説明

カーナビゲーション装置、カーナビゲーション装置の制御方法および制御プログラム

【課題】不慣れな地域で細街路へ経路案内がなされることによるユーザーの不安感を解消しつつ、最適な案内経路を再探索してユーザーに提示する。
【解決手段】カーナビゲーション装置10において、制御部21は、案内経路の途中で経路外れ、或いは渋滞情報更新等により経路再探索を行う場合、細街路を除く道路を用いて経路再探索を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーション装置、カーナビゲーション装置の制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、経路探索において、道路ネットワークデータを、地理的に狭い範囲で精細に表現した下位レイヤー道路ネットワークデータと、幹線道路などの主要道路のみに限定して広範囲を表現した上位レイヤー道路ネットワークデータとに分割し、ユーザーが設定した出発地および目的地に基づいて、出発地周辺あるいは目的地周辺では下位レイヤー道路ネットワークデータを用いて探索しつつ、その間の区間(中間区間)は上位レイヤー道路ネットワークデータを用いて探索する手法が一般的に広く行われていた。
【0003】
また、最下位レイヤー道路ネットワークデータは、いわゆる細街路を含めた形で作成しておき、出発地周辺あるいは目的地周辺については細街路をも含めた形で経路探索を行うことにより、ドアトゥドアでの経路探索を実現するという手法も近年では一般的に行われるようになっている。
また、ユーザーが誤って、または意図的に案内経路から外れた場合や、新しい渋滞情報等を受信したことなどを理由として、案内経路の自動再探索を実行するという手法についても一般的に広く行われている。
【0004】
この場合において、自動再探索を行った地点(自車位置)から直近の地点で右左折等を案内することになってしまうことが考えられるが、直近の地点でユーザーがその案内に従うことは実際には対応が困難であるため、再探索開始地点から一定の走行時間内に到達可能と予想できる区間においては、右左折を禁止して直進させるような補正を行う、という方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−281789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1記載の技術においては、特定の地点に到達するまでの間、右左折に対する規制を一律にかけていたため、例えば、直進して細街路に入るような経路や、特定の地点を通過した後であれば、右左折して細街路に入る経路も自動際探索対象となってしまうこととなる。
しかしながら、出発地付近でも目的地付近でもない中間区間において、自車を細街路に誘導することは、不慣れな道路を走行させられるという意味で、ユーザーに不安感を抱かせかねない。また、単なる通過交通車両が走行することを前提としていない細街路に案内することは、当該地城の住民に対して迷惑をかけることになり、適切ではない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、あえて細街路に誘導する必要がない出発地周辺と目的地周辺との間の中間区間において、不慣れな地域で細街路へ経路案内がなされることによるユーザーの不安感を解消しつつ、最適な案内経路を再探索してユーザーに提示することが可能なカーナビゲーション装置、カーナビゲーション装置の制御方法および制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1態様は、出発地から目的地に至る経路探索を行い、この結果に基づく案内経路を用いて経路案内を行うカーナビゲーション装置において、前記案内経路の途中で経路外れ、或いは渋滞情報更新等により経路再探索を行う場合、細街路を除く道路を用いて経路再探索を行う経路探索部を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、経路探索部は、案内経路の途中で経路外れ、或いは渋滞情報更新等により経路再探索を行う場合、細街路を除く道路を用いて経路再探索を行う
したがって、案内経路の途中で細街路に経路案内により誘導される可能性が減り、不慣れな地域で細街路へ経路案内がなされることによるユーザーの不安感を解消しつつ、最適な案内経路を再探索してユーザーに提示することができる。
【0009】
また、本発明の第2態様は、第1態様において、前記経路再探索を行う時点で、自車位置が前記細街路を除く道路上にある、ことを特徴とする。
