説明

カーナビゲーション装置及びそのディスプレイチルト調整部品

【課題】
ディスプレイをインパネ意匠面に沿って若干傾倒させた修正定姿勢で使用する際に、ボタンの操作や車両の振動による修正定姿勢のずれや、ディスプレイの振動によるラトル異音の発生を軽減できるカーナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】
カーナビゲーション装置10は、ダッシュボードに埋め込まれるカーナビゲーション装置本体11と、カーナビゲーション装置本体11に対して傾倒可能なディスプレイ12と、カーナビゲーション装置本体11又はディスプレイ12のいずれかに保持され、ディスプレイ12がダッシュボードのインパネ意匠面に沿うようにカーナビゲーション装置本体11に対して傾いた姿勢とされたときにカーナビゲーション装置本体11とディスプレイ12とに挟まれるチルト調整部品13とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイを備えたカーナビゲーション装置及びそのディスプレイのチルト調整部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置には、オンダッシュタイプとインダッシュタイプがある。オンダッシュタイプは、ディスプレイとカーナビゲーション装置本体とが別体となっており、ディスプレイはダッシュボードの上に取り付け、カーナビゲーション装置本体は例えばグローブボックスに収容されて、ディスプレイとカーナビゲーション装置本体とは接続線によって接続される。一方、インダッシュタイプは、カーナビゲーション装置の本体とディスプレイとが一体となっており、カーナビゲーション装置本体をダッシュボード内部に埋め込んで、ディスプレイをダッシュボードの表面(以下、「インパネ意匠面」という。)に露出させるタイプのカーナビゲーション装置である。
【0003】
インダッシュタイプには、カーナビゲーション装置本体のサイズに応じて1DIN及び2DINという規格があり、カーオーディオやTVの機能を有するAV一体型のインダッシュタイプカーナビゲーション装置の多くは、2DINの大きさで構成される。このような2DINのAV一体型カーナビゲーション装置を取り付け可能な車両には、2DINのサイズに応じた取付け部がダッシュボードに設けられている。
【0004】
2DINは、正面から見て、横178mm、縦100mmのサイズを有する。一方、現在、AV一体型カーナビゲーション装置のディスプレイとして主流である7インチのディスプレイの画面の外枠部分を含めた大きさは、例えば、横170mm、縦105mmであり、この縦方向の高さは、2DINのカーナビゲーション装置本体のサイズとほぼ一致する。
【0005】
インダッシュタイプのカーナビゲーション装置には、各種の車両への取り付けのために、車種に応じた取付けパネルが用意されている。インダッシュタイプのカーナビゲーション装置を車両に取り付ける際には、その車種に応じた取付けパネルが用いられる。車両の側から見ると、1つの車種に対して、複数の種類のインダッシュタイプのカーナビゲーション装置を取付け可能とするために、カーナビゲーション装置の取り付け部分のインパネは、独立して取り外しができるようになっており、カーナビゲーション装置に対応する取付けパネルを装着することができるようになっている。これにより、カーナビゲーション装置を装着した際に、取付けパネルとインパネの他の部分とが調和したインパネを構成することができる。取付けパネルの表面は、インパネ意匠面の一部を構成し、とりわけディスプレイの周囲のインパネ意匠面を構成する。
【0006】
図6は、ダッシュボードに埋め込まれた、7インチのディスプレイを有する2DINのカーナビゲーション装置の側面図である。図6において、ダッシュボードはその断面が示されている。カーナビゲーション装置100は、略直方体形状を有する2DINサイズのカーナビゲーション装置本体101の前面に、7インチのディスプレイ102が取り付けられて構成されている。
【0007】
ディスプレイ102は、その上部にスライドピン103を有する。カーナビゲーション装置本体101には、このスライドピン103を上下方向に案内する案内レール104が形成されている。また、ディスプレイ102は、その下部に可動アーム105の先端を軸支するためのピン106が設けられている。可動アーム105は、カーナビゲーション装置本体101内に設けられた図示しないモータ及び駆動機構によって、手前及び奥行きの方向に出たり入ったりする。
