説明

カード検査装置

【課題】 複数台の測定装置で測定されたデータが同一カードに属するデータであることの判断機能を有し、かつ簡略化されたカード検査装置を提供すること。
【解決手段】 搬送路上を連続して流れるカード11a〜11dを2台の測定装置12a,12bで測定したデータに基づいて検査項目の判定を行うカード検査システムであり、測定装置12a,12bに併設されカードの通過枚数を数える通過枚数カウンタ16a,16bと、測定装置12a,12bから出力される測定データに、その通過枚数の最後の桁の数字を識別番号として付加する識別番号付加手段13a,13bと、測定装置12a,12bからの測定データに対し、その識別番号を照合することで同一の識別番号が付加された測定データを同一のカードに属する測定データであると判断する処理手段とを備えるカード検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の測定装置を用いてカード状の記録媒体を検査するカード検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カード状記録媒体の検査工程では一般に複数の測定装置による検査データに基づいた検査が行われる(たとえば特許文献1)。
【0003】
このように搬送路上を連続して流れるカードに対して複数台の測定装置を用いて検査を行う際には、同一のカードについてそれぞれの測定装置での検査データが求められる。
【0004】
例えば、測定装置(A)と測定装置(B)の2台を用いて検査を行う場合について考える。図2は2台の測定装置を用いて検査を行うカード検査装置の概念図である。図2を参照して、カード11aが測定装置12aで検査を受けてから測定装置12bで検査を受けるとき、カード間隔を詰めると、カード11aが測定装置12bに到達する前に、次のカードであるカード11bが測定装置12aに到達する。その結果、PC(パーソナルコンピュータ)14には、カード11aに属するデータとカード11bに属するデータとが交互に届くことになる。言い換えると、カード間隔が変化すると、2台の測定装置から出力される測定データの順番が変化して、PC14に送られる。
【0005】
このように、1枚のカード11aについて、測定装置12aでの検査データおよび測定装置12bでの検査データを合わせて、カードの良/不良を判定する場合、カードが一定間隔で規則正しく搬送されている場合には問題がないが、その規則性が乱れたときには、カード11aに特定したデータを得て検査する手法が必要である。
【0006】
そのとき、従来の技術では、タイミング監視機構を用いて制御する上位のコントローラで順番を監視し、どのデータがどのカードのものかを特定していた。図3は従来のタイミング監視機構を用いたカード検査装置の概念図である。このとき用いられるタイミング監視機構15は、同図ではタイミング監視機構15の下側に連続する白抜きの矢印で示したように、搬送路に沿って一定間隔で並べられた位置センサからの信号を基にして、カードの位置を監視する機構である。同図のようにタイミング監視機構15からのデータに基づいて、PC14は、測定装置12aおよび測定装置12bから送られたデータが、どのカードのものであるかを判断していた。
【0007】
【特許文献1】特開平5−143759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、図3のような従来技術では、搬送タイミングを考慮した複雑なプログラムが必要となり、カード検査装置全体のシステムが複雑になっていた。たとえば、瞬間的にカードが詰まった場合などの変則的な搬送が行われた場合にも、ひとつの測定データがどのカードに属しているかを判定するためには、測定装置12aと測定装置12bの間に多くのセンサを配置する必要があり、各センサからの多数の信号に基づいて、特定のカードに属する、測定装置12aによる測定データと、測定装置12bによる測定データを同一カードからのデータとして判定する必要があるからである。
【0009】
この状況にあって、本発明の課題は、複数台の測定装置で測定したデータが同一カードに属するデータであることの判断機能を有し、かつ簡略化されたカード検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のカード検査装置は、搬送路上を連続して流れるカード状の記録媒体を複数台の測定装置で測定したデータに基づいて検査項目の判定を行うカード検査システムにおいて、前記測定装置の各々に併設され前記カード状の記録媒体の通過枚数を数えるカウンタと、前記測定装置の各々から出力される測定データに、前記カウンタの各々で得られた前記通過枚数の最後の桁の数字を識別番号として付加する識別番号付加手段と、前記測定装置の複数台からの測定データに対し、付加された前記識別番号を照合することで同一の識別番号が付加された測定データを同一のカード状の記録媒体に属する測定データであると判断する処理手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カード通過のタイミング監視機能が不要となり、例えばPCを用いた処理手段の監視プログラムを簡略化でき、そのカード検査装置の全体システムの簡略化を図ることができる。
