説明

カード用コネクタ及びコンタクト

【課題】瞬断が防止可能なカード用コネクタ及びコンタクトを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、ハウジング1、カバー2、及び複数のコンタクト31・32を備える。ハウジング1は、カード1cが挿入される凹部11と、凹部11に開口された窓部12を有し、プリント基板1pに実装される。カバー2は、カード1cの板厚方向の移動を規制する。コンタクト31・32は、ハウジング1に配列され、カード1cに接続できる。コンタクト31・32は、固定片3a、弾性片3b、及び延在片3cを有する。固定片3aは、ハウジング1に固定されている。弾性片3bは、固定片3aから上り傾斜するように窓部12に延び、カード1cの接続端子に接触する接点3pを頂き部に設ける。延在片3cの先端縁が停止されて、接点3pが所定の接触圧をカード1cの接続端子に付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタ及びコンタクトに関する。特に、SIM(Subscriber Identity Module:加入者識別モジュール)カードなどのメモリカードと電気的に接続するコネクタ及びコンタクトの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
カード型の記憶装置であるメモリカードは、記憶媒体としてフラッシュメモリを採用している。メモリカードは非常に小型であり、データの読み書きにほとんど電力を消費しないため、例えば、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistance)に代表される携帯型情報機器用の記録メディアとして普及している。
【0003】
近年においては、携帯電話機には、情報管理用のメモリカードと記録用のメモリカードとが搭載されている。前者の情報管理用のメモリカードは、例えばSIMカードであり、後者の記録用のメモリカードは、例えばSD(Secure Digital)カードである。
【0004】
SIMカードには、携帯電話会社と契約した契約者情報が記録されている。そして、SIMカードを携帯電話機に差し込むと、利用者を識別できる。つまり、SIMカードを差し替えることにより、同じ契約者扱いで機種の異なる携帯電話機を利用できる。
【0005】
一般に、SIMカードの一方の面上には、複数の接続端子が露出している。そして、SIMカード用コネクタに備わるベローズ形のコンタクトがこれらの接続端子を付勢することにより、SIMカードとSIMカード用コネクタとが電気的に接続している。
【0006】
前述したカード用コネクタとしては、ベローズ形のコンタクトのリード部を平面視でハウジング内に収めて、プリント基板に表面実装するコネクタであって、プリント基板への実装面積を大幅に小さくして、電子機器の小型化を実現できるカード用コネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1によるカード用コネクタは、窓部が開口した板状のハウジングと、窓部に対応して配置され、ハウジングに基端部が固定された複数のコンタクトと、を備えている。コンタクトは、窓部の上面付近でハウジングの厚さ方向に弾性変形可能な接触部と、平面視で窓部の内部に設けられたリード部と、を有している。そして、リード部は、平面視で接触部に対して横にずれるように、コンタクトの固定端から分岐している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−195466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1によるカード用コネクタは、カードが挿入された状態では、コンタクトの接触部(接点)がカードの接続端子を弾性接触している。したがって、このカード用コネクタを内蔵する携帯電話機を不用意に落下させると、コンタクトの接触部が変位して、カードとコンタクトの接続が瞬間的に断絶される、いわゆる瞬断が発生するという問題があった。このため、カードの内部のメモリへの書き込みが断絶し、携帯電話機を引き続き利用するためには、電源を再投入する必要があり、不便であった。
【0010】
衝撃などによる、コンタクトとカードとの瞬断が防止できるカード用コネクタが実現できれば、カードの内部のメモリへの書き込みが断絶することなく、携帯電話機などを引き続き利用でき、便利である。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、カードの接続端子との瞬断が防止可能なカード用コネクタ及びコンタクトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、カードの接続端子への接触圧が確保され、衝撃などで容易に変位しないようにコンタクトの構造を改善することにより、カードとの瞬断が防止可能なことを見出し、これに基づいて、以下のような新たなカード用コネクタ及びコンタクトを発明するに至った。
