説明

カード装置

【課題】電子機器のカードスロットに挿入するカードに内蔵された無線通信部から放射される電磁ノイズを効率的に低減する。
【解決手段】カード装置100は、機器に接続されるカード装置であって、無線通信を行う無線通信部101を備える。無線通信部101は、カード装置の側面10〜13のうち少なくとも1面から、無線通信部101の無線信号の波長以上離れたアンテナ102を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、カード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信部を内蔵したカード装置(以下、単にカードともいう。)が知られている。このようなカードを、カードスロットを備える電子機器に挿入することで、電子機器に無線通信機能を付加することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−022640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線通信部から放射される無線信号は、通信相手にとっては所望信号であるが、カードを挿入した電子機器にとっては干渉信号、すなわち電磁ノイズとなる。すなわち従来の無線通信部を内蔵したカードでは、無線通信部から発せられる無線信号が、カードを挿入した電子機器に対して電磁ノイズとなって放射される可能性があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、カードに内蔵された無線通信部から放射される電磁ノイズを効率的に低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のカード装置は、機器に接続されるカード装置であって、無線通信を行う無線通信部を備える。無線通信部は、カード装置の側面のうち少なくとも1面から、無線通信部の無線信号の波長以上離れたアンテナを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態にかかるカードの上面図。
【図2】図1のA−A’断面図。
【図3】カードをカードスロットに挿入した状態を示す図。
【図4】図3をカードの側面側から観察した断面図。
【図5】図1と異なる形状のカードの一例を示す図。
【図6】カードをカードスロットに挿入した状態を示す図。
【図7】第2の実施形態にかかるカードの上面図。
【図8】図7のB−B’断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるカード装置の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかるカードは、PC(パーソナルコンピュータ)、携帯電話、および、デジタルカメラなどの電子機器に接続されて利用されるカード形状の機器である。本実施形態にかかるカードは、無線通信機能を備え、接続された電子機器に当該無線通信機能を提供する。本実施形態にかかるカードは、例えばSDカードおよびマイクロSDカードなどを適用できる。なお、本実施形態のカードはメモリ機能を備える必要はなく、少なくとも無線通信機能を備えていればよい。
【0010】
図1は、第1の実施形態にかかるカード100の一例の上面図である。第1の実施形態にかかるカード100は、無線通信部101と、入出力端子103とを備えている。
【0011】
入出力端子103は、電子機器(図1には図示せず)と電気的に接続するための端子である。なお、図1は、カード100が、端子数が9個のSDカードである場合の入出力端子103の例を示している。点線は、端子が実際には図1のカード100の裏面側に設けられていることを表している。
【0012】
無線通信部101は、外部の機器との間で無線通信を行う。外部の機器には、カード100を接続する電子機器、および、当該電子機器以外の機器が含まれる。無線通信部101は、カード100の側面のうち少なくとも1面以上から、無線通信部101の無線信号の波長以上離して内蔵されるアンテナ102を備える。
【0013】
図1に示すカード100は、直方体形状の一部が欠けた形状となっている。すなわち、カード100は、側面10〜13と、欠けた部分に対応する側面14とを有する。図2は、図1のA−A’断面図である。図2に示すように、カード100は、上面15および底面16を有する。
【0014】
このように構成したカード100は、カード100を電子機器のカードスロットに挿入して使用する際に、無線通信部101から放射される電磁ノイズを効率的に低減することができる。
【0015】
