説明

カード発行装置

【課題】箱状の収容部内に重ねられた状態で収容されている複数のカードの枚数を光学的手法により計数するカード発行装置であって、計数精度を向上させた装置を提供する。
【解決手段】複数のカードを上下方向に重ねた状態で収容する箱状のカードカセット20と、カードカセット20内に収容されたカードの枚数を計数する計数機器70と、を備えるカード発行装置1において、計数機器70は、複数のカードに対して水平方向に光を照射する光源72と、光源72がカードに対して光を照射した際の反射光を受光し、反射光に基づいて、カードカセット20内に収容された複数のカードの枚数に応じた信号を出力するセンサ73と、カードカセット20内に収容された複数のカードの各々の水平方向一端が、カードカセット20内の所定位置に揃えられるように、複数のカードを水平方向に押すカードプッシャ77と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード発行装置に係り、特に、箱状の収容部内に重ねられた状態で収容されている複数のカードの枚数を光学的手法により計数する機器を搭載したカード発行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クレジットカードやキャッシュカード等のカードに関して、即時発行のニーズが高まってきていることを反映して、利用者がカード発行の申し込みを行う店舗として、カード発行装置を設置してカードを即時発行することが可能な店舗が現れてきている。このような店舗では、カードの在庫(残数)を管理する等の目的から、カード発行装置に内蔵された収容部に収容されているカードの残数を計数する作業が定期的に(例えば、各営業日の業務時間終了後に)行われる。計数作業は、人手によって行われる場合もあるが、セキュリティや計数精度の面で人手を介さずに行われる方が望ましい。
【0003】
一方、カード枚数を計数する機器としては、光学的手法を用いたものが存在する。すなわち、所定方向に並べられた複数のカードに対して、カードが並んでいる方向と交差する方向(以下、交差方向)に光を照射し、その反射光の強度に基づいてカード枚数を計数する機器は既に知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカード枚数計測器は、所定方向に並べられたカード群に対して側面から気体を吹き付ける等して、隣り合うカード間の隙間を拡げながら計数する構成となっている。そして、特許文献1に記載のカード枚数計測器では、上記の構成により、センサからの光を吸収・透過する層とカード間の隙間を明確に区別することができ、カード枚数を正確に計数することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−319215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のカード枚数計測器のように光学的手法によってカード枚数を計数する際、カード中の光が照射される部分と光源との間の距離(光路長)がカード間で異なると、焦点距離がカード間で変わってしまうため、結果として計数精度に悪影響を及ぼし、カード枚数を正確に計数することが困難となってしまう。この様な問題は、装置の小型化を図るために上記の光路長を短くした場合(すなわち、光源がカードに対して比較的近い場所に配置されている場合)、特に顕著となる。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、箱状の収容部内に重ねられた状態で収容されている複数のカードの枚数を光学的手法により計数するカード発行装置であって、計数精度を向上させた装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明のカード発行装置によれば、複数のカードを重ねた状態で収容する箱状の収容部と、該収容部内に収容された前記複数のカードの枚数を計数する計数部と、を備え、該計数部は、前記収容部内に収容された前記複数のカードに対して、前記複数のカードが重ねられている方向と交差する交差方向に光を照射する光源と、該光源が前記収容部内に収容された前記複数のカードに対して光を照射した際の反射光を受光し、該反射光に基づいて、前記収容部内に収容された前記複数のカードの枚数に応じた信号を出力するセンサと、前記収容部内に収容された前記複数のカードの各々の前記交差方向における一端が、前記交差方向において前記収容部内の所定位置に揃えられるように、前記収容部内に収容された前記複数のカードを前記交差方向に押す押圧部と、を有することにより解決される。
かかるカード発行装置によれば、収容部内に収容された複数のカードの各々の、交差方向における一端(以下、交差方向一端)が交差方向において同じ位置に揃えられる結果、上記の光路長がカード間で均一となるので、上述の問題(具体的には、焦点距離がカード間で変わることにより正確な計数に支障が生じるという問題)が解消され、計数精度が向上することになる。
【0008】
上記の効果をより有効に奏する上で、前記収容部内に収容された前記複数のカードから取り出されたカードの表面に、文字列及び記号のうち、少なくとも一方を形成する処理を実行する第1処理部、及び、前記前記収容部内に収容された前記複数のカードから取り出されたカードが備える記録媒体に情報を記録させる処理を実行する第2処理部を含む複数の処理部を有し、前記複数の処理部が上下方向に並んだ状態で設けられていると、好適である。このように複数の処理部が上下方向に並んだ状態(いわゆる縦並び状態)で設けられていれば、複数の処理部が水平方向に並んだ状態(いわゆる横並び状態)で設けられている構成に比べて、設置面積を縮小することが可能になる。すなわち、上記の構成は、カード発行装置をより小型化するためのものである。そして、カード発行装置の小型化に伴って光源がカードにより近くなるので、前述したように、上述の問題(焦点距離がカード間で変わることにより正確な計数に支障が生じるという問題)が特に顕著に生じる。したがって、複数の処理部の各々が縦並び状態で設けられている構成であれば、本発明の効果(すなわち、複数のカードの各々の交差方向一端を交差方向において同じ位置に揃えて計数精度を向上するという効果)が、特に有効なものとなる。
【0009】
また、上記のカード発行装置において、前記押圧部は、前記収容部内に収容された前記複数のカードの各々と同時に当接することが可能な押付部材であり、前記収容部内に収容された前記複数のカードの各々の前記交差方向における一端が前記収容部の内壁面に押し付けられるように、前記収容部内に収容された前記複数のカードを前記交差方向に押すこととしてもよい。かかる構成であれば、押付部材という簡単な機構により、収容部内に収容された複数のカードの各々の交差方向一端を揃えることが可能になる。
【0010】
また、上記のカード発行装置において、前記収容部は、上下方向に並んだ状態で複数設けられており、複数設けられた前記収容部の各々の内部には、前記複数のカードが収容されており、前記計数部は、複数設けられた前記収容部の間で共用の前記光源、前記センサ及び前記押付部材を有することとしてもよい。かかる構成であれば、収容部毎に光源、計数部及び押圧部を設ける必要がないので、より部品点数を少なくすることが可能になる。
さらに、上記の構成に加えて、複数設けられた前記収容部の各々は、前記光源と対向する側の側壁に形成された穴部を有し、前記押付部材は、前記穴部を通じて、前記収容部の外側から前記収容部の内部に進入することが可能であると、さらに好適である。かかる構成であれば、押付部材が収容部間を自在に往来することが可能となる。
【0011】
また、上記のカード発行装置において、複数設けられた前記収容部の各々の内部には、前記複数のカードが上下方向に重ねられて収容されており、前記光源は、前記穴部を通じて、前記収容部内に収容された前記複数のカードに対して光を水平方向に照射し、前記計数部は、前記光源と前記センサと前記押付部材とを支持する支持部材と、該支持部材を前記光源、前記センサ及び前記押付部材と一体的に上下方向に移動させる上下方向駆動部と、前記支持部材を前記光源、前記センサ及び前記押付部材と一体的に水平方向に移動させる水平方向駆動部と、を有することとしてもよい。かかる構成であれば、光源と押付部材とがともに支持部材に支持されているので、押付部材に対する光源の相対位置は固定されていることになる。したがって、収容部内に収容された複数のカードの各々の交差方向一端を収容部の内壁面に押し付ける位置へ押付部材が到達すると、複数のカードの各々から所定距離分だけ離れた定位置に光源が位置決めされるので、所定の光照射位置から収容部内に収容された複数のカードに対して光を照射することが可能となり、以て、計数精度が向上することになる。
【0012】
