説明

カード検査装置

【課題】装置の小型化を図ることができるカード検査装置を提供する。
【解決手段】上流側から下流側へ搬送されるカード体2の搬送経路21を上流側から下流側へ向かうに従って低くなるように傾斜して設定する。搬送経路21中に、カード体2の検査を行う検査部41を設け、検査部41は、搬送されたカード体2の向きを検査する向き検査機能を備える。カード体2の表裏を反転する表裏反転機能及びカード体2の前後を反転する前後反転機能を有する反転機構111を検査部41の下流に設ける。反転機構111は、検査結果に応じてカード体2を正常カード排出部261又は異常カード排出部271へ選択的に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード体の検査を行うカード検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カード体の検査を行う装置としてカード検査装置が考えられる。
【0003】
このカード検査装置では、カード体を上流側から下流側へ搬送するとともに、その間の各所でカード体に対する処理を行う方法が考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなカード検査装置では、装置全体の長さ寸法が搬送経路の全長に依存する。
【0005】
このため、装置の長さ寸法を前記搬送経路の全長より短くできないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、装置の小型化を図ることができるカード検査装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明の請求項1のカード検査装置にあっては、カード体を上流側から下流側へ搬送する工程で検査が行われるカード検査装置であって、上流側から下流側へ搬送される前記カード体の搬送経路を傾斜して設定した。
【0008】
すなわち、カード体の検査を行う装置では、カード体が搬送される搬送経路上に処理部が設定され、当該処理部で検査等の処理が行われる。
【0009】
このとき、この搬送経路が水平に設定される一般の装置では、前記搬送経路の全長に応じた長さを有してしまう。
【0010】
そこで、本願発明では、前記搬送経路を傾斜して設定することで、装置本体の長さ寸法が縮められる。
【0011】
また、請求項2のカード検査装置においては、前記搬送経路中に、前記カード体の検査を行う検査部を設け、搬送されたカード体の向きを検査する向き検査機能を前記検査部に設けた。
【0012】
すなわち、搬送経路中には、カード体の検査を行う検査部が設けられており、この検査部は、カード体の検査機能に加えて、カード体の向きを検査する向き検査機能を備えている。
【0013】
これにより、前記検査部において、カード体の検査と、カード体の向きの検査とが行われる。
【0014】
さらに、請求項3のカード検査装置では、前記カード体の表裏を反転する表裏反転機能及び前記カード体の前後を反転する前後反転機能を有する反転機構を前記検査部の下流に設けた。
【0015】
すなわち、前記検査部の下流には、反転機構が設けられており、該反転機構は、前記カード体の表裏を反転する表裏反転機能と、前記カード体の前後を反転する前後反転機能とを備えている。
【0016】
このため、前記検査部において、搬送されるカード体の表裏が逆さまであることが検出された際には、前記反転機構の前記表裏反転機能によって表裏が反転され、正常な状態に戻される。また、前記検査部において、搬送されるカード体の前後が逆さまであることが検出された際には、前記反転機構の前記前後反転機能によって前後が反転され、正常な状態に戻される。
【0017】
さらに、前記検査部において、搬送されるカード体の表裏が逆さまであって、かつ前後が逆さまであると検出された際には、前記反転機構の前記表裏反転機能及び前記前後反転機能によって表裏及び前後が反転され、正常な状態に戻される。
【0018】
加えて、請求項4のカード検査装置にあっては、正常と判断された正常カードを排出する正常カード排出部と、異常と判断された異常カードを排出する異常カード排出部とを設け、検査結果に応じて前記カード体を前記正常カード排出部又は前記異常カード排出部へ選択的に排出する選択排出機能を前記反転機構に設けた。
【0019】
