる複数種類のカードに対してデータの読取り又は書込み処理を行なうものであり、本体部2と、上部ユニット4と、ロック手段8とを備えて構成する。
【0012】
上記本体部2は、搬送面7の下側に配設されて搬送面7に沿って搬送されるカードの下面を搬送可能に支持するものであり、搬送面7の幅方向の両側にその幅を規制する二つの側壁9A,9Bを備え、該両側壁9A,9Bを搬送面7の上方まで延ばして所定の高さに形成している(図5参照)。そして、上記搬送面7に面して例えば二つの搬送ローラ3A,3Bと、一つの従動ローラ10と、第1の磁気ヘッド11とを図2に矢印A,Bで示すカードの搬送方向に配列し、搬送面7の幅方向の一方側にタイミングベルトからなる搬送用ベルト12を設けている。
【0013】
上記搬送ローラ3Aは、自ら回転駆動してカードを搬送するものであり、図示省略の軸受け部に回転可能に支持された回転軸13Aに固着されて図2に矢印Bで示す搬送方向上流側に配設されている。また、上記回転軸13Aは、その一端部にプーリ(タイミングプーリ)14Aを固着しており、該プーリ14Aを上記搬送面7の幅方向の一方側に配設された搬送ベルト12の歯に噛み合わせて回転するようになっている。
【0014】
また、上記搬送ローラ3Bは、自ら回転駆動してカードを搬送するものであり、図示省略の軸受け部に回転可能に支持された回転軸13Bに固着されて図2に矢印Aで示す搬送方向下流側に配設されている。また、上記回転軸13Bは、その一端部を本体部2の他方の側壁9Bを貫通して外方に突出させ、その先端部にプーリ14Bを設けている。そして、上記プーリ14Bと上記搬送面7の下方に配設された例えばステッピングモータ等のDCモータ15の回転軸15aとの間にベルト16を巻架してDCモータ15の回転力が搬送ローラ3Bに伝達されるようになっている。また、上記回転軸13Bの他端部には、プーリ(タイミングプーリ)14Cを固着しており、上記搬送ベルト12の歯に噛み合って回転するようになっている。これにより、DCモータ15の回転力が搬送ローラ3Bの回転軸13B及び搬送用ベルト12を介して搬送ローラ3Aに伝達される。
【0015】
上記二つの搬送ローラ3A,3Bの間には、第1の磁気ヘッド11が配設されている。この第1の磁気ヘッド11は、複数種類のカードに記録されたデータの読取り処理又はカードにデータを書込み処理するためのものであり、データの読取り又は書きこみ処理をそれぞれ行う各読取書込部17a,17b,17c,17dを、各カードの磁気トラック位置に対応して搬送方向に直交する方向の略同一軸上に一体的に配列している。
【0016】
上記読取書込部17a,17bは、図3に示すようにカード裏面(下面)の略中央部に設けられた二本の磁気トラック18a,18bに対してデータの読取り又は書込み処理をするものであり、例えば駐車カード(磁気カード)6Aのデータ処理用として設けたものである。また、上記読取書込部17c,17dは、図4(a)に示すようにカード裏面の一端部近傍部に設けられた二本の磁気トラック18c,18dに対してデータの読取り処理をするものであり、例えばクレジットカード6Bのデータ処理用として設けたものである。なお、この場合、上記二本の磁気トラック18c,18dには、IS0−IとISO−IIの磁気トラックが対応する。
【0017】
上記第1の磁気ヘッド11と搬送ローラ3Bとの間にて搬送面7の幅方向の他方側には、従動ローラ10が設けられている。この従動ローラ10は、搬送面7を搬送されるカードの移動に従動して回転するものであり、その支持軸19に対して回転自由に支持されている。また、上記支持軸19は、図示省略の軸受け部によって回転可能に支持されており、搬送面7の幅方向の一方側にて搬送用ベルト12に対応した部位に該搬送用ベルト12に噛み合って回転するプーリ(タイミングプーリ)14Dを固着している。これにより、上記DCモータ15の回転力が搬送用ベルト12を介して上記支持軸19に伝達されるようになっている。さらに、上記支持軸19は、一端部を上記本体部2の一方の側壁9Aを貫通して外方に突出させ、その端部にギヤ20Aを設けて、該ギヤ20Aを介して上部ユニット4に設けられた後述の第1及び第2の弾性ローラ21A,21Bに回転力を伝達するようになっている。
