説明

カーナビゲーションシステム

【課題】ユーザにとって有用な形態で、土産物店舗を案内する。
【解決手段】ナビ本体2の制御回路は、土産物店舗案内を実行する場合に、車載通信機3を用いた情報センタ4との間での無線通信により、ユーザが指定した目的地及び求めた経路の周辺に存在する土産物店舗の、人気度のデータが含まれたデータを取得する。制御回路は、適切でない土産物を扱う土産物店舗を除外した上で、人気度と、目的地又は経路からの離間距離との双方を考慮して、土産物店舗の店舗リストを作成し表示装置に表示する。ユーザが行きたい土産物店舗を指定すると、車載通信機3を用いた情報センタ4との間での無線通信により、当該土産物店舗にて特典を受けることができるクーポンデータを取得する。クーポンデータは、公開鍵により暗号化した状態で、ブルートゥースモジュール5を用いて、ユーザの所持する携帯端末機6に対して送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、ユーザが指定した目的地までの経路を案内する経路案内機能を有するナビ本体と、外部との無線通信を行うための車載通信機とを含んだカーナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されるカーナビゲーションシステムは、一般に、自車両の現在位置を検出しディスプレイに地図と重ね合わせて表示するロケーション機能や、ユーザ(運転者)が指定した目的地までの推奨する経路を探索し、案内するルートガイダンス機能、ユーザが指定した施設ジャンル等のキーワードに基づいて、データベースから周辺の施設を検索する周辺施設検索機能等を備えている。また、この種のカーナビゲーションシステムにおいては、車載通信機(DCM)により、外部の情報センタから道路交通情報などの各種の情報を受信し、渋滞回避等に利用したりすることも行われている。
【0003】
ところで、自動車に乗って旅行に出かけた際に、ユーザは、目的地の周辺や、その経路の途中において、その地方の名産品等の土産物を買いたい場合がある。従来では、例えば特許文献1に開示されているように、カーナビゲーション装置の周辺施設検索機能を利用して、贈答品案内を自動的に行うものが考えられている。この贈答品案内は、ユーザが目的地を設定した際に、所定の条件(例えば目的地が温泉地や遊園地であったり、自宅からの距離が100km以上離れている場所であるとき)を満たしたときに、誘導経路の近傍に存在する贈答品販売店をデータベースから検索し、ディスプレイに表示させたりするものである。
【特許文献1】特開2006−90821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたような贈答品案内では、誘導経路の近傍(10km以内)にある贈答品販売店を単純(機械的)に検索し、その検索結果を表示するだけなので、ユーザにとって有用な情報を提供するといった観点からは、改善の余地が残されていた。例えば、ユーザは、初めて行く観光地のような場合、どの土産物店の評判が良いかといったことは判らないので、検索された複数の土産物店舗のリストが表示されているだけでは、そのうちどこに行こうか決めかねるといった場合がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、目的地や経路の周辺に存在する土産物店舗の検索を行うことができるものにあって、ユーザにとって有用な形態で、土産物店舗を案内することができるカーナビゲーションシステムを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のカーナビゲーションシステムは、車載通信機を用いた情報センタとの間での無線通信により目的地や経路の周辺に存在する土産物店舗の人気度を含んだデータを取得する土産物店舗データ取得手段と、取得した土産物店舗のデータから人気度に応じた土産物店舗の店舗リストを作成して表示装置の画面に表示する店舗リスト表示手段と、前記店舗リスト中のいずれかの土産物店舗を目的地或いは経由地として指定するための指定手段とを備えるところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0007】
