説明

カーナビゲーションシステム

【課題】案内対象地点に対して最適なタイミングで案内報知をする。
【解決手段】カーナビゲーションシステム1は情報センタ3と当該情報センタ3から無線通信にて案内情報を取得するナビゲーション装置2とを備える。ナビゲーション装置2は、制御装置4、位置検出部6、表示器7、音声出力装置9などを有する。情報センタ3の制御部16は、自車が通信開始地点を走行すると、車速度情報を含む案内情報要求指令を情報センタ3に送信し、情報センタ3は、車速度情報に応じて案内報知開始地点を調整し、この案内報知開始地点の位置情報と、案内情報とをナビゲーション装置2に送信する。ナビゲーション装置2は、情報センタ3との通信が完了すると、自車が取得した案内報知開始地点を走行したタイミングで表示器7及び音声出力装置9に案内情報を報知させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報センタと無線通信が可能な車載器を備えたカーナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路上に設置された路上機と通信して、交通情報等の案内情報を受信し、情報提供エリアにて、この受信した案内情報を報知(表示及び音声報知を含む)する技術が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の技術においては、路上機の設置された地点にて案内情報を受信し、中心座標から所定半径に設定される情報提供エリアにて案内情報を報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-158887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては情報提供エリアの手前にある路上機の設置地点に車両が到達した時に路上機と通信することにより案内情報を取得する。しかし、情報量が大きい場合等、案内情報の取得時間(データ通信時間)にある程度時間がかかり、又、車両側の走行環境も各走行時において同じではないため、路上機の設置地点にて案内情報を取得できない可能性がある。また、情報提供エリアにて案内情報を報知する場合においても、情報提供エリアの位置は固定であるため、案内情報によっては適切なタイミングで報知できないものがある。例えば、交差点案内情報の報知タイミングが車両の速度によって早すぎたり、遅すぎたりする、といった問題が起こり得る。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報センタから無線通信にて案内情報を取得するカーナビゲーションシステムにおいて、案内対象地点に対して最適なタイミングで案内報知ができるカーナビゲーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のカーナビゲーションシステムは、情報センタと当該情報センタから無線通信にて案内情報を取得する車載器とを備えたカーナビゲーションシステムであって、前記車載器は、通信開始地点の位置情報を記憶する記憶手段と、自車位置検出手段と、前記案内情報を報知する案内報知手段と、を備え、前記車載器は、自車が前記通信開始地点を走行したタイミングで、前記情報センタに対して車速度情報を含む案内情報要求指令を送信し、前記情報センタは、前記車載器から前記要求指令を取得すると、前記車速度情報から案内報知開始地点の位置を調整し、この調整後の案内報知開始地点の位置情報と、案内情報とを前記車載器に送信する情報送信手段を有し、さらに、前記車載器は、前記情報センタから前記案内報知開始地点の位置情報及び案内情報を受信すると、受信した前記案内報知開始地点を自車が走行したタイミングで前記案内報知手段に前記案内情報を報知させる報知制御手段を有するところに特徴を有する。
【0007】
この請求項1においては、車載器は、自車が通信開始地点を走行したタイミングで、車速度情報を含んだ案内情報要求指令を情報センタに送信する。すると、情報センタでは、車速情報から案内報知開始地点の位置を調整する。従来では情報センタから案内情報を取得した時点でそのまま案内情報を報知するようにしていたが、請求項1によれば、このように案内報知開始地点の位置を調整することで、車載器では、案内対象地点に対する案内報知開始を、自車にとって最適なタイミングで実行することができる。
【0008】
従って、運転者は、案内対象地点に関する案内情報を、最適のタイミングで知ることができて、案内情報の報知タイミングが案内対象地点に近すぎることによる急な対応をなくし得ると共に、報知タイミングが案内対象地点から手前すぎて案内対象地点自体が分りにくいといった不具合もなくなる。
【0009】
請求項2のカーナビゲーションシステムは、前記情報センタの情報送信手段が、前記車速度情報の他に、案内対象地点の複雑度にも応じて案内報知開始地点の位置を調整するところに特徴を有する。これによれば、前記案内報知開始地点を、自車速度と、案内対象地点の複雑度とに応じて調整するから、さらに最適なタイミングでの案内報知開始となる。
【0010】
又、請求項3のカーナビゲーションシステムは、請求項1又は2において、前記車載機が、前記通信開始地点の位置を車速度情報に基づいて調整する通信開始地点位置調整手段をさらに備え、自車が前記通信開始地点位置調整手段により調整された後の位置の通信開始地点を走行したタイミングで、前記情報センタに対して車速度情報を含む案内情報要求指令を送信するようにしている。これによれば、走行速度に合った通信開始を行なうことができる。
【0011】
又、請求項4のカーナビゲーションシステムは、情報センタが備えた案内報知開始地点の位置情報を車載器が取得し、該車載器において、自車速度に応じて案内報知開始地点の位置を調整するようにしている。この請求項4においても、請求項1と同様の効果を得ることができる。
【0012】
請求項7のカーナビゲーションシステムは、車載器の記憶手段が通信開始地点の位置情報に加えて案内報知開始地点の位置情報を記憶し、そして、該車載器が、車速度に基づいて該案内報知開始地点の位置を調整するようにしている。この請求項7によれば、請求項1と同様の効果を奏することに加えて、案内報知開始地点位置情報の取得及び位置調整を車載器で迅速に行うことができる。
【0013】
