カード用コネクタ
【課題】カード検出スイッチに起因したカード収容部内のデッドスペースを極めて小にすることによりカード用コネクタの小型化を図ることができること。
【解決手段】カード収容部10Aにメモリカード22が挿入される場合、可動端子20の当接端部20Eが、可動接点部20MCが平坦部10BA内において固定端子24の固定接点部24Cから離隔する方向にメモリカード22の端部で押圧されるとき、カード検出スイッチは、オン状態からメモリカード22の装着完了をあらわすオフ状態とされるもの。
【解決手段】カード収容部10Aにメモリカード22が挿入される場合、可動端子20の当接端部20Eが、可動接点部20MCが平坦部10BA内において固定端子24の固定接点部24Cから離隔する方向にメモリカード22の端部で押圧されるとき、カード検出スイッチは、オン状態からメモリカード22の装着完了をあらわすオフ状態とされるもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード検出スイッチを備えるカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロSDカード(登録商標)等のICカードが装着されるカード用コネクタは、例えば、特許文献1にも示されるように、携帯電話機等の電子機器内の配線基板上に配される。カード用コネクタは、カード検出スイッチを備えている。カード検出スイッチは、ICカードがそのコネクタ内のカード収容部内に装着されたか否かを検出するものとされる。そのようなカード検出スイッチは、例えば、ノーマルオープンタイプの検出スイッチとされ、一対の可動接片を含んで構成されている。
【0003】
各可動接片の一端に設けられる固定端は、そのカード収容部のカードスロットに向かい合う後側壁部の内周部に固定されている。各可動接片の一端は、ICカードの着脱方向に沿って隣接し並設されている。また、弾性変位可能な各可動接片の他端部は、後側壁部よりも内側に離隔したカード収容部内に配置されている。各可動接片の他端部は、一方の可動接片の先端部が装着されたICカードの端部に選択的に当接するとき、互いに当接する接点部を先端部に有している。ノーマルオープンタイプのカード検出スイッチの場合、一方の可動接片の先端部が装着されたICカードの端部に選択的に当接するとき、その近接した一対の接点部における安定した電気的接続を確保するために接点部相互間に弾性変位に起因した所定の接触圧力を生じるように各可動接片の他端部が所定量、移動することが必要とされる。従って、ノーマルオープンタイプのカード検出スイッチの場合、各可動接片の他端部が所定量、移動可能とされるように後側壁部よりも内側に位置したカード収容部内の所定の移動可能領域が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−287438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ノーマルオープンタイプのカード検出スイッチがカード用コネクタに備えられる場合、上述したように、各可動接片の他端部が所定量、移動可能とされるように後側壁部よりも内側に位置したカード収容部内の所定の移動可能領域が必要とされる。即ち、その移動可能領域がデッドスペースとなる。
【0006】
しかしながら、一対の接点部における安定した電気的接続を確保する必要性からノーマルオープンタイプのカード検出スイッチの場合、上述の移動可能領域が必要とされるので昨今のICカードの小型化に伴うカード用コネクタの小型化の要望に応じてそのようなデッドスペースをより小さくすることにも、限界がある。
【0007】
以上の問題点を考慮し、本発明は、カード検出スイッチを備えるカード用コネクタであって、カード検出スイッチに起因したカード収容部内のデッドスペースを極めて小にすることによりカード用コネクタの小型化を図ることができるカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明に係るカード用コネクタは、ICカードが通過するカードスロットに向き合う壁部を含むカード収容部を有し、ICカードを着脱可能にカード収容部に収容するハウジングと、ハウジングの壁部に一端が支持される固定部と、ICカードがカード収容部内に挿入される場合、ICカードの端部に当接する当接端部と固定部とを連結する可動部とを有する弾性変位可能な可動端子と、ICカードがカード収容部内に挿入されない場合、可動端子の可動接点部と当接する固定接点部を有する固定端子と、を含んでなるカード検出スイッチと、を備え、ICカードがカード収容部内に挿入されない場合、可動端子の可動部が壁部内の第1の位置をとり、ICカードがカード収容部内に挿入される場合、カード検出スイッチの可動端子の当接端部がICカードの端部に当接され押圧されることにより、可動端子の可動部が壁部内で第1の位置から第2の位置まで移動せしめられるとともに、可動端子の可動接点部が固定端子の固定接点部から離隔されることを特徴とする。
【0009】
カード検出スイッチは、ICカードの着脱方向、および、着脱方向に直交する方向に弾性変位可能な可動端子と、ハウジングの底部に固定接点部を露出させて埋設され、ICカードがカード収容部内に挿入される場合、可動接点部が固定接点部に対し摺接しながら離隔される固定端子と、を備えて構成されてもよい。
【0010】
また、可動端子の固定部の一端がハウジングの壁部に挿入され支持される場合、可動端子の可動部が所定値以上、着脱方向に直交する方向に弾性変位することを規制する位置規制部材を備えるものであってもよい。
【0011】
さらに、可動端子の当接端部に設けられる可動接点部は、ハウジングの底部に向けて隆起する隆起部を有するものでもよい。可動端子の可動部が壁部内で移動せしめられるとき、隆起部が落ち込む溝部が壁部内に形成されるものでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るカード用コネクタによれば、ICカードがカード収容部内に挿入される場合、カード検出スイッチの可動端子の当接端部がICカードの端部に当接され押圧されることにより、可動端子の可動部が壁部内で移動せしめられるとともに、可動端子の可動接点部が固定端子の固定接点部から離隔されるのでカード検出スイッチに起因したカード収容部内のデッドスペースを極めて小にすることによりカード用コネクタの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るカード用コネクタの第1実施例の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示される例における動作説明に供される図である。
【図3】図1におけるA部を部分的に拡大して示す斜視図である。
【図4】図1に示される例に用いられるカード検出スイッチの一部を構成する可動端子を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るカード用コネクタの第2実施例の外観を示す斜視図である。
【図6】図5におけるB部を部分的に拡大して示す斜視図である。
【図7】図5に示される例において可動端子を外した状態を示す平面図である。
【図8】(A)は、図5に示される例に用いられるカード検出スイッチの一部を構成する可動端子を示す斜視図であり、(B)は、図5に示される例に用いられるカード検出スイッチの一部を構成する可動端子の他の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明に係るカード用コネクタの第1実施例の外観を示す。
【0015】
図1に示されるカード用コネクタは、例えば、そのカード収容部10Aに着脱可能に収容されるICカードとしてのメモリカード22の電極部と所定の電子機器の内部に配される配線基板の接続端子部とを電気的に接続するものとされる。カード用コネクタは、例えば、携帯電話機、携帯型オーディオ、PDA、カメラ、PC等の電子機器の内部に配されるものとされる。薄板状のメモリカード22は、例えば、マイクロシム(登録商標)カードとされ、後述されるコンタクト端子の配列に対応して6個の電極パッドが一方の表面部に形成されている。メモリカード22は、図2に示されるように、一方の端部に面取り部22CHを有している。
【0016】
カード用コネクタは、収容されるメモリカード22に対する電気的接続を行う複数のコンタクト端子が配列されるベース部材10を含んで構成されている。
【0017】
メモリカード22のカード収容部10Aは、金属製のカバー部材(不図示)の内周部とベース部材10とによって形成される。即ち、ベース部材10全体が、そのカバー部材の内周部により覆われることとなる。ベース部材10は、互いに向かい合う側壁部10RW,10LWと、側壁部10RW、および、側壁部10LWを連結する底部10Bと、後述する後壁部10BWとを含んで構成されている。
