説明

カード用コネクタ

【課題】コネクタの幅方向寸法を小さくできるとともに、カードがカード受容空間に対して大きく傾いて引き抜きあるいは挿入された場合であっても、カードガイド部のカードに対する案内性能が劣化することのないカード用コネクタを提供する。
【解決手段】カード用コネクタ1は、カードCを受容するハウジング10と、ハウジング10に取り付けられ、カードCに接触するコンタクトと、ハウジング10上に載置され、ハウジング10の底壁11との間にカードCを受容するカード受容空間12を形成する金属製のシェル30とを具備している。カードCの挿抜時にカードCを案内するカードガイド部32を、シェル30の上壁31から上壁31に対して鈍角かつカード受容空間12の斜め内側に向けて延びるように曲げ加工してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカード等のカードが接続されるカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メモリカード等のカードが接続されるカード用コネクタとしては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1に記載されたカード用コネクタは、カードを受容するハウジングと、ハウジングに取り付けられた複数のコンタクトと、ハウジング上に載置され、ハウジングの底壁との間にカード受容空間を形成する金属製のシェルとを具備している。そして、ハウジングには、いわゆるプッシュ−プッシュ式のイジェクト機構が設けられている。このイジェクト機構は、カードの先端に当接し、カード排出方向にばね部材により付勢されてカードを排出するスライダと、スライダをカード排出方向に沿った嵌合位置及び排出位置に静止させるカム機構とを備えている。
【0003】
そして、このプッシュ−プッシュ式のイジェクト機構を備えたカード用コネクタにおいては、スライダが排出位置にあるときにカードを挿入する。カードを挿入すると、カードの前端がスライダに当接する。そして、更にカードの後端を押圧すると、スライダが前進して嵌合位置となり、カードとコンタクトとが電気的に接続され、カードの挿入が完了する。カードを排出する際には、カード挿入完了状態からカードを再度押圧してカードを離す。すると、ばね部材の作用によりスライダが後退して排出位置になり、カードもスライダとともに後退する。この状態で、カードをコネクタから後方に引き出すことによりカードをコネクタから取り出すことができる。
なお、スライダの排出位置においてカードの不意の脱落を防止するため、カードの側縁には切欠が形成され、スライダにはその切欠にロックされるロック部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−353372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されたカード用コネクタに挿抜されるカードは、一般的にミニSDカードと呼ばれているものであって、切欠の大きさがカードの表面積に対して非常に小さい。従って、カードの挿抜時、特にカードをコネクタから引き抜く際にコネクタに対してカードが斜めに引き抜かれる可能性が低い。また、仮にコネクタに対してカードが斜めに引き抜かれてもその傾斜量が小さい。このため、カードの挿抜を案内するカードガイド部をハウジングの側部に設けてあるが、その肉厚を薄くすることができ、コネクタの幅方向寸法を比較的小さくすることができる。
【0006】
一方、近年においては、マイクロSDと呼ばれるメモリカードも普及しており、そのマイクロSDの切欠の大きさはカードの表面積に対して大きい。従って、カードの挿抜時、特にカードをコネクタから引き抜く際にコネクタに対してカードが斜めに引き抜かれる可能性が高い。また、コネクタに対してカードが斜めに引き抜かれた時にはその傾斜量も大きい。このため、カードの挿抜を案内するカードガイド部をハウジングの側部に設ける場合、その肉厚を厚くする必要があり、コネクタの幅方向寸法を小さくすることができない。
【0007】
この問題を解決するため、例えば、図10に示す解決策が考えられる。図10は、カードを案内するカードガイド部をハウジング上に載置された金属製のシェルから当該シェルに対して垂直下方に曲げ加工したカード用コネクタの例を示す模式図であり、(A)はカードがカード受容空間に対して正規な状態で挿入及び引き抜かれる状態、(B)はカードがカード受容空間に対して大きく傾いて挿入及び引き抜かれる状態を示している。
【0008】
