説明

カーナビゲーションシステム

【課題】高速なCPUや高性能な描画処理部を必要とすることなく、運転者に対するリアルタイムな経路案内と、非運転者に対する非経路案内表示及び目的地設定や周辺検索などのカーナビゲーション機能の操作とを両立させること。
【解決手段】表示装置200は、CPU210、操作部220、2つの表示画面250A,250Bに対応する描画処理部230,240を備え、ナビゲーションに関する処理についてはナビゲーション装置100内で行うとともに、運転者に対する描画処理と非運転者に対する描画処理は、表示装置200の描画処理部230,240でそれぞれ完結して実行する。ナビゲーション装置100と表示装置200とで機能分担する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーションシステムに係り、特に、運転者から見える表示装置と運転者以外の同乗者(非運転者)から見える表示装置とを備えるカーナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されるカーナビゲーション装置が知られている。従来のカーナビゲーションシステムでは、常時リアルタイムに自車位置を検出し、自車位置と自車位置周辺の地図を表示画面に表示する。また、操作部から住所や電話番号などの情報を入力したり、地図からある地点を直接指定したりすることで目的地を設定すると、自車位置から目的地までの経路を探索して表示画面に示し、走行中は目的地までの経路案内を自車の走行に合わせてリアルタイムに行う。さらに、地図上のある地点における周辺の店舗や駐車場の情報をアイコン表示したり、店舗の詳細情報や駐車場の空き情報などを表示することも可能である。
【0003】
このようなカーナビゲーションシステムでは、車両停車中は、カーナビゲーションの機能を全て実行することができるが、走行中は運転者がカーナビゲーションシステムを操作することの危険性を回避するために実行できる機能が制限される。しかし、非運転者例えば助手席に居る人が、周辺検索、周辺情報表示、目的地設定の操作を行うことができると便利である。特許文献1には、表示画面である液晶表示パネルの前面に視野角制御シャッターを配置し、それを駆動して運転席側からと助手席側から見える映像を制御することで、助手席側に座った非運転者が目的地設定、検索等の操作を可能にする技術が記載されている。
【特許文献1】特開2005−55611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の2画面カーナビゲーション装置にあっては、2画面表示のためにカーナビゲーション装置の制御部の負荷が大きく以下のような問題点があった。
【0005】
例えば、一方の表示画面で運転者に対する経路案内を行いつつ、他方の表示画面で非運転者からの周辺検索、周辺情報表示、目的地設定などの操作を可能にしようとする場合には、ナビゲーション装置のCPUの処理負荷は非常に大きい。特別に設計した処理能力の高いCPUを用いれば、上記並列処理は可能であるが、かかるCPUは高価であり、また2画面表示を行わない汎用のカーナビゲーション装置に適用するにはオーバースペックとなるばかりか設計変更が必要である。このため、コスト及び汎用性の点で問題がある。
【0006】
現行のナビゲーション装置が搭載するCPUを用いた場合、現在位置検出、経路案内、描画処理部で行う描画処理などでの負荷が大きいため、経路案内を行う際の自車位置表示や交差点案内などリアルタイムで行う必要のある処理に遅延が生じる問題や、周辺検索や目的地変更をする際には一旦経路案内を停止しなければならない問題がある。また、運転者と非運転者のどちらが操作したかを判別した上で、停車中か走行中かなどの判別を行い、さらに操作に対する処理を行う必要があったため、アルゴリズムが複雑になる問題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、高速なCPUや高性能な描画処理部を必要とすることなく、運転者に対するリアルタイムな経路案内と、非運転者に対する非経路案内表示及び目的地設定や周辺検索などのカーナビゲーション機能の操作とを両立させることができるカーナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカーナビゲーションシステムは、表示装置と、ナビゲーション機能を実現するための処理プログラムを実行する制御部を有するナビゲーション装置とを備えるカーナビゲーションシステムであって、前記ナビゲーション装置は、センサ情報及び経路情報データベースを用いて経路案内情報を作成する経路案内情報作成手段と、作成された経路案内情報を基に地図を含むナビゲーション用の描画処理を行う第1描画処理手段とを備え、前記表示装置は、目的地設定又は検索を操作する操作手段と、前記操作手段による操作、及び前記ナビゲーション装置からの情報を基に経路案内に関連する関連情報を作成する関連情報作成手段と、作成された関連情報を基にメニュー画面を含む関連情報を図形化する描画処理を行う第2描画処理手段とを備える構成を採る。
