説明

カーナビゲーション装置

【課題】スマートICを利用した経路探索を行うカーナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ETCカード21の未挿入のためにスマートICを利用しない推奨経路に基づく経路誘導が開始された後であっても、ETC車載機20から送信されたカード挿入信号を受信した後、ETC車載機20から送信された取得情報に入口情報が含まれていることを検出すると、スマートICを加味した推奨経路を再探索するように構成した。これにより、スマートICを利用しない推奨経路に基づく経路誘導が開始された後であっても、ETCシステムの利用が可能となり、かつ、有料道路に進入した際には、スマートICを加味した推奨経路が探索される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて経路誘導を行うカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
目的地までの推奨経路を演算して、演算した推奨経路に基づいて経路誘導を行うカーナビゲーション装置が知られている。このカーナビゲーション装置では、有料道路を利用した経路探索が可能である(非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】特許庁 標準技術集 「カーナビゲーション装置のユーザーインターフェイス」主分類3−B−3
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、有料道路自動料金収受システム(ETCシステム)を利用するためのETC車載機を搭載した車両のみが利用できるスマートインターチェンジ(スマートIC)が導入され始めている。しかし、従来のカーナビゲーション装置では、スマートICを利用した経路探索ができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明によるカーナビゲーション装置は、有料道路自動料金収受システム(ETCシステム)で利用するETCカードがETC車載機に挿入されているか否かを判断するカード挿入判定手段と、車両が有料道路に進入したことを検出する有料道路進入検出手段と、推奨経路を探索する推奨経路探索手段と、カード挿入判定手段でETCカードがETC車載機に挿入されていることが検出されているときに、有料道路進入検出手段で車両が有料道路に進入したことが検出されると、推奨経路探索手段に対してETC専用インターチェンジを加味した推奨経路を再探索させる再探索指示手段とを備えることを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載のカーナビゲーション装置において、ETC専用インターチェンジを加味しない推奨経路に基づいて経路誘導が行われている場合には、推奨経路探索手段は、再探索指示手段からETC専用インターチェンジを加味した推奨経路を再探索するように指示されると、すでに行われているETC専用インターチェンジを加味しない推奨経路に基づく経路誘導を中断することなく、ETC専用インターチェンジを加味した推奨経路を再探索することを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のカーナビゲーション装置において、推奨経路探索手段で探索されたETC専用インターチェンジを加味しない推奨経路、および、ETC専用インターチェンジを加味した推奨経路を比較可能に表示モニタに表示させる表示制御手段をさらに備えることを特徴とする。
(4) 請求項4の発明によるカーナビゲーション装置は、有料道路自動料金収受システム(ETCシステム)で利用する車載機が、ETCシステムを利用可能な状態であるか否かを判断する車載機側判定手段と、車両が有料道路に進入したことを検出する有料道路進入検出手段と、推奨経路を探索する推奨経路探索手段と、車載機側判定手段で車載機がETCシステムを利用可能な状態であると判定されているときに、有料道路進入検出手段で車両が有料道路に進入したことが検出されると、推奨経路探索手段に対してETC専用インターチェンジを加味した推奨経路を再探索させる再探索指示手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ETC専用インターチェンジを加味した推奨経路が再探索されるようになるので、利便性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜3を参照して、本発明によるカーナビゲーション装置の一実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態のカーナビゲーション装置の全体構成を示す図である。カーナビゲーション装置1は、車両位置周辺の道路地図を表示する機能、出発地から目的地までの推奨経路を演算する機能、演算された推奨経路に基づいて経路誘導を行う機能など、車両の走行に関する情報を提示する機能を兼ね備えている。カーナビゲーション装置1は、いわゆるナビゲーションあるいは道路案内などを行う装置である。