【0013】
(1) カードが挿入される凹部、及びこの凹部に開口された窓部を有し、プリント基板に実装される平板状のハウジングと、前記カードの一方の面が前記凹部の底面と所定の間隙を維持するように、当該カードの板厚方向の移動を規制する規制部材と、前記ハウジングに配列されて前記カードに接続する複数のコンタクトと、を備え、前記コンタクトは、前記ハウジングに固定される固定片と、この固定片から上り傾斜するように前記窓部に延びて、前記カードの接続端子に接触する接点を頂き部に設ける弾性変形が可能な弾性片と、前記弾性片の頂き部から前記窓部に向かう延在片と、を有し、この延在片の先端縁が停止されて、前記接点が所定の接触圧を前記カードの接続端子に付与するカード用コネクタ。
【0014】
(1)の発明によるカード用コネクタは、平板状のハウジング、規制部材、及び複数のコンタクトを備えている。ハウジングは、カードが挿入される凹部と、この凹部に開口された窓部を有し、プリント基板に実装されている。規制部材は、カードの一方の面が凹部の底面と所定の間隙を維持するように、カードの板厚方向の移動を規制する。複数のコンタクトは、ハウジングに配列されており、カードに接続できる。
【0015】
コンタクトは、固定片、弾性変形が可能な弾性片、及び延在片を有している。固定片は、ハウジングに固定されている。弾性片は、固定片から上り傾斜するように窓部に延びている。又、弾性片は、カードの接続端子に接触する接点を頂き部に設けている。延在片は、弾性片の頂き部から窓部に向かっている。そして、延在片の先端縁が停止されて、接点が所定の接触圧をカードの接続端子に付与する。
【0016】
ハウジングは、絶縁性を有している。絶縁性のハウジングとは、非導電性の材料からなるハウジングのことであってよく、合成樹脂を成形して、所望の形状の絶縁性のハウジングを得ることができる。
【0017】
ハウジングには、カードの両端縁を案内する一対の側壁を設けてよく、これらの側壁で囲まれた空間を凹部とすることができる。カードの先端縁に当接して、カードを停止させる停止壁を凹部に設けてもよい。凹部にカードが挿入されるとは、カードを直接、凹部に差し込む形態を含むことができ、トレイにカードを載置して、このトレイをカードと共に凹部に差し込む形態を含むことができる。
【0018】
窓部は、一つでもよく、コンタクトの数量に対応して、複数に区画してもよい。窓部は凹部に開口されるとは、凹部の底面からプリント基板の一方の面(実装面)に貫通する形態を含み、凹部の底面から段差を形成して窪んだ形態を含むことができる。
【0019】
プリント基板は、硬質のリジッド基板を含み、軟質のフレキシブル基板を含むことができる。又、プリント基板は、片面のみにパターンがある片面基板を含むことができ、両面にパターンがある両面基板を含むことができ、絶縁体とパターンを積み重ねた多層基板を含むことができる。
【0020】
規制部材は、凹部を覆う導電性のカバー板であってよく、凹部を覆って、カード用コネクタの外殻を構成する導電性のシェルであってもよい。カードの一方の面とは、接続端子となる区画されたパターンが露出している面を示し、コンタクトに付勢されたカードが板厚方向の移動を規制されて、コンタクトが所定の接触圧を得ることができる。
【0021】
コンタクトは導電性を有しており、導電性の金属板を打ち抜き加工又は折り曲げ加工して、所望の形状の導電性のコンタクトを得ることができる。コンタクトは加工の容易性や、ばね特性、導電性などを考慮すれば、例えば、銅合金が好ましく用いられるが、銅合金に限定される訳ではない。
【0022】
コンタクトは、ベローズ形コンタクト、又はカンチレバーコンタクトと呼ばれる、片持ち状の板ばねからなることが好ましい。固定片はハウジングに固定されるとは、固定片がハウジングに圧入される形態を含み、固定片がハウジングにモールドされる一体成形の形態を含むことができる。固定片には、プリント基板にハンダ接合されるリード部を形成することが好ましい。
【0023】
延在片の先端縁が停止されるとは、コンタクトの先端縁が固定片から分岐した分岐片の先端部に当接して停止する形態を含むことができ、コンタクトの先端縁がプリント基板のレジスト部(絶縁被膜部)に当接して停止する形態を含むことができ、コンタクトの先端縁が凹部の底面(窓部の底面)に当接して停止する形態を含むことができる。
【0024】
(1)の発明によるカード用コネクタは、カードが挿入されると、コンタクトの先端縁が停止されると共に、コンタクトの接点が所定の接触圧をカードの接続端子に付与するように構成している。したがって、落下などの衝撃力でコンタクトに加速度が作用しても、コンタクトは容易に変位(変形)しない。つまり、衝撃などによる、コンタクトとカードとの瞬断を防止できる。
【0025】