【0018】
カード収容部10Aの一方の端部には、図1に示されるように、矢印の示す方向に沿って着脱されるメモリカード22が通過する開口部10CS(以下、カードスロット10CSともいう)が形成されている。また、カード収容部10Aの他方の端部には、そのカードスロット10CSに対向して後壁部10BWが形成されている。
【0019】
ベース部材10の底部10Bの中央部には、所定の間隔で配される二つの矩形の開口部10aおよび10bが3列、形成されている。開口部10aおよび10bは、側壁10RWおよび10LWに対して略平行に細長く形成されている。各同一列の開口部10aおよび10bは、共通の直線上に形成されている。同一列における各開口部10aおよび10bは、図1に示されるように、その中間に形成される中間底壁部10Paにより仕切られている。中間底壁部10Paには、その各列に対応して凹部10dが形成されている。また、隣接する列における開口部10aおよび10bは、底部に形成される仕切壁10Pbにより仕切られている。
【0020】
樹脂材料で成形されるベース部材10には、コンタクト端子12Ai(i=1〜6)が上述の各開口部10aおよび10bに対応してインサート成形により配設されている。コンタクト端子12Aiは、装着されるメモリカード22の電極パッドに当接しメモリカード22と配線基板(不図示)とを電気的に接続するものとされる。
【0021】
各コンタクト端子12Aiは、薄板金属材料でプレス加工によって作られる。コンタクト端子12Aiは、上述のメモリカード22の1個の電極パッドに略同時に当接し電気的に接続される接点部12ac、12bcをそれぞれ有する分岐可動片部12a,12bと、配線基板の導電層に半田付け固定される半田付端子部を有する後端部と、分岐可動片部12a,12bに連なる可動片支持部と、可動片支持部と後端部とを連結する連結部とを含んで構成されている。なお、上述の後端部の一部、可動片支持部、および、連結部は、インサート成形により底部10Bに鋳込まれている。
【0022】
弾性変位可能な分岐可動片部12a,12b、および、半田付端子部は、それぞれ、ベース部材10の底部から突出している。また、各コンタクト端子12Aiの半田付端子部は、図2に示されるように、カードスロット10CS側とは逆方向となるように後壁部10BWから外部に向けて突出している。これにより、半田がベース部材10におけるカードスロット周縁に付着することがないのでメモリカード22の着脱において半田によって支障が生じる虞がない。
【0023】
図1において、カード収容部10Aを形成する側壁部10RWの内周部と側壁部10RWに最も近いコンタクト端子12Aiとの間には、メモリカード22を選択的にカード収容部10A内に保持するとともに、メモリカード22を、カードスロット10CSを通じて外部に排出するイジェクト機構が配されている。
【0024】
イジェクト機構は、側壁部10RWに沿って内側部分に形成されたガイド溝に沿って案内され、ベース部材10に対し移動自在な略L字状のイジェクト部材14と、ベース部材10の後壁部10BWおよびイジェクト部材14の端部14E相互間に介装され、イジェクト部材14をメモリカード22の排出方向に付勢するコイルスプリング18と、イジェクト部材14を選択的にベース部材10に対しロック状態あるいはアンロック状態とするカム機構制御部(不図示)とを有している。
【0025】
例えば、金属材料でプレス加工されたイジェクト部材14のカード受け部14Rには、図2において示されるように、挿入されたメモリカード22の略直角な角部が係合する係合部が形成されている。このようにメモリカード22が、メモリカード22の一対の略直角な角部がある端部側からイジェクト部材14のカード受け部14Rの係合部を介して挿入される場合、面取り部22CHを有するメモリカード22の一方の端部が図2に示されるように、カードスロット10CSを通じて外部に所定量、突出するのでメモリカード22の一方の端部を容易に把持しイジェクト機構のロック状態あるいはアンロック状態とする動作を確実に行わせることができる。
【0026】
また、カードスロット10CSに隣接した位置には、図2に示されるように、カード収容部10A内に装着されたメモリカード22を保持する板ばね16が設けられている。これにより、弾性変位可能な板ばね16の先端部がメモリカード22の面取り部22CHに当接することによって、メモリカード22がイジェクト部材14のカード受け部14Rと板ばね16との間でカード収容部10A内に保持されることとなる。
【0027】
このような構成において、カード収容部10Aにメモリカード22が挿入される場合、イジェクト部材14がコイルスプリング18の付勢力に抗して押圧されるとき、カム機構制御部がイジェクト部材14をロック状態とする。その際、メモリカード22は、図2に示されるように、イジェクト部材14のカード受け部14Rと板ばね16とにより保持される。これにより、メモリカード22が、カード収容部10A内で保持され、かつ、メモリカード22のコンタクトパッドとコンタクト端子12Aiの各接点部とが当接され電気的に接続されることとなる。
【0028】
一方、メモリカード22がカード収容部10Aから取り外される場合、装填されたメモリカード22が若干さらに押し込まれる。これにより、イジェクト部材14が、所定距離だけ移動せしめられ、カム機構制御部がイジェクト部材14をアンロック状態とする。
【0029】
従って、コイルスプリング18の復帰力によってイジェクト部材14がカード収容部10Aからメモリカード22を伴ってカードスロット10CS側に板ばね16の先端部の弾性力に抗して移動せしめられるとともに、最終的にメモリカード22が外部に向けて排出される。
【0030】
さらに、後壁部10BWには、図1に示されるように、メモリカード22がカード収容部10A内に装着されているか否かを検出するカード検出スイッチが設けられている。後壁部10BWは、後述するカード検出スイッチの一部を構成する可動端子20の固定部20Fを保持する端子保持部10BKを略中央部に有している。端子保持部10BKは、可動端子20の固定部20Fが圧入される細長い溝を有している。細長い溝は、可動端子20の板厚に対応した溝幅を有している。また、その溝の一方の端部近傍には、可動端子20の可動部20Mを案内する斜面部が形成されている。さらに、斜面部の周囲には、可動端子20の可動部20Mが斜面部に対し近接または離隔可能とされるように後壁部が切り欠かれ平坦部10BAが形成されている。即ち、可動端子20の可動部20Mがカード収容部10Aに進入することなく所定のストロークで後壁部10BW内において移動可能とされることとなる。
【0031】
カード検出スイッチは、ノーマルクローズタイプのスイッチとされ、可動接点部20MCを有する可動端子20と、固定接点部24Cを有する固定端子24とを備えて構成されている。可動端子20は、図4に拡大されて示されるように、薄板金属材料で帯状に作られ、端子保持部10BKの溝に圧入され可動端子20をベース部材10に固定する固定部20Fと、メモリカード22の端部に選択的に当接する当接端部20Eと、可動接点部20MCを有し固定部20Fと当接端部20Eとを連結する可動部20Mとから構成されている。
【0032】
固定部20Fは、その幅方向の一方の縁に一対の爪部20fnを2箇所に有している。図4において、右側に位置する一対の爪部20fn相互間には、半田付け固定端子20fsが設けられている。これにより、その半田付け固定端子20fsが配線基板に半田付け固定されることによって、可動端子20が配線基板の回路に導通することとなる。
【0033】
固定部20Fは、その一方の縁に形成される4個の爪部20fnから上述の溝に差し込まれる。これにより、可動部20Mは、その帯状に広がる面が端子保持部10BKに向き合うように配置されることとなる。
【0034】
固定部20Fに連なる可動部20Mは、固定部20Fに対し所定の角度をもって端子保持部10BKに近接する方向に傾斜している。可動部20Mにおける固定部20Fから離隔する方向の一方の端部近傍には、隆起した可動接点部20MCが形成されている。
【0035】
当接端部20Eは、可動部20Mの一方の端部に対し所定の角度をもって可動接点部20MCの隆起する側(即ち、カード収容部10A側)に折れ曲がっている。
【0036】
一方、固定端子24の固定部は、可動端子20の可動部20Mにおける可動接点部20MCに対向するようにベース部材10Bに埋設されている。これにより、その固定部に電気的に接続される半田付け固定端子が配線基板に半田付け固定されることによって、固定端子24は、図示が省略される配線基板の回路に導通することとなる。