【0008】
図1において、11は車両の現在地を検出する現在地検出装置であり、たとえば車両の進行方位の変化量を検出するジャイロセンサ11a、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ11c、車速を検出する車速センサ11d等から成る。
【0009】
100は制御装置であり、CPU101およびその周辺回路から成る。CPU101およびその周辺回路は互いにバスで接続されている。周辺回路は、メモリ102、パラレルI/O103、A/D変換器104、シリアルI/O105、カウンタ106、グラフィックコントローラ107、画像メモリ108、地図記憶装置109、インターフェース(I/F)110等から成る。14は車室内の乗員が視認可能な位置に配設されて、地図や各種情報を表示する表示モニタである。15は乗員が車両の目的地等の入力など、各種操作入力を行うためのスイッチである。スイッチ15は、表示モニタ14の画面上に設けられたタッチパネルスイッチや、カーソルの移動や画面のスクロールを指示するジョイスティックなどを含む。スイッチ15は、リモコンスイッチであってもよく、表示画面周辺に設けられたスイッチであってもよい。
【0010】
制御装置100のメモリ102は、制御プログラムを格納するROM、作業エリアのRAM、および、各種設定値などを記憶する不揮発メモリを含むメモリである。CPU101は、メモリ102にアクセスして制御プログラムを実行し、各種の制御を行う。パラレルI/O103は、スイッチ15を構成する個別のスイッチ等が接続されるパラレルI/Oポートである。A/D変換器104は、ジャイロセンサ11aのアナログ信号をA/D変換する変換器である。シリアルI/O105は、GPSセンサ11cからのシリアル信号を受信するシリアルI/Oポートである。カウンタ106は、たとえば車軸の回転に伴って車速センサ11dから出力されるパルス信号をカウントするカウンタである。
【0011】
グラフィックコントローラ107は、CPU101から出力される表示データを、画像データとして画像メモリ(ビデオRAM)であるメモリ108に格納し、メモリ108に格納された画像データを表示モニタ14に表示するための制御を行う。CPU101から出力される表示データは、各種の文字データや道路地図などの各種の図形データなどから成る。制御装置100は、表示モニタ14の表示制御装置として機能する。
【0012】
地図記憶装置109は、ナビゲーション処理に使用する道路地図データやPOI情報(Point of Interest 観光地や各種施設の情報)など各種の情報を格納する地図記憶装置であり、ハードディスク装置が用いられている。なお、地図記憶装置109は、ハードディスク装置以外にも、道路地図データが格納されたCD−ROMやDVD、その他の記録媒体、および、その読み出し装置であってもよい。I/F110は、後述するETC車載機20を接続するためのインターフェースである。
【0013】
ETC車載機20は、有料道路自動料金収受システム(ETCシステム)による有料道路の料金支払いを行うために車両に搭載される車載機である。ETC車載機20にはETCカード21が挿抜可能である。有料道路の通行料金は、ETC車載機20に挿入されたETCカード21のクレジットカードとしての機能を利用した後払いで支払われる。ETC車載機20は、有料道路の入口料金所に設置された料金所アンテナの下を通過する際に、料金所アンテナから送信された入口情報を取得する。また、ETC車載機20は、有料道路の出口料金所に設置された料金所アンテナの下を通過する際に、入口料金所で取得した入口情報を料金所アンテナへ送信するとともに、料金所アンテナから送信された料金情報を取得する。ETC車載機20は、ETCカード21が挿入されていることを示す信号(カード挿入信号)や、料金所アンテナから取得した情報(取得情報)をカーナビゲーション装置1に送信する。なお、カード挿入信号は、ETC車載機20にETCカード21が挿入されて、ETC車載機20がETCシステムを利用可能となった段階で送信される。
【0014】
−−−データ構成−−−
