説明

カーナビゲーション装置およびカーナビゲーション方法

【課題】ドライバの作業負担を軽減し、多数の経由地があるルート探索を実用的時間の範囲内で行うことを可能にする。
【解決手段】ルート探索要求データ登録処理装置11は、目的地と少数の経由地のデータからなるルート探索要求データを複数個、通信制御装置50または可搬記憶媒体読取装置60を介して外部から入力し、ルート探索要求登録データ21として登録する。ルート探索処理部12は、ルート探索要求登録データ21からルート探索要求データを1つ読み出し、そのルート探索要求データに含まれる経由地を経由し目的地に到るルートを探索し、ルート誘導処理部13は、その探索されたルートに従って自車を誘導し、目的地判定部14は、ルート探索要求登録データ21の中に未処理のルート探索要求データが残っているか否かを判定し、残っている場合には、その未処理のルート探索要求データに対し、ルート探索およびルート誘導処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務用車両に好適なカーナビゲーション装置およびカーナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のカーナビゲーション装置(以下、カーナビ装置という)には、出発地から目的地までの誘導ルートを探索するという基本機能の他に様々な便利な機能が付加されている。経由地設定も、その便利な機能の1つである。例えば、ユーザが目的地と併せて経由地を設定すれば、カーナビ装置がその経由地を経由した目的地までの誘導ルートを提示してくれる。このような経由地のあるルート探索機能は、ユーザにとって道路事情に不案内な地域への旅行のときなどに便利である。
【0003】
当然ながら、経由地のあるルート探索は、カーナビ装置にとっては処理負荷の増大となる。とくに、経由地の数が増加すると、カーナビ装置の処理量が急速に増大し、実用的な時間でのルート探索ができなくなる場合がある。そこで、一般的な市販のカーナビ装置では、例えば、非特許文献1に示されているように、その経由地の数は5箇所程度に制限されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】パナソニック社、“カーナビゲーション取扱説明書”、[online]、平成20年12月8日検索、インターネット<URL:http://car.panasonic.jp/support/manual/navi/ data/hds965td/hds965td038.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、物流センタなどにおける貨物などの配送業務では、経由地は5箇所をはるかに超える場合が多い。そして、このような物流センタでは、貨物を配送する車両のドライバには、その5箇所をはるかに超えた数の経由地および目的地が記載されたリストが渡される。そこで、従来のカーナビ装置を利用する場合には、ドライバは、渡された経由地および目的地のリストに基づき、その経由地を、適宜、5箇所ずつに分割して、新たな経由地および目的地のリストを作成し、そのリストに従って、カーナビ装置にその経由地および目的地を設定する。ドライバは、このような設定作業を、経由地が5箇所ずつに分割された場合の各目的地に到着するたびに行う必要がある。これは、トラックのドライバにとっては、面倒な作業でもあり、また、本来の配送業務の効率を低下させる作業でもある。
【0006】
なお、経由地のあるルート探索処理において、経由地の数の上限値をなくす、または、その上限値を大きくするのは、それほど難しい問題ではない。経由地の数の上限値が大きくなれば、ドライバが経由地および目的地を設定する回数が少なくなるので、その設定作業の煩雑さが解消される。しかしながら、その場合には、前記したような処理量の増大が問題となり、実用的な時間内にルート探索ができなくなるような場合が生じる。
【0007】
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その発明の目的は、車両のドライバの作業負担を軽減するとともに、多数の経由地があるルート探索処理を実用的な時間の範囲内で行うことを可能にするカーナビゲーション装置およびカーナビゲーション方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては、前記目的を達成するために、多数の経由地があるルート探索処理を少数の経由地があるルート探索処理を複数回繰り返して実行することにより実現するものとした。そのために、本発明では、まず、1つの目的地と少数の経由地とを含んで構成されたルート探索要求データを複数個準備する。そして、この複数個のルート探索要求データに含まれる経由地と目的地をつなぎ合わせれば、多数の経由地と最後の目的地になるようにしておく。