【0008】
ディスプレイ102の上部のスライドピン103が案内レール104に案内され、可動アーム105の先端がピン106に軸支されている状態で、可動アーム105が前後方向にスライドすることで、ディスプレイ102は、aの姿勢(以下、「正立姿勢」という)とcの姿勢(以下、「最大傾倒姿勢」という。)との間で駆動される。
【0009】
案内レール104は、ディスプレイ102が正立姿勢aとなったときのスライドピン103の位置から、ディスプレイ102が最大傾倒姿勢cとなったときのスライドピン103の位置まで、形成されており、スライドピン103が案内レール104の下端で止まることで、ディスプレイ102が最大傾倒姿勢cで止まる構造となっている。カーナビゲーション装置本体101の前面上半部分には、ディスク、メモリカード等のメディア用のスロットが設けられており、メディアの出し入れの際には、最大傾倒姿勢cになるまでディスプレイ102が倒される。
【0010】
カーナビゲーション装置本体101は、ダッシュボード200に設けられた取付け部201に取り付けられる。ここで、図6に示すように、一般の車両では、ダッシュボード200に対するカーナビゲーション装置本体101の取付け方向(矢印A方向)(即ち、カーナビゲーション装置本体101の上面、左右両側面、及び下面の延在方向)と、インパネ意匠面202の方向(矢印B方向)とは垂直になっておらず、垂直から数度ないしは二十数度程度の角度で傾いている。従って、カーナビゲーション装置本体101を取付け部201に取り付けて、ディスプレイ102を正立姿勢にすると、インパネ意匠面202とディスプレイ102の画面との間に角度差が生じてしまう。
【0011】
図7は、ディスプレイ102を正立姿勢とした場合にインパネ意匠面202とディスプレイ102の画面との間に角度差が生じている様子を示す外観図である。インパネ意匠面202とディスプレイ102の画面との間に角度差が生じてしまうと、デザイン性が損なわれるだけでなく、図7に示すように、ディスプレイ102の画面の下には各種のボタン107が設けられているので、ディスプレイ102の画面の下のボタン107を操作しにくいという支障が生じる。
【0012】
そこで、従来のカーナビゲーション装置では、図6に示すbの姿勢(以下、「修正定姿勢」という。)と最大傾倒姿勢cとの間でディスプレイ102を可動とする。即ち、最大傾倒姿勢cからボタン107の操作等により、モータ及び駆動機構によってディスプレイ102を最大傾倒姿勢cから起立方向に戻す際に、修正定姿勢bで止めて、それ以上起立して正立姿勢aまで戻らないようにする。そして、この修正定姿勢bで通常のナビゲーションやTV視聴等を行なう。ここで、正立姿勢aは、ディスプレイ102を起立方向に戻す際のメカ端(機械的に動きが制限される限界)であるのに対して、修正定姿勢bはソフト端(ソフトウェアによって動きが制限される限界)である。
【0013】
図8は、ディスプレイ102が修正定姿勢bにある様子を示す外観図である。ソフト端である修正定姿勢bは、複数種類の車両のそれぞれのインパネ意匠面202と取り付け部201との角度の関係に応じて、ユーザないしは取付け業者が設定することができる。なお、複数種類の車両について、複数のソフト端がプリセットされていて、ユーザないしは取付け業者が車両の種類に応じてプリセットされた複数のソフト端から1つを選択することで修正定姿勢bが設定されよい。
【0014】
このように、修正定姿勢bを車両の種類に応じて設定できるようにすることで、カーナビゲーション装置を車両の種類ごとに用意する必要がなくなり、汎用性を確保できるので、カーナビゲーション装置の開発、設計、製造等のコストをおさえることができる。そして、カーナビゲーション装置は、2DINの取付け部を有する複数種類の車両にそれぞれ取り付けられた場合に、いずれも図8に示すように、インパネ意匠面202とディスプレイ102の表面をほぼ面一にすることができ、インパネ意匠面202とディスプレイ102の表面との間の角度差によるデザイン性や操作性の低下を回避できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2009−286189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