すなわち、カード検査装置には、正常カードを排出する正常カード排出部と、異常カードを排出する異常カード排出部とが設けられており、前記反転機構は、前記カード体を前記正常カード排出部又は前記異常カード排出部へ選択的に排出する選択排出機能を備えている。
【0020】
このため、カード体が正常であるか否かを検査した検査結果に応じて、搬送された前記カード体は、前記反転機構が有する選択排出機能によって正常カード又は異常カードに仕分けされ、前記正常カード排出部又は前記異常カード排出部へ排出される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明の請求項1のカード検査装置にあっては、カード体が搬送される搬送経路を傾斜して設定することで、搬送経路が水平に設定される一般の装置と比較して、装置の長さ寸法を抑えることができる。
【0022】
これにより、処理工程の増加に伴って搬送経路が長くなる場合であっても、装置の長さ寸法を抑えることができ、装置の小型化を図ることができる。したがって、設置場所の省スペース化を図ることができる。
【0023】
また、請求項2のカード検査装置においては、搬送経路中にカード体の検査を行う検査部が設けられており、この検査部は、カード体の検査機能に加えて、カード体の向きを検査する向き検査機能を備えている。
【0024】
これにより、前記検査部において、カード体の検査と、カード体の向きの検査とを同時に行うことができる。
【0025】
このため、前記検査機能を備えた前記検査部の他に、前記向き検査機能を備えた向き検査部を、前記搬送経路上に設ける場合と比較して、搬送経路の全長を抑えることができ、装置の長さ寸法を抑えることができる。
【0026】
これにより、装置の小型化、及び設置場所の省スペース化を図ることができる。
【0027】
さらに、請求項3のカード検査装置では、前記検査部の下流に設けられた反転機構は、カード体の表裏を反転する表裏反転機能と、カード体の前後を反転する前後反転機能とを備えている。
【0028】
このため、前記検査部において、搬送されるカード体の表裏が逆さまであることが検出された際には、前記反転機構の前記表裏反転機能によって表裏を反転し、正常な状態に戻すことができる。また、前記検査部において、搬送されるカード体の前後が逆さまであることが検出された際には、前記反転機構の前記前後反転機能によって前後を反転し、正常な状態に戻すことができる。
【0029】
さらに、前記検査部において、搬送されるカード体の表裏が逆さまで、かつ前後が逆さまであると検出された際には、前記反転機構の前記表裏反転機能及び前記前後反転機能によって表裏及び前後を反転することで、正常な状態に戻すことができる。
【0030】
これにより、表裏又は前後が逆さまのカードが混在する場合であっても、総てのカードを揃えた状態で排出することができる。
【0031】
そして、反転機構は、前記表裏反転機能と前記前後反転機能とを備えている。このため、前記表裏反転機能を備えた機構と、前記前後反転機能を備えた機構とを前記搬送経路上に併設する場合と比較して、搬送経路の全長を抑えることができ、装置の長さ寸法を抑えることができる。
【0032】
これにより、装置の小型化、及び設置場所の省スペース化を図ることができる。
【0033】
加えて、請求項4のカード検査装置にあっては、正常カードを排出する正常カード排出部と、異常カードを排出する異常カード排出部とが設けられており、前記反転機構は、前記カード体を前記正常カード排出部又は前記異常カード排出部へ選択的に排出する選択排出機能を備えている。
【0034】
このため、カード体が正常であるか否かを検査した検査結果に応じて、前記カード体を、前記反転機構が有する選択排出機能によって正常カード又は異常カードとして仕分けして、前記正常カード排出部又は前記異常カード排出部へ排出することができる。
【0035】
これにより、後処理が容易となり、利便性の向上を図ることができる。
【0036】
このとき、前記仕分けは、カード体を反転する前記反転機構によって行われる。このため、当該反転機構を有効活用できるとともに、該反転機構の他に仕分けを行う仕分け機構を設ける場合と比較して、搬送経路の全長を抑えることができ、装置の長さ寸法を抑えることができる。
【0037】
これにより、装置の小型化、及び設置場所の省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施の形態の側面を示す透明図である。