これによれば、土産物店舗データ取得手段により、目的地や経路の周辺に存在する土産物店舗の人気度を含んだデータを、情報センタから無線通信により取得することができ、店舗リスト表示手段により、各土産物店舗の人気度に応じた店舗リストが作成され、表示装置の画面に表示される。そして、ユーザは、指定手段により、店舗リスト中のいずれかの土産物店舗を目的地或いは経由地として指定することができる。このとき、ユーザは、店舗リストを見て、各土産物店舗の人気度をも知ることができるので、その人気度を、どの店舗に行くかの判断に利用することができる。
【0008】
このとき、上記店舗リスト表示手段を、現在の季節や目的地までの旅行距離を考慮して、適切でない土産物を扱う土産物店舗を店舗リストから除外するように構成することもできる(請求項2の発明)。これによれば、例えば現在の季節に合わない生鮮食品等を扱うといった、ユーザがまず行くことのない土産物店舗が、予め店舗リストから除外されることになるので、質の高い案内を行うことができる。
【0009】
より具体的には、季節とその季節において旬となる食物の種類とを関連付けて予め記憶された旬データに基づいて、土産物店舗で取扱っている土産物が、前記旬データに示される旬となる食物と全く合致しない場合に、当該土産物店舗を適切でない土産物を扱う土産物店舗であると判断する構成とすることができる(請求項3の発明)。或いは、外気温が一定温度以上であるときに、生鮮食料品のみを扱う土産物店舗であって、その土産物店舗から目的地あるいは次の経由地までの旅行距離から所要時間を推定し所定時間以上かかる場合に、当該土産物店舗を適切でない土産物を扱う土産物店舗と判断する構成とすることができる(請求項4の発明)。
【0010】
また、上記店舗リスト表示手段を、前記人気度と、土産物店舗の前記目的地又は経路からの離間距離との双方を考慮して店舗リストを作成するように構成するようにしても良い(請求項5の発明)。これによれば、ユーザは、店舗リストを見て、各土産物店舗の人気度と目的地或いは経路からの離間距離との双方に基づいて、どの店舗に行くかの判断を行うことができ、より質の高い案内を行うことができる。
【0011】
本発明においては、前記指定手段により指定した土産物店舗にて特典を受けることができるクーポンデータを、前記車載通信機を用いた情報センタとの間での無線通信により取得するクーポンデータ取得手段を備える構成とすることができる(請求項6の発明)。土産物店舗側から見れば、上記の土産物店舗の案内をユーザに積極的に利用してもらうことが、来客が増えることにつながる。ユーザに割引等の何らかの特典を与えることは、ユーザにとってメリットがあることは勿論、売り上げを増やすといった点で、土産物店舗にとっても望ましいものとなる。
【0012】
ここで、ユーザは、クーポンデータ取得手段によりクーポンデータを取得した場合、土産物店舗で買物をする際に、その土産物店舗に対し何らかの形態でクーポンデータを提示する必要がある。そこで、クーポンデータを、公開鍵により暗号化した状態で、ワイヤレス接続手段を用いてユーザの所持する携帯端末機に対して送信するクーポンデータ送信手段を備える構成とすれば(請求項7の発明)、ユーザは、クーポンデータを携帯端末機によって受信し、携帯端末機を用いてそのクーポンデータを提示することが可能となる。この場合、クーポンデータは、公開鍵により暗号化されるので、土産物店舗側において、複号鍵で復号することができ、クーポンデータの不正利用の防止を図ることができる。
【0013】
ところで、クーポンデータにより受けることができる特典の価値を維持するためには、クーポンデータの乱発、乱用は好ましくない。つまり、遠方からの旅行者がわざわざその土産物店舗に来店して買物をすることに対する謝意として、何らかの特典を与えるといった形態にすることが望ましい。そこで、上記クーポンデータ送信手段を、携帯端末機に対して送信するクーポンデータに、ユーザが旅行者である旨を証明するための証明用データを含ませるように構成することもできる(請求項8の発明)。これにより、ユーザが土産物店舗に対してクーポンデータを提示すると共に、旅行者である旨を証明することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施例に係るカーナビゲーションシステム1の構成を概略的に示している。このカーナビゲーションシステム1は、車両(自動車)に組込まれるナビ本体2、このナビ本体2に接続された車載通信機3、この車載通信機3との間で無線通信を行う外部の情報サービスセンタ4、前記ナビ本体2に接続されたワイヤレス接続手段たるブルートゥース(登録商標)モジュール5、ユーザ(運転者)が所持する携帯端末機6などから構成される。