カーナビゲーション装置のディスプレイは、大型化する傾向にあり、例えば、8インチ又はそれ以上のディスプレイのサイズに対する要望が強くなってきている。しかしながら、カーナビゲーション装置本体のサイズは2DINという規格で定まったサイズにする必要があり、ディスプレイの大型化に伴って大型化することはできない。このため、以下の問題点が生じる。
【0017】
図9は、ダッシュボードに埋め込まれた、8インチのディスプレイを有する2DINのカーナビゲーション装置の側面図である。図9において、ダッシュボードは、その断面が示されている。ダッシュボード200には、7インチディスプレイの例(図6参照)と同様に、2DINのカーナビゲーション装置本体101を収容するための取付け部201が設けられている。ディスプレイパネル102は、7インチの場合と比較して、下方向に延長されており、従って、ダッシュボード200にはこのための空間も確保されている。
【0018】
しかしながら、可動アーム105の高さは2DINのカーナビゲーション装置本体の大きさに制限されるので、ディスプレイ102の下端と可動アーム105を回動可能に支持するピン106との間の距離が大きくなる。そうすると、ディスプレイ102の表面をインパネ意匠面202と面一にするために、修正定姿勢bで使用したときに、ボタン107の操作や車両の走行による振動によって、てこの原理により、ピン106、103に大きな負荷がかかることになる。これにより、ディスプレイの修正定姿勢bがずれてしまうという問題が生じる。
【0019】
また、修正定姿勢bは、ソフト端であるので、可動アーム105の駆動機構においてギアのバックラッシが生じるが、8インチディスプレイの場合は、ディスプレイが2DINのカーナビゲーション装置本体より大きく、可動アーム105を支持するピン106から下方に延長されているので、7インチディスプレイの場合と比較して、ディスプレイの振動が大きくなり、ラトル異音が大きくなるという問題が生じる。
【0020】
なお、上記の問題は、8インチディスプレイに限らず、ディスプレイのサイズが大きくなるほど問題も大きくなる。また、8インチ以上の大画面のディスプレイを用いる場合に限らず、7インチディスプレイ以下のサイズのディスプレイであっても、ソフト端を修正定姿勢としている場合には、同様の問題が生じる。
【0021】
そこで、本発明は、カーナビゲーション装置において、ディスプレイをインパネ意匠面に沿って若干傾倒させた修正定姿勢で使用する際に、ボタンの操作や車両の振動による修正定姿勢のずれや、ディスプレイの振動によるラトル異音の発生を軽減できるカーナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記従来の課題を解決するために、本発明のカーナビゲーション装置は、ダッシュボードに埋め込まれるカーナビゲーション装置本体と、前記カーナビゲーション装置本体に対して傾倒可能なディスプレイと、前記カーナビゲーション装置本体又は前記ディスプレイのいずれかに保持され、前記ディスプレイが前記ダッシュボードのインパネ意匠面に沿うように前記カーナビゲーション装置本体に対して傾いた姿勢とされたときに前記カーナビゲーション装置本体と前記ディスプレイとに挟まれるチルト調整部品とを備えた構成を有している。
【0023】
この構成によれば、ディスプレイがダッシュボードのインパネ意匠面に沿うようにカーナビゲーション装置本体に対して傾いた姿勢、即ち修正定姿勢となったときに、チルト調整部品がカーナビゲーション装置本体とディスプレイとに挟まれるので、修正定姿勢のずれやディスプレイの振動によるラトル異音の発生を軽減できる。このチルト調整部品は、従来ソフト端であった修正定姿勢を、メカ端とするものである。即ち、チルト調整部品によって、ディスプレイは、修正定姿勢を超えて正立方向に移動することが、機械的に制限されることになる。
【0024】
また、上記のカーナビゲーション装置において、前記ディスプレイの高さは、前記カーナビゲーション装置本体の高さより大きくてよく、前記カーナビゲーション装置本体は、前記ディスプレイに対応する面に、下方に延長したエスカッションを備えていてよく、前記チルト調整部品は、前記ディスプレイの下端部とエスカッションの下端部とに挟まれてよい。
【0025】
この構成によれば、大型のディスプレイに対しても、修正定姿勢のずれやディスプレイの振動によるラトル異音の発生を軽減できる。
【0026】
