説明

カード処理装置

【課題】サーマルヘッドの使用期限を適正に判断することができ、記録の不具合を確実に解消することのできるカード処理装置を提供する。
【解決手段】カード5に記録された所定の情報を読み取るとともに、読み取った際の誤り訂正未使用率を判断するカード読み取り部9と、カード読み取り部9から送られる誤り訂正未使用率が一定値以下となったか否かを判断するカード処理制御部4と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカード処理装置に係り、特に、例えば、駐車場の発券装置などに好適であり、所定の情報の記録の不具合を防止することを可能としたカード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、時間貸しの駐車場においては、駐車場利用者に対して駐車券を発行するようにしており、この駐車券としては、従来、一面に磁気記録面を有し、この磁気記録面に所定の情報を記録するようにしてなる磁気式の駐車券がある。
この磁気式の駐車券は、簡単に複製しにくく、変形などに対してある程度の耐性があり、駐車場の提携店舗による駐車料金の割引処理などの追記が可能であるといった理由から従来から多く用いられている。
【0003】
しかし、近年、磁気式の駐車券より安価で、環境面にも配慮した駐車券が求められてきている。そこで、例えば、感熱紙などの紙媒体からなる駐車券に、サーマルヘッドを用いて入場時刻などの所定の情報を記録することが行われている。
【0004】
この場合に、サーマルヘッドを長期間使用していると、サーマルヘッドの発熱体が欠けたりして、駐車券の記録にかすれやドット抜けなどの不具合が生じることがある。そして、サーマルヘッドの記録に著しい不具合が生じると、記録されている情報を読み取ることができなくなり、駐車料金の割引サービスが適用されなかったり、精算できなくなったりするなどの精算処理不具合が発生するおそれがあるという問題を有している。
【0005】
そのため、従来から、例えば、券発行機に、記録の不具合情報に基づいて、情報を印字する位置を記録不具合位置を避けた位置に設定する印字位置設定部を設け、サーマルヘッドによるドット抜けなどによる不具合を防止するようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−245211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載の発明によれば、サーマルヘッドによる記録の不具合はある程度解消されるものの、サーマルヘッドのドット抜けなどはそのままの状態で記録を続けるものであるため、いずれサーマルヘッドの不具合により記録不能という事態を招くことになってしまうという問題を有している。そのため、サーマルヘッドの使用限界を適正に判断して、適切な時期に保守点検を行うことができることが要望されている。
【0008】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、サーマルヘッドの使用期限を適正に判断することができ、記録の不具合を確実に解消することのできるカード処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために請求項1の発明に係るカード処理装置は、カードに記録された所定の情報を読み取るとともに、読み取った際の誤り訂正未使用率を判断するカード読み取り部と、
前記カード読み取り部から送られる前記誤り訂正未使用率が一定値以下となったか否かを判断するカード処理制御部と、
を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記カード処理制御部は、前記カード読み取り部から送られる前記誤り訂正未使用率を蓄積し、複数回分の前記誤り訂正未使用率の平均値が一定値以下となったか否かを判断するものであることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2において、前記カード処理制御部により、前記誤り訂正未使用率が一定値以下になったと判断したときにその情報を出力する出力部をさらに備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項において、前記カードに所定の情報を記録するサーマルヘッドをさらに備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、カードに記録された所定の情報を読み取るとともに、読み取った際の誤り訂正未使用率を判断するカード読み取り部と、
前記カード読み取り部の制御を行うとともに、前記カード読み取り部から送られる前記誤り訂正未使用率を受け取るカード処理制御部と、
前記カード処理制御部から送られる前記誤り訂正未使用率が一定値以下となったか否かを判断する上位制御部と、
