カード用コネクタ
【課題】仕切板により仕切られた上部カード装着部へのカードの誤挿入を確実に防止すること。
【解決手段】カードが選択的に装着されるカード装着部を有するハウジング2と、カード装着部を上下に分割して上部カード装着部及び下部カード装着部を形成する仕切板と、ハウジング2に上方側から被せられるカバー部材3とを具備し、上記仕切板は、カード装着部の幅方向に並べて配置される第1、第2の仕切板5、6を有すると共に、当該第1、第2の仕切板5、6における互いの対向部分が上下方向に回動自在に設けられ、カード装着部に対するカード非装着時に第1、第2の仕切板5、6の対向部分をカバー部材3の下面に近接する位置に配置したことを特徴とする。
【解決手段】カードが選択的に装着されるカード装着部を有するハウジング2と、カード装着部を上下に分割して上部カード装着部及び下部カード装着部を形成する仕切板と、ハウジング2に上方側から被せられるカバー部材3とを具備し、上記仕切板は、カード装着部の幅方向に並べて配置される第1、第2の仕切板5、6を有すると共に、当該第1、第2の仕切板5、6における互いの対向部分が上下方向に回動自在に設けられ、カード装着部に対するカード非装着時に第1、第2の仕切板5、6の対向部分をカバー部材3の下面に近接する位置に配置したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関し、特に、複数種類のカードに対応可能なカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カード用コネクタ装置内に設けられたカード装着部を上下に仕切る可動式の板状部材(以下、「仕切板」という)を備え、当該仕切板によりカード装着部を分割したカード用コネクタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このカード用コネクタにおいては、挿入されるカードの種別に応じて仕切板によって上下に分割されたカード装着部(上部カード装着部、下部カード装着部)に選択的に振り分けて装着可能に構成されている。特に、このカード用コネクタにおいて、上部カード装着部は、仕切板の上面とカード装着部を覆うカバー部材とで規定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−26552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来のカード用コネクタにおいては、上部カード装着部に対して本来装着すべきカードと異なるカードが誤挿入される可能性がある。特に、カバー部材が金属製の薄板部材で構成される場合には、異なるカードの挿入に伴ってカバー部材が変形し、上部カード装着部が拡張されて挿入されるという事態が発生し得る。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、仕切板により仕切られた上部カード装着部へのカードの誤挿入を確実に防止することができるカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカード用コネクタは、カードが選択的に装着されるカード装着部を有するハウジングと、前記カード装着部を上下に分割して上部カード装着部及び下部カード装着部を形成する仕切板と、前記ハウジングに上方側から被せられ、前記カード装着部の一部を規定するカバー部材とを具備し、前記仕切板は、前記カード装着部の幅方向に並べて配置される第1、第2の仕切板を有すると共に、当該第1、第2の仕切板における互いの対向部分が上下方向に回動自在に設けられ、前記カード装着部に対するカード非装着時に前記第1、第2の仕切板の対向部分を前記カバー部材の下面に近接する位置に配置したことを特徴とする。
【0007】
上記カード用コネクタによれば、カード装着部の幅方向に並べて配置され、互いの対向部分を上下方向に回動自在に設けた第1、第2の仕切板を備え、カード装着部に対するカード非装着時に第1、第2の仕切板の対向部分をカバー部材の下面に近接する位置に配置したことから、カード非装着時に仕切板とカバー部材との間に殆ど隙間が形成されなくすることができるので、仕切板により仕切られた上部カード装着部へのカードの誤挿入を確実に防止することが可能となる。
【0008】
特に、上記カード用コネクタにおいては、前記第1、第2の仕切板を上方側へ付勢する付勢部材を具備し、前記付勢部材の外側部分で前記カバー部材の下面に当接する当接片を前記第1、第2の仕切板に設けることが好ましい。この場合には、例えば、第1、第2の仕切板を復帰させるための付勢部材と、カバー部材の下面と当接する当接片という簡単な構成で第1、第2の仕切板に回転力を与えることができるので、コネクタ内部に複雑な機構を用意することなく、第1、第2の仕切板の対向部分をカバー部材の下面に近接する位置に配置させることが可能となる。
【0009】
また、上記カード用コネクタにおいては、前記第1、第2の仕切板に、前記上部カード装着部用のカードに当接して当該第1、第2の仕切板を押し下げる係合部を設けることが好ましい。この場合には、上部カード装着部用のカードの挿入に伴って第1、第2の仕切板を押し下げることができるので、上部カード装着部に対する適正なカードの挿入を許容しつつ、不適正なカードの挿入を防止することが可能となる。
【0010】
さらに、上記カード用コネクタにおいては、前記第1、第2の仕切板の前記対向部分を連結し、当該対向部分に侵入したカードの先端部と当接する連結部材を具備することが好ましい。この場合には、第1、第2の対向部分に侵入したカードの先端部と当接する連結部材を備えたことから、第1、第2の仕切板を独立して回動可能に構成した場合においても、第1、第2の仕切板の対向部分の間に侵入したカードのコネクタ内部への挿入を確実に防止することが可能となる。
【0011】
特に、上記カード用コネクタにおいては、前記連結部材を、前記カード装着部に対するカード挿入口側の位置に配置することが好ましい。この場合には、連結部材がカード挿入口側の位置に配置されるので、第1、第2の仕切板の対向部分の間に侵入するカード部分を小さくすることができ、当該カードの侵入に起因してコネクタ内の構成部品が破損する事態を防止することが可能となる。
【0012】
また、上記カード用コネクタにおいては、前記連結部材は、前記第1、第2の仕切板を回動可能に連結することが好ましい。この場合には、第1、第2の仕切板が回動可能に連結されるので、第1、第2の仕切板の回動動作を許容しつつ、これらの対向部分の間に侵入するカードの挿入を確実に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カード装着部の幅方向に並べて配置され、互いの対向部分を上下方向に回動自在に設けた第1、第2の仕切板を備え、カード装着部に対するカード非装着時に第1、第2の仕切板の対向部分をカバー部材の下面に近接する位置に配置したことから、カード非装着時に仕切板とカバー部材との間に殆ど隙間が形成されなくなるので、仕切板により仕切られた上部カード装着部へのカードの誤挿入を確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係るカード用コネクタの外観を示す斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係るカード用コネクタの内部の構成を説明するための斜視図である。
【図3】上記実施の形態に係るカード用コネクタの内部の構成を説明するための上面図である。
【図4】上記実施の形態に係るカード用コネクタの内部の構成を説明するための斜視図である。
【図5】上記実施の形態に係るカード用コネクタを前方側から示す図である。
【図6】上記実施の形態に係るカード用コネクタが有する仕切板及び連結部材を上方側から示した斜視図である。
【図7】上記実施の形態に係るカード用コネクタが有する仕切板及び連結部材を下方側から示した斜視図である。
【図8】上記実施の形態に係るカード用コネクタが有する仕切板及び連結部材を前方側から示した図である。
【図9】図6に示す状態の仕切板から連結部材を抜き出した場合の斜視図である。
【図10】上記実施の形態に係るカード用コネクタに対してカードAが装着された状態を示す斜視図である。
【図11】上記実施の形態に係るカード用コネクタに対してカードBが装着された状態を示す斜視図である。
【図12】上記実施の形態に係るコネクタが有する連結部材により誤挿入が防止された状態の斜視図である。
【図13】図12に示す状態の仕切板及び連結部材を前方側から示した図である。
【図14】上記実施の形態に係るカード用コネクタが有する連結部材により誤挿入が防止された状態の斜視図である。
【図15】図14に示す状態の仕切板及び連結部材を前方側から示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態に係るカード用コネクタ(以下、単に「コネクタ」という)においては、例えば、SD(secure digital)カード、MMC(Multi Media Card)カード、メモリースティック デュオ(登録商標)カード、並びに、メモリースティック PRO−HG デュオカードの4種類のカードが装着可能に構成されている。なお、SDHCカードは、SDカードに含まれているものとする。
【0016】
ここで、MMCカードは、その厚さが僅かに薄い点を除き、SDカードと略同様の形状を有するため、コネクタにおいては、同一の態様で装着される。また、メモリースティック デュオカードと、メモリースティック PRO−HG デュオカードとは、コンタクトと接触する接触パッドの構成を除き、同一の形状を有するため、コネクタにおいては、同一の態様で装着される。以下においては、適宜、SDカード及びMMCカードを「カードA」と呼び、メモリースティック デュオカード及びメモリースティックPRO−HG デュオカードを「カードB」と呼ぶものとする。この場合、カードAは、カードBと比べて幅方向の寸法が大きいカードで構成されている。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係るコネクタ1の外観を示す斜視図である。なお、以下においては、適宜、図1に示す紙面右下方側を「コネクタ1の前方側」又は単に「前方側」と呼び、同図に示す紙面左上方側を「コネクタ1の後方側」又は単に「後方側」と呼ぶものとする。また、図1に示す紙面右方側を「コネクタ1の右方側」又は単に「右方側」と呼び、同図に示す紙面左方側を「コネクタ1の左方側」又は単に「左方側」と呼ぶものとする。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態に係るコネクタ1は、合成樹脂材料などの絶縁材料を成形して形成されるハウジング2と、金属薄板材料に打ち抜き加工及び折り曲げ加工などを施して形成されるカバー部材3とを備えている。ハウジング2は、概して偏平な直方体形状を有しており、その上方側及び前方側に開口した空間を有している。カバー部材3は、ハウジング2の上方側の開口部に対応する形状を有しており、ハウジング2の上方側から被せられる。これらを組み合わせることにより、コネクタ1は、前方側にのみ開口した形状となり、この開口部でカード挿入口4が構成される。なお、カバー部材3は、合成樹脂材料などの絶縁材料を成型して形成しても良い。
【0019】