そして、上記の構成に加えて、前記上下方向駆動部は、上下方向において、計数対象とする前記複数のカードが内部に収容された前記収容部が配置された位置へ、前記支持部材を移動させ、前記水平方向駆動部は、計数対象とする前記複数のカードの各々の水平方向一端が前記押付部材により計数対象とする前記複数のカードが内部に収容された前記収容部の内壁面に押し付けられるように、前記支持部材を水平方向に移動させ、計数対象とする前記複数のカードの各々の水平方向一端が前記収容部の内壁面に当接すると、前記水平方向駆動部による前記支持部材の水平方向への移動が停止し、前記支持部材の水平方向への移動が停止した状態で前記光源が、計数対象とする前記複数のカードに対して光を水平方向に照射すると、より一層好適である。
上記の構成であれば、押圧部によるカードの押し動作に連動して、光源が所定の光照射位置まで移動することになる。換言すると、カード枚数を計数するために光源からの光をカードに照射するに際して、押圧部が、収容部内に収容された複数のカードの各々の交差方向一端を揃える。これにより、複数のカードの各々の交差方向一端を同じ位置に揃えて計数精度を向上するという本発明の効果が適切に発揮されることになる。
【0013】
また、上記のカード発行装置において、前記収容部は、内空間を包囲する壁部を備え、該壁部は、前記内空間に収容された前記複数のカードのうち、前記複数のカードが重ねられている方向において端に位置するカードと該方向において隣接する隣接部位を有し、該隣接部位の厚みは、前記内空間に収容された前記複数のカードの各々の厚みと異なっていると、好適である。かかる構成であれば、光学的手法によりカード枚数を計数する際に、収容部の壁部をカードと誤って判断してしまうことを防止することができるので、計数精度が更に一層向上することになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のカード発行装置によれば、収容部内に収容された複数のカードの各々の交差方向一端が交差方向において同じ位置に揃えられる結果、各カードにおいて光が照射される部分と光源との間の距離(光路長)がカード間で均一になるので、焦点距離がカード間で等しくなる結果、計数精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るカード発行装置の外観図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るカード発行装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るカード発行装置の内部構造を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る収容部の模式正面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る収容部の側面を示した図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る収容部の内部構造の模式図である。
【図7】カード枚数を計数する方法に関する説明図である。
【図8】カード用基材を裁断する際の様子を示す図である。
【図9A】計数処理の手順を示す図である(その1)。
【図9B】計数処理の手順を示す図である(その2)。
【図9C】計数処理の手順を示す図である(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るカード発行装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカード発行装置の外観図である。図2は、本発明の一実施形態に係るカード発行装置の構成を示すブロック図である。図3は、本発明の一実施形態に係るカード発行装置の内部構造を示す模式図である。図4は、本発明の一実施形態に係る収容部の模式正面図である。図5は、本発明の一実施形態に係る収容部の側面を示した図である。図6は、本発明の一実施形態に係る収容部の内部構造の模式図である。図7は、カード枚数を計数する方法に関する説明図である。図8は、カード用基材を裁断する際の様子を示す図である。図9A、9B、9Cは、計数処理の手順を示す図である。なお、説明の都合上、図3及び図9A〜図9Cに図示された複数の収容部(具体的には、後述するカードカセット20)のうち、最上段に設けられた収容部については、内部構造(扉を外した状態の構成)を図示することとした。また、図5には、後述するセンサユニット71と収容部の位置関係を説明する上で、収容部の他、センサユニット71が併せて図示されている。
【0017】
以下では、説明の便宜上、カード発行装置1の正面を見た際のカード発行装置1の幅方向を左右方向とも呼び、例えば、図3において左側に位置する部分をカード発行装置1の左端部と呼び、右側に位置する部分をカード発行装置1の右端部と呼ぶこととする。
【0018】
本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係るカード発行装置1は、図1に図示された装置であり、銀行やクレジットカード会社等のカード発行会社の店舗に設置され、利用者の申し込みに応じて所定のカード(例えば、キャッシュカード、クレジットカード等のICカードや磁気ストライプカード)を発行する。つまり、本実施形態に係るカード発行装置1が設置された店舗にて利用者がカード発行を申し込むと、上記カード発行装置1が、未処理カードCaに対して所定の処理(以下、カード発行処理)を施して処理済カードCxを製造し、当該処理済カードCxを利用者に対して発行する。
【0019】
ここで、処理済カードCxとは、カード発行処理が完了した状態のカードであり、本実施形態においては、利用者が利用できる状態(換言すると、利用者に手渡すことが可能な状態)にあるカードのことである。一方、未処理カードCaとは、カード発行処理が未完了状態のカードであり、例えば、ICチップや磁気ストライプにデータが未だ書き込まれておらず、かつ、カード番号や利用者に関する情報を示す文字列や記号がカード表面に印刷又は打刻されていない状態のカードである。
【0020】
本実施形態では、未処理カードCaが後述のカードカセット20の内部に束状に積み重ねられて収納されており(例えば、図3参照)、カード発行要求に応じて、適宜引き出されてカード発行処理に供される。また、カードカセット20内には、その残数に応じて適宜未処理カードCaが補給される。なお、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaは、それぞれ、同一のサイズ及び形状となっている。
【0021】
本実施形態に係るカード発行装置1の構成について説明すると、図2及び図3に示すように、収容部としてのカードカセット20と、カード取出機器30と、カード受渡機器40と、コントローラ50と、処理部としての処理機器60と、計数部としての計数機器70と、が主な構成要素として備えられており、これらの各要素は筐体10内に収納されている。カードカセット20には、複数の未処理カードCaが収容されている。コントローラ50は、CPU51とメモリ52と制御回路53とを備え、制御回路53を介してカード発行装置1各部を制御する。
【0022】
そして、カード発行装置1がカード発行要求を受け付けると、コントローラ50がカード取出機器30を制御して、カード取出機器30がカードカセット20から未処理カードCaを取り出す。次に、コントローラ50は、カード受渡機器40及び処理機器60を制御して、カード受渡機器40が、カード取出機器30によりカードカセット20から取り出された未処理カードCaを受け取って処理機器60に引き渡す。処理機器60は、カード受渡機器40から受け取った未処理カードCaにカード発行処理を施した後に、処理が完了したカード(すなわち、処理済カードCx)をカード受渡機器40に返送する。カード受渡機器40は、処理機器60から受け取った処理済カードCxを、筐体10の上面パネルに形成された排出口16を通じて装置外に排出する。以上までに説明した一連の動作により、処理済カードCxが利用者に対して発行されるようになる。
【0023】
一方、コントローラ50は定期的に計数機器70を制御して、計数機器70が、カードカセット20に収容されている未処理カードCaの枚数(残数)を計数し、計数結果を示す信号をコントローラ50に伝送する。コントローラ50は、当該信号を受信すると、筐体10の上部に取り付けられた表示ディスプレイ80に、上記計数結果に相当する数値を表示させる。かかる表示を通じて、カード枚数を管理する者(すなわち、カード発行装置1の保有者)は、カードカセット20に収容されている未処理カードCaの枚数(残数)を把握することが可能となる。
【0024】
なお、本実施形態では、カードカセット20内の未処理カードCaの枚数を計数する処理(以下、計数処理)が、所定時刻(例えば、各営業日の営業時間終了時)になると自動的に行われるようになっている。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、作業者が計数処理の実行を要求する操作を行い、カード発行装置1が当該操作を受け付けた際に行われるものであってもよい。計数機器70の構成については、後に詳述する。