【0009】
そこで、本発明のカーナビゲーション装置の演算処理装置は、車両の走行開始時に、前記準備しておいた複数のルート探索要求データを所定の入力装置を介して入力し、記憶装置に登録する。そして、演算処理装置は、その記憶装置から前記登録したルート探索要求データの1つを読み出し、その読み出したルート探索要求データに基づいてルート探索処理を実行し、その結果探索されたルートに従って自車を誘導するルート誘導処理を実行し、自車が当該ルート探索要求データで指定される目的地に到着したときには、前記記憶装置に、前記ルート探索処理以降の処理が未処理のルート探索要求データが残っているか否かを判定し、未処理のルート探索要求データが残っている場合には、その未処理のルート探索要求データに対し、前記ルート探索処理以降の処理を実行し、未処理のルート探索要求データが残っていない場合には、自車が最後の目的地に到達したと判断して、最後の目的地へ到達した旨を表示装置に表示するようにした。
【0010】
本発明によれば、あらかじめ準備された複数のルート探索要求データを所定の入力装置を介して入力するとしているので、車両のドライバが経由地などを設定する必要がなく、ドライバの作業負担は軽減される。また、本発明では、多数の経由地があるルート探索処理は、少数の経由地があるルート探索処理に変換されているので、その処理は、実用的な時間の範囲内で行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両のドライバの作業負担を軽減するとともに、多数の経由地があるルート探索処理を実用的な時間の範囲内で行うことを可能にするカーナビゲーション装置およびカーナビゲーション方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るカーナビ装置およびそのカーナビ装置に対するルート探索要求データを作成する管理用パソコンの構成の例を示した図。
【図2】ルート探索要求データおよびルート探索要求登録データの構成の例を示した図。
【図3】図2のルート探索要求登録データに基づき探索の対象となる探索対象ルートの例を示した図。
【図4】図2のルート探索要求登録データに基づいて実行されるルート探索およびルート誘導処理の処理フローの例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るカーナビ装置およびそのカーナビ装置に対するルート探索要求データを作成する管理用パソコンの構成の例を示した図である。まず、図1を参照して、カーナビ装置1のハードウエアの構成について説明する。
【0015】
図1に示すように、カーナビ装置1は、情報処理の中枢を担う演算処理装置10、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク装置などからなる記憶装置20、GPS(Global Positioning System)電波受信装置30、センサデータ受信装置40、通信制御装置50、可搬記憶媒体読取装置60、表示装置70などを含んで構成される。
【0016】
ここで、GPS電波受信装置30は、複数のGPS衛星からの電波を受信し、その受信タイミングの差や、その電波に含まれる時刻情報などに基づき、そのGPS電波受信装置30自身、つまり、カーナビ装置1自身を搭載した車両(以下、自車という)の現在位置データ(緯度、経度のデータ)を取得する。
【0017】
また、センサデータ受信装置40は、自車の方位センサや速度センサから送信される方位データや速度データを受信する。センサデータ受信装置40により受信された方位データや速度データは、センサデータ受信装置40によって取得される現在位置データを補正したり、GPS電波が届かないトンネル内やビルの谷間などで自車の位置を検出したりするのに用いられる。
【0018】
通信制御装置50は、カーナビ装置1と管理用パソコン8とをつなぐ通信線51の電気的なインタフェース回路や、その通信線51を介してデータ送受信を行うためのプロトコル制御回路などによって構成され、管理用パソコン8と間のデータ通信を行うとともに、そのデータ通信を制御する。なお、カーナビ装置1と管理用パソコン8とをつなぐ通信線51としては、RS232C、RS422、USB(Universal Serial Bus)などの他に、イーサネット(登録商標)などを用いたLAN(Local Area Network)や、インターネットなどの広域のネットワークであってもよく、さらには、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11シリーズ規格の無線LAN、携帯電話回線など無線を含むものであってもよい。
