説明

カード洗浄装置およびカード作成装置

【課題】カード表面に付着した不要物を効果的かつ確実に除去することが可能なカード洗浄装置およびカード作成装置を提供する。
【解決手段】カード洗浄装置11は、カード10を移送する移送機構32と、移送機構32の上方に設けられ、カード10の表面10aの不要物Dを除去する除去機構12とを備えている。このうち除去機構12は、上下方向に延びるブレード13と、ブレード13の下端13bに設けられた二股ブレード14とを有している。二股ブレード14をブレード13の下端13bから見て下方かつ移送方向上流側に傾斜させることにより、カード10の表面10aの不要物Dを効果的に除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード表面の不要物を除去するカード洗浄装置およびこのようなカード洗浄装置を備えたカード作成装置に係り、とりわけカード表面に付着した不要物を効果的かつ確実に除去することが可能なカード洗浄装置およびカード作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、社員カード、銀行カード、運転免許証等のカードを作製するため、カードに対して必要な文字および顔画像等を印字するカード作成装置が用いられている(特開2003−1977号公報参照)。
【0003】
このようなカード作成装置においては、カードに印刷を施す前に、予めカード表面に付着したゴミ等を除去しておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−1977号公報
【特許文献2】特開平3−116063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開平3−116063号公報には、像担持体表面に残留したトナーを除去するブレードが記載されている。しかしながら、このようなブレードを上述したカード作成装置にそのまま用いたとしても、カード表面に付着した不要物を十分に除去することができない。その理由は、カード表面に付着した不要物の中には接着剤のように粘着性の高いものがあり、このようなブレードでは粘着性の高い不要物を十分に除去することができないからである。
【0006】
他方、カード作成装置においては、粘着性の高い不要物を除去するために固いブレードを用いることも考えられる。しかしながら、ブレードを固くした場合、カードの円滑な移送が妨げられたり、カードに傷が付いてしまったりするという問題が生じる。
【0007】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、カード表面に付着した不要物を効果的かつ確実に除去することが可能なカード洗浄装置およびカード作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、カード表面の不要物を除去するカード洗浄装置において、カードを移送する移送機構と、移送機構上方に設けられ、カード表面の不要物を除去する除去機構とを備え、除去機構は、上下方向に延びるブレードと、ブレード下端に設けられた二股ブレードとを有することを特徴とするカード洗浄装置である。
【0009】
本発明は、二股ブレードは、ブレード下端から下方に延びる延長部と、ブレード下端からカードの移送方向上流側へ突出する除去ブレードとからなることを特徴とするカード洗浄装置である。
【0010】
本発明は、除去ブレードは、ブレード下端から水平方向に突出していることを特徴とするカード洗浄装置である。
【0011】
本発明は、カード表面の不要物を除去するカード洗浄装置において、カードを移送する移送機構と、移送機構上方に設けられ、カード表面の不要物を除去する除去機構とを備え、除去機構は、上下方向に延びる取付部材と、取付部材に設けられた二股ブレードとを有し、二股ブレードは、一体となって取付部材に対して回動自在に取り付けられ、かつ付勢手段によりカードの移送方向上流側に向けて付勢され、ストッパにより基本位置に係止されていることを特徴とするカード洗浄装置である。
【0012】
本発明は、二股ブレードは、上下方向に延びるブレードと、ブレードに対して直角に配置されるとともに、カードの移送方向上流側に突出する除去ブレードとからなり、基本位置においてブレードが垂直方向を向き、かつ除去ブレードが水平方向を向くことを特徴とするカード洗浄装置である。
【0013】
本発明は、除去ブレードは、側方断面において先端に向かって鋭角をもつ先端突起を有することを特徴とするカード洗浄装置である。
【0014】
本発明は、除去ブレードは、ポリエチレン、ポリスチレン、またはポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とするカード洗浄装置である。
【0015】