以下、電磁ノイズの低減について詳細に説明する。図1のようなカード100は、一般にカードスロットに対する挿入方向が予め決められている。例えば、挿入方向を示す矢印等をカード100上に図示することにより、挿入方向が示される場合もある。また、図1のようにカード100が入出力端子103を備えることによって、挿入方向が入出力端子103側であることが分かるようになっている場合もある。
【0016】
図3は、カード100をカードスロットに挿入した状態の例を示す図である。図3は、電子機器の基板204上に実装されたカードスロット203に、カード100が挿入された状態を示している。
【0017】
図3に示すように、カード100をカードスロット203に挿入した場合、カード100の周辺をカードスロット203が覆う状態となる。カードスロット203に覆われたことによって、カード100の内部から電磁ノイズが発せられた場合であっても、カードスロット203や基板204によってある程度はその電磁ノイズを低減することは可能である。言い換えると、カードスロット203や基板204がシールド壁となり、カード100の内部から発せられる電磁ノイズをある程度シールドすることが可能である。
【0018】
一般にシールド壁は、電磁ノイズの発生源から遠いほどシールド効果が向上すること、すなわち、ノイズを低減する量が大きくなることが知られている。逆に言えば、シールド壁と電磁ノイズの発生源との距離が小さいと、シールド効果は減少する。シールド壁が電磁ノイズの発生源に近づくことで、より近傍界に近い領域に入り、これによってシールド壁自体にも電磁界が誘起されるためである。一般的には、シールド壁と電磁ノイズの発生源とを、例えば無線信号の波長程度離すと、効率的にシールド効果を高められることが知られている。
【0019】
図4は、図3をカード100の側面13側から観察した断面図を示す。カード100は薄型の形状であるため、カードスロット203の上面210や基板204とはカード100の内部のいずれであっても距離を確保することが比較的難しい。その一方で、カード100の側面に対向するカードスロット203の側面211および212からは、比較的距離を確保しやすい。
【0020】
そこで第1の実施形態では、アンテナ102を、無線信号の波長以上、カード100の側面の少なくとも1面から離して配置する。これにより、カードスロット203に挿入した際に、カードスロット203の側面からの距離が波長以上となり、効率的にシールド効果を高められる。
【0021】
無線通信部101の無線信号にはミリ波を用いてもよい。ミリ波を用いることにより波長が短くなるため、カード100の側面からの距離を確保しやすくなる。
【0022】
カード100の側面からの距離とは、例えばカード100の外側表面からの距離としてもよい。このようにすることで、カードスロット203の面により近い面を基準にして距離を規定することができる。
【0023】
距離の条件である「無線信号の波長以上」という条件は、例えば「近傍界の境界距離以上」という条件に置き換えてもよい。近傍界の境界距離とは、波長をλとした場合、λ/(2π)で表すことができる。またアンテナ102のサイズが大きい場合には、近傍界の境界距離は2D^2/λ(Dはアンテナのサイズ)で表すことができる。なお、アンテナ102のサイズとは、アンテナ102の中で最も距離が長くなる2点間の距離を表す。カード100の側面からの距離を、近傍界の境界距離以上とすることにより、効率的にシールド効果を向上させることができる。
【0024】
図3および図4に示されるように、カードスロット203は一般に、カード100を挿入するために少なくとも1面が開口されている。またカード100を挿入するという機能のため、一般に開口している面(開口面)は電子機器の外側に向いている。電子機器の外側に向かって放射される無線信号は、カード100を挿入している電子機器への電磁ノイズとはなりにくい。一方、開口面以外の面に向かって放射される無線信号は、電子機器の内部に向かって放射されるため、電子機器への電磁ノイズとなりやすい。
【0025】
この点を考慮し、アンテナ102を、カード100の側面のうちカード100の挿入方向の1面(側面10)と対面する面(側面13)以外の面から無線信号の波長以上離して内蔵するように構成してもよい。言い換えると、アンテナ102を、カード100の挿入方向と反対方向の面(側面13)以外の面から波長以上離して配置してもよい。これにより、さらに効率的にシールド効果を高めることができる。
【0026】
一般に入出力端子103は、カード100の挿入方向に配置される場合が多い。従って、入出力端子103と対面する面は、カードスロット203の開口面となっている場合が多い。そこで、アンテナ102を、カード100の側面のうち入出力端子103に最も近い1面(側面10)と対面する面(側面13)以外の面から無線信号の波長以上離して内蔵するように構成してもよい。これにより、さらに効率的にシールド効果を高めることができる。
