説明

カード収納装置

【課題】製造が容易で、コストの低廉化を図り得、経年劣化を少なくできるようにする。
【解決手段】ロック部材11を、カードコネクタ8側の信号端子と電子カード9側の信号端子との接触が保持される接触保持距離範囲βにおいて電子カード9の抜脱を阻止するロック位置と、該ロック位置から退避するロック解除位置との間で移動可能に設け、カード認識スイッチ10が電子カード9の挿入完了を検知し且つロック認識スイッチ12がロック部材11の前記ロック位置への移動を検知したことを条件に電子カード9へのアクセスを開始し、ロック認識スイッチ12が前記検知状態から非検知となったことを条件に電子カード9へのアクセスを停止する制御マイコン14を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カードを挿入し該電子カードの収納状態をロック及びロック解除する機能を備えたカード収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば自動車においては、ドライブレコーダーを備え、走行時の記録、特には車載カメラで撮像したデータを当該ドライブレコーダーに記憶することが行われている。このドライブレコーダーには、カード収納装置に収納した電子カードに前記データを書き込むようにしている。
【0003】
上記カード収納装置としては、特許文献1に示される技術がある。このものでは、筐体の前面パネルにカード挿入口を備え、このカード挿入口の奥部にカードコネクタ(カードスロット)を備えている。そしてこの前面パネルを回動式の蓋で開閉できるようにし、且つ、この蓋を閉じた状態でスライドできるようにしている。そして、このスライドによりこの蓋が開放方向に開かないようにロックする構成としている。このロックされた蓋で、前記カードコネクタに収納された電子カードの抜けを防止(ロック)するロック手段を備えている。特に、ドライブレコーダーにおいては、自動車事故時などに電子カードが抜け方向に移動すると、データ転送処理が正常に終了しないうちに、電子カードとカードコネクタとの電気的接続が切断されてしまうため、上述のロック手段は極めて重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−227510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カードコネクタ及びロック部材を備えたカード収納装置の一般的構成を図9に示す。この図9に示すように、カードコネクタ81は、カード認識スイッチ82を備えており、このカードコネクタ81の手前側には、挿入された電子カード83が、抜け方向に移動することがないようにロック部材84を移動可能に設けている。
【0006】
上記カードコネクタ81は、電子カード83が備えた接続端子(図示せず)と接続する接続端子(図示せず、該接続端子に導通する外部接続端子は符号81aを付して図示している)を備えており、夫々の接続端子には、電源用端子、信号端子が含まれる。
【0007】
上記カード認識スイッチ82は、カードコネクタ81の接続端子の電源用端子及び信号端子が確実に電子カード側の接続端子と接続したことを検知するためのものであり、カードコネクタ81では、電子カード83が挿入完了位置(図9で符号Kで示す位置)から距離αを保証距離(カードコネクタ81側の接続端子と電子カード83側の接続端子が確実に接続する距離)としている。この保証距離αは、カードコネクタのメーカーにより規定されている。この保証距離α内では電子カード83が移動しても上述の端子接続関係は確実に正常状態にあるというものである。
【0008】
このような事情を考慮して、従来のカード収納装置では、ロック部材84を上記保証距離α内に位置できるように製作するが、上記保証距離αは極めて短い距離であり、高い製作精度及び組み立て精度が必要である。しかも実際には、部品公差や組み立て公差が累積することも考慮すると、電子カード83をこの保証距離α内に収めつつデータ転送を継続するには、電子カード押さえ用のばねやゴム等が必要であった。この場合、ばね力設定やゴム選定が難しく、又、経年劣化もあって信頼性に乏しい。総じて、ロック部材84によるロック機構の製作及び組み立てに精度を要すると共に構成も複雑となり、経年的劣化を惹起したり、コスト高を来たす問題があった。