上記構成によれば、経路再探索を行う時点では、自車位置が細街路を除く道路上にあるので、細街路を除く道路を用いて経路再探索を行っても、案内経路が途中で途切れることなく、確実に自車位置から続く案内経路を探索することができる。
【0010】
また、本発明の第3態様は、第1態様または第2態様において、細街路を含む道路ネットワークデータを格納した下層レイヤーと、前記細街路を除く道路ネットワークデータを格納した上層レイヤーと、を含む経路案内データベースを備え、前記経路探索部は、前記経路再探索を行う場合に、前記上層レイヤーのみを参照して前記経路再探索を行う、ことを特徴とする。
上記構成によれば、細街路に経路案内がなされることが無く、かつ、細街路を含めた探索処理を行う必要がないので、再探索処理の迅速化が図れる。
【0011】
また、本発明の第4態様は、出発地から目的地に至る経路探索を行い、この結果に基づく案内経路を用いて経路案内を行うカーナビゲーション装置の制御方法において、前記案内経路の途中で経路外れ、或いは渋滞情報更新等により経路再探索を行う必要があるか否かを判別する判別過程と、前記判別の結果に基づいて、細街路を除く道路を用いて経路再探索を行う経路探索過程と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第5態様は、出発地から目的地に至る経路探索を行い、この結果に基づく案内経路を用いて経路案内を行うカーナビゲーション装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムにおいて、前記案内経路の途中で経路外れ、或いは渋滞情報更新等により経路再探索を行う必要があるか否かを判別する判別手段、前記判別の結果に基づいて、細街路を除く道路を用いて経路再探索を行う経路探索手段、として機能させることを特徴とする。
【0013】
上記本発明の第4態様あるいは第5態様の構成によれば、案内経路の途中で経路外れ、或いは渋滞情報更新等により経路再探索を行う場合、細街路を除く道路を用いて経路再探索を行うので、案内経路の途中(中間経路)で細街路に経路案内により誘導される可能性が減り、不慣れな地域で細街路へ経路案内がなされることによるユーザーの不安感を解消しつつ、最適な案内経路を再探索してユーザーに提示することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、出発地周辺と目的地周辺との間の中間区間において、不慣れな地域で細街路へ経路案内を行うことなく、最適な案内経路を再探索してユーザーに提示することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】カーナビゲーション装置の概要構成ブロック図である。
【図2】経路案内データベースの概要構成の説明図である。
【図3】実施形態の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、カーナビゲーション装置の概要構成ブロック図である。
カーナビゲーション装置10は、乗用車などの車両に搭載され、当該車両の経路案内を行うナビゲーション機能や施設検索機能を有する装置である。
カーナビゲーション装置10は、GPSユニット11と、ジャイロユニット12と、自己が搭載された車両側から車両の走行状態を示す信号が入力されるインターフェース(I/F)部13と、記憶部14と、操作部15と、表示制御部16と、表示部17と、音声出力制御部18と、音声出力部19と、無線ネットワーク制御部20と、これら各部を中枢的に制御する制御部21と、を備えている。
【0017】
GPSユニット11は、GPSアンテナ11aを介してGPS衛星からのGPS電波を受信し、GPS電波に重畳されたGPS信号から、車両の現在位置を示す位置座標と進行方向とを演算により取得する。
ジャイロユニット12は、図示しないジャイロセンサーを備え、ジャイロセンサーにより検出した車両の相対的な方位情報を制御部21へ出力するものである。
インターフェース部13には、車両側から車両の走行状態を示す信号として、パーキングブレーキ信号BS及び車速パルス信号SPが入力される。これらの車両の走行状態を示す信号は制御部21に出力され、制御部21では、これらのパーキングブレーキ信号BS及び車速パルス信号SPに基づいて、車両の移動速度や、車両が現在走行中であるか、停止中であるかを判別可能になっている。
【0018】
