説明

カード送り装置

【課題】 カードの搬送力を増大させ、磁気情報の読み込み/書き込み、印字の位置ずれ、文字の伸び縮み、およびまたはカード詰まりを防止できるカード送り装置を提供する。
【解決手段】 送りローラ付き駆動軸と送りローラ付き駆動従動軸とを適宜の間隔をおいて複数対向させ、それらの間にカード送り通路を形成し、このカード送り通路の上下流には磁気ヘッドとサーマルヘッドとをそれぞれ設置する。そして、送りローラ3付き駆動軸7と送りローラ21付き駆動従動軸25の各端部に動力伝達用の歯車32を嵌着して相互に噛み合わせる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気カードの記録内容を読み/書きしたり、所定の文字を印字したりする磁気カード・リーダー/ライターなどのカード送り装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のカード送り装置は、図5および図6R>6に示すごとく、左右のカードガイド板1・2の間に送りローラ3・4・5・6・36付き駆動軸7・8・9・10・37と送りローラ21・22・23・24付き従動軸25・26・27・28とを上下に対向させてそれらの間にカード送り通路35を形成し、このカード送り通路35の上流 (図5の左側) 下方には磁気ヘッド29を設置するとともに、カード送り通路35の下流 (図5の右側) 上方にはサーマルヘッド30を設けている。
【0003】送りローラ3・4・5・6・36付き駆動軸7・8・9・10・37は、その各中央部に送りローラ3・4・5・6・36を備えるとともに、カードガイド板1・2に軸支され、第1モータ13により送りローラ3・4付き駆動軸7・8が2本のベルト14・15を介して駆動されるとともに、第2モータ16により送りローラ5・6・36付き駆動軸9・10・37が3本のベルト17・18・19を介して駆動される。また、送りローラ21・22・23・24付き従動軸25・26・27・28は、その各中央部に送りローラ21・22・23・24を備え、送りローラ3・4・5・6・36付き駆動軸7・8・9・10・37の直上にそれぞれ対向配置されており、カードガイド板1・2の間に弾圧付勢状態で軸支されている。
【0004】したがって、カード31は、カード挿入口34からカード送り通路35に挿入されると、第1モータ13と第2モータ16との各駆動により、カード送り通路35の上流から下流に搬送され (図6参照) 、この際に磁気ヘッド29により磁気データが読み込み/書き込みされるとともに、サーマルヘッド30により印字される。そしてその後、上流のカード挿入口34に再び搬送されて外部に排出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のカード送り装置は、以上のように構成され、カード31の搬送力が小さいので、カード31が折れ曲がっていたり、カード31が濡れていたり、或いは、送りローラ3・4・5・6・36・21・22・23・24が汚れていたりすると、カード31の搬送に支障が生じるおそれがあった。すなわち、これらの場合、磁気データの読み込み/書き込み、印字の位置ずれ、およびまたは印字文字の伸び縮みが発生し、最悪の場合にはカード送り装置の内部でカード31が詰まって動かなくなるおそれがあった。
【0006】このような問題を解消するには、カード31の搬送力を増大させれば良いが、そうすると、送りローラ3・4・5・6・36・21・22・23・24の加圧力向上や材質変更、カード送り通路35の面積の拡大、駆動力伝達用のベルト14・15・17・18・19のテンション向上、および駆動トルクの大きい第1・第2モータ13・16の採用を図らねばならず、構造の大型化・複雑化、および製造コストの上昇を招くこととなる。
【0007】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、比較的簡易な構成でカードの搬送力を増大させ、磁気情報の読み込み/書き込み、印字の位置ずれ、印字文字の伸び縮み、およびまたはカード詰まりを防止できるカード送り装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明においては、上記目的を達成するため、送りローラ付き駆動軸と送りローラ付き従動軸とを適宜の間隔で複数対向させてそれらの間にカード送り通路を形成し、このカード送り通路の途中には情報読み取り書き込み手段と印字手段とをそれぞれ配置したものにおいて、上記送りローラ付き駆動軸と該送りローラ付き従動軸とを互いに歯車で噛合させるようにしている。なお、上記歯車の歯たけを高くした特殊歯車とし、上記送りローラ付き駆動軸と該送りローラ付き従動軸との軸間距離を拡大できるようにすると良い。
【0009】本発明によれば、動力が送りローラ付き駆動軸から歯車を介して送りローラ付き従動軸に伝達され、これらローラ付き駆動軸と送りローラ付き従動軸の回転作用によりカードが大きな搬送力で搬送される。そして、カードの磁気情報が情報読み取り書き込み手段に読み/書きされるとともに、印字手段によりカードに文字、模様、記号、又はこれらの結合などが適宜記録される。また、請求項2記載の発明によれば、歯たけを高くした歯車を使用することにより、駆動側と従動側との軸間の距離を大きくできるので、薄いカードだけではなく、厚いカードでも円滑に搬送することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を印字機能付き磁気カード・リーダー/ライターに適用した実施の形態を図1ないし図3を参照して説明する。本実施形態のカード送り装置は、左右のカードガイド板1・2の間に送りローラ3・4・5・6付き駆動軸7・8・9・10がそれぞれ適宜間隔をおいて水平に軸支されている。送りローラ5・6付き駆動軸9・10の間にはプラテンローラ11付き駆動軸12が軸支され、上流の送りローラ3・4付き駆動軸7・8は第1モータ13により2本のベルト14・15を介してそれぞれ駆動されるとともに、下流の送りローラ5・6付き駆動軸9・10、およびプラテンローラ11付き駆動軸12は第2モータ16により3本のベルト17・18・19を介してそれぞれ駆動される。なお、送りローラ4の近傍にはヘッドローラ20が嵌着されている。