説明

カード用コネクタ装置

【課題】カードを容易に着脱できると共に、小型薄型化や低コスト化が図りやすくて長寿命名カード用コネクタ装置を安価に提供する。
【解決手段】カード収納空間Sを有するハウジング1と、弾性接点片21を有してハウジング1に固定されたコンタクト2とを備え、カード10が着脱可能なカード用コネクタ装置において、ハウジング1に、カード収納空間Sの前後両端部を形成する前端受け部4および後端保持部6と、前端受け部4の後方かつ上方に段差部14aを介して連続的に設けられた前端保持部5とを設け、装着完了状態のカード10の前後両端部が前端保持部5と後端保持部6に保持されるようにした。前端受け部4に前端部10aを挿入したカード10を後方へスライド移動させて該前端部10aが段差部14aを越えると、弾性接点片21の弾性力でカード10が上動するため、前端部10aは前端保持部5に入り込んで位置規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記憶媒体であるカードを着脱可能で、所定位置に装着したカードの外部電極にコンタクトを弾接させて信号の伝達が行えるカード用コネクタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリーカードとも称されるカードを容易に着脱できて小型薄型化や低コスト化も図りやすいカード用コネクタ装置が強く要望されている。こうした要望に応えるため、ホルダ等を介さずにカードをハウジングに直接装着できると共に、このハウジングに付設した弾性アーム片によって装着状態のカードを保持できるようにしたカード用コネクタ装置が従来提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる従来のカード用コネクタ装置は、カード収納空間が設けられたハウジングと、カード収納空間へ突出する弾性接点片を有してハウジングに固定されたコンタクトと、ハウジングの左右両側壁の前端側に延設した一対の弾性アーム片とを備えており、各弾性アーム片の自由端部に形成された係合部がカード収納空間に入り込んでいる。このカード用コネクタ装置にカードを装着させる際には、まず、ハウジングの斜め上方からカードの前端部をカード収納空間の前端部に挿入し、カードの隅部によって一対の弾性アーム片の係合部(自由端部)をハウジングの左右外方へ押し撓める。次に、カードの後端部を下方のカード収納空間へ押し込んで、略水平な姿勢にした該カードを後方へスライド移動させることによって、各弾性アーム片の係合部をカードの隅部の前方へ弾性復帰させる。これにより、カードの前端部を一対の弾性アーム片で保持し、かつカードの後端部をカード収納空間の後端部で保持することができるため、カードをカード収納空間の所定位置に装着することができる。なお、こうしてカード用コネクタ装置に装着されたカードの外部電極には、対応するコンタクトの弾性接点片が弾接している。また、カードをカード用コネクタ装置から取り出す際には、装着状態のカードを前方へスライド移動させて、一対の弾性アーム片の係合部をハウジングの左右外方へ押し撓めた後、該カードの後端部を把持してハウジングの斜め上方へ抜き取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−373733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した従来のカード用コネクタ装置では、カードの着脱動作時に一対の弾性アーム片をハウジングの左右外方へ押し撓めるため、これら弾性アーム片の可動スペース分だけカード用コネクタ装置が平面的に大きなものになってしまい、小型化に支障をきたすという問題があった。また、ハウジングの側壁に延設された合成樹脂製の弾性アーム片を着脱時のカードによって繰り返し押し撓めると、弾性アーム片が塑性変形したり破損する虞があるため、かかる従来のカード用コネクタ装置は長寿命化が図りにくいという問題もあった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カードを容易に着脱できると共に、小型薄型化や低コスト化が図りやすくて長寿命なカード用コネクタ装置を安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、カード収納空間が形成されたハウジングと、前記カード収納空間へ露呈する弾性接点片を有して前記ハウジングに固定されたコンタクトとを備え、外部電極を有するカードを前記カード収納空間の所定位置に装着することによって前記弾性接点片を前記外部電極に弾接させるカード用コネクタ装置において、前記ハウジングが、前記カード収納空間の前端部を形成し装着途中および離脱途中の前記カードの前端部が挿入される前端受け部と、この前端受け部の後方かつ上方に段差部を介して設けられ装着完了状態の前記カードの前端部を保持する前端保持部と、前記カード収納空間の後端部を形成し装着完了状態の前記カードの後端部を保持する後端保持部とを有し、前記弾性接点片の弾性力に抗して前記カードを前記カード収納空間に配置させると共に、前記カードの前端部を前記前端受け部に挿入した状態で、前記カードの前端部が前記段差部を越えるまで前記カードを後方へスライド移動させることによって、前記弾性接点片に弾性付勢される前記カードの上動に伴い、該カードの前端部が前記前端保持部に位置規制され、かつ前記カードの後端部が前記後端保持部に位置規制されるように構成した。
【0008】
このように構成されたカード用コネクタ装置は、操作者がカードの前端部をハウジングの前端受け部に挿入してカード収納空間内で該カードを後方へスライド移動させれば、コンタクトの弾性接点片の弾性力によって、カードの前端部と後端部がそれぞれハウジングの前端保持部と後端保持部に入り込んで位置規制された状態となるため、ホルダ等を介さずにカードをハウジングの所定位置に容易に装着することができ、小型薄型化も図りやすい。そして、かかる装着動作時に、後方へスライド移動するカードの前端部は、ハウジングの前端受け部に隣接する段差部を越えた時点で前端保持部へ入り込むため、カードをスライド移動させている操作者の手指に作用する弾性接点片の反力が急減してクリック感が生起される。したがって、操作者はこのクリック感によって、カードが所定位置に装着されたことを明瞭に認識することもできる。また、操作者が装着状態のカードの前端部を段差部の下面以下まで押し下げてから前方へスライド移動させれば、該前端部がハウジングの前端受け部に挿入されてカードは前端保持部や後端保持部に拘束されなくなるため、このカードをハウジングから容易に取り出すこともできる。また、このカード用コネクタ装置は、部品点数が少なくて組立作業が省略できる構成になっているため、安価に製造できる。しかも、このカード用コネクタ装置は、コンタクトの弾性接点片の弾性力を利用してカードの前後両端部がハウジングの前端保持部と後端保持部に保持されるようにしてあり、カードによって左右に押し撓められる合成樹脂製の弾性片をハウジングに形成する必要がないため、この点でも小型化に好適であり長寿命化も図りやすい。
【0009】
上記の構成において、ハウジングの前端保持部または後端保持部の天井壁が金属板からなり、装着完了状態のカードの前端部側または後端部側がコンタクトの弾性接点片の弾性力によって該天井壁に圧接されるようにしてあると、カードが圧接される部分が金属であることから、合成樹脂製の受け部に比べて剛性が高まって破損などが生じにくく、コネクタ装置のさらなる長寿命化を図ることができる。また、ハウジングの前端保持部の天井壁を金属板とすることで、装着動作時に後方へスライド移動するカードの前端部が段差部を越えて前端保持部の天井壁に当接したときに明瞭な衝突音(クリック音)を発生するため、操作者はこのクリック音とクリック感とによって、カードが所定位置に装着されたことを一層明瞭に認識することができる。
【0010】
この場合において、金属板から導出された接地用端子がハウジングの底部側に配設されていると、カードの着脱時などにハウジングの表面に流れ込む静電気を接地用端子から外部の接地回路に逃がすことができるため、ハウジングに静電気が溜まらなくなって信頼性が向上する。
【0011】
また、上記の構成において、インサート成形加工によってハウジングに一体化された金属板が該ハウジングの表面に露出していると共に、この金属板から導出された接地用端子がハウジングの底部側に配設されていると、ハウジングの機械的強度が高まるのみならず、カードの着脱時などにハウジングの表面に流れ込む静電気を接地用端子から外部の接地回路へ逃がすことができるため、ハウジングに静電気が溜まらなくなって信頼性が向上する。
【0012】
また、上記の構成において、カード収納空間へ突出する接点ばね片を有する検出スイッチをハウジングの後端保持部に付設し、装着完了状態のカードの後端部に該接点ばね片が押し込まれて弾性変形することによって該検出スイッチがオン動作するようにしてあると、カードが所定位置に装着されているか否かを検出スイッチの出力信号に基づいて検出できるようになる。しかも、操作者が装着状態のカードの前端部を段差部の下面以下まで押し下げると、接点ばね片の弾性力でカードが前方へスライド移動するため、カードの離脱動作が極めて容易に行えるようになる。