【0015】
図2は、車両に搭載されるナビ本体2の電気的構成を示しており、このナビ本体2は、CPU,ROM,RAM,I/O等からなるマイコンを主体として構成され全体を制御するための制御回路7を備えている。この制御回路7には、自車位置検出器8、地図データベース9、指定手段として機能する操作入力機器10、各種データを記憶するための外部メモリ11、表示装置12、音声出力装置13が接続されている。また、この制御回路7に、前記車載通信機3及びブルートゥースモジュール5が接続されている。
【0016】
前記自車位置検出器8は、周知構成の、地磁気センサ14、ジャイロスコープ15、距離センサ16、GPS衛星からの送信電波に基づいて自車両の位置を検出(測位)するGPS(Global Positioning System )のためのGPS受信機17を有している。前記制御回路7は、位置検出器8の各センサ14〜17が性質の異なる誤差を有しているため、各々補間しながら使用するように構成されており、それらからの入力に基づいて、自車両の現在位置、進行方向、速度や走行距離、現在時刻等を高精度で検出するようになっている。尚、精度によっては、上記したセンサ14〜17のうちの一部を省略して構成しても良く、上記以外に、ステアリングの回転センサや、各転動輪の車輪センサ等を採用することも可能である。
【0017】
前記地図データベース9は、道路地図データやそれに付随する施設データ(目的地データ)などの各種データを記憶した地図データ記録メディア及びそのデータを読出すためのドライブ装置からなり、その地図データ記録メディアとしては、例えばDVDやハードディスク等の大容量記憶媒体が用いられる。前記道路地図データは、道路形状、道路幅、道路名、信号、踏切、建造物、各種施設、地名、地形等のデータを含むと共に、その道路地図を表示装置12の画面上に再生するためのデータを含んでいる。
【0018】
また、前記施設データは、駅や空港等の交通機関、レジャー施設、宿泊施設、公共施設等の施設や、小売店、デパート、レストラン等の各種の店舗、住居やマンション、地名などに関する情報からなる。この施設データにはそれらの電話番号や住所、緯度及び経度等のデータが含まれると共に、施設を示すランドマーク等を、表示装置12の画面上に道路地図に重ね合せて表示するためのデータを含んで構成されている。この場合、周辺施設検索機能を実現するために、前記施設データは、各施設が、レジャー施設、コンビニエンス・ストア、ガソリンスタンド、レストラン、銀行(ATMコーナー)等の複数の種類(ジャンル)毎に分類され、その種類や、名称、取扱商品、特色、住所(エリア)、電話番号等から検索できるように構成されている。
【0019】
前記表示装置12は、例えばフルカラー液晶ディスプレイからなり、車室内の例えばインストルメントパネルの中央部に設けられている。この表示装置12の画面には、地図表示画面などのナビゲーション画面や、施設検索用の画面、初期設定画面、TV放送の映像、DVD再生映像等が表示されるようになっている。尚、後述するように、土産物店舗案内を行う際には、表示装置12の画面に、店舗リスト画面(図4(a)参照)や土産物店舗の詳細情報の画面(図4(b)参照)等が表示される。
【0020】
図示はしないが、前記ナビゲーション画面においては、周知のように、表示装置12の画面に、各種縮尺の道路地図が表示されると共に、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置及び進行方向を示すポインタが表示されるようになっている。また、目的地までの案内を行なう経路案内(ルートガイダンス)機能の実行時には、道路地図に重ね合わせて進むべき経路等が表示される。さらには、ユーザが目的地などを入力するための各種の入力用画面や、各種のメッセージ等も表示されるようになっている。
【0021】