(2) カードが挿入される凹部、及びこの凹部に開口された窓部を有し、プリント基板に実装される平板状のハウジングと、前記カードの一方の面が前記凹部の底面と所定の間隙を維持するように、当該カードの板厚方向の移動を規制する規制部材と、を備えるカード用コネクタに設けられ、前記ハウジングに配列されて前記カードに接続する複数のコンタクトであって、前記ハウジングに固定される固定片と、この固定片から上り傾斜するように前記窓部に延びて、前記カードの接続端子に接触する接点を頂き部に設ける弾性変形が可能な弾性片と、前記弾性片の頂き部から前記窓部に向かう延在片と、前記固定片から分岐して、前記弾性片が延びる方向と略平行に前記窓部に延びる第1分岐片と、を有し、この第1分岐片は、前記延在片の先端縁が停止されて、前記接点が所定の接触圧を前記カードの接続端子に付与する規制片を先端部に有するコンタクト。
【0026】
(3) カードが挿入される凹部、及びこの凹部に開口された窓部を有し、プリント基板に実装される平板状のハウジングと、前記カードの一方の面が前記凹部の底面と所定の間隙を維持するように、当該カードの板厚方向の移動を規制する規制部材と、を備えるカード用コネクタに設けられ、前記ハウジングに配列されて前記カードに接続する複数のコンタクトであって、前記ハウジングに固定される固定片と、この固定片から上り傾斜するように前記窓部に延びて、前記カードの接続端子に接触する接点を頂き部に設ける弾性変形が可能な弾性片と、前記弾性片の頂き部から前記窓部に向かう延在片と、前記固定片から分岐して、前記弾性片が延びる方向と交差するように前記窓部に延びる第2分岐片と、を有し、この第2分岐片は、前記延在片の先端縁が停止されて、前記接点が所定の接触圧を前記カードの接続端子に付与する突起を先端部に有するコンタクト。
【発明の効果】
【0027】
本発明によるカード用コネクタは、カードが挿入されると、コンタクトの先端縁が停止されると共に、コンタクトの接点が所定の接触圧をカードの接続端子に付与するように構成している。したがって、落下などの衝撃力でコンタクトに加速度が作用しても、コンタクトは容易に変位(変形)しない。つまり、衝撃などによる、コンタクトとカードとの瞬断を防止できる。
【0028】
本発明によるコンタクトは、コンタクトの先端縁が金属からなる分岐片の先端部に当接して停止するので、コンタクトの停止側の磨耗が抑制されるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、カバーを取付けた状態図である。
【図3】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、図3と異なる方向からカード用コネクタを観ている。
【図5】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、図5(A)は、カード用コネクタの平面図、図5(B)は、カード用コネクタの正面図、図5(C)は、カード用コネクタの右側面図、図5(D)は、図5(A)のX1−X1矢視断面図、図5(E)は、図5(A)のX2−X2矢視断面図、図5(F)は、図5(A)のX3−X3矢視断面図である。
【図6】第1実施形態によるカード用コネクタに備わるコンタクトの外観を示す斜視図である。
【図7】第1実施形態によるカード用コネクタに備わるコンタクトの外観を示す斜視図であり、図6と異なる方向からコンタクトを観ている。
【図8】第1実施形態によるカード用コネクタに備わるコンタクトの作用を説明するための縦断面図であり、図8(A)は、従来のコンタクトの動作を示す縦断面図、図8(B)は、第1実施形態のコンタクトの動作を示す縦断面図、図8(C)は、第1実施形態の第1変形例によるコンタクトの動作を示す縦断面図、図8(D)は、第1実施形態の第2変形例によるコンタクトの動作を示す縦断面図であり、いずれの図も、上段は、カードが挿入される前の状態図、下段は、カードが挿入された状態図である。
【図9】本発明の第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図である。
【図10】第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、図9と異なる方向からカード用コネクタを観ている。
【図11】第2実施形態によるカード用コネクタに備わる一方の列のコンタクトの外観を示す斜視図である。
【図12】第2実施形態によるカード用コネクタに備わる他方の列のコンタクトの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0031】
[第1実施形態]
(カード用コネクタの構成)
最初に、本発明の第1実施形態によるカード用コネクタの構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図である。図2は、第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、カバーを取付けた状態図である。