【図2】同実施の形態の検査部を示す説明図である。
【図3】同実施の形態の検査部で異常カードを検査する様子を示す説明図である。
【図4】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図5】同実施の形態の反転機構を示す説明図である。
【図6】(a)は、非反転状態を示す説明図であり、(b)は、反転状態を示す説明図である。
【図7】(a)は、正常カードを排出する様子を示す説明図であり、(b)は、異常カードを排出する様子を説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の第一の実施の形態を図に従って説明する。
【0040】
図1は、本実施の形態にかかるカード検査装置1を示す図であり、該カード検査装置1は、樹脂製のRFIDチップを内蔵したカード体2を上流側から下流側へ搬送する工程で検査検査する装置である。
【0041】
このカード検査装置1は、装置本体11を備えてなり、該装置本体11には、脚部12,・・・が四ヶ所に設けられている。この装置本体11の図中右側の基端側に配置された一対の脚部12,12は、上下して所定位置に固定できるように構成されており、これらの脚部12,12の脇には、キャスター13,13が設けられている。
【0042】
前記装置本体11の天面は、基端側から先端側へ向かうに従って低くなるように構成されており、検査対象となるカード体2は、基端側から先端側へ搬送されるように構成されている。これにより、前記カード体2の搬送経路21は、上流側から下流側へ向かうに従って低くなるように設定されており、前記カード体2の搬送経路21が水平線に対して傾斜するように構成されている。
【0043】
前記装置本体11基端側の最上流には、カード供給部31が設けられており、該カード供給部31には、複数のカード体2,・・・が収容されたカートリッジ32が交換可能に取り付けられるように構成されている。前記カード供給部31は、前記カートリッジ32内の前記カード体2,・・・を供給するためのローラ33,33を備えており、該ローラ33,33は、供給モータ34で回転制御されるように構成されている。該供給モータ34は、図外の制御装置で制御されるように構成されており、該制御装置からの制御信号に基づいて前記カートリッジ32内の前記カード体2を一枚ずつ下流側へ供給できるように構成されている。
【0044】
前記カード供給部31の下流側には、前記カード体2が一時停止される検査部41が設けられており、該検査部41では、図2に示すように、供給されたカード体2の向きを検査する機能と、図3に示すように、前記カード体2の外観上の異常を検査する機能と、図2に示したように、カード体2に内蔵されたRFIDチップ45との通信状態を検査する機能とを備えている。
【0045】
ここで、このカード体2は、前端左角部が斜めに切欠されており、切欠部52が設けられている。これにより、当該カード体2は、表面53と裏面54と前端55と後端56とを区別できるように構成されている。
【0046】
前記検査部41の向き検査機能は、第一から第四光センサ61〜64によって実現されている。各光センサ61〜64は、コ字状に形成されており、その間に前記カード体2を挿通できるように構成されている。各光センサ61〜64は、発光部と受光部とが対向して設けられており、前記発光部からの光が前記受光部で受光された受光状態と、前記発光部からの光が遮られ前記受光部で受光できない非受光状態とを検出できるように構成されている。
【0047】
前記第一光センサ61は、前記カード体2の搬送方向71に対して下流左側に配置されており、当該検査部41で検査される前記カード体2の左前角部81の状態を検出できるように構成されている。また、前記第二光センサ62は、下流右側に配置されており、前記カード体2の右前角部82の状態を検出できるように構成されている。前記第三光センサ63は、上流左側に配置されており、前記カード体2の左後角部83の状態を検出できるように構成されている。前記第四光センサ64は、上流右側に配置されており、前記カード体2の右後角部84の状態を検出できるように構成されている。
【0048】
これにより、前記カード体2の左前角部81の状態を検出する前記第一光センサ61で受光が検出され、かつ前記第二から第四光センサ62〜64で受光が検出されない場合には、検査したカード体2が表面前向きの正常状態であることを検出できる。