本発明は、カード洗浄装置と、カード洗浄装置の除去機構下流側に設けられ、カード洗浄装置の移送機構によって移送されてきたカードに対して印刷を施す印刷部とを備えたことを特徴とするカード作成装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、除去機構のブレード(取付部材)に二股ブレードを設けたので、この二股ブレードによってカード表面に付着した不要物を効果的かつ確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態によるカード洗浄装置を示す斜視図。
【図2】図2(a)−(c)は、本発明の第1の実施の形態によるカード洗浄装置の作用を示す図。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態によるカード作成装置を示す図。
【図4】図4(a)−(c)は、本発明の第1の実施の形態によるカード洗浄装置の変形例を示す図。
【図5】図5(a)−(c)は、除去ブレードの変形例を示す側方断面図。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態によるカード洗浄装置を示す斜視図。
【図7】図7(a)−(c)は、本発明の第2の実施の形態によるカード洗浄装置の作用を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の実施の形態
以下、本発明の第1の実施の形態について、図1乃至図5を参照して説明する。図1乃至図5は、本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【0019】
まず、図1により、本発明の第1の実施の形態によるカード洗浄装置の概略について説明する。
【0020】
本実施の形態によるカード洗浄装置は、カード10の表面10aに付着する不要物Dを除去するものである。
【0021】
このようなカード洗浄装置11は、図1に示すように、カード10を所定の移送方向(図1の矢印方向)に沿って移送する移送機構32と、移送機構32上方に設けられ、カード10の表面10aに付着する不要物Dを除去する除去機構12とを備えている。
【0022】
このうち移送機構32は、水平に載置されたカード10を直線的に搬送する機構であれば良く、例えば従来から使用されているカード搬送装置等を用いることができる。
【0023】
除去機構12は、上端13aにおいて固定物37に固定されるとともに上下方向に延びるブレード13と、ブレード13の下端13bに設けられた二股ブレード14とを有している。
【0024】
また二股ブレード14は、ブレード13の下端13bから下方に延びる延長部15と、ブレード13の下端13bからカード10の移送方向上流側(図1の右側)へ突出する除去ブレード16とからなっている。
【0025】
この場合、除去ブレード16は、ブレード13の下端13bから水平方向に突出しており、すなわち延長部15と除去ブレード16とのなす角は直角となっている。
【0026】
本実施の形態において、除去機構12を構成するブレード13、延長部15、および除去ブレード16は一体として構成されている。これらブレード13、延長部15、および除去ブレード16は、移送されてきたカード10によって曲げられるよう、柔軟性を有する材料からなることが好ましい。このような材料としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂を挙げることができる。
【0027】
ところで、延長部15と移送機構32との間には、隙間17が形成されている。この隙間17の垂直方向の距離hは、カード10の厚みt(例えば0.5mm〜0.8mm)より狭くする必要がある。具体的には、例えばカード10の厚みtの50%〜70%(すなわち0.5t〜0.7t)とすることができる。
【0028】
また図1において、ブレード13(および延長部15)の厚みtは、例えば0.1mm〜0.4mmとすることができ、除去ブレード16の厚みtは、例えば0.1mm〜0.4mmとすることができる。
【0029】
なお、本実施の形態による除去機構12において、上述したように、ブレード13と二股ブレード14とは一体に構成されているが、これに限らず、ブレード13と二股ブレード14とを別体として作成した後、これらを互いに連結しても良い。
【0030】
本実施の形態において、ブレード13は、補強部材42を介して、ボルト、ネジ等からなる複数(図1では2つ)の取付部材43により固定物37に固定されている。すなわちブレード13の上端13aは、補強部材42と固定物37との間に挟持されている。この場合、補強部材42は、細長い板材等からなるとともに、ブレード13の幅方向に沿って延びている。
【0031】
ブレード13を固定物37に固定する場合、このように補強部材42を介在させることは以下の理由に基づく。すなわちブレード13が柔軟な部材からなる場合であっても、補強部材42を介在させていることにより、ネジ等の取付部材43を締め付けた際、ブレード13が破損するおそれがない。また、ブレード13がうねりを伴った状態で固定物37に固定されるおそれがない。さらに、複数の取付部材43によりブレード13を固定する場合であっても、ブレード13がたわむことがないので、ブレード13がカード10に当たる力がカード10の幅方向にばらつくおそれがない。