【0019】
なお、通信線51は、カーナビ装置1と管理用パソコン8との間を常に接続するものである必要はなく、カーナビ装置1と管理用パソコン8との間でデータ通信を行う必要があるときだけ接続可能であればよい。具体的には、通信線51としての通信ケーブルの一端は、管理用パソコン8の通信制御装置82に常に接続されていてもよいが、その他端は、必要な場合にのみ、カーナビ装置1の通信制御装置50に接続するのが好ましい。
【0020】
可搬記憶媒体読取装置60は、メモリカード、USBメモリ、フレキシブルディスクなどの可搬記憶媒体9から、その可搬記憶媒体9に記憶されているデータを読み取る装置である。なお、メモリカードとしては、SD(Secure Digital)メモリカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)などが用いられる。
【0021】
表示装置70は、LCD(Liquid Crystal Display)などによって構成され、自車の現在位置近傍の地図や誘導情報、あるいは、目的地までの誘導ルートなどが表示される。なお、表示装置70には、タッチパネルセンサなどの入力装置が埋め込まれていてもよい。また、カーナビ装置1は、この他にも、様々なスイッチや赤外線リモコン装置などを含んでいるが、ここでは、その図示を割愛した。
【0022】
次に、演算処理装置10により実現される機能ブロックについて説明する。図1に示すように、そのような機能ブロックとしては、ルート探索要求データ登録処理部11、ルート探索処理部12、ルート誘導処理部13、目的地判定部14などがあり、その機能は、演算処理装置10が記憶装置20に格納された所定のプログラムを実行することによって実現される。
【0023】
ルート探索要求データ登録処理部11は、通信制御装置50または可搬記憶媒体読取装置60を介して外部から供給される複数のルート探索要求データを入力し、その入力した複数のルート探索要求データを記憶装置20に登録して、ルート探索要求登録データ21を構成する。
【0024】
ここで、ルート探索要求データは、1つ以上の経由地データと1つの目的地データとによって、または、経由地データを含まず1つの目的地データだけによって構成される。このようなルート探索要求データは、ルート探索処理部12に対し、現在地(GPS電波受信装置30などにより定められる自車の現在位置)から目的地に到達するルートの探索を要求するデータである。
【0025】
なお、本実施形態では、1つのルート探索要求データに含まれる経由地の数の上限は、5箇所であるとする。これは、経由地の数が5箇所であれば、ルート探索処理を実用上無理のない時間内に行うことができるという現状の技術に準じたものである。従って、ルート探索処理を実用上無理のない時間内に行うことが可能であれば、経由地の数は5箇所に限定されるものではない。
【0026】
ルート探索処理部12は、記憶装置20に登録されたルート探索要求登録データ21からルート探索要求データを1つずつ読み出し、現在地から、その読み出したルート探索要求データに含まれる目的地までの誘導ルートを探索する。このとき、前記読み出したルート探索要求データに経由地データが含まれている場合には、ルート探索処理部12は、その経由地を経由して目的地に到達する誘導ルートを探索する。
【0027】
ルート誘導処理部13は、GPS電波受信装置30などを介して、自車の現在位置を取得しつつ、ルート探索処理部12によって探索された誘導ルートを含んだ地図を表示装置70に表示するとともに、自車が交差点に近付いたときには、交差点における進路指示情報などを表示装置70に表示する。
【0028】
目的地判定部14は、自車が当該ルート探索要求データによって指定される目的地に着いたか否かを判定し、目的地に着いた場合には、さらに、ルート探索要求登録データ21を参照して、ルート探索処理が未処理のルート探索要求データが残っているか否かを判定する。その判定の結果、未処理のルート探索要求データが残っていないときには、最後の目的地に到着したことを表示装置70に表示する。また、未処理のルート探索要求データが残っているときには、ルート探索処理部12の処理に戻り、ルート探索処理部12がその未処理のルート探索要求データをルート探索要求登録データ21から読み出し、そのルート探索要求データについての所定のルート探索処理を実行する。
【0029】
なお、以上に説明したルート探索要求データ登録処理部11、ルート探索処理部12、ルート誘導処理部13、目的地判定部14の機能は、演算処理装置10が記憶装置20に格納された所定のプログラムを実行することによって実現される。
【0030】