記憶部14は、比較的大きなデータ格納領域を有する記録媒体を有するハードディスクドライブ装置、あるいは、CD/DVDドライブ装置を有して構成されている。この記憶部14には、経路案内のための制御プログラムのほか、地図情報や経路案内に供される表示画像データ等の各種データを格納した経路案内データベースが記憶される経路案内データベース14aを有している。
【0019】
操作部15は、複数の上記操作ボタン15a1〜15anに加え、さらに、上記表示部17の表示パネル17aの手前側に重ねて配設されたタッチパネル15bを有し、ユーザーが表示パネル17aに表示されている各種ボタン表示に対応づけてタッチパネル15bに指などで触れた場合、触れた箇所を示す信号が制御部21に入力される。これにより、制御部21は、表示パネル17aに表示している各種ボタン表示の位置と対比して、ユーザーがどのボタンをタッチ操作しようとしたかを特定する。
【0020】
表示部17は、上述した表示パネル17aを備え、この表示パネル17aとしては、例えば液晶ディスプレイパネルやEL(Electro Luminescent)ディスプレイパネル等を用いて構成することができる。表示制御部16は、図示しない描画プロセッサーを有し、制御部21から地図情報、ボタン表示等の表示指示を含む描画コマンドを受け取り、この描画コマンドに基づいた表示を行うべく表示部17を制御する。
【0021】
音声出力制御部18は、図示しないD/Aコンバータ、アンプ等を備え、経路案内用の音声データ信号をディジタル/アナログ変換し、アンプにより増幅して、スピーカー等により構成される音声出力部19を介して車室内に音声出力する。
無線ネットワーク制御部20は、無線アンテナ20aを備え、図示しないアクセスポイントと無線通信を確立し、アクセスポイントを介して通信ネットワークに接続し、通信ネットワークを介して接続される外部サーバー等の他の装置との間でデータの送受信を制御する。
【0022】
制御部21は、カーナビゲーション装置10を構成する各部を中枢的に制御するCPU21aと、CPU21aの作業領域として機能し、各種データを一時的に記憶するRAM21cと、CPU21aにより実行される各種制御プログラムおよびデータが不揮発的に記憶されるROM21bとを備え、GPSユニット11とジャイロユニット12との検出結果に基づき車両の現在地及び進行方向を特定し、現在地周辺の地図を表示させる。また、制御部21は、目的地が設定された場合、目的地までの最適経路を計算し、表示地図中に表示して目的地まで経路案内処理を実行する経路案内手段として機能する。
【0023】
図2は、経路案内データベースの概要構成の説明図である。
ここで、経路案内データベース14aの概念構成について説明する。
経路案内データベース14aは、図2に示すように、網羅する地域範囲AR1が最も広く、主要な幹線道路に関する経路案内データが格納された上位レイヤーLY1と、網羅する地域範囲AR2−1、AR2−2が上位レイヤーLY1よりは狭く、主要な幹線道路および細街路を含まないその他の道路に関する経路案内データが格納された中位レイヤーLY2と、網羅する地域範囲AR3−1、AR3−2が最も狭く、細街路を含むすべての経路案内データが格納された下位レイヤーLY3と、を備えて構成されている。
【0024】
ここで、細街路とは、例えば、幅員が狭い(おおよそ約5.5m未満)道路や、スクールゾーン等で、一般車両の通行に適さないと考えられる道路として予め設定した道路のことであり、経路案内を行うアプリケーションプログラムからは、経路案内データ上で細街路か否かのフラグが立っている道路が細街路と判断される。
このように経路案内データベース14aがレイヤー構成を採っているのは、車載機器であるカーナビゲーション装置においては、探索時間や、使用できるメモリー等のリソースに制限があるため、それらの制限を回避するために処理量を低減させるためである。
【0025】
次に上述した経路案内データベース14aを用いて得られる案内経路データについて説明する。
経路案内データベース14aを用いて経路探索処理を行って求められた案内経路データ30は、出発地側の細街路探索区間、中間区間、目的地側の細街路探索区間の3つの区間に対応するデータとして記憶部14に保存される。
具体的には、経路探索結果の案内経路を表す案内経路データ30は、図2に示すように、大別すると、案内経路を構成するリンクの数を出発地側、中間区間あるいは目的地側毎に管理するためのリンク数管理データ部31と、出発地側のリンクデータを格納する出発地側リンクデータ部32と、中間区間のリンクデータを格納する中間区間リンクデータ部33と、目的地側のリンクデータを格納する目的地側リンクデータ部34と、を備えている。