また、上記のカーナビゲーション装置において、前記チルト調整部品は、前記エスカッションの下端部に固定されてよい。
【0027】
この構成によれば、傾倒するディスプレイの重量を増加することなく、修正定姿勢のずれやディスプレイの振動によるラトル異音の発生を軽減できる。
【0028】
また、上記のカーナビゲーション装置において、前記ディスプレイの上端部は、前記カーナビゲーション装置本体の前記ディスプレイに対応する面に沿って上下方向にスライド可能であってよく、前記カーナビゲーション装置は可動アームを備えていてよく、この可動アームは、先端が前記ディスプレイに回動可能に軸支された可動アームであって、前記カーナビゲーション装置本体内を前後方向にスライド可能であってよく、前記チルト調整部品は、前記可動アームの下方で前記カーナビゲーション装置本体と前記ディスプレイとに挟まれてよい。
【0029】
この構成によれば、修正定姿勢で、ディスプレイにおける可動アーム支持部よりも下方に、ボタン操作等による負荷がかかった場合にも、その負荷をチルト調整部品が受けるので、てこの原理によって可動アームにかかる負荷を軽減できる。
【0030】
また、上記のカーナビゲーション装置において、前記チルト調整部品は、保持されている側とは反対側に、緩衝部材を有してよい。
【0031】
この構成によれば、例えば、チルト調整部品がカーナビゲーション装置本体側に保持される場合には、ディスプレイ側に緩衝部材が設けられ、ディスプレイが修正定姿勢となったときに、ディスプレイがチルト調整部品の緩衝部材に受け入れられるので、ディスプレイの振動によるラトル異音の発生をより好適に軽減できる。なお、緩衝部材は、例えば、ゴム製の部材であってよい。
【0032】
本発明の別の態様は、ダッシュボードに埋め込まれるカーナビゲーション装置本体と、前記カーナビゲーション装置本体に対して傾倒可能なディスプレイとを備えたカーナビゲーション装置に用いられるチルト調整部品であって、前記カーナビゲーション装置本体又は前記ディスプレイのいずれかに保持されて、前記カーナビゲーション装置本体と前記ディスプレイとに挟まれたときに、前記ディスプレイが前記ダッシュボードのインパネ意匠面に沿うように前記カーナビゲーション装置本体に対して傾いた姿勢となるよう設計されている。
【0033】
この構成によれば、ディスプレイがダッシュボードのインパネ意匠面に沿うようにカーナビゲーション装置本体に対して傾いた姿勢、即ち修正定姿勢となったときに、チルト調整部品がカーナビゲーション装置本体とディスプレイとに挟まれるので、修正定姿勢のずれやディスプレイの振動によるラトル異音の発生を軽減できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、ディスプレイがダッシュボードのインパネ意匠面に沿うようにカーナビゲーション装置本体に対して傾いた姿勢、即ち修正定姿勢となったときに、チルト調整部品がカーナビゲーション装置本体とディスプレイとに挟まれるので、修正定姿勢のずれやディスプレイの振動によるラトル異音の発生を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態におけるカーナビゲーション装置の側面図
【図2】本発明の実施の形態におけるカーナビゲーション装置の斜視図
【図3】本発明の実施の形態における本発明の実施の形態におけるカーナビゲーション装置本体及びチルト調整部品の分解図
【図4】本発明の実施の形態におけるチルト調整部品の斜視図
【図5】本発明の実施の形態におけるカーナビゲーション装置の要部断面図
【図6】本発明の実施の形態における7インチのディスプレイを有する2DINのカーナビゲーション装置の側面図
【図7】本発明の実施の形態におけるディスプレイを正立姿勢とした状態の外観図
【図8】本発明の実施の形態におけるディスプレイを修正定姿勢とした状態の外観図
【図9】8インチのディスプレイを有する2DINのカーナビゲーション装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。まず、図1〜3を参照して、カーナビゲーション装置10の全体構成を説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるカーナビゲーション装置の側面図であり、図2は、本発明の実施の形態におけるカーナビゲーション装置の斜視図であり、図3は、本発明の実施の形態におけるカーナビゲーション装置本体及びチルト調整部品の分解図である。以下では、図1の左右方向を前後方向(左が前方向、右が後方向)といい、図1の上下方向を上下方向といい、図1の紙面垂直方向を左右方向(手前が右方向、奥が左方向)という。