【0009】
前記表示装置は、運転者及び非運転者用の複数の表示装置からなるものであってもよく、例えば、前記運転者用の表示装置は、前記第1描画処理手段により作成された情報を表示し、前記非運転者用の表示装置は、前記第2描画処理手段により作成された前記関連情報を表示する。
【0010】
前記表示装置は、第1及び第2の方向のいずれか一方から見ることが可能な表示と、第1及び第2の両方から見ることが可能な表示とを切替えて表示可能な表示パネルを備えるものであってもよく、例えば、前記第1描画処理手段により作成された情報を前記第1の方向の表示情報として表示し、前記第2描画処理手段により作成された前記関連情報を前記第2の方向の表示情報として表示する。
【0011】
さらに、前記表示装置は、前記操作手段による操作が、運転者か非運転者のいずれで行われたかを判別する判別手段を備えるものであってもよく、また、前記判別手段により前記操作が非運転者であると判別されたとき、前記関連情報の検索又は設定を許可するものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ナビゲーション装置の制御部において、操作部からの操作に対するアルゴリズムを簡素化することができ、また、高速なCPUや高性能な描画処理部を必要としないため、コスト低減を図ることができ、また既存のナビゲーション装置をそのまま利用できるため汎用性に優れる効果がある。
【0013】
表示装置で各種操作又は目的地設定などがいつでも行えるため、自動車が走行中に運転者に対するリアルタイムな経路案内を行いつつ、助手席や後部座席に座っている非運転者が自由にDVDやテレビを観たり、目的地設定や周辺検索などのカーナビゲーション機能の操作をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。本実施の形態はカーナビゲーションシステムを構成する表示装置としてダッシュボードに設置された表示装置に適用した例である。
【0016】
図1において、100はナビゲーション装置、200は運転席と助手席間のダッシュボードに設置され、カーナビゲーション情報を表示する表示装置である。ナビゲーション装置100と表示装置200は、フレキシブルケーブルなどの外部バス160を介して接続される。
【0017】
ナビゲーション装置100は、CPU110、ナビゲーション(ナビ)描画処理部120、カメラ入力部130、カーナビゲーションに関する各種情報を検出するセンサ140、及び半導体メモリ,HDD,光磁気ディスクなどからなる記憶部150を備えて構成される。
【0018】
CPU110は、ナビゲーション装置100全体の制御を行うとともに、GPS(Global Positioning System)受信機141出力から現在位置を検出する現在位置検出部111、入力された出発地と目的地を結ぶ最適な経路を計算する経路探索部112及び経路案内制御部113で示されるナビゲーションプログラムを実行する。
【0019】
CPU110は、センサ140よりGPS受信機141、ジャイロ142、車速パルスセンサ143などのセンサ情報をリアルタイムで受信し、現在位置検出部111によりGPSや走行距離などから自車位置を検出する。また、経路探索部112で記憶部150の地図情報DB151、経路情報DB152を利用して現在位置から目的地までの経路を探索し、経路案内制御部113により経路案内を行う。目的地設定に関しては記憶部150にある地点情報DB153を利用する。ナビ描画処理部120は、2D/3D地図の描画や、記憶部150のランドマークDB154を用いたランドマーク描画や、カメラ入力部130より入力された画像の取り込みをキャプチャ部122により行う。
【0020】
ナビ描画処理部120は、描画部121、及びカメラ入力部130により撮像された画像を取り込むキャプチャ部122を備え、これらは高速でナビゲーション描画処理を行うための専用回路により構成される。
【0021】
カメラ入力部130は、CCD(Charge Coupled Device)(エリア型固体撮像素子)カメラ等から構成され、対象となる画像情報を入力する。
【0022】
センサ140は、GPS受信機141、ジャイロ142、及び車速を検出する車速パルスセンサ143を含んで構成される。GPS受信機141は、GPS衛星より、位置情報の電波を図示しないGPSアンテナを介して受信し、受信した位置情報と現在位置情報から、緯度/経度の2つのパラメータとして算出する。CPU110は、GPS受信機141、ジャイロ142、及び車速パルスセンサ143や加速度センサ等を用いて移動状態を判別することができる。
【0023】
記憶部150は、地図情報を記録するDVD(Digital Versatile Disk)等からなる地図情報データベース(DB)151、経路情報DB152、地点情報DB153、ランドマーク情報DB154を含んで構成される。これらデータベースは、DVDやハードディスクドライブ(HDD)等の外部記憶装置に蓄積される。