請求項10のカーナビゲーションシステムは、前記案内報知開始地点の位置を、車速が速いと自車位置方向へ調整し、車速が遅いと案内対象地点方向へ調整するようにしている。この請求項10によれば、車速が速いときには早めタイミングで、つまり最適のタイミングで案内対象地点に対する案内報知を知ることができ、車速が遅いときには遅めのタイミングで、つまりこの場合も最適のタイミングで案内報知を知ることができる。
【0014】
請求項11のカーナビゲーションシステムは、前記案内報知開始地点の位置を、交通情報に基づいて調整するようにしている。この請求項11によれば、渋滞、事故、工事などの交通情報を加味して案内報知開始地点の位置を最適に調整できる。
【0015】
請求項12のカーナビゲーションシステムは、前記通信開始地点の位置を、車速が速いと自車位置方向へ調整し、車速が遅いと案内対象地点方向へ調整するようにしている。これによれば、車速が速いときには早めタイミングで、又車速が遅いときには遅めのタイミングで情報センタとの通信を開始でき、この結果、車速が速いときにおける通信不足をなくし得ると共に、車速が遅いときに早くに通信をして案内情報が劣化してしまうといったことがない。
【0016】
請求項13のカーナビゲーションシステムは、前記通信開始地点の位置を、交通情報に基づいて調整するようにしている。このようにすると、渋滞、事故、工事などの交通情報を加味して通信開始地点の位置を最適に調整できる。例えば渋滞、事故、工事などにより案内対象地点Ptまでに時間がかかることが予測されるから、通信開始地点Pkの位置をデフォルト位置から案内対象地点Pt方向へずらすように調整しても良い。
【0017】
請求項14のカーナビゲーションシステムは、前記車載器が、自車が前記通信開始地点を走行したタイミングで、予め記憶されている通信開始条件に自車の走行状況が一致するか否かを判定する第1の判定手段をさらに備え、該第1の判定手段により一致すると判定されたときに前記情報センタからの情報受信を開始するようにしている。この請求項12によれば、自車の走行状況が通信開始条件に一致したときに情報センタから案内情報を受信するから、有効な案内情報の取得が可能であり、せっかく受信(通信)を開始しても無駄になる案内情報の取得を少なくすることができ、通信コストの無駄を少なくすることができる。
【0018】
この場合、前記自車の走行状況に、自車がマップマッチングされる道路の道路種別情報もしくはリンクIDを少なくとも含むと良い(請求項15)。この請求項15によれば、自車がどの道路種別の道路もしくはどのリンクIDの道路を走行しているか、つまり、自車が走行している道路種別の道路もしくはリンクIDの道路の状況に応じて、有効な案内情報の取得が可能であり、せっかく通信を開始しても無駄になる案内情報の取得を少なくすることができ、通信コストの無駄を少なくすることができる。
【0019】
請求項16のカーナビゲーションシステムは、前記車載器が、自車が前記案内報知開始地点を走行したタイミングで、予め記憶されている案内報知開始条件に自車の走行状況が一致するか否かを判定する第2の条件判定手段をさらに備え、該第2の判定手段により一致すると判定されたときに案内報知を開始するようにしている。この請求項14によれば、車の走行状況が案内報開始条件に一致したときに案内報知を開始するから、自車にとって有効な案内報知をユーザーが受けることができ、換言すれば、自車にとって不要な案内報知を受けずに済み、安全性の向上に寄与できる。
【0020】
この場合、前記自車の走行状況に、自車がマップマッチングされる道路の道路種別情報もしくはリンクIDを少なくとも含むと良い(請求項17)。この請求項17によれば、自車がどの道路種別の道路もしくはどのリンクIDの道路を走行しているか、つまり、自車が走行している道路種別の道路もしくはリンクIDの道路の状況に応じて、有効な案内報知をユーザーが受けることができ、案内報開始条件に一致しない道路種別の道路もしくはリンクIDの道路を走行しているときにおける不要な案内報知を受けずに済む。
【0021】
請求項18のカーナビゲーションシステムは、前記車載器が、目的地に至る経路を設定する手段をさらに備え、自車が前記通信開始地点を走行したタイミングで前記情報センタに対して車速度情報及び前記経路情報を含む案内情報要求指令を送信し、前記情報センタは前記車速情報及び経路情報に基づいて案内報知開始地点の位置情報を調整するようにしている。この請求項16によれば、目的地に至る経路を設定されている場合に、情報センタが、当該経路にとって最適な案内報知開始地点の位置を調整できる。
【0022】
請求項19のカーナビゲーションシステムは、前記車載器が、目的地に至る経路を設定する手段をさらに備え、前記記憶手段が、前記案内報知開始地点の位置情報を予め記憶し、前記車載器が、前記目的地が設定されている状況下においては、自車が前記通信開始地点を走行したタイミングで前記設定された経路において自車が当該設定経路に沿って走行した場合における前記案内報知開始地点の予測走行状況が、前記案内報知開始条件に一致するか否かを判定する第3の判定手段をさらに備え、そして、前記目的地が設定されている状況下において、前記第3の判定手段により一致すると判定されたときに前記情報センタからの情報受信を開始する。この請求項19によれば、情報センタと車載器との案内情報取得のための通信が無駄になることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すもので、カーナビゲーションシステムの電気的構成を示すブロック図
【図2】ナビゲーション装置の制御装置及び情報センタの制御部の制御内容を示すフローチャート
【図3】表示例を示す図
【図4】本発明の第2の実施形態を示す図2相当図
【図5】本発明の第3の実施形態を示す図3相当図
【図6】本発明の第4の実施形態を示す図2相当図
【図7】道路形態の一例を示す図
【図8】(a)〜(d)は夫々道路形態が異なる例を示す図
【図9】通信開始条件を示す図
【図10】案内報知開始条件を示す図
【図11】表示器の表示画面を示す図
【図12】別の表示例を示す表示器の表示画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について図1ないし図3を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るカーナビゲーションシステム1の構成を概略的に示している。このカーナビゲーションシステム1は、車両に搭載される車載器としてのナビゲーション装置2と、情報センタ3とを備えて構成される。