を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項5において、前記上位制御部は、前記カード処理制御部から送られる前記誤り訂正未使用率を蓄積し、複数回分の前記誤り訂正未使用率の平均値が一定値以下となったか否かを判断するものであることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項5または請求項6において、前記カード処理部により、前記誤り訂正未使用率が一定値以下になったと判断したときにその情報を出力する出力部をさらに備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項5から請求項7のいずれか一項において、前記カードに所定の情報を記録するサーマルヘッドをさらに備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、カード処理制御部により、カード読み取り部による誤り訂正未使用率が一定値以下となったか否かを判断するようにしているので、誤り訂正未使用率が一定値以下になったと判断した場合に、カードへの情報の記録装置が使用期限になったものと判断することができ、記録装置の使用期限を適正に判断することができ、記録の不具合を確実に解消することができる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、カード処理制御部により、カード読み取り部から送られる誤り訂正未使用率を蓄積し、複数回分の誤り訂正未使用率の平均値が一定値以下となったか否かを判断するようにしているので、複数回分の誤り訂正未使用率が一定値以下となったと判断した場合に、カードへの情報の記録装置が使用期限になったものと判断することができ、より正確に記録装置の使用期限を適正に判断することが可能となる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、カード処理制御部により、誤り訂正未使用率が一定値以下になったと判断したときにその情報を出力する出力部を備えているので、出力部により、記録装置が使用期限になったことを知らせることができる。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、カードに所定の情報を記録するサーマルヘッドをさらに備えているので、カード処理制御部により誤り訂正未使用率が一定値以下になったと判断した場合に、サーマルヘッドが使用期限になったことを判断することができ、サーマルヘッドの使用期限を適正に判断することができる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、カード処理制御部から上位制御部に、カード読み取り部による誤り訂正未使用率を送り、上位制御部により誤り訂正未使用率が一定値以下となったか否かを判断するようにしているので、誤り訂正未使用率が一定値以下になったと判断した場合に、カードへの情報の記録装置が使用期限になったものと判断することができ、記録装置の使用期限を適正に判断することができ、記録の不具合を確実に解消することができる。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、上位制御部によりカード処理制御部から送られる前記誤り訂正未使用率を蓄積し、複数回分の誤り訂正未使用率の平均値が一定値以下となったか否かを判断するようにしているので、複数回分の誤り訂正未使用率が一定値以下となったと判断した場合に、カードへの情報の記録装置が使用期限になったものと判断することができ、より正確に記録装置の使用期限を適正に判断することが可能となる。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、カード処理制御部により、誤り訂正未使用率が一定値以下になったと判断したときにその情報を出力する出力部を備えているので、出力部により、記録装置が使用期限になったことを知らせることができる。
【0024】
請求項8に係る発明によれば、カードに所定の情報を記録するサーマルヘッドをさらに備えているので、上位制御部により誤り訂正未使用率が一定値以下になったと判断した場合に、サーマルヘッドが使用期限になったことを判断することができ、サーマルヘッドの使用期限を適正に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るカード処理装置を発券装置に適用した場合の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係るカード処理装置の実施形態における正常な二次元コードが記録されたカードを示す説明図である。
【図3】本発明に係るカード処理装置の実施形態におけるドット抜けが生じた二次元コードが記録されたカードを示す説明図である。
【図4】本発明に係るカード処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、本発明に係るカード処理装置の実施形態を示す概略構成図であり、本実施形態においては、本発明に係るカード処理装置を駐車場の発券装置に適用した場合の例を示している。
【0028】
本実施形態においては、発券装置1は、発券装置1の各部署を総括的に制御する上位制御部としての制御部2を備えている。また、カード処理装置3は、カード処理装置3の各部署を制御するカード処理制御部4を備えており、このカード処理制御部4には、駐車券などのカード5を搬送駆動するための搬送駆動部6が接続されており、搬送駆動部6により、カード処理装置3に設けられた搬送ローラ(図示せず)などの駆動を制御するように構成されている。