【0018】
上記搬送面7の上側には、上部ユニット4が配設されている。この上部ユニット4は、搬送面7に沿って搬送されるカードの上面を搬送可能に支持するものであり、搬送面7の幅方向の一側部に該搬送面7に対して垂直に設けた案内部22に沿って両側壁9A,9B間を上下動可能とされ、その上端部で上記搬送面7の幅方向の一方側に回動して搬送面7の上方を開放可能とするようになっている。
【0019】
具体的には、上部ユニット4は、図5に示すように本体部2の一方の側壁9A側に支持部23を設けており、該支持部23が図1に示すように上記搬送面7の幅を規制する一方の側壁9Aに搬送方向に離間して設けた一対の案内部22にそれぞれ形成された上下方向に延びる図5に示す案内溝24に上下方向にスライド可能に嵌合され、案内溝24の上端部で上記支持部23を中心に回動するように構成している。
【0020】
また、上部ユニット4には、図1に示すように、上記搬送面7に面して例えば三つの押圧ローラ1A,1B,1Cと、第2の磁気ヘッド25と、図6に示すように第1及び第2の弾性ローラ21A,21Bとを図2に矢印A,Bで示すカードの搬送方向に配列して厚みが厚く形成されている。
【0021】
ここで、図1に示すように、上記上部ユニット4が案内部22の下端部に位置付けられた状態において、上記本体部2の二つの搬送ローラ3A,3Bと対向する位置には、それぞれ押圧ローラ1A,1Bが配設されている。この押圧ローラ1A,1Bは、搬送面7を搬送されるカードの上面を押圧して搬送ローラ3A,3Bによるカードの搬送が安定して行なわれるようにするものであり、図示省略の軸受け部に回転可能に支持された回転軸13C,13Dが例えば図示省略の固定部に一端部を固定した押圧ばね26Aによって押圧されて搬送面7側に付勢されている。
【0022】
また、上記上部ユニット4が案内部22の下端部に位置付けられた状態において、本体部2の第1の磁気ヘッド11に対応する位置には、図示省略の軸受け部に回転可能に支持された回転軸13Eに固着されて押圧ローラ1Cが配設されている。この押圧ローラ1Cは、搬送面7を搬送されるカードの上面を押圧してカードを第1の磁気ヘッド11面に圧接し、第1の磁気ヘッド11によるデータの読取り及び書込み処理が適切に行なわれるようにするものであり、例えば押圧ばね26Bによって搬送面7側に付勢されている。
【0023】
さらに、上記上部ユニット4が案内部22の下端部に位置付けられた状態において、本体部2の従動ローラ10に対向する位置には、第2の磁気ヘッド25が設けられている。この第2の磁気ヘッド25は、図4(b)に示すクレジットカード6Bの表面(上面)に設けられたJIS−IIトラック18eに相当する部分にデータの書込み及び読取りを可能とするもので、例えば読取り及び書込み兼用の磁気トラック17e(図6(a)参照)を備えたコンビネーションヘッドであり、押圧ばね26Cによって搬送面7側に付勢され従動ローラ10に圧接している。これにより、例えば駐車場のサービス券に駐車場のコードや有効期限等のデータを記録して発券したり、使用済みのサービス券に例えば連続した“1”の数字を記録して廃券処理をすることができようになっている。
【0024】
また、上記上部ユニット4が案内部22の下端部に位置付けられた状態において、図6(a)に示すように、上記第1の磁気ヘッド11の配設位置にて搬送用ベルト12に対向する位置には、図示省略の軸受け部に回転可能に支持された回転軸13Fに固着されて第1の弾性ローラ21Aが設けられている。この第1の弾性ローラ21Aは、厚みの異なるカードが第1の磁気ヘッド11部分を安定走行できるようにするものであり、カードの接触面に弾性力を有し摩擦係数の高い弾性部材27、例えば発泡ウレタンを設けて押圧ばね26Dによって搬送用ベルト12側に付勢されている。これにより、各種カードの厚みの変化や、図4(b)に示すクレジットカード6Bの表面に設けられたエンボス部34の凹凸を弾性部材27で吸収し、厚みの異なる又は表面にエンボス部34を有する各種カードの搬送を安定且つ容易にしている。
