説明

カーナビゲーション装置およびその方法

【課題】地図データや施設情報などのデータを更新した場合でも乗員の昔の記憶によるデータ更新前の状態と整合がとれるように案内を行うことができるカーナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】データ更新があった場合、更新指示部9がナビゲーションデータ記憶部4に記憶されている更新前データを更新前データ記憶部5に退避させた後、更新後データをナビゲーションデータ記憶部4へ記憶させる。ナビゲーション制御部2は更新前データ記憶部5に更新前データがある場合、ナビゲーションデータ記憶部4の更新後データと共に更新前データ記憶部5の更新前データを併用して案内を提示部3から提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカーナビゲーション装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションシステムは一層の進歩を遂げ、車載されているカーナビゲーション装置が基地局と無線通信することにより、最新の地図データや施設情報などを取得して、カーナビゲーション装置内のデータを更新し、最新の情報による案内(ナビゲーション)を行うことができるようになっている。
【0003】
従来のこのようなカーナビゲーションシステムの一つとしては、例えば、基地局内においてデータの更新が行われた場合に、データの更新があったことを車載されているカーナビゲーション装置に通知し、カーナビゲーション装置が、この通知によりナビゲーション画面に更新されたデータを受信可能である旨を表示して、その後、自動的にまたは使用者の選択によって更新されたデータをダウンロードしてデータ更新するようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−12319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のカーナビゲーションシステムでは、一旦、データの更新が行われてしまうと、それ以前のデータは消えてしまうため、上述のようなデータ更新を行うカーナビゲーション装置では、データが更新された後は、新しいデータのみによって案内が行われる。このため、例えば、使用者が過去に走行したことがあり、使用者の中で潜在的に走行の目印となるものが決まっているが、カーナビゲーション装置の経路案内を必要とする場合に、更新された地図データや施設情報など(以下、更新データ)で案内がなされると、過去の記憶との整合性がとれず、使用者が戸惑ってしまうことが考えられる。
【0005】
また、このような問題を回避するために、更新データが基地局にある場合でも、使用者の判断により、車載されているカーナビゲーション装置内のデータは更新せずに、そのまま使い続けるとした場合は、案内に使用されるデータが古いため、実際の道路状況や施設状況と合わない案内をすることになり、かえって使用者が戸惑い、目的の場所に行き着けなくなってしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係わるカーナビゲーション装置は、自車両の乗員に対して経路案内のための案内情報を提示するカーナビゲーション装置において、経路案内に必要なデータが更新された場合は、ナビゲーション制御手段が、更新後のデータと更新前のデータとを併用した案内情報を提示することを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するための本発明に係わるカーナビゲーション方法は、自車両の乗員に対して経路案内のための案内情報を提示するカーナビゲーション方法において、経路案内に必要なデータが更新された場合に、更新後のデータと更新前のデータとを併用して提示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、データの更新があった場合に、更新前のデータと、更新後のデータを併用して乗員に案内情報を提示するので、乗員は更新された情報に加えて乗員の記憶として残っている可能性がある更新前の情報も提示されるので、データの更新に伴う乗員の戸惑いを軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係わるカーナビゲーション装置およびその方法を実施するための最良の形態となる実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本実施例に係るカーナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【0011】