【0037】
固定端子24の固定接点部24Cは、固定部に対し略垂直に屈曲されている。固定端子24の固定接点部24Cは、平坦部10BAとカード収容部10Aとの略境界部分に設けられている。即ち、可動接点部20MCが当接する固定端子24の固定接点部24の位置は、図2に示されるように、ベース部材10Bの後壁部10BWの外周面から所定の距離Daであって、側壁部10LWの外周面から所定の距離Waに設定されている。従って、可動端子20の第1の位置としての可動接点部20MCが当接する固定端子24の固定接点部24Cの位置が、後壁部10BWの内周面からカード収容部10A内に侵入する虞がないこととなる。なお、可動接点部20MCが当接する固定端子24の固定接点部24Cの位置は、斯かる例に限られることなく、上述の境界部分よりも平坦部10BAの内方に設けられてもよい。
【0038】
斯かる構成において、カード収容部10Aにメモリカード22が挿入される場合、図2の矢印Pが示す方向に、イジェクト部材14がコイルスプリング18の付勢力に抗して押圧されるとき、カム機構制御部がイジェクト部材14をロック状態とするとともに、板ばね16がメモリカード22を保持する。その際、可動端子20の当接端部20Eが、可動接点部20MCが平坦部10BA内において固定端子24の固定接点部24Cから離隔する方向(図2における矢印A方向)にメモリカード22の端部で押圧されるとともに、可動端子20の可動接点部20MCが固定端子24の固定接点部24Cから離隔し平坦部10BA内の上述の第1の位置から所定の第2の位置まで移動せしめられることにより、カード検出スイッチは、オン状態からメモリカード22の装着完了をあらわすオフ状態とされる。この場合、図2に示されるように、可動端子20の当接端部20Eの先端部のみがカード収容部10A内に侵入しているので特許文献1に示されるノーマルオープンタイプのカード検出スイッチがカード収容部内に設けられる場合に比してメモリカード22の端部と後壁部10BWの内周部との間に形成されるデッドスペースDSが極めて小となる。従って、カード用コネクタの小型化が図られることとなる。また、カード用コネクタにおいて、一般にメモリカード22が装着される期間は、取り外される期間に比して長期となるので消費電力の低減も図られる。
【0039】
一方、カード収容部10Aからメモリカード22が排出される場合、カム機構制御部がイジェクト部材14をアンロック状態とするとともに、コイルスプリング18の復元力により、イジェクト部材14が図2の矢印Pが示す方向とは逆方向に押圧されるとき、メモリカード22が板ばね16の付勢力に抗してカードスロット10CSを介して排出されるとともに、可動端子20の可動接点部20MCが平坦部10BA内において上述の第2の位置から固定端子24の固定接点部24Cに近接する方向(図2における矢印B方向)に復元力により回動され固定接点部24Cに当接せしめられるのでカード検出スイッチは、オフ状態からメモリカード22の非装着状態をあらわすオン状態とされる。
【0040】
図5は、本発明に係るカード用コネクタの第2実施例の外観を示す。
【0041】
図1に示される例においては、カード検出スイッチにおける可動端子20の当接端部20Eは、端子保持部10BKを中心として回動するものとされるが、その代わりに、図5に示される例においては、カード検出スイッチにおける可動端子40の当接端部40Eは、端子保持部10BKを中心として回動されるとともに、弾性によりベース部材30の底部30Bに対し近接または離隔可能とされる。図5において、図1に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0042】
カード用コネクタは、収容されるメモリカード22に対する電気的接続を行う複数のコンタクト端子12Aiが配列されるベース部材30を含んで構成されている。
【0043】
メモリカード22のカード収容部30Aは、金属製のカバー部材(不図示)の内周部とベース部材30とによって形成される。即ち、ベース部材30全体が、そのカバー部材の内周部により覆われることとなる。ベース部材30は、互いに向かい合う側壁部30RW,30LWと、側壁部30RW、および、側壁部30LWを連結する底部30Bと、後述する後壁部30BWとを含んで構成されている。
【0044】
カード収容部30Aの一方の端部には、着脱されるメモリカード22が通過する開口部30CS(以下、カードスロット30CSともいう)が形成されている。また、カード収容部30Aの他方の端部には、そのカードスロット30CSに対向して後壁部30BWが形成されている。
【0045】
ベース部材30の底部10Bの中央部には、所定の間隔で配される二つの矩形の開口部30aおよび30bが3列、形成されている。開口部30aおよび30bは、側壁30RWおよび30LWに対して略平行に細長く形成されている。各同一列の開口部30aおよび30bは、共通の直線上に形成されている。同一列における各開口部30aおよび30bは、図5に示されるように、その中間に形成される中間底壁部30Paにより仕切られている。中間底壁部30Paには、その各列に対応して凹部30dが形成されている。また、隣接する列における開口部30aおよび30bは、底部に形成される仕切壁30Pbにより仕切られている。
【0046】
樹脂で成形されるベース部材30には、コンタクト端子12Ai(i=1〜6)が上述の各開口部30aおよび30bに対応してインサート成形により配設されている。
【0047】
さらに、後壁部30BWには、図5に示されるように、メモリカード22がカード収容部30A内に装着されているか否かを検出するカード検出スイッチが設けられている。後壁部30BWは、後述するカード検出スイッチの一部を構成する可動端子40の固定部40Fを保持する端子保持部30BKを略中央部に有している。端子保持部30BKは、可動端子40の固定部40Fが圧入される細長い溝30agを有している。細長い溝30agは、可動端子40の板厚に対応した溝幅を有している。また、端子保持部30BKにおいて細長い溝30agに対し平行に隣接して形成される溝30bgの一方の端部近傍には、可動端子40の可動部40Mを案内する斜面部が形成されている。さらに、斜面部の周囲には、図6に拡大されて示されるように、可動端子40の可動部40Mが斜面部に対し近接または離隔可能とされるように後壁部が切り欠かれ平坦部30BAが形成されている。即ち、可動端子40の可動部40Mがカード収容部30Aに進入することなく所定のストロークで後壁部30BW内において移動可能とされることとなる。
【0048】
カード検出スイッチは、ノーマルクローズタイプのスイッチとされ、可動接点40MPを有する可動端子40と、固定接点としてのコンタクトパッドからなる固定端子32とを備えて構成されている。可動端子40は、図8(A)に拡大されて示されるように、薄板金属材料で帯状に作られ、端子保持部30BKの溝30agに圧入され可動端子40をベース部材30に固定する固定部40Fと、可動接点40MPを有しメモリカード22の端部に選択的に当接する当接端部40Eと、固定部40Fと当接端部40Eとを連結する可動部40Mとから構成されている。
【0049】
固定部40Fは、その幅方向の一方の縁に一対の爪部40fnを2箇所に有している。図8(A)において、右側に位置する一対の爪部40fn相互間には、半田付け固定端子40fsが設けられている。これにより、その半田付け固定端子40fsが、図示が省略される配線基板に半田付け固定されることによって、可動端子40は、配線基板の回路に導通することとなる。
【0050】
固定部40Fは、その一方の縁に形成される4個の爪部40fnから上述の溝30agに差し込まれる。これにより、固定部40Fに可動連結部40MCを介して連結される可動部40Mは、その帯状に広がる面が端子保持部30BKに向き合うように配置されることとなる。
【0051】
固定部40Fに可動連結部40MCを介して一体に連結される可動部40Mは、固定部40Fに対し所定の間隔をもって帯状の面が略平行に向かい合うように配置されている。これにより、可動部40Mは、図8(A)に示される直交座標においてX座標軸およびZ座標軸に沿って移動可能とされる。なお、Y座標軸は、固定部40Fの延在する方向と一致するように設定されている。即ち、可動部40Mは、可動連結部40MCを回転中心としてX座標軸に沿って回動可能とされ、また、Z座標軸に沿って上下動可能とされる。
【0052】
固定部40Fが、上述の溝30agに差し込まれた場合、可動部40Mの一方の端部に一体に連結される当接端部40Eは、可動部40Mの一方の端部に対し所定の角度をもってカード収容部30A側に折れ曲がっている。当接端部40Eにおける底部30Bに近接する側の縁部には、可動接点部40MCが形成されている。可動接点部40MCは、当接端部40Eの帯状の面に対し略直交するようにカード収容部30Aから離隔する方向に折り曲げられて形成されている。可動接点部40MCは、小さな隆起部40mcを有している。隆起部40mcは、底部30Bに近接する側の表面に形成され、後述する固定端子32(図7参照)の表面に所定の圧力をもって摺接する。