また、送りローラ3・4・5・6付き駆動軸7・8・9・10にはそれぞれ対向して送りローラ21・22・23・24付き駆動従動軸25・26・27・28が、送りローラ3−21・4−22・5−23・6−24が圧接されるよう左右のカードガイド板1・2の間に弾圧軸支されている。また、ヘッドローラ20の下方近傍には磁気ヘッド29が対向して設けられている。また、プラテンローラ11の上方にはサーマルヘッド30がXY方向に近接自在に設置されている。送りローラ3・4付き駆動軸7・8によるカード31の搬送速度は、送りローラ5・6付き駆動軸9・10によるカード31の搬送速度よりも早く設定されている。このため、送りローラ23付き駆動従動軸27は、カード31の最後尾 (図1の左端) が送りローラ4付き駆動軸8、および送りローラ22付き駆動従動軸26の送りローラ22から離れるまで若干持ち上げられ、搬送速度の相違による不具合などを防止できるようになっている。さらに、一対の送りローラ付き駆動従動軸7−25・8−26・9−27・10−28は、その軸端において互いに歯車32で噛み合わされている。この歯車32は、標準の平歯車32でも良いが、この実施形態では歯たけ33の高い特殊な歯車32とし、図4 (a)に示すように軸間の距離を例えば0.5mm拡げても噛合するようにしてある。
【0011】さらにまた、カード31は、塩化ビニルシートやポリエチレンテレフタレートなどの材料から形成され、その表裏面には図示しない強磁性体の記録部とサーマル印字部とがそれぞれ形成されており、プリペイドカードやプレミアムカードなどとして利用される。なお、このカード31は、JISX6311の規格に基づき、厚さ0.20〜0.8mm、長さ85.4〜85.8mmの範囲で適宜構成される。
【0012】したがって、カード挿入口34からカード31を挿入すると、第1モータ13がONとなり、カード31が送りローラ3−21・4−22によりカード送り通路35の下流の後方側に搬送され、磁気ヘッド29により磁気データの読み込み/書き込みが行われる。次いで、カード31の先端がサーマルヘッド30を10mm超える位置まで搬送されるが、送りローラ23およびサーマルヘッド30は、搬送路から約2mm程度浮いた状態となっている。カード31がプラテンローラ11とサーマルヘッド30の間に搬送されると、送りローラ23およびサーマルヘッド30がカード31にそれぞれ接触し、第2モータ16により送りローラ5・6、およびプラテンローラ11それぞれがカード31を搬送し、カード31上にサーマル印字が行われる。その後、カード31は、カード挿入口34に再び搬送されて外部に排出されることとなる。
【0013】カード31が磁気ヘッド29およびサーマルヘッド30に接触した位置ではカード31にそれらの荷重が作用する。このため、搬送力をそれだけ強くする必要があり、通常の約2倍必要である。本発明では各駆動軸7・8・9・10と各従動駆動軸25・26・27・28とを歯車32で相互に噛合させ、搬送力に差が生じないようにしたので、カード31に十分な搬送力を加えることができ、カード31に何時も安定した大きな搬送力を加えることが可能となる。したがって、磁気データが正常に書き込まれ、印字の位置ずれによる印字文字の伸び縮みが発生することも全くない。また、カード31自体が機器内部に詰まるトラブルを確実に防止することができる。なお、本発明のカード送り装置を、磁気カードの異なる他のリーダー/ライターなどにも適用できることはいうまでもない。
【0014】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、比較的簡易な構成でカードの搬送力を増大させ、情報の読み込み/書き込み、印字の位置ずれ、印字文字の伸び縮み、およびまたはカード詰まりを防止できるカード送り装置を提供することができるという格別の効果がある。また、請求項2記載の発明によれば、肉厚の薄いカードだけではなく、肉厚の厚いカードをも円滑かつ容易に搬送することが可能になるという顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカード送り装置の歯車側からみたカード送り通路部分の側面説明図である。
【図2】図1に示すカード送り装置の平面図である。
【図3】図2の要部拡大斜視図である。
【図4】(a) 、 (b) は図3の要部拡大正面図で、 (a) は軸間の距離が規定状態の噛合関係を示し、 (b) は (a) に示す送りローラ付き駆動軸と送りローラ付き駆動従動軸の軸間距離を拡げた状態を示す説明図である。
【図5】従来のカード送り装置におけるカード送り通路部分の側面説明図で、カードがサーマルヘッド部に至る前の状態を示している。
【図6】図5のカードがサーマルヘッド部に搬送され、サーマルヘッドが下降した状態を示す側面説明図である。
【符号の説明】
3・4・5・6・36…送りローラ
7・8・9・10・37…送りローラ付き駆動軸
11…プラテンローラ
12…プラテンローラ付き駆動軸
13…第1モータ
14・15・17・18・19…ベルト
16…第2モータ
20…ヘッドローラ
21・22・23・24…送りローラ
25・26・27・28…送りローラ付き駆動従動軸 (送りローラ付き従動軸)
29…磁気ヘッド (情報読み取り書き込み手段)
30…サーマルヘッド (印字手段)
31…カード
32…歯車
33…歯たけ
35…カード送り通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 送りローラ付き駆動軸と送りローラ付き従動軸とを適宜の間隔で複数対向させてそれらの間にカード送り通路を形成し、このカード送り通路の途中には情報読み取り書き込み手段と印字手段とをそれぞれ配置したカード送り装置において、上記送りローラ付き駆動軸と該送りローラ付き従動軸とを互いに歯車で噛合させたことを特徴とするカード送り装置。
【請求項2】 上記歯車の歯たけを高くした特殊歯車とし、上記送りローラ付き駆動軸と該送りローラ付き従動軸との軸間距離を拡大できるようにした請求項1記載のカード送り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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