このカーナビゲーション装置1は、車両に搭載される装置である。その構成は、ナビゲーション制御部(ナビゲーション制御手段)2と、提示部3と、ナビゲーションデータ記憶部(ナビゲーションデータ記憶手段)4と、更新前データ記憶部(更新前データ記憶手段)5と、データ更新部6と、車両情報送出部7と、ナビ履歴記憶部8と、更新指示部(更新手段)9と、通信部10とを備えて構成されている。
【0012】
ナビゲーション制御部2は、車両情報送出部7から送られる位置情報や車速情報に応じて、ナビゲーションデータ記憶部4に格納されたデータから案内情報を作成して提示部3に送り、提示させる。また、ナビゲーション制御部2は、データの更新(バージョンアップ)があった場合、このナビ履歴記憶部8に記憶された履歴情報を元に、以前に来たことのある経路かどうかを判断して、以前に来たことのある経路であれば、ナビゲーションデータ記憶部4に格納されたデータと共に、更新前データ記憶部5に記憶された更新前データを併用して案内情報を作成し、提示部3に送って提示させる。
【0013】
このようなナビゲーション制御部2は、例えばCPU、ROM、PAMを含むマイクロコンピュータにより構成され、ナビゲーション制御部2としての機能を実施するため、後述する処理手順を含むナビゲーション用プログラムを実行している。
【0014】
提示部3は、例えば液晶ディスプレイなどの表示装置とスピーカなどの音声出力装置から構成され、ナビゲーション制御部2からの案内情報のデータ、例えば画像データ(静止画および/または動画)を表示し、音声データを出力する。
【0015】
ナビゲーションデータ記憶部4は、経路案内に必要なデータとして、例えば、地図データや施設情報などを記憶する。ナビゲーションデータ記憶部4は、好ましくは読み書き可能な記憶媒体であり、例えばハードディスクである。また、ハードディスクと共に、DVDやCDプレイヤーを備えていてもよい。
【0016】
更新前データ記憶部5は、ハードディスクなどであり、更新データがある場合、更新指示部9からの指令(制御)によりナビゲーションデータ記憶部4に記憶されているデータのうち、更新データに該当する部分のデータを更新前データとして抽出して記憶している。
【0017】
データ更新部6は、更新指示部9の指示に基づいて、通信部10を介して最新の地図データや施設情報などの更新データをダウンロードし、ナビゲーションデータ記憶部4に記憶させる。
【0018】
車両情報送出部7は、GPSや車速センサなどから構成され、車両の現在位置を特定し、ナビゲーション制御部2へ位置情報および車速情報を送出する。
【0019】
ナビ履歴記憶部8は、ナビゲーション制御部2から送出される案内内容と車両情報送出部7から送られる位置情報を記憶し、これまでの通過経路とその経路を通過した回数(通過履歴)、特定案内内容などの案内履歴、案内頻度を算出して記憶する。なお、このナビ履歴記憶部8は、本カーナビゲーション装置内にナビゲーションデータ記憶部4としてハードディスクを備えている場合には、このハードディスクを用いて、これらの履歴を記憶することになる。
【0020】
更新指示部9は、通信部10を介して基地局から送信された更新情報(更新データがある旨の情報)を受け取った場合、または、乗員の任意のスイッチ操作によって更新指示が入力された場合に、後述する手順により、データ更新部6に対して更新指示を指令して、更新前データを更新前データ記憶部5に退避させると共に、ナビゲーションデータ記憶部4に更新されたデータを記憶させる。
【0021】
なお、ナビゲーションデータ記憶部4が、DVDやCD−ROMプレイヤーである場合、更新時には記憶媒体そのものの交換となる。このため、更新指示部9により新しいROM媒体が用意されたことを示すトリガが送出されると今セットされているDVDやCD−ROMの中から更新前のデータを抽出して更新前データ記憶部5に記憶した後、新しいDVDやCD−ROMをナビゲーションデータ記憶部4としてセットするように乗員に対して促す指示を出すようにする。
【0022】
通信部10は、様々な場所に配置されて無線基地局と無線通信によるデータのやりとりを行うものであり、基地局から様々なデータを取得し、また、本カーナビゲーション装置から各種情報取得要求などを基地局に対して送信する。
