説明

カード型電子キー

【課題】キー本体の電池収納部を閉じる蓋部と、キー本体に備え付けられるメカニカルキーとを、両方ともキー本体から脱落し難くすることができるカード型電子キーを提供する。
【解決手段】カード型電子キー1は、キー本体10の電池ケース52に収納された電池51を電源として、通信対象との間で無線通信を介したキー照合が可能で、キー本体10には機械的なキー操作によってキー照合を行うメカニカルキー61が収納され、かつキー本体10の外形が板状である。カード型電子キー1は、電池ケース52を閉じる蓋部57を、キー本体10との間の強い係合によってキー本体10に保持する係合凸部57bと、蓋部57とメカニカルキー61の把持部63とが係合することにより、蓋部57が持つ保持力によって、把持部63をキー本体10に保持する係合機構80とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カード型電子キーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両キーとして、車両等の通信対象と無線通信によりキー照合を行って、通信対象に搭載された装置を操作することができるカード型電子キー(例えば、特許文献1参照)が開発されている。カード型電子キーは、小型で薄く、衣類のポケットに入れて持ち運べる利便性がある。カード型電子キーは電波の発信や受信に際して電力を必要とするため、一般的にカード型電子キーには、電源として電池が搭載されている。また、この種の電子キーには、電子キーが電池切れになってもキー操作が実行できるように、エマージェンシーキーとしてメカニカルキーを備え付ける場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−241476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池を備えたこの種のカード型電子キーには、電池を収める電池収納部を閉じる電池カバーが取り付けられる。この電池カバーや前述したメカニカルキーは、各々とキー本体との間に設けられた保持機構によって、キー本体に対する取り付けが保持される。ここで、この種のカード型電子キーには、より一層の薄型化のニーズがある。よって、このような薄型化の要望に沿ってキーを一層小さくすると、部品スペースや部品の配置位置等の関係で、場合によっては電池カバー及びメカニカルキーの一方にのみしか前述の保持機構を設けることができないことが想定される。こうなると、他方のものがキー本体から脱落し易くなってしまうので、何らかの対応策が要望されていた。
【0005】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、キー本体の電池収納部を閉じる蓋部と、キー本体に備え付けられるメカニカルキーとを、両方ともキー本体から脱落し難くすることができるカード型電子キーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、キー本体の電池収納部に収納された電池を電源として、通信対象との間で無線通信を介したキー照合が可能で、該キー本体には機械的なキー操作によってキー照合を行うメカニカルキーが収納され、かつ当該キー本体の外形が板状をなしたカード型電子キーにおいて、前記電池収納部を閉じる蓋部と前記メカニカルキーとの一方を、前記キー本体との間の強い嵌合によって当該キー本体に保持する保持機構と、前記蓋部と前記メカニカルキーの把持部とが係合することにより、これら2者のうち前記保持機構が利いている側が持つ保持力によって、当該2者のうち前記保持機構を持たない側を前記キー本体に保持する係合機構とを備えたことをその要旨としている。
【0007】
この構成によれば、蓋部及びメカニカルキーをキー本体に取り付けた際、これら2者のうち保持機構を持つ側はこの保持機構によってキー本体に強く取り付く状態をとる。また、これら2者のうち保持機構を持たない側は、自身で保持機構を持ってはいないが、2者の間に設けた係合機構によって、保持機構を持つ側と係合状態をとるので、この係合を介した保持機構の保持力によって、キー本体に強く保持される。このため、自らが保持機構を持たない部品であっても、これがキー本体に強く取り付くこととなるので、保持機構を持たない側をキー本体から脱落し難くすることが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカード型電子キーにおいて、前記係合機構は、前記2者を前記キー本体に収納した際のその接触部位において段状に形成された凹凸から構成されることをその要旨としている。
【0009】
この構成によれば、接触部位以外の他の箇所にこの種の係合機構を新たに設ける必要がないので、キー本体のサイズが大型化する懸念が生じ難い。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のカード型電子キーにおいて、前記係合機構は、前記2者のうちの一方に形成された係合突を、前記キー本体の厚さ方向に壁を持つ形状で以て前記2者の他方に形成された係合溝に嵌合することで、前記保持機構を持たない側を前記キー本体に保持することをその要旨としている。
【0010】