【0013】
また、上記の構成において、カード収納空間へ突出する押圧ばね片をハウジングの前端受け部に付設し、カードの前端部が該押圧ばね片の弾性力に抗して該前端受け部に挿入されるようにしてあると、前端受け部に挿入されているときにカードの前端部は押圧ばね片によって後方へ弾性付勢されることになるため、カードを後方へスライド移動させるという装着動作が極めて容易に行えるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のカード用コネクタ装置は、操作者がカードの前端部をハウジングの前端受け部に挿入してカード収納空間内で該カードを後方へスライド移動させれば、コンタクトの弾性接点片の弾性力によって、カードの前端部と後端部がそれぞれハウジングの前端保持部と後端保持部に入り込んで位置規制された状態となるため、ホルダ等を介さずにカードをハウジングの所定位置に容易に装着することができ、小型薄型化も図りやすい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態例に係るカード用コネクタ装置の上方斜視図である。
【図2】該コネクタ装置を図1とは異なる角度から見た上方斜視図である。
【図3】該コネクタ装置の下方斜視図である。
【図4】該コネクタ装置の断面図である。
【図5】該コネクタ装置にカードが装着されている状態を示す断面図である。
【図6】該コネクタ装置の上面図である。
【図7】該コネクタ装置の下面図である。
【図8】本発明の第2実施形態例に係るカード用コネクタ装置の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の実施の形態を図面を参照して説明すると、図1は本発明の第1実施形態例に係るカード用コネクタ装置の上方斜視図、図2は該コネクタ装置を図1とは異なる角度から見た上方斜視図、図3は該コネクタ装置の下方斜視図、図4は該コネクタ装置の断面図、図5は該コネクタ装置にカードが装着されている状態を示す断面図、図6は該コネクタ装置の上面図、図7は該コネクタ装置の下面図である。
【0017】
これらの図に示すカード用コネクタ装置は、カード収納空間Sが形成されたハウジング1と、弾性接点片21および接続端子22を有してハウジング1に固定された複数のコンタクト2とによって主に構成されている。図4と図5に示すように、このカード用コネクタ装置はカード10を着脱可能であり、所定位置に装着したカード10の外部電極10aにコンタクト2の弾性接点片21を弾接させて信号の伝達が行えるようになっている。本実施形態例ではマイクロSDカード用のコネクタ装置を例示しているため、ハウジング1には8個のコンタクト2が並設されているが、カード10の種類に応じてコンタクト2の数や配列は異なったものとなる。また、ハウジング1の表面には第1金属板11と第2金属板12および第3金属板13が露出している。これら第1〜第3金属板11〜13はハウジング1の内部で連続している1枚の金属板からなり、第1〜第3金属板11〜13からそれぞれ導出された接地用端子3がハウジング1の底部側に配設されている。コンタクト2群と第1〜第3金属板11〜13はすべて、インサート成形加工によってハウジング1に一体化されている。
【0018】
このような第1実施形態例と異なり、カード10の種類や、ハウジング1へのカード10の挿入および装着状態や、ハウジング1の配線基板への実装状態などに応じて、第1〜第3金属板11〜13を1枚の金属板からでなく複数枚の金属板から構成してもよく、また、接地用端子3を第1〜第3金属板11〜13の少なくとも1つに設ける構成としてもよい。
【0019】