【0049】
また、前記カード体2の左後角部83の状態を検出する前記第三光センサ63で受光が検出され、かつ前記第一、第二及び第四光センサ61,62,64で受光が検出されない場合には、検査したカード体2が裏面後ろ向きであることを検出でき、当該カード体2が表裏逆向きにセットされたことを検出することができる。
【0050】
さらに、前記カード体2の右前角部82の状態を検出する前記第二光センサ62で受光が検出され、かつ前記第一、第三、第四光センサ61,63,64で受光が検出されない場合には、検査したカード体2が裏面前向きであることを検出でき、前記カード体2の右後角部84の状態を検出する前記第四光センサ64で受光が検出され、かつ前記第一から第三光センサ61〜63で受光が検出されない場合には、検査したカード体2が表面後ろ向きであることを検出できる。
【0051】
そして、これらの場合、前記カード体2のいずれかの角部81〜84に前記切欠部52が形成されているため、当該カード体2は、外観的に問題のない正常カードであることを検査できる。
【0052】
一方、複数の光センサで受光が検出された場合、具体的に例を挙げて説明すると、図3に示すように、前記カード体2の左前角部81の状態を検出する前記第一光センサ61と、左後角部83の状態を検出する前記第三光センサ63とで受光が検出された場合には、このカード体2の左前角部81又は左後角部83が欠損しており、外観的な異常がある異常カードであることを検査できるように構成されている。
【0053】
この検査部41は、図2に示したように、一時停止されるカード体2の上側に配置されたHFアンテナ101と、前記カード体2の下側に配置されたUHFアンテナ102を備えており、両アンテナ101,102は、前記カード体2に内蔵された前記RFIDチップ45との通信状態を検査する前記通信検査機能を実現している。各アンテナ101,102はシールド線103,103を介して、前記制御装置に接続されており、該制御装置と前記RFIDチップ45との間で遣り取りされるデータを前記各アンテナ101,102を介して送受信できるように構成されている。
【0054】
すなわち、前記制御装置は、例えば書込コマンドと書込データとをHF帯の電波に乗せて前記HFアンテナ101から前記カード体2内蔵の前記RFIDチップ45へ送信する。このとき、このRFIDチップ45がHF帯域のものであれば、当該RFIDチップ45は前記コマンドに従って前記書込データを内蔵メモリに書き込む。次に、前記制御装置は、例えば読み出しコマンドをHF帯の電波に乗せて前記HFアンテナ101から前記RFIDチップ45へ送信する。すると、該RFIDチップ45は、内蔵メモリに記憶された前記データを出力するので、前記制御装置は前記HFアンテナ101を介してこれを受信し、前記書込データと読出データとを照合する。そして、この結果から前記RFIDチップ45がHF帯のものであるか否か、及び読み書き可能な正常品であるか否かを判断する。
【0055】
このとき、前記制御装置は、これと同時に、例えば書込コマンドと書込データとをUHF帯の電波に乗せて前記UHFアンテナ102から前記カード体2内蔵の前記RFIDチップ45へ送信する。このとき、このRFIDチップ45がUHF帯域のものであれば、当該RFIDチップ45は前記コマンドに従って前記書込データを内蔵メモリに書き込む。次に、前記制御装置は、例えば読み出しコマンドをUHF帯の電波に乗せて前記UHFアンテナ102から前記RFIDチップ45へ送信する。すると、該RFIDチップ45は、内蔵メモリに記憶された前記データを出力するので、前記制御装置は、前記UHFアンテナ102を介してこれを受信し、前記書込データと読出データとを照合する。そして、この結果から前記RFIDチップ45がUHF帯のものであるか否か、及び読み書き可能な正常品であるか否かを判断する。
【0056】
これにより、前記カード体2の搬送経路21中には、前記カード体2の検査を行う前記検査部41が設けられており、当該検査部41では、前記カード体2の向きを検査する向き検査機能と、前記カード体2の外観上の異常を検査する外観異常検査機能と、当該カード体2内蔵のRFIDチップ45の種類及び通信状態を検査するRFIDチップ検査機能とを備え、これらを同時に行われるように構成されている。
【0057】