この構成によれば、蓋部及びメカニカルキーをキー本体に取り付けた際は、蓋部及びメカニカルキーの一方に形成された係合突が、これら2者の他方に形成された係合溝に嵌合するので、2者の一方が持つ保持機構の保持力によって、保持機構を持たない側の部品がキー本体に支持される。このため、保持機構を持たない部品でも、これがキー本体に強く取り付くこととなり、保持機構を持たない側をキー本体から脱落し難くすることが可能となる。また、本構成の係合機構は、キー本体の厚さ方向に壁を持つ係合溝に係合突が噛み合う係合をとる。よって、もし仮にキー本体にその厚さ方向の外力が加わっても、このときは係合突が係合溝の壁に当接するので、蓋部及びメカニカルキーが互いに厚さ方向に動くことが規制される。このため、蓋部及びメカニカルキーがキー本体の厚さ方向に位置ずれし難くなるので、キー表面に段差を生じ難くすることも可能となる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のカード型電子キーにおいて、前記係合機構は、前記保持機構を持つ側に形成された係止片によって、前記保持機構を持たない側をその抜挿方向の外側から支持することにより、当該保持機構を持たない側を前記キー本体に保持することをその要旨としている。
【0012】
この構成によれば、蓋部及びメカニカルキーをキー本体に取り付けた際、これら2者のうち保持機構を持たない側は、保持機構を持つ側の部品によって外側から保持されるので、保持機構を持たない側を外側から挿し込み側に常時押さえ込むことが可能となる。このため、保持機構を持たない側は非常に強い保持力でキー本体に取り付くことになるので、保持機構を持たない側がキー本体から脱落してしまうことをより一層効果的に防止することが可能となる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のカード型電子キーにおいて、前記係合機構は、前記2者のうちの一方に形成された係合突を、前記キー本体の厚さ方向に壁を持つ形状で以て前記2者の他方に形成された係合溝に嵌合することで、当該保持機構を持たない側を前記キー本体に保持するとともに、前記保持機構を持つ側に形成された係止片によって、前記保持機構を持たない側をその抜挿方向の外側から支持することにより、当該保持機構を持たない側を前記キー本体に保持することをその要旨としている。
【0014】
この構成によれば、蓋部及びメカニカルキーをキー本体に取り付けた際は、蓋部及びメカニカルキーの一方に形成された係合突が、これら2者の他方に形成された係合溝に嵌合するので、2者の一方が持つ保持機構の保持力によって、保持機構を持たない側の部品がキー本体に支持される。このため、保持機構を持たない部品でも、これがキー本体に強く取り付くこととなり、保持機構を持たない側をキー本体から脱落し難くすることが可能となる。また、本構成の係合機構は、キー本体の厚さ方向に壁を持つ係合溝に係合突が噛み合う係合をとる。よって、もし仮にキー本体にその厚さ方向の外力が加わっても、このときは係合突が係合溝の壁に当接するので、蓋部及びメカニカルキーが互いに厚さ方向に動くことが規制される。このため、蓋部及びメカニカルキーがキー本体の厚さ方向に位置ずれし難くなるので、キー表面に段差を生じ難くすることも可能となる。さらに、これら2者のうち保持機構を持たない側は、保持機構を持つ側の部品によって外側から保持されるので、保持機構を持たない側を外側から挿し込み側に常時押さえ込むことが可能となる。このため、保持機構を持たない側は非常に強い保持力でキー本体に取り付くことになるので、保持機構を持たない側がキー本体から脱落してしまうことをより一層効果的に防止することが可能となる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカード型電子キーにおいて、前記キー本体と前記メカニカルキーの間に、当該キー本体への前記メカニカルキーの収納時に該メカニカルキーの側面に当接して該メカニカルキーを前記キー本体に押圧保持するばねを設けることをその要旨としている。
【0016】
この構成によれば、蓋部と把持部とに設けられた係合機構に加えて、メカニカルキーがばねによって押圧保持されるので、メカニカルキーの脱落を防止することができ、強いては蓋部及び把持部がキー本体から脱落することをより確実に防ぐことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、キー本体の電池収納部を閉じる蓋部と、キー本体に備え付けられるメカニカルキーとを、両方ともキー本体から脱落し難くすることができるカード型電子キーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】電子キーシステムの構成を示すブロック図。
【図2】カード型電子キーの全体斜視図。
【図3】カード型電子キーの分解斜視図。
【図4】カード型電子キーの内部構造を示す内面図。
【図5】蓋部とメカニカルキーとの係合機構を示す斜視図。
【図6】(a)蓋部とメカニカルキーとの係合機構を示す上面図、(b)蓋部とメカニカルキーとの係合機構を示す背面図。
【図7】蓋部とメカニカルキーとの係合機構を示す斜視図。
【図8】蓋部とメカニカルキーとの係合機構を示す背面図。
【図9】蓋部とメカニカルキーとの係合機構を示す斜視図。
【図10】蓋部とメカニカルキーとの係合機構を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかるカード型電子キーを電子キーシステムに具体化した一実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
図1に示されるように、車両2には、例えば運転者が実際に車両キーを操作しなくてもドアロックの施解錠やエンジンの始動及び停止等の車両動作を行うことが可能な電子キーシステムが搭載されている。電子キーシステムは、キー固有のIDコードを無線通信で発信可能な電子キー1が車両キーとして使用されている。電子キーシステムは、車両2からIDコード返信要求としてリクエスト信号Srqを発信させ、このリクエスト信号Srqを電子キー1が受信すると、それに応答する形で電子キー1が自身のIDコードを含ませたIDコード信号Sidを狭域無線通信により車両2に返信し、電子キー1のIDコードが車両2のIDコードと一致すると、ドアロックの施解錠やエンジンの始動及び停止が許可又は実行されるシステムである。