【0032】
図1又は図2を参照すると、本発明の第1実施形態によるカード用コネクタ(以下、コネクタと略称する)10は、平板状のハウジング1と規制部材となるカバー2を備えている。又、コネクタ10は、前列に配置された四つのコンタクト31、及び後列に配置された四つのコンタクト32を備えている。
【0033】
図1又は図2を参照すると、ハウジング1は、プリント基板1pに実装されている。又、ハウジング1は、カード1cが挿入される凹部11を有している。凹部11には、八つの窓部12が開口されている。
【0034】
図1又は図2を参照すると、カバー2は、カード1cの一方の面が凹部11の底面と所定の間隙を維持するように、カード1cの板厚方向の移動を規制できる。ハウジング1には、カード1cの両端縁を案内する一対の側壁11a・11bを設けている。そして、カバー2で囲われた開口(スロット)からカード1cを挿入できる。なお、図示しないトレイにカード1cを載置して、このトレイをカード1cと共に凹部11に差し込むように構成してもよい。
【0035】
図1又は図2において、カード1cの裏面には、接続端子となる区画されたパターン(図示せず)が露出している。カード1cをコネクタ10に挿入すると、複数のコンタクト31・32をカード1cの接続端子に接続(接触)できる。なお、実施形態によるコネクタ10は、コンタクトが八極となっているが、六極の接続端子を有するカードに適用できるように構成されている。
【0036】
引き続き、第1実施形態によるコネクタ10の構成を説明する。図3は、第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図である。図4は、第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、図3と異なる方向からカード用コネクタを観ている。
【0037】
図5は、第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、図5(A)は、カード用コネクタの平面図、図5(B)は、カード用コネクタの正面図、図5(C)は、カード用コネクタの右側面図、図5(D)は、図5(A)のX1−X1矢視断面図、図5(E)は、図5(A)のX2−X2矢視断面図、図5(F)は、図5(A)のX3−X3矢視断面図である。
【0038】
図6は、第1実施形態によるカード用コネクタに備わるコンタクトの外観を示す斜視図である。図7は、第1実施形態によるカード用コネクタに備わるコンタクトの外観を示す斜視図であり、図6と異なる方向からコンタクトを観ている。
【0039】
図3又は図4を参照すると、コンタクト31は、固定片3a、弾性変形が可能な弾性片3b、及び延在片3cを有している。同様に、コンタクト32は、固定片3a、弾性変形が可能な弾性片3b、及び延在片3cを有している。又、コンタクト31は、第1分岐片3dと規制片3eを有している。同様に、コンタクト32は、第1分岐片3dと規制片3eを有している。
【0040】
図3から図5を参照すると、コンタクト31の固定片3aは、ハウジング1に固定されている。コンタクト31の固定片3aは、その一部がハウジング1の前方に突出して、プリント基板1pにハンダ接合されるリード部31fを形成している。又、コンタクト31の固定片3aは、その一部がハウジング1の後方に突出して、プリント基板1pにハンダ接合されるリード部31rを形成している。
【0041】
図3から図5を参照すると、コンタクト32の固定片3aは、ハウジング1に固定されている。コンタクト32の固定片3aは、その一部がハウジング1の後方に突出して、プリント基板1pにハンダ接合されるリード部32rを形成している。そして、リード部31rとリード部32rは、交互に一列に配置されている。
【0042】
ここで、コンタクト31とコンタクト32とは、固定片3a、弾性片3b、延在片3c、第1分岐片3d、及び規制片3eで構成される本体部が同じであるので、以下、コンタクト32を代表して説明する。
【0043】
図3から図7を参照すると、弾性片3bは、固定片3aから上り傾斜するように窓部12に延びている。又、弾性片3bは、カード1cの接続端子に接触する接点3pを頂き部に設けている。延在片3cは、弾性片3bの頂き部から窓部12に向かっている。
【0044】
図3から図7を参照すると、第1分岐片3dは、固定片3aから分岐している。第1分岐片3dは、弾性片3bが延びる方向と略平行に窓部12に延びている。又、第1分岐片3dは、規制片3eを先端部に有している。
【0045】
図6又は図7を参照すると、規制片3eは、第1分岐片3dの先端部が折り曲げられて、更に、弾性片3bの基端部に向かって、U字状に反転している。規制片3eの底面は、プリント基板1pの実装面に当接している。そして、延在片3cの先端縁は、規制片3eの先端部に当接できる。