【0027】
図5は、図1と異なる形状のカード100−2の一例を示す図である。図6は、カード100−2をカードスロット203に挿入した状態の例を示す図である。図5および図6に示すように、カード100−2は、上面から観察した場合に四角形となる直方体の形状であってもよい。
【0028】
このように、第1の実施形態にかかるカード装置では、効率的に無線通信部から放射される電磁ノイズを低減することができる。また、無線信号としてミリ波を用いれば、波長が短くなるため波長分の距離をとりやすくなる。
【0029】
(第2の実施形態)
カード100に無線通信部101以外の部品(例えば、メモリ、メモリコントローラ、および、その他の電子部品)が内蔵される場合、これらの部品を配置するスペースを確保することが望ましい。第2の実施形態では、部品のためのスペースを確保できるように無線通信部101を配置する。
【0030】
図7は、第2の実施形態にかかるカード100−3の一例の上面図である。図8は、図7のB−B’断面図である。第2の実施形態にかかるカード100−3は、カード100−3内での無線通信部101の配置、および、無線通信部101内でのアンテナ102の配置が、第1の実施形態と異なっている。
【0031】
すなわち、第2の実施形態では、無線通信部101が、カード100−3の中心線701に対して側面12の方向にずらして配置される。また、アンテナ102が、無線通信部101の中心線702に対して、無線通信部101をずらす方向(側面12の方向)と逆方向にずらして配置される。
【0032】
このように配置すると、カード100−3の内部にまとまったスペースを確保しやすくなり、無線通信部101以外の部品等を内蔵しやすくなる。また、無線通信部101をカード100−3の端部に寄せて配置した場合でも、アンテナ102とカード100−3の側面との距離を確保しやすくなる。
【0033】
このとき、例えば、アンテナ102を、無線通信部101のいずれか1つの側面から無線信号の波長以上離してもよい。このようにすると、この側面をカード100−3の側面に接近させて無線通信部101を配置することができるので、さらに効率的にスペースを確保できる。
【0034】
このように、第2の実施形態では、シールドの効果を向上させつつ、カード内のスペースを有効利用できるようになる。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
100、100−2、100−3 カード
101 無線通信部
102 アンテナ
103 入出力端子
203 カードスロット
204 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に接続されるカード装置であって、
無線通信を行う無線通信部を備え、
前記無線通信部は、
前記カード装置の側面のうち少なくとも1面から、前記無線通信部の無線信号の波長以上離れたアンテナを備えること、
を特徴とするカード装置。
【請求項2】
前記アンテナは、前記側面のうち、前記カード装置の挿入方向と反対方向の面以外の面のそれぞれから、前記波長以上離れていること
を特徴とする請求項1に記載のカード装置。
【請求項3】
前記無線通信部は、前記カード装置の挿入方向と直交する方向の2つの前記側面のうち、一方の面の方向に寄せて配置され、
前記アンテナは、前記無線通信部内で、前記一方の面の方向と反対方向に寄せて配置されること、
を特徴とする請求項2に記載のカード装置。
【請求項4】
前記アンテナは、前記側面のうち、前記機器と接続する端子に最も近い1面と対向する面以外の面のそれぞれから、前記波長以上離れていること
を特徴とする請求項1に記載のカード装置。
【請求項5】
前記無線通信部は、前記機器と接続する端子に最も近い1面と隣接する2つの前記側面のうち、一方の面の方向に寄せて配置され、
前記アンテナは、前記無線通信部内で、前記一方の面の方向と反対方向に寄せて配置されること、
を特徴とする請求項4に記載のカード装置。
【請求項6】
前記無線信号はミリ波信号であること、
を特徴とする請求項1に記載のカード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−21484(P2013−21484A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152911(P2011−152911)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】