【0032】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について、図2(a)−(c)を用いて説明する。
【0033】
まず図2(a)に示すように、表面10aに不要物Dが付着したカード10が、移送機構32によって所定の移送方向(図2(a)の矢印方向)に沿って移送され、除去機構12の下方近傍に到達する。この場合、移送機構32によるカード10の移送速度は、例えば12.2mm/s〜36.6mm/sとすることができる。なお不要物Dとしては、カード10の表面10aに単に載置されている小片やほこり等のゴミのほか、接着剤のように粘着性が高いものであっても良い。
【0034】
次に、カード10の前端10bが、二股ブレード14の延長部15に当接する。続いて、カード10が更に下流側に移送されることにより、延長部15はカード10の前端10bによって押され、移送方向下流側に移動する。これに伴って、二股ブレード14の除去ブレード16は、ブレード13の下端13b近傍を中心として下方に向けて回動する(図2(b))。
【0035】
このとき、除去ブレード16は、ブレード13の下端13bから見て、下方かつ移送方向上流側に傾斜した状態で、カード10の表面10aに当接する。
【0036】
その後、カード10は、移送機構32によって更に下流側に移送される。この際、除去ブレード16は、ブレード13の下端13bから見て下方かつ移送方向上流側に傾斜した状態のままで、カード10の表面10aを摺動する。これにより、カード10の表面10aに付着した不要物Dは、除去ブレード16によってこすり取られ、カード10の表面10aから除去される(図2(c))。
【0037】
このようにして不要物Dが取り除かれたカード10は、その後、移送機構32によって次工程に向けて下流側に移送されていく。
【0038】
以上説明したように本実施の形態によれば、除去機構12は、上下方向に延びるブレード13と、ブレード13の下端13bに設けられた二股ブレード14とを有している。また二股ブレード14は、ブレード13の下端13bから下方に延びる延長部15と、ブレード13の下端13bからカード10の移送方向上流側へ突出する除去ブレード16とからなっている。
【0039】
このような構成により、カード10が移送機構32によって移送方向下流側に移送される際、除去ブレード16を、ブレード13の下端13bから見て下方かつ移送方向上流側に傾斜させた状態でカード10の表面10aに当接させることができる。このことにより、カード10の表面10aに付着した不要物Dを効果的かつ確実に剥離除去することができる。
【0040】
この場合、カード10の移送と二股ブレード14のたわみのみを利用して除去ブレード16を傾斜させることができるので、複雑な機構が必要となることもない。
【0041】
また本実施の形態によれば、ブレード13、延長部15、および除去ブレード16は、ポリエチレン、ポリスチレン、またはポリエチレンテレフタレートからなっていても良い。この場合、延長部15および除去ブレード16を一体として容易に回動させることができ、移送機構32によるカード10の移送が妨げられることがない。また、除去ブレード16によってカード10の表面10aが傷付けられるおそれもない。
【0042】
ところで、このようなカード洗浄装置11が設けられる場所は問わないが、例えばカード作成装置の内部に設置することもできる。以下、このようなカード作成装置(カード用プリンタ)の概略について図3を用いて説明する。
【0043】
本実施の形態によるカード作成装置40は、例えばICチップ10cを含むカード(ICカードともいう)10に対して各個人の情報等を印字し、ICチップ10c内に各種情報を書込んで、例えば社員カード、銀行カード、運転免許証等のカード10を作製するものである。
【0044】
このようなカード作成装置40は図3に示すように、ケーシング20と、ケーシング20内上部に設けられカード10を積層して収納するカード用スタッカ21と、カード用スタッカ21からのカード10を搬送する上述した移送機構32(以下第1移送機構32ともいう)と、第1移送機構32に沿って配置されカード10の表面に顔画像情報を印字するY印刷部22、M印刷部23およびC印刷部24とを有している。このうちY印刷部22はカード10の表面10aにイエロー印刷を施すものであり、M印刷部23はカード10の表面10aにマゼンタ印刷を施すものであり、C印刷部24はカード10の表面10aにシアン印刷を施すものである。
【0045】
またC印刷部24の下流側には、Y印刷部22、M印刷部23およびC印刷部24によって印刷されたインキをカード10の表面10aに定着させるインキ定着部25が設けられている。さらにインキ定着部25の下流側には、カード10の表面に黒色の文字情報等を印字する表面印字部26が設けられている。
