説明

カード類の真贋判定装置

【課題】 従来のカード類の真贋判定装置にあっては無効を示すパンチ穴が穿設されたものについて、そのパンチ穴の位置によっては有無を確認できず有効で真正なものと判定してしまう虞があったという点である。
【解決手段】 ケーシングの前面に設けられ、両縁に挿入ガイドを備え、先端に切り欠きを形成したカード挿入口に挿入されるカードの表面と対向する位置で発光ユニットと受光ユニットとを並設し、その受光ユニットは発光ユニットからの光をカード表面で反射した反射光を受光する構成としてあることとし、前記した発光ユニットと受光ユニットは一つの筐体内に固定収容されていることとし、又は前記した発光ユニットと受光ユニットは独立単体のものとして相互に隣接したセットとして並設されていることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカード類、主として自動二輪車も含めた自動車運転免許証の真贋判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動販売機によって本来は未成年者に対する販売が規制されているアルコール飲料、タバコをはじめ成人向けの録画済ビデオテープ、DVD、雑誌等が自由に購入できる状態となっている。
【0003】
かかる商品を取扱う自動販売機には現在年齢を確認し、購入可能状態にセットアップをするため、自動車運転免許証を年齢の証明証として挿入させ、年齢を算出確認する運転免許証の識別装置が附設されるようになってきている。
【0004】
しかしながら、従来の一般的な運転免許証の識別装置はコピー機やプリンタを使用した偽造免許証に対する対応が十分ではなく、特に真正の運転免許証の生年月日の記載欄にコピー機で作成した数字を切り貼りしたタイプの偽造免許証を識別できるものはなく、本願発明者はこれに対して特許文献1で示すような装置を開陳した。
【0005】
この特許文献に示される装置は、ケーシングの前面に運転免許証の挿入口が形成され、この挿入口には挿入した運転免許証が摘み出し易いように切り欠きを備えるとともに、運転免許証の挿入を可能としている。
【0006】
挿入口に続いては光学系のセンサーで挿入を検知し、駆動する引き込みローラとそのローラと転接する補助ローラが備えられ、それに続く搬路には可視光センサー、赤外線センサー、透過型の可視光センサーが備えられ、紫外線センサーも設けられ、サイズセンサーや奥端まで運転免許証が到達し、計測終了を検出するエンドセンサーが設けられている。
【0007】
さらに、運転免許証に記載された生年月日を横方向から読み取るラインセンサーを設けてあり、貼り付けを検出することも可能とし、前記センサー群で運転免許証の紋様や写真も確認できる。
【0008】
しかしながら、運転免許証には有効期限があり、この期限が切れたものは一般的にパンチ穴が穿設され、それが無効である旨を示す。このパンチ穴は穿設すべき位置が決められているものではなく、仮に生年月日の記載欄や写真欄等、従来の装置でチェックすべき位置以外にパンチ穴が穿設されると、従来の装置ではそのパンチ穴の有無を確認できず、無効のものでも真正の免許証として認識してしまう虞がある。
【特許文献1】特開2001−266206号公報
【特許文献2】特願2008−108944号出願書類
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする問題点は従来のカード類の真贋判定装置にあっては無効を示すパンチ穴が穿設されたものについて、そのパンチ穴の位置によっては有無を確認できず有効で真正なものと判定してしまう虞があったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この問題点を解決するために、本発明に係るカード類の真贋判定装置はケーシングの前面に設けられ、両縁に挿入ガイドを備え、先端に切り欠きを形成したカード挿入口に挿入されるカードの表面と対向する位置で発光ユニットと受光ユニットとを並設し、その受光ユニットは発光ユニットからの光をカード表面で反射した反射光を受光する構成としてあることを特徴とし、前記した発光ユニットと受光ユニットは一つの筐体内に固定収容されていることを特徴とし、前記した発光ユニットと受光ユニットは独立単体のものとして相互に隣接したセットとして並設されていることを特徴とし、前記した筐体もしくはセットとカード挿入口との間隔はカード類を摘み出す少なくとも二本の指先が入るのに十分なサイズがあることを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係るカード類の真贋判定装置は前記した発光ユニットは高周波交流点灯され、受光ユニットは受光した光に含まれる交流光の有無、あるいは発光ユニットと位相同期し安定受光された光に含まれる交流信号の存在によって挿入されたカード類における透孔の有無を検出可能とし、周囲からの太陽光や電灯の不要な光を除外することを特徴とし、前記した発光ユニットは基板に所定ピッチで並設された複数個のLEDと光拡散用の透明板とより構成され、受光ユニットは発光ユニットと同一サイズとし、透明で長尺の集光部材とその集光部材の端部に設けた受光素子とより構成され、前記した発光ユニットと受光ユニットはインターフェースや表示部と接続される制御ユニットと接続されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るカード類の真贋判定装置は上記のように構成されている。そのため、従来の判定装置の機能に加え、発光ユニットと受光ユニットとの組み合わせによって無効を示すパンチ穴の存在をカード全面に亘ってチェックし、確認する事ができるので、無効となったカードを使用する詐害行為を一切排除する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図面として示し、実施例で説明したように構成することで実現した。