【0046】
(カード用コネクタの作用)
次に、第1実施形態によるコネクタ10の動作及び作用を説明する。図8は、第1実施形態によるカード用コネクタに備わるコンタクトの作用を説明するための縦断面図であり、図8(A)は、従来のコンタクトの動作を示す縦断面図、図8(B)は、第1実施形態のコンタクトの動作を示す縦断面図、図8(C)は、第1実施形態の第1変形例によるコンタクトの動作を示す縦断面図、図8(D)は、第1実施形態の第2変形例によるコンタクトの動作を示す縦断面図であり、いずれの図も、上段は、カードが挿入される前の状態図、下段は、カードが挿入された状態図である。
【0047】
図8(A)を参照すると、カード1cをハウジング1に挿入すると、従来のコンタクトの弾性片30bが撓み、反作用として、所定の接触圧をカード1cの接続端子に付与することができる。
【0048】
しかし、図8(A)を参照すると、延在片30cの先端縁が窓部12を介して、プリント基板1pの実装面から離間しているので、コネクタが落下した衝撃で、弾性片30bに加速度が作用し、つまり、カード1cの接続端子から離間する力が働き、瞬断が発生する恐れがある。
【0049】
一方、図8(B)を参照すると、カード1cをハウジング1に挿入すると、実施形態による弾性片3bが撓み、反作用として、所定の接触圧をカード1cの接続端子に付与することができる。そして、延在片3cの先端縁が規制片3eに当接して停止される。
【0050】
図8(B)の下段に示された状態では、落下などの衝撃力で弾性片3bに加速度が作用しても、弾性片3bは、容易に変位(変形)しない。つまり、衝撃などによる、コンタクトとカードとの瞬断を防止できる。
【0051】
図8(C)は、実施形態による弾性片3bに代えて、弾性片3bの先端縁がプリント基板1pの実装面に当接して停止する変形例を示している。図8(D)は、実施形態による弾性片3bに代えて、弾性片3bの先端縁が穿設された窓部12の底面に当接して停止する変形例を示している。このように、本発明によるカード用コネクタは、種々の変形例が可能である。
【0052】
[第2実施形態]
(カード用コネクタの構成)
次に、第2実施形態によるコネクタ20の構成を説明する。なお、第1実施形態で用いた符号と同じ符号の構成品は、その作用を同じとするので、以下の説明では割愛する場合がある。
【0053】
図9は、本発明の第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図である。図10は、第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、図9と異なる方向からカード用コネクタを観ている。
【0054】
図11は、第2実施形態によるカード用コネクタに備わる一方の列のコンタクトの外観を示す斜視図である。図12は、第2実施形態によるカード用コネクタに備わる他方の列のコンタクトの外観を示す斜視図である。
【0055】
図9又は図10を参照すると、本発明の第2実施形態によるコネクタ20は、平板状のハウジング1と規制部材となるカバー2(図2参照)を備えている。又、コネクタ20は、前列に配置された四つのコンタクト41、及び後列に配置された四つのコンタクト42を備えている。
【0056】
図9から図12を参照すると、コンタクト41は、固定片4a、弾性変形が可能な弾性片4b、及び延在片3cを有している。同様に、コンタクト42は、固定片4a、弾性変形が可能な弾性片4b、及び延在片4cを有している。又、コンタクト41は、第2分岐片4dと突起4eを有している。同様に、コンタクト42は、第2分岐片4dと突起4eを有している。
【0057】
図9から図12を参照すると、コンタクト41の固定片4aは、ハウジング1に固定されている。コンタクト41の固定片4aは、その一部がハウジング1の前方に突出して、プリント基板1pにハンダ接合されるリード部41fを形成している。又、コンタクト41の固定片4aは、その一部がハウジング1の後方に突出して、プリント基板1pにハンダ接合されるリード部41rを形成している。
【0058】
図9から図12を参照すると、コンタクト42の固定片4aは、ハウジング1に固定されている。コンタクト42の固定片4aは、その一部がハウジング1の後方に突出して、プリント基板1pにハンダ接合されるリード部42rを形成している。そして、リード部41rとリード部42rは、交互に一列に配置されている。
【0059】
図9から図12を参照すると、弾性片4bは、固定片4aから上り傾斜するように窓部12に延びている。又、弾性片4bは、カード1cの接続端子に接触する接点4pを頂き部に設けている。延在片4cは、弾性片4bの頂き部から窓部12に向かっている。
【0060】
図9から図12を参照すると、第2分岐片4dは、固定片3aから分岐している。第2分岐片4dは、弾性片3bが延びる方向と交差するように窓部12に延びている。又、第2分岐片4dは、突起4eを先端部に有している。