図2は、ルート探索要求データおよびルート探索要求登録データの構成の例を示した図である。記憶装置20(図1参照)に登録されたルート探索要求登録データ21は、図2に示すように、複数のルート探索要求データによって構成される。図2の例では、ルート探索要求登録データ21は、n個のルート探索要求データよって構成されるとしている。
【0031】
また、1つのルート探索要求データは、前記したように、1つ以上の経由地データと1つの目的地データとによって、または、1つの目的地データによって構成される。図2の例では、ルート探索要求データ(1)は、m個の経由地データを含んでいるが、ルート探索要求データ(n)は、経由地データを含まず、1つの目的地データだけで構成されている。なお、前記したように、本実施形態では、経由地データの上限値を5箇所としたので、ルート探索要求データ(1)などにおいて、1≦m≦5である。
【0032】
また、図2に示すように、経由地データは、緯度および経度のデータにより構成されるとするが、その経由地を識別する地名や識別情報を含んでいてもよい。同様に、目的地データは、緯度および経度のデータにより構成されるとし、その目的地を識別する地名や識別情報を含んでいてもよい。
【0033】
ルート探索要求登録データ21における1つのルート探索要求データは、ルート探索処理部12への入力データであり、そのルート探索処理の実行開始を指示するデータでもある。従って、ルート探索要求登録データ21にn個のルート探索要求データがあれば、それにより、ルート探索処理がn回実行される。
【0034】
そこで、本実施形態では、各ルート探索要求データの目的地データには、継続フラグが付されるものとしている。この継続フラグは、ルート探索要求登録データ21において、その目的地が最後尾のルート探索要求データに含まれる目的地であることを表し、その後ろには、ルート探索要求データが存在しないことを意味する。従って、ルート探索要求登録データ21における最後尾のルート探索要求データの目的地データに付属する継続フラグのみがオフされ、他のルート探索要求データの目的地データに付属する継続フラグはオンされる。
【0035】
また、ルート探索要求登録データ21において、継続フラグがオフの目的地を最後の目的地と考えた場合には、継続フラグがオンの目的地は、最初の現在地(出発地)からその最後の目的地までのルートを1本のルートと考えた場合の経由地に相当する。従って、本実施形態は、多数の経由地を経由するルート探索処理を、その多数の経由地のうちから、適宜、選択した経由地を、途中の目的地(継続フラグがオンの目的地)とすることによって、少数の経由地を経由するルート探索処理を複数回実行する処理に変換したものといえる。
【0036】
再び、図1を参照して、管理用パソコン8の構成および機能について簡単に説明する。図1に示すように、管理用パソコン8は、演算処理装置81と、RAM、ROM、ハードディスク装置などからなる図示しない記憶装置と、を含み、さらに、通信制御装置82と、可搬記憶媒体書込装置83と、を含んで構成される。
【0037】
ここで、通信制御装置82は、通信線51を介してカーナビ装置1の通信制御装置50との間でデータ通信を行うとともに、そのデータ通信を制御する。また、可搬記憶媒体書込装置83は、メモリカード、USBメモリ、フレキシブルディスクなどの可搬記憶媒体9へ、演算処理装置81により指示されたデータを書き込む。
【0038】
本実施形態における演算処理装置81の主たる機能は、複数のルート探索要求データを作成し、その作成した複数のルート探索要求データをカーナビ装置1へ転送することにある。
【0039】
例えば、物流センタなどにおいて、多数の経由地と目的地が与えられ、貨物などを配送するルートを求める必要がある場合には、物流センタの管理者は、その多数の経由地のうちから、適宜、選択して、途中の目的地(継続フラグがオンの目的地)を定め、複数のルート探索要求データを作成する。
【0040】
すなわち、演算処理装置81は、図示しないキーボードやマウスなどからなる入力装置を介して、物流センタの管理者などが入力する経由地および目的地のデータに基づき、複数のルート探索要求データを作成する。そして、その作成した複数のルート探索要求データを、通信制御装置82または可搬記憶媒体書込装置83を介してカーナビ装置1へ転送する。
【0041】
なお、通信制御装置82を介して前記複数のルート探索要求データをカーナビ装置1へ転送する場合には、演算処理装置81は、通信線51の種類に応じてあらかじめ設定された送信コマンドを用いて、例えば、1つのルート探索要求データを1つの送信単位として送信する。
【0042】
あるいは、演算処理装置81は、図2に示したルート探索要求登録データ21と同じ形式のデータをあらかじめ作成するものとし、その作成したルート探索要求登録データ21と同じ形式のデータを、1つの送信コマンドにより一括して送信してもよい。