【実施例1】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施の一例を目的とするカード類を運転免許証として図面を参照して説明する。図1は本発明に係るカードの真贋判定装置の要部を示す斜視図、図2は同じく取り付け状態を示す斜視図、図3は同じく発光ユニットと受光ユニットを示す正面図、図4は同じく表示部を示す図、図5は同じく電子回路ブロック図である。
【0015】
これらの図にあって格別に図示しないケーシングの前面には運転免許証の挿入口2が形成されている。この挿入口2の両サイドには大型の免許証のサイズに合わせた側縁ガイド壁2a、2aが一体に形成され、前端には返却時に運転免許証を摘み出し易くする切り欠き2bが形成されている。
【0016】
挿入口2に続いては、運転免許証の挿入を検知し、メカニズムを起動させる光学系のセンサーが有り、このセンサーの検知で駆動するローディングのためのローラがあり、そのローラに続く搬路には可視光センサー及び赤外線センサー、それに続いて透過型の可視光センサーが備えられている。
【0017】
さらには、紫外線センサーとサイズセンサー及び運転免許証が奥端まで到達し、計測を終了したことを検出するエンドセンサーと、生年月日を読み取る密着型のラインセンサーがあり、このラインセンサーにはCPUから信号を受け、コピー紙等の貼り付けを検知するLEDも設けられている。
【0018】
一方、図中3は挿入口2の上方へ固定設置される発光ユニットで、4はその発光ユニット3からの反射光を受ける受光ユニットを示し、この発光ユニット3と受光ユニット4は筐体20内に並設固定され、挿入口2との間に少なくとも二本の指でその間に存在する運転免許証を摘み出す事ができるように10mm程度の間隔を有している。尚、図中21は運転免許証22の走行にあって指で摘める部分を示し、走行距離の重なり部分を示す。尚、この発光ユニット3と受光ユニット4は独立単体として隣接してセットとして並設することもでき、対象に応じて光の照射もしくは受光の角度を調整することも可能とできる。
【0019】
この発光ユニット3は基板5に対し、所定のピッチで横方向に並設された複数個のLED6、6‥と、運転免許証の幅の全域に光が照射されるように図った透明プラスチック製の光拡散板7とを有し、全体としての高さ寸法は30mm程度奥行は16mm、幅特に光拡散板7の横幅は運転免許証と合わせて55mmを想定している。
【0020】
また、受光ユニット4はLED6、6‥、強いては光拡散板7からの光を運転免許証22の表面で反射された反射光を受ける長尺で運転免許証の幅に対応する集光部材8と、その集光部材8の端部に設けられた一つの受光素子9とより構成され、この受光ユニット4も発光ユニット3と同様に寸法特に集光部材8を55mmと想定している。また、受光ユニット4の集光部材8の周面は天面をアール状とされ、その内面に反射体を貼装することでより一層集光部材8での受光機能を高められ、内側壁面にも反射体24を貼装すればさらにその機能が高められる。
【0021】
発光ユニット3ではLED6、6‥が高周波交流点灯されるもので、受光ユニット4では受光した光に含まれる交流光の有無、あるいは発光ユニット3と位相同期し安定に受光された光に含まれる交流信号の存在によって運転免許証のパンチ穴23の検出を行なうこととしているので、太陽光や電灯光等の周囲から侵入する不要な光とは明確に区別され、誤動作を生じることはない。
【0022】
そして、図中10は発光ユニット3と受光ユニット4とによって無効を示すパンチ穴23の有無の検出作業を外部に出力する制御ユニットで、この制御ユニット10は具体的には表示部11にパンチ穴23を検出した場合、無効の旨の表示を行ない、他の要素の検出は停止して運転免許証を直ちに返却することとなる。
【0023】
運転免許証を挿入口2から挿入すると、ローラが駆動してローディングされ、奥端まで到達するとエンドセンサーがそれを検知し、モータを逆転させて運転免許証を外方へ送り出し、運転免許証の端部を16mm突出させた状態とする。
【0024】
ここで、何らかの故障が生じても16mmは確保されているので、指で摘んで取り出す行為には何ら支障が生じることはない。
【0025】
このパンチ穴23の有無のチェックをクリアした運転免許証は可視光センサー、赤外線センサーで写真と対応して波長による反射率の相違を利用して真贋を判定し、紫外線センサーはコピー等の紙質の相違を反射率でチェックする。また、ラインセンサーによって生年月日欄における貼り付けもチェックする。
【0026】