道路地図データは、地図に関する情報であり、地図表示用データ、経路探索用データ、誘導データ(交差点名称・道路名称・方面名称・方向ガイド・施設情報など)などから成る。地図表示用データは道路や道路地図の背景を表示するためのデータである。経路探索用データは、道路形状とは直接関係しない分岐情報などから成るデータであり、主に推奨経路を演算(経路探索)する際に用いられる。誘導データは、交差点の名称などから成るデータであり、演算された推奨経路に基づき運転者等に推奨経路を誘導する際に用いられる。経路探索用データには、有料道路の料金所の位置の情報や、当該料金所がスマートインターチェンジの料金所であるか否かを示す情報、スマートインターチェンジである場合には利用可能な時間帯、車種、出入方向などを示す情報(後述)が含まれている。また、経路探索用データには、スマートインターチェンジと一般道路とを接続する道路(リンク)の情報も含まれている。
【0015】
スマートインターチェンジ(スマートIC)とは、ETC車載機を搭載した車両のみが利用できるインターチェンジである。スマートICは、建設・管理コストの削減が可能であるとして、主に有料道路のサービスエリアやパーキングエリアに接続して設置されている。なお、スマートICには、利用可能(通行可能)な時間帯や利用可能な車種が限られているところがある。また、スマートICには、たとえば上り方向への入口としてのみ利用可能であるとか、下り方向への入口および出口として利用可能である、というように、利用可能な出入方向が限定されているところがある。これらのスマートICに関する情報(以下、スマートIC情報と呼ぶ)は、上述したように経路探索用データに含まれている。
【0016】
このように構成されるカーナビゲーション装置1は、現在地検出装置11により取得した情報および地図記憶装置109に格納されている道路地図データに基づき各種のナビゲーションを行う。たとえば、制御装置100のCPU101は、車両の現在位置近辺の道路地図および車両の現在位置を表示モニタ14に表示し、経路探索によって得られた経路(推奨経路)に沿ってドライバーを誘導するように各部を制御する。また、本実施の形態のカーナビゲーション装置1では、以下に詳述するように、推奨経路を演算する際にスマートICを考慮するか否かを、ETCカード21がETC車載機20に挿入されているか否かによって判断している。
【0017】
−−−経路探索および経路誘導−−−
本実施の形態のカーナビゲーション装置1では、CPU101は、経路探索を行う際に、I/F110を介して接続されたETC車載機20から、ETCカード21が挿入されていることを示す信号(カード挿入信号)を受信しているか否かを判断する。そして、CPU101は、カード挿入信号を受信していると判断すると、スマートICを利用可能なインターチェンジとして推奨経路を演算する。この場合、CPU101は、経路探索用データに含まれているスマートIC情報を読み込み、利用可能な時間帯、車種、出入方向などを加味して推奨経路を演算する。なお、現在の時刻は、GPSセンサ11cから得られる日時に関する情報から取得し、スマートICの通過予想時刻は、公知の所要時間算出方法によって算出する。自車両の車種はあらかじめ入力されて、メモリ102に記憶されているものとする。そして、算出された推奨経路を表示モニタ14に表示させて経路誘導を開始する。
【0018】
経路探索を行う際に、I/F110を介して接続されたETC車載機20から、カード挿入信号を受信していないと判断すると、CPU101は、スマートICを利用できないものとして推奨経路を演算する。そして、算出された推奨経路を表示モニタ14に表示させて経路誘導を開始する。ETC車載機20が接続されていなかった場合も同様に、CPU101は、スマートICを利用できないものとして推奨経路を演算する。そして、算出された推奨経路を表示モニタ14に表示させて経路誘導を開始する。なお、CPU101は、I/F110へのETC車載機20の接続状態を監視することで、ETC車載機20の接続の有無を判断する。
【0019】
しかし、ETCカード21の未挿入のために、スマートICを利用しない推奨経路に基づく経路誘導が開始された後であっても、有料道路に進入する前にETC車載機20にETCカード21が挿入されれば、スマートICが利用可能となる。そのため、スマートICを利用しない推奨経路に基づく経路誘導が開始された後であっても、有料道路に進入する前にETC車載機20にETCカード21が挿入されれば、スマートICを加味して推奨経路が再探索されることが望ましい。
【0020】