【0009】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造が容易で、コストの低廉化を図り得、経年劣化を少なくできるカード収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は次の点に着目してなされたものである。カードコネクタにおける保証距離は、通常は高い安全率をもって設定している。通常は、電子カードが抜かれる場合、前記保証距離脱出、カード認識手段オフ、信号端子断路、電源端子断路の順になる。つまり、カードコネクタ側の接続端子のうちの信号端子と電子カード側の接続端子のうちの信号端子とは上記保証距離範囲よりも若干長い距離範囲(以下、接触保持距離範囲と称する(図1、図8では便宜上符号βで示す))において接触状態にある。
【0011】
そこで、ロック部材が、前記接触保持距離範囲において電子カードをロックできるようにすれば、製造精度をゆるくでき、電子カード押さえ用のばねやゴム等を必要とせず、電子カードが振動などにより抜脱方向へ動いたとしても、カードコネクタ側の信号端子と電子カード側の信号端子との接続を保持した状態で、ロック部材によりロックできることになる。
【0012】
この点を考慮した請求項1の発明は、装置本体のカード挿入口奥部に、電子カードが挿入されるカードコネクタを備え、且つ、前記カードコネクタに挿入された電子カードの抜脱を阻止するロック部材を備えたカード収納装置において、前記ロック部材を、前記カードコネクタ側の信号端子と電子カード側の信号端子との接触が保持される接触保持距離範囲において前記電子カードの抜脱を阻止するロック位置と、該ロック位置から退避するロック解除位置との間で移動可能に設けたところに第1の特徴を有する。
【0013】
この第1の特徴構成によれば、前記ロック部材を、前記カードコネクタ側の信号端子と電子カード側の信号端子との接触が保持される接触保持距離範囲で前記電子カードの抜脱を阻止するようにしたから、製造精度をゆるくでき、電子カード押さえ用のばねやゴム等を必要とせず、電子カードが振動などにより抜脱方向へ動いたとしても、カードコネクタ側の信号端子と電子カード側の信号端子との接続を保持した状態で、ロック部材によりロックできる。この結果、製造が容易で、コストの低廉化を図り得、経年劣化を少なくできる。
【0014】
さらに、請求項1の発明は、前記カードコネクタは前記電子カードの挿入完了を検知するカード認識手段を備え、前記ロック部材の前記ロック位置への移動を検知するロック認識手段を設け、前記カード認識手段が前記電子カードの挿入完了を検知し且つ前記ロック認識手段が前記ロック部材の前記ロック位置への移動を検知したことを条件に前記電子カードへのアクセスを開始し、前記ロック認識スイッチが前記検知状態から非検知となったことを条件に前記電子カードへのアクセスを停止する制御手段とを設けたところに第2の特徴を有する。
【0015】
この第2の特徴構成によれば、電子カードが完全挿入され且つロック部材による電子カード抜脱阻止(ロック)がなされてから電子カードへのアクセスが開始されるようになり、確実に電子カードへのアクセス開始を行うことができる。
【0016】
ここで、前述したように、前記ロック部材が、前記カードコネクタ側の信号端子と電子カード側の信号端子との接触が保持される接触保持距離範囲で前記電子カードの抜脱を阻止する構成であると、振動等によって電子カードがロック部材まで動いたとしても、前記カードコネクタ側の信号端子と電子カード側の信号端子との接触が保持されるから、制御手段から電子カードへのアクセスは継続されているが、カード認識手段が電子カードの完全挿入検知から非検知に変化することがある。この非検知に基づいて電子カードへのアクセスを停止するようにすると、アクセスが途中切断されることになってしまう。
【0017】
この点、上述した第2の特徴構成によれば、前記ロック認識スイッチが前記検知状態から非検知となったことを条件に前記電子カードへのアクセスを停止するようにしたから、つまり、カード認識手段が非検知となったとしても、前記ロック認識スイッチが非検知とならない限りは、前記アクセスは停止しないから、アクセスが途中中断されることを確実に防止することができる。このような制御を行うことで、ロック部材のロック位置を前記接触保持距離範囲内に設定しても、前記アクセス停止を正常に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明をドライブレコーダーのカード収納装置に適用した一実施形態を示し、カードコネクタ、電子カード及びロック部材部分の概略平面構成と制御マイコンの電気的概略構成とを混在して示す図