前記操作入力機器10は、詳しく図示はしないが、表示装置12の画面の近傍に設けられたメカニカルスイッチ、及び、表示装置12の画面上に設けられるタッチパネルを含んでいる。ユーザ(ドライバ)は、それら操作入力機器10を用いて、目的地の指定(選択)や道路地図の縮尺の選択等の各種のコマンドを入力することができるようになっている。後述するように、この操作入力機器10が指定手段として機能するようになっている。前記音声出力装置13は、ナビゲーションにおいて必要な各種メッセージを合成音声によりスピーカから出力したりするように構成されている。
【0022】
前記車載通信機3は、例えばDCMと称される車載型の高速通信モジュールからなり、外部の情報センタ4との間での無線通信により、例えば更新用の地図データや、現在の道路交通情報(渋滞回避情報)、音楽データ等の娯楽情報等を受信すると共に、事故発生時の緊急通報などを行うようになっている。このとき、後述するように、本実施例では、土産物店舗案内時に、情報センタ4から、人気度を含んだ土産物店舗データを取得することができるようになっている。
【0023】
また、前記ブルートゥースモジュール5は、周知のように、カーナビゲーションシステム1(ナビ本体2)と、ユーザの所持する携帯端末機6(例えば携帯電話機やPDA等)とをワイヤレス接続する手段として機能し、これも後述するように、ナビ本体2側(制御回路7)から、携帯端末機6に対しクーポンデータの転送を行うようになっている。
【0024】
そして、前記制御回路7は、そのソフトウエア的構成(プログラムの実行)により、車両の現在地(自車位置)を知るロケーション機能を実現すると共に、指定された目的地までの経路を探索し、案内する経路案内機能を実現するようになっている。また、例えば自車位置周辺における指定された施設を探索しユーザに知らせる周辺施設検索機能を実現するようになっている。
【0025】
そのうちロケーション機能は、上述のように、地図データベース9からの地図データに基づいて表示装置12に道路地図を表示させると共に、自車位置検出器8の検出に基づいて車両の現在地及び進行方向を示す現在地マークを表示させるものである。この場合、車両の走行に伴って現在地の表示は地図上を移動すると共に、地図は車両の位置に応じてスクロール表示されるようになる。このとき、車両の現在地を道路上にのせるマップマッチングが行なわれる。
【0026】
また、前記経路案内機能は、車両の出発地(現在地)からユーザにより指定された目的地までの推奨する走行経路(ルート)を、例えば周知のダイクストラ法を用いて自動的に計算し、求められた目的地までのルートを案内するものである。このルート案内においては、表示装置12の画面に、道路地図に重ね合せて、車両の現在地(現在地マーク)と共に走行すべきルートが目立つ色で表示され、またこれと併せて、例えば交差点近くに来た時に、音声出力装置13により、「200m先の交差点を左です」といった合成音声による案内が行なわれるようになっている。
【0027】
前記周辺施設検索機能は、ユーザの操作入力機器10の操作により、周辺施設検索の実行が指示されると、表示装置12に例えばキーワード入力用の画面(或いはジャンル指定用の画面)を表示させてユーザに検索すべき施設のキーワード(ジャンル)を指定させ、その指定に基づいて、地図データベース4の施設データから該当する施設を検索(抽出)するものである。検索された施設(一般に複数個が抽出される)は、例えば距離が近い順のリストとして表示装置12に表示されたり、地図上にランドマークを用いて表示装置12に表示されたりするようになっている。検索された施設を目的地として経路案内を実行させることもできる。
【0028】
さて、後の作用説明でも述べるように、前記制御回路7は、ユーザにより経路案内のために目的地が指定された際に、表示装置12に土産物店舗案内を実行するかどうかをユーザに選択させるための画面を表示する。この土産物店舗案内は、前記目的地やその案内経路の近傍に存在する土産物店舗をユーザに紹介するものであり、ユーザの操作により土産物店舗案内を実行する旨が選択された場合には、制御回路7は、以下のようにして土産物店舗案内を実行する。尚、土産物店舗案内を実行しない旨が選択された場合には、そのまま経路案内を行う。
【0029】