【0026】
リンク数管理データ部31は、出発地側リンクデータ部32に格納されている出発地(例えば、地域範囲AR2−1、AR3−1)側の下位レイヤーLY3のリンク数=pを格納した出発地側下位レイヤーリンク数データ35と、中間区間のリンク数=qを格納した中間区間リンク数データ36と、目的地側リンクデータ部34に格納されている目的地(例えば、地域範囲AR2−2、AR3−2)側の下位レイヤーLY3のリンク数=rを格納した目的地側下位レイヤーリンク数データ37と、を備えている。
【0027】
出発地側リンクデータ部32は、出発地側下位レイヤーリンクを特定するp個のリンク特定データ32−0〜32−(p−1)を格納している。
中間区間リンクデータ部33は、中間区間リンクを特定するq個のリンク特定データ33−0〜33−(q−1)を格納している。
目的地側リンクデータ部34は、目的地側下位レイヤーリンクを特定するr個のリンク特定データ34−0〜34−(r−1)を格納している。
【0028】
次に実施形態の動作について説明する。
図3は、実施形態の処理フローチャートである。
経路探索プログラムを含めたナビゲーション用のアプリケーションプログラムは、カーナビゲーション装置10の制御部21内のROM21bに格納されており、カーナビゲーション装置10の起動時に必要に応じてRAM21cに展開される。
【0029】
そして、ユーザーにより出発地及び目的地が指定されて経路探索要求や、経路外れ等による自動経路再探索要求に基づいて経路探索を実行する場合、記憶部14の経路案内データベース14aに格納した道路データの必要な部分をRAM21cに読み込む。そして、制御部21は、読み込んだ道路データをCPU21aにおいて解釈し、適切と考えられる案内経路を求める。求めた案内経路は、制御部21の制御下でマップマッチングが施され、表示制御部16を介して表示パネル17aにより、地図に重ね合わせた形で表示される。
また、案内音声が音声出力制御部18を介して音声出力部19から音声出力されることとなる。
【0030】
本実施形態のカーナビゲーション装置10においては、随時、GPSユニット11、ジャイロユニット12、インターフェース部13を介して入力される車速パルスSPなどに基づいて、地図データ上のどの道路のどの場所(座標)を自車が走行中であるか(自車位置)を算出している。また、経路案内中においては、自車位置および案内経路の情報に基づいて、現在案内経路上を走行しているか否か、最後に案内経路上を走行していた道路がどの道路であったかを記憶している。
【0031】
まず、ユーザー操作による経路探索要求があった場合の動作について説明する。
目的地および出発地が指定されて(現在地が出発地として自動的に指定される場合も含む)、ユーザー操作による経路探索要求があった場合には、制御部21は、経路案内データベース14aを参照して、既知の手法により、目的地付近の下位リンク経路を求める。この場合において、目的地付近とは、入力された目的地に対応する経度座標、緯度座標に対し、半径数百m〜数km以内をいうものとするが、その範囲は、細街路を通る経路案内が必要と考えられる範囲として適宜定められる。
すなわち、制御部21は、図3に示した地域範囲AR3−2に対応する目的地側下位レイヤーリンク構成するリンクデータを特定し、記憶部14に格納する(ステップS11)。
【0032】
次に制御部21は、当該経路探索処理が自動再探索処理によるものか否かを判別する(ステップS12)。
この場合には、ユーザー操作による経路探索要求であるので(ステップS12;No)、制御部21は、経路案内データベース14aを参照して、既知の手法により、出発地付近の下位リンク経路を求める(ステップS18)。ここで、出発地付近とは、入力された出発地に対応する経度座標、緯度座標に対し、半径数百m〜数km以内をいうものとするが、その範囲は、細街路を通る経路案内が必要と考えられる範囲として適宜定められる。
すなわち、制御部21は、図3に示した地域範囲AR3−1に対応する出発地側下位レイヤーリンクを構成するリンクデータを特定し、記憶部14に格納する(ステップS18)。
【0033】
続いて、制御部21は、経路案内データベース14aを参照して、既知の手法により、中間区間のリンク経路を求める(ステップS16)。
すなわち、制御部21は、図3に示した地域範囲AR1,AR2−1、AR2−2に対応する中間区間リンクを構成するリンクデータを特定し、記憶部14に格納する。