【0053】
一方、固定端子32は、ベース部材30の底部30Bの表面と面一となるように埋設されている。また、固定端子32は、可動端子40の当接端部40Eにおける可動接点部40MCに対向するように配置されている。これにより、その固定端子32に電気的に接続される半田付け固定端子が、図示が省略される配線基板に半田付け固定されることによって、固定端子32が、配線基板の回路に導通することとなる。
【0054】
その際、固定端子32は、図7に示されるように、平坦部30BAに近いカード収容部30A内に設けられている。即ち、可動接点部40MCの隆起部40mcが摺接する固定端子32の位置は、ベース部材30Bの後壁部30BWの外周面から所定の距離Dbであって、側壁部30LWの外周面から所定の距離Wbに設定されている。
【0055】
平坦部30BAにおける固定端子32に隣接し所定距離だけ離隔した位置には、可動接点部40MCの隆起部40mcだけが落ち込む逃げ溝30BGが形成されている。逃げ溝30BGの一端には、隆起部40mcを誘導する斜面部30BGSが形成されている。この斜面部30BGSにより、可動接点部40MCの隆起部40mcと固定端子32の表面との接触が確実に断たれることとなる。
【0056】
さらに、平坦部30BAにおける逃げ溝30BGと端子保持部30BKとの間には、可動端子40が溝30agから抜け出ることを回避する位置規制部材としての抜止め片34が設けられている。
【0057】
斯かる構成において、カード収容部30Aにメモリカード22が挿入される場合、イジェクト部材14がコイルスプリング18の付勢力に抗して押圧されるとき、カム機構制御部がイジェクト部材14をロック状態とするとともに、板ばね16がメモリカード22を保持する。その際、可動端子40の当接端部40Eとともに可動接点部40MCの隆起部40mcがワイピングしながら固定端子32から離隔する方向、即ち、平坦部30BAの方向にメモリカード22の端部で押圧されるのでカード検出スイッチは、オン状態からメモリカード22の装着完了をあらわすオフ状態とされる。この場合、可動端子40の当接端部40Eの先端部のみがカード収容部30A内に侵入しているので特許文献1に示されるノーマルオープンタイプのカード検出スイッチがカード収容部内に設けられる場合に比してメモリカード22の端部と後壁部30BWの内周部との間に形成されるデッドスペースが極めて小となる。従って、カード用コネクタの小型化が図られることとなる。また、カード用コネクタにおいて、一般にメモリカード22が装着される期間は、取り外される期間に比して長期となるので消費電力の低減も図られる。
【0058】
一方、カード収容部30Aからメモリカード22が排出される場合、カム機構制御部がイジェクト部材14をアンロック状態とするとともに、コイルスプリング18の復元力により、イジェクト部材14がカード排出方向に押圧されるとき、メモリカード22が板ばね16の付勢力に抗してカードスロット30CSを介して排出されるとともに、可動端子40の可動接点部40MCが固定端子32に近接する方向に復元力により回動され固定端子32に当接せしめられるのでカード検出スイッチは、オフ状態からメモリカード22の非装着状態をあらわすオン状態とされる。
【0059】
上述の可動端子40は、折り曲げられた可動接点40MPに隆起部40mcを有する構成とされるが、斯かる例に限られることなく、可動端子50は、例えば、図8(B)に示されるように、可動接点40MPの代わりに、当接端部50Eにおけるベース部材30の底部30Bに近接する側の縁部に一体に可動接点として隆起部50mcが形成されるものでもよい。
【0060】
可動端子50は、薄板金属材料で帯状に作られ、端子保持部30BKの溝30agに圧入され可動端子50をベース部材30に固定する固定部50Fと、隆起部50mcを有しメモリカード22の端部に選択的に当接する当接端部50Eと、固定部50Fと当接端部50Eとを連結する可動部50Mとから構成されている。
【0061】
固定部50Fは、その幅方向の一方の縁に一対の爪部50fnを2箇所に有している。図8(B)において、右側に位置する一対の爪部50fn相互間には、半田付け固定端子50fsが設けられている。これにより、その半田付け固定端子50fsが、図示が省略される配線基板に半田付け固定されることによって、可動端子50が、配線基板の回路に導通することとなる。
【0062】
固定部50Fは、その一方の縁に形成される4個の爪部50fnから上述の溝30agに差し込まれる。これにより、固定部50Fに可動連結部50MCを介して連結される可動部50Mは、その帯状に広がる面が端子保持部30BKに向き合うように配置されることとなる。
【0063】
固定部50Fに可動連結部50MCを介して一体に連結される可動部50Mは、固定部50Fに対し所定の間隔をもって帯状の面が略平行に向かい合うように配置されている。これにより、可動部50Mは、図8(B)に示される直交座標においてX座標軸およびZ座標軸に沿って移動可能とされる。なお、Y座標軸は、固定部50Fの延在する方向と一致するように設定されている。即ち、可動部50Mは、可動連結部50MCを回転中心としてX座標軸に沿って回動可能とされ、また、Z座標軸に沿って上下動可能とされる。
【0064】
固定部50Fが、上述の溝30agに差し込まれた場合、可動部50Mの一方の端部に一体に連結される当接端部50Eは、可動部50Mの一方の端部に対し所定の角度をもってカード収容部30A側に折れ曲がっている。当接端部50Eにおける底部30Bに近接する側の縁部には、可動接点部としての隆起部50mcが形成されている。隆起部50mcは、当接端部50Eの帯状の面と共通の平面内に含まれるように底部30Bに向けて突出している。
【0065】
従って、可動端子50においても、可動端子40と同様に、隆起部50mcがワイピングしながら固定端子32に対し摺接するので同様な作用効果を奏することとなる。
【符号の説明】
【0066】
10、30 ベース部材
10BW,30BW 後壁部
10BK,30BK 端子保持部
10BA,30BA 平坦部
12Ai コンタクト端子
20、40、50 可動端子
22 メモリカード
24、32 固定端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード検出スイッチを備えるカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロSDカード(登録商標)等のICカードが装着されるカード用コネクタは、例えば、特許文献1にも示されるように、携帯電話機等の電子機器内の配線基板上に配される。カード用コネクタは、カード検出スイッチを備えている。カード検出スイッチは、ICカードがそのコネクタ内のカード収容部内に装着されたか否かを検出するものとされる。そのようなカード検出スイッチは、例えば、ノーマルオープンタイプの検出スイッチとされ、一対の可動接片を含んで構成されている。
【0003】
各可動接片の一端に設けられる固定端は、そのカード収容部のカードスロットに向かい合う後側壁部の内周部に固定されている。各可動接片の一端は、ICカードの着脱方向に沿って隣接し並設されている。また、弾性変位可能な各可動接片の他端部は、後側壁部よりも内側に離隔したカード収容部内に配置されている。各可動接片の他端部は、一方の可動接片の先端部が装着されたICカードの端部に選択的に当接するとき、互いに当接する接点部を先端部に有している。ノーマルオープンタイプのカード検出スイッチの場合、一方の可動接片の先端部が装着されたICカードの端部に選択的に当接するとき、その近接した一対の接点部における安定した電気的接続を確保するために接点部相互間に弾性変位に起因した所定の接触圧力を生じるように各可動接片の他端部が所定量、移動することが必要とされる。従って、ノーマルオープンタイプのカード検出スイッチの場合、各可動接片の他端部が所定量、移動可能とされるように後側壁部よりも内側に位置したカード収容部内の所定の移動可能領域が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−287438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ノーマルオープンタイプのカード検出スイッチがカード用コネクタに備えられる場合、上述したように、各可動接片の他端部が所定量、移動可能とされるように後側壁部よりも内側に位置したカード収容部内の所定の移動可能領域が必要とされる。即ち、その移動可能領域がデッドスペースとなる。