【0024】
表示装置200は、例えばダッシュボードに備え付けられ、運転席ためのナビゲーション情報の表示、及び助手席の非運転者からの周辺検索、周辺情報表示、目的地設定などの操作及び表示を行う。
【0025】
表示装置200は、CPU210、操作部220、描画処理部230、描画処理部240、表示画面250A及び表示画面250Bを表示する表示パネル250を備えて構成される。また、図示は省略するが拡声用スピーカを備える。なお、音声を入力するためのマイク、受信信号及びマイクからの入力音声信号をデジタル信号処理する音声信号処理部、音声認識部を備えることにより、音声入力による操作も可能である。
【0026】
操作部220は、タッチ入力可能なタッチパネル221、入力やモード切替え等を行うハードキー222、リモコン装置223などを備え、これら操作により目的地設定や周辺検索が可能である。
【0027】
描画処理部230は、描画部231により表示画面250Aの描画処理を、描画処理部240は、描画部241により表示画面250Bの描画処理を行う。
【0028】
表示パネル250は、視野角制御シャッター(図示略)と、タッチ入力可能なタッチパネル221とを積層したドットマトリクス構成のLCDディスプレイ及び各ドライバ等で構成される。例えば、表示画面250Aに経路案内表示を、表示画面250Bに目的地設定や周辺検索表示を表示する。また、必要に応じて表示用照明(バックライト)が点灯又は点滅する。視野角制御シャッターは、1画素に対応する領域に偏光板と、偏光板の上に配置されたマイクロプリズムと、ITO等からなる電極からなるシャッターセルとを配置し、各シャッターセルを、第1乃至第3の駆動信号のいずれかの駆動信号を選択駆動して、運転席側又は助手席側、さらに運転席側及び助手席側で同じ映像を表示する。タッチパネル221は、表示パネル250の表面上に設けられ、タッチパネル221の有効部分は表示パネル250の表示部分全面と同等である。タッチパネル221に触れることにより、ユーザ操作が可能になる。
【0029】
なお、TVチューナ、ビデオカメラ等を接続してその映像を表示装置200に表示したり、CDプレーヤ等を接続して拡声用スピーカから再生音を出力してもよい。
【0030】
図2は、上記表示装置200の表示パネル250の表示画面を模式的に示す図である。
【0031】
表示パネル250は、上述した視野角制御シャッターを備え、運転席側又は助手席側、さらに運転席側及び助手席側で同じ映像を表示することができる。
【0032】
運転者側と非運転者側とで別々の表示を行う際は、図2の表示画面250A及び表示画面250Bに示すように、元の画像表示の解像度の半分ずつで描画を行う。図2では、表示パネル250の半分の箇所で表示画面250Aと表示画面250Bとが分かれているように示されているが、これは説明のための模式図であり、実際は表示パネル250全面に対して右側(運転席側)と左側(助手席側)とで別々の画像を表示する(但し水平方向の解像度は半減する)。例えば、元画像が800×480画素の場合、別々の表示画面の場合は400×480画素となる。
【0033】
また、表示装置200に運転者側からも非運転者側からも同じ表示を行う際は、表示画面250Aと表示画面250Bで半分ずつの表示を行うことで、表示装置200のフルの解像度で描画を行うことができる。表示例については、図4乃至図6により後述する。
【0034】
図3は、上記表示装置200の描画処理部230の構成を示す図であり、描画部231の詳細なブロック図である。表示画面250Aの描画処理を行う描画処理部240と、表示画面250Bの描画処理を行う描画処理部230とは、同一構成を採るため、描画処理部230を代表して示す。
【0035】
図3において、描画処理部230は、CPU210からの図形描画命令に従ってパラメータを作成するパラメータ入力部232、作成されたパラメータに応じて描画しようとする図形を生成するピクセル生成部233、及び生成された描画データを出力する描画出力部234を備えて構成される。
【0036】
CPU210からの図形描画データは、パラメータ入力部232を介してピクセル生成部233に入力される。パラメータ入力部232では、CPU210からの図形描画命令に従ってパラメータを作成する。ピクセル生成部233では、作成したパラメータに従って図形描画データから描画しようとする図形を生成する。描画出力部234は、生成された描画データを表示画面250Aに出力する。
【0037】