【0020】
電子キーシステムを以下に説明すると、車両2には、電子キー1との間で狭域無線通信を行う際にID照合を行う照合ECU(Electronic Control Unit)21と、車両2の電源系を管理するメインボディECU31とが設けられている。照合ECU21には、車両2の各ドアに埋設されて車外にLF(Low Frequency)帯の信号を発信可能な車外LF発信機22と、車内床下等に埋設されて車内にLF帯の無線信号を発信可能な車内LF発信機23と、車内後方の車体等に埋設されてRF(Radio Frequency)帯の無線信号を受信可能なRF受信機24とが接続されている。照合ECU21には、例えばドアロック施解錠等を管理するメインボディECU31が車内LAN(Local Area Network)30を介して接続されている。
【0021】
一方、電子キー1には、車両2との間で電子キーシステムに準じた無線通信を行う際のコントロールユニットとして通信制御部11が設けられている。通信制御部11は、固有のキーコードとしてIDコードが記憶された11aを備えている。通信制御部11には、外部で発信されたLF帯の信号を受信可能なLF受信部12と、通信制御部11の指令に従いRF帯の信号を発信可能なRF発信部13とが接続されている。
【0022】
照合ECU21は、車外LF発信機22からLF帯のリクエスト信号Srqを間欠的に発信させ、車両2の周辺に車外通信エリアを形成する。電子キー1がこの車外通信エリアに入り込んでリクエスト信号SrqをLF受信部12で受信すると、電子キー1はリクエスト信号Srqに応答する形で、自身のメモリ11aに登録されたIDコードを含ませたRF帯のIDコード信号SidをRF発信部13から返信する。照合ECU21は、RF受信機24でIDコード信号Sidを受信すると、自身のメモリ21aに登録されたIDコードと電子キー1のIDコードとを照らし合わせてID照合(車外照合)を行う。照合ECU21は、車外照合が成立すると、メモリ21aに車外照合フラグを一定時間立てて、メインボディECU31を介してドアロック装置38によるドアロックの施解錠を許可又は実行する。
【0023】
また、電子キーシステムには、エンジン始動停止操作の際に実際の車両キー操作を必要とせずに単なるスイッチ操作のみでエンジン始動停止操作を行うことが可能な機能としてワンプッシュエンジンスタートシステムがある。このワンプッシュエンジンスタートシステムを以下に説明すると、車両2には、照合ECU21のID照合成立結果を基に、エンジンの点火制御及び燃料噴射制御を行うエンジンECU32が設けられている。エンジンECU32は、車内LAN30を通じて照合ECU21等の各種ECUに接続されている。車両2の運転席には、車両2の電源状態(電源ポジション)を切り換える際に操作されるエンジンスイッチ35が設けられている。
【0024】
照合ECU21は、車外照合が成立してドアロックが解錠された後、ドアが開けられて運転者が乗車したことを例えばカーテシスイッチ37で認識すると、車内LF発信機23からリクエスト信号Srqを発信して車内全域に車内通信エリアを形成する。照合ECU21は、電子キー1がこの車内通信エリアに入り込んで返信してきたIDコード信号SidをRF受信機24で受信すると、自身に登録されたIDコードと電子キー1のIDコードとを照らし合わせてID照合(車内照合)を行う。照合ECU21は、この車内照合が成立すると、メモリ21aに車内照合フラグを立てる。このとき、メインボディECU31は、エンジンスイッチ35が押圧操作されると、車両2の電源状態をオフ状態からACC(Accessory)オン状態やIG(Ignition)オン状態に切り換え可能とする。
【0025】
メインボディECU31は、エンジンが停止している際にブレーキペダルが踏み込み操作された状態でエンジンスイッチ35が押圧操作されたことを検出すると、照合ECU21に車内照合成立の有無を確認する。メインボディECU31は、照合ECU21から車内照合が成立の旨の通知を受ければ車内照合が成立済みであることを認識して、停止状態のエンジンを始動すべくエンジンECU32に起動信号を出力する。起動信号を受け付けたエンジンECU32は、車内照合結果を確認し、点火制御及び燃料噴射制御を開始してエンジンを始動する。一方、メインボディECU31は、エンジンが稼働している際にエンジンスイッチ35が押圧操作されたことを検出すると、車両2が停止していることを条件にエンジンを停止状態にする。
【0026】
次に、電子キー1の構造について図2〜図5を参照して説明する。
図2及び図3に示されるように、電子キー1は、長方形の板状をなしている。電子キー1は、キー本体10の表面が軟質材料で形成されているとともに、この軟質材料の内部に複数の部品群が組み込まれた構造をとっている。電子キー1の厚みは、5mm程度である。このカード型電子キー1には、処理回路やアンテナ等の電子部品を収容した電子部品ユニット14と、電池51及びメカニカルキー61等の金属部品を収容した電池キー部品ユニット15とが設けられている。これら電子部品ユニット14及び電池キー部品ユニット15は、間隔を置いて配列され、これらが軟質樹脂17によってそれぞれモールド成形されている。
【0027】
また、これら電子部品ユニット14及び電池キー部品ユニット15は、キー本体10の折り曲げを許容する連結部16により一体部品として連結されている。この連結部16には、電子部品ユニット14や電池キー部品ユニット15の主部品が載らず、例えば軟質樹脂17や折り曲げが許容される部品群を配置することにより、折り曲げ可能な部位として形成されている。このため、電子キー1は、自身に折り曲げの外力が加わった際に、この連結部16の部分において折れ曲がるキーとなっている。