図10(A),(B)に示すカード用コネクタ101において、カードCの挿抜を案内するカードガイド部122は、ハウジング110上に載置された金属製のシェル120から当該シェル120の上壁121に対して垂直下方に曲げ加工されている。このように、カードガイド部122を金属製のシェル120から曲げ加工することにより、機械的強度が強くなり、肉厚を薄くすることができ、コネクタ101の幅方向寸法を小さくすることができる。なお、図10(A),(B)中、符号111はハウジングの底壁、130はロック部材、131はフック部である。
【0009】
しかしながら、図10(A),(B)に示すカード用コネクタ101にあっては、以下の問題点がある。
即ち、図10(A)に示すように、カードCをカード受容空間112にから引き抜く(紙面に対して手前側に)あるいは挿入するときに、カードCがカード受容空間112に対して正規な状態で引き抜きあるいは挿入されると、カードガイド部122のカードCに対するガイド量はδ1と比較的大きい。
【0010】
一方、カードCがカード受容空間112に対して大きく傾いて引き抜きあるいは挿入されると、図10(B)に示すように、カードCがカードガイド部122を押圧する。このため、カードガイド部122が、固定端を中心に外側に曲がって斜めになってしまうことがある。カードガイド部122が金属製で機械的強度が強くてもこのような現象は起こる。この場合、カードCがカードガイド部122の下にもぐり易くなり、それによってシェル120が浮き上がってしまう。シェル120が浮き上がると、カードガイド部122のカードCに対するガイド量はδ1よりも小さなδ2になってしまう。そうなると、カードガイド部122のカードCに対する案内性能が一層悪くなってしまう。
【0011】
従って、本発明は上述の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コネクタの幅方向寸法を小さくできるとともに、カードがカード受容空間に対して大きく傾いて引き抜きあるいは挿入された場合であっても、カードガイド部のカードに対する案内性能が劣化することのないカード用コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成するために、本発明のうち請求項1に係るカード用コネクタは、カードを受容するハウジングと、該ハウジングに取り付けられ、前記カードに接触するコンタクトと、前記ハウジング上に載置され、前記ハウジングの底壁との間に前記カードを受容するカード受容空間を形成する金属製のシェルとを具備したカード用コネクタにおいて、前記カードの挿抜時に前記カードを案内するカードガイド部を、前記シェルの上壁から該上壁に対して鈍角かつ前記カード受容空間の斜め内側に向けて延びるように曲げ加工したことを特徴としている。
また、本発明のうち請求項2に係るカード用コネクタは、請求項1記載のカード用コネクタにおいて、前記カードガイド部の下側に、前記カードをロックするロック部材を配置したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るカード用コネクタによれば、カードの挿抜時にカードを案内するカードガイド部を、シェルの上壁から該上壁に対して鈍角かつカード受容空間の斜め内側に向けて延びるように曲げ加工してある。このため、カードがカード受容空間に対して大きく傾いて挿入あるいは引き抜きされた場合に、カードに押圧されてカードガイド部が固定端を中心として幅方向外側に曲がる。この際に、カードにカードガイド部が押圧されることによって、シェルを押し下げる力が働き、シェルを浮き上がらせるような力は働かない。そして、カードガイド部のカードに対するガイド量も増加する。従って、カードガイド部のカードに対する案内性能は劣化しないカード用コネクタとすることができる。
また、カードガイド部は、金属製のシェルの上壁から曲げ加工されているので、機械的強度が強くなり、肉厚を薄くすることができ、カード用コネクタの幅方向寸法を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るカード用コネクタの実施形態を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は背面図である。
【図2】図1のカード用コネクタを示し、(A)は右側面図、(B)は左側面図、(C)は図1(B)における矢印2Cで示す部分の拡大図、(D)は図1(A)における2D−2D線に沿う断面図である。
【図3】図1のカード用コネクタからシェルを取り外した状態を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は背面図である。
【図4】図1のカード用コネクタからシェルを取り外した状態を示し、(A)は右側面図、(B)は左側面図、(C)は図3(B)における矢印4Cで示す部分の拡大図、(D)は図3(A)における4D−4D線に沿う断面図である。