こうして、全てをクリアした場合には表示部11に「受付可」「購入可」外部機器に対しては「販売可」「入場可」等の表示をする。基準以下であれば「不可」となる。各光学系センサーで受光された受光ユニット4以外のアナログ値はマルチプレクサを経由し、多重化されてA/Dコンバータで変換されCPUに取り込まれ、真贋の判定をすることとなる。また、ラインセンサーでのアナログ値は高速A/Dコンバータで変換されてCPUに取り込まれ、数値を認識させて基準年齢に達しているか否かの算定がなされる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係るカード類の真贋判定装置は上記のように構成されている。実施例では対象を運転免許証としたが、これにこだわるものではなく、他の目的のカード類にも応用実施できることは勿論であり、またカード挿入部の配置によっては発光ユニット3と受光ユニット4を収容した筐体20やセットを上位置ではなく左右位置や前後位置にすることも可能でそのカード挿入部が斜め方向に形成されればそれと対応する形態とすることも勿論可能である。なお、本実施例は既存の装置に発光ユニット3と受光ユニット4を後付けすることも可能としたものであるが、ケーシングの前面を延設して、予め発光ユニット3、受光ユニット4を筐体20内に収容してあるいはセットとしてケーシング内に内包してしまう形態とすることもできる。
【0028】
また、カードに半導体回路を使用した場合、通常は内部情報の書き換え等の手段で有効無効を設定しているが、外観として一見してそれを判定することは困難で、パンチ穴の穿設は無効表示として極めて有効で機械による検知のほか、視力の不自由な場合でも触手で判定できるので、内部情報の書き換えよりも無効を示す手段として望ましく、そのパンチ穴に対応する判定装置は非常に有効となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るカードの真贋判定装置の要部を示す側断面図である。
【図2】平面図である。
【図3】Aは発光ユニットを示す正面図、Bは受光ユニットを示す正面図である。
【図4】表示部を示す図である。
【図5】電子回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0030】
2 挿入口
2a 側縁ガイド壁
2b 切り欠き
2d 透光部
3 発光ユニット
4 受光ユニット
5 基板
6 LED
7 光拡散板
8 集光部材
9 受光素子
10 制御ユニット
11 表示部
20 筐体
21 重なり部分
22 運転免許証
23 パンチ穴
24 反射体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの前面に設けられ、両縁に挿入ガイドを備え、先端に切り欠きを形成したカード挿入口に挿入されるカードの表面と対向する位置で発光ユニットと受光ユニットとを並設し、その受光ユニットは発光ユニットからの光をカード表面で反射した反射光を受光する構成としてあることを特徴とするカード類の真贋判定装置。
【請求項2】
前記した発光ユニットと受光ユニットは一つの筐体内に固定収容されていることを特徴とする請求項1に記載のカード類の真贋判定装置。
【請求項3】
前記した発光ユニットと受光ユニットは独立単体のものとして相互に隣接したセットとして並設されていることを特徴とする請求項1に記載のカード類の真贋判定装置。
【請求項4】
前記した筐体もしくはセットとカード挿入口との間隔はカード類を摘み出す少なくとも二本の指先が入るのに十分なサイズがあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカード類の真贋判定装置。
【請求項5】
前記した発光ユニットは高周波交流点灯され、受光ユニットは受光した光に含まれる交流光の有無、あるいは発光ユニットと位相同期し安定受光された光に含まれる交流信号の存在によって挿入されたカード類における透孔の有無を検出可能とし、周囲からの太陽光や電灯の不要な光を除外することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載のカード類の真贋判定装置。
【請求項6】
前記した発光ユニットは基板に所定ピッチで並設された複数個のLEDと光拡散用の透明板とより構成され、受光ユニットは発光ユニットと同一サイズとし、透明で長尺の集光部材とその集光部材の端部に設けた受光素子とより構成され、前記した発光ユニットと受光ユニットはインターフェースや表示部と接続される制御ユニットと接続されていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載のカード類の真贋判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−279853(P2009−279853A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135057(P2008−135057)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(504284401)有限会社ノア (24)
【Fターム(参考)】