ハウジング1のカード収納空間Sは、前壁14と後壁15と左右の側壁16,17と内底面18によって包囲されている。前壁14の上面には第1金属板11が固設されて庇状に突出しており、後壁15の上面には第2金属板12が固設されて庇状に突出している。図4と図5に示すように、前壁14の内壁面には段差部14aが形成されており、前壁14の内壁面のうち段差部14aよりも前方と下方に延在する部分によって、カード収納空間Sの前端部を形成する前端受け部4が構成されている。この前端受け部4には、装着途中および離脱途中のカード10の前端部10bが挿入される。また、前壁14の内壁面のうち段差部14aから上方に延在する部分と、第1金属板11の突出部分である天井壁11aとによって、装着完了状態のカード10の前端部10bを含むカード10の前端部側を保持する前端保持部5が構成されている。この前端保持部5は、前端受け部4の後方かつ上方に段差部14aを介して連続的に設けられている。また、後壁15の内壁面と、第2金属板12の突出部分である天井壁12aとによって、装着完了状態のカード10の後端部10cを含むカード10の後端部側を保持する後端保持部6が構成されており、この後端保持部6はカード収納空間Sの後端部を形成している。なお、第3金属板13はハウジング1の底部となる内底面18に固設されている。
【0020】
コンタクト2は良導電性の金属板をプレス成形して形成したものである。このコンタクト2は、帯状に延びてカード収納空間Sへ露呈する弾性接点片21と、ハウジング1の底部側に配設された接続端子22とを除いて、ハウジング1の内部に埋設されている。弾性接点片21の自由端部には湾曲形状の接点部21aが形成されており、カード10が所定位置に装着されると、接点部21aが対応する外部電極10aに弾接するようになっている(図5参照)。また、接続端子22は接地用端子3と共に、このカード用コネクタ装置が実装される図示せぬ配線基板の所定のランドに半田接合されるようになっている。
【0021】
このように構成されたカード用コネクタ装置にカード10を装着する際には、まず図4の2点鎖線で示すように、操作者がハウジング1の斜め上方からカード10の前端部10bをカード収納空間Sの前端部(前端受け部4)に挿入した後、このカード10の後端部10cを下方のカード収納空間Sへ押し込んで、カード10を略水平な姿勢でカード収納空間Sに配置させる。この押し込み動作はコンタクト2群の各弾性接点片21の弾性力に抗して行われるため、各弾性接点片21は押し込み力によって図4に示す位置よりも下方へ撓んだ状態となる。
【0022】
次に、図4の破線で示すように、操作者がカード10に押し込み力を加えたまま、前端部10bが段差部14aを越えるまでカード10を後方へスライド移動させる。これにより、各弾性接点片21の弾性力でカード10が上動するため、カード10の前端部10bがハウジング1の前端保持部5に入り込んで位置規制され、かつカード10の後端部10cがハウジング1の後端保持部6に入り込んで位置規制された状態となる。すなわち、カード10は前後両端部10b,10cが前端保持部5と後端保持部6に保持された状態になって、カード収納空間Sの所定位置に装着される。なお、かかる装着動作時に後方へスライド移動するカード10の前端部10bは、ハウジング1の前端受け部4に隣接する段差部14aを越えた時点で前端保持部5へ入り込むため、カード10をスライド移動させている操作者の手指に作用する弾性接点片21の反力が急減してクリック感が生起されると共に、カード10の前端部10bが前端保持部5の天井壁11a(第1金属板11の突出部分)に当接して衝突音(クリック音)が生起される。また、装着完了状態のカード10は各弾性接点片21の弾性力によって、前端部10bが天井壁11aに圧接され、かつ後端部10cが天井壁12aに圧接された状態になっている。
【0023】
カード10の離脱動作について説明すると、カード用コネクタ装置から装着状態のカード10を取り出す際には、まず操作者がカード10の前端部10bを段差部14aの下面以下まで押し下げて、このカード10を前方へスライド移動させることにより、カード10の前端部10bをハウジング1の前端保持部5から脱出させて前端受け部4に挿入する。これにより、カード10はハウジング1の前端保持部5や後端保持部6に拘束されなくなるため、操作者は後端部10cを手指で把持してカード10をハウジング1の斜め上方へ容易に抜き取ることができる。
【0024】
このように本実施形態例に係るカード用コネクタ装置は、操作者がカード10の前端部10bをハウジング1の前端受け部4に挿入して、カード収納空間S内でカード10を後方へスライド移動させれば、コンタクト2の弾性接点片21の弾性力によって、カード10の前端部10bと後端部10cがそれぞれハウジング1の前端保持部5と後端保持部6に入り込んで位置規制された状態となるため、ホルダ等を介さずにカード10をハウジング1の所定位置に容易に装着することができ、小型薄型化も図りやすい。そして、かかる装着動作時に、後方へスライド移動するカード10の前端部10bは、ハウジング1の段差部14aを越えた時点で前端保持部5へ入り込むため、カード10をスライド移動させている操作者の手指にクリック感が伝わると共に、カード10の前端部10b側が前端保持部5の天井壁11aに当接してクリック音が生起される。したがって、操作者はこのクリック感とクリック音とによって、カード10が所定位置に装着されたことを明瞭に認識することができる。