土産物店舗案内を行うにあたっては、制御回路7は、まず車載通信機3を用いた情報センタ4との間での無線通信により、前記目的地及び経路の周辺に存在する土産物店舗のデータ(一般に複数店のデータ)を取得する。このとき、情報センタ4においては、データベースに、各土産物店舗の人気度のデータが収集されるようになっており、人気度のデータとして、例えばその土産物店舗の最近1ヶ月間におけるホームページのアクセス数が、土産物店舗のデータに含まれるものとなる。
【0030】
次いで、制御回路7は、取得した土産物店舗のデータから、人気度(アクセス数)と、土産物店舗の目的地又は経路からの離間距離との双方を考慮して、土産物店舗の店舗リストを作成して表示装置12の画面に表示させる(図4(a)参照)。また、本実施例では、店舗リストを作成する際に、現在の季節や目的地までの旅行距離を考慮して、適切でない土産物を扱う土産物店舗を店舗リストから除外するようになっている。従って、制御回路7及び車載通信機3等から土産物店舗データ取得手段が構成され、制御回路7及び表示装置12等から店舗リスト表示手段が構成される。
【0031】
そして、ユーザは、操作入力機器10(タッチパネル)の操作により、表示装置12に表示されている店舗リストから、行きたい土産物店舗を選択指定することができ、指定された土産物店舗の詳細な情報が表示装置12に表示される(図4(b)参照)と共に、その土産物店舗を目的地(経由地)として指定することができるようになっている。従って、操作入力機器10が指定手段として機能する。制御回路7は、指定された土産物店舗までの経路を案内することは勿論である。
【0032】
さらに本実施例では、上記のようにユーザが土産物店舗を指定した際に、車載通信機3を用いた情報センタ4との間での無線通信により、当該土産物店舗にて特典(商品の割引など)を受けることができるクーポンデータを、公開鍵のデータと共に取得するようになっている。これらクーポンデータ及び公開鍵は、制御回路7のメモリに記憶される。従って、制御回路7及び車載通信機3等からクーポンデータ取得手段が構成される。
【0033】
制御回路7は、車両が当該土産物店舗に到着したときに、上記取得したクーポンデータを、公開鍵により暗号化した状態で、ワイヤレス接続手段としてのブルートゥースモジュール5を用いて、ユーザの所持する携帯端末機(携帯電話機)6に対して送信するようになっている。またこのとき、制御回路7は、携帯端末機6に対して送信するクーポンデータに、ユーザが旅行者である旨を証明するための証明用データとして、例えば出発地から当該土産物店舗の距離(走行距離)のデータ等を含ませるようになっている。従って、制御回路7及びブルートゥースモジュール5等からクーポンデータ送信手段が構成されるのである。
【0034】
次に、上記構成の作用について、図3及び図4も参照して述べる。上記のように、本実施例のカーナビゲーションシステム1においては、ユーザ(ドライバ)が目的地を指定することにより、出発地から目的地までの推奨する経路が計算され、経路案内が行われる。今、ユーザが自動車での旅行に出かける際に、目的地の付近や経路の途中の土産物店舗に立ち寄って、その地方の名産品などを土産物として買いたいと考える場合には、カーナビゲーションシステム1に土産物店舗案内を実行させることができる。図3のフローチャートは、カーナビゲーションシステム1(制御回路7)において実行される土産物店舗案内に関する処理の手順を示している。
【0035】
即ち、ユーザにより目的地が指定されると、まずステップS1にて、目的地までの推奨する経路が演算により求められる。次のステップS2では、表示装置12の画面に、土産物店舗案内を行うかどうかを選択する画面が表示され、ユーザは、その画面にてYes,Noのどちらかを選択するようにする。ユーザが土産物店舗案内を行わない旨を選択した場合には(ステップS2にてNo)、そのまま経路案内が開始され(ステップS3)、目的地に到着するまで(ステップS4)、経路案内が継続して実行される。
【0036】