【0037】
カーナビゲーション装置10は、カーナビゲーション装置本体11と、ディスプレイ12とを備えている。カーナビゲーション装置本体11は、概略直方体の筐体111とディスプレイ12の形状に対応する形状を有するエスカッション112とを備えている。カーナビゲーション装置本体11の後面には、各種の配線プラグが設けられている。カーナビゲーション装置10は、カーナビゲーション装置本体11が車両のダッシュボードに埋め込まれ、ディスプレイ12がダッシュボードのインパネ意匠面から露出するように、車両に取り付けられる。
【0038】
カーナビゲーション装置本体11の筐体111のサイズは、2DINの規格に従うものであり、その前面は、横178mm、縦100mmである。一方、ディスプレイ12の外枠部分も含めた大きさは、横222mm、縦124mmであり、筐体111の前面よりも縦横ともに大きい。
【0039】
エスカッション112は、筐体111の前面に固定されている。エスカッション112は、上下左右に壁面を有するトレー形状を有しており、カーナビゲーション装置本体11に対して正立姿勢にあるディスプレイ12を収容する。エスカッション112の上端は、筐体111の上面と同じ高さにあり、エスカッション112の下端は、筐体111の下面よりも下にある。即ち、エスカッション112とディスプレイ12とはほぼ同じ大きさであり、エスカッション112及びディスプレイ12は、筐体111の前面よりも大きい。
【0040】
筐体111の内部には、筐体111の下面に近い位置で、エスカッション112を貫通して先端がディスプレイ12に回動可能に軸支される左右一対の可動アーム113が設けられている。可動アーム113は、筐体111内に設けられた図示しないモータ及び駆動機構によって、筐体111の下面に平行に、前後方向に移動可能である。ディスプレイ12は、ピン121によって可動アーム113を回動可能に軸支している。エスカッション112の左右壁面の内側には、上下方向に案内レール1121が形成されている(図3参照)。一方、ディスプレイ12の側面の上端部には、案内レール1121に対応するスライドピン(不図示)が設けられている。
【0041】
正立姿勢から可動アーム113が繰り出されてエスカッション112のピン121が押し出されると、ディスプレイ12の上端部のスライドピンが案内レール1121に案内されて、下方にスライドする。こうして、ディスプレイ12の画面は上を向くように傾けられ、エスカッション112の上半部分が露出する。
【0042】
エスカッション112の露出する上半部分には、ディスクやメディアカード等のスロット1122が設けられている(図3参照)。従って、カーナビゲーション装置10に対してディスクやメディアカードの出し入れをする場合には、上述のように、可動アーム113を繰り出すことにより、エスカッション112の上半部分を露出させる。
【0043】
ディスプレイ12の前面の下端部には、操作ボタン122が設けられている。
【0044】
エスカッション112の前面の下端部には、ディスプレイ12の後面とエスカッション112の前面とに挟まれるチルト調整部品13を取り付けるチルト調整部品取り付け部が設けられており、そこにチルト調整部品13が取り付けられている。チルト調整部品13は、エスカッション112のチルト調整部品取り付け部にネジ止めされている。このチルト調整部品13は、ディスプレイ12の後面とエスカッション112の前面とに挟まれたときに、ちょうどディスプレイ12がインパネ意匠面に沿う修正定姿勢とされるように、その前後方向の高さが設計されている。即ち、チルト調整部品13がエスカッション112とディスプレイ12とに挟まれている図1の姿勢がちょうど修正定姿勢となる。チルト調整部品13は、可動アーム113の下に設けられており、また、ディスプレイ受け面132が操作ボタン122の裏側を支持する位置に設けられている。
【0045】
図4は、本発明の実施の形態におけるチルト調整部品の斜視図であり、図5は、本発明の実施の形態におけるカーナビゲーション装置の要部断面図である。チルト調整部品13は、左右方向に長い形状を有している。また、チルト調整部品13において、ディスプレイ12と接触する面であるディスプレイ受け面132は、修正定姿勢にあるディスプレイ12の後面の角度と一致するように傾斜している。