そこで、本実施の形態のカーナビゲーション装置1では、ETCカード21の未挿入のために、スマートICを利用しない推奨経路に基づく経路誘導が開始された後であっても、次の条件が満たされるとスマートICを加味した推奨経路を再探索する。
(1) ETC車載機20にETCカード21が挿入されて、車両側でETCシステムが利用可能な状態となっていること。
(2) 上記(1)の条件を満たしているときに、料金所アンテナから送信された入口情報をETC車載機20で取得したこと。
【0021】
すなわち、CPU101は、ETC車載機20から送信されたカード挿入信号を受信した後に、ETC車載機20から送信された取得情報に入口情報が含まれていることを検出すると、スマートICを加味して推奨経路の再探索を開始する。推奨経路の再探索に際して、CPU101は、すでに行われている、スマートICを利用しない推奨経路に基づく経路誘導に影響を与えないようにバックグラウンドで再探索を行う。
【0022】
なお、CPU101は、ETC車載機20から送信された取得情報に入口情報が含まれていることを検出した後に、ETC車載機20から送信されたカード挿入信号を受信しても、スマートICを加味した推奨経路の再探索を行わない。この場合には、出口料金所でETCシステムを利用した料金の支払いができないので、スマートICを利用できないからである。
【0023】
CPU101は、スマートICを加味した推奨経路を算出すると、スマートICを利用しない推奨経路と、新たに算出したスマートICを加味した推奨経路とを比較し、自車位置から先のそれぞれの推奨経路が異なるか否かを判断する。自車位置から先のそれぞれの推奨経路が同じであれば、CPU101は、スマートICを利用しない推奨経路に基づく経路誘導を継続する。この場合、推奨経路の再探索の前後で表示モニタ14の表示内容に変化はなく、スマートICを利用しない推奨経路に基づく経路誘導画面が継続して表示される。
【0024】
スマートICを利用しない推奨経路と、新たに算出したスマートICを加味した推奨経路とを比較した結果、自車位置から先のそれぞれの推奨経路が異なっていれば、CPU101は、図2に示すように、スマートICを利用しない推奨経路と、新たに算出したスマートICを加味した推奨経路とを表示モニタ14に2画面表示する。図2では、経路誘導中のスマートICを利用しない推奨経路141(図示太線)を表示モニタ14の左側に表示し、新たに算出したスマートICを加味した推奨経路142(図示太線)を表示モニタ14の右側に表示した場合の一例を示している。143は車両の現在位置(自車位置)を示すカーマークであり、144はスマートIC147の近くに存在する目的地である。図2では、有料道路を走行している車両前方の△△インターチェンジ145の手前に○○サービスエリア146が存在しており、○○サービスエリア146にスマートIC147が設置されている例を示している。
【0025】
CPU101は、2つの推奨経路141,142の比較画面を表示させる際に、新たに算出した推奨経路142に基づいて経路誘導を行うか否かを問い合わせる表示151と、タッチパネルスイッチ152,153とを表示モニタ14に表示させる。その際、ドライバーの判断の一助となるように、2つの推奨経路141,142について、それぞれの推奨経路を走行した際の、目的地への到着予定時刻や、走行距離、有料道路料金など示す表示154a,154bを表示モニタ14に比較可能に表示させるようにしてもよい。
【0026】
推奨経路変更を許可するタッチパネルスイッチ152が押圧されると、CPU101は、表示モニタ14の表示画面を再探索後の推奨経路142による経路誘導画面に切り替える。そして、CPU101は、再探索後の推奨経路142に基づく経路誘導を開始する。推奨経路変更を拒否するタッチパネルスイッチ153が押圧されると、CPU101は、表示モニタ14の表示画面を再探索前の推奨経路141による経路誘導画面に切り替える。そして、CPU101は、再探索前の推奨経路141に基づく経路誘導を継続する。
【0027】
−−−フローチャート−−−
図3は、経路探索処理の動作を示したフローチャートである。車両の不図示のイグニッションキーによりアクセサリスイッチがオン(ACC ON)されると、図3に示す処理を行うプログラムが起動されてCPU101で実行される。ステップS1において、車両の現在位置を検出し、車両位置周囲の地図とともに自車位置マーク143を表示モニタ14に表示してステップS3へ進む。ステップS3において、スイッチ15の操作によって目的地が入力されて設定されるまで待機する。
【0028】