【0006】
しかしながら、一対の接点部における安定した電気的接続を確保する必要性からノーマルオープンタイプのカード検出スイッチの場合、上述の移動可能領域が必要とされるので昨今のICカードの小型化に伴うカード用コネクタの小型化の要望に応じてそのようなデッドスペースをより小さくすることにも、限界がある。
【0007】
以上の問題点を考慮し、本発明は、カード検出スイッチを備えるカード用コネクタであって、カード検出スイッチに起因したカード収容部内のデッドスペースを極めて小にすることによりカード用コネクタの小型化を図ることができるカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明に係るカード用コネクタは、ICカードが通過するカードスロットに向き合う壁部を含むカード収容部を有し、ICカードを着脱可能にカード収容部に収容するハウジングと、ハウジングの壁部に一端が支持される固定部と、ICカードがカード収容部内に挿入される場合、ICカードの端部に当接する当接端部と固定部とを連結する可動部とを有する弾性変位可能な可動端子と、ICカードがカード収容部内に挿入されない場合、可動端子の可動接点部と当接する固定接点部を有する固定端子と、を含んでなるカード検出スイッチと、を備え、ICカードがカード収容部内に挿入されない場合、可動端子の可動部が壁部内の第1の位置をとり、ICカードがカード収容部内に挿入される場合、カード検出スイッチの可動端子の当接端部がICカードの端部に当接され押圧されることにより、可動端子の可動部が壁部内で第1の位置から第2の位置まで移動せしめられるとともに、可動端子の可動接点部が固定端子の固定接点部から離隔されることを特徴とする。
【0009】
カード検出スイッチは、ICカードの着脱方向、および、着脱方向に直交する方向に弾性変位可能な可動端子と、ハウジングの底部に固定接点部を露出させて埋設され、ICカードがカード収容部内に挿入される場合、可動接点部が固定接点部に対し摺接しながら離隔される固定端子と、を備えて構成されてもよい。
【0010】
また、可動端子の固定部の一端がハウジングの壁部に挿入され支持される場合、可動端子の可動部が所定値以上、着脱方向に直交する方向に弾性変位することを規制する位置規制部材を備えるものであってもよい。
【0011】
さらに、可動端子の当接端部に設けられる可動接点部は、ハウジングの底部に向けて隆起する隆起部を有するものでもよい。可動端子の可動部が壁部内で移動せしめられるとき、隆起部が落ち込む溝部が壁部内に形成されるものでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るカード用コネクタによれば、ICカードがカード収容部内に挿入される場合、カード検出スイッチの可動端子の当接端部がICカードの端部に当接され押圧されることにより、可動端子の可動部が壁部内で移動せしめられるとともに、可動端子の可動接点部が固定端子の固定接点部から離隔されるのでカード検出スイッチに起因したカード収容部内のデッドスペースを極めて小にすることによりカード用コネクタの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るカード用コネクタの第1実施例の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示される例における動作説明に供される図である。
【図3】図1におけるA部を部分的に拡大して示す斜視図である。
【図4】図1に示される例に用いられるカード検出スイッチの一部を構成する可動端子を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るカード用コネクタの第2実施例の外観を示す斜視図である。
【図6】図5におけるB部を部分的に拡大して示す斜視図である。
【図7】図5に示される例において可動端子を外した状態を示す平面図である。
【図8】(A)は、図5に示される例に用いられるカード検出スイッチの一部を構成する可動端子を示す斜視図であり、(B)は、図5に示される例に用いられるカード検出スイッチの一部を構成する可動端子の他の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明に係るカード用コネクタの第1実施例の外観を示す。
【0015】
図1に示されるカード用コネクタは、例えば、そのカード収容部10Aに着脱可能に収容されるICカードとしてのメモリカード22の電極部と所定の電子機器の内部に配される配線基板の接続端子部とを電気的に接続するものとされる。カード用コネクタは、例えば、携帯電話機、携帯型オーディオ、PDA、カメラ、PC等の電子機器の内部に配されるものとされる。薄板状のメモリカード22は、例えば、マイクロシム(登録商標)カードとされ、後述されるコンタクト端子の配列に対応して6個の電極パッドが一方の表面部に形成されている。メモリカード22は、図2に示されるように、一方の端部に面取り部22CHを有している。
【0016】
カード用コネクタは、収容されるメモリカード22に対する電気的接続を行う複数のコンタクト端子が配列されるベース部材10を含んで構成されている。
【0017】
メモリカード22のカード収容部10Aは、金属製のカバー部材(不図示)の内周部とベース部材10とによって形成される。即ち、ベース部材10全体が、そのカバー部材の内周部により覆われることとなる。ベース部材10は、互いに向かい合う側壁部10RW,10LWと、側壁部10RW、および、側壁部10LWを連結する底部10Bと、後述する後壁部10BWとを含んで構成されている。
【0018】
カード収容部10Aの一方の端部には、図1に示されるように、矢印の示す方向に沿って着脱されるメモリカード22が通過する開口部10CS(以下、カードスロット10CSともいう)が形成されている。また、カード収容部10Aの他方の端部には、そのカードスロット10CSに対向して後壁部10BWが形成されている。
【0019】
ベース部材10の底部10Bの中央部には、所定の間隔で配される二つの矩形の開口部10aおよび10bが3列、形成されている。開口部10aおよび10bは、側壁10RWおよび10LWに対して略平行に細長く形成されている。各同一列の開口部10aおよび10bは、共通の直線上に形成されている。同一列における各開口部10aおよび10bは、図1に示されるように、その中間に形成される中間底壁部10Paにより仕切られている。中間底壁部10Paには、その各列に対応して凹部10dが形成されている。また、隣接する列における開口部10aおよび10bは、底部に形成される仕切壁10Pbにより仕切られている。
【0020】
樹脂材料で成形されるベース部材10には、コンタクト端子12Ai(i=1〜6)が上述の各開口部10aおよび10bに対応してインサート成形により配設されている。コンタクト端子12Aiは、装着されるメモリカード22の電極パッドに当接しメモリカード22と配線基板(不図示)とを電気的に接続するものとされる。
【0021】
各コンタクト端子12Aiは、薄板金属材料でプレス加工によって作られる。コンタクト端子12Aiは、上述のメモリカード22の1個の電極パッドに略同時に当接し電気的に接続される接点部12ac、12bcをそれぞれ有する分岐可動片部12a,12bと、配線基板の導電層に半田付け固定される半田付端子部を有する後端部と、分岐可動片部12a,12bに連なる可動片支持部と、可動片支持部と後端部とを連結する連結部とを含んで構成されている。なお、上述の後端部の一部、可動片支持部、および、連結部は、インサート成形により底部10Bに鋳込まれている。
【0022】
弾性変位可能な分岐可動片部12a,12b、および、半田付端子部は、それぞれ、ベース部材10の底部から突出している。また、各コンタクト端子12Aiの半田付端子部は、図2に示されるように、カードスロット10CS側とは逆方向となるように後壁部10BWから外部に向けて突出している。これにより、半田がベース部材10におけるカードスロット周縁に付着することがないのでメモリカード22の着脱において半田によって支障が生じる虞がない。
【0023】
図1において、カード収容部10Aを形成する側壁部10RWの内周部と側壁部10RWに最も近いコンタクト端子12Aiとの間には、メモリカード22を選択的にカード収容部10A内に保持するとともに、メモリカード22を、カードスロット10CSを通じて外部に排出するイジェクト機構が配されている。
【0024】