【0029】
また、カード処理制御部4には、サーマルヘッド7が接続されており、カード処理制御部4により、サーマルヘッド7によるカード5への情報の記録を行うように構成されている。なお、このカード5は、サーマルヘッド7により記録が可能な感熱紙により構成されるものである。カード5が駐車券の場合、例えば、駐車場を識別するコード、発券番号、入場日時および当該駐車券発行機の識別番号などで構成される情報を二次元コード8として記録するように構成されている。この二次元コード8としては、例えば、「QRコード」(JISX0510)がある。ただし、入場情報などを記録するために十分な容量が確保できるのであれば、他の規格の二次元コード8や、一次元のいわゆるバーコードを用いてもよい。さらに、文字認識技術を用いることで、暗号化した状態で目視可能な文字そのものを機械読取りに利用するようにしてもよい。
【0030】
また、カード処理装置3は、サーマルヘッド7により記録された二次元コード8の確認読み取りを行うカード読み取り部9を備えている。カード読み取り部9は、例えば、CCDカメラなどにより構成されており、カード読み取り部9によりカード5に記録された二次元コード8を読み取り、この二次元コード8が、サーマルヘッド7により正常に記録されたか否かを判断するように構成されている。すなわち、図2に示すように、サーマルヘッド7により二次元コード8が正常に記録された場合は問題ないが、例えば、サーマルヘッド7の発熱ドット抜けなどが発生すると、図3に示すように、二次元コード8に情報が記録されない箇所が発生する。このように二次元コード8の記録が完全に行われない場合には、カード読み取り部9により、情報を修復する誤り訂正処理を行うことができるようになっている。そして、カード読み取り部9は、誤り訂正処理を行った場合に、誤り訂正未使用率を判断することができるように構成されており、この誤り訂正未使用率は、カード読み取り部9からカード処理制御部4に出力するように構成されている。例えば、この誤り訂正未使用率が100%であれば、修復の必要がなかったことを意味しており、100%から誤り訂正未使用率が低下するにしたがって、情報の修復が困難になってくるものであり、誤り訂正未使用率が0%になると、情報の修復が不可能であることを意味している。
【0031】
また、本実施形態においては、カード処理制御部4は、カード読み取り部9から送られる誤り訂正未使用率を逐次記録しておき、例えば、10回分の誤り訂正未使用率の平均値を求めるように構成されている。なお、誤り訂正未使用率の平均値を求めるための回数は、カード処理装置3の使用頻度に応じて適宜設定することができるものである。そして、カード処理制御部4は、この誤り訂正未使用率の平均値が一定値以下となったか否かを判断するように構成されている。
【0032】
なお、本実施形態においては、複数回の誤り訂正未使用率の平均値が一定値以下となったか否かを判断するようにしているが、平均値を求めず、カード読み取り部9から送られる1回ごとの誤り訂正未使用率が一定値以下となったか否かを判断するようにしてもよい。ただし、この場合、カード読み取り部9の誤動作により、本来、誤り訂正未使用率が高いにもかかわらず、誤って低い誤り訂正未使用率を出力してしまうことがあるので、誤り訂正未使用率の複数回の平均値を求めた方がより正確な判断が可能となる。
【0033】
また、発券装置1は、カード処理制御部4が誤り訂正未使用率の平均値が一定値以下となった場合に、その旨を報知する出力部としての報知部10を備えており、報知部10は、例えば、発券装置1に設けられた表示部に表示させることにより報知するようにしてもよいし、音声などにより報知するようにしてもよい。なお、本実施形態においては、報知部10をカード処理装置3に設けるようにしているが、例えば、このカード処理装置3を制御する上位の装置に報知部10を設けるようにしてもよい。また、報知部10をネット回線などに接続した中央管理装置などに設けてもよい。
【0034】
さらに、サーマルヘッド7の特性から、使用回数と誤り訂正未使用率の低下との関係をあらかじめ測定あるいは算出しておくことにより、カード処理制御部4により、サーマルヘッド7があと何回使用可能であるか、あるいはあとどのくらいの期間使用可能であるかを判断するようにしてもよい。この場合には、報知部10により、残り使用回数や残り使用可能期間を報知させるようにしてもよい。
【0035】
次に、本実施形態の作用について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0036】
まず、駐車場に車両が入庫して駐車券であるカード5の発行要求があったら(ST1)、カード処理制御部4によりサーマルヘッド7を動作させて、カード5に、必要な情報の二次元コード8を記録する(ST2)。このカード5に記録された二次元コード8は、カード読み取り部9により読み取られ(ST3)、読み取った情報をカード処理制御部4に送るとともに、誤り訂正未使用率をカード処理制御部4に送る(ST4)。
【0037】