【0043】
なお、これらの通信コマンドを用いて、複数のルート探索要求データまたはルート探索要求登録データ21と同じ形式のデータをカーナビ装置1へ送信するときには、管理用パソコン8の管理者または車両のドライバが、その一端が管理用パソコン8に接続された通信線51の他端を、カーナビ装置1へ接続する必要がある。
【0044】
また、可搬記憶媒体書込装置83を介して前記複数のルート探索要求データをカーナビ装置1へ転送する場合には、演算処理装置81は、その複数のルート探索要求データを、可搬記憶媒体書込装置83に装着された可搬記憶媒体9に書き込むだけでよい。
【0045】
ただし、その場合には、その可搬記憶媒体9は、例えば、管理用パソコン8の管理者によって可搬記憶媒体書込装置83から取り外され、車両のドライバに渡される。そこで、車両のドライバがカーナビ装置1の可搬記憶媒体読取装置60にその可搬記憶媒体9を装着すると、その可搬記憶媒体9に書き込まれている前記複数のルート探索要求データは、カーナビ装置1の演算処理装置10により読み取ることが可能になる。
【0046】
続いて、カーナビ装置1によって行われるルート探索およびルート誘導処理の具体例について説明する。ここで、図3は、図2のルート探索要求登録データ21に基づき探索の対象となる探索対象ルートの例を示した図である。
【0047】
図3において、二重丸印は車両の走行開始時の現在位置、つまり、出発地を表し、星印は最後の目的地を表し、また、黒丸印は経由地を表している。ただし、図3において、現在地から最後の目的地に到るルートは、複数のルート(n個のルート)に分割され、各ルート(i)(i=1,…,n)の終点となる経由地は、各ルートにおける目的地であり、図3では、目的地(i)と表記されている。
【0048】
図3に示した出発地から最後の目的地に到るルートは、図2に示したルート探索要求登録データ21に対応している。ちなみに、図3のルート(1)は、図2のルート探索要求データ(1)に対応する。従って、この場合には経由地は、m個(1≦m≦5)あるとしている。また、図3のルート(n)は、図2のルート探索要求データ(n)に対応し、この場合には経由地は存在しない。
【0049】
図4は、図2のルート探索要求登録データに基づいて実行されるルート探索およびルート誘導処理の処理フローの例を示した図である。
【0050】
カーナビ装置1の演算処理装置10は、まず、通信制御装置50または可搬記憶媒体読取装置60を介して、図2に示したルート探索要求データを入力し(ステップS11)、その入力したルート探索要求データをルート探索要求登録データ21に登録する(ステップS12)。このとき、演算処理装置10は、ルート探索要求データを1つずつ入力してルート探索要求登録データ21に登録してもよく、また、ルート探索要求登録データ21に相当するデータを一括して入力して、それをルート探索要求登録データ21として登録してもよい。
【0051】
次に、演算処理装置10は、ルート探索処理の処理回数をカウントするカウンタiを1にセットする、すなわち、i=1とする(ステップS13)。そして、ルート探索要求登録データ21のi番目のルート探索要求データを読み出す(ステップS14)。そして、その読み出したルート探索要求データに含まれる目的地までの誘導ルートを探索するルート探索処理を実行する(ステップS15)。このとき、演算処理装置10は、ルート探索要求データに経由地が含まれていれば、その経由地を経由した目的地までの誘導ルートを探索する。
【0052】
続いて、演算処理装置10は、ルート誘導処理を実行する。ルート誘導処理では、ルート探索要求データに経由地(i,1)、経由地(i,2)、・・・、経由地(i,m)が含まれていた場合には、GPS電波受信装置30などを介して得られる自車位置に基づき、順次、経由地(i,1)への到着を確認し(ステップS16)、経由地(i,2)への到着を確認し(ステップS17)、・・・、経由地(i,m)への到着を確認し(ステップS21)、さらに、目的地(i)への到着を確認する(ステップS22)。
【0053】
演算処理装置10は、自車が目的地(i)へ到着したことを確認すると、その目的地のデータに付属している継続フラグがオフであるか否かを判定する(ステップS23)。そして、その継続フラグがオンであった場合には(ステップS23でNo)、ルート探索要求登録データ21の中には未処理のルート探索要求データが残っていることを意味するので、演算処理装置10は、カウンタiを1つカウントアップ、すなわち、i=i+1とし(ステップS24)、ステップS14の処理へ戻り、ステップS14以下の処理を繰り返して実行する。
【0054】