イジェクト機構は、側壁部10RWに沿って内側部分に形成されたガイド溝に沿って案内され、ベース部材10に対し移動自在な略L字状のイジェクト部材14と、ベース部材10の後壁部10BWおよびイジェクト部材14の端部14E相互間に介装され、イジェクト部材14をメモリカード22の排出方向に付勢するコイルスプリング18と、イジェクト部材14を選択的にベース部材10に対しロック状態あるいはアンロック状態とするカム機構制御部(不図示)とを有している。
【0025】
例えば、金属材料でプレス加工されたイジェクト部材14のカード受け部14Rには、図2において示されるように、挿入されたメモリカード22の略直角な角部が係合する係合部が形成されている。このようにメモリカード22が、メモリカード22の一対の略直角な角部がある端部側からイジェクト部材14のカード受け部14Rの係合部を介して挿入される場合、面取り部22CHを有するメモリカード22の一方の端部が図2に示されるように、カードスロット10CSを通じて外部に所定量、突出するのでメモリカード22の一方の端部を容易に把持しイジェクト機構のロック状態あるいはアンロック状態とする動作を確実に行わせることができる。
【0026】
また、カードスロット10CSに隣接した位置には、図2に示されるように、カード収容部10A内に装着されたメモリカード22を保持する板ばね16が設けられている。これにより、弾性変位可能な板ばね16の先端部がメモリカード22の面取り部22CHに当接することによって、メモリカード22がイジェクト部材14のカード受け部14Rと板ばね16との間でカード収容部10A内に保持されることとなる。
【0027】
このような構成において、カード収容部10Aにメモリカード22が挿入される場合、イジェクト部材14がコイルスプリング18の付勢力に抗して押圧されるとき、カム機構制御部がイジェクト部材14をロック状態とする。その際、メモリカード22は、図2に示されるように、イジェクト部材14のカード受け部14Rと板ばね16とにより保持される。これにより、メモリカード22が、カード収容部10A内で保持され、かつ、メモリカード22のコンタクトパッドとコンタクト端子12Aiの各接点部とが当接され電気的に接続されることとなる。
【0028】
一方、メモリカード22がカード収容部10Aから取り外される場合、装填されたメモリカード22が若干さらに押し込まれる。これにより、イジェクト部材14が、所定距離だけ移動せしめられ、カム機構制御部がイジェクト部材14をアンロック状態とする。
【0029】
従って、コイルスプリング18の復帰力によってイジェクト部材14がカード収容部10Aからメモリカード22を伴ってカードスロット10CS側に板ばね16の先端部の弾性力に抗して移動せしめられるとともに、最終的にメモリカード22が外部に向けて排出される。
【0030】
さらに、後壁部10BWには、図1に示されるように、メモリカード22がカード収容部10A内に装着されているか否かを検出するカード検出スイッチが設けられている。後壁部10BWは、後述するカード検出スイッチの一部を構成する可動端子20の固定部20Fを保持する端子保持部10BKを略中央部に有している。端子保持部10BKは、可動端子20の固定部20Fが圧入される細長い溝を有している。細長い溝は、可動端子20の板厚に対応した溝幅を有している。また、その溝の一方の端部近傍には、可動端子20の可動部20Mを案内する斜面部が形成されている。さらに、斜面部の周囲には、可動端子20の可動部20Mが斜面部に対し近接または離隔可能とされるように後壁部が切り欠かれ平坦部10BAが形成されている。即ち、可動端子20の可動部20Mがカード収容部10Aに進入することなく所定のストロークで後壁部10BW内において移動可能とされることとなる。
【0031】
カード検出スイッチは、ノーマルクローズタイプのスイッチとされ、可動接点部20MCを有する可動端子20と、固定接点部24Cを有する固定端子24とを備えて構成されている。可動端子20は、図4に拡大されて示されるように、薄板金属材料で帯状に作られ、端子保持部10BKの溝に圧入され可動端子20をベース部材10に固定する固定部20Fと、メモリカード22の端部に選択的に当接する当接端部20Eと、可動接点部20MCを有し固定部20Fと当接端部20Eとを連結する可動部20Mとから構成されている。
【0032】
固定部20Fは、その幅方向の一方の縁に一対の爪部20fnを2箇所に有している。図4において、右側に位置する一対の爪部20fn相互間には、半田付け固定端子20fsが設けられている。これにより、その半田付け固定端子20fsが配線基板に半田付け固定されることによって、可動端子20が配線基板の回路に導通することとなる。
【0033】
固定部20Fは、その一方の縁に形成される4個の爪部20fnから上述の溝に差し込まれる。これにより、可動部20Mは、その帯状に広がる面が端子保持部10BKに向き合うように配置されることとなる。
【0034】
固定部20Fに連なる可動部20Mは、固定部20Fに対し所定の角度をもって端子保持部10BKに近接する方向に傾斜している。可動部20Mにおける固定部20Fから離隔する方向の一方の端部近傍には、隆起した可動接点部20MCが形成されている。
【0035】
当接端部20Eは、可動部20Mの一方の端部に対し所定の角度をもって可動接点部20MCの隆起する側(即ち、カード収容部10A側)に折れ曲がっている。
【0036】
一方、固定端子24の固定部は、可動端子20の可動部20Mにおける可動接点部20MCに対向するようにベース部材10Bに埋設されている。これにより、その固定部に電気的に接続される半田付け固定端子が配線基板に半田付け固定されることによって、固定端子24は、図示が省略される配線基板の回路に導通することとなる。
【0037】
固定端子24の固定接点部24Cは、固定部に対し略垂直に屈曲されている。固定端子24の固定接点部24Cは、平坦部10BAとカード収容部10Aとの略境界部分に設けられている。即ち、可動接点部20MCが当接する固定端子24の固定接点部24の位置は、図2に示されるように、ベース部材10Bの後壁部10BWの外周面から所定の距離Daであって、側壁部10LWの外周面から所定の距離Waに設定されている。従って、可動端子20の第1の位置としての可動接点部20MCが当接する固定端子24の固定接点部24Cの位置が、後壁部10BWの内周面からカード収容部10A内に侵入する虞がないこととなる。なお、可動接点部20MCが当接する固定端子24の固定接点部24Cの位置は、斯かる例に限られることなく、上述の境界部分よりも平坦部10BAの内方に設けられてもよい。
【0038】
斯かる構成において、カード収容部10Aにメモリカード22が挿入される場合、図2の矢印Pが示す方向に、イジェクト部材14がコイルスプリング18の付勢力に抗して押圧されるとき、カム機構制御部がイジェクト部材14をロック状態とするとともに、板ばね16がメモリカード22を保持する。その際、可動端子20の当接端部20Eが、可動接点部20MCが平坦部10BA内において固定端子24の固定接点部24Cから離隔する方向(図2における矢印A方向)にメモリカード22の端部で押圧されるとともに、可動端子20の可動接点部20MCが固定端子24の固定接点部24Cから離隔し平坦部10BA内の上述の第1の位置から所定の第2の位置まで移動せしめられることにより、カード検出スイッチは、オン状態からメモリカード22の装着完了をあらわすオフ状態とされる。この場合、図2に示されるように、可動端子20の当接端部20Eの先端部のみがカード収容部10A内に侵入しているので特許文献1に示されるノーマルオープンタイプのカード検出スイッチがカード収容部内に設けられる場合に比してメモリカード22の端部と後壁部10BWの内周部との間に形成されるデッドスペースDSが極めて小となる。従って、カード用コネクタの小型化が図られることとなる。また、カード用コネクタにおいて、一般にメモリカード22が装着される期間は、取り外される期間に比して長期となるので消費電力の低減も図られる。
【0039】
一方、カード収容部10Aからメモリカード22が排出される場合、カム機構制御部がイジェクト部材14をアンロック状態とするとともに、コイルスプリング18の復元力により、イジェクト部材14が図2の矢印Pが示す方向とは逆方向に押圧されるとき、メモリカード22が板ばね16の付勢力に抗してカードスロット10CSを介して排出されるとともに、可動端子20の可動接点部20MCが平坦部10BA内において上述の第2の位置から固定端子24の固定接点部24Cに近接する方向(図2における矢印B方向)に復元力により回動され固定接点部24Cに当接せしめられるのでカード検出スイッチは、オフ状態からメモリカード22の非装着状態をあらわすオン状態とされる。
【0040】
図5は、本発明に係るカード用コネクタの第2実施例の外観を示す。
【0041】