ステップS3が肯定判断されるとステップS4へ進み、ETC車載機20がI/F110に接続されているか否かを判断する。ステップS4が肯定判断されるとステップS5へ進み、ETC車載機20にETCカード21が挿入されているか否か、すなわち、ETC車載機20からカード挿入信号を受信しているか否かを判断する。
【0029】
ステップS5が肯定判断されるとステップS7へ進み、スマートICを利用可能なインターチェンジとして、上述したように推奨経路を演算してステップS9へ進む。ステップS9において、ステップS7で算出した推奨経路に基づいて経路誘導を開始してステップS11へ進む。ステップS11において、経路誘導が終了するまで待機する。ステップS11が肯定判断されるとリターンする。
【0030】
ステップS4が否定判断されるか、ステップS5が否定判断されるとステップS17へ進み、スマートICを利用できないものとして推奨経路を演算してステップS19へ進む。ステップS19において、ステップS17で算出した推奨経路に基づいて経路誘導を開始してステップS25へ進む。ステップS25において、ETC車載機20からカード挿入信号を受信しているか否かを判断する。
【0031】
ステップS25が肯定判断されるとステップS33へ進み、カード挿入信号を受信した後に、入口情報が含まれた取得情報をETC車載機20から受信したか否かを判断する。ステップS33が肯定判断されるとステップS37へ進み、車両の現在位置を検出し、上述したようにスマートICを加味して推奨経路を再探索(再演算)してステップS38へ進む。ステップS38において、ステップS37で算出した推奨経路と、ステップS17で算出した推奨経路とを比較し、自車位置から先のそれぞれの推奨経路が異なるか否かを判断する。
【0032】
ステップS38が肯定判断されるとステップS39へ進み、上述した図2に示すように、スマートICを利用しない再探索前の推奨経路141と、新たに算出したスマートICを加味した再探索後の推奨経路142とを表示モニタ14に2画面表示させてステップS41へ進む。ステップS41において、表示モニタ14に表示させたタッチパネルスイッチ152,153のいずれかが選択されて押圧されるまで待機する。
【0033】
ステップS41が肯定判断されるとステップS43へ進み、新たに算出したスマートICを加味した推奨経路142が選択されたか否か、すなわち、推奨経路変更を許可するタッチパネルスイッチ152が押圧されたか否かを判断する。ステップS43が肯定判断されるとステップS47へ進み、ステップS37で算出した、スマートICを加味した推奨経路による経路誘導を開始してステップS51へ進む。ステップS51において、経路誘導が終了するまで待機する。ステップS51が肯定判断されるとリターンする。
【0034】
ステップS43が否定判断されるか、ステップS38が否定判断されるとステップS57へ進む。ステップS57において、すでに経路誘導が行われている、スマートICを利用しない推奨経路に基づく経路誘導を継続するよう各部を制御してステップS61へ進む。ステップS61において、経路誘導が終了するまで待機する。ステップS61が肯定判断されるとリターンする。
【0035】
ステップS33が否定判断されるか、ステップS25が否定判断されるとステップS31に進み、経路誘導が終了したか否かを判断する。ステップS31が否定判断されるとステップS25へ戻る。ステップS31が肯定判断されるとリターンする。
【0036】
上述したカーナビゲーション装置1では、次の作用効果を奏する。
(1) 従来のカーナビゲーション装置では、たとえばスマートICの近傍の目的地であっても、スマートICで有料道路を降りる最適な経路が演算されず、スマートICの手前もしくは先の従来のインターチェンジで有料道路を降りる推奨経路が演算されていた。これに対して、本実施の形態のカーナビゲーション装置1では、経路探索用データに含まれるスマートICに関する情報を利用して、スマートICを加味した推奨経路を探索できるように構成した。これにより、たとえばスマートICの近くに目的地が存在する場合には、最寄りの出口であるスマートICで有料道路を降りる最適な経路が演算されるようになる。したがって、スマートICを加味した経路探索を行えない従来のカーナビゲーション装置と比較して、より適した推奨経路を提示でき、利便性が高い。
【0037】
(2) カーナビゲーション装置1にETC車載機20が接続されていない場合や、ETC車載機20が接続されていてもETC車載機20からカード挿入信号を受信していない場合には、スマートICを利用できないものとして推奨経路を演算するように構成した。これにより、車両側でETCシステムが利用できない状態にあるときには、ETCシステムの利用が前提となるスマートICが推奨経路に含まれないようになるので、利用できないスマートICを通過させるような誤った経路誘導を防止でき、利便性が高い。