【0025】
また、このカード用コネクタ装置は、部品点数が少なくて組立作業が省略できる構成になっているため、安価に製造できる。しかも、このカード用コネクタ装置は、コンタクト2群の各弾性接点片1の弾性力を利用してカード10の前後両端部10b,10cがハウジングの前端保持部5と後端保持部6に保持されるようにしてあり、カード10によって左右に押し撓められる合成樹脂製の弾性片をハウジング1に形成する必要がないため、この点でも小型化に好適であり長寿命化も図りやすい。
【0026】
また、このカード用コネクタ装置では、1枚の金属板からなる第1ないし第3金属板11,12,13がインサート成形加工によってハウジング1に一体化されているため、ハウジング1の機械的強度が高まっている。しかも、これら第1ないし第3金属板11,12,13がハウジング1の表面に露出しており、かつ第1ないし第3金属板11,12,13から導出された各接地用端子3がハウジング1の底部側に配設されているため、カード10の着脱時などにハウジング1の表面に流れ込む静電気を接地用端子3から外部の接地回路へ逃がすことができる。それゆえ、このカード用コネクタ装置は、ハウジング1に静電気が溜まる虞がなく、静電気に起因する事故を未然に防止できて信頼性が高まっている。
【0027】
図8は本発明の第2実施形態例に係るカード用コネクタ装置の下面図であり、図7と対応する部分には同一符号が付してあるため重複する説明は省略する。
【0028】
図8に示すカード用コネクタ装置は、ハウジング1の前端受け部4に押圧ばね片7が付設されている点と、接点ばね片9を含む検出スイッチ8がハウジング1の後端保持部6に付設されている点とが、前述した第1実施形態例と異なっている。
【0029】
すなわち、図8に示すカード用コネクタ装置では、押圧ばね片7がカード収納空間Sの前端部に突出しており、この押圧ばね片7の弾性力に抗してカード10の前端部が前端受け部4に挿入されるようになっている。したがって、前端受け部4に挿入されたカード10の前端部は押圧ばね片7によって後方へ弾性付勢されることになり、該カード10を後方へスライド移動させるという装着動作を極めて容易に行うことができる。なお、この第2実施形態例では、押圧ばね片7をハウジング1の前壁14に固設されている第1金属板11から延出して形成しているが、押圧ばね片7を第1金属板11とは別の部材として形成してもよい。
【0030】
また、図8に示すカード用コネクタ装置では、一対の接点ばね片9,9がカード収納空間Sの後端部に突出しており、装着完了状態のカード10の後端部に当接する一方の接点ばね片9がカード10により押し込まれて他方の接点ばね片9側に弾性変形することによって、双方の接点ばね片9,9が接触導通して検出スイッチ8がオン動作するようになっている。そのため、カード10が所定位置に装着されているか否かを、検出スイッチ8の出力信号に基づいて検出することができる。しかも、操作者が装着状態のカード10の前端部を段差部14aの下面以下まで押し下げると、これら接点ばね片9,9の弾性力でカード10が前方へスライド移動するため、カードの離脱動作を極めて容易に行うことができる。なお、この第2実施形態例では、一対の接点ばね片9,9を第1〜第3金属板11〜13と異なる別の金属板で形成しているが、一方の接点ばね片9をハウジング1の後壁15に固設されている第2金属板12から延出して形成してもよい。また、検出スイッチ8として第2実施形態例とは別の構成のものを採用してもよく、さらに、検出スイッチ8が配設される部位はカード収納空間Sの後端部側に限らず、カード収納空間Sの前端部側や側端部側や底部側であってもよい。
【0031】
なお、上記各実施形態例ではいずれも、ハウジング1に補強用および静電対策用として第1ないし第3金属板11,12,13を付設しているが、これら金属板を省略してハウジング1がすべて合成樹脂材からなる場合でも、段差部14aを介して前端受け部4と前端保持部5とを連続的に設ける構成にしておけば、小型薄型化や低コスト化、長寿命化等が図りやすいカード用コネクタ装置が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上説明したように、本発明は、カードを容易に着脱できると共に、小型薄型化や低コスト化が図りやすいカード用コネクタに有用である。