【0025】
前記ナビゲーション装置2は、コンピュータ(CPU)を主体として構成され全体を制御する制御装置4を備えると共に、その制御装置4に接続されて外部との無線通信を行う通信装置5、自車位置を検出するための自車位置検出手段としての位置検出部6、案内報知手段としての例えばフルカラー液晶ディスプレイからなる表示器7、タッチパネルやメカスイッチを含む操作スイッチ群8、案内報知手段としての音声出力装置9、地図データベース10等を備えて構成されている。前記制御装置4は不揮発性メモリ4aを有している。
【0026】
前記位置検出部6は、GPS用の人工衛星からの送信電波に基づいて自車両の位置を検出(測位)するGPS(Global Positioning System )のためのGPS受信機13、自車両の回転角速度を検出するジャイロセンサ14、車速度センサ15を含んでいる。前記制御装置4は、そのソフトウエア構成(及びハードウエア構成)により、前記位置検出部6を構成する各センサ13〜15からの入力に基づいて、自車両の現在位置(絶対位置)、進行方向、速度や走行距離、現在時刻等を高精度で検出する。
【0027】
そして、その自車の現在位置、及び、前記地図データベース10から得られる地図データに基づいて、前記表示器7の画面に、自車周辺の道路地図と共に自車の現在位置(及び進行方向)を重ね合せて表示させるロケーション機能を実現する。この場合、一般に、ロケーション機能を実現するにあたっては、自車の位置を、表示される電子地図上の道路に乗せるために、自車の移動軌跡と道路地図データ中の道路形状とを比較照合して、現在走行中の道路を推測するマップマッチングが行われる。
【0028】
前記地図データベース10は、例えば日本全土の道路地図データや、それに付随する、各種施設や店舗等の施設データ等を記憶するものである。前記道路地図データは、地図上の道路を、交差点等をノードとして複数の部分に分割し、各ノード間の部分をリンクとして規定したリンクデータとして与えられる。このリンクデータは、リンク固有のリンクID(識別子)、リンク長、リンクの始点,終点(ノード)の位置データ(経度,緯度)、角度(方向)データ、道路幅、道路種別などのデータを含んで構成される。また、道路地図を表示器の画面上に再生(描画)するためのデータも含まれている。そして、この地図データベース10は記憶手段に相当するものであり、情報センタ3との通信開始地点及び案内対象地点の各位置情報、さらに通信開始条件、案内報知開始条件が記憶されている。この通信開始条件には、車両進行方向、道路種別が含まれる。又、案内報知開始条件にも車両進行方向、道路種別が含まれる。
【0029】
前記制御装置4は、前記通信装置5により、例えば、図示しない無線基地局及びインターネット等の通信ネットワークを介して、情報センタ3との間で通信(テレマティクス通信)を行うようになっている。前記通信装置5としては、携帯電話機、DSRC、無線LANなど様々なものを採用することができる。
【0030】
さらに、前記制御装置4は、情報センタ3から取得した経路案内データに基づいて経路案内を実行する。周知のように、この経路案内は、表示器7の画面に、道路地図に重ね合わせて走行すべき経路を表示すると共に、自車位置が所定のポイントに至ったときに、音声出力装置9により案内音声を出力することにより行われる。これにて、ユーザにより指定された目的地までの推奨する走行経路を探索する経路探索機能が実現されるようになっている。
【0031】
一方、図1に示すように、前記情報センタ3は、コンピュータを主体として構成された制御部16を備えると共に、その制御部16に接続された、外部との間で無線通信を行う通信手段たる通信装置17、経路探索に関連する各種情報を記憶する情報記憶部18、地図データベース19などを備えて構成されている。前記通信装置17は、前記ナビゲーション装置2の通信装置5との間の無線通信を行なうようになっている。
【0032】
また、前記通信装置17は、例えば種々のサーバ20、VICSセンタ21、他の車両等から送信される、交通情報(渋滞、事故、工事、車線規制、交通規制などの情報)、気象情報(天候、風向き、路面状況)等の経路探索に有用な最新のデータを受信可能である。又、上記交通情報をFM放送により発信する機能も有している。上記交通情報や各種データは情報記憶部18に蓄積されるようになっている。
【0033】
前記地図データベース19には、経路探索用の最新の道路地図データや、簡易地図情報としての簡易地図図形データが記憶し、さらに、案内報知開始地点をデフォルト的に記憶している。なお、この実施形態においては、ナビゲーション装置2の地図データベース10においても案内対象地点の位置を記憶しているが、この情報センタ3の地図データベース19においても案内対象地点の位置、さらにはその複雑度を記憶している。この複雑度は後述より明らかとなるが車速度情報と併用して案内報知開始地点調整に用いられる。
【0034】
さて、前記ナビゲーション装置2の制御装置4は、報知制御手段としても機能するものであり、又、前記情報センタ3の制御部16は、情報送信手段としての機能を有するものである。これらナビゲーション装置2の制御装置4及び前記情報センタ3の制御部16の制御動作について図2のフローチャートを参照して説明する。
【0035】
まず、情報センタ3の制御部16は、図2(b)に示すように、ステップS1で、ナビゲーション装置2から、車速度情報を含む案内情報要求指令を受信すれば、ステップS2で、デフォルト的に記憶した案内報知開始地点の位置を、前記車速度情報と案内対象地点の複雑度に応じて調整し、ステップS3で、当該調整した案内報知開始地点と案内情報とをナビゲーション装置2に送信する(情報送信手段)。
【0036】
すなわち、前記ステップS2では、車速度(ナビゲーション装置2が搭載された車両の速度)が速いほど、案内報知開始地点Ph(図3参照)を自車現在位置P方向(図3矢印A方向)へずらすように調整する。逆に言えば、車両走行速度が遅いと当該案内報知開始地点Phを案内対象地点Pt方向(図3矢印B方向へ)へずらすように調整する。
【0037】
さらに本実施形態では、デフォルト的な案内報知開始地点Phを、これら車速度や案内対象地点の複雑度も考慮して調整している。