【0046】
表面印字部26を通過したカード10は第1移送機構32から第1リーダライタ27および裏面印字部28へ送られた後、ケーシング20下方にある第2移送機構33へ送られる。このうち、第1リーダライタ27は、カード10のICチップ10cに情報を書込むものであり、裏面印字部28はカード10の裏面に文字情報等を印字するものである。
【0047】
さらに第2移送機構33に沿って、カード10の表面10aを保護するためカード10の表面上に第1保護シート(図示せず)を設ける第1保護シート形成部29が設けられ、第1保護シート形成部29の下流側に第1保護シート上に更に第2保護シート(図示せず)を設ける第2保護シート形成部30が設けられている。
【0048】
また第2移送機構33の下流側には、カード10を受け取り、集積部35a、35b、35cへカード10を振分ける振分け機構34が設けられている。
【0049】
なお、カード作成装置40は制御部31を有しており、カード作成装置40における各構成部分は、この制御部31により駆動制御される。
【0050】
ところで、図3に示すカード作成装置40において、第1移送機構32と、第1移送機構32上方に設けられた除去機構12とにより、図1に示すカード洗浄装置11が構成されている。
【0051】
この場合、除去機構12は、カード用スタッカ21とY印刷部22との間に設けられている。しかしながらこれに限らず、除去機構12は、カード用スタッカ21とY印刷部22との間、Y印刷部22内(点P)、M印刷部23内(点P)、C印刷部24内(点P)、インキ定着部25内(点P)、および表面印字部26内(点P)の全てまたは一部に設けられていても良い。すなわち、印刷部(Y印刷部22、M印刷部23、C印刷部24、インキ定着部25、および表面印字部26)のうち少なくとも1つが、除去機構12の下流側に位置していれば良い。
【0052】
なお、上述した実施の形態においては、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0053】
すなわち本実施の形態においては、二股ブレード14の延長部15は、ブレード13の下端13bから垂直方向下方に延び、かつ二股ブレード14の除去ブレード16は、ブレード13の下端13bから水平方向に突出している。
【0054】
しかしながらこれに限らず、図4(a)に示すように、延長部15が、ブレード13の下端13bから垂直方向下方に延びるとともに、除去ブレード16が、ブレード13の下端13bからカード10の移送方向上流側へ向けて斜め下方に突出するようになっていても良い。
【0055】
あるいは、図4(b)に示すように、延長部15が、ブレード13の下端13bからカード10の移送方向下流側へ向けて斜め下方に延びるとともに、除去ブレード16が、ブレード13の下端13bからカード10の移送方向上流側へ向けて斜め下方に突出するようになっていても良い。
【0056】
あるいはまた、図4(c)に示すように、ブレード13および延長部15が、ともにカード10の移送方向下流側へ向けて斜め下方に延びるとともに、除去ブレード16が、ブレード13の下端13bからカード10の移送方向上流側へ向けて斜め下方に突出するようになっていても良い。
【0057】
また本実施の形態においては、二股ブレード14の除去ブレード16は、その側方断面において長方形形状を有している。しかしながらこれに限らず、図5(a)−(c)に示すように、除去ブレード16は、その側方断面において先端に向かって鋭角をもつ先端突起18を有していても良い。
【0058】
すなわち、図5(a)に示すように、除去ブレード16は、その端部16aから上方向、下方向、および水平方向にそれぞれ突出する3つの先端突起18を有していても良い。
【0059】
また、図5(b)に示すように、除去ブレード16は、その端部16aから上方向および下方向にそれぞれ突出する2つの先端突起18を有していても良い。
【0060】
あるいはまた、図5(c)に示すように、除去ブレード16は、その端部16aから水平方向に突出する2つの先端突起18を有していても良い。
【0061】
このように除去ブレード16の端部16aに先端突起18を設けることにより、除去ブレード16がカード10の表面10aに当たる角度を調整することができ、これによりカード10の表面10aに付着した不要物を更に効果的に除去することができる。
【0062】
さらに本実施の形態においては、ブレード13および延長部15は、全体として均一な厚みtを有している。しかしながらこれに限らず、ブレード13の下端13b付近の厚みを部分的に薄くすることにより、カード10の前端10bが延長部15に当接した際、二股ブレード14がブレード13に対して回動しやすいようにしても良い。
【0063】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について図6および図7を参照して説明する。図6および図7は、本発明の第2の実施の形態を示す図である。図6および図7において、図1乃至図5に示す第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0064】