【0025】
さらに、上記上部ユニット4が案内部22の下端部に位置付けられた状態において、図6(a)に示すように、第2の磁気ヘッド25の配設位置にて上記搬送用ベルト12に対向する位置には、図示省略の軸受け部に回転可能に支持された回転軸13Gに固着されて第2の弾性ローラ21Bが設けられている。この第2の弾性ローラ21Bは、厚みの異なるカードが第2の磁気ヘッド25部分を安定走行できるようにするものであり、カードの接触面に弾性力を有し摩擦係数の高い弾性部材27、例えば発泡ウレタンを設けて押圧ばね26Dによって搬送用ベルト12側に付勢されている。これにより、各種カードの厚みの変化や、図4(b)に示すクレジットカード6Bの表面に設けられたエンボス部34の凹凸を弾性部材27で吸収し、厚みの異なる又は表面にエンボス部34を有する各種カードの搬送を安定且つ容易にしている。
【0026】
そして、図6(b)に示すように、上記第1及び第2の弾性ローラ21A,21Bは、各回転軸13F,13Gがベルト28で連結されて、互いに同期して駆動するようになっている。さらに、同図(a)に示すように、第2の弾性ローラ21Bの回転軸13Fの一端部にはギヤ20Bを固着して本体部2側に設けられ従動ローラ10の支持軸19に固着されたギヤ20Aと噛み合い可能となっており、例えばステッピングモータ等のDCモータ15の回転力が搬送用ベルト12、タイミングプーリ14D及び二つのギヤ20A,20Bを介して上記第2の弾性ローラ21Bに、さらにベルト28を介して第1の弾性ローラ21Aに伝達されるようになっている。これにより、上記第1及び第2の弾性ローラ21A,21Bは、搬送用ベルト12と同期して回転し、カードを搬送用ベルト12との間に挟んで第1及び第2の磁気ヘッド11,25部分を安定して搬送することができる。従って、厚みの異なる複数種類のカードに対しても第1及び第2の磁気ヘッド11,25によるデータの読取り及び書込み性能を向上することができる。なお、上記第1及び第2の弾性ローラ21A,21Bの駆動は、ベルト28を介して行なうものに限られず、それぞれギヤを介して搬送用ベルト12から回転力を得て駆動するようにしてもよい。
【0027】
上記上部ユニット4と本体部2とには、図5に示すようにロック手段8が設けられている。このロック手段8は、本体部2に設けた案内部22の下端部で上部ユニット4を本体部2にロックするものであり、上部ユニット4の上面にスライド可能に設けたロック部材29と、本体部2の他方の側壁9Bの外側面に設けたロック用ピン30とを備え、ロック部材29に形成した係止部31のロック用ピン30に対する係止及び係止解除操作により本体部2に上部ユニット4をロック及びロック解除する構成としている。
【0028】
上記ロック部材29は、図7に示すように、上記上部ユニット4の上面に搬送面7に沿って一対設けられ、カードの搬送方向にスライドする基部32と、図5に示すように基部32から搬送面7に平行な面内にて搬送方向と直交する方向に延びて途中で上部ユニット4の側面に沿って折れ曲がった係止片33とからなり、該係止片33の先端部に上記係止部31を設けた構造となっている。そして、図1に示すように、上記上部ユニット4の天板35の裏側に弾性変形するばね部材としての蜜巻きばね36を設けて一端部を上部ユニット4に固定し、他端部を上記基部32に設けた突部材37に固定して、上記蜜巻きばね36により係止部31がロック用ピン30に係止する方向に弾性付勢されている。さらに、上記ロック部材29の基部32の上面には、スライド操作する操作部38を突設しており、ロック部材29の操作が容易な構造となっている。
【0029】
そして、上記本体部2の一方の側壁9Aの側方には、図2に示すように、DCモータ15の駆動制御を行なう制御回路、及び第1及び第2の磁気ヘッド11,25によるカードのデータの読取り及び書込み処理を行なう処理回路等を設けた回路基板39を配設している。
【0030】