【0028】
図4に示されるように、電子部品ユニット14は、プリント基板41が設けられている。プリント基板41は、電子部品を固定して配線するための部品である。プリント基板41には、電子キー1を制御するCPU、受信回路、送信回路等からなるIC及びチップ部品42や、アンテナ12a,12b,12c,13a等の電子部品が実装されている。IC及びチップ部品42の中のCPUは、電子キー1における無線通信(照合通信)の動作を管理する。
【0029】
また、LFアンテナ12a,12b,12cはLF帯の無線信号を受信するアンテナであって、例えばLFアンテナ12a〜12cをそれぞれX軸、Y軸、Z軸方向の電波を受信するアンテナとして組み込むことにより3軸対応となっている。例えば、LFアンテナ12a,12bは互いの軸線が直交するX軸及びY軸方向の電波検出用のバーアンテナであり、LFアンテナ12cはアンテナ12a,12bの軸線と直交するZ軸方向の電波検出用のループアンテナである。一方、RFアンテナ13aは、電子キー1の発信アンテナであって、RF帯の無線信号を送信するループアンテナからなる。電子部品が実装されたプリント基板41は、硬質樹脂により実装面41aがモールド成形されている。
【0030】
電池キー部品ユニット15のユニット本体には、同ユニットの各種部品の収納先として電池キー収容部53が取り付けられている。電池キー収容部53は、ユニット本体(キー本体10)の電子部品ユニット14の反対側の側面(図1及び図2に示す紙面手前側面)が開口する形状をとり、例えばPPS等の硬質樹脂により形成されるとともに、内部に空間を有する形状をとっている。この電池キー収容部53の内部には、電池51の収納先として電池ケース52と、メカニカルキー61の収納先としてキーケース65とが隣り合う状態で設けられている。電池ケース52及びキーケース65は、PPS等の硬質樹脂にて形成されている。電池キー収容部53は、軟質樹脂17によりモールド成形されている。なお、電池ケース52が電池収納部として、キーケース65がキー収納部として機能する。
【0031】
電池ケース52には、電池51と、電池ケース52内に露出して電池51のそれぞれの電極に接続される−極のターミナル54a並びに+極のターミナル54bと、電池51を挿入するための電池挿入口56を閉蓋する蓋部57とが設けられている。蓋部57には、電池51の一部を収納する空間として収納部57aが形成されている。蓋部57には、蓋部57がキー本体10からの脱落を防止する一対の係合凸部57bが電池ケース52の内壁に向かって突出形成され、これら係合凸部57bを、電池ケース52の内壁に形成された係合凹部58にそれぞれ係合することにより、蓋部57が電池挿入口56に取り付けられる。これら係合凸部57b及び係合凹部58が保持機構として機能する。また、本実施形態では、保持機構として係合凸部57bが形成された蓋部57が保持機構を持つ側であって、保持部が形成されない把持部63が保持機構を持たない側である。
【0032】
また、メカニカルキー61は、長方形かつ板状の鍵部(キープレート)62と、使用者が使用時に把持する把持部63とからなる。把持部63は、鍵部62の延出方向に対して直交して鍵部62の基端部に形成され、メカニカルキー61を収納するためのキー挿入口64を閉蓋する機能を持つ。キーケース65の内面には、メカニカルキー61を側方から押圧する帯状の金属が折り曲げられた板ばね66が設けられている。板ばね66は、キー本体10の長さ方向(図2の紙面上下方向)に真っ直ぐ延びる基端部66aがキーケース65の樹脂部分に固定され、先端側のばね部66bがキーケース65の内部に露出可能となっている。キーケース65にメカニカルキー61が挿入されると、メカニカルキー61の側面に板ばね66が押圧してメカニカルキー61をキーケース65内に保持することにより、メカニカルキー61の脱落を防止する。
【0033】
本例の場合、電池ケース52及びキーケース65がキー本体10の幅方向(図2の紙面左右方向)に隣り合って形成されているので、電池51の電池挿入口56とメカニカルキー61のキー挿入口64とは、同幅方向において隣り合って配置、即ちキー本体10の同じ側面に形成されている。また、電池挿入口56とキー挿入口64とが並んで配置され、しかも電池挿入口56とキー挿入口64とがともにキー長さ方向に平行して延びているので、電池51とメカニカルキー61とを同じ方向へキー本体10に挿入して収納することができる。そして、電池ケース52へ挿入して電池挿入口56を閉蓋する蓋部57と、キーケース65へメカニカルキー61の鍵部62を挿入してキー挿入口64を閉蓋する把持部63とは隣接して配置される。
【0034】
図5及び図6(a),(b)に示されるように、蓋部57と把持部63とが隣り合い、これらの接触する部位である隣接部位59,69には、蓋部57と把持部63とを互いに係合する段状に形成された凹凸から構成される係合機構80が設けられている。隣接部位59,69は、蓋部57とメカニカルキー61とをキー本体10に収納した際に接触する部位であって、接触部位に相当する。係合機構80を以下に説明すると、保持機構である係合凸部57bが設けられた蓋部57の隣接部位59には、対向側である把持部63の隣接部位69へ突出して形成された凸部81と、この凸部81に連続して蓋部57の抜挿方向へ延びて形成された突条部82とが設けられている。この凸部81は、隣接部位59においてキー本体10から離間する側の端部に形成されている。凸部81は、係止片として機能する。また、突条部82は、係合突及び突部として機能する。
