説明

カーナビゲーション装置

【課題】 特別なハードウエアを追加することなく、ラウンドアバウトに進入した車のユーザに対してユーザの目的の出口の道路を正確に報知する。
【解決手段】 地図データ記憶部2の地図データに基づいてラウンドアバウトの直径情報を計算し、ジャイロセンサ12から得られる方向情報に基づいて車の向きを計算し、車速パルス13に基づいて走行距離を計算し、これらに基づいてラウンドアバウト内における車の位置を計算し(ステップS4)、次の出口がルートか否かを判断し(ステップS8)、Noの場合には「何番目の出口を出てください」というガイダンスを発生し(ステップS9)、他方、Yesの場合には「次の出口を出てください」というガイダンスを発生する(ステップS10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラウンドアバウトに進入した車のユーザに対してユーザの目的の出口の道路を報知するカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヨーロッパなどでは、ラウンドアバウトと呼ばれる円形の道路から放射状に複数の道路が分岐している道路形態が多く存在しているので、ラウンドアバウトに進入した車のユーザに対して「xx個目の出口を出てください」のようにラウンドアバウトの出口を報知するカーナビゲーション装置が知られている。しかしながら、この方法では、ユーザは出口の数を数えながら走る必要があるため、周囲の道路の状況によって出口を間違えたりすることがある。そこで、下記の特許文献1では、現在位置から目的の出口までの通過すべき道路数をカウンタにセットして、通過すべき道路を通過するごとにカウンタの数を減算してその数を報知する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2002−228475号公報(要約書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のカーナビゲーションシステムは、GPSや速度パルス、ジャイロなどのセンサ情報を統合し、現在の自車位置を計算により地図上にマッピングしている。自車位置精度は状況によっては10〜20m程度であり、このため、直径が15m程度のラウンドアバウトでは、ラウンドアバウトを走行中にどの位置まで走ったかを検知することが難しい。そのため、現在、何番目の出口にまで差し掛かったかを精度よく検知することができないため、ラウンドアバウト内で出口を正確に指示することができなかった。
【0004】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、特別なハードウエアを追加することなく、ラウンドアバウトに進入した車のユーザに対してユーザの目的の出口の道路を正確に報知することができるカーナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するために、ラウンドアバウトに進入した車のユーザに対してユーザの目的の出口の道路を報知するカーナビゲーション装置において、
前記車がラウンドアバウトに進入したことを検出する検出手段と、
前記車が進入したラウンドアバウトの形状を地図データに基づいて得る手段と、
ジャイロセンサから前記車の現在の走行方向を得る手段と、
前記得られたラウンドアバウトの形状と走行方向に基づいて前記車の現在位置を求める現在位置取得手段と、
前記現在位置取得手段により得られた現在位置に基づいてユーザの目的の出口の道路を報知する手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
また、車速パルスに基づいて走行距離を求める手段を更に備え、
前記現在位置取得手段は、前記ラウンドアバウトの形状と走行方向に加えて前記走行距離に基づいて現在位置を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車が進入したラウンドアバウトの形状を地図データから計算し、ジャイロセンサから車の現在の走行方向を計算し、ラウンドアバウトの直径と走行方向に基づいて車の現在位置を計算するので、特別なハードウエアを追加することなく、ラウンドアバウトに進入した車のユーザに対してユーザの目的の出口の道路を正確に報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明に係るカーナビゲーション装置の一実施の形態を示すブロック図、図2は図1のカーナビゲーション装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【0009】
図1において、CPU1はこのカーナビゲーション装置を制御し、特に図2に示すような処理を実行する。地図データ記憶部2は地図を表示部6に表示するための地図データを記憶し、例えばCDやROMなどのドライブにより構成される。自車位置・方向検出部3はGPS11から得られる位置情報と、ジャイロセンサ12から得られる方向情報と車速パルス13から得られる走行距離から自車の位置と方向を検出する。ガイダンス発生部4はルート検索部8により指示されたルートを表示部6に表示して案内するためのガイダンスを発生する。メモリ5はCPU1のプログラムメモリ、ワークメモリなどにより構成される。目的地検索・設定部7はユーザから指定された目的値を検索し、ルート検索部8は自車位置・方向検出部3により検出された位置から目的地検索・設定部7により検索された目的地までのルートを検索してガイダンス発生部4に指示する。