この検査部41の下流側には、図1に示したように、反転機構111が設けられており、該反転機構111によって上流側から供給された前記カード体2を反転させて下流へ排出できるように構成されている。
【0058】
すなわち、図4に示すように、前記装置本体11の両側部には、左支持壁121及び右支持壁122が設けられており、両支持壁121,122間には、表裏反転部123が設けられている。この表裏反転部123は、前記左支持壁121に回動自在に設けられた左回転軸124と、前記右支持壁122に回動自在に支持された右回転軸125とによって回転自在に支持されている。
【0059】
前記左支持壁121を挿通して延出した前記左回転軸124の先端部には、従動プーリ131が設けられており、該従動プーリ131は、ベルト132を介して駆動プーリ133に接続されている。該駆動プーリ133は、前記装置本体11に設けられた表裏反転モータ134の出力軸に接続されており、該表裏反転モータ134によって前記表裏反転部123を前記両回転軸124,125が構成する回転中心軸135を中心として回動できるよう構成されている。
【0060】
前記左回転軸124には、反転角検出板141が設けられており、該反転角検出板141は、回転センサ142によって回転位置が検出されるように構成されている。この回転センサ142は、前記制御装置に接続されており、該制御装置は、前記回転センサ142での検出状態から前記表裏反転部123の回転角度を検出できるように構成されている。
【0061】
前記表裏反転部123は、前記左回転軸124に支持された左側壁151と、前記右回転軸125に支持された右側壁152と、両側壁151,152の下縁を連設する底面153と、前記両側壁151,152の上縁を連設する天面154とによってロ字状に形成されている。この天面154の前縁及び後縁には、図1及び図4に示しように、上方へ向けて折曲されたフランジ155,155が形成されており、両フランジ155,155間には、前記回転中心軸135を境とした前記底面153側と前記天面154側とのバランスを調整する為のウェイト156が取り付けられるウェイト取付部157が設定されている。該ウェイト取付部157は、ボルト挿通穴で構成されており、このウェイト取付部157には、板状の前記ウェイト156が前記ボルト挿通穴に挿通されたボルトによって固定され、前記回転中心軸135を境とした前記底面153側と前記天面154側とのバランスが均衡するように設定されている。
【0062】
前記底面153の中央部には、図4に示すように、前後回転部161が設けられている。該前後回転部161は、前後回転モータ162で駆動される回転ステージ163を備えており、該回転ステージ163のベース164は、前記底面153に固定されている。前記回転ステージ163のステージ165には、回転角検出板166が設けられており、該回転角検出板166は、前記ベース164に設けられた角度センサ167によって、その回転位置が検出されるように構成されている。この角度センサ167は、前記制御装置に接続されており、該制御装置は、前記角度センサ167での検出状態から前記ステージ165の回転角度を検出できるように構成されている。
【0063】
前記ステージ165には、図4及び図5に示すように、円板状の回転板171が固定されており、該回転板171には、前記カード体2を保持する前記カード保持部172が設けられている。
【0064】
具体的に説明すると、図5に示したように、前記回転板171には、左L字ブラケット181と右L字ブラケット182とが対向して設けられており、両L字ブラケット181,182は、前記カード体2の搬送方向71に沿って延設されている。両L字ブラケット181,182間には、一対の軸部183,183が両端部に架橋されており、各軸部183,183の中央部には、ゴム製の上部ローラ184,184が設けられている。
【0065】
前記右L字ブラケット182の側部には、図4に示したように、搬送モータ191が配設されており、該搬送モータ191の出力軸は、前記右L字ブラケット182より延出した上流側の前記軸部183に接続されている。
【0066】
前記回転板171の中央部には、矩形用の開口部201が開設されており、該開口部201にも、ゴム製の下部ローラ202を備えた軸部203が架橋している。これにより、上流より前記両L字ブラケット181,182間に供給されるとともに前記回転板171に沿って搬送される前記カード体2は、前記両L字ブラケット181,182に設けられた前記両上部ローラ184,184と前記回転板171に設けられた前記下部ローラ202とによって上下から挟持された状態で保持できるように構成されており、前記搬送モータ191で前記上部ローラ184を回動することで、両ローラ184,184,202間に保持された前記カード体2を下流に搬送できるように構成されている。