【符号の説明】
【0033】
1 ハウジング
2 コンタクト
3 接地用端子
4 前端受け部
5 前端保持部
6 後端保持部
10 カード
10a 外部電極
10b (カードの)前端部
10c (カードの)後端部
11 第1金属板(金属板)
11a 天井壁
12 第2金属板(金属板)
12a 天井壁
13 第3金属板(金属板)
14a 段差部
21 弾性接点片
22 接続端子
S カード収納空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード収納空間が形成されたハウジングと、前記カード収納空間へ露呈する弾性接点片を有して前記ハウジングに固定されたコンタクトとを備え、外部電極を有するカードを前記カード収納空間の所定位置に装着することによって前記弾性接点片を前記外部電極に弾接させるカード用コネクタ装置であって、
前記ハウジングが、前記カード収納空間の前端部を形成し装着途中および離脱途中の前記カードの前端部が挿入される前端受け部と、この前端受け部の後方かつ上方に段差部を介して設けられ装着完了状態の前記カードの前端部を保持する前端保持部と、前記カード収納空間の後端部を形成し装着完了状態の前記カードの後端部を保持する後端保持部とを有し、
前記弾性接点片の弾性力に抗して前記カードを前記カード収納空間に配置させると共に、前記カードの前端部を前記前端受け部に挿入した状態で、前記カードの前端部が前記段差部を越えるまで前記カードを後方へスライド移動させることによって、前記弾性接点片に弾性付勢される前記カードの上動に伴い、該カードの前端部が前記前端保持部に位置規制され、かつ前記カードの後端部が前記後端保持部に位置規制されるようにしたことを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記前端保持部の天井壁が金属板からなり、装着完了状態の前記カードの前端部側が前記弾性接点片の弾性力によって該天井壁に圧接されるようにしたことを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項3】
請求項1の記載において、前記後端保持部の天井壁が金属板からなり、装着完了状態の前記カードの後端部側が前記弾性接点片の弾性力によって該天井壁に圧接されるようにしたことを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項4】
請求項2または3の記載において、前記金属板から導出された接地用端子が前記ハウジングの底部側に配設されていることを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項5】
請求項1の記載において、インサート成形加工によって前記ハウジングに一体化された金属板が該ハウジングの表面に露出していると共に、この金属板から導出された接地用端子が前記ハウジングの底部側に配設されていることを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項6】
請求項1の記載において、前記カード収納空間へ突出する接点ばね片を有する検出スイッチを前記後端保持部に付設し、装着完了状態の前記カードの後端部に前記接点ばね片が押し込まれて弾性変形することによって前記検出スイッチがオン動作するようにしたことを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項7】
請求項1の記載において、前記カード収納空間へ突出する押圧ばね片を前記前端受け部に付設し、前記カードの前端部が前記押圧ばね片の弾性力に抗して前記前端受け部に挿入されるようにしたことを特徴とするカード用コネクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−165668(P2010−165668A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274596(P2009−274596)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【出願人】(509332420)無錫阿尓卑斯電子有限公司 (1)
【Fターム(参考)】