まず、図6により、本実施の形態によるカード洗浄装置の概略について説明する。
【0065】
図6に示すカード洗浄装置51は、カード10を所定の移送方向(図6の矢印方向)に沿って移送する移送機構32と、移送機構32上方に設けられ、カード10の表面10aに付着する不要物Dを除去する除去機構52とを備えている。
【0066】
このうち除去機構52は、上端53aにおいて固定物37に固定されるとともに上下方向に延びる取付部材53と、取付部材53の下端53bに設けられた二股ブレード54とを有している。
【0067】
取付部材53は、それぞれ上方から垂設されるとともにカード10の移送方向に対して平行に位置する一対の側壁53c、53dを有している。
【0068】
また二股ブレード54は、一体となって取付部材53に対して回動自在に取り付けられている。すなわち二股ブレード54は、一対の支点58を介して取付部材53の側壁53c、53dに回動自在に取り付けられており、すなわちカード10の前端10bに平行に延びる軸線Yを中心として回動可能となっている。
【0069】
また二股ブレード54は、付勢手段57によりカード10の移送方向上流側に向けて付勢されている。すなわち二股ブレード54は、図6に示すように、カード10の移送方向に対して左側方から見た場合、反時計方向に回転付勢されている。なお、図6において付勢手段57はコイルばね(引張りばね)からなっているが、これに限らず、例えば板ばねや渦巻きばね等からなっていても良い。
【0070】
さらに、取付部材53の一方の側壁53d内側にはストッパ59が取り付けられており、このストッパ59により、二股ブレード54は基本位置(図6および図7(a)参照)に係止される。なお、基本位置とは、二股ブレード54にカード10が当接していない場合における、二股ブレード54の位置である。
【0071】
また二股ブレード54は、上下方向に延びるブレード55と、ブレード55に対して直角に配置されるとともに、カード10の移送方向上流側に突出する除去ブレード56とからなっている。なおこの場合、図6に示す基本位置においては、ブレード55が垂直方向を向き、かつ除去ブレード56が水平方向を向くようになっている。
【0072】
本実施の形態において、上述したように、二股ブレード54のブレード55と除去ブレード56とは一体として構成されている。これらブレード55および除去ブレード56は、例えばポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂から作成することができる。
【0073】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について、図7(a)−(c)を用いて説明する。
【0074】
まず図7(a)に示すように、表面10aに不要物Dが付着したカード10が、移送機構32によって所定の移送方向(図7(a)の矢印方向)に沿って移送され、除去機構52の下方近傍に到達する。この際、二股ブレード54は、付勢手段57によりカード10の移送方向上流側に向けて付勢されており、ストッパ59に当接することにより基本位置に係止されている。
【0075】
次に、カード10の前端10bが二股ブレード54のブレード55表面に当接する。続いて、カード10が更に下流側に移送されることにより、ブレード55は、カード10の前端10bによって押され、移送方向下流側に移動する。この結果、二股ブレード54のブレード55および除去ブレード56は、付勢手段57の付勢力に抗して、一体となって支点58を中心として移送方向下流側に回動する(図7(b)の時計回り方向)。
【0076】
この結果、二股ブレード54の除去ブレード56は、支点58から見て下方かつ移送方向上流側に傾斜した状態で、カード10の表面10aに当接する。
【0077】
その後、カード10は、移送機構32によって更に下流側に移送される。この際、除去ブレード56は、支点58から見て下方かつ移送方向上流側に傾斜した状態のままカード10の表面10aを摺動する。これにより、カード10の表面10aに付着した不要物Dは、除去ブレード56によってこすり取られ、カード10の表面10aから除去される(図7(c))。
【0078】
このようにして不要物Dが取り除かれたカード10は、その後、移送機構32によって次工程に向けて下流側に移送されていく。
【0079】
以上説明したように本実施の形態によれば、除去機構52は、取付部材53と、取付部材53に設けられた二股ブレード54とを有している。このうち二股ブレード54は、一体となって取付部材53に対して回動自在に取り付けられ、かつ付勢手段57によりカード10の移送方向上流側に向けて付勢されている。
【0080】