描画処理部230は、具体的には、表示パネル250の表示画面250Aに対応する表示用領域及び描画データやビットマップデータを格納するための格納用領域を有するVRAMと、CPU210からの命令に基づき、VRAMの表示用領域へ描画を行うことにより表示パネル250への表示を行うグラフィックLSIとから構成される。グラフィックLSIは、描画処理に特化した素子であり、VRAMについてのアクセス制御も行う。一方、CPU210は、制御用のプログラムや、画像表示に使用するフォント、ビットマップ(BMP)ファイル等を記憶しているROMを備え、CPU210はROM中のプログラムに従い、装置各部の動作制御やROM等のアクセス制御を行う。このROM中のビットマップファイルは、表示パネル250上で多数の画面を表示するために使用される。ROM中には、各ビットマップファイルのデータをVRAMの格納用領域に転送して配置する際の配置情報も格納されている。転送される各ビットマップファイルのデータは、この配置情報に従ったアドレスに記憶される。
【0038】
以下、上述のように構成されたカーナビゲーションシステムの動作について説明する。まず、ナビゲーション装置100及び表示装置200の動作について述べる。
【0039】
〔ナビゲーション装置100の動作〕
ナビゲーション装置100のCPU110は、センサ140よりGPS受信機141、ジャイロ142、車速パルスセンサ143などのセンサ情報をリアルタイムで受信し、現在位置検出部111により自車位置を検出する。また、経路探索部112で記憶部150の地図情報DB151、経路情報DB152を利用して現在位置から目的地までの経路を探索し、経路案内制御部113で経路案内を行う。目的地設定に関しては記憶部150にある地点情報DB153を利用する。ナビ描画処理部120では、2D/3D地図の描画や、記憶部150のランドマークDB154を用いたランドマーク描画や、カメラ入力部130より入力された画像の取り込みをキャプチャ部122で行う。
【0040】
〔表示装置200の動作〕
表示装置200は、ダッシュボードに備え付けられた運転者のためのカーナビゲーション表示装置であるとともに、助手席に座った非運転者のための表示装置である。
【0041】
表示装置200のCPU210は、オープニング画面の表示中は、システムに対する操作入力を受け入れることはなく、通常画面の表示に移行してから操作入力を受け入れる。操作入力は、各種の通常画面の表示内容に応じ、タッチパネル221等を介して行われる。
【0042】
表示装置200は、停車中には、DVDやテレビを観たり、タッチパネル221、ハードキー222、リモコン装置223などの操作部220の操作による目的地設定や周辺検索が可能である。車両走行中は、運転中には危険とされる操作や経路案内の中止につながる操作はCPU210により制限される。また、リアルタイムで自車位置とその周辺の地図を表示しながら、経路案内に必要な次の交差点までの情報や周辺の渋滞情報や一方通行などの道路情報や事故頻発地点の情報などを、描画処理部230,240の描画部231,241で描画して表示パネル250の表示画面250A,250Bに表示する。
【0043】
図4は、カーナビゲーションシステムの表示装置200の表示画面を説明する模式図である。また、図5は、走行時に運転者側から見た表示画面250Aを示す図、図6は、非運転者から見た表示画面250Bを示す図である。
【0044】
本カーナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置100により表示装置200が、一つの表示画面を運転者側から見たときには運転者用の表示画面250Aに、助手席側から見たときには非運転者用の表示画面250Bに見えるように画面制御される。ここで、運転者であるか非運転者であるかの判別は、車両が走行中か停車中であるかにより判別する。また、運転者か非運転者かの判別の後、操作部220により非運転者側からの操作を受け付け、描画処理部230,240はそれぞれの表示画面に対する描画を行う。
【0045】
図5に示すように、走行時に運転者側には表示画面250Aが表示される。番号267は車両の位置、番号268は経路ナビゲーションである。また、操作部220により非運転者側でも運転者側と同様の表示画面を表示することが可能である。この場合は、水平方向の解像度は片側表示の倍となる。
【0046】
図6に示すように、非運転者側には表示画面250Bが表示される。非運転者側では、車両停車中、走行中に依らずDVDやテレビを観たり、操作部220の操作による目的地設定や周辺検索が可能である。また、非運転者が必要とする周辺の店舗情報や駐車場の空き情報などを描画処理部240により描画し、表示画面250Bに表示する。図6では、店251〜254、駐車場255,256が描画されている。また、番号257は車両の位置、番号258は運転者側の経路ナビゲーション268(図5参照)に連動する進行予定経路情報である。また、車両停車中には、操作部220により運転者側でも非運転者側と同様の表示画面を表示することが可能である。この場合は、水平方向の解像度は片側表示の倍となる。
【0047】
次に、カーナビゲーションシステムの動作について説明する。
【0048】