【0023】
以下、具体例を挙げて本実施例に係るカーナビゲーション装置1の動作について説明する。
【0024】
図2(a)はある案内ポイントにおける更新前の案内情報を示す図面であり、図2(b)は同じ案内ポイントにおける更新後の案内情報を示す図面である。また、図3は、ナビゲーション制御部2の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここで案内情報とは、案内ポイントの地図データ上に、少なくとも施設データと自車位置を重ね合わせた情報であり、さらに目的地までの距離や方向などを示すマークなどが重ね合わされている場合もある。
【0025】
更新前の案内情報では、図2(a)に示すように、自車両23が交差点21に差し掛かった状況において、施設Aが存在している。一方、更新後の案内情報では、データの更新により同じ案内ポイントとなる交差点21において、施設Aは存在せず、変わりに施設Bが存在している。
【0026】
このような状況の場合のナビゲーション制御部2における処理を図3を参照して説明する。
【0027】
まず、ナビゲーション制御部2は、自車両23が案内ポイントに到達したか否か車両情報送出部7からの信号により判断する(S1)。
【0028】
そこで、ナビゲーション制御部2は、案内ポイントに到達していれば、更新前データ記憶部5にこの案内ポイントを含む更新前データがあるか否かを確認する(S2)。なお、更新前データの有無は、地図情報や施設情報に付与されている識別情報(例えばエリアごとに識別番号、更新年月日時刻など)を参照して、この案内ポイントに関係するデータであるか否かを判別する。ここで、更新データがなければ(S2:No)、そのまま、ナビゲーションデータ記憶部4に記憶されている案内ポイントのデータ(地図データや案内目印となる施設のデータなど、以下同様)をナビゲーションデータ記憶部4から読み出して、自車両23の位置を重ねて案内情報を作成し(S10)、提示部3に送り提示させる(S6)。なお、このとき読み出されるデータは、後述するように、ナビゲーションデータ記憶部4には常に更新後のデータが記憶されているため、案内情報は更新後のデータを使ったものとなる。
【0029】
一方、更新前データ記憶部5に、ここでの案内ポイントを含む更新データがある場合は(S2:Yes)、ナビ履歴記憶部8を検索してこの案内ポイントにおける通過履歴があるか否かを確認する(S3)。
【0030】
ここで通過履歴がなければ(S3:No)、ナビゲーションデータ記憶部4に記憶されている案内ポイントのデータを読み出して、自車両23の位置を重ねて案内情報とし(S10)、提示部3に送り提示させる(S6)。
【0031】
一方、通過履歴がある場合(S3:Yes)、ナビゲーション制御部2は、更新前データ記憶部5に記憶されている案内ポイントの更新前のデータと、ナビゲーションデータ記憶部4に記憶されている(更新後の)データを読み出して、更新前データに対する更新後のデータの差分を取り(S4)、更新後のデータ(図2(b)のように施設Bのある地図データ)に自車両23の位置を重ねて、さらに、差分データ(すなわち、図2に示した例の場合、施設Aの部分のデータのみ)を所定の時間間隔で重ね合わせて表示されるように案内情報を作成し(S5)、提示部3に送り提示させる(S6)。
【0032】
以降、ナビゲーションが継続される限りこれらの処理を繰り返し行うことになる。
【0033】
図4は、上記ステップS5からS6の処理における乗員への具体的な案内情報の呈示例を示す説明図である。
【0034】
データの更新があった場合、更新後のデータ、つまり、施設Bのあるデータを基本として、その表示に更新前データにおける施設Aがあったことを示す矢印33を付加して施設Aを表示する。このとき、施設Aと矢印33の表示は、任意に決めた時間間隔で切り替えて表示する。
【0035】
切り替わる回数、時間間隔は任意に変更することができる。例えば、施設Aと矢印33の表示時間を乗員の知覚限界以下の短時間にすることで、乗員は施設Bに対応する表示を明示的に知覚しながら、潜在的に施設Aを意識することが可能となる。これは、いわゆるサブリミナル効果を利用するもので、例えば、図5に示すように、施設Bのみの表示34を3秒、それに重ねて施設Aと矢印33の表示35を0.5秒などとして繰り返すことで行われる。
【0036】