例えば、案内対象地点Ptが一般道であって直進(複雑度やや低い)であり、且つ車速が50km/h以上である場合には、デフォルト的な案内報知開始地点Phを100m手前(自車現在位置P方向)にずらすように調整し、車速が30〜50km/h未満であるときには、そのままとし、車速が30km/h以下の場合にはフォルト的な案内報知開始地点Phを100m後方(案内対象地点Pt方向)にずらすように調整する。
【0038】
又、案内対象地点Ptが一般道であって右左折(複雑度高い)があり、且つ車速が50km/h以上である場合には、デフォルト的な案内報知開始地点Phを150m手前(自車現在位置P方向)にずらすように調整し、車速のみが30〜50km/h未満であるときには、デフォルト的な案内報知開始地点Phを50m手前(自車現在位置P方向)にずらすように調整し、車速が30km/h以下の場合にはフォルト的な案内報知開始地点Phを50m後方(案内対象地点Pt方向)にずらすように調整する。
【0039】
又、高速道路であって車速が80km/h以上であるときには、デフォルト的な案内報知開始地点Phを300m手前(自車現在位置P方向)にずらすように調整し、50km/h〜80km/h未満であるときには、そのままとし、車速が50km/hのときには、フォルト的な案内報知開始地点Phを400m後方(案内対象地点Pt方向)にずらすように調整する。
【0040】
なお、デフォルト的な案内報知開始地点Phのままで良いと判断されることもあり、この場合には、変更はしない。
一方、ナビゲーション装置2の制御装置4は、図2(a)で示すように、ステップT1で自車が、予め記憶された通信開始地点Pk(図3参照)を走行したか否かを判断する。走行したことが判断されると、ステップT2で、車速度情報を含む案内情報要求指令を情報センタ3に送信する。
【0041】
なお、図3には、案内対象地点の一例を図3の符号Ptで示し、自車現在位置を符号Pで示している。
又、案内情報を表示器7に表示する場合には、地図表示に加え、案内対象地点Ptを表示マークMで示す(図3参照)。又、自車両は表示マークMsで示す。なお、この図3においては、表示器7における表示の一例を示しているが、前記通信開始地点Pk及び案内報知開始地点Phは表示しない。
【0042】
次のステップT3では、情報センタ3からの情報受信が完了しないまま案内報知開始地点Phを走行したか否かを判断する。「NO」の場合には、ステップT4に移行して、情報受信が完了したか否かを判断する。ここで情報受信が完了すると、ステップT5で、自車が案内報知開始地点Phを走行したか否かを判断し、走行したことが判断されると、ステップT6で、表示器7及び音声出力装置9を作動させて、取得した案内情報を報知する(報知制御手段)。
【0043】
その後、ステップT7で、案内対象地点Pt通過が判断されるとステップT8で案内報知を終了する。
又、前記案内情報の通信(取得)が完了しないままで案内報知開始地点Phを通過すると(ステップT3で「YES」)、ステップT9で案内情報の報知を無しとする(報知制御手段)。
【0044】
このような本実施形態において、ナビゲーション装置2は、自車が通信開始地点Pkを走行したタイミングで、車速度情報を含んだ案内情報要求指令を情報センタ3に送信する。すると、情報センタ3では、車速から案内報知開始地点Phの位置を調整する。このように、車速度情報から案内報知開始地点Phの位置を調整することで、ナビゲーション装置2では、案内対象地点Ptに対する案内報知開始を、自車にとって最適なタイミングで実行することができる。
【0045】
従って、運転者は、案内対象地点Ptに関する案内情報を、最適のタイミングで知ることができて、案内情報の報知タイミングが案内対象地点Ptに近すぎることによる急な対応をなくし得ると共に、報知タイミングが案内対象地点Ptから手前すぎて案内対象地点Pt自体が分りにくいといった不具合もなくなる。
【0046】
特に、前記案内報知開始地点Phの位置を、車速が速いと自車位置方向へ調整し、車速が遅いと案内対象地点Pt方向へ調整するようにしているから、車速が速いときには早めタイミングで、つまり最適のタイミングで案内対象地点に対する案内報知を知ることができ、車速が遅いときには遅めのタイミングで、つまりこの場合も最適のタイミングで案内報知を知ることができる。
【0047】
特に本実施形態によれば、前記車速度情報の他に、案内対象地点Ptの複雑度にも応じて案内報知開始地点Phの位置を調整するようにしている。例えば前述したように案内対象地点Ptが複雑な場合には、自車位置方向(手前側)へ案内報知開始地点Phの位置をずらし、案内対象地点Ptが簡単な場合には、案内対象地点Pt方向(後側)へずらすか、あるいは調整しないようにすることが可能で、この結果、さらに最適なタイミングでの案内報知開始となる。
【0048】
又、本実施形態によれば、制御装置4における報知制御手段が、自車が案内報知開始地点Phを通過しても情報センタ3からの案内情報取得が完了しないときに表示器7及び音声出力装置9の報知動作をしないようにしたから、報知に対する運転者の対応時間が確保されない場合には、報知そのものをしないことで、安全運転を維持することができる。
【0049】
次に図4は第2の実施形態を示すフローチャートであり、この第2の実施形態においては、ナビゲーション装置2において、車速度に応じて案内報知開始地点Phの位置を調整するようにしている。すなわち、ステップT2´では、車速度情報を含まない案内情報要求指令を情報センタ3に送信する。すると情報センタ3では、案内報知開始地点調整はせずに、ステップS3´でデフォルト的に記憶している案内報知開始地点と案内情報とをナビゲーション装置2に送信する。
【0050】
さらにナビゲーション装置2では、情報センタ3からの情報受信が完了すると(ステップT4)、ステップTaにおいて、自車の車速度情報及び案内対象地点Ptの複雑度から案内報知開始地点Phを第1の実施形態同様に調整する。この第2の実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