一方、ユーザが土産物店舗案内を行う旨を選択すると(ステップS2にてYes)、次のステップS5にて、情報センタ4から土産物店舗データを取得する処理が実行される。この処理は、車載通信機3により、土産物店舗案内を行うべき目的地及び経路のデータを情報センタ4に送信し、情報センタ4においては、その目的地及び経路の周辺の土産物店舗(一般に複数店舗)がデータベースから検索され、その土産物店舗データが車載通信機3に返信されることにより行われる。このとき、土産物店舗データには、名称や住所、取扱商品などのデータの他に、それら各土産物店舗の人気度のデータとして、ホームページのアクセス数のデータが含まれている。
【0037】
ステップS6では、上記土産物店舗データ中から、不適切な土産物店舗を除外する処理が実行される。この処理は、現在の季節や目的地までの旅行距離を考慮して、不適切と考えられる土産物を扱う土産物店舗を除外するものである。
【0038】
具体的な一例としては、旬でない食物を扱う店舗を不適切な土産物店舗として除外することが考えられる。このための具体的手段としては、次のような手法が考えられる。
まず、カーナビゲーションシステム1の記憶媒体(DVDやハードディスク)に季節データと、その季節において旬となる食物のデータとが、旬データとして関連付けて記憶されている。また土産物店舗データにはその店舗で扱っている土産物データも含まれているものとする。
【0039】
制御回路7は得られた土産物店舗データ(土産物データ)と、旬データを比較し、土産物データの示す土産物が、旬データの示す、旬となる食物とまったく合致しない場合に、その土産物店舗を不適切な店舗として除外する。
【0040】
さらに一例としては、夏季の暑い時期における長距離の旅行に、痛みやすい魚介類等の生鮮食料品を扱う店舗を避けることが考えられる。このための具体的手段としては、次のような手法が考えられる。
【0041】
まず車両に取り付けられた温度計、湿度計などにより気温、湿度の情報を得る。そして、一定気温、一定湿度以上の条件を満たす場合を前提として、制御回路7は目的地までの経路が設定されていない場合には、店舗データから生鮮食料品のみを扱う土産物店舗を抽出し、それらを不適切な店舗と判断し除外する。また、目的地までの経路が設定されている場合、土産物店舗から次の経由地までの所要時間を制御回路7があらかじめ推測しておく。この時間が所定時間以上(たとえば二時間以上)かかると推測される店舗の場合には、店舗データを参照し、扱っている土産物が生鮮食料品のみであれば、当該店舗を不適切として除外する。
【0042】
ただし、このような生鮮食料品のみを扱う土産物店舗であっても、商品を冷凍・冷蔵配達によって宅配することを請け負っている場合もある。その場合には、店舗を不適切とせず、除外しない。商品の冷蔵・冷凍配達を請け負っているか否かは、店舗データに含まれているものとする。
【0043】
次のステップS7では、人気度に応じた土産物店舗の店舗リストを作成し、表示装置12に表示する処理が行われる。この場合、店舗リストは、土産物店舗データ中のステップS6で除かれた後の各土産物店舗の人気度(アクセス数)と、それら土産物店舗の目的地又は経路からの離間距離との双方を考慮して、各土産物店舗の順位付けを行うことにより作成される。具体的には、例えば、店舗の目的地からの距離が10km以内であれば、無条件に人気度(アクセス数)順に並べ、その後に、距離が10kmを越える店舗について人気度順に並べるといった手法により作成される。
【0044】
図4(a)は、そのようにして作成された店舗リストが、表示装置12に表示されている様子を示している。ユーザは、この画面を見て、行きたいと思う土産物店舗があった場合には、そのリストをタッチ操作すれば、表示装置12の画面が、図4(b)に示すように、詳細情報を示す画面に切替わり、その土産物店舗の詳細情報を見ることができる。このとき、詳細情報には、当該土産物店舗の特徴(取扱品目等)などに加えて、その店舗において受けることができる特典(サービス)の内容を示すクーポン情報も含まれている。ユーザは、その土産物店舗に立ち寄ろうと思った場合には、画面上の「目的地設定」のアイコンをタッチ操作すれば、目的地として指定することができる。
【0045】
店舗リスト中のいずれかの店舗がユーザにより目的地として指定された場合には(ステップS8にてYes)、次のステップS9にて、車載通信機3を用いた無線通信により、情報センタ4からクーポンデータを取得する処理が実行される。このクーポンデータは、例えば該当する土産物店舗の店コード等からなり、後述する暗号化に用いられる当該土産物店舗専用の公開鍵のデータと共に送信される。また、このクーポンデータに、表示装置12に表示可能な当該土産物店舗のコマーシャル情報を含ませるようにしても良い。