ナビゲーション装置100のCPU110では、GPS受信機141からの車両位置情報、ジャイロ142からの車両方位情報、及び車速パルスセンサ143からの車両速度情報を基に自車位置と進路を計算する。経路探索部112では、経路情報DB152を用いて自車位置と目的位置を結ぶ経路を探索し、その経路に沿って経路案内制御部113が描画処理部230,240を制御する。描画処理部230は、地図情報DB151やランドマーク情報DB154を用いて描画を行う。また、描画処理部240は、地点情報DB153を用いて周辺検索で店舗や駐車場の情報を描画したり、カメラ入力部130の画像をキャプチャ部122で取り込む。
【0049】
ここで、表示装置200の描画処理部230では、運転者に対しての表示のみを行えば良いので、走行中は目的地設定や周辺検索などの機能を制限し、ナビゲーション装置100からの、特に経路案内情報に交差点までの距離表示、渋滞表示及び事故多発地点表示など緊急かつ即時性か要求される経路案内に関する付加情報をリアルタイムで描画処理し、表示画面250Aに表示する(図5参照)。
【0050】
これに対し表示装置200の描画処理部240では、非運転者に対してのみの表示を行えば良いので、停車中、走行中などの判断は不要で常に操作部220に対する操作を実行する。ナビゲーション装置100からの特に周辺地図情報に、周辺の店舗情報、駐車場情報など自車位置や目的地までの経路の周辺にある地点情報を描画処理し、表示画面250Bに表示する(図6参照)。
【0051】
以上のように、実施の形態1によれば、表示装置200は、CPU210、操作部220、2つの表示画面250A,250Bに対応する描画処理部230,240を備え、ナビゲーションに関する処理についてはナビゲーション装置100内で行うとともに、運転者に対する描画処理と非運転者に対する描画処理は、表示装置200の描画処理部230,240でそれぞれ完結して実行することができる。すなわち、ナビゲーションシステムの経路案内はナビゲーション装置100で、それ以外の機能は表示装置200というように、ナビゲーション装置100と表示装置200とで機能分担するとともに、表示装置200のタッチパネル221、ハードキー222、リモコン装置223による操作による処理は表示装置200内で完結させる。
【0052】
上記、ナビゲーション装置100と表示装置200とでナビゲーションを機能分担することについてさらに説明する。本実施の形態によれば、ナビゲーション装置100が備えるナビ描画処理部120で地図などのナビゲーション用の描画を行い、表示装置200が備える描画処理部230,240でメニュー画面などの描画を行うという機能分担をする。また、ナビゲーション装置100が備えるナビ描画処理部120で道路などを表示し、表示装置200が備える描画処理部230,240で、それぞれの表示画面250A,250B用にカスタマイズされた別々の情報(店舗情報、駐車場情報など)を表示する。この機能分担により、操作部220による目的地設定などの描画処理が表示装置200に移管しているために、ナビゲーション装置100のCPU110から見ると、操作部からの操作に対するアルゴリズムを簡素化することができる。同様の理由で、高速なCPUや高性能な描画処理部を必要としなくても、自動車が走行中に運転者に対するリアルタイムな経路案内を行いつつ、助手席や後部座席に座っている非運転者が自由にDVDやテレビを観たり、目的地設定や周辺検索などのカーナビゲーション機能の操作をすることができる。
【0053】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係るカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。本実施の形態の説明にあたり図1と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0054】
図7において、100はナビゲーション装置、300は運転席と助手席間のダッシュボードに設置され、カーナビゲーション情報を表示する表示装置、400は運転者の視界に入らない場所、例えば後部座席に備え付けられた非運転者のための表示装置である。ナビゲーション装置100と表示装置300及び表示装置400は、フレキシブルケーブルなどの外部バス170,180を介してそれぞれ接続される。
【0055】
表示装置300は、ダッシュボードに備え付けられ、運転席ためのナビゲーション情報の表示、及び助手席の非運転者からの周辺検索、周辺情報表示、目的地設定などの操作及び表示を行う。表示装置300は、CPU310、操作部220、描画処理部230、表示画面350Aを表示する表示パネル350を備えて構成される。
【0056】
表示パネル350は、タッチ入力可能なタッチパネル221とを積層したドットマトリクス構成のLCDディスプレイ及び各ドライバ等で構成される。タッチパネル221は、表示パネル350の表面上に設けられ、タッチパネル221の有効部分は表示パネル350の表示部分全面と同等である。タッチパネル221に触れることにより、ユーザ操作が可能になる。
【0057】