図1に示される例においては、カード検出スイッチにおける可動端子20の当接端部20Eは、端子保持部10BKを中心として回動するものとされるが、その代わりに、図5に示される例においては、カード検出スイッチにおける可動端子40の当接端部40Eは、端子保持部10BKを中心として回動されるとともに、弾性によりベース部材30の底部30Bに対し近接または離隔可能とされる。図5において、図1に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0042】
カード用コネクタは、収容されるメモリカード22に対する電気的接続を行う複数のコンタクト端子12Aiが配列されるベース部材30を含んで構成されている。
【0043】
メモリカード22のカード収容部30Aは、金属製のカバー部材(不図示)の内周部とベース部材30とによって形成される。即ち、ベース部材30全体が、そのカバー部材の内周部により覆われることとなる。ベース部材30は、互いに向かい合う側壁部30RW,30LWと、側壁部30RW、および、側壁部30LWを連結する底部30Bと、後述する後壁部30BWとを含んで構成されている。
【0044】
カード収容部30Aの一方の端部には、着脱されるメモリカード22が通過する開口部30CS(以下、カードスロット30CSともいう)が形成されている。また、カード収容部30Aの他方の端部には、そのカードスロット30CSに対向して後壁部30BWが形成されている。
【0045】
ベース部材30の底部10Bの中央部には、所定の間隔で配される二つの矩形の開口部30aおよび30bが3列、形成されている。開口部30aおよび30bは、側壁30RWおよび30LWに対して略平行に細長く形成されている。各同一列の開口部30aおよび30bは、共通の直線上に形成されている。同一列における各開口部30aおよび30bは、図5に示されるように、その中間に形成される中間底壁部30Paにより仕切られている。中間底壁部30Paには、その各列に対応して凹部30dが形成されている。また、隣接する列における開口部30aおよび30bは、底部に形成される仕切壁30Pbにより仕切られている。
【0046】
樹脂で成形されるベース部材30には、コンタクト端子12Ai(i=1〜6)が上述の各開口部30aおよび30bに対応してインサート成形により配設されている。
【0047】
さらに、後壁部30BWには、図5に示されるように、メモリカード22がカード収容部30A内に装着されているか否かを検出するカード検出スイッチが設けられている。後壁部30BWは、後述するカード検出スイッチの一部を構成する可動端子40の固定部40Fを保持する端子保持部30BKを略中央部に有している。端子保持部30BKは、可動端子40の固定部40Fが圧入される細長い溝30agを有している。細長い溝30agは、可動端子40の板厚に対応した溝幅を有している。また、端子保持部30BKにおいて細長い溝30agに対し平行に隣接して形成される溝30bgの一方の端部近傍には、可動端子40の可動部40Mを案内する斜面部が形成されている。さらに、斜面部の周囲には、図6に拡大されて示されるように、可動端子40の可動部40Mが斜面部に対し近接または離隔可能とされるように後壁部が切り欠かれ平坦部30BAが形成されている。即ち、可動端子40の可動部40Mがカード収容部30Aに進入することなく所定のストロークで後壁部30BW内において移動可能とされることとなる。
【0048】
カード検出スイッチは、ノーマルクローズタイプのスイッチとされ、可動接点40MPを有する可動端子40と、固定接点としてのコンタクトパッドからなる固定端子32とを備えて構成されている。可動端子40は、図8(A)に拡大されて示されるように、薄板金属材料で帯状に作られ、端子保持部30BKの溝30agに圧入され可動端子40をベース部材30に固定する固定部40Fと、可動接点40MPを有しメモリカード22の端部に選択的に当接する当接端部40Eと、固定部40Fと当接端部40Eとを連結する可動部40Mとから構成されている。
【0049】
固定部40Fは、その幅方向の一方の縁に一対の爪部40fnを2箇所に有している。図8(A)において、右側に位置する一対の爪部40fn相互間には、半田付け固定端子40fsが設けられている。これにより、その半田付け固定端子40fsが、図示が省略される配線基板に半田付け固定されることによって、可動端子40は、配線基板の回路に導通することとなる。
【0050】
固定部40Fは、その一方の縁に形成される4個の爪部40fnから上述の溝30agに差し込まれる。これにより、固定部40Fに可動連結部40MCを介して連結される可動部40Mは、その帯状に広がる面が端子保持部30BKに向き合うように配置されることとなる。
【0051】
固定部40Fに可動連結部40MCを介して一体に連結される可動部40Mは、固定部40Fに対し所定の間隔をもって帯状の面が略平行に向かい合うように配置されている。これにより、可動部40Mは、図8(A)に示される直交座標においてX座標軸およびZ座標軸に沿って移動可能とされる。なお、Y座標軸は、固定部40Fの延在する方向と一致するように設定されている。即ち、可動部40Mは、可動連結部40MCを回転中心としてX座標軸に沿って回動可能とされ、また、Z座標軸に沿って上下動可能とされる。
【0052】
固定部40Fが、上述の溝30agに差し込まれた場合、可動部40Mの一方の端部に一体に連結される当接端部40Eは、可動部40Mの一方の端部に対し所定の角度をもってカード収容部30A側に折れ曲がっている。当接端部40Eにおける底部30Bに近接する側の縁部には、可動接点部40MCが形成されている。可動接点部40MCは、当接端部40Eの帯状の面に対し略直交するようにカード収容部30Aから離隔する方向に折り曲げられて形成されている。可動接点部40MCは、小さな隆起部40mcを有している。隆起部40mcは、底部30Bに近接する側の表面に形成され、後述する固定端子32(図7参照)の表面に所定の圧力をもって摺接する。
【0053】
一方、固定端子32は、ベース部材30の底部30Bの表面と面一となるように埋設されている。また、固定端子32は、可動端子40の当接端部40Eにおける可動接点部40MCに対向するように配置されている。これにより、その固定端子32に電気的に接続される半田付け固定端子が、図示が省略される配線基板に半田付け固定されることによって、固定端子32が、配線基板の回路に導通することとなる。
【0054】
その際、固定端子32は、図7に示されるように、平坦部30BAに近いカード収容部30A内に設けられている。即ち、可動接点部40MCの隆起部40mcが摺接する固定端子32の位置は、ベース部材30Bの後壁部30BWの外周面から所定の距離Dbであって、側壁部30LWの外周面から所定の距離Wbに設定されている。
【0055】
平坦部30BAにおける固定端子32に隣接し所定距離だけ離隔した位置には、可動接点部40MCの隆起部40mcだけが落ち込む逃げ溝30BGが形成されている。逃げ溝30BGの一端には、隆起部40mcを誘導する斜面部30BGSが形成されている。この斜面部30BGSにより、可動接点部40MCの隆起部40mcと固定端子32の表面との接触が確実に断たれることとなる。
【0056】
さらに、平坦部30BAにおける逃げ溝30BGと端子保持部30BKとの間には、可動端子40が溝30agから抜け出ることを回避する位置規制部材としての抜止め片34が設けられている。
【0057】
斯かる構成において、カード収容部30Aにメモリカード22が挿入される場合、イジェクト部材14がコイルスプリング18の付勢力に抗して押圧されるとき、カム機構制御部がイジェクト部材14をロック状態とするとともに、板ばね16がメモリカード22を保持する。その際、可動端子40の当接端部40Eとともに可動接点部40MCの隆起部40mcがワイピングしながら固定端子32から離隔する方向、即ち、平坦部30BAの方向にメモリカード22の端部で押圧されるのでカード検出スイッチは、オン状態からメモリカード22の装着完了をあらわすオフ状態とされる。この場合、可動端子40の当接端部40Eの先端部のみがカード収容部30A内に侵入しているので特許文献1に示されるノーマルオープンタイプのカード検出スイッチがカード収容部内に設けられる場合に比してメモリカード22の端部と後壁部30BWの内周部との間に形成されるデッドスペースが極めて小となる。従って、カード用コネクタの小型化が図られることとなる。また、カード用コネクタにおいて、一般にメモリカード22が装着される期間は、取り外される期間に比して長期となるので消費電力の低減も図られる。
【0058】