【0012】
特に、瞬時のカード詰まりが起きたときでも、一つのカードに属する測定データが他のカードの測定データとみなされることはない。
【0013】
すなわち、本発明によれば、複数台の測定装置で測定したデータが同一カードに属するデータであることの判断機能を有し、かつ簡略化されたカード検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のカード検査装置を図1に概念図で示す。搬送路上を流れるカード11aを、まず測定装置12aで測定する。同時に通過枚数カウンタ16aで、そのカードが何枚目に通過したカードであるかをカウントする。次に、識別番号付加手段13aでは通過枚数カウンタ16aによるカウント数の最後の桁の数字を識別番号として、測定装置12aで得られた測定データに付加し、PC14に検査データとしていったん格納する。
【0015】
次いで、カード11aが搬送路上を流れて、測定装置12bで測定がなされる。同時に通過枚数カウンタ16bで、そのカードが何枚目に通過したカードであるかをカウントする。次に、識別番号付加手段13bでは通過枚数カウンタ16bによるカウント数の最後の桁の数字を、識別番号として、測定装置12bで得られた測定データに付加し、検査データとしてPC14に送る。
【0016】
その後、PC14により、測定装置12aによる検査データと測定装置12bによる検査データに対し識別番号を照合することで、同一カードからの検査データを統合して、カードの良否などを判定する。
【0017】
なお、識別手段付加装置13a,13bは処理手段としてのPC14の中に組み込んでもよい。
【0018】
ところで、識別番号付加手段13a,13bによって測定データに付加される識別番号は、たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、0の順で変化し、第11番目のカードからは新たに、1、2、・・・・・のように変化するが、実際のカードの搬送状態の変化の範囲内では、識別番号は同じではあるが、1周期(10枚)以上ずれたカードのデータが同一カードからの測定データとして、誤って統合され良否などの判定に用いられることはない。なお、この周期は10進数以外の数を使えば容易に変更できる。
【0019】
こうして、搬送路に沿って多数配置される位置センサを用いたタイミング監視機構は不要となり、それに伴う複雑な制御プログラムも不要になった。すなわち、実際に起こりうるカード搬送の不規則さに対応し、システム構成が簡略であるにも関わらず、カード搬送の乱れが発生したときにも、同一カードに属する検査データを容易に認識できた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のカード検査装置を示す概念図。
【図2】2台の測定装置を用いる場合のカードとカード検査装置の概念図。
【図3】従来のカード検査装置の概念図。
【符号の説明】
【0021】
11a,11b,11c,11d カード
12a,12b 測定装置
13a,13b 識別番号付加手段
14 PC
15 タイミング監視機構
16a,16b 通過枚数カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路上を連続して流れるカード状の記録媒体を複数台の測定装置で測定したデータに基づいて検査項目の判定を行うカード検査システムにおいて、前記測定装置の各々に併設され前記カード状の記録媒体の通過枚数を数えるカウンタと、前記測定装置の各々から出力される測定データに、前記カウンタの各々で得られた前記通過枚数の最後の桁の数字を識別番号として付加する識別番号付加手段と、前記測定装置の複数台からの測定データに対し、付加された前記識別番号を照合することで同一の識別番号が付加された測定データを同一のカード状の記録媒体に属する測定データであると判断する処理手段とを備えることを特徴とするカード検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−330993(P2006−330993A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−152381(P2005−152381)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】