カード処理制御部4は、誤り訂正未使用率を記憶し、10回分の誤り訂正未使用率が送られたか否か判断し(ST5)、10回分の誤り訂正未使用率が送られたら、その誤り訂正未使用率の平均値を求める(ST6)。カード処理制御部4により、誤り訂正未使用率の平均値が一定値以下になったか否か判断し、誤り訂正未使用率の平均値が一定値以下になったと判断した場合には(ST7:YES)、報知部10によりその旨報知するようになっている(ST8)。また、誤り訂正未使用率の平均値が一定値以下になっていない場合には(ST7:NO)、カード処理制御部4は、通常の処理を行う。
【0038】
以上述べたように本実施形態においては、カード読み取り部9による誤り訂正未使用率の平均値が一定値以下になった場合に、サーマルヘッド7が使用期限になったものと判断し、その旨報知部10により報知するようにしているので、サーマルヘッド7の使用期限を適正に判断することができ、記録の不具合を確実に解消することができる。
【0039】
なお、前記実施形態においては、カード処理制御部4により誤り訂正未使用率の平均値を求めるとともに、この誤り訂正未使用率の平均値が一定値以下となったか否かを判断するようにしたが、カード処理制御部4から制御部2に誤り訂正未使用率を送り、制御部2により、誤り訂正未使用率の平均値を求めるとともに、この誤り訂正未使用率の平均値が一定値以下となったか否かを判断するようにしてもよい。
【0040】
また、前記実施形態においては、カード処理装置3を駐車場の発券装置1に適用した場合について説明したが、駐車場の料金精算機や、鉄道等の乗車券の発券装置および料金精算機などにも適用することが可能である。また、本発明のカード処理装置を料金精算機に適用する場合には、サーマルヘッドを省略するようにしてもよい。すなわち、料金精算機では、発券装置で発券されたカードの読み取りのみを行うようにしてもよい。
【0041】
また、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 発券装置
2 制御部
3 カード処理装置
4 カード処理制御部
5 カード
6 搬送駆動部
7 サーマルヘッド
8 二次元コード
9 カード読み取り部
10 報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに記録された所定の情報を読み取るとともに、読み取った際の誤り訂正未使用率を判断するカード読み取り部と、
前記カード読み取り部から送られる前記誤り訂正未使用率が一定値以下となったか否かを判断するカード処理制御部と、
を備えていることを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
前記カード処理制御部は、前記カード読み取り部から送られる前記誤り訂正未使用率を蓄積し、複数回分の前記誤り訂正未使用率の平均値が一定値以下となったか否かを判断するものであることを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項3】
前記カード処理部により、前記誤り訂正未使用率が一定値以下になったと判断したときにその情報を出力する出力部をさらに備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカード処理装置。
【請求項4】
前記カードに所定の情報を記録するサーマルヘッドをさらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカード処理装置。
【請求項5】
カードに記録された所定の情報を読み取るとともに、読み取った際の誤り訂正未使用率を判断するカード読み取り部と、
前記カード読み取り部の制御を行うとともに、前記カード読み取り部から送られる前記誤り訂正未使用率を受け取るカード処理制御部と、
前記カード処理制御部から送られる前記誤り訂正未使用率が一定値以下となったか否かを判断する上位制御部と、
を備えていることを特徴とするカード処理装置。
【請求項6】
前記上位制御部は、前記カード処理制御部から送られる前記誤り訂正未使用率を蓄積し、複数回分の前記誤り訂正未使用率の平均値が一定値以下となったか否かを判断するものであることを特徴とする請求項5に記載のカード処理装置。
【請求項7】
前記カード処理部により、前記誤り訂正未使用率が一定値以下になったと判断したときにその情報を出力する出力部をさらに備えていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のカード処理装置。
【請求項8】
前記カードに所定の情報を記録するサーマルヘッドをさらに備えていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか一項に記載のカード処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−186778(P2011−186778A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51349(P2010−51349)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】