なお、図1及び図2において、符号40A,40Bは、アイドルプーリであり、搬送用ベルト12のたわみを防止するものである。また、符号41は、ホッパーであり、未使用の例えば駐車場サービス券を積み重ねて収容しており、サービス券を発券する際に搬送面7に供給するようになっている。
【0031】
次に、本発明のカード処理装置における搬送面7の上方を開放する操作について図5及び図7を参照して説明する。
先ず、図5(a)に示すように、上部ユニット4が案内部22の下端部に位置付けられ、図7に示すように、ロック部材29の係止片33の先端部に設けた係止部31が本体部2の他方の側壁9Bの外側面に設けたロック用ピン30に係止して上部ユニット4が本体部2に固定されている場合に、図7に示す矢印C方向にロック部材29をスライドして上記係止部31のロック用ピン30に対する係止を解除する。
【0032】
次に、図5(b)又は図7に示すように、上部ユニット4を矢印D方向に持ち上げる。このとき、上部ユニット4の支持部23が本体部2の一方の側壁9Aに設けた案内部22の案内溝24に案内されて移動し、上部ユニット4が上昇する。
【0033】
そして、図5(c)に示すように、上記案内部22の上端において上部ユニット4の支持部23を中心に矢印Eで示す一方の側壁9Aの搬送面7側とは反対側に回動する。これにより、搬送面7の上方が開放され、搬送面7の点検や清掃又は搬送面7に詰まったカードを除去することができる。
また、上記搬送面を閉じる場合には、上述の操作とは反対の操作を行なう。
【0034】
このように構成したので、上記実施形態においては、搬送面7の上方を開放する際、上部ユニット4を搬送面7の幅方向の一方側に回動するようにしているので、図5に示すように、上部ユニット4の回動半径rは、搬送面7の幅方向に沿った上部ユニット4の幅寸法に略一致して、回動半径Rが上部ユニットの搬送方向に沿った長さ寸法に略等しい従来技術の場合よりも小さくなる。したがって、装置の上部のオープンスペースを狭くすることができる。
【0035】
また、上記実施形態においては、搬送面7の上方を開放する際、押圧ローラ1A〜1C、弾性ローラ21A,21B及び第2の磁気ヘッド25等を備えて厚みが厚く形成された上部ユニット4と搬送面7の幅を規制する背丈の高い側壁9A,9Bとの干渉を回避することができる。さらに、上記実施形態のように、本体部2に設けた搬送ベルト12の駆動力を上部ユニット4に設けた弾性ローラ21A,21Bに伝達するギヤ20A,20Bを配設した側に上部ユニット4を回動する場合であっても、上記ギヤ20A,20B同士の干渉を回避することができる。
【0036】
なお、上部ユニット4の回動方向は、ギヤ20A,20Bを配設した側に限られず、その反対側であってもよい。
【0037】
また、本発明のカード処理装置は、厚みの異なる各種カードを第1及び第2の磁気ヘッド11,25部分を安定して搬送し、データの読取り又は書込み処理を安定して行なおうとするものである。そこで、以下に、本発明のカード処理装置におけるカードの安定搬送動作について説明する。
【0038】
上記第1の磁気ヘッド11に対向して上部ユニット4に配設された図1に示す押圧ローラ1Cには、厚みの薄いカードも第1の磁気ヘッド11との良好な密着性が得られるように押圧ばね26Bによって他の押圧ローラ1A,1Bよりも強い押圧力が付与されている。この押圧ローラ1Cは、自ら回転するものではなく、第1の磁気ヘッド11部分を通過するカードの搬送力によって回転するものである。従って、カードが第1の磁気ヘッド11と押圧ローラ1Cとの間に差し込まれるまでは、押圧ローラ1Cは負荷となりカードの搬送の妨げとなる。特に、厚みの厚いカードに対しては、より大きな負荷となる。それ故、このままでは、厚みの異なる各種カードは、第1の磁気ヘッド11部分を安定して走行することができない。
【0039】
しかしながら、本発明のカード処理装置は、図6に示すように、第1の磁気ヘッド11の配設位置にて搬送ベルト12に対応した上部ユニット4の位置に、カードとの接触面に弾性部材27を設け、二つのギヤ20A,20B、第2の弾性ローラ21B及びベルト28を介して搬送ベルト12から駆動力を得て搬送ベルト12と同期して駆動する第1の弾性ローラ21Aを配設し、押圧ばね26Dの押圧力によって押圧して搬送用ベルト12に密接させている。