又、図5は本発明の第3の実施形態を示している。ナビゲーション装置2は、自装置の記憶手段たる地図データベース10が記憶している通信開始地点Pkの位置を、自車の速度に基づいて調整するようにしている(通信開始地点位置調整手段)。この場合、自車が通信開始地点Pkに到達する前において、通信開始地点Pkの位置を、車速度が速いと自車現在位置P方向へずらし、車速度が遅いと案内対象地点Pt方向へずらすように調整するようにしている。この実施形態によれば、走行速度に合った通信開始を行なうことができる。例えば、走行速度が速い場合には、通信開始タイミングが早くなるから、通信失敗を回避でき、又、渋滞時においては、通信開始タイミングが遅くなるから、最新の案内情報を取得できる。
【0052】
この場合、前記通信開始地点Pkの位置は、交通情報に基づいて調整するようにしても良い。このようにすると、渋滞、事故、工事などの交通情報を加味して通信開始地点Pkの位置を最適に調整できる。例えば渋滞、事故、工事などにより案内対象地点Ptまでに時間がかかることが予測されるから、通信開始地点Pkの位置をデフォルト位置から案内対象地点Pt方向へずらすように調整しても良い。
【0053】
図6ないし図12は本発明の第4の実施形態を示している。この図6(a)は車載器2の制御装置4の制御内容を示し、(b)は情報センタ3の制御部16の制御内容を示している。この第4の実施形態においては、案内報知開始地点Phの位置を調整するのに加えて、車載器2において夫々予め記憶されている通信開始条件と案内報知開始条件とに応じて通信開始及び案内報知開始を制御するようにした点が前記第1の実施形態と異なる。理解を容易にするために、図7を参照して、以下、説明する。この図7では、例えば道路種別が異なる道路(高速道路と一般道)が並行している道路形態を示し、高速道路の途中に降り口がある場合を示している。この図7での案内対象地点Ptは高速道路上の地点とする。通信開始地点Pkは所定の中心座標cから所定半径rの範囲であり、案内報知開始地点Phは、所定の中心座標c´から所定半径r´の範囲であり、この案内報知開始地点Phの範囲では車両は高速道路及び一般道のいずれを走行していても情報センタ3と通信開始可能である。
【0054】
この図では、車両は、同図の符号Saで示すように高速道路のみを走行する場合、符号Sbで示すように高速道路から一般道を走行する場合、一般道のみを走行する場合がある。ここで案内対象地点Ptは、高速道路上であるから、走行経路Sb、Scの場合には案内報知の必要がなく、走行経路Saの場合では案内報知することが必要である。このような走行状況に応じた案内報知はこの第4の実施形態で可能となる。
【0055】
以下、図6に基づいて説明する。まず、図6(b)において、ステップV1では種々のサーバ20、VICSセンタ21、他の車両等から送信される交通情報(渋滞、事故、工事、車線規制、交通規制などの情報)を受信し、ステップV2ではこれに基づいて案内情報である図形情報を作成する。
【0056】
ステップV3で、ナビゲーション装置2から、車速度情報を含む案内情報要求指令を受信すれば、ステップV4で、デフォルト的に記憶した案内報知開始地点の位置を、前記車速度情報と案内対象地点の複雑度に応じて調整し、ステップV5で、当該調整した案内報知開始地点と案内情報とをナビゲーション装置2に送信する(情報送信手段)。
【0057】
一方、ナビゲーション装置2の制御装置4は、図6(a)で示すように、ステップW1で自車位置を検出した後、ステップW2で自車が、予め記憶された通信開始地点Pkを走行したか否かを判断する。走行したことが判断されると、ステップW3で自車の進行方向を検出し、ステップW4で自車がマップマッチングされている道路種別(例えば高速道路や一般道路)を検出する。つまり自車の走行状況を検出する。
【0058】
そして、ステップW5で、自車の走行状況(この場合進行方向及び道路種別)が通信開始条件に一致するか否かを判断する(第1の判定手段)。
今、例えば図8(a)において、案内対象地点Ptが一般道路上である場合には、通信開始条件は図9の(a)欄に示すように、道路種別が一般道路で、進行方向が東方向となっており、自車の走行状況のうち道路種別が一般道路で進行方向が東方向である場合には通信開始条件と一致するから、ステップW6で車速情報を含む案内情報要求指令を送信(通信開始)する。又、自車の走行状況が通信開始条件と一致しない場合には通信を開始しない(ステップW17)。
【0059】
この後、案内報知開始地点Ph通過までに受信完了すると(ステップW7、ステップW8の「YES」)、ステップW9で自車位置を検出し、ステップW10で、案内報知開始地点Phを走行していることが判断されると、再度ステップW11で自車の進行方向を検出し、ステップW12で自車がマップマッチングされている道路種別(例えば高速道路や一般道路)を検出する。つまり自車の走行状況を検出する。
【0060】
そして、ステップW13で、自車の走行状況が案内報知開始条件に一致するか否かを判断する(第2の判定手段)。
例えば、前記図8(a)に対応する案内報知開始条件は、図10の(a)欄に示すように、道路種別が一般道路で進行方向が東方向であり、自車の走行状況がこれに一致すれば、ステップW14で、案内報知を開始する。
【0061】
その後、ステップステップW15で、案内対象地点Pt通過が判断されるとステップW16で案内報知を終了する。
又、前記ステップW13で不一致と判断されると、案内報知はしない(ステップW18)。
【0062】
上述した制御において、具体的に説明すると、図8(a)において、自車が、通信開始地点Pkで、一般道路を東方向へ走行している状況では、通信開始条件(図9の(a)欄)に一致するから情報センタ3との通信が開始される。又、自車が上述以外の走行状況であると情報センタ3との通信は開始されない。
【0063】
又、同じく図8(a)において自車が、案内報知開始地点Phで一般道路を東方向へ走行している走行状況では、案内報知開始条件(図10の(a)欄)に一致するから案内情報が報知され、これ以外の走行状況では、案内報知されない。
【0064】
なお、図8(b)の場合には、通信開始地点Pkで自車の走行状況が、図9の(b)欄で示す通信開始条件(東方向で高速道路を走行)のときにのみ通信が開始され、案内報知開始地点Phで自車の走行状況が図10の(b)欄で示す案内報知開始条件(東方向で高速道路を走行)のときにのみ案内報知がなされる。
【0065】
又、図8(c)の場合には、通信開始地点Pkで自車の走行状況が、図9の(c)欄で示す通信開始条件(東方向で高速道路を走行)のときにのみ通信が開始され、案内報知開始地点Phで自車の走行状況が図10の(c)欄で示す案内報知開始条件(東方向で高速道路を走行)のときにのみ案内報知がなされる。