このように、更新前の施設Aの表示を極短時間とすることで実際に存在している施設Bを確実に乗員に認識させると共に、施設Aについても潜在意識に働きかけるように見せることで、案内ポイントにおける乗員の記憶と潜在意識下で合致した情報を認識させることが可能となる。また、これにより更新前情報が特に意識することなく受容可能となるので、必要以上に多くの情報を見るといった煩わしさを無くすことが可能とある。このようなサブリミナル効果を利用した表示方法は、特に、提示部3における表示エリアが小さい場合に有効である。
【0037】
また、提示部3が音声案内を行う場合、通常は目印になる施設を元に、「施設Bの角を左です」と案内されるのを、更新前データ記憶部5に記憶された差分データを用いて、目印となる施設が更新された部分の施設Bであるから、例えば、「施設Bの角、旧施設Aの角を左です」と案内するようにしてもよい。
【0038】
次に、更新指示部9による更新処理について説明する。
【0039】
図6は、データ更新処理手順を示すフローチャートである。
【0040】
まず、更新指示部9は、基地局からの更新情報を通信部10を介して受信する(S51)。
【0041】
続いて、更新指示部9は、更新前データ記憶部5に更新部分のデータがあるか否かを確認する(S52)。ここで、更新前データ記憶部5に更新情報に該当する更新前データがある場合には(S52:Yes)、データ更新部6に対して、更新情報にしたがって更新されたデータ(地図データや施設データなど)をダウンロードするように指令する(S53)。これにより、データ更新部6は指令にしたがって更新データをダウンロードしてナビゲーションデータ記憶部4に更新されたデータを記憶することになる。
【0042】
一方、更新前データ記憶部5に更新前のデータがない場合には(S52:No)、更新指示部9は、続いて、更新情報に含まれている更新される地図データや施設情報を含むルートを通過した履歴が、所定のレベルに達しているか否かを判断する(S54)。これには、更新指示部9が、ナビゲーション制御部2に対して、ナビ履歴記憶部8内に所定レベルに達した履歴がないかどうかを検索させ、その結果から判断する。
【0043】
この判断の結果、履歴が所定レベルに達していない場合には(S54:No)、更新指示部9は、データ更新部6に対して更新データをダウンロードして記憶するように指令する(S53)。
【0044】
一方、履歴が所定レベルに達していた場合には(S54:Yes)、更新指示部9は、その時点でナビゲーションデータ記憶部4に記憶されているデータのうち、更新情報に含まれている更新されるデータと対応するデータ、すなわち更新情報に対応する更新前のデータを更新前データ記憶部5に記憶させる(S55)。
【0045】
その後、更新指示部9は、データ更新部6に対して更新データをダウンロードして記憶するように指令する(S53)。
【0046】
この処理において、履歴が所定のレベルに達したかどうかを判断するのは、例えば、過去に一度しか来ていないような場所の更新があった場合は、乗員がそれを覚えている可能性が低いため、更新前のデータを退避、記憶していなくとも乗員に対しては、さほど不都合はないと考えられるからで、これによりに更新前データ記憶部5として利用される記憶領域の容量を節約することができる。なお、所定のレベルは、乗員が任意に指定可能なものとし、また、履歴として案内回数やその頻度など以外にも、行った場所の日付などをレベルとしてもよく、回数や頻度が多くてもあまり古い場合には更新前データを記憶せずに更新データを記憶されるようにしてもよい。
【0047】
次に、更新前データとして記憶されたデータの消去の仕方について説明する(図示を省略)。
【0048】
上述したように、更新前データは、ナビ履歴記憶部8に蓄積された履歴に基づいて更新前データ記憶部5に記憶される。この更新前データの消去についても、ナビ履歴記憶部8に蓄積された履歴に基づいて行うことができる。
【0049】
例えば、データの更新後、その経路を通り目的地に着いた時点で更新前データを消すようにしてもよい。また、一度目的地について直ぐに更新前データを消してしまったのでは、乗員が新しい情報を確実に覚えられない場合もあるので、何回か同じ場所に行ったことの履歴を参照して、その回数が所定回数に達した時点で消去するようにしてもよい。
【0050】
なお、目的地に着いたかどうかの判断は、第1には、ルート検索機能などにより目的地があらかじめセットされている場合には、それを利用する。ルート検索などを利用しない場合には、履歴としてその経路を記憶するものの目的地は直接セットされない。そこで、このような場合には、例えば、道路を左折し、所定時間経過後に車両が停止した場合目的地に着いたと判断できるので、その時点を目的地位到着したと判断するようにしてもよい。