【0040】
従って、カードの搬送力が高まり、カードは第1の弾性ローラ21Aと搬送用ベルト12に挟まれて第1の磁気ヘッド11部分を強制的に搬送される。特に、第1の弾性ローラ21Aの弾性部材27が弾性変形してカードの厚みの変化を吸収するため、厚みの異なる各種カードやクレジットカード6Bのエンボス部34(図4(b)参照)を安定して搬送することが可能となる。これにより、第1の磁気ヘッド11の磁気トラック17a,17bで例えば厚みの薄い駐車カード裏面の磁気トラック18a,18bに対するデータの読取り及び書込み処理、又は磁気トラック17c,17dで例えば厚みの厚いクレジットカード裏面のISO−I及びISO−IIの磁気トラック18c,18dに対するデータの読取り処理を安定して行なうことができる。
【0041】
なお、搬送用ベルト12の駆動力は、DCモータ15とベルト16で連結された搬送ローラ3B及び該搬送ローラ3Bの回転軸13Bの一端部に取り付けられたプーリ14Cを介してDCモータ15から得られる。
【0042】
第1の磁気ヘッド11部分を通過したカードは、第2の磁気ヘッド25部分に達する。ここで、第2の磁気ヘッド25は、図1に示すように、押圧ばね26Cにより搬送面7側に付勢されて本体部2に設けた従動ローラ10に密接されている。従って、上述と同様ように、第2の磁気ヘッド25と従動ローラ10とがカードを搬送する際の負荷となる。
【0043】
しかし、図6に示すように、第2の磁気ヘッド25の配設位置にて搬送ベルト12に対応した上部ユニット4の位置に、カードとの接触面に弾性部材27を設け、二つのギヤ20A,20Bを介して搬送ベルト12から駆動力を得て搬送ベルト12と同期して駆動する第2の弾性ローラ21Bを配設し、押圧ばね26Dの押圧力によって押圧して搬送用ベルト12に密接させている。従って、カードの搬送力が高まり、カードは第2の弾性ローラ21Bと搬送用ベルト12とに挟まれて第2の磁気ヘッド25部分を強制的に搬送される。この場合も、第2の弾性ローラ21Bの弾性部材27が弾性変形してカードの厚みの変化を吸収するため、厚みの異なる各種カードを安定して搬送することが可能となる。
【0044】
従って、第2の磁気ヘッド25の磁気トラック17eで例えば厚みの厚いクレジットカード6B表面のJIS−IIの磁気トラック18eに対してデータの読取り処理を安定して行うことができる。また、上述したように、カードを第2の磁気ヘッド25部分を安定搬送可能としたことにより、第2の磁気ヘッド25でカードに対してデータの書込み処理も行なうことができる。従って、例えば厚みの薄い駐車場のサービス券に対してその表面(上面)のJIS−IIトラックに対応して設けられた磁気トラックに例えば“1”を連続して記録して廃券処理をしたり、例えば駐車場のコードや有効期限等のデータを記録して発券処理を行なうことができる。
【0045】
この場合、例えば発券処理は、次のように行なわれる。即ち、図2に示すホッパー41から搬送面7に供給された未使用カードが矢印B方向に搬送される際に第2の磁気ヘッド25で所定のデータが書き込まれる。次に、搬送方向が反転されてカードが矢印Aで示すホッパー41側に戻される際に第2の磁気ヘッド25で上記書き込まれたデータが読取られてデータの書込みが正しく実行されていることを確認する。その後、再び搬送方向が反転され、カードが矢印B方向に搬送されて発券される。なお、上記データの書込み及び読取り時のカードの搬送方向は、上述した方向に限られず、矢印A,Bのいずれかの方向に搬送される際に実行するとよい。
【0046】
上記実施形態においては、第2の磁気ヘッド25がコンビネーションヘッドの場合について説明したがこれに限られず、第2の磁気ヘッド25は、書込部と読取部を個別に設けたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明によるカード処理装置の実施の形態を示す正面断面図である。