【0046】
チルト調整部品13は、ディスプレイ受け面132の両端に、凹部133を有する。凹部133には、緩衝部材としてのラトルストッパゴム131がはめ込まれている。凹部133は、奥に行くほど断面の面積が小さくなるテーパ形状を有し、中央には、係合孔1331が形成されている。ラトルストッパゴム131では、凹部133のテーパ形状に合致する四角錘の下半部の先端に、係合孔1331に挿入される突起1311が形成されている。また、ラトルストッパゴム131の開口部の周囲にはフランジ部1312が形成されている。ラトルストッパゴム131の突起1311が凹部133の係合孔1331に挿入されることで、ラトルストッパゴム131が凹部133に固定される。
【0047】
一方、ディスプレイ12の後面には、凹部133に取り付けられたラトルストッパゴム131に対応する位置に、凸部123が形成されている。凸部123は、ラトルストッパゴム131に対応する形状を有しており、先端に行くほど断面の面積が小さくなるテーパ形状を有している。
【0048】
修正定姿勢においてディスプレイ12の凸部123がチルト調整部品13の凹部133に係合することで、操作ボタン122の操作や振動による、ディスプレイ12の後方向の移動を、チルト調整部品13がラトルストッパゴム131を介して規制するとともに、ディスプレイ12の上下及び左右方向の振動も規制する。よって、凸部123が凹部133に係合する修正定姿勢において、ディスプレイ12はカーナビゲーション装置本体11に対してしっかりと固定され、修正定姿勢のずれや、ディスプレイ12の振動によるラトル異音の発生を軽減できる。
【0049】
なお、上記の実施の形態では、チルト調整部品13は、カーナビゲーション装置本体11のエスカッション112にネジ止めされて、傾倒姿勢から正立姿勢に戻ってきたディスプレイ12の後面がチルト調整部品13に当接することでディスプレイ12とエスカッション112に挟まれて、修正定姿勢となる例を示したが、本発明はこれに限られない。チルト調整部品13は、ディスプレイ12の後面に固定されて、修正定姿勢となるときに、エスカッション112と接触して両者に挟まれるようにしてもよい。但し、ディスプレイ12を軽量化してディスプレイ12を傾倒する駆動力を小さくする、ないしは傾倒姿勢でディスプレイ12に固定されたチルト調整部品13に他のものが引っかかって予期しない外力がディスプレイ12に加わることを防ぐ等の観点からはカーナビゲーション装置本体11側にチルト調整部品13を固定することがより望ましい。
【0050】
また、上記の実施の形態では、ディスプレイ12がカーナビゲーション装置本体11の前面より大きい例を示したが、例えば7インチディスプレイのように、2DINのカーナビゲーション装置本体の前面の大きさとほぼ同じサイズであって、カーナビゲーション装置本体の下面に近い部分で前後方向にスライドする可動アームが、ディスプレイの下端部付近に連結する構成である場合にも、ディスプレイの下端部とカーナビゲーション装置本体の下端部とに挟まれるチルト調整部品を設けるようにしてよい。この場合にも、チルト調整部品がディスプレイの前面に設けられた操作ボタンの裏側でディスプレイとカーナビゲーション装置本体とに挟まれるようにすることが望ましい。そうすることで、操作ボタンの操作による修正定姿勢のずれの発生を有効に防止できる。
【0051】
なお、上記の実施の形態では、チルト調整部品13がエスカッション112にネジ止めされたが、係止片による係止等、他の手段でチルト調整部品13がエスカッション112に固定されてもよい。チルト調整部品13がディスプレイ側に固定される場合も同様である。
【0052】
本発明を実際に応用する際には、1種類のカーナビゲーション装置につき、車両の種類ごとに、取付けパネル及びチルト調整部品を含む取付けキットが用意される。ユーザは、自己の車両の取り付けキットが用意されているカーナビゲーション装置を選択し、自己の車両に対応する取付けキットでもって、選択したカーナビゲーション装置を自己の車両に取り付ける。即ち、上記の実施の形態では、チルト調整部品13の一つの例を説明したが、1種類のカーナビゲーション装置に対して、車両の種類ごとに異なる形状のチルト調整部品13が用意される。1種類のカーナビゲーション装置に対する複数種類のチルト調整部品13における、エスカッション112への取付け部分の構造は共通であるが、チルト調整部品13の奥行き方向の高さ及びディスプレイ受け面132の角度は、対応する車種に応じて異なる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明は、修正定姿勢のずれやディスプレイの振動によるラトル異音の発生を軽減でき、ディスプレイを備えたカーナビゲーション装置及びそのディスプレイのチルト調整部品等として有用である。