【0035】
一方、把持部63の隣接部位69には、凸部81が係合する切欠凹部83と、この切欠凹部83に連続して抜挿方向へ延びて形成されて突条部82に係合する溝部84とが設けられている。この切欠凹部83は、隣接部位69においてキー本体10から離間する側の端部に形成されている。また、溝部84の上壁84a及び下壁84bは、突条部82をキー本体10の厚さ方向、即ち上下方向から挟んで同方向への動きを規制することにより、蓋部57のキー本体10の厚さ方向への変位を防ぐ。
【0036】
本例の場合、突条部82が溝部84に嵌装するので、突条部82と溝部84とが互いに延出方向、すなわち挿入方向及び抜出方向へのみ変位可能である。すなわち、蓋部57と把持部63とは延出方向へのみ変位可能であって、延出方向以外へは変位できない。また、凸部81が切欠凹部83に嵌装するので、把持部63は切欠凹部83の溝部84側の側面が凸部81に当接し、蓋部57がある状態ではキー本体10から外れない。よって、把持部63がキー挿入口64を閉蓋するようにメカニカルキー61がキーケース65へ挿入され、メカニカルキー61がキー本体10に取り付けられる。そして、この把持部63の溝部84に蓋部57の突条部82が嵌装するように挿入され、蓋部57の係合凸部57bがキー本体10の係合凹部58に係合することで蓋部57がキー本体10に保持される。このとき、凸部81が切欠凹部83に嵌装することで把持部63が蓋部57によってキー本体10に保持される。なお、係合機構80が設けられる蓋部57と把持部63との隣接部位59,69は、係合時においてキー本体10の周囲表面が面一になるように形成されている。
【0037】
図4に示されるように、電子部品ユニット14と電池キー部品ユニット15との間には、連結部16の部位において、SUS(Stainless Used Steel)等の金属を板状に成形した一対の金属板44が架橋されている。本例の金属板44は、柔軟性があるため折り曲げ力が加えられると折れ曲がるとともに、折り曲げに対して復元力を発生して元の状態である折り曲げられていない状態に戻ろうとする板ばねとして機能する。金属板44の一端は電子部品ユニット14の軟質樹脂17に埋設され、金属板44の他端は電池キー部品ユニット15の軟質樹脂17に埋設されている。各金属板44は、S字状をなしており、金属板44の両端の延出方向が同一直線上に位置しない形状となっている。
【0038】
また、電子部品ユニット14と電池キー部品ユニット15とは、連結部16の部位において、フレキシブル基板45によって電気的に接続されている。フレキシブル基板45の一端は電子部品ユニット14のプリント基板41に接続され、フレキシブル基板45の他端は電池キー部品ユニット15のターミナル54a,54bに接続されている。電子キー1の電源は、電池51からフレキシブル基板45を介して電子部品ユニット14へ供給される。
【0039】
図3に示されるように、一対の金属板44(フレキシブル基板45も含む)の上下には、これら金属板44を上下から挟む一対の細長い板形状の挟持部材46,47が設けられている。これら挟持部材46,47は、螺子によって金属板44に固定されている。挟持部材46,47は、細長い板形状を以て金属板44を上下から挟持することで蝶番の軸部材として機能する。すなわち、電子キー1は、挟持部材46,47が蝶番の回動軸となって、電子部品ユニット14と電池キー部品ユニット15とが折り曲がることが可能である。また、挟持部材46,47が金属板44を挟持しているため、板ばねとして機能する金属板44への負荷を抑制することができる。また、挟持部材46,47は、電子キー1が折れ曲がった際にその曲がりを止める支持部材としても機能する。
【0040】
これら挟持部材46,47には、挟持部材46,47の露出を抑制する被覆部材48,49がキー本体10の上下にそれぞれ固設されている。これら被覆部材48,49は、3枚の板が連結されたような形状で、連結部分が折り曲げ可能となっている。これら被覆部材48,49は、電子部品ユニット14と挟持部材46,47と電池キー部品ユニット15とにそれぞれ固設されている。電子キー1の連結部16は、金属板44、挟持部材46,47及び被覆部材48,49によって形成されている。
【0041】
連結部16の両端には、電子キー1がこの連結部16において折れ曲がる際のその折れ曲がり量を規制(制限)する規制機構70が設けられている。本例の規制機構70を以下に説明すると、電子部品ユニット14において電池キー部品ユニット15側の両側端部には、キー本体10の平面方向に沿って突出する断面三角形状の第1凸部71が一対設けられている。また、電池キー部品ユニット15において電子部品ユニット14側の両側端部にも、各々の第1凸部71に向き合うように突出する断面三角形状の第2凸部72が一対設けられている。これら第1凸部71及び第2凸部72は、互いに向き合うもの同士が組となって働き、これら組同士のものは上下方向の線(垂線)を基準に対称形状をとっている。
【0042】
また、上側の挟持部材46の両端部において下側の挟持部材47側の面には、キー本体10の厚さ方向に沿って突出する断面三角形状の第3凸部73が一対設けられている。また、下側の挟持部材47の両端部において上側の挟持部材46側の面にも、各々の第3凸部73に向き合うように突出する断面三角形状の第4凸部74が一対設けられている。これら第3凸部73及び第4凸部74は、互いに向き合うもの同士が組となって働き、これら組同士のものはキー本体10の平面方向の基準線(水平線)を基準に対称形状をとっている。
【0043】