【図5】図1のカード用コネクタにカードが挿入され、スライダが排出位置にある状態を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は背面図である。
【図6】図1のカード用コネクタにカードが挿入され、スライダが排出位置にある状態を示し、(A)は右側面図、(B)は左側面図、(C)は図5(A)における6C−6C線に沿う断面図である。
【図7】図5及び図6の状態からシェルを取り外した状態の平面図である。
【図8】カードがカード受容空間に対して傾いて挿入及び引き抜かれる場合の図1に示すカード用コネクタの平面図である。
【図9】カードガイド部の作用を示す模式図であり、(A)はカードがカード受容空間に対して正規な状態で挿入及び引き抜かれる状態、(B)はカードがカード受容空間に対して大きく傾いて挿入及び引き抜かれる状態を示している。
【図10】カードガイド部をハウジング上に載置された金属製のシェルから当該シェルに対して垂直下方に曲げ加工したカード用コネクタの例を示す模式図であり、(A)はカードがカード受容空間に対して正規な状態で挿入及び引き抜かれる状態、(B)はカードがカード受容空間に対して大きく傾いて挿入及び引き抜かれる状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るカード用コネクタの実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図6に示すカード用コネクタ1は、マイクロSDと呼ばれるメモリカード等のカードC(図7参照)が挿入及び排出されるものである。カードCは、略矩形平板状に形成され、一方の側縁(図7において右側縁)には切欠C1が形成されている。この切欠C1の大きさは、ミニSDと呼ばれるカードに形成された切欠よりも、カードCの表面積に対して比較的な大きい。カードCは、カード用コネクタ1を基準として前方(図7における下方)から後方(図7における上方)へ挿入される。以下、図7における「下」を「前」、図7における「上」を「後」とする。
【0016】
カード用コネクタ1は、カードCを受容するハウジング10と、複数のコンタクト20と、金属製のシェル30と、カード検知スイッチ機構40と、プッシュ−プッシュ式のイジェクト機構50(図3(A)参照)とを備えている。
ここで、ハウジング10は、略矩形状に形成され、図1(B)、図2(C),(D)に示すように、上側から取り付けられるシェル30と底壁11との間にカードCを受容するカード受容空間12を有する。ハウジング10は、絶縁性の合成樹脂を成形することによって形成される。
【0017】
また、複数のコンタクト20は、ハウジング10の幅方向(図1(A)における左右方向)に沿って1列状にハウジング10の底壁11に取り付けられる(図3(A)参照)。各コンタクト20は、導電性金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成される。各コンタクト20の接触部は、カード受容空間12内に突出し、当該カード受容空間12に受容されるカードCの導電パッド(図示せず)に接触する。各コンタクト20の基板接続部は、ハウジング10の下方に延びて図示しない回路基板に接続される。
【0018】
金属製のシェル30は、金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成され、ハウジング10の上面を覆う略平板状に形成された上壁31を有する。シェル30は、ハウジング10上に載置され、ハウジング10の底壁11との間にカードCを受容するカード受容空間12を形成する。そして、シェル30は、上壁31の幅方向両側に設けられた側壁部及び上壁31の後端に設けられた後壁によりハウジング10に固定される。このシェル30には、図1(A)、図2(D)、図5(A)及び図6(C)に示すように、カードCの挿抜時にカードCを案内するカードガイド部32が設けられている。このカードガイド部32は、図1(A)及び図2(D)に示すように、シェル30の前端近傍であってカード受容空間12の一側縁近傍(図2(D)における右側縁近傍)の位置に設けられる。カードガイド部32は、図2(D)及び図6(C)に示すように、シェル30の上壁31から該上壁31に対して鈍角かつカード受容空間12の斜め内側に向けて延びるように曲げ加工される。ここで、「鈍角」とは、図2(D)に示したシェル30の上壁31とカードガイド部32とのなす角度θが鈍角であることを意味する。シェル30の上壁31とカードガイド部32とのなす角度θは、65°〜80°が好適である。その理由は、65°よりも小さいとカードCに食い込みやすくなり、80°よりも大きいとカードCに対する案内性能が低下するからである。カードガイド部32の作用については後に詳述する。