【0038】
(3) スマートICを利用しない推奨経路に基づく経路誘導が開始された後であっても、ETC車載機20から送信されたカード挿入信号を受信した後に、ETC車載機20から送信された取得情報に入口情報が含まれていることを検出すると、スマートICを加味した推奨経路を再探索するように構成した。これにより、スマートICを利用しない推奨経路に基づく経路誘導が開始された後であっても、ETCシステムの利用が可能となり、かつ、有料道路に進入した際には、スマートICを加味した推奨経路が探索される。したがって、ユーザがETCカード21をETC車載機20に挿入すれば、再探索(リルート)の指示を行わなくてもよいので、操作の簡便化が図られるとともに、車両側のETCシステムの利用の可否の状態を反映させた最適な経路を演算して提示できる。特に、たとえばスマートICの近くに目的地が存在する場合には、最寄りの出口となるスマートICで有料道路を降りる最適な経路が自動的に演算されるので、効果的である。
【0039】
(4) ETC車載機20から送信された取得情報に入口情報が含まれていることを検出した後に、ETC車載機20から送信されたカード挿入信号を受信してもスマートICを加味して推奨経路の再探索を行わないように構成した。すなわち、出口料金所でETCシステムを利用した料金の支払いができず、スマートICを利用できない状態にあるときには、スマートICが推奨経路に含まれないので、誤った経路誘導を防止でき、利便性が高い。
【0040】
(5) スマートICを加味して推奨経路の再探索を行う場合、経路誘導に影響を与えないように、バックグラウンドで再探索を行うように構成した。これにより、経路誘導が中断されてユーザに違和感を与えることを防止できる。
【0041】
(6) スマートICを利用しない推奨経路と、新たに算出したスマートICを加味した推奨経路とを表示モニタ14に2画面表示をするように構成した。これにより、新たに算出したスマートICを加味した推奨経路の妥当性を判断し易くなる。
【0042】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、スマートICを加味した推奨経路を算出すると、スマートICを利用しない推奨経路と、新たに算出したスマートICを加味した推奨経路とを比較した。そして、自車位置から先のそれぞれの推奨経路が異なっていれば、スマートICを利用しない推奨経路と、新たに算出したスマートICを加味した推奨経路とを表示モニタ14に2画面表示をするように構成した。しかし、本発明はこれに限定されない。たとえば、図4に示すように、すでに行われている経路誘導画面に、スマートICが利用できる旨および新たな推奨経路の表示の可否を問う表示161と、タッチパネルスイッチ162,163とを表示モニタ14に表示させるように構成してもよい。
【0043】
そして、新たな推奨経路を表示させるためのタッチパネルスイッチ162が押圧されると、図2に示すように、スマートICを利用しない推奨経路と、新たに算出したスマートICを加味した推奨経路とを表示モニタ14に2画面表示をするようにしてもよい。また、新たな推奨経路を表示させるためのタッチパネルスイッチ162が押圧されると、それまで表示していた経路誘導画面に代えて、図5に示すように、新たに算出したスマートICを加味した推奨経路を表示モニタ14に表示をするようにしてもよい。この場合、図2の場合と同様に、新たに算出した推奨経路142に基づいて経路誘導を行うか否かを問い合わせる表示151と、タッチパネルスイッチ152,153とを表示モニタ14に表示させてもよい。目的地への到着予定時刻や、走行距離、有料道路料金など示す表示154bを表示モニタ14に表示させてもよい。タッチパネルスイッチ152,153が押圧された後のカーナビゲーション装置1の動作は、上述の説明と同様である。
【0044】
(2) 上述の説明では特に言及していないが、スマートICを利用する推奨経路が探索された際には、図2,4に示す表示画面上に、スマートICが新たに設置された旨を案内する表示を行うようにしてもよい。
【0045】
(3) 上述の説明では、カード挿入信号は、ETC車載機20にETCカード21が挿入されて、ETC車載機20がETCシステムを利用可能となった段階で送信されるように構成されているが、本発明はこれに限定されない。たとえばETCカード21に代えて、携帯電話機や非接触式のカードなどによる決済方式を採用したカードや携帯電話機などの媒体を用いることでもよく、ETC車載機20がETCシステムを利用可能となった段階でカード挿入信号が送信されればよい。