一方、ステップS23の判定で、継続フラグがオフであった場合には(ステップS23でYes)、ルート探索要求登録データ21の中には未処理のルート探索要求データは残っておらず、その目的地が最後の目的地であることを意味するので、演算処理装置10は、表示装置70などを介して、自車が最後の目的地へ到着したことをドライバに通知して(ステップS25)、ルート誘導処理を終了する。
【0055】
以上、本実施形態によれば、カーナビ装置1の演算処理装置10は、ステップS15のルート探索処理を、ルート探索要求データ(i)(i=1,…,n)ごとにそれぞれ独立して実行する。そして、そのルート探索要求データ(i)の中には、多くとも5箇所の経由地しか含まれないとしている。従って、それぞれのルート探索要求データ(i)に対するルート探索処理は、従来技術と同程度の時間内、つまり、実用的な時間の範囲内で行われることになる。
【0056】
また、本実施形態では、このようなルート探索要求データ(i)に対するルート探索処理をn回実行する必要があるが、そのルート探索処理を実行するタイミングは、自車がそれぞれのルート探索要求データ(i)に含まれている目的地に着いたときに行われる、つまり、その実行タイミングが分散されているので、カーナビ装置1の演算処理装置10の処理負荷がある時点で集中して増大することはない。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、現在位置から多数の経由地を経由して目的地に到達するルートを探索する場合であっても、その処理を実用的な時間の範囲内で行うことができ、かつ、カーナビ装置1の演算処理装置10の処理負荷がある時点で集中して増大することもない。
【0058】
また、本実施形態によれば、ルート探索要求データ(i)(i=1,…,n)は、管理用パソコン8などによって作成され、その作成されたルート探索要求データ(i)は、通信線51または可搬記憶媒体9を介して、管理用パソコン8からカーナビ装置1へ転送されるので、車両のドライバは、カーナビ装置1で目的地や多数の経由地を設定する必要がない。そのため、ドライバの作業負担が軽減され、その結果、物品の配送作業の効率が向上する。
【0059】
なお、物流センタなどにおける管理用パソコン8では、経由地や目的地を設定する作業は、実質的には従来から行われてきた作業である。従って、ルート探索要求データ(i)を管理用パソコン8で作成するようにしたとしても、管理用パソコン8の管理者の業務はほとんど増加することはない。ただ、多数の経由地の中から適宜、経由地を選択して各ルート探索要求データ(i)の目的地を決定する作業は、面倒となる可能性はあるが、この問題については、例えば、管理用パソコン8が、多数の経由地の並びの中から、単純に、5つおきに目的地を決定するようにすれば解決される。
【符号の説明】
【0060】
1 カーナビ装置
8 管理用パソコン
9 可搬記憶媒体
10 演算処理装置
11 ルート探索要求データ登録処理部
12 ルート探索処理部
13 ルート誘導処理部
14 目的地判定部
20 記憶装置
21 ルート探索要求登録データ
30 GPS電波受信装置
40 センサデータ受信装置
50 通信制御装置
51 通信線
60 可搬記憶媒体読取装置
70 表示装置
81 演算処理装置
82 通信制御装置
83 可搬記憶媒体書込装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、
演算処理装置と記憶装置と入力装置と表示装置とを含んでなり、
前記演算処理装置が、
前記入力装置を介して、目的地および経由地のデータを含んで構成されたルート探索要求データを入力するルート探索要求データ入力処理と、
前記ルート探索要求データに基づき、前記車両の現在位置から前記経由地を経由して前記目的地まで到達するルートを探索するルート探索処理と、
を実行するカーナビゲーション装置であって、
前記演算処理装置は、
前記車両の走行開始時に、前記ルート探索要求データ入力処理により複数のルート探索要求データを入力し、その入力した複数のルート探索要求データを前記記憶装置に登録する第1の処理と、
前記記憶装置から前記登録したルート探索要求データの1つを読み出し、その読み出したルート探索要求データに基づいて前記ルート探索処理を実行する第2の処理と、
前記探索したルートおよび前記車両が走行すべき進路を前記表示装置に表示する第3の処理と、
前記車両が前記ルート探索要求データで指定される目的地に到着したときには、前記記憶装置に、前記第2の処理以下の処理が未処理のルート探索要求データが残っているか否かを判定する第4の処理と、
前記第4の処理における判定の結果、前記未処理のルート探索要求データが残っている場合には、その未処理のルート探索要求データに対し、前記第2の処理以下の処理を実行する第5の処理と、