これら第1凸部71〜第4凸部74は、電子キー1が連結部16を境目にして上方(すなわち、英字のV字状)に折れ曲がった際、第1凸部71及び第2凸部72が第3凸部73に当接することでそれ以上の折れ曲がりを制限する。また、これら第1凸部71〜第4凸部74は、電子キー1が連結部16を境目に下方(すなわち、英字の逆V字状)に折れ曲がった際、第1凸部71及び第2凸部72が第4凸部74に当接することでそれ以上の折れ曲がりを制限する。本例の場合、これら第1凸部71〜第4凸部74は、電子部品ユニット14と電池キー部品ユニット15とのそれぞれが連結部16に対して規定位置以上折り曲がらないように形成されている。
【0044】
さて、キー本体10から外した蓋部57とメカニカルキー61とをキー本体10に再度取り付ける際、まずはメカニカルキー61をキー挿入口64に挿し込み、そのままキー長さ方向に押し込んで、メカニカルキー61をキーケース65に収納する。メカニカルキー61の取り付け後、今度は蓋部57を電池ケース52に取り付ける動作に移り、このときは突条部82を溝部84に位置合わせしつつこれに挿し込み、そのまま蓋部57を奥に押し込む。そして、蓋部57に設けられた一対の係合凸部57b,57bを、各々対応する係合凹部58,58に係止することにより、蓋部57を電池ケース52に取り付ける。よって、蓋部57は、係合凸部57b,57bと係合凹部58,58とが噛み合うという強い係合で持ってキー本体10に取り付く。
【0045】
このとき、メカニカルキー61は、自身の把持部63が蓋部57との間の係合機構80によって蓋部57に係止した取り付け状態をとるので、蓋部57の係合凸部57b,57bと係合凹部58,58との係合(保持機構)により強くキー本体10に取り付く蓋部57により、キーケース65(キー本体10)に強く支持される。従って、もし仮に部品サイズや部品配置の関係でメカニカルキー61をキー本体10に直接支持する保持機構を設けることができなくても、メカニカルキー61の把持部63と蓋部57との間の接触部位に係合機構80を設けることで、係合機構80の保持力を利用してメカニカルキー61をキー本体10に強固に取り付けることが可能となる。
【0046】
また、キーケース65の内面には、メカニカルキー61を側方から押圧する板ばね66が設けられているので、メカニカルキー61の側面に板ばね66が押圧してメカニカルキー61をキーケース65内に保持することにより、メカニカルキー61のキー本体10からの脱落を防止する。このため、メカニカルキー61を蓋部57の保持機構のみならず、自身とキー本体10との間に設けた板ばね66によってもキー本体10に支持することが可能となるので、より強くメカニカルキー61をキーケース65に収納することが可能となる。
【0047】
さらに、電子キー1に、キー本体10の折り曲がりを許容する連結部16を設けた。このため、電子キー1に外部から折り曲げ力が加えられたとしても、電子キー1はこの連結部16によって折れ曲がるので、このときに電子キー1に発生する曲げ応力が連結部16によって吸収される。よって、電子キー1にかかる曲げ応力が電子キー1を破損する力として作用せずに済むので、電子キー1を破損から保護することが可能となり、破損に対しての耐久性も高くなる。
【0048】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)蓋部57とメカニカルキー61の把持部63との隣接部位59,69に、メカニカルキー61を蓋部57に止める係合機構80を設けたので、蓋部57の係合凸部57b,57bと係合凹部58,58との保持力を利用して、メカニカルキー61をキー本体10に強く取り付けることができる。よって、部品サイズは配置位置の関係でメカニカルキー61とキー本体10との間に保持機構を設けることができなくても、メカニカルキー61をキー本体10に取り付け保持することができる。
【0049】
(2)メカニカルキー61を蓋部57に止める係合機構80を、これら2者間の隣接部位59,69の段状の凹凸により形成したので、接触部位の単なる形状加工によってこの種の係合機構80を形成することができる。このため、係合機構80を設けるに際して、例えば爪部を延出形成するなどの複雑で手間のかかる形状を用いずに済むので、実施に際して加工の手間や複雑な製造工程等を必要とせずに済む。
【0050】
(3)蓋部57に形成された突条部82を溝部84の上壁84a及び下壁84bによりキー厚さ方向(上下方向)において挟んで支持するので、キー本体10に収納した後の蓋部57やメカニカルキー61を、キー本体10のキー厚さ方向に変移、即ち位置ずれさせずに済む。
【0051】
(4)蓋部57でメカニカルキー61を係止する際、蓋部57に設けた凸部81でメカニカルキー61の把持部63をその抜き挿し方向の外側から押さえ込むので、キーケース65に収納した後のメカニカルキー61を、より効果的にキーケース65から脱落させずに済む。
【0052】
(5)蓋部57と把持部63とに設けられた係合機構80に加えて、メカニカルキー61が板ばね66によって押圧保持されるので、メカニカルキー61の脱落を防止することができ、強いては蓋部57及び把持部63がキー本体10から脱落することをより確実に防止できる。
【0053】
(6)電子キー1の折り曲げを許容すべくキー本体10に連結部16を設けたので、もし仮に電子キー1に曲げ力がかかっても、このときにキー本体10に発生する曲げ応力は連結部16によって吸収される。このため、電子キー1に折り曲げ力が付与されても、電子キー1を破損から保護することが可能となる。
【0054】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態では、メカニカルキー61を押圧固定する板状の板ばね66を採用したが、らせん状の渦巻きばねを採用してもよい。
【0055】