カバー部材3の前方側の中央部には、カード挿入口4を介して装着されたカードを引き抜き易くするための切り欠き部301が形成されている。また、カバー部材3の上面の後方側寄りの位置には付勢片302が形成されている。この付勢片302は、僅かに下方側に折り曲げられ、後述する係止部材803を上方側から付勢する。さらに、カバー部材3の側面には、後述するハウジング2の係合片203と係合する複数の開口部303が形成されている。さらに、カバー部材3の上面の前方側には、後述するハウジング2の凹部204(図1に不図示)に係合する一対の係合片304が形成されている。これらの係合片304がハウジング2の凹部204に係合する一方、複数の開口部303にハウジング2の係合片203が係合することで、ハウジング2に対してカバー部材3が固定されることとなる。さらに、係合片304の近傍には、カード挿入に伴って上下動する後述する仕切板5、6の一部を露出可能な一対の開口部305が形成されている。
【0020】
以下、本実施の形態に係るコネクタ1の内部の構成について説明する。図2は、本実施の形態に係るコネクタ1の内部の構成を説明するための斜視図である。図3は、本実施の形態に係るコネクタ1の内部の構成を説明するための上面図である。なお、図2及び図3においては、図1に示す状態のコネクタ1からカバー部材3を取り除いた場合について示している。
【0021】
図2に示すように、ハウジング2の内部には一定の空間が形成されており、この空間の一部で複数種類のカードが選択的に装着可能な空間(以下、適宜「カード装着部」という)が構成されている。このカード装着部には、複数種類のカードに対応するコンタクト、カード装着部を上下に仕切る一対の仕切板5、6、これらの仕切板5、6を連結する連結部材7、並びに、カード装着部に装着された複数種類のカードの排出を行う排出機構8が配設されている。
【0022】
ハウジング2内の空間において、仕切板5、6は、カード挿入口4よりも僅かに内部側(後方側)の位置に配置されている。仕切板5、6は、それぞれ概して平板形状を有しており、ハウジング2の内底面と対向して配置されている。仕切板5がカード装着部の左方側部分に配置される一方、仕切板6がカード装着部の右方側部分に配置されている。連結部材7は、仕切板5、6の前方側寄りの位置であって、両者の互いに対向する部分を連結している。排出機構8は、右方側に配置される仕切板6の右方側の位置に配置されている。なお、複数種類のカードに対応するコンタクトは、カード挿入口4からのカードの挿入経路上に適宜配設されている。
【0023】
ハウジング2は、コネクタ1の底面部を構成するベース部201と、コネクタ1の側端部において、このベース部201から上方側に垂直に立設された側壁部202とを有している。ベース部201には、詳細について後述するように、複数種類のカードに対応するコンタクトが設けられている。側壁部202の外側面には、カバー部材3の開口部303と係合する複数の係合片203が設けられている。また、側壁部202の前端部近傍の上面には、カバー部材3の係合片304を収容すると共に、ガイド部材5の一部を収容する凹部204が形成されている。側壁部202の前面部の内側面は、カード挿入口4の一部を規定するものであり、主にカードAの挿入をガイドする第1ガイド部205と、カードBの挿入をガイドする第2ガイド部206とが形成されている。
【0024】
第1ガイド部205は、側壁部202の上側部分に形成されており、挿入時におけるカードAの側面及び下面をガイドするように構成されている。一方、第2ガイド部206は、第1ガイド部205よりも下方側に形成されており、挿入時におけるカードBの側面及び下面をガイドするように構成されている(図5参照)。これらの第1ガイド部205、第2ガイド部206にガイドされた状態でカードA、Bを挿入することにより、カード装着部の適切な位置にカードA、Bを挿入することができるものとなっている。
【0025】
左右の側壁部202には、前方側部分に仕切板6の一部を収容する収容部207a、207bが設けられている。右方側の側壁部202における後面部の内側面には、排出機構8の一部を構成する圧縮ばね802の一端を保持する保持片208が形成されている。保持片208は、コネクタ1の前方側に向かって一定長さだけ延出している。また、この後面部には、排出機構8の一部を構成する係止部材803の一端を係止する係止穴209が形成されている。この係止穴209は、係止部材803の一端が上方側から差し込まれるように構成され、係合部材803を回動可能に保持できるものとなっている。
【0026】
ベース部201の後方側端部には、ハウジング2の後壁部を構成するコンタクトユニット210が配設されている。コンタクトユニット210は、例えば、ベース部201に接着固定される。コンタクトユニット210の前面には、コネクタ1の左右方向に整列して複数のカードA用のコンタクト(以下、適宜「カードA用コンタクト」という)211が設けられている。
【0027】
カードA用コンタクト211は、基端部がコンタクトユニット210に固定される一方、先端部がコネクタ1の前方側であって僅かに上方側に延在し、一定範囲で上下方向に揺動可能となっている。カードA用コンタクト211の先端部は、下方側に折り曲げられており、その折曲部近傍でカードAの接触パッドと接触するように構成されている。カードA用コンタクト211の先端部(最も右方側のものを除く)は、後述する仕切板5、6の凹部505、605に収容される位置に配置されている。なお、これらのカードA用コンタクト211の一端は、コンタクトユニット210の後方側からコネクタ1の外部に導出され、カードAに対する信号を入出力可能に構成されている。
【0028】
仕切板5、6は、コネクタ1に挿入されるカードの種類に応じて、カード装着部内で僅かに上下方向に揺動可能に構成されている。仕切板5、6は、概して平板形状を有しており、カード装着部の幅方向(左右方向)に並べて配置されている。仕切板5、6は、側壁部202の収容部207a、207bの後方側近傍からコンタクトユニット210の前面部近傍まで延在する長さを有している。また、仕切板5、6は、前方側端部に側壁部202の収容部207a、207b側に延出するアーム部501、601を有している。
【0029】
仕切板5のアーム部501には、後述するハウジング2の突出片214aが挿通される孔502と、カード装着部に挿入されたカードAの先端が当接する係合部としての傾斜部503と、アーム501の左方側端部から上方側に突出する当接片としての突起部504とが設けられている。一方、仕切板6のアーム部601には、後述するハウジング2の突出片214bが挿通される孔602と、カード装着部に挿入されたカードBの先端が当接する係合部としての傾斜部603と、アーム601の右方側端部から上方側に突出する当接片としての突起部604とが設けられている。
【0030】
これらの仕切板5、6は、カード装着部を上下に分割して上部カード装着部及び下部カード装着部を形成する役割を果たす。本実施の形態に係るコネクタ1において、上部カード装着部には、カードAが装着され、下部カード装着部には、カードBが装着されるものとなっている。カード挿入口4からカードAが挿入されると、その挿入に伴って仕切板5、6が僅かに下方側に移動し、上部カード装着部にカードAを受け入れ可能となっている。一方、カード挿入口4からカードBが挿入されると、その挿入に伴って仕切板5、6が僅かに上方側に移動し、下部カード装着部にカードBを受け入れ可能となっている。
【0031】
連結部材7は、これらの仕切板5、6を連結し、上部カード装着部、下部カード装着部にそれぞれ本来装着されるべきカード(カードA、カードB)が挿入された場合に両者の下方側、上方側への移動を補助する役割を果たす。また、連結部材7は、上部カード装着部、下部カード装着部にそれぞれ本来装着されるべきカードと異なるカードが挿入され、仕切板5、6の対向部分の間に高低差が発生した場合に当該異なるカードの先端部と当接し、その挿入(すなわち、誤挿入)を防止する役割を果たす。なお、この連結部材7における誤挿入防止機能の詳細については後述する。
【0032】
排出機構8は、スライド部材801と、圧縮ばね802と、係止部材803とから構成されている。スライド部材801は、概してコネクタ1の前後方向に延在する直方体形状を有しており、ハウジング2の右方側の側壁部202に沿って前後方向にスライド移動可能に構成されている。スライド部材801は、使用者によるカードに対する押圧操作に応じて、カードをコネクタ1における所定の装着位置から排出位置に移動させる役割を果たすものである。
【0033】
スライド部材801の上面には、図3に示すように、概してループ状のガイド溝804が形成されている。このガイド溝804の中央には、概してハート形状を有するハート形カム805が設けられている。ガイド溝804は、このハート形カム805の両側に配置される第1ガイド溝806、第2ガイド溝807、係止部材803を係止する係止部808を有する凹み溝809、並びに、第1ガイド溝806及び第2ガイド溝807に連結される直線状ガイド溝810で構成される。係止部材803は、このようなガイド溝804をカードの挿入動作に応じて一定方向に進む。なお、ガイド溝804における係止部材803の案内経路上には、係止部材803の逆方向への進行を防止する段差部が形成されている。
【0034】
圧縮ばね802は、上述のように、後方側の端部がハウジング2の保持片208に保持され、前方側の端部がスライド部材801の下面側の不図示の保持片に保持されており、スライド部材801を前方側に付勢する付勢力を付与している。係止部材803は、その前端部及び後端部で下方側に折り曲げられた形状を有している。上述のように、後方側の一端がハウジング2の係止穴209に差し込まれ、前方側の一端がスライド部材801の上面に形成された後述のガイド溝804と係合している。係止部材803は、圧縮ばね802による付勢力に抗してスライド部材801の前方側への移動を規制する役割を果たすものである。
【0035】
上述したガイド溝804において、カードが装着されていない場合、係止部材803は、直線状ガイド溝810の後方側端部に配置された状態となっている。カードが挿入されると、スライド部材801の後方側への移動に伴って係止部材803が直線状ガイド溝810を介して第1ガイド溝806に進む。そして、係止部材803が第1ガイド溝806の前方側端部に到達する位置までカードが押し込まれると、係止部材803は、凹み溝809に進み、この状態で、カードの押し込みを止めて手を離すと、スライド部材801は圧縮ばね802の付勢力により若干前方側に移動する。そして、この移動により係止部材803が凹み溝809内を移動して、係止部808に係止された状態(ロック状態)となる。
【0036】
そして、係止部材803が係止部808に係止された状態(ロック状態)から、更にカードが押し込まれると(所謂、オーバーストローク状態)、係止部材803は、凹み溝809から第2ガイド溝807に進む。そして、第2ガイド溝807から直線状ガイド溝810に進み、再び、係止部材803が直線状ガイド溝810の後方側端部に配置された状態となる。なお、このようにガイド溝804内を移動する係止部材803には、上方からカバー部材3の付勢片302が載置され、ガイド溝804に係合するよう下方側に僅かに付勢された状態となっている。
【0037】
図4は、本実施の形態に係るコネクタ1の内部の構成を説明するための斜視図である。なお、図4においては、図2に示す状態のコネクタ1から仕切板6を取り除いた場合について示している。
【0038】
図4に示すように、ハウジング2のベース部201の中央近傍には、コネクタ1の左右方向に整列して複数のカードB用のコンタクト(以下、適宜「カードB用コンタクト」という)212、213が設けられている。カードB用コンタクト212は、カードA用コンタクト211の下方側に設けられている。カードB用コンタクト212の基端部がベース部201に固定される一方、先端部がコネクタ1の前方側であって僅かに上方側に延在し、一定範囲で上下方向に揺動可能となっている。また、カードB用コンタクト212の先端部は、カードA用コンタクト211と同様に、下方側に折り曲げられており、その折曲部近傍でカードBの接触パッドと接触するように構成されている。
【0039】
カードB用コンタクト213は、カードB用コンタクト212の前方側の位置に設けられている。カードB用コンタクト213の基端部がベース部201に固定される一方、先端部がコネクタ1の後方側であって僅かに上方側に延在し、一定範囲で上下方向に揺動可能となっている。また、カードB用コンタクト213の先端部は、カードA用コンタクト211と同様に、下方側に折り曲げられており、その折曲部近傍でカードBの接触パッドと接触するように構成されている。なお、これらのカードB用コンタクト212、213の一端は、ベース部201の後方側からコネクタ1の外部に導出され、カードBに対する信号を入出力可能に構成されている。
【0040】
例えば、カードB用コンタクト212は、メモリースティック デュオカード及びメモリースティック PRO−HG デュオカードに対応するコンタクトであり、カードB用コンタクト213は、メモリースティック PRO−HG デュオカードに対応するコンタクトである。メモリースティック PRO−HG デュオカードは、メモリースティック デュオカードと異なり、コンタクトとの接触パッドが一部分割されているため、本実施の形態に係るコネクタ1においては、別途、カードB用コンタクト213を設けている。
【0041】
左右の側壁部202に設けられた収容部207a、207bに対応するベース部201には、それぞれ上方側に突出する突出片214a、214bが立設されている。これらの突出片214a、214bは、それぞれ仕切板5、6のアーム部501、601に設けられた孔502、602に挿通され、仕切板5、6の位置決めを行うと共に、その揺動動作をガイドする役割を果たす。これらの突出片214a、214bには、それぞれ付勢部材としてのコイルばね215a、215bが取り付けられている。これらのコイルばね215a、215bは、それぞれベース部201と仕切板5、6との間に配置され、仕切板5、6を上方側に付勢するように構成されている。
【0042】
図5は、本実施の形態に係るコネクタ1を前方側から示す図である。上述したような構成を有するコネクタ1を前方側から見ると、左右の側壁部202の前面に設けられた第1ガイド部205の奥側(後方側)に、仕切板5、6の傾斜面503、603が配置されており、第1ガイド部材205により案内されたカードAの挿入に伴って、仕切板5、6が押し下げられるように構成されている。また、排出機構8を構成するスライド部材801は、カード装着部の厚さ方向の全体に亘る厚さ寸法を有しており、第1ガイド部材205により案内されたカードA又は第2ガイド部材206により案内されたカードBの先端部と当接して後方側に移動可能に構成されている。
【0043】
仕切板5は、その右方側端部がアーム部501の周辺部分(左方側部分)よりも僅かに上方側に位置するように傾斜した状態で配置されている。一方、仕切板6は、その左方側端部がアーム部601の周辺部分(右方側部分)よりも僅かに上方側に位置するように傾斜した状態で配置されている。この場合において、仕切板5の右方側端部、仕切板6の左方側端部の上端部(すなわち、仕切板5、6の互いに対向する部分の上端部)は、上部カード装着部にせり出し、カバー部材3の下面に近接する位置に配置されている。これにより、初期状態(カードが挿入されていない状態)において前方側から見た場合、上部カード装着部には、殆ど隙間が空かないように構成されている。
【0044】
ここで、本実施の形態に係るコネクタ1が有する仕切板5、6及び連結部材7の構成について説明する。図6は、本実施の形態に係るコネクタ1が有する仕切板5、6及び連結部材7を上方側から示した斜視図であり、図7は、仕切板5、6及び連結部材7を下方側から示した斜視図である。図8は、本実施の形態に係るコネクタ1が有する仕切板5、6及び連結部材7を前方側から示した図である。なお、図8においては、仕切板5、6及び連結部材7がコネクタ1に装着された状態(図5に示す状態)を示している。
【0045】
仕切板5、6は、例えば、絶縁性の樹脂材料を成形して形成される。図6及び図7に示すように、アーム部501、601を除き、概して平板形状を有している。連結部材7により連結された状態において、仕切板5の前方側端部は、仕切板6の前方側端部よりもカード挿入口4側(コネクタ1の前方側)に延出している。また、このように連結された状態において、図6に示すように、仕切板5、6の上面部であって中央部分よりも僅かに後方側には、複数の凹部505、605が左右方向に並設されている。これらの凹部505、605は、カードA用コンタクト211の先端部に対応する位置に配置されており、下部カード装着部に対するカードBの装着に伴って接近する当該先端部を収容可能に構成されている。また、これらの凹部505、605の前方側の位置には、上方側に僅かに突出する複数の突出片506、606が設けられている。突出片506、606は、カードAが誤った方向で挿入された場合(逆方向に挿入された場合)、或いは、異なるカードが挿入された場合にカードの挿入方向の先端部と当接することで、カードA用コンタクト211を保護するものである。
【0046】
一方、仕切板5、6の下面の中央部分よりも僅かに後方側には、図7に示すように、複数の凹部507、607が左右方向に並設されている。また、これらの凹部507、607よりも前方側の位置には、複数の凹部508、608が左右方向に並設されている。これらの凹部507、607は、カードB用コンタクト212の先端部に対応する位置に配置されており、上部カード装着部に対するカードAの装着に伴って接近する当該先端部を収容可能に構成されている。一方、凹部508、608は、カードB用コンタクト213の先端部に対応する位置に配置されており、上部カード装着部に対するカードAの装着に伴って接近する当該先端部を収容可能に構成されている。
【0047】
また、仕切板5、6のアーム部501、601の下面には、図7に示すように、コイルばね215a、215bを収容する凹部509、609が設けられている。ハウジング2の突出片214a、214bを挿通させる孔502、602は、これらの凹部509、609の上面に設けられている。上述した突起部504、604は、アーム部501、601の上面であって、これらの凹部509、609よりも外側部分に設けられている。そして、これらの突起部504、604は、カバー部材3がハウジング2に固定された場合にカバー部材3の下面に当接する高さに設計されている。このため、アーム501、601が下方側からコイルばね215a、215bの付勢力を受けると、仕切板5、6には、突起部504、604とカバー部材3との当接箇所を支点に回転する力が作用することとなる。これにより、カバー部材3がハウジング2に取り付けられた状態において、仕切板5、6は、図5及び図8に示すように、仕切板5、6の内側部分(すなわち、仕切板5の右方側端部、仕切板6の左方側端部)が持ち上げられた状態となる。
【0048】
連結部材7は、このように仕切板5、6の内側部分が持ち上げられた状態において、図8に示すように、略水平状態で仕切板5、6を連結している。ここで、仕切板5、6と連結部材7との連結状態について説明する。図9は、図6に示す状態の仕切板5、6から連結部材7を抜き出した場合の斜視図である。
【0049】
図9に示すように、連結部材7は、左右方向に延在する長尺体で構成されている。連結部材7の左方側端部には、前後方向に突出し、上面視にてT字形状を有する係合部701が設けられている。この係合部701の側面(左方側側面)には、前後方向に延在する溝部701aが設けられている。また、連結部材7の右方側端部には、その上面の前端部に凹部702が設けられる一方、その下面の後端部に凹部703が設けられている(図9において凹部703は不図示)。
【0050】
仕切板5、6には、このような構成を有する連結部材7を収容する開口部510、610がそれぞれ設けられている。開口部510は、連結部材7の係合部701を収容できるように、概してT字形状に設けられており、溝部701aに対応する位置にリブ511が設けられている。一方、開口部610の右方側端部には、連結部材7の凹部702に収容される突出部611が設けられると共に、凹部703に収容される突出部612が設けられている。連結部材7は、このような開口部510、610に対して、溝部701aでリブ511を収容すると共に、凹部702、703でそれぞれ突出部611、612を収容した状態で収容されるものとなっている。
【0051】
次に、本実施の形態に係るコネクタ1に対して各カードが装着された状態について説明する。図10は、本実施の形態に係るコネクタ1に対してカードAが装着された状態を示す斜視図である。図11は、本実施の形態に係るコネクタ1に対してカードBが装着された状態を示す斜視図である。なお、図10及び図11に示すコネクタ1においては、説明の便宜上、カバー部材3を省略している。
【0052】
コネクタ1に対してカードAを装着する場合には、ハウジング2に設けられた第1ガイド部205にカードAの側面及び下面を合わせた状態でコネクタ1の内部にカードAを押し込む。このようにコネクタ1の内部に押し込む過程で、カードAの先端部が仕切板5、6の傾斜部503、603に当接する。この状態から更に押し込むと、カードAは、仕切板5、6の上側をコネクタ1の後方側に進む。この場合、仕切板5、6は、カードAに傾斜部503、603を押されることで僅かに下方側に移動し、その下面でカードB用コンタクト212、213を僅かに押し下げる。このように、カードAの挿入に伴って仕切板5、6の下面でカードB用コンタクト212、213を僅かに押し下げることで、コネクタ1内の限られた空間であるカード装着部を有効に活用するものとなっている。
【0053】
このように挿入する過程において、カードAの右方側の先端部が、仕切板5、6よりも上方側の位置においてスライド部材801の一部に当接する。これにより、カードAのスライド部材801に対する位置が決まり、これ以降、スライド部材801とカードAとが一緒に移動することとなる。なお、カードAの先端部がスライド部材801に当接した時点においては、係止部材803の前方側の一端は、ガイド溝804の直線状ガイド溝810の後方側端部に配置されている。
【0054】
この状態から更にカードAを押し込むと、カードA用コンタクト211がカードAの下面に入り込み、カードAの先端部の下面に形成された接触パッドと接触する。図10においては、この状態におけるコネクタ1を示している。なお、図10においては、カードAをコネクタ1の最後方側の位置まで押し込み、手を離した状態について示している。この状態においては、係止部材803の前方側の一端は、ガイド溝804の係止部808に係止された状態となっている。仕切板5、6は、カードAにより押し下げられた状態となっており、これらを連結する連結部材7もカードAにより押し下げられた状態となっている。
【0055】
一方、コネクタ1に対してカードBを装着する場合には、ハウジング2に設けられた第2ガイド部206にカードBの側面及び下面を合わせた状態でコネクタ1の内部にカードBを押し込む。このように押し込むと、カードBは、仕切板5、6の下側とベース部201との間をコネクタ1の後方側に進む。この場合、仕切板5、6は、カードBに押されて僅かに上方側に移動し、その上面でカードA用コンタクト211を僅かに押し上げる。このように、カードBの挿入に伴って仕切板5、6の上面でカードA用コンタクト211を僅かに押し上げることで、コネクタ1内の限られた空間であるカード装着部を有効に活用するものとなっている。
【0056】
このように挿入する過程において、カードBの右方側の先端部が、仕切板5、6よりも下方側の位置においてスライド部材801の一部に当接する。これにより、カードBのスライド部材801に対する位置が決まり、これ以降、スライド部材801とカードBとが一緒に移動することとなる。なお、カードBの先端部がスライド部材801に当接した時点においては、係止部材803の前方側の一端は、ガイド溝804の直線状ガイド溝810の後方側端部に配置されている。
【0057】
この状態から更にカードBを押し込むと、カードB用コンタクト212、213がカードBの下面に入り込み、カードBの下面に形成された接触パッドと接触する。図11においては、この状態におけるコネクタ1を示している。なお、図11においては、カードBをコネクタ1の最後方側の位置まで押し込み、手を離した状態について示している。この状態においては、係止部材803の前方側の一端は、ガイド溝804の係止部808に係止された状態となっている。仕切板5、6は、カードBにより押し上げられた状態となっており、これらを連結する連結部材7もカードBにより押し上げられた状態となっている。
【0058】
なお、本実施の形態に係るコネクタ1の上部カード装着部に対してカードBを挿入しようとした場合においても、図5に示すように、上部カード装着部には仕切板5、6の対向部分がせり出しており、カバー部材3との間に殆ど隙間が形成されていない。このため、上部カード装着部にカードBが挿入される事態を防止することができるものとなっている。特に、上部カード装着部においてカード部材3との間には殆ど隙間が形成されていないことから、カバー部材3を変形させて上部カード装着部が拡張される事態を防止できるので、上部カード装着部にカードBが挿入される事態を確実に防止することができるものとなっている。
【0059】
このように本実施の形態に係るコネクタ1においては、カード装着部の幅方向に並べて配置され、互いの対向部分を上下方向に回動自在に設けた仕切板5、6を備え、カード装着部に対するカード非装着時に仕切板5、6の対向部分をカバー部材3の下面に近接する位置に配置するようにしていることから、カード非装着時に仕切板5、6とカバー部材3との間に殆ど隙間が形成されなくすることができるので、仕切板5、6により仕切られた上部カード装着部へのカードの誤挿入を確実に防止することが可能となる。
【0060】
特に、本実施の形態に係るコネクタ1においては、仕切板5、6を上方側へ付勢するコイルばね215a、215bを備え、これらのコイルばね215a、215bの外側部分でカバー部材3の下面に当接する突起部504、604を仕切板5、6のアーム部501、601に設けている。これにより、仕切板5、6を復帰させるためのコイルばね215a、215bと、カバー部材3の下面と当接する突起部504、604という簡単な構成で仕切板5、6に回転力を与えることができるので、コネクタ内部に複雑な機構を用意することなく、仕切板5、6の対向部分をカバー部材3の下面に近接する位置に配置させることが可能となる。
【0061】
また、本実施の形態に係るコネクタ1においては、仕切板5、6のアーム部501、601に、上部カード装着部用のカードAに当接して仕切板5、6を押し下げる傾斜部503、603を設けている。これにより、上部カード装着部用のカードAの挿入に伴って仕切板5、6を押し下げることができるので、上部カード装着部に対する適正なカード(カードA)の挿入を許容しつつ、不適正なカードの挿入を防止することが可能となる。
【0062】
なお、本実施の形態に係るコネクタ1においては、このように一対の仕切板5、6を備え、これらの対向部分を上部カード装着部にせり出すように構成することによって上部カード装着部に対して本来装着されるカードと異なるカードの挿入を防止している。しかしながら、このように一対の仕切板5、6を独立して回動可能に構成する場合には、カードの挿入形態に伴って仕切板5、6の対向部分の間に高低差が発生し、仕切板5、6の対向部分の隙間にカードが挿入されてしまう事態が発生し得る。本実施の形態に係るコネクタ1においては、このような事態を防止すべく、仕切板5、6の対向部分を連結部材7により連結している。
【0063】
ここで、本実施の形態に係るコネクタ1が有する連結部材7による誤挿入防止機能について説明する。図12は、本実施の形態に係るコネクタ1が有する連結部材7により誤挿入が防止された状態の斜視図である。図13は、図12に示す状態の仕切板5、6及び連結部材7を前方側から示した図である。なお、図12においては、本実施の形態に係るコネクタ1のカード装着部に装着されるカードと異なるカードとして、カードCが挿入された場合について示している。
【0064】
図12においては、カード装着部に対してカードCが挿入されることで仕切板6のみが押し下げられ、仕切板5、6の対向部分の間に高低差が発生した場合について示している。例えば、このような事態は、カードCの右方側の先端部によって仕切板6が有するアーム部601の傾斜部603が押し下げられた場合に発生し得る。このように仕切板5、6の対向部分の間に高低差が発生した場合、図12に示すように、カードCの先端部が仕切板5の下面と、仕切板6の上面との間に入り込む事態が発生し得る。しかしながら、本実施の形態に係るコネクタ1においては、仕切板5、6を連結部材7により連結し、その前面部をカードCの先端部と当接させ、これ以上のカードCの挿入を防止することができるものとなっている。
【0065】
また、図14は、本実施の形態に係るコネクタ1が有する連結部材7により誤挿入が防止された状態の斜視図である。図15は、図14に示す状態の仕切板5、6及び連結部材7を前方側から示した図である。なお、図14においては、本実施の形態に係るコネクタ1のカード装着部に装着されるカードと異なるカードとして、カードDが挿入された場合について示している。
【0066】
図14においては、カード装着部に対してカードDが挿入されることで仕切板5のみが押し下げられ、仕切板5、6の対向部分の間に高低差が発生した場合について示している。例えば、このような事態は、カードDの左方側の先端部によって仕切板5が有するアーム部501の傾斜部503が押し下げられた場合に発生し得る。このように仕切板5、6の対向部分の間に高低差が発生した場合、図14に示すように、カードDの先端部が仕切板5の上面と、仕切板6の下面との間に入り込む事態が発生し得る。しかしながら、本実施の形態に係るコネクタ1においては、仕切板5、6を連結部材7により連結し、その前面部をカードDの先端部と当接させ、これ以上のカードDの挿入を防止することができるものとなっている。
【0067】
このように本実施の形態に係るコネクタ1においては、一対の仕切板5、6の対向部分を連結する連結部材7を備えていることから、これらの仕切板5、6を独立して回動可能に構成する場合においても、これらの対向部分の間に挿入されたカードの先端部に連結部材7の前面部を当接させることができるので、仕切板5、6の対向部分の間に侵入したカードのコネクタ内部への挿入を確実に防止することが可能となっている。
【0068】
特に、本実施の形態に係るコネクタ1においては、連結部材7を、仕切板5、6におけるカード挿入口4側の位置に配置していることから、仕切板5、6の対向部分の間に侵入するカード部分を小さくすることができ、当該カードの侵入に起因してコネクタ1内の構成部品が破損する事態を防止することが可能となる。さらに、本実施の形態に係るコネクタ1においては、連結部材7を、仕切板5、6を回動可能に連結するようにしている。これにより、仕切板5、6が回動可能に連結されるので、仕切板5、6の回動動作を許容しつつ、これらの対向部分の間に侵入するカードの挿入を確実に防止することが可能となる。
【0069】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本考案の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本考案の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 カード用コネクタ(コネクタ)
2 ハウジング
201 ベース部
202 側壁部
203 係合片
204 凹部
205 第1ガイド部
206 第2ガイド部
207a、207b 収容部
208 保持片
209 係止穴
210 コンタクトユニット
211 カードA用コンタクト
212、213 カードB用コンタクト
214a、214b 突出片
215a、215b コイルばね
3 カバー部材
301 切り欠き部
302 付勢片
303 開口部
304 係合片
4 カード挿入口
5、6 仕切板
501、601 アーム部
502、602 孔
503、603 傾斜部
504、604 突起部
505、605 凹部
506、606 突出片
507、607 凹部
508、608 凹部
509、609 凹部
510、610 開口部
511 リブ
611、612 突出部
7 連結部材
701 係合部
701a 溝部
702、703 凹部
8 排出機構
801 スライド部材
802 圧縮ばね
803 係止部材
804 ガイド溝
805 ハート形カム
806 第1ガイド溝
807 第2ガイド溝
808 係止部
809 凹み溝
810 直線状ガイド溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関し、特に、複数種類のカードに対応可能なカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カード用コネクタ装置内に設けられたカード装着部を上下に仕切る可動式の板状部材(以下、「仕切板」という)を備え、当該仕切板によりカード装着部を分割したカード用コネクタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このカード用コネクタにおいては、挿入されるカードの種別に応じて仕切板によって上下に分割されたカード装着部(上部カード装着部、下部カード装着部)に選択的に振り分けて装着可能に構成されている。特に、このカード用コネクタにおいて、上部カード装着部は、仕切板の上面とカード装着部を覆うカバー部材とで規定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−26552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来のカード用コネクタにおいては、上部カード装着部に対して本来装着すべきカードと異なるカードが誤挿入される可能性がある。特に、カバー部材が金属製の薄板部材で構成される場合には、異なるカードの挿入に伴ってカバー部材が変形し、上部カード装着部が拡張されて挿入されるという事態が発生し得る。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、仕切板により仕切られた上部カード装着部へのカードの誤挿入を確実に防止することができるカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカード用コネクタは、カードが選択的に装着されるカード装着部を有するハウジングと、前記カード装着部を上下に分割して上部カード装着部及び下部カード装着部を形成する仕切板と、前記ハウジングに上方側から被せられ、前記カード装着部の一部を規定するカバー部材とを具備し、前記仕切板は、前記カード装着部の幅方向に並べて配置される第1、第2の仕切板を有すると共に、当該第1、第2の仕切板における互いの対向部分が上下方向に回動自在に設けられ、前記カード装着部に対するカード非装着時に前記第1、第2の仕切板の対向部分を前記カバー部材の下面に近接する位置に配置したことを特徴とする。
【0007】
上記カード用コネクタによれば、カード装着部の幅方向に並べて配置され、互いの対向部分を上下方向に回動自在に設けた第1、第2の仕切板を備え、カード装着部に対するカード非装着時に第1、第2の仕切板の対向部分をカバー部材の下面に近接する位置に配置したことから、カード非装着時に仕切板とカバー部材との間に殆ど隙間が形成されなくすることができるので、仕切板により仕切られた上部カード装着部へのカードの誤挿入を確実に防止することが可能となる。
【0008】
特に、上記カード用コネクタにおいては、前記第1、第2の仕切板を上方側へ付勢する付勢部材を具備し、前記付勢部材の外側部分で前記カバー部材の下面に当接する当接片を前記第1、第2の仕切板に設けることが好ましい。この場合には、例えば、第1、第2の仕切板を復帰させるための付勢部材と、カバー部材の下面と当接する当接片という簡単な構成で第1、第2の仕切板に回転力を与えることができるので、コネクタ内部に複雑な機構を用意することなく、第1、第2の仕切板の対向部分をカバー部材の下面に近接する位置に配置させることが可能となる。
【0009】
また、上記カード用コネクタにおいては、前記第1、第2の仕切板に、前記上部カード装着部用のカードに当接して当該第1、第2の仕切板を押し下げる係合部を設けることが好ましい。この場合には、上部カード装着部用のカードの挿入に伴って第1、第2の仕切板を押し下げることができるので、上部カード装着部に対する適正なカードの挿入を許容しつつ、不適正なカードの挿入を防止することが可能となる。
【0010】
さらに、上記カード用コネクタにおいては、前記第1、第2の仕切板の前記対向部分を連結し、当該対向部分に侵入したカードの先端部と当接する連結部材を具備することが好ましい。この場合には、第1、第2の対向部分に侵入したカードの先端部と当接する連結部材を備えたことから、第1、第2の仕切板を独立して回動可能に構成した場合においても、第1、第2の仕切板の対向部分の間に侵入したカードのコネクタ内部への挿入を確実に防止することが可能となる。
【0011】
特に、上記カード用コネクタにおいては、前記連結部材を、前記カード装着部に対するカード挿入口側の位置に配置することが好ましい。この場合には、連結部材がカード挿入口側の位置に配置されるので、第1、第2の仕切板の対向部分の間に侵入するカード部分を小さくすることができ、当該カードの侵入に起因してコネクタ内の構成部品が破損する事態を防止することが可能となる。
【0012】
また、上記カード用コネクタにおいては、前記連結部材は、前記第1、第2の仕切板を回動可能に連結することが好ましい。この場合には、第1、第2の仕切板が回動可能に連結されるので、第1、第2の仕切板の回動動作を許容しつつ、これらの対向部分の間に侵入するカードの挿入を確実に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カード装着部の幅方向に並べて配置され、互いの対向部分を上下方向に回動自在に設けた第1、第2の仕切板を備え、カード装着部に対するカード非装着時に第1、第2の仕切板の対向部分をカバー部材の下面に近接する位置に配置したことから、カード非装着時に仕切板とカバー部材との間に殆ど隙間が形成されなくなるので、仕切板により仕切られた上部カード装着部へのカードの誤挿入を確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係るカード用コネクタの外観を示す斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係るカード用コネクタの内部の構成を説明するための斜視図である。
【図3】上記実施の形態に係るカード用コネクタの内部の構成を説明するための上面図である。
【図4】上記実施の形態に係るカード用コネクタの内部の構成を説明するための斜視図である。
【図5】上記実施の形態に係るカード用コネクタを前方側から示す図である。
【図6】上記実施の形態に係るカード用コネクタが有する仕切板及び連結部材を上方側から示した斜視図である。
【図7】上記実施の形態に係るカード用コネクタが有する仕切板及び連結部材を下方側から示した斜視図である。
【図8】上記実施の形態に係るカード用コネクタが有する仕切板及び連結部材を前方側から示した図である。
【図9】図6に示す状態の仕切板から連結部材を抜き出した場合の斜視図である。
【図10】上記実施の形態に係るカード用コネクタに対してカードAが装着された状態を示す斜視図である。
【図11】上記実施の形態に係るカード用コネクタに対してカードBが装着された状態を示す斜視図である。
【図12】上記実施の形態に係るコネクタが有する連結部材により誤挿入が防止された状態の斜視図である。
【図13】図12に示す状態の仕切板及び連結部材を前方側から示した図である。
【図14】上記実施の形態に係るカード用コネクタが有する連結部材により誤挿入が防止された状態の斜視図である。
【図15】図14に示す状態の仕切板及び連結部材を前方側から示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態に係るカード用コネクタ(以下、単に「コネクタ」という)においては、例えば、SD(secure digital)カード、MMC(Multi Media Card)カード、メモリースティック デュオ(登録商標)カード、並びに、メモリースティック PRO−HG デュオカードの4種類のカードが装着可能に構成されている。なお、SDHCカードは、SDカードに含まれているものとする。
【0016】
ここで、MMCカードは、その厚さが僅かに薄い点を除き、SDカードと略同様の形状を有するため、コネクタにおいては、同一の態様で装着される。また、メモリースティック デュオカードと、メモリースティック PRO−HG デュオカードとは、コンタクトと接触する接触パッドの構成を除き、同一の形状を有するため、コネクタにおいては、同一の態様で装着される。以下においては、適宜、SDカード及びMMCカードを「カードA」と呼び、メモリースティック デュオカード及びメモリースティックPRO−HG デュオカードを「カードB」と呼ぶものとする。この場合、カードAは、カードBと比べて幅方向の寸法が大きいカードで構成されている。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係るコネクタ1の外観を示す斜視図である。なお、以下においては、適宜、図1に示す紙面右下方側を「コネクタ1の前方側」又は単に「前方側」と呼び、同図に示す紙面左上方側を「コネクタ1の後方側」又は単に「後方側」と呼ぶものとする。また、図1に示す紙面右方側を「コネクタ1の右方側」又は単に「右方側」と呼び、同図に示す紙面左方側を「コネクタ1の左方側」又は単に「左方側」と呼ぶものとする。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態に係るコネクタ1は、合成樹脂材料などの絶縁材料を成形して形成されるハウジング2と、金属薄板材料に打ち抜き加工及び折り曲げ加工などを施して形成されるカバー部材3とを備えている。ハウジング2は、概して偏平な直方体形状を有しており、その上方側及び前方側に開口した空間を有している。カバー部材3は、ハウジング2の上方側の開口部に対応する形状を有しており、ハウジング2の上方側から被せられる。これらを組み合わせることにより、コネクタ1は、前方側にのみ開口した形状となり、この開口部でカード挿入口4が構成される。なお、カバー部材3は、合成樹脂材料などの絶縁材料を成型して形成しても良い。
【0019】
カバー部材3の前方側の中央部には、カード挿入口4を介して装着されたカードを引き抜き易くするための切り欠き部301が形成されている。また、カバー部材3の上面の後方側寄りの位置には付勢片302が形成されている。この付勢片302は、僅かに下方側に折り曲げられ、後述する係止部材803を上方側から付勢する。さらに、カバー部材3の側面には、後述するハウジング2の係合片203と係合する複数の開口部303が形成されている。さらに、カバー部材3の上面の前方側には、後述するハウジング2の凹部204(図1に不図示)に係合する一対の係合片304が形成されている。これらの係合片304がハウジング2の凹部204に係合する一方、複数の開口部303にハウジング2の係合片203が係合することで、ハウジング2に対してカバー部材3が固定されることとなる。さらに、係合片304の近傍には、カード挿入に伴って上下動する後述する仕切板5、6の一部を露出可能な一対の開口部305が形成されている。
【0020】
以下、本実施の形態に係るコネクタ1の内部の構成について説明する。図2は、本実施の形態に係るコネクタ1の内部の構成を説明するための斜視図である。図3は、本実施の形態に係るコネクタ1の内部の構成を説明するための上面図である。なお、図2及び図3においては、図1に示す状態のコネクタ1からカバー部材3を取り除いた場合について示している。
【0021】
図2に示すように、ハウジング2の内部には一定の空間が形成されており、この空間の一部で複数種類のカードが選択的に装着可能な空間(以下、適宜「カード装着部」という)が構成されている。このカード装着部には、複数種類のカードに対応するコンタクト、カード装着部を上下に仕切る一対の仕切板5、6、これらの仕切板5、6を連結する連結部材7、並びに、カード装着部に装着された複数種類のカードの排出を行う排出機構8が配設されている。
【0022】
ハウジング2内の空間において、仕切板5、6は、カード挿入口4よりも僅かに内部側(後方側)の位置に配置されている。仕切板5、6は、それぞれ概して平板形状を有しており、ハウジング2の内底面と対向して配置されている。仕切板5がカード装着部の左方側部分に配置される一方、仕切板6がカード装着部の右方側部分に配置されている。連結部材7は、仕切板5、6の前方側寄りの位置であって、両者の互いに対向する部分を連結している。排出機構8は、右方側に配置される仕切板6の右方側の位置に配置されている。なお、複数種類のカードに対応するコンタクトは、カード挿入口4からのカードの挿入経路上に適宜配設されている。
【0023】
ハウジング2は、コネクタ1の底面部を構成するベース部201と、コネクタ1の側端部において、このベース部201から上方側に垂直に立設された側壁部202とを有している。ベース部201には、詳細について後述するように、複数種類のカードに対応するコンタクトが設けられている。側壁部202の外側面には、カバー部材3の開口部303と係合する複数の係合片203が設けられている。また、側壁部202の前端部近傍の上面には、カバー部材3の係合片304を収容すると共に、ガイド部材5の一部を収容する凹部204が形成されている。側壁部202の前面部の内側面は、カード挿入口4の一部を規定するものであり、主にカードAの挿入をガイドする第1ガイド部205と、カードBの挿入をガイドする第2ガイド部206とが形成されている。
【0024】
第1ガイド部205は、側壁部202の上側部分に形成されており、挿入時におけるカードAの側面及び下面をガイドするように構成されている。一方、第2ガイド部206は、第1ガイド部205よりも下方側に形成されており、挿入時におけるカードBの側面及び下面をガイドするように構成されている(図5参照)。これらの第1ガイド部205、第2ガイド部206にガイドされた状態でカードA、Bを挿入することにより、カード装着部の適切な位置にカードA、Bを挿入することができるものとなっている。
【0025】
左右の側壁部202には、前方側部分に仕切板6の一部を収容する収容部207a、207bが設けられている。右方側の側壁部202における後面部の内側面には、排出機構8の一部を構成する圧縮ばね802の一端を保持する保持片208が形成されている。保持片208は、コネクタ1の前方側に向かって一定長さだけ延出している。また、この後面部には、排出機構8の一部を構成する係止部材803の一端を係止する係止穴209が形成されている。この係止穴209は、係止部材803の一端が上方側から差し込まれるように構成され、係合部材803を回動可能に保持できるものとなっている。
【0026】
ベース部201の後方側端部には、ハウジング2の後壁部を構成するコンタクトユニット210が配設されている。コンタクトユニット210は、例えば、ベース部201に接着固定される。コンタクトユニット210の前面には、コネクタ1の左右方向に整列して複数のカードA用のコンタクト(以下、適宜「カードA用コンタクト」という)211が設けられている。
【0027】
カードA用コンタクト211は、基端部がコンタクトユニット210に固定される一方、先端部がコネクタ1の前方側であって僅かに上方側に延在し、一定範囲で上下方向に揺動可能となっている。カードA用コンタクト211の先端部は、下方側に折り曲げられており、その折曲部近傍でカードAの接触パッドと接触するように構成されている。カードA用コンタクト211の先端部(最も右方側のものを除く)は、後述する仕切板5、6の凹部505、605に収容される位置に配置されている。なお、これらのカードA用コンタクト211の一端は、コンタクトユニット210の後方側からコネクタ1の外部に導出され、カードAに対する信号を入出力可能に構成されている。
【0028】
仕切板5、6は、コネクタ1に挿入されるカードの種類に応じて、カード装着部内で僅かに上下方向に揺動可能に構成されている。仕切板5、6は、概して平板形状を有しており、カード装着部の幅方向(左右方向)に並べて配置されている。仕切板5、6は、側壁部202の収容部207a、207bの後方側近傍からコンタクトユニット210の前面部近傍まで延在する長さを有している。また、仕切板5、6は、前方側端部に側壁部202の収容部207a、207b側に延出するアーム部501、601を有している。
【0029】
仕切板5のアーム部501には、後述するハウジング2の突出片214aが挿通される孔502と、カード装着部に挿入されたカードAの先端が当接する係合部としての傾斜部503と、アーム501の左方側端部から上方側に突出する当接片としての突起部504とが設けられている。一方、仕切板6のアーム部601には、後述するハウジング2の突出片214bが挿通される孔602と、カード装着部に挿入されたカードBの先端が当接する係合部としての傾斜部603と、アーム601の右方側端部から上方側に突出する当接片としての突起部604とが設けられている。
【0030】
これらの仕切板5、6は、カード装着部を上下に分割して上部カード装着部及び下部カード装着部を形成する役割を果たす。本実施の形態に係るコネクタ1において、上部カード装着部には、カードAが装着され、下部カード装着部には、カードBが装着されるものとなっている。カード挿入口4からカードAが挿入されると、その挿入に伴って仕切板5、6が僅かに下方側に移動し、上部カード装着部にカードAを受け入れ可能となっている。一方、カード挿入口4からカードBが挿入されると、その挿入に伴って仕切板5、6が僅かに上方側に移動し、下部カード装着部にカードBを受け入れ可能となっている。
【0031】
連結部材7は、これらの仕切板5、6を連結し、上部カード装着部、下部カード装着部にそれぞれ本来装着されるべきカード(カードA、カードB)が挿入された場合に両者の下方側、上方側への移動を補助する役割を果たす。また、連結部材7は、上部カード装着部、下部カード装着部にそれぞれ本来装着されるべきカードと異なるカードが挿入され、仕切板5、6の対向部分の間に高低差が発生した場合に当該異なるカードの先端部と当接し、その挿入(すなわち、誤挿入)を防止する役割を果たす。なお、この連結部材7における誤挿入防止機能の詳細については後述する。
【0032】
排出機構8は、スライド部材801と、圧縮ばね802と、係止部材803とから構成されている。スライド部材801は、概してコネクタ1の前後方向に延在する直方体形状を有しており、ハウジング2の右方側の側壁部202に沿って前後方向にスライド移動可能に構成されている。スライド部材801は、使用者によるカードに対する押圧操作に応じて、カードをコネクタ1における所定の装着位置から排出位置に移動させる役割を果たすものである。
【0033】
スライド部材801の上面には、図3に示すように、概してループ状のガイド溝804が形成されている。このガイド溝804の中央には、概してハート形状を有するハート形カム805が設けられている。ガイド溝804は、このハート形カム805の両側に配置される第1ガイド溝806、第2ガイド溝807、係止部材803を係止する係止部808を有する凹み溝809、並びに、第1ガイド溝806及び第2ガイド溝807に連結される直線状ガイド溝810で構成される。係止部材803は、このようなガイド溝804をカードの挿入動作に応じて一定方向に進む。なお、ガイド溝804における係止部材803の案内経路上には、係止部材803の逆方向への進行を防止する段差部が形成されている。
【0034】
圧縮ばね802は、上述のように、後方側の端部がハウジング2の保持片208に保持され、前方側の端部がスライド部材801の下面側の不図示の保持片に保持されており、スライド部材801を前方側に付勢する付勢力を付与している。係止部材803は、その前端部及び後端部で下方側に折り曲げられた形状を有している。上述のように、後方側の一端がハウジング2の係止穴209に差し込まれ、前方側の一端がスライド部材801の上面に形成された後述のガイド溝804と係合している。係止部材803は、圧縮ばね802による付勢力に抗してスライド部材801の前方側への移動を規制する役割を果たすものである。
【0035】
上述したガイド溝804において、カードが装着されていない場合、係止部材803は、直線状ガイド溝810の後方側端部に配置された状態となっている。カードが挿入されると、スライド部材801の後方側への移動に伴って係止部材803が直線状ガイド溝810を介して第1ガイド溝806に進む。そして、係止部材803が第1ガイド溝806の前方側端部に到達する位置までカードが押し込まれると、係止部材803は、凹み溝809に進み、この状態で、カードの押し込みを止めて手を離すと、スライド部材801は圧縮ばね802の付勢力により若干前方側に移動する。そして、この移動により係止部材803が凹み溝809内を移動して、係止部808に係止された状態(ロック状態)となる。
【0036】
そして、係止部材803が係止部808に係止された状態(ロック状態)から、更にカードが押し込まれると(所謂、オーバーストローク状態)、係止部材803は、凹み溝809から第2ガイド溝807に進む。そして、第2ガイド溝807から直線状ガイド溝810に進み、再び、係止部材803が直線状ガイド溝810の後方側端部に配置された状態となる。なお、このようにガイド溝804内を移動する係止部材803には、上方からカバー部材3の付勢片302が載置され、ガイド溝804に係合するよう下方側に僅かに付勢された状態となっている。
【0037】
図4は、本実施の形態に係るコネクタ1の内部の構成を説明するための斜視図である。なお、図4においては、図2に示す状態のコネクタ1から仕切板6を取り除いた場合について示している。
【0038】
図4に示すように、ハウジング2のベース部201の中央近傍には、コネクタ1の左右方向に整列して複数のカードB用のコンタクト(以下、適宜「カードB用コンタクト」という)212、213が設けられている。カードB用コンタクト212は、カードA用コンタクト211の下方側に設けられている。カードB用コンタクト212の基端部がベース部201に固定される一方、先端部がコネクタ1の前方側であって僅かに上方側に延在し、一定範囲で上下方向に揺動可能となっている。また、カードB用コンタクト212の先端部は、カードA用コンタクト211と同様に、下方側に折り曲げられており、その折曲部近傍でカードBの接触パッドと接触するように構成されている。
【0039】
カードB用コンタクト213は、カードB用コンタクト212の前方側の位置に設けられている。カードB用コンタクト213の基端部がベース部201に固定される一方、先端部がコネクタ1の後方側であって僅かに上方側に延在し、一定範囲で上下方向に揺動可能となっている。また、カードB用コンタクト213の先端部は、カードA用コンタクト211と同様に、下方側に折り曲げられており、その折曲部近傍でカードBの接触パッドと接触するように構成されている。なお、これらのカードB用コンタクト212、213の一端は、ベース部201の後方側からコネクタ1の外部に導出され、カードBに対する信号を入出力可能に構成されている。
【0040】
例えば、カードB用コンタクト212は、メモリースティック デュオカード及びメモリースティック PRO−HG デュオカードに対応するコンタクトであり、カードB用コンタクト213は、メモリースティック PRO−HG デュオカードに対応するコンタクトである。メモリースティック PRO−HG デュオカードは、メモリースティック デュオカードと異なり、コンタクトとの接触パッドが一部分割されているため、本実施の形態に係るコネクタ1においては、別途、カードB用コンタクト213を設けている。
【0041】
左右の側壁部202に設けられた収容部207a、207bに対応するベース部201には、それぞれ上方側に突出する突出片214a、214bが立設されている。これらの突出片214a、214bは、それぞれ仕切板5、6のアーム部501、601に設けられた孔502、602に挿通され、仕切板5、6の位置決めを行うと共に、その揺動動作をガイドする役割を果たす。これらの突出片214a、214bには、それぞれ付勢部材としてのコイルばね215a、215bが取り付けられている。これらのコイルばね215a、215bは、それぞれベース部201と仕切板5、6との間に配置され、仕切板5、6を上方側に付勢するように構成されている。
【0042】