表示装置300は、ダッシュボードに備え付けられた運転者のための表示装置であり、車両走行中は運転中には危険とされる操作や経路案内の中止につながる操作はCPU310により制限される。また、リアルタイムで自車位置とその周辺の地図を表示しながら、経路案内に必要な次の交差点までの情報や周辺の渋滞情報や一方通行などの道路情報や事故頻発地点の情報などを、描画処理部230の描画部231で描画し表示画面350Aに表示する。走行時に運転者用の表示装置300に表示される表示画面350Aの一例は、前記図5に示される。
【0058】
一方、表示装置400は、後部座席に備え付けられた非運転者のための表示装置であり、CPU410、操作部220、描画処理部240、表示画面450Bを表示する表示パネル450を備えて構成される。また、図示は省略するが拡声用スピーカを備える。表示パネル450は、上記表示パネル350の場合と同様に、タッチ入力可能なタッチパネル221とを積層したドットマトリクス構成のLCDディスプレイ及び各ドライバ等で構成される。
【0059】
表示装置400は、運転者の視界に入らない場所、例えば後部座席に備え付けられたもので、非運転者のための表示装置である。表示装置400は、車両停車中、走行中に依らずDVDやテレビを観たり、操作部220の操作による目的地設定や周辺検索が可能である。また、非運転者が必要とする周辺の店舗情報や駐車場の空き情報などを描画処理部240で描画し、表示画面450Bに表示する。非運転者用の表示装置400に表示される表示画面450Bの一例は、前記図6に示される。
【0060】
以下、上述のように構成されたカーナビゲーションシステムの動作について説明する。
【0061】
ナビゲーション装置100のCPU110は、GPS受信機141からの車両位置情報、ジャイロ142からの車両方位情報、車速パルスセンサ143からの車両速度情報から自車位置と進路を計算する。経路探索部112では、経路情報DB152を用いて自車位置と目的位置を結ぶ経路を探索し、経路案内制御部113ではその経路に沿って以下の案内制御を行う。ナビ描画処理部120では、地図情報DB151やランドマーク情報DB154を用いて描画を行う。また、周辺検索で店舗や駐車場の情報を地点情報DB153を用いて描画したり、カメラ入力部130の画像をキャプチャ部122により取り込む。
【0062】
運転者側の表示装置300は、運転者に対しての表示のみを行えば良いので、走行中は目的地設定や周辺検索などの機能を制限し、ナビゲーション装置100からの特に経路案内情報に交差点までの距離表示や渋滞表示や事故多発地点表示などリアルタイムな経路案内に関する付加情報を描画処理部230の描画部231で描画し、表示パネル350の表示画面350Aに表示する。
【0063】
後部座席に備え付けられた表示装置400は、非運転者に対してのみの表示を行えば良いので、停車中、走行中などの判断は不要であり、常に操作部220に対する操作を実行することができる。また、描画処理部240の描画部241では、ナビゲーション装置100からの情報を基に、周辺地図情報、周辺の店舗情報、駐車場情報、自車位置や目的地までの経路の周辺にある地点情報などを描画し、表示パネル450の表示画面450Bに表示する。
【0064】
実施の形態2によれば、ナビゲーションに関する処理はナビゲーション装置100内で、また運転者に対する処理を表示装置300内で、さらに非運転者に対する処理は表示装置400内でそれぞれ完結することができるので、車両走行中であっても、運転者へのリアルタイムなナビゲーションを妨げることなく、非運転者が目的地検索や周辺案内などのカーナビゲーション操作を行うことができる。
【0065】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3に係るカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。図7と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0066】
図8において、100はナビゲーション装置、300は運転席と助手席間のダッシュボードに設置され、カーナビゲーション情報を表示する表示装置、400は運転者の視界に入らない場所、例えば後部座席に備え付けられた非運転者のための表示装置である。
【0067】
ナビゲーション装置100と表示装置300及び表示装置400は、フレキシブルケーブルなどの外部バス170,180を介して、また表示装置300と表示装置400間は専用ケーブル190を介してそれぞれ接続される。
【0068】
表示装置300及び表示装置400は、通信機能を備え、専用ケーブル190を介して相互にデータを送受信する。双方向通信機能は、どのようなものでもよいが、表示装置400で設定した目的地などの情報やDVD再生などの画像データを表示装置300に(その逆方向も可)高速で転送できる高速データ通信を持つものが好ましい。また、より簡易な通信機能として一対の信号線を用いて高速データ通信を可能にするイーサネット(登録商標)・システムを用いることができる。
【0069】
表示装置300と表示装置400は、通信機能により相互にデータを送受信可能であるため、実施の形態2の動作に加えてさらに以下のような動作が可能になる。