【0066】
又、図8(d)の場合には、通信開始地点ktが一つの道路であるから道路種別を特定する必要がなく、従って、図9の(d)欄で示すように、通信開始条件としては、道路種別は特定せず進行方向は東に設定している。この場合には、通信開始地点Pkで自車が東方向へ走行していれば、通信を開始し、そして、図10の(d)欄に示すように案内報知開始条件が高速道路で東方向という条件であるから、自車が高速道路に進入すれば案内報知がなされる。
【0067】
なお、案内情報は、案内対象地点の簡易地図図形情報や、看板図形情報、交通情報の図形情報が含まれる。図8では、案内対象地点Ptを簡略化して示しているが、簡易地図図形は図11や、図12のように、表示器7の表示画面7aに表示される。図11の場合、一般道路における表示例を示しており、簡易地図図形Ztに、渋滞度に応じた色を図形(符号Zc1、Zc2、Zc3を付して示す)を表示する。実線の図形Zc1は緑色表示部分(これは渋滞無し)、一点鎖線の図形Zc2は橙色表示部分(これは渋滞度小)、点線の図形Zc3は赤色表示部分(これは渋滞度大)を示している。この場合、簡易地図図形Zt及び前記交通情報の図形Zc1〜Zc3に加えて自車位置図形(符号Zjで示す)を表示する。又、表示器7の表示画面7aにおいては通常の地図表示と合わせて表示される。なお、図12では高速道路と一般道路とが並行するような場合の簡易地図図形と通常の地図表示と合わせた表示例を示している。
【0068】
このような第4の実施形態においては、前記車載器2が、自車が通信開始地点Pkを走行したタイミングで、予め記憶されている通信開始条件に自車の走行状況が一致するか否かを判定し(第1の判定手段)、この第1の判定手段により一致すると判定されたときに情報センタ3からの情報受信を開始するようにしている。これによれば、自車の走行状況が通信開始条件に一致したときに情報センタ3から案内情報を受信するから、有効な案内情報の取得が可能であり、せっかく通信を開始しても無駄になる案内情報の取得を少なくすることができ、通信コストの無駄を少なくすることができる。
【0069】
この場合、前記自車の走行状況に、自車がマップマッチングされる道路の道路種別情報もしくはリンクIDを少なくとも含むから、自車がどの道路種別の道路もしくはどのリンクIDの道路を走行しているか、つまり、自車が走行している道路種別の道路もしくはリンクIDの道路の状況に応じて、有効な案内情報の取得が可能であり、せっかく通信を開始しても無駄になる案内情報の取得を少なくすることができ、通信コストの無駄を少なくすることができる。
【0070】
又、前記車載器2が、自車が前記案内報知開始地点を走行したタイミングで、予め記憶されている案内報知開始条件に自車の走行状況が一致するか否かを判定し(第2の条件判定手段)、この第2の判定手段により一致すると判定されたときに案内報知を開始するようにしている。これによれば、車の走行状況が案内報開始条件に一致したときに案内報知を開始するから、自車にとって有効な案内報知をユーザーが受けることができ、換言すれば、自車にとって不要な案内報知を受けずに済み、安全性の向上に寄与できる。
【0071】
この場合、前記自車の走行状況に、自車がマップマッチングされる道路の道路種別情報もしくはリンクIDを少なくとも含むから、自車がどの道路種別の道路もしくはどのリンクIDの道路を走行しているか、つまり、自車が走行している道路種別の道路もしくはリンクIDの道路の状況に応じて、有効な案内報知をユーザーが受けることができ、案内報開始条件に一致しない道路種別の道路もしくはリンクIDの道路を走行しているときにおける不要な案内報知を受けずに済む。
【0072】
本発明の実施形態は上記した各実施形態に限定されるものではなく、次のように変更して実施しても良い。
案内報知開始地点の位置情報は予め車載器の記憶手段に記憶されていても良く、この場合該案内報知開始地点の調整も当該車載器側で行うと良い。このようにすることにより、案内報知開始地点位置情報の取得及び位置調整を車載器で迅速に行うことができる。
【0073】
又、案内報知開始地点に加え案内対象地点の位置情報も情報センタから取得するようにしても良い。
前記案内報知開始地点の位置は、交通情報に基づいて調整するようにしても良い。このようにすることにより、渋滞、事故、工事などの交通情報を加味して案内報知開始地点の位置を最適に調整できる。例えば渋滞、事故、工事などにより案内対象地点までに時間がかかることが予測されるから、案内報知開始地点の位置をデフォルト位置から案内対象地点方向へずらすように調整しても良い。これにより、ユーザーに対して適切なタイミングで情報を案内報知でき、又、むやみに早い段階で案内報知することがないので、案内情報特に交通情報の時間劣化を防止できるようになる。
【0074】
又、本発明の実施形態は次のようにしても良い。前記車載器が、目的地に至る経路を設定する手段をさらに備え、自車が前記通信開始地点を走行したタイミングで前記情報センタに対して車速度情報及び前記経路情報を含む案内情報要求指令を送信し、前記情報センタは前記車速情報及び経路情報に基づいて案内報知開始地点の位置情報を調整するようにしても良い。このようにすれば、目的地に至る経路を設定されている場合に、情報センタが、当該経路及び車速にとって最適な案内報知開始地点の位置を調整できる。
【0075】
つまり、目的地に至る経路が設定されると、当該設定経路における通信開始地点が一般道であるのかあるいは高速道路であるのか、又、同様に案内報知開始地点が一般道であるのかあるいは高速道路であるのかが自ずと分るから、例えば、前記設定経路において通信開始地点が一般道であって案内報知開始地点が高速道路といった場合などでは、通信開始地点を早めて、案内報知開始地点を自車位置側にずらすようにすることが可能となる。逆に、前記設定経路において通信開始地点が高速道路であって案内報知開始地点が一般道といった場合などでは、通信開始地点での車速度だけでは案内報知開始地点が手前すぎる位置に調整されてしまう不具合が想起されるが、経路設定により予め案内報知開始地点での道路種別が高速道路であることが分るから、これを考慮した案内報知開始地点の調整が可能となり、このような不具合は生じない。
【0076】