【図2】ロック部材がロック位置にあり且つ蓋が開放状態にあるドライブレコーダーの斜視図
【図3】ロック部材がロック解除位置にあり且つ蓋が開放状態にあるカード収納装置部分の斜視図
【図4】ロック部材がロック位置にあり且つ蓋が開放状態にあるドライブレコーダーの縦断側面図
【図5】同じ状態の横断平面図
【図6】同じ状態の破断斜視図
【図7】上部ケースを省略した状態での破断斜視図
【図8】制御マイコンの制御内容を示すフローチャート
【図9】従来例を示すカード収納装置の概略横断平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図2において、電子機器である例えばドライブレコーダー1の左部には、カード収納装置2が設けられている。このドライブレコーダー1は、車両走行時の記録、特には車載カメラで撮像したデータを後述の電子カード9に逐次記憶するものである。なお、このドライブレコーダー1の右部には表示器3や、各種操作スイッチ(複数有るが一つのみ図示)4が設けられている。
【0020】
以下、前記カード収納装置2について説明する。装置本体5は、下部ケース5aと、上部ケース5bとから構成されており、下部ケース5bにはカード収納部6が形成されている。このカード収納部6の前面開口は、上下幅が狭くて横長なカード挿入口6aとされている。
【0021】
カード収納部6の上部には基板7が配設されており、この基板7の左右端部を押さえる形態で前記下部ケース5bが配設されている。
前記カード収納部6には、プッシュ・プッシュ式のカードコネクタ8が配設されており、このカードコネクタ8はカード挿入口6aの奥部に位置する。
【0022】
電子カード9が前記カード挿入口6aから挿入されると、該電子カード9の端子が、カードコネクタ8内の図示しない接続端子に接続され、該カードコネクタ8が備えたロック機構によりロックされる。そして、電子カード9をプッシュすると上記ロックが外れ、図示しないばねにより若干抜脱方向に移動される。
【0023】
前記カードコネクタ8側の信号端子と電子カード9側の信号端子との接触が保持される接触保持距離範囲を図1及び図5に符号βで示している。この接触保持距離範囲βは、カードコネクタ8に電子カード9が正常に挿入完了された位置(この場合、プッシュ・プッシュ式のカードコネクタ8が備えたロック機構によるロック位置)における電子カード9の端部9aを基準とした距離範囲で示している。この接触保持距離範囲はカードコネクタ8の前端8aを基準としても良い。
【0024】
なお、この接続端子に導通する複数の外部接続端子8aを図1に示している。この外部接続端子8aは基板7に実装された後述の制御手段たる制御マイコン14に接続される。
又、前記カードコネクタ8には、図1及び図5に示すように、電子カード9の挿入完了を検知するカード認識手段としてのカード認識スイッチ10が設けられている。このカード認識スイッチ10は、電子カード9がカードコネクタ8に正常に挿入完了されると検知信号として例えばオン信号を発生(出力)するようになっている。
【0025】
このカードコネクタ8においては、電子カード9が挿入されると、接続端子のうち電源端子が先に電子カード9の電源端子に接続され、その後信号端子が電子カード9の信号端子に接続され、さらにその後上記カード認識スイッチ10が電子カード9を検知する構成となっている。
【0026】
前記下部ケース5a及び上部ケース5bには、ロック部材11が横方向(電子カード9の挿入方向と直交する方向)に移動可能に設けられている。すなわち、下部ケース5aには横方向に延びる下ガイド溝部5cが形成され、上部ケース5bには横方向に延びる上ガイド片部5dが形成されている。
【0027】
ロック部材11は、図3に示すように、ロック部11aと、下ガイド片部11bと、上ガイド部11cと、操作部11dと、表示板部11eとを有する。