・上記構成において、板ばね66を省略した構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、係合機構80として蓋部57の隣接部位59に凸部81と突条部82とを形成するとともに、把持部63の隣接部位69に切欠凹部83と溝部84とを形成した。しかしながらこれに限らず、他の形状の係合機構80を採用してもよい。
【0056】
例えば、図7及び図8に示されるように、係合機構80は、蓋部57の隣接部位59に抜挿方向に延びて形成される突条部82と、把持部63の隣接部位69に抜挿方向へ延びて形成される溝部84とからなるものでもよい。このような構成にすれば、挿し込み方向において長い形状をとる突条部82と溝部84とでメカニカルキー61を蓋部57に支持することが可能となるので、蓋部57とメカニカルキー61とをよりキー本体10の厚さ方向に位置ずれし難くすることができる。
【0057】
・図9及び図10に示されるように、係合機構80は、蓋部57の隣接部位59のキー本体10から離間する側の端部に把持部63側へ突出して形成される凸部81と、把持部63の隣接部位69のキー本体10から離間する側の端部に形成されて凸部81が係合する切欠凹部83とからなるものでもよい。このような構成によれば、係合機構80として単なる切り欠きを形成するだけで済むので、係合機構80を簡素なもので済ますことができる。
【0058】
・係合機構80は、前述した形状のものに限定されない。例えば、蓋部57の隣接部位59及び把持部63の隣接部位69のいずれか一方に形成され、対向する隣接部位59,69へ突出する突部と、蓋部57の隣接部位59及び把持部63の隣接部位69の他方に形成され、同突部が挿入される穴部とからなるものでもよい。
【0059】
・係合機構80は、前述した種々の形状のものに限定されない。要は、蓋部57の端部から延出して形成された係合部と、把持部63に形成された同係合部に係合する係合部とからなるものであればよい。
【0060】
・上記実施形態では、電池51とメカニカルキー61との収納方向を同じ方向として蓋部57と把持部63との抜挿方向を同じ側面にしたが、電池51とメカニカルキー61との収納方向を異なる方向として蓋部57と把持部63との抜挿方向を異なる方向としてもよい。この場合、蓋部57と把持部63との少なくとも一方の端部を互いが接触して係合できるように延出することが望ましい。
【0061】
・上記構成において、蓋部57に保持部として係合凸部57bを設けて蓋部57をキー本体10に保持するようにしたが、これとは逆に把持部63(メカニカルキー61)側に保持機構を設けてもよい。このようにした場合、蓋部57に設けられた係合機構80を把持部63に設け、把持部63に設けられた係合機構80を蓋部57に設けることになる。
【0062】
・上記構成において、規制機構70を省略した構成を採用してもよい。
・上記実施形態において、金属板44はSUSに限らず、ベリリウム鋼、洋白、りん青銅等に代えてもよい。そして、SUS、ベリリウム鋼、洋白、りん青銅の順番で右側の金属に代えるほど同じ大きさであれば硬くなり、弾性係数が小さくなるため、復元力を小さくすることができ、折り曲げ可能な角度を大きくすることができる。よって、電子キー1の仕様に合わせて折り曲げ可能な角度を調整することができる。
【0063】
・上記実施形態において、金属板44の金属をSUSに限らず、ベリリウム鋼、洋白、りん青銅等に代えることで硬さを変更したが、同じ金属において硬さの異なるものを採用してもよい。
【0064】
・上記構成において、金属板44を省略した構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、電子キー1の連結部16は、挟持部材46,47及び被覆部材48,49等によって形成するようにしたが、これに限らず、例えば軟質樹脂等で電子部品ユニット14と電池キー部品ユニット15とを一体成形してもよい。
【0065】
・上記実施形態において、連結部16は、必ずしも1つに限定されず、2つ以上設けてもよい。
・上記構成において、連結部16を省略した構成を採用してもよい。
【0066】
・電子キー1の厚みを5mm程度としたが、カード型電子キーとしては10mm程度のものも含む。
・上記構成において、図1に示されるように、電子キー1に施錠スイッチ19a及び解錠スイッチ19bを設け、この施錠スイッチ19a及び解錠スイッチ19bを操作することで、車両2へ施錠信号Sl又は解錠信号Sulを発信して、車両2のドアロックを解錠又は施錠することが可能な電子キー1としてもよい。
【0067】
・電子キーシステムで使用する各通信の周波数はどの周波数の電波を使用してもよい。
・上記実施形態において、本例の技術思想の採用対象は、必ずしも車両2に限定されず、無線通信によりキー照合を実行する種々の装置や機器に適用可能である。
【0068】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(a)請求項2〜5のいずれか一項に記載のカード型電子キーにおいて、前記凹凸の溝部は、自身が設けられた部材の外面側に開口して形成されるとともに、前記凹凸は、前記2者のうち前記凹凸の突部を持つ側を前記キー本体に対して抜き挿しする際のその抜挿方向に沿って形成されることを特徴とするカード型電子キー。
【0069】
この構成によれば、蓋部やメカニカルキーをキー本体に抜き挿しする際、係合機構として設けた凹凸の突部は、この抜き挿し操作に伴って、凹凸の溝部に案内される形で溝部に沿う動きをとる。このため、凹凸の突部が抜き挿しの邪魔になり難いので、係合機構として2者の接触部位に凹凸を設けても、蓋部やメカニカルキーをキー本体に対し円滑に抜き挿しすることが可能となる。