一方、カード収容部30Aからメモリカード22が排出される場合、カム機構制御部がイジェクト部材14をアンロック状態とするとともに、コイルスプリング18の復元力により、イジェクト部材14がカード排出方向に押圧されるとき、メモリカード22が板ばね16の付勢力に抗してカードスロット30CSを介して排出されるとともに、可動端子40の可動接点部40MCが固定端子32に近接する方向に復元力により回動され固定端子32に当接せしめられるのでカード検出スイッチは、オフ状態からメモリカード22の非装着状態をあらわすオン状態とされる。
【0059】
上述の可動端子40は、折り曲げられた可動接点40MPに隆起部40mcを有する構成とされるが、斯かる例に限られることなく、可動端子50は、例えば、図8(B)に示されるように、可動接点40MPの代わりに、当接端部50Eにおけるベース部材30の底部30Bに近接する側の縁部に一体に可動接点として隆起部50mcが形成されるものでもよい。
【0060】
可動端子50は、薄板金属材料で帯状に作られ、端子保持部30BKの溝30agに圧入され可動端子50をベース部材30に固定する固定部50Fと、隆起部50mcを有しメモリカード22の端部に選択的に当接する当接端部50Eと、固定部50Fと当接端部50Eとを連結する可動部50Mとから構成されている。
【0061】
固定部50Fは、その幅方向の一方の縁に一対の爪部50fnを2箇所に有している。図8(B)において、右側に位置する一対の爪部50fn相互間には、半田付け固定端子50fsが設けられている。これにより、その半田付け固定端子50fsが、図示が省略される配線基板に半田付け固定されることによって、可動端子50が、配線基板の回路に導通することとなる。
【0062】
固定部50Fは、その一方の縁に形成される4個の爪部50fnから上述の溝30agに差し込まれる。これにより、固定部50Fに可動連結部50MCを介して連結される可動部50Mは、その帯状に広がる面が端子保持部30BKに向き合うように配置されることとなる。
【0063】
固定部50Fに可動連結部50MCを介して一体に連結される可動部50Mは、固定部50Fに対し所定の間隔をもって帯状の面が略平行に向かい合うように配置されている。これにより、可動部50Mは、図8(B)に示される直交座標においてX座標軸およびZ座標軸に沿って移動可能とされる。なお、Y座標軸は、固定部50Fの延在する方向と一致するように設定されている。即ち、可動部50Mは、可動連結部50MCを回転中心としてX座標軸に沿って回動可能とされ、また、Z座標軸に沿って上下動可能とされる。
【0064】
固定部50Fが、上述の溝30agに差し込まれた場合、可動部50Mの一方の端部に一体に連結される当接端部50Eは、可動部50Mの一方の端部に対し所定の角度をもってカード収容部30A側に折れ曲がっている。当接端部50Eにおける底部30Bに近接する側の縁部には、可動接点部としての隆起部50mcが形成されている。隆起部50mcは、当接端部50Eの帯状の面と共通の平面内に含まれるように底部30Bに向けて突出している。
【0065】
従って、可動端子50においても、可動端子40と同様に、隆起部50mcがワイピングしながら固定端子32に対し摺接するので同様な作用効果を奏することとなる。
【符号の説明】
【0066】
10、30 ベース部材
10BW,30BW 後壁部
10BK,30BK 端子保持部
10BA,30BA 平坦部
12Ai コンタクト端子
20、40、50 可動端子
22 メモリカード
24、32 固定端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードが通過するカードスロットに向き合う壁部を含むカード収容部を有し、該ICカードを着脱可能に該カード収容部に収容するハウジングと、
前記ハウジングの壁部に一端が支持される固定部と、前記ICカードが前記カード収容部内に挿入される場合、該ICカードに当接する当接端部と前記固定部とを連結する可動部とを有する弾性変位可能な可動端子と、該ICカードが前記カード収容部内に挿入されない場合、前記可動端子の可動接点部と当接する固定接点部を有する固定端子と、を含んでなるカード検出スイッチと、を備え、
前記ICカードが前記カード収容部内に挿入されない場合、前記可動端子の可動部が前記壁部内の第1の位置をとり、前記ICカードが前記カード収容部内に挿入される場合、前記カード検出スイッチの前記可動端子の当接端部がICカードに当接され押圧されることにより、該可動端子の可動部が前記壁部内で前記第1の位置から第2の位置まで移動せしめられるとともに、前記可動端子の可動接点部が前記固定端子の前記固定接点部から離隔されることを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項2】
前記カード検出スイッチは、前記ICカードの着脱方向、および、該着脱方向に直交する方向に弾性変位可能な可動端子と、
前記ハウジングの底部に固定接点部を露出させて埋設され、該ICカードが前記カード収容部内に挿入される場合、該可動接点部が該固定接点部に対し摺接しながら離隔される固定端子と、を備えて構成されることを特徴とする請求項1記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
前記可動端子の固定部の一端が前記ハウジングの壁部に挿入され支持される場合、前記可動端子の可動部が所定値以上、前記着脱方向に直交する方向に弾性変位することを規制する位置規制部材を備えることを特徴とする請求項2記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
前記可動端子の当接端部に設けられる可動接点部は、前記ハウジングの底部に向けて隆起する隆起部を有することを特徴とする請求項2記載のカード用コネクタ。
【請求項5】
前記可動端子の可動部が前記壁部内で移動せしめられるとき、前記隆起部が落ち込む溝部が該壁部内に形成されることを特徴とする請求項4記載のカード用コネクタ。
【請求項1】
ICカードが通過するカードスロットに向き合う壁部を含むカード収容部を有し、該ICカードを着脱可能に該カード収容部に収容するハウジングと、
前記ハウジングの壁部に一端が支持される固定部と、前記ICカードが前記カード収容部内に挿入される場合、該ICカードに当接する当接端部と前記固定部とを連結する可動部とを有する弾性変位可能な可動端子と、該ICカードが前記カード収容部内に挿入されない場合、前記可動端子の可動接点部と当接する固定接点部を有する固定端子と、を含んでなるカード検出スイッチと、を備え、
前記ICカードが前記カード収容部内に挿入されない場合、前記可動端子の可動部が前記壁部内の第1の位置をとり、前記ICカードが前記カード収容部内に挿入される場合、前記カード検出スイッチの前記可動端子の当接端部がICカードに当接され押圧されることにより、該可動端子の可動部が前記壁部内で前記第1の位置から第2の位置まで移動せしめられるとともに、前記可動端子の可動接点部が前記固定端子の前記固定接点部から離隔されることを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項2】
前記カード検出スイッチは、前記ICカードの着脱方向、および、該着脱方向に直交する方向に弾性変位可能な可動端子と、
前記ハウジングの底部に固定接点部を露出させて埋設され、該ICカードが前記カード収容部内に挿入される場合、該可動接点部が該固定接点部に対し摺接しながら離隔される固定端子と、を備えて構成されることを特徴とする請求項1記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
前記可動端子の固定部の一端が前記ハウジングの壁部に挿入され支持される場合、前記可動端子の可動部が所定値以上、前記着脱方向に直交する方向に弾性変位することを規制する位置規制部材を備えることを特徴とする請求項2記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
前記可動端子の当接端部に設けられる可動接点部は、前記ハウジングの底部に向けて隆起する隆起部を有することを特徴とする請求項2記載のカード用コネクタ。
【請求項5】
前記可動端子の可動部が前記壁部内で移動せしめられるとき、前記隆起部が落ち込む溝部が該壁部内に形成されることを特徴とする請求項4記載のカード用コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−93233(P2013−93233A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235087(P2011−235087)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】
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