これらの結果、制御部21は、ステップS11で特定したリンクデータ、ステップS18で特定したリンクデータおよびステップS16で特定したリンクデータに基づいて、目的地付近の下位リンク経路、出発地付近の下位リンク経路および中間区間のリンク経路を接続して案内経路を完成し、対応するp個のリンク特定データ32−0〜32−(r−1)、q個のリンク特定データ33−0〜33−(q−1)およびr個のリンク特定データ34−0〜34−(r−1)を記憶部14に格納する(ステップS17)。
【0034】
そして、制御部21は、記憶部14に格納された案内経路データ30に基づいてマップマッチングが施され、表示制御部16を介して表示パネル17aにより、地図に重ね合わせた形で表示され、案内音声が音声出力制御部18を介して音声出力部19から音声出力されて、ユーザーに経路案内が行われることとなる。
【0035】
次に経路外れ等による自動経路再探索要求に基づいて経路探索を実行する場合の動作について説明する。
経路外れ等による自動経路再探索要求があった場合には、制御部21は、経路案内データベース14aを参照して、既知の手法により、目的地付近の下位リンク経路を求める。
すなわち、制御部21は、図3に示した地域範囲AR3−2に対応する目的地側下位レイヤーリンク構成するリンクデータを特定し、記憶部14に格納する(ステップS11)。
【0036】
次に制御部21は、当該経路探索処理が自動再探索処理によるものか否かを判別する(ステップS12)。
この場合には、経路外れ等による自動経路再探索要求に基づく経路再探索要求であるので(ステップS12;Yes)、下位レイヤーLY3を用いない経路際探索が可能であるか否かを判別するために、現在走行している道路が上位レイヤーLY1あるいは中位レイヤーLY2に属する道路(経路対象道路)である否かを判別する(ステップS13)。
【0037】
ステップS13の判別において、現在走行している道路が上位レイヤーLY1あるいは中位レイヤーLY2に属する道路(経路対象道路)では無い場合には(ステップS13;No)、下位レイヤーLY3を用いた経路探索を行う必要があるので、制御部21は、車両の現在位置を出発地として経路案内データベース14aを参照して、既知の手法により、出発地付近の下位リンク経路を求め(ステップS18)、処理をステップS16に移行する。
ステップS13の判別において、現在走行している道路が上位レイヤーLY1あるいは中位レイヤーLY2に属する道路(経路対象道路)である場合には(ステップS13;Yes)、ユーザー操作による経路探索要求による最初の出発地付近の下位リンク経路を通過済みであるか否かを判別する(ステップS14)。
【0038】
ステップS14の判別において、ユーザー操作による経路探索要求による最初の出発地付近の下位リンク経路を未だ通過していない場合には、下位レイヤーLY3を用いた経路探索を行う必要があるので、制御部21は、車両の現在位置を出発地として経路案内データベース14aを参照して、既知の手法により、出発地付近の下位リンク経路を求め(ステップS18)、処理をステップS16に移行する。
ステップS14の判別において、ユーザー操作による経路探索要求による最初の出発地付近の下位リンク経路を通過済みである場合には(ステップS13;Yes)、車両の現在位置は、中間区間に位置しているはずであるので、制御部21は、出発地付近の下位レイヤーLY3を用いる経路は無いものと設定し(ステップS15)、経路案内データベース14aの上位レイヤーLY1,中位レイヤーLY2を参照して、既知の手法により、中間区間のリンク経路を求める(ステップS16)。
【0039】
すなわち、制御部21は、図3に示した地域範囲AR1,AR2−1、AR2−2に対応する中間区間リンクを構成するリンクデータを特定し、記憶部14に格納する。
これらの結果、制御部21は、ステップS16で特定したリンクデータに基づいて、目的地付近の下位リンク経路および現在位置を出発地点とする中間区間のリンク経路を接続して案内経路を完成させる(ステップS17)。
したがって、中間区間において、ユーザーが誤ってまたは意図的に案内経路から外れた場合や、新しい渋滞情報等を受信したことなどを理由として、案内経路の自動再探索が行われた場合であっても、現在走行している道路が上位レイヤーLY1あるいは中位レイヤーLY2に属する道路(経路対象道路)であり、かつ、最初の出発地付近の下位リンク経路を通過済みである(すなわち、経路から外れる直前に走行していた道路は、上位レイヤーLY1あるいは中位レイヤーLY2に属する道路)である場合に、上位レイヤーLY1あるいは中位レイヤーLY2に属する道路のみを用いて経路案内を行うこととなる。