ロック部11aは、全体としてやや湾曲する外面形状をなす。このロック部11aの下端部と該下端部から左方向へ張り出す部分とに前記下カイド片部11bが形成されている。
前記ロック部11aの上端部には、このロック部11aの上端部と該上端部から左方向へ張り出す部分とにかけて前記上カイド部11cが形成されており、この上ガイド部11cにガイド溝部11fが形成されている。
【0028】
そして、前記上ガイド部11cにおける左部前側に表示板部11e及び操作部11dが形成されている。前記表示板部11eには、左方向への操作がロック操作であることを示す矢印形象部11e´が設けられている。また、前記操作部11dは手前側に縦板状に突出しており、ユーザーがこの操作部11dに手指を掛けてスライド操作できるようになっている。
【0029】
図4に示すように、前記ロック部材11の下ガイド片部11bが前記下部ケース5aの下ガイド溝部5cに移動可能に挿入され、上ガイド部11cのガイド溝部11fが上ガイド片部5dに移動可能に嵌合され、もって、ロック部材11がロック解除位置(後述する)とロック位置(後述する)との間で移動可能に設けられている。
前記ロック部材11のうちロック部11aが前記カード挿入口6aに対して前から対向し得る構成であり、電子カード9の前端部9aに対しては、その一部(右端部)に対向する構成である。
【0030】
前記ロック部材11は、前記カード挿入口6aの横方向に退避したロック解除位置(図3に示す位置)と、該カード挿入口6aに対向するロック位置(図1、図4及び図5に示す位置)との間で、移動可能である。そして、このロック部材11における前記ロック部11aは、前記ロック位置で、前記電子カード9の前端部9aのうち前記ロック解除位置寄りの端部に対向する構成となっている。
【0031】
前記ロック部材11のうちロック部11aは、上記ロック位置において、前記接触保持距離範囲βの範囲内に位置するように設定されている。
前記基板7には、ロック認識手段としてのロック認識スイッチ12が設けられており、このロック認識スイッチ12は、ロック部材11のロック部11aが、カード挿入口6aに対向するロック位置(図1参照)に移動したときにこれを検知(例えばオン信号を発生(出力))するようになっている。
【0032】
又、下部ケース5aには、前記カード挿入口6aの近傍下部に蓋13が回動可能に設けてられている。この蓋13は、基端部に設けたヒンジ部13aに若干の弾性変形が可能な差込片部13bを備え、この差込片部13bが、前記カード挿入口6aの近傍下部に形成された差込穴部6bに差込嵌合されることにより、該蓋13が下部ケース5aにおける前記カード挿入口6aの近傍下部に回動可能に枢支されている。この蓋13の先端部両側には係合爪部13dが形成されており、この係合爪部13dが装置本体5の図示しない係合部に係合されており、蓋13が閉塞操作されると、前記係合爪部13dが図示しない係合部に係合されて閉塞状態を保持するようになっている。なお、蓋13を開放するときには、該蓋13先端部中央の開放用操作部13eを手前側に操作すれば良い。
【0033】
この蓋13の裏面(閉じたとき後面となる面)の右部には、ロック部材移動阻止部13cが形成されている。このロック部材9は、前記カード挿入口6aと前記対向位置にある前記ロック部材11との双方を覆うことが可能である。
【0034】
図1に示す制御マイコン14は前記基板7に実装されており(図面では便宜上ブロックとして示している)、この制御マイコン14には、複数のカード用端子14aが設けられていると共に、汎用端子14bが設けられており、前記カードコネクタ8における信号端子及び電源端子は制御マイコン14の前記カード用端子14aに接続され、カードコネクタ8における前記カード認識スイッチ10の出力端子は前記汎用端子14bに接続されている。
【0035】
前記カード用端子14aは、制御マイコン14が備えたカード用ドライバソフトで取り扱う端子であり、カードコネクタ8に対するアクセス処理の迅速化を可能にしている。そして、前記汎用端子14bは、制御マイコン14が備えた汎用制御のための端子である。
【0036】