【0051】
なお、更新前データ記憶部5に記憶された更新前データの消去の仕方は、提示部3に呈示される更新前データの呈示を停止するための制御へも適用が可能であり、以上により更新前データと更新後データを併用して呈示する期間をナビ履歴記憶部8に記憶された履歴により変化させることが可能となる。
【0052】
以上、本発明を実施するのに最良の形態となる実施例を説明したが、本発明は、このような実施例に限定されるものではない。
【0053】
例えば、上述した実施例の説明では、更新された例として地図データ中の一つの施設のみが更新されたものを例示したが、実際の更新においては、様々な施設が複数個、一度に更新される場合にある。そのような場合にはそれら更新された複数の施設について、全て更新前と更新後の情報を示したのでは、特に画面が小さい場合乗員にとってはかえって見づらくなってしまうこともある。そこで、一度に複数の更新内容がある場合には、そのうちのいずれか一つまたは最小限の数だけ更新前データを示すようにしてもよい。
【0054】
この場合、更新されたデータのうちどれを選択するかは、例えば、最も目印になりやすい施設などを選択するとよい。これには、更新されたデータのうち最も大きな施設、また、履歴として残っているルート検索結果における目的地として選択されている施設などをこの目印とするとよい。また、ルート検索履歴がない場合には、乗員が目印とするのは左折する道路沿いにある施設などを目印にする可能性が高いので、ウインカー情報を利用して、車両が停車する直前に左折(または右折でもよい)した場合には、その道路上にある施設を目印として、あらかじめ履歴情報として蓄積しておいて、この目印となっている施設が更新情報として含まれている場合には、この施設についてのみ更新前と後を提示するようにしてもよい。
【0055】
以上のように本実施例によれば、データの更新があった場合に、更新前のデータと、更新後のデータを併用して、乗員に案内情報を提示するので、例えば、乗員が過去に走行したことがあり、乗員の中で潜在的に走行の目印となるものが決まっているが、ナビゲーション装置による経路案内無しでは目的地にたどり着けない、もしくはたどり着けるが経路案内を利用するような状況であっても、経路案内は更新された地図データや施設情報に加え、更新前の地図データや施設情報も合わせて呈示されるため、データの更新に伴う乗員の戸惑いを軽減することができる。
【0056】
また、本実施例のカーナビゲーション装置1においては、更新前データを記憶する更新前データ記憶部5を有し、この更新前データ記憶部5に更新前データを記憶する構成としている。したがって、通信利用型ナビやハードディスクナビなど書き換え可能なデータを利用するナビゲーション装置において、更新前のデータを確実に記憶することが可能となる。また、DVDやCD−ROMなどの読み出し専用記憶媒体にデータが記憶されたナビゲーション装置であっても、読み出し専用記憶媒体の交換前に更新前データを別途記憶させることで、同様に更新前のデータと更新後のデータを併用することが可能となる。
【0057】
また、本実施例のカーナビゲーション装置1においては、特定案内情報の案内履歴や案内頻度ならびに特定路の走行履歴や走行頻度などと言った履歴から、更新前データを記憶するか否かを判断する構成としている。このため、乗員が過去に行ったことを覚えていないような更新前情報までも、むやみに記憶することをなくし、更新前データの記憶に要する量を抑えることが可能となる。
【0058】
また、本実施例のカーナビゲーション装置1においては、更新前データの提示を、サブリミナル効果を利用して乗員の知覚限界以下となるように構成としている。このため、例えば、更新前データを表示によって乗員に呈示するような場合であっても、乗員は更新前のデータを特に意識することなく受容可能であり、必要以上に多くの情報を見るといった煩わしさを無くすことが可能である。
【0059】
また、本実施例のカーナビゲーション装置1においては、更新前データ記憶部5に更新前情報を記憶するが、記憶する期間は特定案内情報の案内状況により変化させる構成としている。このため、不必要な更新前データをいつまでも記憶しておくことを防ぎ、更新前データ記憶部5の有効利用が可能である。また、更新前データが更新前データ記憶部5から消去されるため、更新前データを呈示するために特別な機構を設けることなく更新前データから更新後データへと情報を移行することが可能である。