【0046】
ステップS10では、目的地として指定された土産物店舗までの経路案内が開始され、目的地に到着するまで(ステップS11)、経路案内が継続して実行される。この経路案内の間、土産物店舗のコマーシャル情報を表示装置12に表示するようにしても良い。そして、指定された土産物店舗に到着すると(ステップS11にてYes)、ステップS12にて、ユーザの所持する携帯端末機6に対し、前記クーポンデータに証明用データを含ませて暗号化したクーポンコードを送信する処理が行われる。
【0047】
このクーポンコードは、上記クーポンデータ(店コード)と、ナビ本体2のシリアルデータ(ナビ本体2の特有のユニークな品番など)と、出発地から土産物店舗までの旅行距離のデータと、到着日のデータとを含んでおり、それらデータが上記公開鍵により暗号化された状態で送信される。尚、暗号化の方式としては、様々な方式が知られているが、例えばRSA方式が採用される。
【0048】
これにて、携帯端末機6にクーポンコードが記憶され、ユーザは、案内された土産物店舗にて土産物の買物をし、例えば支払い時に携帯端末機6を提示するようにする。土産物店舗側では、その携帯端末機6のクーポンコードを読取り、秘密鍵により復元する。これにより、ユーザは、カーナビゲーションシステム1を使って旅行目的で来店した客であることを証明することができ、所定の特典(商品の割引き等のサービス)を受けることができるようになるのである。
【0049】
このように本実施例のカーナビゲーションシステム1によれば、目的地や経路の周辺に存在する土産物店舗の検索を行うことができるものにあって、目的地や経路の周辺に存在する土産物店舗の人気度を含んだデータを、情報センタから無線通信により取得することができ、ユーザは、表示装置12に表示された店舗リストを見て、各土産物店舗の人気度をも知ることができるので、その人気度を、どの店舗に行くかの判断に利用することができる。従って、土産物店舗のリストを単純に表示するものと異なり、ユーザにとって有用な形態で、土産物店舗を案内することができるものである。
【0050】
特に本実施例では、土産物店舗データから店舗リストを作成する際に、適切でない土産物を扱う土産物店舗を予め店舗リストから除外するように構成し、さらに、人気度と、土産物店舗の目的地又は経路からの離間距離との双方を考慮して店舗リストを作成するように構成したので、より質の高い案内を行うことができるものである。
【0051】
また、本実施例では、土産物店舗にて特典を受けることができるクーポンデータをユーザ側が取得できるように構成したので、ユーザ側及び土産物店舗側の双方にとってメリットを得ることができる。さらには、クーポンデータに関しても、暗号化や証明用データを含ませるといった構成としたので、クーポンデータの不正利用を防止することができ、クーポンデータの乱発、乱用も未然に防止することができるものである。
【0052】
尚、本発明は上記した実施例に限定されず、様々な拡張、変更が可能である。例えば、上記実施例では、目的地設定時に、土産物店舗案内を行うかどうかをユーザに選択させるように構成したが、初期設定画面において、ユーザが、土産物店舗案内を自動で行うかどうかを設定しておくように構成しても良い。また、土産物店舗データから不適切な土産物販売店を除外する処理を、ユーザが手動で行うように構成しても良く、これにより、ユーザの好みに合った店舗リストとすることも可能となる。
【0053】
さらには、人気度のデータとして、ホームページのアクセス数のデータを用いるようにしたが、情報センタ側で、ホームページのアクセス数を含む或いは含まない各種の情報を収集し、人気度をランク付け(例えばA、B、Cの3段階)しておいても良い。その他、表示装置の表示画面の構成や、カーナビゲーションシステム(ナビ本体)のハードウエア構成等についても、種々の変形例が考えられる等、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、カーナビゲーションシステムの電気的構成を概略的に示すブロック図