【0019】
カード検知スイッチ機構40は、ハウジング10の後端に取り付けられた金属製の第1端子41と、シェル30の後端に設けられた金属製の第2端子42とからなる。第1端子41と第2端子42とは互いに接触可能となっている。
イジェクト機構50は、いわゆるプッシュ−プッシュ式と呼ばれるものであり、ハウジング10に配置されてカード排出方向(後から前方向)にカードCを排出するものである。このイジェクト機構50は、図3(A)に示すように、スライダ60と、カム機構70とから構成されている。
【0020】
スライダ60は、ハウジング10の幅方向一端側(図3(A)における右端側)に配置され、排出位置(図3(A)、図5乃至図7参照)、押圧位置(図示せず)及び嵌合位置(図示せず)間を移動可能になっている。スライダ60は、ハウジング10とスライダ60との間に配置されたばね部材80によりカード排出方向に付勢される。このスライダ60には、スライダ60の排出位置においてカードCの不意の脱落を防止するため、カードCの切欠C1にロックされるロック部材61が設けられている。ロック部材61は、弾性変形可能な金属製部材であって、その先端には、カードCの切欠C1にロックされる湾曲形状のフック部62が設けられている。ロック部材61は、図3(A)に示すように、先端のフック部62がスライダ60の前側に位置するようにスライダ60に取り付けられる。フック部62は、ロック部材61の先端から幅方向内側に向けて、即ちカード受容空間12に向けて延びている。そして、ロック部材61のフック部62は、図2(C),(D)に示すように、カードガイド部32の下側に配置されている。
【0021】
また、カム機構70は、図3(A)に示すように、ハート形のカム溝72と、カム溝72に沿って揺動するカムロッド71とから構成されている。カム溝72は、スライダ60の上面に形成されている。一方、カムロッド71は、その後端部がハウジング10に揺動自在に軸支され、カムロッド61の前端部がカム溝72に沿って揺動するようになっている。カムロッド61は、直線状の金属棒の両端を同一方向に折り曲げて形成される。
【0022】
次に、カードガイド部32の作用について図5乃至図9を参照して説明する。
先ず、ハウジング10内にカードCが挿入されていないときには、スライダ60が図7に示す排出位置に位置している。この状態でカードCをカード受容空間12内に挿入すると、図7に示すように、カードCの先端がスライダ60の突部63に当接し、図5(A)及び図7に示すように、カードCの切欠C1にロック部材61のフック部62がロックされる。
【0023】
このカードCの挿入操作のときに、図5(A),(B)、図6(C)に示すように、カードCは、シェル30の幅方向一端側にあるカードガイド部32とシェル30の幅方向他端側にあるシェル30の側壁部によって案内される。そして、このカードCの挿入操作のときに、図9(A)に示すように、カードCがカード受容空間12に対して正規な状態で挿入されると、カードガイド部32のカードCに対するガイド量はδ3と比較的大きくなっている。
【0024】
一方、カードCの挿入操作のときに、図8に示すように、カードCがカード受容空間12に対して傾いて挿入されることがある。図8においては、その傾斜角がΔで示されている。特に、カードCに形成された切欠C1の大きさがカードCの表面積に対して比較的大きいので、カードCがカード受容空間12に対して大きく傾いて挿入されることがある。この場合、図9(B)に示すように、カードCに押圧されてロック部材61が幅方向外側に変位するとともに、カードCがカードガイド部32を押圧する。これにより、カードガイド部32が固定端を中心として幅方向外側に曲がる。この際に、カードガイド部32は、シェル30の上壁31から該上壁31に対して鈍角かつカード受容空間12の斜め内側に向けて延びるように曲げ加工されている。このため、カードCにカードガイド部32が押圧されることによって、シェル30を押し下げる力が働くので、シェル30を浮き上がらせるような力は働かない。そして、カードガイド部32のカードCに対するガイド量もδ4となって増加する。従って、カードガイド部32のカードCに対する案内性能は劣化しない。
【0025】
そして、カードCの挿入を続行し、スライダ60がハウジング10の後壁に当接するまでスライダ60及びカードCを前進させる。すると、スライダ60及びカードCは押圧位置に位置する。
この状態で、カードCから手を離すと、ばね部材80の作用により、スライダ60がカード排出方向(前方向)に付勢され、カードCもスライダ60とともにカード排出方向に移動し、嵌合位置となる。この嵌合位置で、カードCの挿入が完了し、カードCの下面に形成された導電パッドにコンタクト20の接触部が接触する。