この制御マイコン14は、図8に示すようは制御を行う。この制御と、電子カード9挿入及び抜脱の手順とについて説明する。蓋13開放状態で、ユーザーが電子カード9を挿入すると、カードコネクタ8の接続端子のうちの電源端子と電子カード9の電源端子とが初めに接続され、次にカードコネクタ8の信号端子が電子カード9の信号端子に接続され、その後、カード認識スイッチ10が電子カード9の挿入完了を検知(オン信号を発生)する(図3参照)。そして、ユーザーはロック部材11をロック位置にスライド操作する。すると、ロック部11aが前記接触保持距離範囲βに移動し、電子カード9の抜脱を阻止する。又、このスライド操作によりロック認識スイッチ12がロック部材11のロック位置への移動を検知(スイッチオン)する。この後、蓋13を閉塞する。
【0037】
ここで前記制御マイコン14においては、ステップS1に示すようにカード認識スイッチ10がスイッチオンであるか(電子カード9の挿入完了を検知したか)否かを判断し(制御マイコン14のアプリソフトで判断し)、「YES」であると、ステップS2に移行し、ロック認識スイッチ12がスイッチオンであるか(ロック部材11のロック位置への移動を検知したか)否かを判断する(制御マイコン14のドライバソフトで判断する)。そして「YES」となると、電子カード9に対するアクセスを開始する。
【0038】
又、ユーザーが電子カード9を取り出す場合には、蓋13を開放した上で、ロック部材11をロック解除位置にスライド移動させ、その後電子カード9を一旦プッシュしてから取り出す。
【0039】
制御マイコン14は、カード認識スイッチ10のオンオフに関係なく、ロック認識スイッチ12が検知から非検知(オフ)となれば(ステップS4で判断)、アクセスを停止する(ステップS5)。
【0040】
上記構成において、図3の状態では、蓋13が開放され、ロック部材11がロック解除位置にあって、電子カード9をカード挿入口6aからカード収納部6内(従ってカードコネクタ8内)に挿入完了した状態を示している。この状態では、カード認識スイッチ10がスイッチオンしている。
【0041】
この後ロック部材11をユーザーが左方向へ移動操作(スライド操作)すると、ロック部材11のロック部11aが図1、図2、図4〜図7に示すように、電子カード9の前端部9aのうちの右部に対向し、電子カード9が手前方向へ移動(抜脱)することを阻止する。この移動操作中に、ロック認識スイッチ12がオンされてオン信号を発生する。前記制御マイコン14は、前記カード認識スイッチ10が前記電子カード9の挿入完了を検知し且つ前記ロック認識スイッチ12が前記ロック部材11の前記ロック位置への移動を検知したことを条件に前記電子カード9へのアクセスを開始する。この後、蓋13を閉成する。この閉成により、ロック部材移動阻止部13cが前記ロック部11a右端の横すぐ近くに位置し、もって、ロック部材11の右方向への移動(ロック解除方向への移動)が阻止される。
【0042】
電子カード9を取り出す場合には、上述と逆の手順を行えば良い。この場合、制御マイコン14は、前記ロック認識スイッチ12が検知から非検知になったことを条件に前記電子カード9へのアクセスを停止する。
【0043】
ここでいう電子カード9とは、例えば、SD(登録商標)メモリー,メモリースティック(登録商標),マジックゲートメモリースティック(登録商標),メモリースティックDUO(登録商標),マルチメディアカード(登録商標),スマートメディア(登録商標),コンパクトフラッシュ(登録商標)、その他のメモリーカード等の総称として用いている。
【0044】
このような本実施形態によれば、ロック部材11を、カードコネクタ8側の信号端子と電子カード9側の信号端子との接触が保持される接触保持距離範囲βで前記電子カード9の抜脱を阻止するようにしたから、従来の保証距離αといった狭い距離範囲にロック部材のロック部を配置する構成とは異なり、装置の製作精度及び組み立て精度、つまり製造精度をゆるくできる。従って、電子カード押さえ用のばねやゴム等を必要とせず、電子カード9が振動(車両事故等による振動)などにより抜脱方向へ動いたとしても、カードコネクタ8側の信号端子と電子カード9側の信号端子との接続を保持した状態で、ロック部材11により該電子カード9の抜脱を阻止(ロック)できる。この結果、装置の製造が容易で、コストの低廉化を図り得、経年劣化を少なくできる。ちなみに、カードコネクタ8がSDメモリーカード用のカードコネクタである場合、一般的に上記保証距離αはほぼ0.3mm、接触保持距離範囲βは1mmであり、ロック部材の組み立て精度を緩和でき、ひいて装置の製造が容易となる。