【0025】
ところで、本実施形態に係る筐体10の内部には、処理機器60の格納スペース(以下、チャンバ15)が複数形成されている。これは、本実施形態ではカード発行処理が複数の処理から構成され、処理別に処理機器60が備えられていることに因る。すなわち、本実施形態に係るカード発行装置1は、処理機器60を複数有していることになる。なお、筐体10に形成された複数のチャンバ15の各々は、処理機器60を1台だけ格納するだけの収容能力を有している。
【0026】
そして、本実施形態では、複数のチャンバ15が上下方向に並んだ状態で形成されている。具体的に説明すると、図1に示すように、筐体10の内部空間のうち、奥側に位置する空間には、処理機器60を据え付ける際の基台となるベースプレート14が上下方向に並べて複数設置されており、ベースプレート14によって仕切られた各空間、すなわち、チャンバ15内に処理機器60が一台ずつ格納されることになる。
【0027】
以上のように本実施形態のカード発行装置1では、複数の処理機器60が上下方向に並んだ状態(いわゆる縦置き状態)で設けられている。このように複数の処理機器60が縦並び状態で設けられていれば、水平方向に並べられている状態(いわゆる横並び状態)で設けられている構成に比して、設置面積を縮小することが可能であり、カード発行装置1をより小型化(スリム化)することが可能になる。
【0028】
ここで、本実施形態のカード発行装置1に搭載される処理機器60について説明すると、前述したように本実施形態では、未処理カードCaに対して施す処理の種類に合わせて複数種類の処理機器60が設けられている。
【0029】
第1の処理機器60としては、プリンタ、エンボッサー及びインデンター等のように、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaから取り出されたカードの表面に、文字列及び記号のうち、少なくとも一方を形成する処理を実行する機器が挙げられる。これらの機器は、本発明の第1処理部に相当し、カード発行要求に則ってカード番号、カードの有効期限、カード利用者の氏名等を示す文字列や記号をカード表面に形成する。
【0030】
第2の処理機器60としては、ICライターやエンコーダ等のように、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaから取り出されたカード、が備える記録媒体に情報を記録させる処理を実行する機器が挙げられる。これらの機器は、本発明の第2処理部に相当し、カード発行要求に則って、データ化されたカード番号、カードの有効期限、暗証番号等の情報(データ)を、ICチップや磁気ストライプ等の記録媒体に書き込む。
【0031】
以上のように、本実施形態に係るカード発行装置1は、未処理カードCaから処理済カードCxを製造する上で、少なくとも上記2種類の処理機器60を備えている。ただし、発行するカードの種類に応じて、上述した処理機器60以外の処理機器60を備えていることとしてもよい。例えば、ラベラーやシーラー等、未処理カードCaのカード表面に形成された文字列及び記号のうち、上記の第1の処理機器60(具体的には、プリンタ)によって形成されたものを覆い隠すようにラベルやシールを貼り付ける処理を実行する第3の処理機器60が含まれていることとしてもよい。なお、ラベルやシールによって覆い隠される文字列としては、例えば、インターネットバンキング用カードに印字される暗証番号(インターネットバンキング利用時のパスワード)を示す文字列等が挙げられる。
【0032】
また、未処理カードCaの姿勢を転換する処理を実行する第4の処理機器60が含まれていることとしてもよい。ここで、未処理カードCaの姿勢を転換するとは、カード発行装置1内を移動している未処理カードCaを表裏反転させたり、上下反転させたりすることである。未処理カードCaの表裏反転は、例えば、未処理カードCaに対して両面印刷を行う場合に行われる。未処理カードCaの上下反転は、表面(裏面)の上端部と下端部の双方に磁気ストライプが取り付けられている未処理カードCaに対して、各磁気ストライプにデータを書き込む処理を実行する場合に行われる。
【0033】
さらに、画像処理機器や検証処理機器等、不良なカードを選別するための点検処理を実行する第5の処理機器60が含まれていることとしてもよい。かかる種類の処理機器60は、画像処理や検証処理を除く全ての処理が完了したカードについて、外観上の欠陥(特に、印字や打刻のミス)や記録媒体へのデータの書き込み異常の有無を確認し、正常なカードと不良なカードとに分別する。正常なカードは、前述の排出口16を通じて装置外に排出されるのに対し、不良なカードについては、リジェクトボックス13(図1参照)に回収されて最終的に廃棄される。
【0034】
本実施形態では、発行するカードの種類やカード発行装置1自体の仕様に応じて、以上までに説明してきた処理機器60の中から、装置内に備える機器を自由に選択することが可能である。なお、上述した5種類の処理機器60は、カード発行装置1内に備え得る機器の一例に過ぎず、上述した種類以外の種類の処理機器60がカード発行装置1内に備えられていることとしてもよい。
【0035】
そして、複数種類の処理機器60を備えたカード発行装置1では、上述したカード受渡機器40が、カード取出機器30によりカードカセット20から取り出された未処理カードCaを受け取ると、複数の処理機器60中、未処理カードCaに対して最初の処理を施す処理機器60に当該未処理カードCaを引き渡す。未処理カードCaを受け取った処理機器60は、最初の処理を施した後に、当該処理が完了したカード(すなわち、処理中間カードCm)をカード受渡機器40に返送する。処理中間カードCmを受け取ったカード受渡機器40は、処理中間カードCmに対して次の処理を施す処理機器60に処理中間カードCmを引き渡す。以降、カード発行処理を構成するすべての処理が完了するまで(換言すると、処理済カードCxが完成するまで)、上記の手順が繰り返されることとなる。
【0036】
さらに、本実施形態では、上述した処理機器60のいずれについても、その構成要素がユニットとして一体化されており、筐体10(具体的には、チャンバ15を仕切るベースプレート14)に対して着脱可能となっている。つまり、本実施形態において、各処理機器60は、一モジュールとして構成されており、ボルト又はビスにより着脱自在に筐体10に据え付けることが可能である。これにより、筐体10に対する各処理機器60の取り付けや取り外しが容易に行われるようになる。さらに、筐体10に対する各処理機器60の取り付けや取り外しを容易に行うことができる結果、カード発行装置1の設置後に処理機器60の組み合わせを変更する場合であっても容易に対応することが可能である。
【0037】
また、前述したように、筐体10には、各処理機器60を格納するチャンバ15が上下方向に並んで複数備えられているので、複数の処理機器60は、上下方向に並べられた状態で設けられるようになる。これにより、本実施形態では、複数の処理機器60の各々を横並び状態で据え付ける構成に比べて、設置面積を縮小することが可能になる。すなわち、カード発行装置1の設置スペースが省スペース化され、もって、カード発行装置1が設置された店舗等における内部スペースを有効利用することが可能になる。
【0038】
<<計数機器の構成と動作例>>
以下では、上述した計数機器70の構成と動作例について、図3〜図9Cを参照しながら具体的に説明する。なお、以下の説明中、カードの幅方向とは、カードの表面(おもてめん)を見た際のカードの短辺方向を意味し、カードの長さ方向とは、カードの表面(おもてめん)を見た際のカードの長辺方向を意味する。
【0039】
<カードカセットについて>
計数機器70の説明に先立って、計数機器70が枚数を計数する未処理カードCaを収容するカードカセット20について説明する。カードカセット20は、箱状の中空体であり、その内部に、複数の未処理カードCaを上下方向に重ねた状態で収容している。なお、本実施形態では、図3に示すように、カードカセット20が上下方向に並べられた状態で複数(図3に示すケースでは、6個)設けられている。
【0040】
そして、複数設けられたカードカセット20の各々の内部には、複数の未処理カードCaが上下方向に重ねられて収容されている。特に、本実施形態において、複数のカードカセット20の中には、互いに種類が異なる未処理カードCaを収納しているカードカセット20が存在する。つまり、本実施形態に係るカード発行装置1は、クレジットカード、キャッシュカード、インターネットバンキング用カード等、複数種の処理済カードCxを発行することが可能であり、カード発行要求に応じて発行するカードの種類が切り替えられるように、未処理カードCaの種類別にカードカセット20が設けられている。この結果、利用者の申し込み内容に応じた種類のカードを発行するにあたり、当該カードに対応する未処理カードCaが収容されているカードカセット20内から未処理カードCaを1枚取り出し、取り出した未処理カードCaに対して、発行が求められているカード種類に対応する処理を施すことにより、利用者にとって所望の処理済カードCxが製造されることになる。