【0067】
前記カード保持部172を回転して該カード保持部172に保持されたカード体2の表裏を反転する為の前記回転中心軸135の延在方向は、図4及び図5に示すように、当該カード保持部172に保持される前記カード体2に沿って延設するとともに、該カード体2の搬送方向71と直交する方向に設定されており、図6の(a)から(b)に示すように、前記カード保持部172を前記表裏反転部123と共に回動することで、前記カード保持部172の回転に伴って当該カード保持部172に保持された前記カード体2の表裏を反転して下流側へ排出できるように構成されている。
【0068】
また、図4に示したように、前記カード保持部172に保持されたカード保持位置211での前記カード体2の厚み方向における前記回転中心軸135の位置は、図4及び図6に示したように、前記カード保持部172に保持された前記カード体2のカード保持位置211、つまり前記カード保持部172に保持されたカード体2の中心212と一致するように構成されており、図6の(a)に示すように、前記表裏反転部123を回転させない非反転状態213と、図6の(b)に示すように、前記表裏反転部123を回転させた反転状態214とにおいて、前記カード保持部172から排出されるカード体2を同じ高さ位置から排出できるように構成されている。
【0069】
さらに、図5に示したように、前記前後回転部161の回転中心221は、前記カード保持部172に保持される前記カード体2に対して直交方向に延在するように構成されており、前記前後回転部161を回転することで、前記カード保持部172に保持された前記カード体2の前後を反転して排出できるように構成されている。
【0070】
これにより、前記反転機構111は、前記カード体2の表裏を反転する表裏反転機能と、前記カード体2の前後を反転する前後反転機能を備えている。
【0071】
前記反転機構111の下流側には、図1に示したように、該反転機構111から供給されたカード体2を下流側へ送出する為の送出機構231が設けられており、該送出機構231は、前記検査部41にて正常と判断されるとともに、前記反転機構111で表裏及び前後の向きが一定方向に揃えられた正常カードを下流側へ送出するように構成されている。
【0072】
この送出機構231は、前記カード体2を上下から挟持する挟持ローラ241,241と、該挟持ローラ241,241を回動する図外の送出モータとによって構成されており、該送出モータは、前記制御装置に接続されている。これにより、該制御装置からの制御信号に従って前記挟持ローラ241,241を回動することで、当該挟持ローラ241,241で挟持された前記カード体2を下流側へ送出できるように構成されている。
【0073】
また、前記送出機構231の下側に位置する前記装置本体11の部位には、図7の(b)に示すように、カード体2を排出する為の排出レール251が設けられている。該排出レール251は、当該装置本体11の基端側から先端側へ向かうに従って下方へ傾斜するように配設されており、その基端が、前記反転機構111の前記表裏反転部123を所定の排出角度252に回転した状態で前記カード保持部172に保持されたカード体2の先端側に位置するように構成されている。
【0074】
これにより、前記表裏反転部123を前記排出角度252に回動した状態で、前記搬送モータ191で前記上部ローラ184を回動することで(図4参照)、該上部ローラ184と前記下部ローラ202とで挟持された前記カード体2を前記排出レール251へ送出できるように構成されている。
【0075】
前記送出機構231の下流側には、正常カード265を排出する為の正常カード排出部261が設けられており、該正常カード排出部261には、正常カードストッカ262が交換可能にセットされている。該正常カードストッカ262は、矩形容器状に形成されており、前記送出機構231から送出されたカード体2を上面開口部を介して内部に収容できるように構成されている。
【0076】