【0026】
一方、カードCの排出を行うときには、嵌合位置の状態からカードCを再度押圧してスライダ60がハウジング10の後壁に当接するまでスライダ60及びカードCを進行させ、この状態で、カードCから手を離す。すると、ばね部材80の作用により、スライダ60がカード排出方向(前方向)に付勢され、カードCもスライダ60とともにカード排出方向に移動し、図5乃至図7に示す排出位置となる。この状態で、カードCをカード受容空間12から引き抜く。これにより、カードCを取り出すことができる。
【0027】
このカードCの引き抜き操作のときのカードガイド部32の作用は、カードCの挿入操作のときのカードガイド部32の作用と同様である。即ち、カードCの引き抜き操作のときに、図5(A),(B)、図6(C)に示すように、カードCは、シェル30の幅方向一端側にあるカードガイド部32とシェル30の幅方向他端側にあるシェル30の側壁によって案内される。そして、このカードCの引き抜き操作のときに、図9(A)に示すように、カードCがカード受容空間12に対して正規な状態で引き抜かれると、カードガイド部32のカードCに対するガイド量はδ3と比較的大きい。
【0028】
一方、カードCの引き抜き操作のときに、カードCがカード受容空間12に対して大きく傾いて引き抜かれることがある。この場合、図9(B)に示すように、カードCに押圧されてロック部材61が幅方向外側に変位するとともに、カードCがカードガイド部32を押圧する。これにより、カードガイド部32が固定端を中心として幅方向外側に曲がる。この際に、カードガイド部32は、シェル30の上壁31から該上壁31に対して鈍角かつカード受容空間12の斜め内側に向けて延びるように曲げ加工されている。このため、カードCにカードガイド部32が押圧されることによって、シェル30を押し下げる力が働き、シェル30を浮き上がらせるような力は働かない。そして、カードガイド部32のカードCに対するガイド量もδ4となって増加する。従って、カードガイド部32のカードCに対する案内性能は劣化しない。カードCの挿入操作のときよりもカードCの引き抜き操作のときの方がカードCが傾くことが多く、カードガイド部32を上壁31に対して鈍角に形成する実益は大きい。
【0029】
また、カードガイド部32を、上壁31から曲げ加工された金属製のシェル30で形成してあるから、機械的強度が強くなり、肉厚を薄くすることができ、カード用コネクタ1の幅方向寸法を小さくすることができる。
また、カードガイド部32の下側に、カードCをロックするロック部材61を配置したので、カード用コネクタ1においてカードガイド部32とロック部材61の双方を配置する際に幅方向寸法を小さくすることができる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、カード用コネクタ1に挿入されるカードCは、マイクロSDと呼ばれているメモリカードに限らず、他のメモリカードやSIMカード等であってもよい。
また、ロック部材61は、必ずしもカードガイド部32の下側に配置されなくてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 カード用コネクタ
10 ハウジング
11 底壁
12 カード受容空間
20 コンタクト
30 シェル
31 上壁
32 カードガイド部
61 ロック部材
C カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを受容するハウジングと、該ハウジングに取り付けられ、前記カードに接触するコンタクトと、前記ハウジング上に載置され、前記ハウジングの底壁との間に前記カードを受容するカード受容空間を形成する金属製のシェルとを具備したカード用コネクタにおいて、
前記カードの挿抜時に前記カードを案内するカードガイド部を、前記シェルの上壁から該上壁に対して鈍角かつ前記カード受容空間の斜め内側に向けて延びるように曲げ加工したことを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項2】
前記カードガイド部の下側に、前記カードをロックするロック部材を配置したことを特徴とする請求項1記載のカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−195090(P2012−195090A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56752(P2011−56752)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000227995)タイコエレクトロニクスジャパン合同会社 (340)
【Fターム(参考)】