前記第4の処理における判定の結果、前記未処理のルート探索要求データが残っていない場合には、前記車両が最後の目的地に到達したと判断して、前記最後の目的地へ到達した旨を前記表示装置に表示する第6の処理と、
を実行すること
を特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記ルート探索要求データを入力する入力装置は、可搬記憶媒体の記憶データ読取装置であり、前記可搬記憶媒体には、前記複数のルート探索要求データがあらかじめ書き込まれていること
を特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記ルート探索要求データを入力する入力装置は、他のコンピュータとの間でデータ通信を行うとともにそのデータ通信を制御する通信制御装置であり、前記複数のルート探索要求データは、前記他のコンピュータから送信され、前記通信制御装置を介して入力されること
を特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記記憶装置に登録された複数のルート探索要求データの目的地のデータには、継続フラグが付され、その継続フラグは、自身が属するルート探索要求データの後に他のルート探索要求データがある場合には、オンされ、自身が属するルート探索要求データの後に他のルート探索要求データがない場合には、オフされていること
を特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
車両に搭載され、
演算処理装置と記憶装置と入力装置と表示装置とを含んでなり、
前記演算処理装置が、
前記入力装置を介して、目的地および経由地のデータを含んで構成されたルート探索要求データを入力するルート探索要求データ入力処理と、
前記ルート探索要求データに基づき、前記車両の現在位置から前記経由地を経由して前記目的地まで到達するルートを探索するルート探索処理と、
を実行するカーナビゲーション装置において行われるカーナビゲーション方法であって、
前記演算処理装置は、
前記車両の走行開始時に、前記ルート探索要求データ入力処理により複数のルート探索要求データを入力し、その入力した複数のルート探索要求データを前記記憶装置に登録する第1の処理と、
前記記憶装置から前記登録したルート探索要求データの1つを読み出し、その読み出したルート探索要求データに基づいて前記ルート探索処理を実行する第2の処理と、
前記探索したルートおよび前記車両が走行すべき進路を前記表示装置に表示する第3の処理と、
前記車両が前記ルート探索要求データで指定される目的地に到着したときには、前記記憶装置に、前記第2の処理以下の処理が未処理のルート探索要求データが残っているか否かを判定する第4の処理と、
前記第4の処理における判定の結果、前記未処理のルート探索要求データが残っている場合には、その未処理のルート探索要求データに対し、前記第2の処理以下の処理を実行する第5の処理と、
前記第4の処理における判定の結果、前記未処理のルート探索要求データが残っていない場合には、前記車両が最後の目的地に到達したと判断して、前記最後の目的地へ到達した旨を前記表示装置に表示する第6の処理と、
を実行すること
を特徴とするカーナビゲーション方法。
【請求項6】
前記ルート探索要求データを入力する入力装置は、可搬記憶媒体の記憶データ読取装置であり、前記可搬記憶媒体には、前記複数のルート探索要求データがあらかじめ書き込まれていること
を特徴とする請求項5に記載のカーナビゲーション方法。
【請求項7】
前記ルート探索要求データを入力する入力装置は、他のコンピュータとの間でデータ通信を行うとともにそのデータ通信を制御する通信制御装置であり、前記複数のルート探索要求データは、前記他のコンピュータから送信され、前記通信制御装置を介して入力されること
を特徴とする請求項5に記載のカーナビゲーション方法。
【請求項8】
前記記憶装置に登録された複数のルート探索要求データの目的地のデータには、継続フラグが付され、その継続フラグは、自身が属するルート探索要求データの後に他のルート探索要求データがある場合には、オンされ、自身が属するルート探索要求データの後に他のルート探索要求データがない場合には、オフされていること
を特徴とする請求項5に記載のカーナビゲーション方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−159995(P2010−159995A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1042(P2009−1042)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】