また、前記正常カード排出部261の下部には、異常カード275を排出する為の異常カード排出部271が設けられており、該異常カード排出部271には、異常カードストッカ272が交換可能にセットされている。該異常カードストッカ272は、前記正常カードストッカ262より高さの低い矩形容器状に形成されており、前記排出レール251に沿って滑り落ちてきたカード体2を上面開口部を介して内部に収容できるように構成されている。
【0077】
これにより、前記制御部が前記検査部41での検査結果に応じて前記反転機構111の前記前後回転モータ162を駆動して前記回転ステージ163を回転角度を制御することで、前記回転ステージ163で支持された前記カード保持部172を向きを180度の範囲内で回転制御するとともに、前記表裏反転モータ134の回転位置を制御することで、前記カード保持部172の送出側端部を前記送出機構231の入口へ向けた状態又は前記排出レール251へ向けた状態を形成できるように構成されている。
【0078】
具体的に説明すると、前記検査部41の向き検査機能で検査したカード体2の向きに応じて、前記前後回転部161又は前記表裏反転部123、あるいは両者161,123を回動することで、前記カード保持部172に保持されたカード体2を表向きにするとともに当該カード保持部172の送出側端部を前記送出機構231又は前記排出レール251へ向けられるように構成されている。
【0079】
また、前記検査部41の外観異常検査機能及びRFIDチップ検査機能で異常が発見されなかった場合、前記制御部は、前記カード保持部172に保持されたカード体2は正常カード265と判断して、前記カード保持部172の送出側端部を前記送出機構231の入口に合わせた角度で前記表裏反転部123を回動することで、当該カード体2を前記送出機構231を介して前記正常カード排出部261にセットされた前記正常カードストッカ262に収容できるように構成されている。
【0080】
そして、前記検査部41の外観異常検査機能又はRFIDチップ検査機能で異常が発見された場合、前記制御部は、前記カード保持部172に保持されたカード体2は異常カード275である判断して、前記カード保持部172の送出側端部を前記排出レール251に合わせた角度、すなわち前記表裏反転部123を前記排出角度252に回動することで、当該カード体2を前記異常カード排出部271にセットされた前記異常カードストッカ272に収容できるように構成されている。
【0081】
これにより、前記反転機構111は、前記検査部41による検査結果に応じて、前記カード体2を前記正常カード排出部261又は前記異常カード排出部271へ選択的に排出する選択排出機能を備えている。
【0082】
以上の構成にかかる本実施の形態において、当該カード検査装置1ではカード体2の搬送経路21が傾斜して設定されており、前記搬送経路21が水平に設定される一般の装置と比較して、図1に示したように、当該カード検査装置1の全長301を、前記搬送経路21の全長を示す搬送路長302より短くすることができる。
【0083】
これにより、処理工程の増加に伴って搬送経路21が長くなる場合であっても、装置本体11の全長301を抑えることができ、装置の小型化を図ることができる。したがって、設置場所の省スペース化を図ることができる。
【0084】
また、前記搬送経路21中にカード体2の検査を行う検査部41が設けられており、この検査部41は、カード体2の検査機能に加えて、カード体2の向きを検査する向き検査機能を備えている。
【0085】
これにより、前記検査部41において、カード体2の検査と、カード体2の向きの検査とを同時に行うことができる。
【0086】
このため、前記検査機能を備えた前記検査部41の他に、前記向き検査機能を備えた向き検査部を、前記搬送経路21上の他の部位に設ける場合と比較して、搬送経路21の全長を抑えることができ、装置の全長301を抑えることができる。
【0087】
これにより、装置の小型化、及び設置場所の省スペース化を図ることができる。
【0088】
さらに、前記検査部41の下流に設けられた反転機構111は、カード体2の表裏を反転する表裏反転機能と、カード体2の前後を反転する前後反転機能とを備えている。
【0089】
このため、前記検査部41において、搬送されるカード体2の表裏が逆さまであることが検出された際には、前記反転機構111の前記表裏反転機能によって表裏を反転し、正常な状態に戻すことができる。また、前記検査部41において、搬送されるカード体2の前後が逆さまであることが検出された際には、前記反転機構111の前記前後反転機能によって前後を反転し、正常な状態に戻すことができる。