【符号の説明】
【0054】
10 カーナビゲーション装置
11 カーナビゲーション装置本体
111 筐体
112 エスカッション
1121 案内レール
1122 スロット
113 可動アーム
12 ディスプレイ
121 ピン
122 操作ボタン
123 凸部
13 チルト調整部品
131 ラトルストッパゴム
1311 突起
1312 フランジ部
132 ディスプレイ受け面
133 凹部
1331 係合孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュボードに埋め込まれるカーナビゲーション装置本体と、
前記カーナビゲーション装置本体に対して傾倒可能なディスプレイと、
前記カーナビゲーション装置本体又は前記ディスプレイのいずれかに保持され、前記ディスプレイが前記ダッシュボードのインパネ意匠面に沿うように前記カーナビゲーション装置本体に対して傾いた姿勢とされたときに前記カーナビゲーション装置本体と前記ディスプレイとに挟まれるチルト調整部品と、
を備えたことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記ディスプレイの高さは、前記カーナビゲーション装置本体の高さより大きく、
前記カーナビゲーション装置本体は、前記ディスプレイに対応する面に、下方に延長したエスカッションを備え、
前記チルト調整部品は、前記ディスプレイの下端部とエスカッションの下端部とに挟まれる
ことを特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記チルト調整部品は、前記エスカッションの下端部に固定されていることを特徴とする請求項2に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記ディスプレイの上端部は、前記カーナビゲーション装置本体の前記ディスプレイに対応する面に沿って上下方向にスライド可能であり、
前記カーナビゲーション装置は、さらに、先端が前記ディスプレイに回動可能に軸支された可動アームであって、前記カーナビゲーション装置本体内を前後方向にスライド可能な可動アームを備え、
前記チルト調整部品は、前記可動アームの下方で前記カーナビゲーション装置本体と前記ディスプレイとに挟まれる
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
前記ディスプレイの前面には、操作ボタンが設けられ、
前記チルト調整部品は、前記操作ボタンの裏側で前記カーナビゲーション装置本体と前記ディスプレイとに挟まれる
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項6】
前記チルト調整部品は、保持されている側とは反対側に、緩衝部材を有していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項7】
ダッシュボードに埋め込まれるカーナビゲーション装置本体と、前記カーナビゲーション装置本体に対して傾倒可能なディスプレイとを備えたカーナビゲーション装置に用いられるチルト調整部品であって、
前記カーナビゲーション装置本体又は前記ディスプレイのいずれかに保持されて、前記カーナビゲーション装置本体と前記ディスプレイとに挟まれたときに、前記ディスプレイが前記ダッシュボードのインパネ意匠面に沿うように前記カーナビゲーション装置本体に対して傾いた姿勢となるよう設計されていることを特徴とするチルト調整部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−10461(P2013−10461A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145239(P2011−145239)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】