【0070】
(b)請求項1〜5のいずれか一項に記載のカード型電子キーにおいて、前記係合機構は、その係合時において前記キー本体の周囲表面と面一になるように形成されることを特徴とするカード型電子キー。
【0071】
この構成によれば、キー本体に蓋部やメカニカルキーを取り付けても、全体的な電子キーの外観が段差のない形状となるので、電子キーを意匠性の高いものとすることが可能となる。
【0072】
(c)請求項1〜6、(a)、及び(b)のいずれか一項に記載のカード型電子キーおいて、前記電池収納部の開口と、前記メカニカルキーを収納するキー収納部の開口とが、当該キー本体の同じ側面に形成されることにより、前記蓋部と前記把持部とが隣り合って配置されることを特徴とするカード型電子キー。
【0073】
この構成によれば、蓋部とメカニカルキーをより近くに配置することが可能となるので、係合機構の構成が複雑化したり、或いは大型化したりする懸念が生じ難い。
(d)請求項1〜6及び(a)〜(c)のいずれか一項に記載のカード型電子キーにおいて、前記キー本体の折り曲げを許容する連結部を備えることを特徴とするカード型電子キー。
【0074】
この構成によれば、電子キーの折り曲げを許容すべくキー本体に連結部を設けたので、もし仮に電子キーに曲げ力がかかっても、このときにキー本体に発生する曲げ応力は連結部によって吸収される。このため、電子キーに折り曲げ力が付与されても、電子キーを破損から保護することが可能となる。
【符号の説明】
【0075】
1…電子キー、10…キー本体、11…通信制御部、12…LF受信部、12a,12b,12c…アンテナ、13…RF発信部、13a…アンテナ、14…電子部品ユニット、15…電池キー部品ユニット、16…連結部、17…軟質樹脂、41…プリント基板、41a…実装面、42…IC及びチップ部品、44…金属板、45…フレキシブル基板、46,47…挟持部材、48,49…被覆部材、51…電池、52…電池ケース、53…電池キー収容部、54a,54b…ターミナル、56…電池挿入口、57…蓋部、57a…収納部、57b…係合凸部、58…係合凹部、59…隣接部位、61…メカニカルキー、62…鍵部、63…把持部、64…キー挿入口、65…キーケース、69…隣接部位、70…規制機構、71…第1凸部、72…第2凸部、73…第3凸部、74…第4凸部、80…係合機構、81…凸部、82…突条部、83…切欠凹部、84…溝部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー本体の電池収納部に収納された電池を電源として、通信対象との間で無線通信を介したキー照合が可能で、該キー本体には機械的なキー操作によってキー照合を行うメカニカルキーが収納され、かつ当該キー本体の外形が板状をなしたカード型電子キーにおいて、
前記電池収納部を閉じる蓋部と前記メカニカルキーとの一方を、前記キー本体との間の強い嵌合によって当該キー本体に保持する保持機構と、
前記蓋部と前記メカニカルキーの把持部とが係合することにより、これら2者のうち前記保持機構が利いている側が持つ保持力によって、当該2者のうち前記保持機構を持たない側を前記キー本体に保持する係合機構とを備えた
ことを特徴とするカード型電子キー。
【請求項2】
請求項1に記載のカード型電子キーにおいて、
前記係合機構は、前記2者を前記キー本体に収納した際のその接触部位において段状に形成された凹凸から構成される
ことを特徴とするカード型電子キー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカード型電子キーにおいて、
前記係合機構は、前記2者のうちの一方に形成された係合突を、前記キー本体の厚さ方向に壁を持つ形状で以て前記2者の他方に形成された係合溝に嵌合することで、前記保持機構を持たない側を前記キー本体に保持する
ことを特徴とするカード型電子キー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のカード型電子キーにおいて、
前記係合機構は、前記保持機構を持つ側に形成された係止片によって、前記保持機構を持たない側をその抜挿方向の外側から支持することにより、当該保持機構を持たない側を前記キー本体に保持する
ことを特徴とするカード型電子キー。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のカード型電子キーにおいて、
前記係合機構は、前記2者のうちの一方に形成された係合突を、前記キー本体の厚さ方向に壁を持つ形状で以て前記2者の他方に形成された係合溝に嵌合することで、当該保持機構を持たない側を前記キー本体に保持するとともに、前記保持機構を持つ側に形成された係止片によって、前記保持機構を持たない側をその抜挿方向の外側から支持することにより、当該保持機構を持たない側を前記キー本体に保持する
ことを特徴とするカード型電子キー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のカード型電子キーにおいて、
前記キー本体と前記メカニカルキーの間に、当該キー本体への前記メカニカルキーの収納時に該メカニカルキーの側面に当接して該メカニカルキーを前記キー本体に押圧保持するばねを設ける
ことを特徴とするカード型電子キー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−248707(P2010−248707A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96423(P2009−96423)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】