又、本発明の実施形態は、次のように構成しても良い。すなわち、前記車載器が、目的地に至る経路を設定する手段をさらに備え、前記記憶手段が、前記案内報知開始地点の位置情報を予め記憶している。そして、前記車載器は、前記目的地が設定されている状況下においては、自車が前記通信開始地点を走行したタイミングで前記設定された経路において自車が当該設定経路に沿って走行した場合における前記案内報知開始地点の予測走行状況が、前記案内報知開始条件に一致するか否かを判定する第3の判定手段をさらに備え、前記目的地が設定されている状況下において、前記第3の判定手段により一致すると判定されたときに前記情報センタからの情報受信を開始するようにしても良い。
【0077】
上記構成における特徴を述べる。道路形態が例えば前述第4の実施形態での図8(d)の場合を例にとって説明する。自車が経路設定の無い状態で走行しているとすると、通信開始地点Pkで、情報センタ3との案内情報取得のための通信を開始するが、自車が案内報知開始地点Phで一般道路を走行したとすると、案内報知開始条件に一致しないから、案内報知は開始されないものの、情報センタ3との通信が無駄となってしまう。この点、上記構成では、次に述べるように、このような無駄がなくなる。
【0078】
すなわち、前掲の図8(d)を参照して説明する。今、設定された経路が一般道から高速乗り換えの経路であるとすると、上記構成では、前記第3の判定手段の判定結果は、目的地が設定されている状況下においては、自車が前記通信開始地点Ptを走行したタイミングで前記設定された経路において自車が当該設定経路に沿って走行した場合における前記案内報知開始地点Phの予測走行状況(この場合設定経路が高速道路に乗る経路であるから、高速道路を走行する状況が予測される)が、案内報知開始条件(この場合案内対象地点Ptが高速道路であるから当該案内報知開始条件は道路種別が高速道路である)に一致することになる。そして、この一致の判定のときには、自車が通信開始地点Pkで情報センタ3からの情報受信を開始する。この後、自車が、設定経路に沿って案内報知開始地点Phを走行するときには、自車の実際の走行状況が案内報知開始条件と必ず一致するから案内報知がなされる。
【0079】
一方、設定された経路が一般道をそのまま走行する経路であるとすると、自車が前記通信開始地点Ptを走行したタイミングで前記設定された経路において自車が当該設定経路に沿って走行した場合における前記案内報知開始地点Phの予測走行状況(この場合設定経路が一般道路のみの走行であるから、一般道路を走行する状況が予測される)が、案内報知開始条件(この場合前述したように当該案内報知開始条件は道路種別が高速道路である)とは不一致となるから、通信開始地点Pkでの情報センタ3との通信はなされず、案内報知開始地点Phでは自車の実際の走行状況が案内報知開始条件と一致しないから案内報知もなされない。
【0080】
従って、目的に至る経路が設定されている場合には、案内報知開始地点Phで案内報知がなされるか否かを、通信開始地点Pkで予め判定でき、そして、案内報知開始地点Phで案内報知がなされないことが判定されると、情報センタ3との通信を開始しないから、前述した通信の無駄をなくし得る。
【符号の説明】
【0081】
図面中、1はカーナビゲーションシステム、2はナビゲーション装置(車載器)、3は情報センタ、4は制御装置(報知制御手段)、6は位置検出手段(自車位置検出手段)、7は表示器(案内報知手段)、9は音声出力装置(案内報知手段)、16は制御部(情報送信手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報センタと当該情報センタから無線通信にて案内情報を取得する車載器とを備えたカーナビゲーションシステムであって、
前記車載器は、
通信開始地点の位置情報を記憶する記憶手段と、
自車位置検出手段と、
前記案内情報を報知する案内報知手段と、を備え、
前記車載器は、自車が前記通信開始地点を走行したタイミングで、前記情報センタに対して車速度情報を含む案内情報要求指令を送信し、
前記情報センタは、前記車載器から前記要求指令を取得すると、前記車速度情報から案内報知開始地点の位置を調整し、この調整後の案内報知開始地点の位置情報と、案内情報とを前記車載器に送信する情報送信手段を有し、
さらに、前記車載器は、前記情報センタから前記案内報知開始地点の位置情報及び案内情報を受信すると、受信した前記案内報知開始地点を自車が走行したタイミングで前記案内報知手段に前記案内情報を報知させる報知制御手段を有することを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記情報センタの情報送信手段は、前記車速度情報の他に、案内対象地点の複雑度にも応じて案内報知開始地点の位置を調整することを特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記車載機は、
前記通信開始地点の位置を車速度情報に基づいて調整する通信開始地点位置調整手段をさらに備え、
自車が前記通信開始地点位置調整手段により調整された後の位置の通信開始地点を走行したタイミングで、前記情報センタに対して車速度情報を含む案内情報要求指令を送信することを特徴とする請求項1又は2に記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項4】
情報センタと当該情報センタから無線通信にて案内情報を取得する車載器とを備えたカーナビゲーションシステムであって、
前記車載器は、
通信開始地点の位置情報を記憶する記憶手段と、
自車位置検出手段と、
前記案内情報を報知する案内報知手段と、を備え、
前記車載器は、自車が前記通信開始地点を走行したタイミングで、前記情報センタに対して案内情報要求指令を送信し、
前記情報センタは、前記車載器から前記要求指令を取得すると、案内報知開始地点の位置情報と、案内情報とを前記車載器に送信する情報送信手段を有し、
さらに、前記車載器は、前記情報センタから前記案内報知開始地点の位置情報と、案内情報とを受信すると、車速度から該案内報知開始地点の位置を調整し、該調整後の案内報知開始地点を自車が走行したタイミングで前記案内報知手段に前記案内情報を報知させる報知制御手段を有することを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記車載器の報知制御手段は、前記車速度の他に、案内対象地点の複雑度にも応じて案内報知開始地点の位置を調整することを特徴とする請求項4に記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記車載機は、