【0041】
カードカセット20の構成について詳しく説明すると、正面に扉21が設けられており、ヒンジ21aによってカードカセット本体(カードカセット20のうち、扉21以外の部分)に開閉自在に固定されている。なお、扉21は、通常時には閉状態で施錠されており、例えばカード補給や点検等の作業を行う際に開錠されて開状態となる。なお、扉21の正面には、図4に示すように、開錠の際に不図示の鍵が挿入される鍵穴21bと、取手21cが設けられている。
【0042】
カードカセット20の内空間は、未処理カードCaを収容する空間となっており、本実施形態では、図6に示すように、カードカセット20の幅方向(左右方向)の中央位置に立設された仕切壁22によって二分されている。また、同図に示すように、一方(左側)の空間、及び、他方(右側)の空間には、それぞれ、複数の未処理カードCaが上下方向に並べられた状態で収容されている。より具体的に説明すると、各空間において未処理カードCaは、その幅方向がカードカセット20の幅方向(左右方向に相当する方向)に沿い、その長さ方向がカードカセット20の奥行方向(図6において紙面を貫く方向)に沿った姿勢となっている。
【0043】
一方の空間及び他方の空間は、いずれも、カードカセット20の内空間に相当し、未処理カードCaの収容空間として機能する。なお、一方(左側)の空間及び他方(右側)の空間については、左右対称の構成であるため、以下では、一方の空間のみについて説明する。
一方の空間は、図6に示すように、収容している未処理カードCaの幅よりも幾分幅広になっている。また、一方の空間は、カードカセット20の外壁(具体的には、底壁23、天井壁24、側壁25)及び上述の仕切壁22により区画されている。すなわち、カードカセット20の外壁及び仕切壁22は、一方の空間を包囲する壁部に相当する。
【0044】
ここで、カードカセット20の外壁のうち、底壁23は、一方の空間に収容された複数の未処理カードCaのうち、最下端に位置するカード(換言すると、複数の未処理カードCaが積み重ねられている上下方向において端に位置する未処理カードCa)と上下方向において隣接する隣接部位に相当する。そして、本実施形態では、底壁23の厚みが、一方の空間に収容された複数の未処理カードCaの各々の厚みと異なっている。
【0045】
また、カードカセット20の外壁のうち、側壁25には、図5に示すように、カードカセット20の上端から下端に亘って形成された矩形状のスリットSが形成されている。このスリットSは、穴部に相当し、カードカセット20の奥行方向において側壁25に複数箇所(本実施形態では、3箇所)形成されている。カードカセット20の強度を確保する上で、スリットS間には適宜な間隔が設けられていることが好ましく、例えば、スリットSがカードカセット20の奥行方向において一定間隔毎に形成されていると好適である。
【0046】
<計数手法について>
次に、本実施形態に係る計数機器70がカードカセット20内に収容された未処理カードCaの枚数を計数する際の計数手法について概説する。なお、前述したように、本実施形態では、カードカセット20の内空間が仕切壁22により左右方向に二分されており、一方(左側)の空間及び他方(右側)の空間のそれぞれに複数の未処理カードCaが収容されている。ただし、計数方法については、一方の空間に収容された複数の未処理カードCaの枚数を計数する場合と、他方の空間に収容された複数の未処理カードCaの枚数を計数する場合との間で同様であり、以下の説明では、一方の空間に収容された複数の未処理カードCaの枚数を計数する場合を例に挙げて説明する。
【0047】
本実施形態に係る計数機器70は、光学的手法によりカード枚数を計数するものであり、具体的には、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの側面(幅方向の端面であり、図8中の左端面)に対して光を水平方向に照射し、その反射光を受光し、その受光強度を電気信号に変換する。
【0048】
ここで、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaは、上下方向において互いに隣り合うカード同士が接触した状態で積み重なっている。しかしながら、図8に示すように、上下に隣接する2つの未処理カードCaの幅方向端部の間には、隙間Mが形成される。これは、未処理カードCaがシート状の基材(以下、カード用基材SC)を裁断することにより製造され、図9に示すように、カード用基材SCを裁断する際にはカード用基材SCの表面に裁断刃100を押し当てる結果、裁断によって形成された角部(未処理カードCaの幅方向端部となる部分)が、他の部分に比して若干薄厚となることに拠る。
【0049】
以上のことから、上下方向に並んだ複数の未処理カードCaの側面に光を照射すると、未処理カードCaが存する部分では反射率が高くなるのに対し、上記の隙間Mが存する部分では反射率が低くなる。したがって、上下方向に並んだ複数の未処理カードCaの側面に照射した光の反射光を受光し、その受光強度を電気信号に変換すると、図8に示すように、未処理カードCaが存する部分での信号強度(電圧レベル)がしきい値を超え、上記の隙間Mが存する部分での信号強度(電圧レベル)がしきい値を下回った波形が形成される。そして、この波形のうち、しきい値を超えた部分の個数をカウントすることにより、未処理カードCaの枚数を計数することが可能になる。
【0050】
一方、上記しきい値を超えた部分の幅(図8中、tにて示す長さ)については、未処理カードCa1枚分の厚みに対応した幅(以下、単位幅t0と言う)が予め定められている。このため、反射光の受光強度を電気信号に変換して得られる波形のうち、しきい値を超えた部分の個数をカウントする際に、単位幅t0と同じ幅tを有する部分の数を数えればよいことになる。ただし、上記波形中に、単位幅t0より大きい幅tを有する部分があった場合には、当該部分について所定の判別処理を行う。例えば、上下方向に積み重ねられた複数の未処理カードCa中に、表裏が逆転しているカード(以下、反転カード)が存在している場合、当該反転カードと、その直ぐ上にあるカードとの間には隙間Mが殆ど形成されない。このため、反転カードと、その直ぐ上にあるカードに光を照射した際の反射光を受光すると、しきい値を超えた部分として、単位幅t0の約2倍となった幅tを有する部分が上記波形中に現れるようになる。かかる場合、判別処理が行われる結果、単位幅t0の約2倍となった幅tに対応する領域には、上記反転カードを含む2枚の未処理カードCaが存すると判断される。
【0051】
また、本実施形態では、前述したように、上下方向に積み重ねられた複数の未処理カードCaのうち、最下端に位置する未処理カードCaと上下方向において隣接する底壁23(隣接部位)の厚みが、各未処理カードCaの厚みと異なっている。これにより、上記複数の未処理カードCaの枚数を計数する際に、誤って底壁23を未処理カードCaと判断してしまうのを防止することが可能となり、以て、計数精度が向上することになる。
【0052】
具体的に説明すると、複数の未処理カードCaの側面に向けて光を照射した際、不可避的に底壁23にも光が照射されてしまうため、反射光の受光強度を電気信号に変換して得られる波形には、上記しきい値を超えた部分として、底壁23にて反射された光の受光強度に相当する部分が出現してしまう。ここで、仮に底壁23の厚みが未処理カードCaの厚みと略同じであるとすると、底壁23を誤って未処理カードCaと判断する結果、正確な計数結果が得られなくなる(すなわち、本来のカード枚数に1を加えた計数結果となってしまう)。
【0053】
これに対し、本実施形態では、底壁23の厚みが各未処理カードCaの厚みと異なっているので、底壁23にて反射された光の受光強度に相当する部分の幅(図8中、tbにて示す長さ)が単位幅t0と異なるようになる結果、前述した判別処理において、幅tbを有する部分については、未処理カードCa以外の物、具体的には底壁23が存在していると判断される。これにより、底壁23を誤って未処理カードCaと判断することが回避され、正確な計数結果が得られるようになる。なお、計数精度を向上させる観点から考えると、底壁23の厚みは、未処理カードCaの厚みの整数倍とならないようにすることが望ましい。
【0054】
以上までに説明した方法により、本実施形態に係る計数機器70は、カードカセット20内に収容された未処理カードCaの枚数を計数する。なお、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの側面に光を照射する際、計数機器70は、カードカセット20の側壁25に形成されたスリットSを通じて光を照射し、当該スリットSを通じて反射光を受光する。
【0055】