【図2】ナビ本体の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図3】制御回路が実行する土産物店舗案内の処理手順を示すフローチャート
【図4】表示装置の画面の例を示す図
【符号の説明】
【0055】
図面中、1はカーナビゲーションシステム、2はナビ本体、3は車載通信機、4は情報センタ、5はブルートゥースモジュール(ワイヤレス接続手段)、6は携帯端末機、7は制御回路(土産物店データ取得手段、店舗リスト表示手段、クーポンデータ取得手段、クーポンデータ送信手段)、10は操作入力機器(指定手段)、12は表示装置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、ユーザが指定した目的地までの経路を案内する経路案内機能を有するナビ本体と、外部との無線通信を行うための車載通信機とを含んだカーナビゲーションシステムであって、
前記車載通信機を用いた情報センタとの間での無線通信により、前記目的地や経路の周辺に存在する土産物店舗の、人気度を含んだデータを取得する土産物店舗データ取得手段と、
取得した土産物店舗のデータから、人気度に応じた土産物店舗の店舗リストを作成して表示装置の画面に表示する店舗リスト表示手段と、
前記店舗リスト中のいずれかの土産物店舗を目的地或いは経由地として指定するための指定手段とを備えることを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記店舗リスト表示手段は、現在の季節や目的地までの旅行距離を考慮して、適切でない土産物を扱う土産物店舗を店舗リストから除外するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記店舗リスト表示手段は、季節とその季節において旬となる食物の種類とを関連付けて予め記憶された旬データに基づいて、土産物店舗で取扱っている土産物が、前記旬データに示される旬となる食物と全く合致しない場合に、当該土産物店舗を適切でない土産物を扱う土産物店舗であると判断することを特徴とする請求項2記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記店舗リスト表示手段は、外気温が一定温度以上であるときに、生鮮食料品のみを扱う土産物店舗であって、その土産物店舗から目的地あるいは次の経由地までの旅行距離から所要時間を推定し所定時間以上かかる場合に、当該土産物店舗を適切でない土産物を扱う土産物店舗と判断することを特徴とする請求項2又は3記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記店舗リスト表示手段は、前記人気度と、土産物店舗の前記目的地又は経路からの離間距離との双方を考慮して店舗リストを作成するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記指定手段により指定した土産物店舗にて特典を受けることができるクーポンデータを、前記車載通信機を用いた情報センタとの間での無線通信により取得するクーポンデータ取得手段を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記クーポンデータ取得手段により取得したクーポンデータを、公開鍵により暗号化した状態で、ワイヤレス接続手段を用いてユーザの所持する携帯端末機に対して送信するクーポンデータ送信手段を備えることを特徴とする請求項6記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記クーポンデータ送信手段は、前記携帯端末機に対して送信するクーポンデータに、ユーザが旅行者である旨を証明するための証明用データを含ませるように構成されていることを特徴とする請求項7記載のカーナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−168567(P2009−168567A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5736(P2008−5736)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】