前記通信開始地点の位置を車速度情報に基づいて調整する通信開始地点位置調整手段をさらに備え、
自車が前記通信開始地点位置調整手段により調整された後の位置の通信開始地点を走行したタイミングで、前記情報センタに対して車速度情報を含む案内情報要求指令を送信することを特徴とする請求項4又は5に記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項7】
情報センタと当該情報センタから無線通信にて案内情報を取得する車載器とを備えたカーナビゲーションシステムであって、
前記車載器は、
通信開始地点の位置情報及び案内報知開始地点の位置情報を記憶する記憶手段と、
自車位置検出手段と、
前記案内情報を報知する案内報知手段と、を備え、
前記車載器は、自車が前記通信開始地点を走行したタイミングで、前記情報センタに対して案内情報要求指令を送信し、
前記情報センタは、前記車載器から前記要求指令を取得すると、案内情報を前記車載器に送信する情報送信手段を有し、
さらに、前記車載器は、前記情報センタから案内情報を受信すると、車速度から前記案内報知開始地点の位置を調整し、該調整後の案内報知開始地点を自車が走行したタイミングで前記案内報知手段に前記案内情報を報知させる報知制御手段を有することを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記車載器の報知制御手段は、前記車速度の他に、案内対象地点の複雑度にも応じて案内報知開始地点の位置を調整することを特徴とする請求項7に記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項9】
前記車載機は、
前記通信開始地点の位置を車速度情報に基づいて調整する通信開始地点位置調整手段をさらに備え、
自車が前記通信開始地点位置調整手段により調整された後の位置の通信開始地点を走行したタイミングで、前記情報センタに対して案内情報要求指令を送信することを特徴とする請求項7又は8に記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項10】
前記案内報知開始地点の位置は、車速が速いと自車位置方向へ調整し、車速が遅いと案内対象地点方向へ調整することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項11】
前記案内報知開始地点の位置は、交通情報に基づいて調整することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項12】
前記通信開始地点の位置は、車速が速いと自車位置方向へ調整し、車速が遅いと案内対象地点方向へ調整することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項13】
前記通信開始地点の位置は、交通情報に基づいて調整することを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項14】
前記車載器は、自車が前記通信開始地点を走行したタイミングで、予め記憶されている通信開始条件に自車の走行状況が一致するか否かを判定する第1の判定手段をさらに備え、該第1の判定手段により一致すると判定されたときに前記情報センタからの情報受信を開始することを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項15】
前記自車の走行状況には、自車がマップマッチングされる道路の道路種別情報もしくはリンクIDが少なくとも含まれていることを特徴とする請求項14に記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項16】
前記車載器は、自車が前記案内報知開始地点を走行したタイミングで、予め記憶されている案内報知開始条件に自車の走行状況が一致するか否かを判定する第2の条件判定手段をさらに備え、該第2の判定手段により一致すると判定されたときに案内報知を開始することを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項17】
前記自車の走行状況には、自車がマップマッチングされる道路の道路種別情報もしくはリンクIDが少なくとも含まれていることを特徴とする請求項16に記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項18】
前記車載器は、目的地に至る経路を設定する手段をさらに備え、
自車が前記通信開始地点を走行したタイミングで前記情報センタに対して車速度情報及び前記経路情報を含む案内情報要求指令を送信し、
前記情報センタは前記車速情報及び経路情報に基づいて案内報知開始地点の位置情報を調整する請求項1ないし3のいずれに記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項19】
前記車載器は、目的地に至る経路を設定する手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記案内報知開始地点の位置情報を予め記憶し、
前記車載器は、前記目的地が設定されている状況下においては、自車が前記通信開始地点を走行したタイミングで前記設定された経路において自車が当該設定経路に沿って走行した場合における前記案内報知開始地点の予測走行状況が、前記案内報知開始条件に一致するか否かを判定する第3の判定手段をさらに備え、
前記目的地が設定されている状況下において、前記第3の判定手段により一致すると判定されたときに前記情報センタからの情報受信を開始することを特徴とする請求項14に記載のカーナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−237175(P2011−237175A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103462(P2010−103462)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】