ところで、本実施形態では前述したように、カードカセット20の内空間(具体的には、仕切壁22にて仕切られた2つの空間の各々)が未処理カードCaの幅よりも幾分幅広な空間となっている。このため、カードカセット20内に複数の未処理カードCaを上下方向に重ねた状態で収容した際、各未処理カードCaの脇にクリアランスが形成される結果、複数の未処理カードCaが重ねられている方向と交差する交差方向(具体的には、水平方向)に未処理カードCaがずれてしまう虞がある。つまり、本実施形態に係るカードカセット20の内空間に複数の未処理カードCaを上下方向に積み重ねた状態で収容すると、未処理カードCaの幅方向端がカード間で異なってしまうことがある。
【0056】
未処理カードCaの幅方向端がカード間で異なる場合には、発明が解決しようとする課題の項で説明したように、未処理カードCaにおいて光が照射される側面(幅方向端面)と後述の光源72との間の距離(光路長)がカード間で異なってくるため、焦点距離がカード間で変わってしまう。焦点距離が異なってくると、同じ照度にて光を照射した場合であっても、その反射光を受光した際の受光強度が異なってくる。そして、受光強度が変化すると、上述した幅tが変化することになるため、実際には未処理カードCaが存在している領域であるにもかかわらず、未処理カードCaが存在しないと誤って判断されてしまう場合があり、結果として、カード枚数の計数が正確に行われなくなってしまう。
【0057】
以上のように、カードカセット20内に上下方向に積み重ねられた状態で収容された複数の未処理カードCaについて、各カードの幅方向端がカード間で異なっていると、計数精度に悪影響を及ぼし、正確に計数することが困難となってしまう。
【0058】
上述の問題は、本実施形態のように複数の処理機器60を上下方向に並べて省スペース化を図ったカード発行装置1において、特に顕著となる。つまり、本実施形態に係るカード発行装置1は、複数の処理機器60を縦置き状態で備えることで、より小型化されたものとなっている。そして、装置の小型化に伴い、光源72は、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaに対して、より近い照射位置にて光を照射するようになる。したがって、本実施形態では、未処理カードCaにおいて光が照射される部分と光源72との間の長さ(光路長)が短くなり、当該光路長の変化が及ぼす影響が大きくなる。それ故に、本実施形態では、カードカセット20の内空間に収容された複数の未処理カードCaの各々の幅方向端がカード間で異なるために正確な計数に支障が生じるという問題が、特に顕著に生じる。
【0059】
以上のような問題を解消するために、本実施形態に係る計数機器70は、カードカセット20の内空間に収容された複数の未処理カードCaの各々の幅方向端を揃える機能を具備している。以下、本実施形態に係る計数機器70について詳しく説明する。なお、以下の説明中、カードの幅方向において光が照射される側の端を、被照射側端とも言い、上記被照射側端とは反対側の端を、被押付側端とも言う。
【0060】
<計数機器の構成について>
本実施形態に係る計数機器70は、図3に示すように、左右方向においてカードカセット20を挟むように配置された2つのセンサユニット71を備えている。この2つのセンサユニット71は、それぞれ、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaを計数するために設けられたものであり、より具体的に説明すると、仕切壁22により仕切られたカードカセット20の内空間のうち、一方(左側)の空間内に収容された複数の未処理カードCaについては、2つのセンサユニット71のうち、左右方向において一方の空間により近い側(左側)のセンサユニット71によりカード枚数を計数する。また、他方(右側)の空間内に収容された複数の未処理カードCaについては、左右方向において他方の空間により近い側(右側)のセンサユニット71によりカード枚数を計数する。なお、2つのセンサユニット71の各々の構成は、左右対称の配置となっているものの略同様であるため、以下では、図3中、左右方向において左側に位置するセンサユニット71のみについて説明する。
【0061】
センサユニット71は、図2に示すように、光源72と、センサ73とを備えたモジュールである。ただし、光源72及びセンサ73については、本実施形態についてはモジュールとして一体化している構成に限らず、分離して個別の機器として備えられているものであってもよい。
【0062】
本実施形態の光源72は、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの側方(左側)に位置した状態で、当該複数の未処理カードCaの各々に対して光を照射するものである。ここで、光源72が光を照射する方向は、水平方向(より具体的には、左右方向)であり、複数の未処理カードCaが重ねられている方向と交差する交差方向に相当する。
【0063】
また、本実施形態において、光源72は、カードカセット20の側壁25に形成されたスリットS(より具体的には、カードカセット20の奥行方向において3箇所形成されたスリットSのうち、真ん中に位置するスリットS)を通じて、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaに対して光を照射する。なお、本実施形態では、上述したように、カードカセット20が複数設けられており、複数設けられたカードカセット20の各々が、光源72と対向する側の側壁25に形成されたスリットSを有している。さらに、本実施形態では、上述したように、左右方向においてカードカセット20を挟むように2つのセンサユニット71が配置されているので、カードカセット20の左側の側壁25、及び右側の側壁25が、いずれも光源72と対向し、そのために両方の側壁25にスリットSが設けられている。
【0064】
また、本実施形態に係る光源72は、複数のLED素子(不図示)を上下方向に並べられたLED素子列により構成されている。ここで、上記LED素子列の長さ(上下方向長さ)は、スリットSの上下方向長さと略同じ長さとなっており、これにより、カードカセット20の内空間に積み重ねることが可能な数の上限値まで未処理カードCaを収容した場合であっても、カード枚数を計数することが可能になる。
【0065】
センサ73は、光源72がカードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaに向けて光を照射した際の反射光を受光する受光センサであり、当該反射光に基づいて、カードカセット20に収容された複数の未処理カードCaの枚数に応じた信号を出力するものである。ここで、未処理カードCaの枚数に応じた信号とは、上記反射光を受光した際の受光強度を電気信号に変換したもの(より具体的には、当該受光強度を電気信号に変換して得られる波形)である。なお、本実施形態に係るセンサ73は、リニアCCDセンサのように固定型の受光センサから構成されるが、これに限定されるものではなく、カードが並ぶ方向(本実施形態では、上下方向)に移動しながら反射光を受光する走査型の受光センサであってもよい。
【0066】
以上のようなセンサユニット71は、図3に示すように、鋼材製の枠体からなる支持部材74に支持される。この支持部材74に支持されることにより、センサユニット71は、上記スリットSを介して、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの各々の被照射側端(左端)と対向することが可能な位置に配置されるようになる。
【0067】
一方、支持部材74には、図3に示すように、センサユニット71の他に、押付部材としてのカードプッシャ77が支持されている。このカードプッシャ77は、カードカセット20に収容された複数の未処理カードCaの各々の被押付側端(右端)が水平方向においてカードカセット20内の所定位置に揃えられるように、上記複数の未処理カードCaを押す押圧部に相当する。本実施形態において、カードカセット20内の所定位置とは、カードカセット20の内壁面が存する位置、より具体的には、上述の仕切壁22の側面が存する位置である。また、各未処理カードCaの被押付側端は、本発明の交差方向一端としての水平方向一端に相当する。
【0068】
カードプッシャ77の構成について説明すると、本実施形態に係るカードプッシャ77は、図3に示すように、支持部材74の側面からカードカセット20に向かって水平方向に延出した延出部77aと、延出部77aの先端部に備えられたプッシャ本体77bとから構成されている。延出部77aは、その先端がセンサユニット71よりも幾分カードカセット20側に位置するように延出している。プッシャ本体77bは、上下方向に長い矩形状のプレート部材であり、その長手方向長さは、カードカセット20の内空間の高さよりも僅かに短くなっている。したがって、プッシャ本体77bの下端をカードカセット20の内空間の下端位置に合わせた状態で、プッシャ本体77bを、カードカセット20に向かう向き(すなわち、右向き)に水平移動させると、プッシャ本体77bは、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの各々の被照射側端(左端)と同時に当接することが可能である。