【0061】
図9から図12を参照すると、第2分岐片4dは、その基端部が屈折されて、先端部が延在片4cの先端縁の直下に向かっている。又、第2分岐片4dは、途中から段差を形成している。第2分岐片4dの先端部を含む段差の底面は、プリント基板1pの実装面に当接している。そして、延在片3cの先端縁は、突起4eに当接できる。
【0062】
(カード用コネクタの作用)
次に、第2実施形態によるコネクタ20の動作及び作用を説明する。
【0063】
図9又は図10を参照すると、カード1cをハウジング1に挿入すると、実施形態による弾性片4bが撓み、反作用として、所定の接触圧をカード1cの接続端子に付与することができる。そして、延在片4cの先端縁が突起4eに当接して停止される。
【0064】
第2実施形態によるコネクタ20は、落下などの衝撃力で弾性片4bに加速度が作用しても、弾性片4bは、容易に変位(変形)しない。つまり、衝撃などによる、コンタクトとカードとの瞬断を防止できる。
【0065】
第2実施形態によるコネクタ20は、実施形態による弾性片4bに代えて、弾性片4bの先端縁がプリント基板1pの実装面に当接して停止するように構成してもよい。又、実施形態による弾性片4bに代えて、弾性片4bの先端縁が穿設された窓部12の底面に当接して停止するように構成してもよい。このように、本発明によるカード用コネクタは、種々の変形例が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 ハウジング
1c カード
1p プリント基板
2 カバー(規制部材)
3a 固定片
3b 弾性片
3c 延在片
3p 接点
10 コネクタ(カード用コネクタ)
11 凹部
12 窓部
31・32 コンタクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが挿入される凹部、及びこの凹部に開口された窓部を有し、プリント基板に実装される平板状のハウジングと、
前記カードの一方の面が前記凹部の底面と所定の間隙を維持するように、当該カードの板厚方向の移動を規制する規制部材と、
前記ハウジングに配列されて前記カードに接続する複数のコンタクトと、を備え、
前記コンタクトは、
前記ハウジングに固定される固定片と、
この固定片から上り傾斜するように前記窓部に延びて、前記カードの接続端子に接触する接点を頂き部に設ける弾性変形が可能な弾性片と、
前記弾性片の頂き部から前記窓部に向かう延在片と、を有し、
この延在片の先端縁が停止されて、前記接点が所定の接触圧を前記カードの接続端子に付与するカード用コネクタ。
【請求項2】
カードが挿入される凹部、及びこの凹部に開口された窓部を有し、プリント基板に実装される平板状のハウジングと、
前記カードの一方の面が前記凹部の底面と所定の間隙を維持するように、当該カードの板厚方向の移動を規制する規制部材と、を備えるカード用コネクタに設けられ、前記ハウジングに配列されて前記カードに接続する複数のコンタクトであって、
前記ハウジングに固定される固定片と、
この固定片から上り傾斜するように前記窓部に延びて、前記カードの接続端子に接触する接点を頂き部に設ける弾性変形が可能な弾性片と、
前記弾性片の頂き部から前記窓部に向かう延在片と、
前記固定片から分岐して、前記弾性片が延びる方向と略平行に前記窓部に延びる第1分岐片と、を有し、
この第1分岐片は、前記延在片の先端縁が停止されて、前記接点が所定の接触圧を前記カードの接続端子に付与する規制片を先端部に有するコンタクト。
【請求項3】
カードが挿入される凹部、及びこの凹部に開口された窓部を有し、プリント基板に実装される平板状のハウジングと、
前記カードの一方の面が前記凹部の底面と所定の間隙を維持するように、当該カードの板厚方向の移動を規制する規制部材と、を備えるカード用コネクタに設けられ、前記ハウジングに配列されて前記カードに接続する複数のコンタクトであって、
前記ハウジングに固定される固定片と、
この固定片から上り傾斜するように前記窓部に延びて、前記カードの接続端子に接触する接点を頂き部に設ける弾性変形が可能な弾性片と、
前記弾性片の頂き部から前記窓部に向かう延在片と、
前記固定片から分岐して、前記弾性片が延びる方向と交差するように前記窓部に延びる第2分岐片と、を有し、
この第2分岐片は、前記延在片の先端縁が停止されて、前記接点が所定の接触圧を前記カードの接続端子に付与する突起を先端部に有するコンタクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−165556(P2011−165556A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28939(P2010−28939)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】