【0090】
さらに、前記検査部41において、搬送されるカード体2の表裏が逆さまで、かつ前後が逆さまであると検出された際には、前記反転機構111の前記表裏反転機能及び前記前後反転機能によって表裏及び前後を反転することで、正常な状態に戻すことができる。
【0091】
これにより、前記カード供給部31のカートリッジ32内に表裏又は前後が逆さまのカードが混在する場合であっても、総てのカードを揃えた状態で排出することができる。
【0092】
そして、反転機構111は、前記表裏反転機能と前記前後反転機能とを備えている。このため、前記表裏反転機能を備えた機構と、前記前後反転機能を備えた機構とを前記搬送経路21上に併設する場合と比較して、搬送経路21の搬送路長302を抑えることができ、装置の全長301を抑えることができる。
【0093】
これにより、装置の小型化、及び設置場所の省スペース化を図ることができる。
【0094】
そして、このカード検査装置1には、正常カード265を排出する正常カード排出部261に正常カードストッカ262が交換可能セットされており、異常カード275を排出する異常カード排出部271に異常カードストッカ272が交換可能にセットされている。また、前記反転機構111は、前記カード体2を前記正常カード排出部261の前記正常カードストッカ262又は前記異常カード排出部271の前記異常カードストッカ272へ選択的に排出する選択排出機能を備えている。
【0095】
このため、カード体2が正常であるか否かを検査した検査結果に応じて、当該カード体2を、前記反転機構111が有する選択排出機能によって正常カード265又は異常カード275として仕分けして、前記正常カード排出部261又は前記異常カード排出部271へ排出することができる。
【0096】
これにより、後処理が容易となり、利便性の向上を図ることができる。
【0097】
このとき、前記仕分けは、カード体2を反転する前記反転機構111によって行われる。このため、当該反転機構111を有効活用できるとともに、該反転機構111の他に仕分けを行う仕分け機構を設ける場合と比較して、前記搬送経路21の搬送経路長302を抑えることができ、装置の全長301を抑えることができる。
【0098】
これにより、さらなる装置の小型化、及び設置場所の省スペース化を図ることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 カード検査装置
2 カード体
21 搬送経路
41 検査部
111 反転機構
261 正常カード排出部
265 正常カード
271 異常カード排出部
275 異常カード
301 全長
302 搬送路長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード体を上流側から下流側へ搬送する工程で検査が行われるカード検査装置であって、
上流側から下流側へ搬送される前記カード体の搬送経路を傾斜して設定したことを特徴とするカード検査装置。
【請求項2】
前記搬送経路中に、前記カード体の検査を行う検査部を設け、
搬送されたカード体の向きを検査する向き検査機能を前記検査部に設けたことを特徴とする請求項1記載のカード検査装置。
【請求項3】
前記カード体の表裏を反転する表裏反転機能及び前記カード体の前後を反転する前後反転機能を有する反転機構を前記検査部の下流に設けたことを特徴とする請求項2記載のカード検査装置。
【請求項4】
正常と判断された正常カードを排出する正常カード排出部と、異常と判断された異常カードを排出する異常カード排出部とを設け、
検査結果に応じて前記カード体を前記正常カード排出部又は前記異常カード排出部へ選択的に排出する選択排出機能を前記反転機構に設けたことを特徴とする請求項3記載のカード検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−238127(P2012−238127A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105825(P2011−105825)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000210964)中央電子株式会社 (81)
【Fターム(参考)】