【0069】
そして、上記構成のカードプッシャ77は、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの各々の被押付側端(右端)がカードカセット20内の仕切壁22の側面(左側面)に押し付けられるように、複数の未処理カードCaの各々を水平方向に沿って右向きに押す。このようなカードプッシャ77の押し動作により、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの各々の被押付側端(右端)が左右方向において同一位置(具体的には、仕切壁22の左側面)に揃えられるため、複数の未処理カードCaの各々の被照射側端(左端)についても揃えられるようになる。かかる状態で計数処理を実施すれば、未処理カードCaにおいて光が照射される側面(被照射側端の面)と光源72との間の距離(光路長)がカード間で均一になるので、正確にカード枚数を計数することが可能になり、計数精度が向上することになる。
【0070】
なお、上述したように、本実施形態に係るカードプッシャ77は、上下方向に長い矩形形状のプレートからなるプッシャ本体77bを有し、当該プッシャ本体77bの上下方向長さは、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの各々の被照射側端(左端)と同時に当接することが可能な長さとなっている。このような構成により本実施形態では、カードプッシャ77を水平方向に沿って右向きに移動させれば、上記複数の未処理カードCaを一斉に押すので、各未処理カードCaの被押付側端(右端)を同時に揃えることが可能となる。以上の構成であれば、上述したカードプッシャ77のように簡単な機構によって、カードカセット20内に収容された各未処理カードCaの幅方向端(被照射側端及び被押付側端)を揃えることが可能になる。ただし、上述のカードプッシャ77は、あくまでも押圧部の一例に過ぎず、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaを水平方向に押すものである限り、形状及び構造については限定されるものではない。
【0071】
次に、カードプッシャ77がカードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの各々を水平方向に沿って押すための機構について説明すると、前述したように、カードプッシャ77は、センサユニット71とともに支持部材74に支持されている。一方で、本実施形態の計数機器70は、水平方向駆動部としての水平移動機構76(図2参照)を備えており、この水平移動機構76の機能により、支持部材74は、センサユニット71及びカードプッシャ77と一体的に水平方向に移動する。つまり、水平移動機構76は、支持部材74を、光源72、センサ73及びカードプッシャ77と一体的に水平方向に移動させるものである。以上のように水平移動機構76が支持部材74を水平方向に移動させる結果、カードプッシャ77も同様に水平移動するようになり、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaに対して近接し、または離間するようになる。
【0072】
そして、カードプッシャ77が水平移動する際の移動範囲の一端(右端)は、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの各々の被押付側端(右端)をカードカセット20内の仕切壁22の側面(左側面)に押し付ける位置に設定されている。したがって、水平移動機構76が支持部材74を右向きに水平移動させて、カードプッシャ77が上記移動範囲の一端(右端)に達すると、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの各々の被押付側端(右端)が仕切壁22の側面(左側面)に押し付けられて揃えられるようになる。
【0073】
一方、カードプッシャ77が水平移動する際の移動範囲の他端(左端)は、カードカセット20外に位置し、カードプッシャ77の待機位置となる。かかる待機位置に位置した状態のカードプッシャ77は、水平移動機構76による支持部材74の水平移動に伴ってカードカセット20に向かって水平移動し、カードカセット20の配置位置に差し掛かると、側壁25に形成されたスリットSを通過し、その後、カードカセット20の内空間に至るようになる。すなわち、本実施形態において、カードプッシャ77は、スリットSを通じて、カードカセット20の外側からカードカセット20の内部に進入することが可能である。
【0074】
なお、カードプッシャ77が通過するスリットSは、光源72に対してカードカセット20内に収容された未処理カードCaを臨ませるために形成されたスリットSとは異なるスリットSである。具体的に説明すると、本実施形態では、カード発行装置1の奥行方向(図3において紙面を貫く方向)において、センサユニット71の手前側及び奥側に、それぞれ、カードプッシャ77が設けられている。つまり、本実施形態では、1つの支持部材74に対して2つのカードプッシャ77が設けられている。一方、カードカセット20の側壁25には、カードカセット20の奥行方向(カード発行装置1の奥行方向に一致する方向)において互いに異なる3つの位置に、スリットSが形成されている。
【0075】
そして、図5に示すように、センサユニット71は、カード発行装置1の奥行方向において、3つのスリットSのうち、真ん中のスリットSの形成位置と同じ位置に配置されている。一方、同図に示すように、より手前側に位置するカードプッシャ77は、上記の奥行方向において、3つのスリットSのうち、最も手前側に位置するスリットSの形成位置と同じ位置に配置されており、より奥側に位置するカードプッシャ77は、上記の奥行方向において、3つのスリットSのうち、最も奥側に位置するスリットSの形成位置と同じ位置に配置されている。この結果、2つのカードプッシャ77の各々は、対応するスリットS(具体的には、カード発行装置1の奥行方向において各カードプッシャ77と同位置に形成されたスリットS)を通じて、カードカセット20内部に進入することになる。
【0076】
ここで、本実施形態では、センサユニット71の手前側と奥側にそれぞれカードプッシャ77を設けることとしたが、これに限定されるものでない。カード発行装置1の奥行方向においてセンサユニット71とカードプッシャ77とが互いに異なる位置に配置されている限り、カードプッシャ77の配置位置や個数については任意に設定することが可能である。ただし、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの各々を適切に押す上で、カードカセット20の奥行方向において各未処理カードCaの手前側を押すカードプッシャ77と、奥側を押すカードプッシャ77とが、それぞれ設けられている方が望ましい。
【0077】
さらに、センサユニット71とカードプッシャ77とは、ともに支持部材74に支持されていることから、カードプッシャ77に対するセンサユニット71の相対位置は、一定である(固定されている)。ここで、上記相対位置は、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの各々の被押付側端(右端)をカードカセット20内の仕切壁22に押し付ける位置にカードプッシャ77が到達した時点で、光源72の位置が上記複数の未処理カードCaの各々に対して光を照射するのに適した位置となるように設定されている。
【0078】
したがって、本実施形態では、カードカセット20内の各未処理カードCaの被押付側端(右端)を仕切壁22に押し付ける位置までカードプッシャ77が水平移動すると、それに連動して、センサユニット71の光源72が適切な光照射位置に向けて移動して、当該光照射位置に位置決めされるようになる。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る計数機器70は、センサユニット71とカードプッシャ77とを支持する支持部材74と、支持部材74をセンサユニット71及びカードプッシャ77と一体的に水平移動させる水平移動機構76とを有する。かかる構成の計数機器70は、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの枚数を計数する計数処理を開始するに際して、水平移動機構76による支持部材74の水平移動を実行する。
【0080】
そして、支持部材74の水平移動に伴って、カードプッシャ77による押し動作が実行される。この結果、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの各々の被押付側端(右端)が、カードカセット20内の仕切壁22の側面(左側面)に揃えられ、これにより上記複数の未処理カードCaの各々の被照射側端も揃えられるようになる。一方で、上述したように、カードプッシャ77による押し動作に連動して、センサユニット71の光源72が適切な光照射位置に向けて移動し、当該光照射位置に位置決めされる。その後、光源72が上記の光照射位置に位置した状態で、計数処理(光の照射、反射光の受光、受光強度の解析、受光強度を変換した電気信号の出力)が実行される。