【0070】
車両走行中に表示装置400において非運転者が設定した新たな目的地は、表示装置300と表示装置400の間の通信機能により専用ケーブル190を介して表示装置300に送ることができる。この場合、表示装置300では、経路案内を継続しながら、目的地のみが変更になるので、新たな目的地を経路案内に導入する場合に、一旦停車したり、経路案内を一時中断する必要がなくなる。これにより目的地の変更を、停車や経路案内の一時中断を行うことなく、かつ運転者に負担をかけることなく運転に支障のないまま行うことができる。
【0071】
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4に係るカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。図8と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0072】
図9において、カーナビゲーションシステムは、さらに非運転者のための表示装置500を備える。表示装置500は、通信機能を備え、表示装置500とナビゲーション装置100は、フレキシブルケーブルなどの外部バス510を介して、また表示装置500と表示装置300及び表示装置400間は専用ケーブル520を介してそれぞれ接続される。
【0073】
非運転者のための表示装置400,500は、非運転者の人数に合わせて3つ以上あっても構わない。この構成により、各非運転者がそれぞれの表示装置400,500を持つことで自由に周辺施設検索を行うことができる。
【0074】
(実施の形態5)
図10は、本発明の実施の形態5に係るカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。図9と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0075】
図10において、運転者のための表示装置300及び非運転者のための表示装置400,500は、それぞれ、CDやSDカードなどの外部記憶媒体を装着可能な記憶部360,460,560を備える。記憶部360,460,560は、CDやSDカードなどのメディアやインターネットなどの通信を介してダウンロードされた各種情報を基にデータベースが構築される。表示装置300,400,500がそれぞれの記憶部360,460,560にデータベースを持つことで、運転者が必要な事故多発地点や渋滞情報、非運転者が必要な店舗情報や観光情報などを、表示装置300,400,500内で個別に保持して表示をカスタマイズすることができる。
【0076】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。例えば、表示装置として実施の形態1では視野角制御シャッターを適用した例について説明しているが、同様の他の方式例えば視差バリア方式の表示パネルを用いるものでもよい。また、図4乃至図6の表示例は一例でありどのような表示でも構わない。
【0077】
また、本実施の形態ではカーナビゲーションシステムという名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、カーナビゲーション装置、表示装置等であってもよいことは勿論である。
【0078】
さらに、上記カーナビゲーション装置及び表示装置を構成する各回路部、例えば描画処理部の種類、数及び接続方法などは前述した実施の形態に限られない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係るカーナビゲーションシステムは、運転者用と非運転者用の表示装置を有し、車両走行中であっても、運転者へのリアルタイムなナビゲーションを妨げることなく、非運転者が目的地検索や周辺案内などのカーナビゲーション操作を行うことができるため、安全上・利便上有用である。また、表示部と操作部を含む表示装置を複数持つ製品等の用途にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図
【図2】上記実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムの表示装置の表示パネルの表示画面を模式的に示す図
【図3】上記実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムの記表示装置の描画処理部の構成を示す図
【図4】上記実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムの表示装置の表示画面を説明する模式図
【図5】上記実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムの走行時に運転者側から見た表示画面を示す図
【図6】上記実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムの非運転者から見た表示画面を示す図