(4) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0046】
以上の実施の形態およびその変形例において、たとえば、カード挿入判定手段および車載機側判定手段は、I/F110、CPU101、および、CPU101で実行されるメモリ102に格納された制御プログラムによって実現される。有料道路進入検出手段、推奨経路探索手段、再探索指示手段および表示制御手段は、CPU101、および、CPU101で実行されるメモリ102に格納された制御プログラムによって実現される。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係になんら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施の形態のカーナビゲーション装置の全体構成を示す図である。
【図2】スマートICを利用しない推奨経路と、新たに算出したスマートICを加味した推奨経路とを表示モニタ14に2画面表示した状態を示す図である。
【図3】経路探索処理の動作を示したフローチャートである。
【図4】変形例を示す図である。
【図5】変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 カーナビゲーション装置 14 表示モニタ
20 ETC車載機 21 ETCカード
100 制御装置 101 CPU
102 メモリ 109 地図記憶装置
110 インターフェース(I/F)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路自動料金収受システム(ETCシステム)で利用するETCカードがETC車載機に挿入されているか否かを判断するカード挿入判定手段と、
車両が有料道路に進入したことを検出する有料道路進入検出手段と、
推奨経路を探索する推奨経路探索手段と、
前記カード挿入判定手段で前記ETCカードが前記ETC車載機に挿入されていることが検出されているときに、前記有料道路進入検出手段で前記車両が有料道路に進入したことが検出されると、前記推奨経路探索手段に対してETC専用インターチェンジを加味した推奨経路を再探索させる再探索指示手段とを備えることを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカーナビゲーション装置において、
ETC専用インターチェンジを加味しない推奨経路に基づいて経路誘導が行われている場合には、前記推奨経路探索手段は、前記再探索指示手段からETC専用インターチェンジを加味した推奨経路を再探索するように指示されると、すでに行われているETC専用インターチェンジを加味しない推奨経路に基づく経路誘導を中断することなく、ETC専用インターチェンジを加味した推奨経路を再探索することを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカーナビゲーション装置において、
前記推奨経路探索手段で探索された前記ETC専用インターチェンジを加味しない推奨経路、および、前記ETC専用インターチェンジを加味した推奨経路を比較可能に表示モニタに表示させる表示制御手段をさらに備えることを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項4】
有料道路自動料金収受システム(ETCシステム)で利用する車載機が、ETCシステムを利用可能な状態であるか否かを判断する車載機側判定手段と、
車両が有料道路に進入したことを検出する有料道路進入検出手段と、
推奨経路を探索する推奨経路探索手段と、
前記車載機側判定手段で前記車載機が前記ETCシステムを利用可能な状態であると判定されているときに、前記有料道路進入検出手段で前記車両が有料道路に進入したことが検出されると、前記推奨経路探索手段に対してETC専用インターチェンジを加味した推奨経路を再探索させる再探索指示手段とを備えることを特徴とするカーナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−196857(P2008−196857A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29178(P2007−29178)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】