【0081】
上記の構成により、本実施形態に係る計数機器70は、カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの各々について、被照射側端を揃えた状態で当該端に光を照射することが可能となる。この結果、光源72から未処理カードCaの被照射側端までの距離、すなわち光路長をカード間で均一にした状態で、カードカセット20内に収容された各未処理カードCaに対して光を照射することができるので、上記複数の未処理カードCaの枚数を正確に計数することが可能になる。つまり、本実施形態に係る計数機器70の構成により、計数精度を向上させることが可能になる。
【0082】
ところで、上述した支持部材74は、筐体10内の底面から最上段に位置したカードカセット20の上端まで延出した支柱17に上下方向に移動自在に支持されている。そして、支持部材74は、上下方向に沿って上下方向駆動部としての昇降機構75(図2参照)により上下方向に移動する。すなわち、本実施形態に係る計数機器70は、昇降機構75を有し、この昇降機構75が、支持部材74をセンサユニット71及びカードプッシャ77と一体的に上下方向に移動させる。これにより、センサユニット71及びカードプッシャ77は、上下方向に並んだ複数のカードカセット20の各々(より具体的には、各カードカセット20の内空間のうち、一端側(左側)の空間)に収容された複数の未処理カードCaと対向することが可能である。
【0083】
したがって、本実施形態では、上下方向に並んだ各カードカセット20について、一端側(左側)の空間に収容された未処理カードCaの枚数を計数する処理(計数処理)が、1台のセンサユニット71のみによって行われることになる。
同様に、上下方向に並んだ各カードカセット20について、一端側(左側)の空間に収容された各未処理カードCaの幅方向端を揃えるために各未処理カードCaを押す動作(押し動作)が、上記のセンサユニット71の手前側及び奥側に設けられたカードプッシャ77のみによって行われることになる。
【0084】
換言すると、本実施形態に係る計数機器70は、複数設けられたカードカセット20の間で共用のセンサユニット71(具体的には、光源72及びセンサ73)とカードプッシャ77を有することになる。このため、本実施形態では、カードカセット20毎にセンサユニット71やカードプッシャ77を設ける場合と比較して、部品点数を少なくなっている。
【0085】
なお、本実施形態では、複数設けられたカードカセット20の間でカードプッシャ77を共有するにあたり、カードプッシャ77の待機位置をカードカセット20の外側に設け、各カードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの幅方向端を揃える際には、カードカセット20の側壁25に形成されたスリットSを通じて、カードプッシャ77をカードカセット20内に進入させることとした。これにより、カードプッシャ77がカードカセット20間を自在に往来することが可能となり、以て、カードプッシャ77の共有化を実現している。
【0086】
以上のような構成において、上下方向に並んだ複数のカードカセット20のうち、一のカードカセット20を選択し、当該カードカセット20内に収容されている複数の未処理カードCaを計数対象とする。そして、上下方向において、計数対象とする複数の未処理カードCaが内部に収容されたカードカセット20が配置されている位置に、支持部材74及び支持部材74に支持されたセンサユニット71及びカードプッシャ77が位置した状態で、カードプッシャ77による押し動作及び計数機器70による計数処理が実行される。一方、計数対象を切り替える場合には、昇降機構75によって、支持部材74をセンサユニット71及びカードプッシャ77と一体的に上下移動させ、切り替え後の計数対象となる複数の未処理カードCaが内部に収容されたカードカセット20の配置位置まで移動させることとなる。
【0087】
<計数機器の動作例について>
以下、上述した構成の計数機器70の動作例について、図9A〜9Cを参照しながら説明する。
前述したように、本実施形態では、カードカセット20が上下方向に並んだ状態で複数設けられており、各カードカセット20には、未処理カードCaが上下方向に積み重ねられて収容されている。本実施形態に係る計数機器70は、所定時刻になると、カードカセット20毎にカード枚数を計数する処理(計数処理)を実行する。
【0088】
以降の説明では、最下段のカードカセット20から順次、計数処理を実行する構成において、最後に計数処理が実行されるカードカセット20、すなわち、最上段のカードカセット20に対して計数処理を実行する場合を具体例として挙げて説明する。つまり、以下では、最上段のカードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaを計数対象とするケースについて説明する。
【0089】
最上段のカードカセット20に対して計数処理を実行するに際して、先ず、図9Aに示すように、計数機器70の昇降機構75が上下方向において、最上段のカードカセット20が配置された位置に支持部材74を移動させる。これにより、支持部材74に支持されたセンサユニット71及びカードプッシャ77が、上下方向において最上段のカードカセット20の配置位置と同じ位置に到達する。なお、支持部材74、センサユニット71及びカードプッシャ77が最上段のカードカセット20の配置位置に到達した段階において、カードプッシャ77は待機位置、すなわち、最上段のカードカセット20の外側に位置している。
【0090】
次に、計数機器70の水平移動機構76が、支持部材74をセンサユニット71及びカードプッシャ77と一体的に水平移動させる。これにより、先ず、待機位置(すなわち、カードカセット20の外側)に位置していたカードプッシャ77が、最上段のカードカセット20の側壁25に形成されたスリットSを通じて、カードカセット20の内部に進入するようになる。そして、支持部材74の水平移動が進むと、図9Bに示すように、カードプッシャ77の先端部に位置するプッシャ本体77bが、左右方向(水平方向)において、最上段のカードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの各々の被照射側端と当接するようになる。
【0091】
その後、支持部材74の更なる水平移動に伴い、カードプッシャ77は、上記複数の未処理カードCaの各々を水平方向(左右方向)に押し、やがて、図9Cに示すように、上記複数の未処理カードCaの各々の被押付側端をカードカセット20の仕切壁22に押し付けるようになる。かかる状態となるまで水平移動機構76による支持部材74の水平移動が続行される。そして、最上段のカードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの各々の被押付側端が仕切壁22に当接すると、水平移動機構76による支持部材74の水平移動が停止する。
【0092】
一方、カードプッシャ77が計数対象である複数の未処理カードCaの各々を水平方向に押している間、センサユニット71も上記複数の未処理カードCaに接近し、複数の未処理カードCaの被押付側端が仕切壁22に当接すると、水平移動機構76による支持部材74の水平移動が停止する結果、カードプッシャ77と同様にセンサユニット71についても停止することになる。ここで、カードプッシャ77に対するセンサユニット71の相対位置は固定されているので、最上段のカードカセット20内に収容された複数の未処理カードCaの各々の被押付側端を仕切壁22に押し付ける位置にカードプッシャ77が到達した際、センサユニット71の光源72が定位置に位置するようになる。
【0093】
また、各未処理カードCaの被押付側端を仕切壁22に押し付ける位置にカードプッシャ77が到達することにより、各未処理カードCaの被照射側端が揃えられるようになる。この結果、各未処理カードCaの被押付側端が仕切壁22に押し付けられた状態では、光源72の位置が、計数対象である複数の未処理カードCaから所定距離だけ離れた位置となる。つまり、上述した一連の動きにより、光源72から各未処理カードCaの被照射側端までの距離(光路長)が、予め設定された距離に整えられる。ここで、本実施形態では上記の距離(光路長)が、計数処理を行う上で適切な距離に設定されているので、光源72は、適切な光照射位置に位置した状態で、計数対象である複数の未処理カードCaの各々に対して適切に光を照射することが可能である。
【0094】