【図7】本発明の実施の形態2に係るカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図
【図8】本発明の実施の形態3に係るカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図
【図9】本発明の実施の形態4に係るカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図
【図10】本発明の実施の形態5に係るカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0081】
100 ナビゲーション装置
160 外部バス
110,210,310,410 CPU
111 現在位置検出部
112 経路探索部
113 経路案内制御部
120 ナビゲーション(ナビ)描画処理部
121 描画部
122 キャプチャ部
130 カメラ入力部
140 センサ
141 GPS受信機
142 ジャイロ
143 車速パルスセンサ
150 記憶部
151 地図情報DB
152 経路情報DB
153 地点情報DB
154 ランドマークDB
160,170,180,510 外部バス
190,520 専用ケーブル
200,300,400,500 表示装置
220 操作部
230,240 描画処理部
231,241 描画部
250,350,450 表示パネル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、ナビゲーション機能を実現するための処理プログラムを実行する制御部を有するナビゲーション装置とを備えるカーナビゲーションシステムであって、
前記ナビゲーション装置は、
センサ情報及び経路情報データベースを用いて経路案内情報を作成する経路案内情報作成手段と、
作成された経路案内情報を基に地図を含むナビゲーション用の描画処理を行う第1描画処理手段とを備え、
前記表示装置は、
目的地設定又は検索を操作する操作手段と、
前記操作手段による操作、及び前記ナビゲーション装置からの情報を基に経路案内に関連する関連情報を作成する関連情報作成手段と、
作成された関連情報を基にメニュー画面を含む関連情報を図形化する描画処理を行う第2描画処理手段と
を備えることを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記経路案内情報は、自車位置情報とその周辺の地図情報を含むことを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記関連情報は、経路案内に必要な交差点情報、渋滞情報、道路情報、事故頻発地点の情報、店舗情報、又は駐車場情報のうち少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記表示装置は、運転者及び非運転者用の複数の表示装置からなることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記運転者用の表示装置は、前記第1描画処理手段により作成された情報を表示し、
前記非運転者用の表示装置は、前記第2描画処理手段により作成された前記関連情報を表示することを特徴とする請求項4記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記表示装置は、第1及び第2の方向のいずれか一方から見ることが可能な表示と、第1及び第2の両方から見ることが可能な表示とを切替えて表示可能な表示パネルを備えることを特徴とする請求項1、請求項4、又は請求項5のいずれかに記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記第1描画処理手段により作成された情報を前記第1の方向の表示情報として表示し、
前記第2描画処理手段により作成された前記関連情報を前記第2の方向の表示情報として表示することを特徴とする請求項6記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記表示装置は、前記操作手段による操作が、運転者か非運転者のいずれで行われたかを判別する判別手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項9】
前記判別手段により前記操作が非運転者であると判別されたとき、前記関連情報の検索又は設定を許可することを特徴とする請求項8記載のカーナビゲーションシステム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−155552(P2007−155552A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352540(P2005−352540)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】