【0040】
したがって、出発地付近でも目的地付近でもない中間区間において、自車を細街路に誘導することがなくなり、不慣れな細い道路を走行させられることによるユーザーに不安感を抱かせることがない。さらに、中間区間において、単なる通過交通車両が走行することを前提としていない細街路に案内されることが無くなり、当該地城の住民に対して迷惑をかけることもない。
以上の説明のように、本実施形態によれば、あえて細街路に誘導する必要がない出発地周辺と目的地周辺との間の中間区間において、不慣れな地域で細街路へ経路案内がなされることによるユーザーの不安感を解消でき、最適な案内経路を再探索してユーザーに提示することができる。
以上の説明においては、経路案内データベース14aが複数レイヤーを有する構成を採っていたが、探索時間や、使用できるメモリー等のリソースに制限がなければ、理論的には一つのレイヤーだけで中間区間においては、細街路のデータを用いることなく再探索を行うように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 カーナビゲーション装置
14 記憶部
14a 経路案内データベース
21 制御部(経路探索部)
30 案内経路データ
31 リンク数管理データ部
32 出発地側リンクデータ部
33 中間区間リンクデータ部
34 目的地側リンクデータ部
35 出発地側下位レイヤーリンク数データ
36 中間区間リンク数データ
37 目的地側下位レイヤーリンク数データ
LY1 上位レイヤー(上層レイヤー)
LY2 中位レイヤー(上層レイヤー)
LY3 下位レイヤー(下層レイヤー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地に至る経路探索を行い、この結果に基づく案内経路を用いて経路案内を行うカーナビゲーション装置において、
前記案内経路の途中で経路外れ、或いは渋滞情報更新等により経路再探索を行う場合、細街路を除く道路を用いて経路再探索を行う経路探索部を備えたことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のカーナビゲーション装置において、
前記経路再探索を行う時点で、自車位置が前記細街路を除く道路上にある、
ことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のカーナビゲーション装置において、
細街路を含む道路ネットワークデータを格納した下層レイヤーと、前記細街路を除く道路ネットワークデータを格納した上層レイヤーと、を含む経路案内データベースを備え、
前記経路探索部は、前記経路再探索を行う場合に、前記上層レイヤーのみを参照して前記経路再探索を行う、
ことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項4】
出発地から目的地に至る経路探索を行い、この結果に基づく案内経路を用いて経路案内を行うカーナビゲーション装置の制御方法において、
前記案内経路の途中で経路外れ、或いは渋滞情報更新等により経路再探索を行う必要があるか否かを判別する判別過程と、
前記判別の結果に基づいて、細街路を除く道路を用いて経路再探索を行う経路探索過程と、
を備えたことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項5】
出発地から目的地に至る経路探索を行い、この結果に基づく案内経路を用いて経路案内を行うカーナビゲーション装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムにおいて、
前記案内経路の途中で経路外れ、或いは渋滞情報更新等により経路再探索を行う必要があるか否かを判別する判別手段、
前記判別の結果に基づいて、細街路を除く道路を用いて経路再探索を行う経路探索手段、
として機能させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−261893(P2010−261893A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114524(P2009−114524)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】