以上のように、本実施形態では、カードプッシャ77により計数対象である複数の未処理カードCaの各々を水平方向に押す押し動作に連動して、センサユニット71の光源72が所定の光照射位置に位置決めされ、光源72から各未処理カードCaの幅方向端までの距離(光路長)が所定の距離に整えられる。つまり、本実施形態では、カードカセット20内の未処理カードCaの枚数を計数するために光源72からの光を各未処理カードCaに照射するに際して、カードプッシャ77が、上記複数の未処理カードCaの各々の被押付側端を揃えるようになる。未処理カードCaの被照射側端が揃えられることで、各未処理カードCaに照射された光が適切な強度にて反射するようになる結果、複数の未処理カードCaの枚数を正確に計数することが可能となり、以て、計数精度が更に向上することになる。
【0095】
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態には、主として本発明のカード発行装置1について説明した。しかし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0096】
また、上記の実施形態では、複数のカード(未処理カードCa)を上下方向に積み重ねた状態でカードカセット20内に収容し、各カードに対して水平方向に光を照射することにより、カードカセット20内に収容されたカードの枚数を計数することとした。ただし、これに限定されるものではなく、複数のカードが水平方向に重ねられて横に並んだ状態で収容され、当該複数のカードが重ねられている方向と交差する交差方向に光を照射する構成であってもよい。
【0097】
また、上記の実施形態では、複数のカードを内部に収容する収容部(具体的には、カードカセット20)が上下方向に並べた状態で複数設けられていることとした。ただし、これに限定されるものではなく、少なくとも1個以上の収容部が設けられている限り、収容部の個数は任意の数とすることができ、また、複数の収容部が設けられた場合の各収容部の配置(例えば、複数の収容部が並べられる方向)についてもカード発行装置の設置スペースに応じて設定することとしてもよい。
【0098】
また、上記の実施形態では、複数のカードカセット20の間で共用のセンサユニット71(具体的には、光源72及びセンサ73)とカードプッシャ77が設けられていることとしたが、これに限定されるものではなく、センサユニット71やカードプッシャ77がカードカセット毎に設けられていることとしてもよい。
【0099】
また、上記の実施形態では、センサユニット71(具体的には、光源72及びセンサ73)とカードプッシャ77が、同一の支持部材74に支持されていることとしたが、これに限定されるものではなく、センサユニット71及びカードプッシャ77の各々に対して、個別の支持部材が設けられていることとしてもよい。
【0100】
また、上記の実施形態では、キャッシュカードやクレジットカード等を発行するカード発行装置を例に挙げて説明したが、本発明は、他の種類のカード、例えば、プリペイドカード、会員証や社員証等のID認証カード、交通手段乗車用カード、電子マネー用カード、商品購入時等に付与されるポイント用のカードなどを発行するカード発行装置にも適用される。特に、即時発行のニーズがある種類のカード、すなわち、収容部に収容されているカード枚数が日々変化し得るカードを発行するカード発行装置であれば、本発明の効果がより有意義なものとなる。
【符号の説明】
【0101】
1 カード発行装置
10 筐体
13 リジェクトボックス
14 ベースプレート
15 チャンバ
16 排出口
17 支柱
20 カードカセット
21 扉
21a ヒンジ
21b 鍵穴
21c 取手
22 仕切壁
23 底壁
24 天井壁
25 側壁
30 カード取出機器
40 カード受渡機器
50 コントローラ
51 CPU
52 メモリ
53 制御回路
60 処理機器
70 計数機器
71 センサユニット
72 光源
73 センサ
74 支持部材
75 昇降機構
76 水平移動機構
77 カードプッシャ
77a 延出部
77b プッシャ本体
80 表示ディスプレイ
100 裁断刃
Ca 未処理カード
Cm 処理中間カード
Cx 処理済カード
M 隙間
SC カード用基材
S スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカードを重ねた状態で収容する箱状の収容部と、
該収容部内に収容された前記複数のカードの枚数を計数する計数部と、を備え、
該計数部は、
前記収容部内に収容された前記複数のカードに対して、前記複数のカードが重ねられている方向と交差する交差方向に光を照射する光源と、
該光源が前記収容部内に収容された前記複数のカードに対して光を照射した際の反射光を受光し、該反射光に基づいて、前記収容部内に収容された前記複数のカードの枚数に応じた信号を出力するセンサと、
前記収容部内に収容された前記複数のカードの各々の前記交差方向における一端が、前記交差方向において前記収容部内の所定位置に揃えられるように、前記収容部内に収容された前記複数のカードを前記交差方向に押す押圧部と、を有することを特徴とするカード発行装置。
【請求項2】
前記収容部内に収容された前記複数のカードから取り出されたカードの表面に、文字列及び記号のうち、少なくとも一方を形成する処理を実行する第1処理部、及び、前記前記収容部内に収容された前記複数のカードから取り出されたカードが備える記録媒体に情報を記録させる処理を実行する第2処理部を含む複数の処理部を有し、
前記複数の処理部が上下方向に並んだ状態で設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカード発行装置。
【請求項3】
前記押圧部は、前記収容部内に収容された前記複数のカードの各々と同時に当接することが可能な押付部材であり、前記収容部内に収容された前記複数のカードの各々の前記交差方向における一端が前記収容部の内壁面に押し付けられるように、前記収容部内に収容された前記複数のカードを前記交差方向に押すことを特徴する請求項2に記載のカード発行装置。
【請求項4】
前記収容部は、上下方向に並んだ状態で複数設けられており、
複数設けられた前記収容部の各々の内部には、前記複数のカードが収容されており、
前記計数部は、複数設けられた前記収容部の間で共用の前記光源、前記センサ及び前記押付部材を有することを特徴とする請求項3に記載のカード発行装置。
【請求項5】
複数設けられた前記収容部の各々は、前記光源と対向する側の側壁に形成された穴部を有し、
前記押付部材は、前記穴部を通じて、前記収容部の外側から前記収容部の内部に進入することが可能であることを特徴とする請求項4に記載のカード発行装置。
【請求項6】
複数設けられた前記収容部の各々の内部には、前記複数のカードが上下方向に重ねられて収容されており、
前記光源は、前記穴部を通じて、前記収容部内に収容された前記複数のカードに対して光を水平方向に照射し、
前記計数部は、前記光源と前記センサと前記押付部材とを支持する支持部材と、該支持部材を前記光源、前記センサ及び前記押付部材と一体的に上下方向に移動させる上下方向駆動部と、前記支持部材を前記光源、前記センサ及び前記押付部材と一体的に水平方向に移動させる水平方向駆動部と、を有することを特徴とする請求項5に記載のカード発行装置。
【請求項7】
前記上下方向駆動部は、上下方向において、計数対象とする前記複数のカードが内部に収容された前記収容部が配置された位置へ、前記支持部材を移動させ、
前記水平方向駆動部は、計数対象とする前記複数のカードの各々の水平方向一端が前記押付部材により計数対象とする前記複数のカードが内部に収容された前記収容部の内壁面に押し付けられるように、前記支持部材を水平方向に移動させ、
計数対象とする前記複数のカードの各々の水平方向一端が前記収容部の内壁面に当接すると、前記水平方向駆動部による前記支持部材の水平方向への移動が停止し、前記支持部材の水平方向への移動が停止した状態で前記光源が、計数対象とする前記複数のカードに対して光を水平方向に照射することを特徴とする請求項6に記載のカード発行装置。
【請求項8】
前記収容部は、内空間を包囲する壁部を備え、
該壁部は、前記内空間に収容された前記複数のカードのうち、前記複数のカードが重ねられている方向において端に位置するカードと該方向において隣接する隣接部位を有し、
該隣接部位の厚みは、前記内空間に収容された前記複数のカードの各々の厚みと異なっていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のカード発行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【公開番号】特開2013−89121(P2013−89121A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230899(P2011−230899)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(596179988)株式会社ドッドウエル ビー・エム・エス (13)