【0060】
また、本実施例のカーナビゲーション装置1においては、更新前のデータと、更新後のデータを併用し、乗員に案内情報を提供するが、更新前のデータを併用する期間は案内情報の案内状況、すなわちこれまでに案内された経路の履歴により変化させる構成としている。このため、乗員の中で潜在的に走行の目印となるものが、更新前の地図データや施設情報などのデータから、更新後の地図データや施設情報などのデータへ自然と移行した後に、更新前のデータを呈示し続けると逆に乗員を煩わせることになるが、そのような煩わしさを防ぐことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例に係るカーナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】ある案内ポイントにおける更新前後の案内情報を示す図面。
【図3】ナビゲーション制御部の処理手順を示すフローチャート。
【図4】図3のステップS23の処理における乗員への具体的なデータの呈示例を示す説明図。
【図5】更新後のデータに更新前データを重ね合わせる時間間隔の一例を示す説明図。
【図6】データ更新処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0062】
1…カーナビゲーション装置
2…ナビゲーション制御部
3…提示部
4…ナビゲーションデータ記憶部
5…更新前データ記憶部
6…データ更新部
7…車両情報送出部
8…ナビ履歴記憶部
9…更新指示部
10…通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の乗員に対して経路案内のための案内情報を提示するカーナビゲーション装置において、
経路案内に必要なデータが更新された場合に、更新後のデータと更新前のデータとを併用して案内情報を提示するナビゲーション制御手段を備えることを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路案内に必要なデータを記憶するナビゲーションデータ記憶手段と、
前記更新前のデータを記憶する更新前データ記憶手段と、
を備え、
前記ナビゲーション制御手段は、前記ナビゲーションデータ記憶手段に記憶されているデータを更新後のデータとして前記更新前データ記憶手段に記憶された更新前データと併用して前記案内情報を提示することを特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記案内情報に含まれる経路を通った履歴が所定レベル以上の場合に、前記ナビゲーションデータ記憶手段に記憶されているデータを前記更新前データ記憶手段に記憶させた後、更新後のデータを前記ナビゲーションデータ記憶手段に記憶させる更新指示手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記案内情報のうち、前記更新前のデータはサブリミナル効果を利用するために、乗員に対して知覚限界以下の間提示されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
前記更新前データ記憶手段に記憶される更新前データの記憶期間を前記案内情報の案内状況により変化させることを特徴とする請求項2または3に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項6】
前記更新前データ記憶手段に記憶される更新前データの使用期間を前記案内情報の案内状況により変化させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項7】
自車両の乗員に対して経路案内のための案内情報を提示するカーナビゲーション方法において、経路案内に必要なデータが更新された場合に、更新後のデータと更新前のデータとを併用して提示することを特徴とするカーナビゲーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−3113(P2006−3113A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177111(P2004−177111)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】