【0010】
次に、図2を参照してラウンドアバウトに進入した車のユーザに対してラウンドアバウトの出口の道路を報知する処理を説明する。まず、次のガイダンスポイントはラウンドアバウトのガイダンスポイントか否かを判断し(ステップS1)、Yesの場合にステップS2に進み、ラウンドアバウトから所定の距離だけ手前の地点で「何個目の出口を出てください」というガイダンスを発生する。次いでラウンドアバウトに進入したか否かを判断し(ステップS3)、Yesの場合にステップS4に進み、地図データ記憶部2の地図データに基づいてラウンドアバウトの直径情報を計算し、ジャイロセンサ12から得られる方向情報に基づいて車の向きを計算し、車速パルス13に基づいて走行距離を計算し、これらに基づいてラウンドアバウト内における車の位置を計算する。
【0011】
次いで、ステップS4で計算したラウンドアバウトの直径情報と車の向き及び位置に基づいて車がラウンドアバウト内か否かを判断し(ステップS5)、Noの場合にはステップS1に戻り、他方、Yesの場合にはステップS6に進む。ステップS6ではラウンドアバウトのいずれかの出口に差し掛かったか否かを判断し、Noの場合にはステップS4に戻って車の位置を再計算する。他方、ステップS6でYesの場合にはガイダンスする出口が何個目かを再計算し(ステップS7)、次いで次の出口がルートか否かを判断し(ステップS8)、Noの場合にはステップS7の再計算結果に基づいて「何番目の出口を出てください」というガイダンスを発生し(ステップS9)、他方、Yesの場合には「次の出口を出てください」というガイダンスを発生する(ステップS10)。ステップS9、S10からはステップS4に戻って車の位置を再計算する。
【0012】
すなわち、本発明の実施の形態では、ラウンドアバウトに差し掛かる時点で、従来通り、「xx個目の出口を出てください」という内容のガイダンスを行う(ステップS1、S2)。そしてラウンドアバウト内に進入したと認識したら(ステップS3)、速度パルスとジャイロセンサ情報のみに着目する。そしてあらかじめマップデータに収められているラウンドアバウトの直径情報と各出口の方向情報を取り出し、速度パルスによって得た自車のラウンドアバウト内部での進み具合とジャイロセンサ12による車の方向データをマップデータと比較することにより、現在の自車のラウンドアバウト内での位置を計算する(ステップS4)。これにより、ラウンドアバウト内でガイダンスを発生させ、目的の方向の出口に差し掛かる1本手前で、「次の出口を出てください」という内容の案内を出す(ステップS10)。また、出口の数を減算してゆき、他の出口の前を通過するたびに「何番目を出てください」というガイダンスを行う(ステップS9)。ラウンドアバウトの情報としては、直径情報に限らず、半径あるいは曲率情報を利用するものであってももちろんよい。すなわち、ラウンドアバウトの形状を特定する形状情報であればよい。本発明によれば、従来方式と同じハードウエアで実現可能なため、コストアップがない。また、非常に小さなラウンドアバウトでも適応可能であり、ジャイロセンサ12による車の方向情報だけを使ってもそれなりの精度でラウンドアバウト内での位置を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るカーナビゲーション装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1のカーナビゲーション装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0014】
1 CPU
2 地図データ記憶部
3 自車位置・方向検出部
4 ガイダンス発生部
5 メモリ
6 表示部
7 目的地検索・設定部
8 ルート検索部
11 GPS
12 ジャイロセンサ
13 車速パルス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラウンドアバウトに進入した車のユーザに対してユーザの目的の出口の道路を報知するカーナビゲーション装置において、
前記車がラウンドアバウトに進入したことを検出する検出手段と、
前記車が進入したラウンドアバウトの形状を地図データに基づいて得る手段と、
ジャイロセンサから前記車の現在の走行方向を得る手段と、
前記得られたラウンドアバウトの形状と走行方向に基づいて前記車の現在位置を求める現在位置取得手段と、
前記現在位置取得手段により得られた現在位置に基づいてユーザの目的の出口の道路を報知する手段とを、
備えたことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
車速パルスに基づいて走行距離を求める手段を更に備え、
前記現在位置取得手段は、前記ラウンドアバウトの形状と走行方向に加えて前記走行距離に基づいて現在位置を求めることを特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−47050(P2007−47050A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232562(P2005−232562)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】