【0045】
又、本実施形態によれば、前記カード認識スイッチ10が前記電子カード9の挿入完了を検知し且つ前記ロック認識スイッチ12が前記ロック部材11の前記ロック位置への移動を検知したことを条件に前記電子カード9へのアクセスを開始するようにしたから、電子カード9が完全挿入され且つロック部材11による電子カード抜脱阻止(ロック)がなされてから電子カード9へのアクセスが開始されるようになり、確実に電子カード9へのアクセス開始を行うことができる。
【0046】
さらに、本実施形態によれば、ロック認識スイッチ12が検知から非検知となったことを条件に前記電子カード9へのアクセスを停止するようにしたから、つまり、カード認識スイッチ10が非検知となったとしても、前記ロック認識スイッチ12が非検知とならない限りは、前記アクセスは停止しないから、振動等により、電子カード9が前記接触保持距離範囲βで抜脱方向に動いたとして(この場合ロック部材11により抜脱は阻止されていて、アクセスを停止する必要はない)も、アクセスが途中中断されることを確実に防止することができる。このような制御を行うことで、ロック部材11のロック位置を前記接触保持距離範囲β内に設定しても、前記アクセス停止を正常に行うことができる。
【0047】
特に本実施形態によれば、ロック認識スイッチ12を制御マイコン14のカードドライバソフト用のカード用端子に接続したので、アクセス停止を素早く行うことができる。すなわち、ロックを外さない限りは電子カード9は抜き取れない。従って、ロック部材9のロック解除の検知するロック認識検知スイッチ12の検知状態から非検知への変化をアクセス停止のトリガに使用することは極めて有効である。この場合、電子カード9用のドライバソフトは通常2つの検知スイッチを扱うようにはできていない。この点を考慮して、元々カード認識スイッチ10をカードドライバソフト用のカード用端子に接続していたものを、前記ロック認識スイッチ12に接続したことにより、ドライバソフトの変更なしで、素早いアクセス停止を実現できたのである。
【0048】
なお、上記実施形態ではロック部材11のロック部11aの横幅を電子カード9の横幅より小さくしたが、ロック部11aの横幅は電子カード9の横幅とほぼ同等の大きさとしても良い。又、ロック部材11をスライド移動させる構成としたが、ロック部材11は回動可能としても良い。
【符号の説明】
【0049】
図面中、1は1はドライブレコーダー、2はカード収納装置、5は装置本体、6はカード収納部、6aはカード挿入口、8はカードコネクタ、9は電子カード、10はカード認識スイッチ(カード認識手段)、11はロック部材、11aはロック部、12はロック認識スイッチ(ロック認識手段)、14は制御マイコン(制御手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体のカード挿入口奥部に、電子カードが挿入されるカードコネクタを備え、且つ、前記カードコネクタに挿入された電子カードの抜脱を阻止するロック部材を備えたカード収納装置において、
前記ロック部材を、前記カードコネクタ側の信号端子と電子カード側の信号端子との接触が保持される接触保持距離範囲において前記電子カードの抜脱を阻止するロック位置と、該ロック位置から退避するロック解除位置との間で移動可能に設け、
前記カードコネクタは前記電子カードの挿入完了を検知するカード認識手段を備え、
前記ロック部材の前記ロック位置への移動を検知するロック認識手段を設け、
前記カード認識手段が前記電子カードの挿入完了を検知し且つ前記ロック認識手段が前記ロック部材の前記ロック位置への移動を検知したことを条件に前記電子カードへのアクセスを開始し、前記ロック認識スイッチが前記検知状態から非検知となったことを条件に前記電子カードへのアクセスを停止する制御手段とを設けたことを特徴とするカード収納装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−225289(P2010−225289A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67875(P2009−67875)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】