このような構成により、カード10が移送機構32によって移送方向下流側に移送される際、除去ブレード56を、支点58から見て下方かつ移送方向上流側に傾斜させた状態で、カード10の表面10aに当接させることができる。このことにより、カード10の表面10aに付着した不要物Dを効果的かつ確実に剥離除去することができる。
【0081】
なお、このようなカード洗浄装置51が設けられる場所としては、例えば上述したカード作成装置40(図3参照)の内部であっても良い。このようなカード作成装置40については図3を用いて既に説明したので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0082】
なお、本実施の形態においても、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0083】
すなわち本実施の形態においては、付勢手段57の一端は、二股ブレード54のうち除去ブレード56に取り付けられている。しかしながらこれに限らず、付勢手段57の一端を、二股ブレード54のうちブレード55に取り付けても良い。この場合、付勢手段57を圧縮ばねから構成しても良い。
【0084】
また本実施の形態において、二股ブレード54が基本位置にあるとき、二股ブレード54の除去ブレード56がストッパ59に係止するようになっている。しかしながらこれに限らず、二股ブレード54のブレード55に係止するようにストッパ59を配置しても良い。
【0085】
また本実施の形態において、二股ブレード54のブレード55と除去ブレード56とがなす角は直角となっているが、これに限らず、鈍角または鋭角としても良い。
【0086】
さらに本実施の形態においても、図5(a)−(c)を用いて既に説明した変形例と同様、除去ブレード56は、その側方断面において先端に向かって鋭角をもつ1つまたは複数の先端突起を有していても良い。
【符号の説明】
【0087】
10 カード
11 カード洗浄装置
12 除去機構
13 ブレード
14 二股ブレード
15 延長部
16 除去ブレード
18 先端突起
32 移送機構
37 固定物
40 カード作成装置
51 カード洗浄装置
52 除去機構
53 取付部材
54 二股ブレード
55 ブレード
56 除去ブレード
57 付勢手段
59 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード表面の不要物を除去するカード洗浄装置において、
カードを移送する移送機構と、
移送機構上方に設けられ、カード表面の不要物を除去する除去機構とを備え、
除去機構は、上下方向に延びるブレードと、ブレード下端に設けられた二股ブレードとを有することを特徴とするカード洗浄装置。
【請求項2】
二股ブレードは、ブレード下端から下方に延びる延長部と、ブレード下端からカードの移送方向上流側へ突出する除去ブレードとからなることを特徴とする請求項1記載のカード洗浄装置。
【請求項3】
除去ブレードは、ブレード下端から水平方向に突出していることを特徴とする請求項2記載のカード洗浄装置。
【請求項4】
カード表面の不要物を除去するカード洗浄装置において、
カードを移送する移送機構と、
移送機構上方に設けられ、カード表面の不要物を除去する除去機構とを備え、
除去機構は、上下方向に延びる取付部材と、取付部材に設けられた二股ブレードとを有し、
二股ブレードは、一体となって取付部材に対して回動自在に取り付けられ、かつ付勢手段によりカードの移送方向上流側に向けて付勢され、ストッパにより基本位置に係止されていることを特徴とするカード洗浄装置。
【請求項5】
二股ブレードは、上下方向に延びるブレードと、ブレードに対して直角に配置されるとともに、カードの移送方向上流側に突出する除去ブレードとからなり、基本位置においてブレードが垂直方向を向き、かつ除去ブレードが水平方向を向くことを特徴とする請求項4記載のカード洗浄装置。
【請求項6】
除去ブレードは、側方断面において先端に向かって鋭角をもつ先端突起を有することを特徴とする請求項2、3または5記載のカード洗浄装置。
【請求項7】
除去ブレードは、ポリエチレン、ポリスチレン、またはポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする請求項2、3、5または6記載のカード洗浄装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項記載のカード洗浄装置と、
カード洗浄装置の除去機構下流側に設けられ、カード洗浄装置の移送機構によって移送されてきたカードに対して印刷を施す印刷部とを備えたことを特徴とするカード作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−126189(P2011−126189A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287986(P2009−287986)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】