【図2】図1のX−X線断面図である。
【図3】上記カード処理装置に適用される駐車カードの磁気トラックの例を示す平面図である。
【図4】上記カード処理装置に適用されるクレジットカードの磁気トラックを示す平面図であり、(a)は裏面を示し、(b)は表面を示す。
【図5】上記カード処理装置における上部ユニットの開閉構造及びその動作を説明する部分断面左側面図である。
【図6】上記カード処理装置における搬送用ベルトから第1及び第2の弾性ローラへの駆動力の伝達機構を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のY−Y線断面図である。
【図7】上記カード処理装置におけるロック手段、及びそのロック解除動作を説明する正面図である。
【図8】従来のカード処理装置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0048】
2…本体部
4…上部ユニット
7…搬送面
8…ロック手段
11…第1の磁気ヘッド
12…搬送ベルト
21A,21B…弾性ローラ
22…案内部
25…第2の磁気ヘッド
27…弾性部材
29…ロック部材
30…ロック用ピン
31…係止部
32…基部
33…係止片
38…操作部
36…蜜巻きばね(ばね部材)
39…回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードの搬送面に沿って搬送されるカードを磁気ヘッドに圧接し、前記カードに対してデータの読取り又は書込み処理を行なうと共に、カードを搬送する搬送ベルトの対向位置にカードとの接触面に弾性部材を有した弾性ローラを前記搬送ベルトと同期して回転可能に備えたカード処理装置であって、
前記搬送面の下側に配設され、前記搬送面に沿って前記搬送ベルトを設けて前記カードを搬送可能にした本体部と、
前記搬送面の上側に配設され、前記弾性ローラと前記カードを前記磁気ヘッドに圧接する押圧ローラとを設け、前記搬送面の幅方向の一側方に該搬送面に対して垂直に設けた案内部に沿って上下動可能とされ、前記案内部の上端部で前記搬送面の幅方向の一方側に回動して搬送面上方を開放可能とした上部ユニットと、
前記案内部の下端部で前記上部ユニットを前記本体部にロックするロック手段と、
を備える構成としたことを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
前記ロック手段は、前記上部ユニットにスライド可能に設けたロック部材と、前記本体部側に設けたロック用ピンとを備え、前記ロック部材に形成した係止部の前記ロック用ピンに対する係止及び係止解除操作により前記本体部に上部ユニットをロック及びロック解除する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項3】
前記ロック部材は、前記上部ユニットの上面に搬送面に沿って一対設けられ、前記カードの搬送方向にスライドする基部と、該基部から前記搬送面に平行な面内にてカードの搬送方向と直交する方向に延び、前記上部ユニットの側面に沿って折れ曲がった係止片とからなり、該係止片の先端部に前記係止部を設けたことを特徴とする請求項2に記載のカード処理装置。
【請求項4】
前記ロック部材の基部の上面には、スライド操作する操作部を突設したことを特徴とする請求項3に記載のカード処理装置。
【請求項5】
前記ロック部材は、ばね部材により前記係止部が前記ロック用ピンに係止する方向に弾性付勢されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載のカード処理装置。
【請求項6】
前記搬送面の幅方向の一方側にて前記案内部の側方には、前記カードに対するデータの読取り又は書込み処理を行なう処理回路を設けた回路基板を垂設したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のカード処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate