説明

カード用コネクタ

【課題】構造の簡略化や個々の部品の小型化、薄型化などにより小型のカード用コネクタを提供するものである。
【解決手段】本発明のカード用コネクタは、カード1を収納し電気的な接続が可能なハウジング2と、スライダ31と付勢部材32とを備えカードを排出方向に移動させる排出機構3と、カム部31aとロック部材41を備え付勢部材の付勢力に抗してスライダを保持するロック機構4と、を有し、カム部はロック部材を案内するガイド壁31gを備えており、ガイド壁は一部を開放された形状の開放部31mとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関し、特にカード用コネクタの小型化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどでは、撮影した画像はメモリーカード(以後、カードとする)と称される概ね矩形で板状の記録媒体に保存されることが多い。カード用コネクタは、カードを収納し、カード用コネクタが搭載された電子機器とカードとを電気的に接続するために用いられる。
【0003】
昨今、デジタルカメラなどの電子機器では小型化した製品が増えており、小型化した製品に搭載する為に、カード用コネクタにも小型化が求められている。
【0004】
カード用コネクタとしては、下記の特許文献1に記載のカード用コネクタが知られている。特許文献1に記載のカード用コネクタは、装着されたカードを排出すための排出機構を有している。
【0005】
以下、図12ないし図17を用いて、特許文献1に記載のカード用コネクタについて説明する。図12は、特許文献1に記載のカード用コネクタの構造を示す分解斜視図である。図13は、特許文献1に記載のカード用コネクタの組み立て状態の構造を示す図であり、図13(a)は外観を示し、図13(b)は、図13(a)からカバー部材を外して内部構造を示した図である。図14は、図13の断面14−14を示す断面図である。なお、ケース部材Cおよびスライド部材SL以外の図示は省略している。図15はロック部材LPの配置を示す概略図であり、図13(b)の上方から見た状態を示す。図16は、カム溝CMの概略形状を示す図である。図17は、付勢部材SPとスライド部材SLとケース部材Cの配置を示す概略図であり、図13の断面17−17を模式的に示したものである。なお、図17において、付勢部材SPとスライド部材SLとケース部材C以外の図示は省略している。
【0006】
特許文献1に記載のカード用コネクタは、図12、図13のように、カード(図示せず)が挿着される収納部を有するケース部材Cと、ケース部材Cの上面を覆うカバー部材と、この収納部の一端側に配設され、カードの外部接触部と接触可能なコネクタ端子TMと、カードの挿入及び排出に伴ってカードの挿入及び排出方向に移動可能なスライド部材SLと、このスライド部材SLを排出方向へ付勢する付勢部材SPと、スライド部材SLを付勢部材SPの付勢力に抗してカード挿着位置に保持するカム溝CM及びロック部材LPとを備えている。また、カードをスライド部材SLに保持する保持部材KPを備えている。
【0007】
特許文献1に記載のカード用コネクタは、図14のように、スライド部材SLはケース部材Cの側壁SWに沿って配置されている。
【0008】
また、ロック部材LPの一端は、図15のように、カム溝CM内に配置され、スライド部材SLの移動に伴ってカム溝CMとの接触位置が変化する。カム溝CMの両側にはガイド壁GWが形成される。カム溝CMの全体形状は図16のような形状である。なお、図15はカム溝CMの直線形状部CM1のいずれかの箇所にロック部材LPの一端が配置されている状態を示す。
【0009】
カードの挿入から排出の動きに伴い、カム溝CMとロック部材LPとの接触位置は、図16のSE点から矢印Z方向に変化し、SE点に戻ってくる。
【0010】
また、付勢部材SPは、図17のように、スライド部材SLの底面に設けられた凹部SL1内に一部を収納された状態で配置され、構成部品の効率的な配置によりカード用コネクタの小型化に寄与している。
【0011】
また、保持部材KPは、本来デッドスペースとなる図16のDS領域に配置され、構成部品の効率的な配置によりカード用コネクタの小型化に寄与している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−352548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に記載のカード用コネクタは、カード用コネクタとしての機能には特に問題はないが、昨今の小型化された電子機器に搭載するには外形サイズが大きくなりすぎているので、挿入するカードの外形サイズにより近い外形サイズが求められている。これは、カード収納部を確保した上で、外形サイズを小さくすることと同じであり、外形サイズを小さくするには、カード用コネクタとしての機能に差し障りのない範囲で構造の簡略化や個々の部品の小型化、薄型化をしなければならないという課題がある。
【0014】
本発明は、上述した課題を解決して、小型のカード用コネクタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のカード用コネクタは、開口及び前記開口から挿入されるカードを少なくとも収納可能な収納部とを有するハウジングと、前記ハウジング内に配置され前記カードに設けられた電極と電気的な接続が可能な接点と、前記収納部の幅方向の側壁に沿って配置され、前記カードを排出方向に移動させるためのスライダおよび前記スライダを前記排出方向に付勢する付勢部材とを備える排出機構と、前記スライダに形成されたカム部と、前記スライダの移動に伴い前記カム部に沿って一端部が揺動するロック部材を備え、前記カム部と前記ロック部材が係合し、前記付勢部材の付勢力に抗して前記カードの所定の配置位置に対応する位置に前記スライダを保持するロック機構と、を有し、前記カム部は、前記ロック部材の一端部が当接するカム面と前記カム面の側方で前記ロック部材を案内するガイド壁を備えており、前記ガイド壁は、前記収納部内において前記スライダが配置されている側の幅方向の側壁に面する部分の少なくとも一部を開放させた開放部としているという特徴を有する。
【0016】
これにより、先行技術ではカム面の全周にガイド壁が設けられていたが、収納部内でスライダが近接する幅方向の側壁に面したカム面のガイド壁の一部を開放部としたことで、カム部の横幅を従来よりもガイド壁一枚分を縮めることが可能となり、スライダの横幅を縮めることができる。これにより、カード用コネクタの幅寸法を小さくすることが可能となり、幅方向のより小型化が可能なコネクタを形成できる。
【0017】
また、本発明のカード用コネクタは、前記カム面は、始終路部と、前記始終点部から連続した往路部及び復路部と、前記往路部及び前記復路部と連続したロック部とからなり、前記始終点部は直線形状であり、前記往路部と前記始終点部とは前記排出方向に対して交差するように形成され、前記復路部は前記始終点部と一直線となるように直線形状となっており、前記カードの挿入から排出にともなうスライダの移動により、前記カム面と前記ロック部材との当接位置は、前記始終点部から前記往路部に沿って前記ロック部まで変化し、その後、前記ロック部から前記復路部に沿って前記始終点部まで変化する、という特徴を有する。
【0018】
このように、付勢部材の付勢力に伴うスライダの移動に際しては、ロック部材とカム面の当接位置は復路部から始終路部まで直線的に変化するためロック部材がガイド壁に高速で衝突する可能性が少なく滑らかにカードを排出することが可能となる。すなわち、ロックが解除されたあとにスライダが付勢部材の付勢力により自己復帰する際、スライダの移動速度は手で操作した場合に比べて速くなる。このため、仮にロック部材とカム面の当接位置が曲がった経路を通って変化した場合にはロック部材がガイド壁に高速で衝突しやすく滑らかにカードを排出するのが難しい。これに対して、ロック部材とカム面の当接位置を復路部から始終路部まで直線的に変化するようにすれば、ロック部材がガイド壁に高速で衝突する可能性が少なく滑らかにカードを排出することが可能となる。また、仮に始終路部から復路部を通り、ロック部を経由して往路部を通って始終路部に戻る経路にした場合は、往路部から始終路部に切り換わる箇所において、ロック部材は相対的にガイド壁が開放された方向に向かって移動することになるが、復路部から始終路部に戻る経路とすることで、ガイド壁が開放された方向に向かうことがなく、より安定してロック部材とカム部が係合し安定した動作を行なえる。
【0019】
また、本発明のカード用コネクタは、前記ロック部材を前記スライダが近接する前記側壁から遠ざける方向に付勢するロック付勢部材を有している、という特徴を有する。
【0020】
これにより、隣接する前記収納部内の幅方向の側壁からスライダが遠ざかる方向にロック部材を付勢することで、より安定してカム面上にロック部材を配置することが可能となり、安定した動作を行なえる。
【0021】
また、本発明のカード用コネクタの前記ハウジングの幅方向の側壁と近接して前記ロック部材の一端部を配置し、該ハウジングの幅方向の側壁と前記スライダは前記ロック部材の一端部の幅寸法よりも狭い間隔で近接して配置している、という特徴を有する。
【0022】
これにより、仮にロック部材が開放部を通過してカム面上から脱落しそうになったとしても、ハウジングの側壁にガイドされるので、最低限のロック機構の機能を満たすことができ、カード用コネクタの機能が損なわれるのを防止する効果を奏する。
【0023】
また、本発明のカード用コネクタの前記ハウジングは、前記接点を有する面と対向する面が開放された樹脂製のケース部材と、前記ケース部材の前記開放された面側を覆う金属製のカバー部材と、を備え、前記カム面に沿って揺動する前記ロック部材の一端部と近接する前記ハウジングの幅方向の側壁が、前記ケース部材の側壁を有する、という特徴を有する。
【0024】
これにより、ロック部材のカム面に沿って揺動する一端が配置される位置の近傍にケース部材の側壁を設けることで、組立工程において、スライダが組み込まれたケース部材にロック部材を組み込む際に、ガイド壁の一部が開放されたカム面上に配置されたロック部材の一端が自由に回動するのを防止し、組立性を向上される効果を奏する。
【0025】
また、本発明のカード用コネクタの金属製のカバー部材には、前記ケース部材の側壁に対応する切り欠き部が設けられている、という特徴を有する。
【0026】
これにより、ケース部材に側壁を設けてもカード用コネクタの幅寸法を小さくすることが可能となるという効果を奏する。
【0027】
また、本発明のカード用コネクタのハウジングの幅方向の側壁は前記ケース部材の側壁とカバー部材の側壁とを有する、という特徴を有する。
【0028】
これにより、仮に付勢部材の付勢力等により勢い良くロック部材の先端がハウジングの側壁に衝突した場合に、金属性の側壁でもロック部材を受けることで、側壁が変形するのを防ぎ、カード用コネクタの機能が損なわれるのを防止する効果を奏する。
【0029】
また、本発明のカード用コネクタは、前記ハウジングの側壁に前記排出方向に沿う方向に段差部を設け、前記スライダの一部が前記段差部上を摺動する、という特徴を有する。
【0030】
これにより、先行技術ではスライダはケース部材の側壁の内側に配置されていたが、スライダの一部をケース部材の側壁上に配置させることで、ケース部材の幅寸法をケース部材の側壁の厚さ分短くすることができ、幅方向のより小型なカード用コネクタの提供が可能となる。
【0031】
また、本発明のカード用コネクタは、前記段差部の上方に前記カム部の前記始終路部および前記復路部が配置されている、という特徴を有する。
【0032】
これにより、カム部の横幅を従来よりもガイド壁一枚分縮めることが可能となり、スライダの横幅を縮めることができるとともに、スライダの一部をケース部材の側壁上に配置されることで、ケース部材の幅寸法をケース部材の側壁の厚さ分短くすることができ、幅方向寸法のより小型なカード用コネクタの提供が可能となる。
【0033】
また、本発明のカード用コネクタは、前記カードを前記スライダに保持する保持部材が前記ガイド壁を挟んで前記始終路部に併設されている、という特徴を有する。
【0034】
これにより、始終路部と往路部または復路部のいずれも直線状に配置しなかった場合、始終路部の両側に他の構成部品を配置できるほど広くはない領域ができていたが、始終路部と復路部を直線状に配置したことで、始終路の両側にできていた領域を合せた分のスペースを始終路部の横に確保し、保持部材を配置したことで、効率的な構成部品の配置を行なうことができ、製品の幅方向の小型化に効果を奏する。
【0035】
また、本発明のカード用コネクタは、前記収納部の内底面に対向する前記スライダの面に、付勢部材配置部を有し、前記付勢部材の一部を前記付勢部材配置部と前記収納部の内底面の間に配置している、という特徴を有する。
【0036】
これにより、効率よく構成部品を配置することで省スペース化でき製品の小型化に効果を奏する。また、付勢部材配置部を設けて付勢部材を配置することで付勢部材の動作ストロークをより長くとることができるという効果を奏する。
【0037】
また、本発明のカード用コネクタは、前記カバー部材と前記ロック付勢部材とが一体に形成されている、という特徴を有する。
【0038】
これにより、カバー部材とロック付勢部材とを一体化することで、部品構成を簡略化するとともに省スペース化でき、製品の小型化に効果を奏する。
【発明の効果】
【0039】
本発明のカード用コネクタは、先行技術ではカム面の全周にガイド壁が設けられていたが、収納部内でスライダが近接する幅方向の側壁に面したカム面のガイド壁の一部を開放部としたことで、カム部の横幅を従来よりもガイド壁一枚分縮めることで、スライダの横幅を縮めることが可能となる。これにより、カード用コネクタの幅寸法を小さくすることが可能となり、幅方向のより小型化可能なコネクタを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態のカード用コネクタを示す斜視図である。
【図2】本実施形態のカード用コネクタを示す分解斜視図である。
【図3】ケース部材21を示す斜視図である。
【図4】カバー部材22を示す図である。
【図5】スライダ31および保持部材5を示す斜視図である。
【図6】カム面31fを示した上面図である。
【図7】ケース部材21とスライダ31の位置関係を示す模式図である。
【図8】ロックピン41とカム面31fの位置関係を示す模式図である。
【図9】ロック付勢部22aとロックピン41との当接を示す図である。
【図10】カード1の保持方法を示す図である。
【図11】カード1の挿入を説明する図である。
【図12】特許文献1に記載のカード用コネクタの構造を示す分解斜視図である。
【図13】特許文献1に記載のカード用コネクタの組み立て状態の構造を示す図である。
【図14】図13の断面13−13を示す概略断面図である。
【図15】特許文献1におけるロック部材LPの配置を示す概略図である。
【図16】特許文献1におけるカム溝CMの概略形状を示す図である。
【図17】図13の断面17−17を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図11を用いて説明する。
【0042】
まず、本実施形態の概要について図1および図2を用いて説明する。図1は、本実施形態のカード用コネクタを示す斜視図である。図2は、本実施形態のカード用コネクタの構造を示す分解斜視図である。なお、説明における上下左右、手前奥の表現は特に断らない限り図1に示すとおりであり、上下方向は図1の上下方向と対応し、手前奥方向は図1の左側が手前、右側が奥に対応し、左右方向は図1の左側から見た方向として説明する。
【0043】
本実施形態のカード用コネクタは、図1のように、市販品のカード1を内部に収納可能とするハウジング2と、図2のように、カード用コネクタに収納されたカード1を排出するための排出機構3と、排出機構3を所定の位置に保持することでカード1を所定の位置に保持するロック機構4と、から構成される。市販品のカード1をハウジング2の内部に収納することで、本実施形態のカード用コネクタが取り付けられた電子機器(デジタルカメラなど)とカード1との間でデータの読み取りと書き込みを可能とする。
【0044】
ハウジング2は、カード1と電気的に接続可能な接点21aを有するケース部材21と、ケース部材21とともに収納部60を形成するカバー部材22とを有し、収納部60に後述するスライダ31と、カード1を収納することができる。
【0045】
排出機構3は、カード1の挿入方向およびカード1の排出方向に移動可能であり、カード1の挿入に伴いカード1が当接して移動され、カード1の排出の際にはカード1に当接してカード1を排出させるスライダ31と、スライダ31をカード1の排出方向に付勢する復帰バネ(付勢部材)32と、からなる。
【0046】
また、スライダ31にはカード1の抜け落ちを防止する保持部材5が一体に形成されている。
【0047】
ロック機構4は、排出機構3の排出動作の規制・規制の解除をする機構であり、ハウジング2に保持されるロックピン(ロック部材)41と、スライダ31に形成されるカム部31aとを有する。そして、カード1の挿入に伴いスライダ31が移動し、ハウジング2に対する所定の位置においてロックピン41とカム部31aとの所定の係合によりスライダ31を所定の位置にロックさせる。その後、更にカードを押し込むとスライダ31が移動しロックピン41とカム部31aとの所定の係合が解除される。
【0048】
次に、本実施形態の構成部品について図2ないし図6と図14を用いて説明する。図3はケース部材21を示す斜視図である。図4はカバー部材22を示す図であり、図4(a)はカバー部材22を上方から見た斜視図で、図4(b)は、図4(a)の矢印X方向にロック付勢部22aを見た状態を示す図である。図5はスライダ31を示す図で、図5(a)はスライダ31を上方から見た斜視図で、図5(b)はスライダ31を下方から見た斜視図である。図6はスライダ31に形成されたカム部31aの形状を示す概略図である。
【0049】
ケース部材21は、概略合成樹脂材料で形成され、図3のように上面を開放し中空の略直方体形状に形成されている。側壁は、左側側壁21fと奥側側壁21gと右側側壁21hとが設けられ、内部にはカード1を収納可能なカード収納領域21bと排出機構3の主要部を収納可能な排出機構収納部21dとが形成されている。手前側は開放されており、カード1を差し込むためのカード挿入口21cを形成する。また、ケース部材21は接点21aを備える。
【0050】
カード挿入口21c側から見て右側の右側側壁21hに沿って排出機構3およびロック機構4を収納可能な排出機構収納部21dが形成され、排出機構収納部21dに併設して左側側壁21fまでの範囲には挿入されたカード1および排出機構3の一部を収納可能なカード収納領域21bが設けられている。排出機構収納部21dとカード収納領域21bとの境には低い壁状の仕切部21jが設けられている。
【0051】
また、排出機構収納部21dの手前側にはロック機構4の一部を保持可能なロック部材保持部21iが設けられている。
【0052】
カード収納領域21bの奥側側壁21g側の内底面には、カード1の電極部と電気的な接続が可能な複数の接点21aが突出して設けられている。
【0053】
また、排出機構収納部21dが設けられた右側側壁21hは、他の側壁よりも低く形成された段差部21kが設けられている。また右側側壁21hの一部は上方に突出し、排出機構収納部21dに配置されるロックピン41と当接可能な薄壁状のストッパ部21eが形成されている。
【0054】
カバー部材22は、図4(a)のように、金属板を曲げ加工し、下面を開放した中空の略直方体形状に形成されている。側壁は手前側を除く三方向にのみ形成され、手前側の側壁は無く開放されている。上方側から見たときに、上面の右側手前にはロックピン41をカム部31aに向けて付勢するロック付勢部(ロック付勢部材)22aが設けられている。また、右側の側面の中央付近には、ケース部材21のストッパ部21eに対応する切り欠き部22bが設けられている。
【0055】
ロック付勢部22aは、片持ち梁形状に形成され、下方向へ突出している。また、図4(b)のように、矢印X側から見たときに、ロック付勢部22aは右側が下がった形状に突出している。
【0056】
また、ケース部材21のストッパ部21eに対応する位置には切り欠き部22bが設けられており、組込みした際にストッパ部21eと切り欠き部22bとが面一になる様に形成されている。
【0057】
スライダ31は、図5(a)、図5(b)のように、合成樹脂材料でL字形に形成されている。直方体形状の基部31bの上面の手前側から中心部付近にかけて、スライダ31を所定の位置にロックするために用いられるカム部31aが形成され、他端側にはカード1に当接可能な腕部31cが突出して形成されている。腕部31cは、基部31bの左側側面の奥側から突出して形成される。
【0058】
カム部31aが形成された面の裏面には、復帰バネ32を配置可能な凹形状をした付勢部材配置部31dが形成されている。
【0059】
腕部31cには、カード1の挿入方向先端付近の形状と類似に形成され、カード1と当接可能な当接部31eが形成されている。
【0060】
カム部31aは、ロックピン41を規定の方向へ誘導する起伏形状が形成されたカム面31fと、ロックピン41をカム面31f上へ案内するガイド壁31gとから形成される。カム面31fは、概略、図6のような形状に形成されており、始終路部31h、往路部31i、復路部31lおよびロック部31kとからなる。
【0061】
始終路部31hおよび復路部31lはそれぞれ直線状に形成され、それぞれの一端と一端とが連結し一直線状に配置されている。また、一直線状に配置された始終路部31hおよび復路部31lは、基部31bの右側側面に寄せて形成され、右側側面に寄せた側のガイド壁31gは設けられておらず、始終路部31hと復路部31lの開放箇所は連続して設けられ開放部31mを形成している。
【0062】
図16のように、従来のカム溝CMには両側にガイド壁GWが配置されているのに対し、本実施形態のカム部31aには開放部31mが設けられているため、本実施形態のスライダ31は、従来のスライド部材SLと比べると、横方向の寸法をガイド壁31gの厚さ分縮めることが可能となった。
【0063】
往路部31iは略弧状に形成され、一端は始終路部31hと復路部31lとの連結箇所で始終路部31hおよび復路部31lとに連結している。また、往路部31iと復路部31lとで形成される角度が鋭角になるように連結し、途中部分から復路部31lに平行な方向に形成されている。
【0064】
ロック部31kは略V字型に形成され、一端は往路部31iが始終路部31hと連結していない側で連結し、他端は復路部31lが始終路部31hと連結していない側で連結している。また、略V字型の頂点は往路部31iと復路部31lとで形成される角の側に形成されている。
【0065】
また、スライダ31の基部31bの左側側面には、挿入されたカード1をスライダ31に保持する保持部材5が一体に形成されている。保持部材5は、長方形の金属板を曲げ加工して形成され、長手方向の一端を腕部31cに係止され、他端には凸状に折り曲げたフック部5aが腕部31cが突出している方向(左方向)に突出して形成されている。フック部5aは腕部31cが突出する方向と同じ方向に突出し、弾性により突出方向及び突出方向の逆方向に移動可能に配置されている。
【0066】
保持部材5は、人がカード1を挿入した際に、カード1が当接部31eに当接しスライダ31を復帰ばね32の付勢力に抗して移動させ、末端位置においてカード1の電極部と接点21aとが電気的に接続する際には安定した移動と電気的導通が得られるようにカード1をスライダ31に保持し、排出時点では容易にカード1から離脱する事が可能な形状、バネ圧に設定してある。
【0067】
また、保持部材5は、図5に示すように、ガイド壁31gを挟んで始終路部31hに併設されている。保持部材5が配置された領域は、始終路部31hと復路部31lとを図5、図6のように基部31bの右側側面に寄せた配置にしたことでできた領域で、従来のカード用コネクタでも同様の位置に配置されている。スライダ31の横方向の寸法を従来のカード用コネクタと比較してガイド壁の厚さ分縮めた上で、従来のカード用コネクタと同様に、本来、デッドスペースとなる領域に保持部材5を配置したことで、構成部品を効率的に配置することが可能となり、さらにカード用コネクタの小型化に寄与する。
【0068】
復帰バネ32は、図2のように、金属線材でコイル状に形成されている。
【0069】
ロックピン41は、図2のように、直線状の金属線材で両端を同じ方向に直角に折り曲げた形状に形成されている。
【0070】
次に、本実施形態のカード用コネクタの構造について図1と図7ないし図9と図14と図15を用いて説明する。
【0071】
図7は手前側側面から見た場合のスライダ31とケース部材21との位置関係を示す概略図である。なお、図7において、スライダ31とケース部材21とカバー部材22以外の図示は省略している。図8はロックピン41、スライダ31およびカバー部材22の位置関係を示す概略図であり、図8(a)は本実施形態におけるロックピン41とガイド壁31gの位置関係を上側から見た図であり、図8(b)は本実施形態におけるロックピン41とストッパ部21eの位置関係を上側から見た図である。図8(c)は本実施形態における図1(b)の断面8−8を示しており、ロックピン41、カバー部材22およびストッパ部21eとの位置関係を示した図である。図9はロック付勢部22aとロックピン41の位置関係を示した関係図である。
【0072】
復帰バネ32は、スライダ31の付勢部材配置部31dに収納され、スライダ31とともにケース部材21の排出機構収納部21dに配置される。その際、スライダ31は、排出機構収納部21dとカード収納領域21bとの境に設けられた仕切部21jとケース部材21の右側側壁21hとよってガイドされ、排出機構収納部21dに沿って移動可能に配置される。また、スライダ31は復帰バネ32の付勢力によりカードの排出方向に付勢されることで、カード1の排出が可能となる。
【0073】
また、ケース部材21の右側側壁21hには他の側壁よりも低く形成された段差部21kが設けられており、図7のように、スライダ31の下に潜り込むように配置されている。
【0074】
従来は図14のように、スライド部材SLはケース部材Cの側壁SWの内側に沿って配置されていたが、図7のようにスライダ31の下部に切欠を設け、スライダ31の下側に右側側壁21hの段差部21kを配置することでカード用コネクタの幅寸法を図14の側壁SWの厚さ寸法分縮めることが可能となり、カード用コネクタの小型化に寄与する。
【0075】
さらに、前述したようにスライダ31の始終路部31hおよび復路部31lは腕部31cが形成された面の右側に寄せて形成され、寄せた側には、ガイド壁およびガイド壁の下側の基部は形成されずに、開放部31mが設けられており、従来と比較してスライダ31の横幅はガイド壁の厚さ分縮まっており、スライダ31を収納するケース部材21の幅方向の寸法もガイド壁の厚さ分縮めることが可能となる。これにより、カード用コネクタの幅寸法の小型化にさらに寄与する。
【0076】
また、段差部21kの上方に、カム部31aの始終路部31hおよび復路部31lは配置されている。
【0077】
これにより、スライダ31の横幅を従来よりもガイド壁の厚さ分縮めるとともに、ケース部材の幅寸法をケース部材の側壁の厚さ分短くすることができ、幅方向寸法のより小型なカード用コネクタの提供するに当たり相乗的な効果を奏する。
【0078】
排出機構収納部21dに配置された復帰バネ32は、スライダ31とケース部材21の排出機構収納部21dの内壁に狭持され、スライダ31をカード挿入口21c方向(排出方向)に付勢する。これにより、スライダ31は収納されたカード1を排出方向へ排出することが可能となる。
【0079】
また、復帰バネ32を、スライダ31に凹形状に設けた付勢部材配置部31dに収納して配置することで、効率的な構成部品の配置が可能となりカード用コネクタの小型化に寄与するとともに、復帰バネ32の動作ストロークを長く取ることが可能となり、操作性の向上に寄与する。
【0080】
このように、スライダ31の幅寸法をガイド壁の厚さ分だけ縮め、右側側壁21hに段差部21kを設けてスライダ31の下に配置することでケース部材21の幅寸法を右側側壁21hの厚さ分だけ縮め、保持部材5および復帰バネ32を効率的に配置する本実施形態の構成とすることで、従来の構成に比べてカード用コネクタの小型化が可能となる。
【0081】
次に、ロックピン41は、一端を排出機構収納部21dのロック部材保持部21iに保持され、他端はカム面31fの始終路部31h上に揺動可能に配置される。しかし、本実施形態では、図8(a)のように、始終路部31hおよび復路部31lは一方のみガイド壁31gが設けられ他方は開放部31mとなっている。そのため、ロックピン41が大きな振動などを受けて揺動した場合、ロックピン41の一端がカム面31f上から外れる方向に移動する可能性がある。
【0082】
製品状態において、ロックピン41の揺動可能な一端は、スライダ31の移動に伴って、カム面31f上をガイド壁31gにガイドされて揺動する。ロックピン41の揺動可能な一端の右方向(カム部31aの開放部31m側)には、ケース部材21の右側側壁21hの一部を上方に突出させたストッパ部21eが配置され、スライダ31の移動位置に関わらず、常にロックピン41はストッパ部21eに対向している。そのため、仮に大きな振動が加わり、ロックピン41の一端がロック付勢部22aの付勢力に抗してカム面31f上から外れる方向に移動した場合でも、ロックピン41はストッパ部21eに当接し、カム面31f上から外れることはない。これにより、カム部31aの片側が開放部31mとなっていても、始終路部31hおよび復路部31lから脱落することがなく、従来製品と同等の操作性を確保できる。
【0083】
次に、ロックピン41の一端をカム部31aに組み込む場合について説明する。仮にロックピン41の一端を、両側にガイド壁31gが設けられた往路部31iまたはロック部31kに位置した状態で組み込む場合、スライダ31を復帰バネ32の付勢力に抗する方向に付勢しながら組込み作業をする必要があり、作業性が悪くなったり、特別な組立装置が必要となってしまう。このため、製品組立時にはロックピン41を始終点31jの位置で組み込む。この際、仮に本実施例のストッパ部21eを設けていないと、組立作業あるいは組立機の振動などでロックピン41がカム面31f上から外れる可能性がある。本実施例においては、図8(b)のように、ロックピン41の揺動可能な一端が配置される近辺にストッパ部21eをロックピン41の幅寸法よりも狭い間隔でスライダ31に近接して設けることで、ロックピン41を始終点31jの位置で組込みしてもロックピン41の揺動幅を抑えることができ、ロック部材LPの組立作業性をカム面CFの両側にガイド壁GWを設けた従来例と同等とすることができる。
【0084】
なお、排出機構3とロック機構4をケース部材21に配置した後に、ロック付勢部22aとロックピン41とが当接するようにカバー部材22をケース部材21に被せて係止する。これにより図1のように収納部60と開口70が形成され、カード用コネクタとなる。
【0085】
また、カバー部材22をケース部材21に被せて係止することで、ロック付勢部22aとロックピン41は接触可能となる。ロック付勢部22aは、図9のように、傾いた状態で配置されているため、ロックピン41と接触した際には、ロックピン41をガイド壁31gのある方向へ付勢する。これにより、通常の使用状態では、ロックピン41は始終路部31hおよび復路部31lから脱落することなく揺動可能となり、従来と同等の操作性を得られる。
【0086】
また、ストッパ部21eはケース部材21の段差部21kの外方に配置されているが、ストッパ部21eに対応するカバー部材22の部分には切り欠き部22bが設けられ、カバー部材22をケース部材21に被せると、ストッパ部21eとカバー部材22とはほぼ面一になるように構成されている。これにより、側壁の外方にストッパ部21eが配置されているにもかかわらず、製品の横幅寸法を増加させることなく対応でき、製品の小型化に寄与する。
【0087】
また、カバー部材22とストッパ部21eとロックピン41の揺動可能な一端部の位置関係は、図1(b)の断面8−8を示す図8(c)のようになっている。スライダ31の移動に伴いロックピン41はカム面31fに沿って揺動するが、ロックピン41自体は移動はしていない為、ロックピン41の揺動可能な一端の右方向には常にストッパ部21eが配置されている。
【0088】
ロックピン41は、図9に示すように、ロック付勢部22aと当接することによってガイド壁31gのある方向へ付勢される。そのため、ロックピン41とストッパ部21eが接触することは無い。
【0089】
仮に、外部から衝撃を受けるなど何かしらの不具合によりロックピン41が揺動しストッパ部21eに衝突する場合には、図8(c)に示すように、ロックピン41の揺動可能な一端部と近接するハウジング2の側壁が、カバー部材22の側壁及びケース部材21のストッパ部21eとからなり、ストッパ部21eの上方には金属材でできたカバー部材22が近接している為、ロックピン41は同時にカバー部材22にも衝突する。
【0090】
ロックピン41が金属板でできたカバー部材22にも衝突することで、ロックピン41の衝突の衝撃によりストッパ部21eが変形、破壊されにくくなり、何かしらの不具合によりロックピン41がストッパ部21eに衝突した場合でも、安定した動作の確保に寄与する。
【0091】
次に、カード1を開口70から挿入、排出する際の動作について図1、図10および図11を用いて説明する。図10は保持部材5とカード1の位置関係を示す図であり、図10(a)はカード1の挿入初期の位置関係を示す図であり、図10(b)はカード1挿入過程の位置関係を示す図であり、図10(c)はカード1を保持時の位置関係を示す図である。
【0092】
図11はカード1の挿入位置を示す図であり、図11(a)はカード1がロックされた状態の位置を示す図であり、図11(b)はカード1の挿入途中または排出の位置を示す図である。説明の為、カバー部材22を取り除いた図を示している。
【0093】
まず、保持部材5とスライダ31の状態を主に説明する。カード1を、図1(b)のように、開口70から接点21a方向(奥方向)に挿入すると、図10(a)、図10(b)のように、カード1はスライダ31に一体に形成された保持部材5のフック部5aに当接する。さらに奥へカード1を挿入すると、復帰バネ32(図2参照)の付勢力が保持部材5の弾性力よりも強く設定されており、スライダ31は移動せず、保持部材5はカード1に当接したまま矢印B方向に撓む。
【0094】
さらに奥方向へカード1を挿入すると、カード1はスライダ31の腕部31cに形成された当接部31e(図5(a)参照)に当接するとともに、図10(c)のように、フック部5aがカード1に設けられた凹部と係合し、カード1はスライダ31に保持され脱落し難くなる。
【0095】
さらにカード1を押圧すると、図11(a)のように、カード1がスライダ31を押圧しさらに奥方向に移動し、ロック機構4により所定の位置にロックされ、カード1と接点21aとは電気的に接続される。カード1を取り出す場合には、再度カード1を奥方向へ押圧するとロックが解除され、復帰バネ32の付勢力により図11(b)に示すスライダ31の初期位置まで復帰する。そして、保持部材5の弾性力に抗してカード1を取り外す。
【0096】
次に、スライダ31の移動に伴って変化するロックピン41とカム面31fとの当接位置について図6を用いて説明する。
初期の状態ではロックピン41とカム面31fとの当接位置は、始終路部31hの往路部31iと連結する側の逆側端部である始終点31jにあり、スライダ31を奥方向に押圧すると、スライダ31の移動に伴って始終路部31hに沿って矢印C方向に変化する。なお、その際、ロック付勢部22aによって下側に押し付けられているのでカム面31fに弾接した状態で移動する。
【0097】
位置aまで変化すると、位置aと位置jとでは段差があり、位置jの方が高い位置にあるため、ロックピン41は段差に当接し、位置jの方向には変化できず矢印D方向にのみ変化する。その後、往路部31iに沿って位置bまで移動する。位置bと位置cとでは段差があるが、位置cの方が低い位置にあるため、当接位置は矢印E方向にのみ変化し、以後、ロック部31kに沿って挿入動作の末端位置である位置dまで当接位置は変化する。
【0098】
挿入動作の末端位置まで押し込んでいるため、カード1に加える押圧を解除すると、復帰バネ32の付勢力により、スライダ31は手前方向に移動する。それに伴ってロックピン41とカム面31fとの当接位置は、位置dから位置cに変化する。位置bと位置cとでは段差があり、位置bの方が高い位置にあるため、ロックピン41は段差に当接し、位置cの方向には変化できず当接位置は矢印Fの方向にのみ変化する。
【0099】
その後、位置eまで変化する。位置eと位置fでは段差があるが、位置fの方が低い位置にあるため矢印Gの方向にのみ変化し、位置fまで移動する。そして、ガイド壁31gに阻まれ位置fから位置e側へは変化できなくなる。ロックピン41とカム面31fとの当接位置が位置fにある状態がロック状態(所定の係合)である。
【0100】
次に、カード1を本実施形態のコネクタ装置から取り外す際の動作について説明する。カード1を再度奥方向へ押圧すると当接位置が再度変化し始める。位置eと位置fとでは、位置eの方が高い位置にあるため、ロックピン41は段差に当接し、位置eの方向には変化できず当接位置は矢印H方向にのみ変化する。位置gまで変化すると、位置gと位置iでは段差があるが、位置iの方が低い位置にあるため矢印Iの方向にのみ変化し、ロック解除動作の末端位置である位置hまで当接位置は変化する。
【0101】
ロック解除動作の末端位置まで押し込んでいるため、カード1に加える押圧を解除すると、復帰バネ32の付勢力により、スライダ31は手前方向へ移動し、それに伴って当接位置は矢印J方向に変化する。位置gと位置iでは位置iの方が低い位置にあるため、矢印Jの方向にのみ変化して行き、位置jまで変化する。位置jと位置aとでは段差があるが、位置aの方が低い位置にあるため、矢印J方向にのみ当接位置は変化していき、始終点31jに戻る。
【0102】
ところで、カード1挿入時においては、人の手によって挿入されるので、スライダ31の移動速度は速くはないが、排出時においては復帰バネ32の付勢力で移動するため、移動速度が挿入時に比べて速くなる。
【0103】
ロックピン41とカム面31fとの当接位置を上記のような周回経路としたことで、ロック状態解除後の復帰バネ32の付勢力でスライダ31が移動しているときのロックピン41とカム面31fとの当接位置は直線的に変化する。従来は上記の周回経路の逆周りであったため、本実施形態における往路部31iのカーブしている位置や、往路部31iと始終路部31hとが交差する位置において、ガイド壁31gとロックピン41とが復帰バネ32の付勢力により衝突しながら移動していたのに対し、スムーズな復帰動作を行なうことができる。
【0104】
また、直線状に復帰動作を行なう為、ロックピン41は復帰バネ32の付勢力によりストッパ部21eやロック付勢部22aに衝突しにくくなり、ストッパ部21eやロック付勢部22aの破損による動作の不具合を防止する効果を奏するとともに、相対的に開放部31m方向へ向かうことがなくなることで、カム面31fから脱落しにくくなり、より安定した復帰動作を行なえるという効果を奏する。
【0105】
上記のように、スライダ31の下部に切欠を設け、スライダ31の下側に右側側壁21hの段差部21k上を摺動するように配置して幅方向の寸法を詰め、また、従来のハートカム機構では当たり前に形成されていたガイド壁31gの一部を無くし構成部品の幅寸法を詰めることで製品の幅方向の寸法を詰めるとともに、復帰バネ32や保持部材5をデッドスペースに効率的に配置することで小型のカード用コネクタの提供に対して相乗的な効果を奏する。
【0106】
また、ロック付勢部22aやストッパ部21eを設け、上記のようにロックピン41とカム面31fの当接位置を変化させることで従来と同等の操作性を得るとともに従来と同等の組立性を得ることができる。
【0107】
このようにすることで、本実施形態のカード用コネクタは、操作性と組立性が従来と同等以上で、従来よりも小型のカード用コネクタを提供することが可能となる。
【0108】
以上のように、本発明の実施形態に係るカード用コネクタを具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 カード
2 ハウジング
3 排出機構
4 ロック機構
5 保持部材
5a フック部
21 ケース部材
21a 接点
21b カード収納領域
21c カード挿入口
21d 排出機構収納部
21e ストッパ部
21f 左側側壁
21g 奥側側壁
21h 右側側壁
21i ロック部材保持部
21j 仕切
21k 段差部
22 カバー部材
22a ロック付勢部(ロック付勢部材)
22b 切り欠き部
31 スライダ
31a カム部
31b 基部
31c 腕部
31d 付勢部材配置部
31e 当接部
31f カム面
31g ガイド壁
31h 始終路部
31i 往路部
31j 始終点
31k ロック部
31l 復路部
31m 開放部
32 復帰バネ(付勢部材)
41 ロックピン(ロック部材)
60 収納部
70 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口及び前記開口から挿入されるカードを少なくとも収納可能な収納部とを有するハウジングと、前記ハウジング内に配置され前記カードに設けられた電極と電気的な接続が可能な接点と、
前記収納部の幅方向の側壁に沿って配置され、前記カードを排出方向に移動させるためのスライダおよび前記スライダを前記排出方向に付勢する付勢部材とを備える排出機構と、
前記スライダに形成されたカム部と、前記スライダの移動に伴い前記カム部に沿って一端部が揺動するロック部材を備え、前記カム部と前記ロック部材が係合し、前記付勢部材の付勢力に抗して前記カードの所定の配置位置に対応する位置に前記スライダを保持するロック機構と、を有し、
前記カム部は、前記ロック部材の一端部が当接するカム面と前記カム面の側方で前記ロック部材を案内するガイド壁を備えており、
前記ガイド壁は、前記収納部内において前記スライダが配置されている側の幅方向の側壁に面する部分の少なくとも一部を開放させた開放部としていることを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項2】
前記カム面は、始終路部と、前記始終点部から連続した往路部及び復路部と、前記往路部及び前記復路部と連続したロック部とからなり、
前記始終点部は直線形状であり、前記往路部と前記始終点部とは前記排出方向に対して交差するように形成され、前記復路部は前記始終点部と一直線となるように直線形状となっており、
前記カードの挿入から排出にともなうスライダの移動により、前記カム面と前記ロック部材との当接位置は、前記始終点部から前記往路部に沿って前記ロック部まで変化し、その後、前記ロック部から前記復路部に沿って前記始終点部まで変化することを特徴とする請求項1に記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
前記ロック部材を前記スライダが近接する前記側壁から遠ざける方向に付勢するロック付勢部材を有していることを特徴とする請求項1および請求項2に記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
本発明のカード用コネクタの前記ハウジングの幅方向の側壁と近接して前記ロック部材の一端部を配置し、該ハウジングの幅方向の側壁と前記スライダは前記ロック部材の一端部の幅寸法よりも狭い間隔で近接して配置していることを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載のカード用コネクタ。
【請求項5】
本発明のカード用コネクタの前記ハウジングは、前記接点を有する面と対向する面が開放された合成樹脂製のケース部材と、前記ケース部材の前記開放された面側を覆う金属製のカバー部材と、を備え、前記カム面に沿って揺動する前記ロック部材の一端部と近接する前記ハウジングの幅方向の側壁が、前記ケース部材の側壁を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4に記載のカード用コネクタ。
【請求項6】
本発明のカード用コネクタの金属製の前記カバー部材には、前記ケース部材の側壁に対応する切り欠き部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のカード用コネクタ。
【請求項7】
本発明のカード用コネクタの前記ハウジングの幅方向の側壁は前記ケース部材の側壁と前記カバー部材の側壁とを有することを特徴とする請求項5ないし請求項6に記載のカード用コネクタ。
【請求項8】
前記ハウジングの側壁に前記排出方向に沿う方向に段差部を設け、前記スライダの一部が前記段差部上を摺動することを特徴とする請求項1ないし請求項7に記載のカード用コネクタ。
【請求項9】
前記段差部の上方に前記カム部の前記始終路部および前記復路部が配置されていることを特徴とする請求項8に記載のカード用コネクタ。
【請求項10】
前記カードを前記スライダに保持する保持部材が前記ガイド壁を挟んで前記始終路部に併設されていることを特徴とする請求項2ないし請求項9に記載のカード用コネクタ。
【請求項11】
前記収納部の内底面に対向する前記スライダの面に、付勢部材配置部を有し、前記付勢部材の一部を前記付勢部材配置部と前記収納部の内底面の間に配置していることを特徴とする請求項1ないし請求項10に記載のカード用コネクタ。
【請求項12】
前記カバー部材と前記ロック付勢部材とが一体に形成されていることを特徴とする請求項5ないし請求項11に記載のカード用コネクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−150930(P2012−150930A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7324(P2011−7324)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】