図5は、本実施の形態に係るコネクタ1を前方側から示す図である。上述したような構成を有するコネクタ1を前方側から見ると、左右の側壁部202の前面に設けられた第1ガイド部205の奥側(後方側)に、仕切板5、6の傾斜面503、603が配置されており、第1ガイド部材205により案内されたカードAの挿入に伴って、仕切板5、6が押し下げられるように構成されている。また、排出機構8を構成するスライド部材801は、カード装着部の厚さ方向の全体に亘る厚さ寸法を有しており、第1ガイド部材205により案内されたカードA又は第2ガイド部材206により案内されたカードBの先端部と当接して後方側に移動可能に構成されている。
【0043】
仕切板5は、その右方側端部がアーム部501の周辺部分(左方側部分)よりも僅かに上方側に位置するように傾斜した状態で配置されている。一方、仕切板6は、その左方側端部がアーム部601の周辺部分(右方側部分)よりも僅かに上方側に位置するように傾斜した状態で配置されている。この場合において、仕切板5の右方側端部、仕切板6の左方側端部の上端部(すなわち、仕切板5、6の互いに対向する部分の上端部)は、上部カード装着部にせり出し、カバー部材3の下面に近接する位置に配置されている。これにより、初期状態(カードが挿入されていない状態)において前方側から見た場合、上部カード装着部には、殆ど隙間が空かないように構成されている。
【0044】
ここで、本実施の形態に係るコネクタ1が有する仕切板5、6及び連結部材7の構成について説明する。図6は、本実施の形態に係るコネクタ1が有する仕切板5、6及び連結部材7を上方側から示した斜視図であり、図7は、仕切板5、6及び連結部材7を下方側から示した斜視図である。図8は、本実施の形態に係るコネクタ1が有する仕切板5、6及び連結部材7を前方側から示した図である。なお、図8においては、仕切板5、6及び連結部材7がコネクタ1に装着された状態(図5に示す状態)を示している。
【0045】
仕切板5、6は、例えば、絶縁性の樹脂材料を成形して形成される。図6及び図7に示すように、アーム部501、601を除き、概して平板形状を有している。連結部材7により連結された状態において、仕切板5の前方側端部は、仕切板6の前方側端部よりもカード挿入口4側(コネクタ1の前方側)に延出している。また、このように連結された状態において、図6に示すように、仕切板5、6の上面部であって中央部分よりも僅かに後方側には、複数の凹部505、605が左右方向に並設されている。これらの凹部505、605は、カードA用コンタクト211の先端部に対応する位置に配置されており、下部カード装着部に対するカードBの装着に伴って接近する当該先端部を収容可能に構成されている。また、これらの凹部505、605の前方側の位置には、上方側に僅かに突出する複数の突出片506、606が設けられている。突出片506、606は、カードAが誤った方向で挿入された場合(逆方向に挿入された場合)、或いは、異なるカードが挿入された場合にカードの挿入方向の先端部と当接することで、カードA用コンタクト211を保護するものである。
【0046】
一方、仕切板5、6の下面の中央部分よりも僅かに後方側には、図7に示すように、複数の凹部507、607が左右方向に並設されている。また、これらの凹部507、607よりも前方側の位置には、複数の凹部508、608が左右方向に並設されている。これらの凹部507、607は、カードB用コンタクト212の先端部に対応する位置に配置されており、上部カード装着部に対するカードAの装着に伴って接近する当該先端部を収容可能に構成されている。一方、凹部508、608は、カードB用コンタクト213の先端部に対応する位置に配置されており、上部カード装着部に対するカードAの装着に伴って接近する当該先端部を収容可能に構成されている。
【0047】
また、仕切板5、6のアーム部501、601の下面には、図7に示すように、コイルばね215a、215bを収容する凹部509、609が設けられている。ハウジング2の突出片214a、214bを挿通させる孔502、602は、これらの凹部509、609の上面に設けられている。上述した突起部504、604は、アーム部501、601の上面であって、これらの凹部509、609よりも外側部分に設けられている。そして、これらの突起部504、604は、カバー部材3がハウジング2に固定された場合にカバー部材3の下面に当接する高さに設計されている。このため、アーム501、601が下方側からコイルばね215a、215bの付勢力を受けると、仕切板5、6には、突起部504、604とカバー部材3との当接箇所を支点に回転する力が作用することとなる。これにより、カバー部材3がハウジング2に取り付けられた状態において、仕切板5、6は、図5及び図8に示すように、仕切板5、6の内側部分(すなわち、仕切板5の右方側端部、仕切板6の左方側端部)が持ち上げられた状態となる。
【0048】
連結部材7は、このように仕切板5、6の内側部分が持ち上げられた状態において、図8に示すように、略水平状態で仕切板5、6を連結している。ここで、仕切板5、6と連結部材7との連結状態について説明する。図9は、図6に示す状態の仕切板5、6から連結部材7を抜き出した場合の斜視図である。
【0049】
図9に示すように、連結部材7は、左右方向に延在する長尺体で構成されている。連結部材7の左方側端部には、前後方向に突出し、上面視にてT字形状を有する係合部701が設けられている。この係合部701の側面(左方側側面)には、前後方向に延在する溝部701aが設けられている。また、連結部材7の右方側端部には、その上面の前端部に凹部702が設けられる一方、その下面の後端部に凹部703が設けられている(図9において凹部703は不図示)。
【0050】
仕切板5、6には、このような構成を有する連結部材7を収容する開口部510、610がそれぞれ設けられている。開口部510は、連結部材7の係合部701を収容できるように、概してT字形状に設けられており、溝部701aに対応する位置にリブ511が設けられている。一方、開口部610の右方側端部には、連結部材7の凹部702に収容される突出部611が設けられると共に、凹部703に収容される突出部612が設けられている。連結部材7は、このような開口部510、610に対して、溝部701aでリブ511を収容すると共に、凹部702、703でそれぞれ突出部611、612を収容した状態で収容されるものとなっている。
【0051】
次に、本実施の形態に係るコネクタ1に対して各カードが装着された状態について説明する。図10は、本実施の形態に係るコネクタ1に対してカードAが装着された状態を示す斜視図である。図11は、本実施の形態に係るコネクタ1に対してカードBが装着された状態を示す斜視図である。なお、図10及び図11に示すコネクタ1においては、説明の便宜上、カバー部材3を省略している。
【0052】
コネクタ1に対してカードAを装着する場合には、ハウジング2に設けられた第1ガイド部205にカードAの側面及び下面を合わせた状態でコネクタ1の内部にカードAを押し込む。このようにコネクタ1の内部に押し込む過程で、カードAの先端部が仕切板5、6の傾斜部503、603に当接する。この状態から更に押し込むと、カードAは、仕切板5、6の上側をコネクタ1の後方側に進む。この場合、仕切板5、6は、カードAに傾斜部503、603を押されることで僅かに下方側に移動し、その下面でカードB用コンタクト212、213を僅かに押し下げる。このように、カードAの挿入に伴って仕切板5、6の下面でカードB用コンタクト212、213を僅かに押し下げることで、コネクタ1内の限られた空間であるカード装着部を有効に活用するものとなっている。
【0053】
このように挿入する過程において、カードAの右方側の先端部が、仕切板5、6よりも上方側の位置においてスライド部材801の一部に当接する。これにより、カードAのスライド部材801に対する位置が決まり、これ以降、スライド部材801とカードAとが一緒に移動することとなる。なお、カードAの先端部がスライド部材801に当接した時点においては、係止部材803の前方側の一端は、ガイド溝804の直線状ガイド溝810の後方側端部に配置されている。
【0054】
この状態から更にカードAを押し込むと、カードA用コンタクト211がカードAの下面に入り込み、カードAの先端部の下面に形成された接触パッドと接触する。図10においては、この状態におけるコネクタ1を示している。なお、図10においては、カードAをコネクタ1の最後方側の位置まで押し込み、手を離した状態について示している。この状態においては、係止部材803の前方側の一端は、ガイド溝804の係止部808に係止された状態となっている。仕切板5、6は、カードAにより押し下げられた状態となっており、これらを連結する連結部材7もカードAにより押し下げられた状態となっている。
【0055】
一方、コネクタ1に対してカードBを装着する場合には、ハウジング2に設けられた第2ガイド部206にカードBの側面及び下面を合わせた状態でコネクタ1の内部にカードBを押し込む。このように押し込むと、カードBは、仕切板5、6の下側とベース部201との間をコネクタ1の後方側に進む。この場合、仕切板5、6は、カードBに押されて僅かに上方側に移動し、その上面でカードA用コンタクト211を僅かに押し上げる。このように、カードBの挿入に伴って仕切板5、6の上面でカードA用コンタクト211を僅かに押し上げることで、コネクタ1内の限られた空間であるカード装着部を有効に活用するものとなっている。
【0056】
このように挿入する過程において、カードBの右方側の先端部が、仕切板5、6よりも下方側の位置においてスライド部材801の一部に当接する。これにより、カードBのスライド部材801に対する位置が決まり、これ以降、スライド部材801とカードBとが一緒に移動することとなる。なお、カードBの先端部がスライド部材801に当接した時点においては、係止部材803の前方側の一端は、ガイド溝804の直線状ガイド溝810の後方側端部に配置されている。
【0057】
この状態から更にカードBを押し込むと、カードB用コンタクト212、213がカードBの下面に入り込み、カードBの下面に形成された接触パッドと接触する。図11においては、この状態におけるコネクタ1を示している。なお、図11においては、カードBをコネクタ1の最後方側の位置まで押し込み、手を離した状態について示している。この状態においては、係止部材803の前方側の一端は、ガイド溝804の係止部808に係止された状態となっている。仕切板5、6は、カードBにより押し上げられた状態となっており、これらを連結する連結部材7もカードBにより押し上げられた状態となっている。
【0058】
なお、本実施の形態に係るコネクタ1の上部カード装着部に対してカードBを挿入しようとした場合においても、図5に示すように、上部カード装着部には仕切板5、6の対向部分がせり出しており、カバー部材3との間に殆ど隙間が形成されていない。このため、上部カード装着部にカードBが挿入される事態を防止することができるものとなっている。特に、上部カード装着部においてカード部材3との間には殆ど隙間が形成されていないことから、カバー部材3を変形させて上部カード装着部が拡張される事態を防止できるので、上部カード装着部にカードBが挿入される事態を確実に防止することができるものとなっている。
【0059】
このように本実施の形態に係るコネクタ1においては、カード装着部の幅方向に並べて配置され、互いの対向部分を上下方向に回動自在に設けた仕切板5、6を備え、カード装着部に対するカード非装着時に仕切板5、6の対向部分をカバー部材3の下面に近接する位置に配置するようにしていることから、カード非装着時に仕切板5、6とカバー部材3との間に殆ど隙間が形成されなくすることができるので、仕切板5、6により仕切られた上部カード装着部へのカードの誤挿入を確実に防止することが可能となる。
【0060】
特に、本実施の形態に係るコネクタ1においては、仕切板5、6を上方側へ付勢するコイルばね215a、215bを備え、これらのコイルばね215a、215bの外側部分でカバー部材3の下面に当接する突起部504、604を仕切板5、6のアーム部501、601に設けている。これにより、仕切板5、6を復帰させるためのコイルばね215a、215bと、カバー部材3の下面と当接する突起部504、604という簡単な構成で仕切板5、6に回転力を与えることができるので、コネクタ内部に複雑な機構を用意することなく、仕切板5、6の対向部分をカバー部材3の下面に近接する位置に配置させることが可能となる。
【0061】
また、本実施の形態に係るコネクタ1においては、仕切板5、6のアーム部501、601に、上部カード装着部用のカードAに当接して仕切板5、6を押し下げる傾斜部503、603を設けている。これにより、上部カード装着部用のカードAの挿入に伴って仕切板5、6を押し下げることができるので、上部カード装着部に対する適正なカード(カードA)の挿入を許容しつつ、不適正なカードの挿入を防止することが可能となる。
【0062】
なお、本実施の形態に係るコネクタ1においては、このように一対の仕切板5、6を備え、これらの対向部分を上部カード装着部にせり出すように構成することによって上部カード装着部に対して本来装着されるカードと異なるカードの挿入を防止している。しかしながら、このように一対の仕切板5、6を独立して回動可能に構成する場合には、カードの挿入形態に伴って仕切板5、6の対向部分の間に高低差が発生し、仕切板5、6の対向部分の隙間にカードが挿入されてしまう事態が発生し得る。本実施の形態に係るコネクタ1においては、このような事態を防止すべく、仕切板5、6の対向部分を連結部材7により連結している。
【0063】
ここで、本実施の形態に係るコネクタ1が有する連結部材7による誤挿入防止機能について説明する。図12は、本実施の形態に係るコネクタ1が有する連結部材7により誤挿入が防止された状態の斜視図である。図13は、図12に示す状態の仕切板5、6及び連結部材7を前方側から示した図である。なお、図12においては、本実施の形態に係るコネクタ1のカード装着部に装着されるカードと異なるカードとして、カードCが挿入された場合について示している。
【0064】
図12においては、カード装着部に対してカードCが挿入されることで仕切板6のみが押し下げられ、仕切板5、6の対向部分の間に高低差が発生した場合について示している。例えば、このような事態は、カードCの右方側の先端部によって仕切板6が有するアーム部601の傾斜部603が押し下げられた場合に発生し得る。このように仕切板5、6の対向部分の間に高低差が発生した場合、図12に示すように、カードCの先端部が仕切板5の下面と、仕切板6の上面との間に入り込む事態が発生し得る。しかしながら、本実施の形態に係るコネクタ1においては、仕切板5、6を連結部材7により連結し、その前面部をカードCの先端部と当接させ、これ以上のカードCの挿入を防止することができるものとなっている。
【0065】
また、図14は、本実施の形態に係るコネクタ1が有する連結部材7により誤挿入が防止された状態の斜視図である。図15は、図14に示す状態の仕切板5、6及び連結部材7を前方側から示した図である。なお、図14においては、本実施の形態に係るコネクタ1のカード装着部に装着されるカードと異なるカードとして、カードDが挿入された場合について示している。
【0066】
図14においては、カード装着部に対してカードDが挿入されることで仕切板5のみが押し下げられ、仕切板5、6の対向部分の間に高低差が発生した場合について示している。例えば、このような事態は、カードDの左方側の先端部によって仕切板5が有するアーム部501の傾斜部503が押し下げられた場合に発生し得る。このように仕切板5、6の対向部分の間に高低差が発生した場合、図14に示すように、カードDの先端部が仕切板5の上面と、仕切板6の下面との間に入り込む事態が発生し得る。しかしながら、本実施の形態に係るコネクタ1においては、仕切板5、6を連結部材7により連結し、その前面部をカードDの先端部と当接させ、これ以上のカードDの挿入を防止することができるものとなっている。
【0067】
このように本実施の形態に係るコネクタ1においては、一対の仕切板5、6の対向部分を連結する連結部材7を備えていることから、これらの仕切板5、6を独立して回動可能に構成する場合においても、これらの対向部分の間に挿入されたカードの先端部に連結部材7の前面部を当接させることができるので、仕切板5、6の対向部分の間に侵入したカードのコネクタ内部への挿入を確実に防止することが可能となっている。
【0068】
特に、本実施の形態に係るコネクタ1においては、連結部材7を、仕切板5、6におけるカード挿入口4側の位置に配置していることから、仕切板5、6の対向部分の間に侵入するカード部分を小さくすることができ、当該カードの侵入に起因してコネクタ1内の構成部品が破損する事態を防止することが可能となる。さらに、本実施の形態に係るコネクタ1においては、連結部材7を、仕切板5、6を回動可能に連結するようにしている。これにより、仕切板5、6が回動可能に連結されるので、仕切板5、6の回動動作を許容しつつ、これらの対向部分の間に侵入するカードの挿入を確実に防止することが可能となる。
【0069】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本考案の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本考案の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 カード用コネクタ(コネクタ)
2 ハウジング
201 ベース部
202 側壁部
203 係合片
204 凹部
205 第1ガイド部
206 第2ガイド部
207a、207b 収容部
208 保持片
209 係止穴
210 コンタクトユニット
211 カードA用コンタクト
212、213 カードB用コンタクト
214a、214b 突出片
215a、215b コイルばね
3 カバー部材
301 切り欠き部
302 付勢片
303 開口部
304 係合片
4 カード挿入口
5、6 仕切板
501、601 アーム部
502、602 孔
503、603 傾斜部
504、604 突起部
505、605 凹部
506、606 突出片
507、607 凹部
508、608 凹部
509、609 凹部
510、610 開口部
511 リブ
611、612 突出部
7 連結部材
701 係合部
701a 溝部
702、703 凹部
8 排出機構
801 スライド部材
802 圧縮ばね
803 係止部材
804 ガイド溝
805 ハート形カム
806 第1ガイド溝
807 第2ガイド溝
808 係止部
809 凹み溝
810 直線状ガイド溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが選択的に装着されるカード装着部を有するハウジングと、前記カード装着部を上下に分割して上部カード装着部及び下部カード装着部を形成する仕切板と、前記ハウジングに上方側から被せられ、前記カード装着部の一部を規定するカバー部材とを具備し、
前記仕切板は、前記カード装着部の幅方向に並べて配置される第1、第2の仕切板を有すると共に、当該第1、第2の仕切板における互いの対向部分が上下方向に回動自在に設けられ、前記カード装着部に対するカード非装着時に前記第1、第2の対向部分を前記カバー部材の下面に近接する位置に配置したことを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項2】
前記第1、第2の仕切板を上方側へ付勢する付勢部材を具備し、前記付勢部材の外側部分で前記カバー部材の下面に当接する当接片を前記第1、第2の仕切板に設けたことを特徴と請求項1記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
前記第1、第2の仕切板に、前記上部カード装着部用のカードに当接して当該第1、第2の仕切板を押し下げる係合部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
前記第1、第2の仕切板の前記対向部分を連結し、当該対向部分に侵入したカードの先端部と当接する連結部材を具備することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【請求項5】
前記連結部材を、前記カード装着部に対するカード挿入口側の位置に配置したことを特徴とする請求項4記載のカード用コネクタ。
【請求項6】
前記連結部材は、前記第1、第2の仕切板を回動可能に連結すること特徴とする請求項4又は請求項5記載のカード用コネクタ。
【請求項1】
カードが選択的に装着されるカード装着部を有するハウジングと、前記カード装着部を上下に分割して上部カード装着部及び下部カード装着部を形成する仕切板と、前記ハウジングに上方側から被せられ、前記カード装着部の一部を規定するカバー部材とを具備し、
前記仕切板は、前記カード装着部の幅方向に並べて配置される第1、第2の仕切板を有すると共に、当該第1、第2の仕切板における互いの対向部分が上下方向に回動自在に設けられ、前記カード装着部に対するカード非装着時に前記第1、第2の対向部分を前記カバー部材の下面に近接する位置に配置したことを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項2】
前記第1、第2の仕切板を上方側へ付勢する付勢部材を具備し、前記付勢部材の外側部分で前記カバー部材の下面に当接する当接片を前記第1、第2の仕切板に設けたことを特徴と請求項1記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
前記第1、第2の仕切板に、前記上部カード装着部用のカードに当接して当該第1、第2の仕切板を押し下げる係合部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
前記第1、第2の仕切板の前記対向部分を連結し、当該対向部分に侵入したカードの先端部と当接する連結部材を具備することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【請求項5】
前記連結部材を、前記カード装着部に対するカード挿入口側の位置に配置したことを特徴とする請求項4記載のカード用コネクタ。
【請求項6】
前記連結部材は、前記第1、第2の仕切板を回動可能に連結すること特徴とする請求項4又は請求項5記載のカード用コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−13734(P2011−13734A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154958(P2009−154958)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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