説明

カーナビゲーション装置

【課題】路側放送の音声出力を適切に開始させることのできるカーナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】カーナビ装置10では、路側放送を受信することのできる路側放送区間の開始地点及び終了地点を含む地図情報が記憶保持部107に記憶保持されている。また、カーナビ装置10では、上記路側放送の受信条件として、自車両の現在地及び上記路側放送区間情報を用いた自動受信条件の成立をもって上記路側放送の音声出力が開始される「全自動切替モード」及び「条件付自動切換モード」、並びに、オーディオ機器20への操作である手動受信条件の成立をもって上記路側放送の音声出力が開始される「手動切替モード」を用意がされる。そして、これら3つのモードの中から操作部106への手動操作によって選択されたモードにて、上記路側放送の音声出力が開始される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路側放送を受信することができるオーディオ機器とともに自車両に搭載されるカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この文献に記載の技術では、自車両はカーナビゲーション装置及びラジオ受信機を備える。カーナビゲーション装置は、自車両の現在地を検出するGPS受信器及び地図情報が記録されたCD−ROMを読み出すCD−ROMデッキを有しており、自車両の現在地及び地図情報を表示部に表示して経路案内を行う。また、カーナビゲーション装置は、局地的な路側放送が行われている地点を地図情報に対応してマーク地点として登録するマーク地点登録手段、その登録されたマーク地点の所定範囲内に自車両が到達したことを検出する到達検出手段、及び、この到達検出手段によって、マーク地点の所定範囲内に自車両が到達したことが検出されると、ラジオ受信機を路側放送が受信するように制御する受信制御手段を有する。これにより、当該装置の使用者は、ラジオ受信機の操作に係る負担が低減されるとともに、路側放送の開始標識を見落としても路側放送を聞くことができるようになる。なお、一般に、路側放送は、交通情報及び気象情報からなる情報専門の音声放送である。
【特許文献1】特開平9−161195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術では、ラジオ受信機の操作に係る使用者の負担を低減することが図られている。しかしながら、路側放送が行われている地点を地図情報に対応してマーク地点として予め登録する必要があり、また、マーク地点から一定距離内に自車両が到達したことを検出することだけで路側放送の受信を開始する。
【0004】
しかしながら、建物等に起因する電波の減衰、遮蔽を考慮すると、マーク地点から一定範囲内で常に路側放送の受信状態が良好であるとは限らない。そのため、上記従来技術では、放送信号の信号強度が低い地点で路側放送の受信を開始してしまうこともある。その場合、路側放送には雑音が多く含まれてしまう。
【0005】
また、マーク地点から一定距離に到達する前に、路側放送が受信可能な道路区間となってしまうこともある。この場合、自車両が路側放送の開始標識を通過しても、路側放送の受信が開始されない事態が生じる。このとき、路側放送の受信開始が遅れて受信可能な距離が短くなってしまったり、上記開始標識を通過したことを自車両の搭乗者が認識した場合にあっては、路側放送の受信が開始されないため、搭乗者の不安を招いたりすることもある。
【0006】
さらに、路側放送が高速道路用のものである場合、従来技術では、高速道路上にマーク地点を設定し、その高速道路上のマーク地点から一定距離内を路側放送の受信範囲とすることになる。この場合、受信範囲には一般道路も存在してしまうので、一般道路を走行中にも高速道路用の路側放送の受信を開始してしまうことになる。これを回避するために、一般道路を走行中であればマーク地点から一定距離内であっても路側放送の受信を開始しないロジックを入れることも考えられるが、処理が複雑となってしまう。
【0007】
またさらに、上記従来技術では、放送信号の信号強度が判定値以下であると判定されたことに基づいて路側放送の受信を終了する。この終了判定を実行する判定回路をカーナビゲーション装置に備える必要があり、当該装置のコストアップを招く要因となる。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、路側放送を適切に受信できるカーナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、路側放送を受信することができるオーディオ機器とともに自車両に搭載され、自車両の現在地及び地図情報を用いて目的地への経路案内を行うカーナビゲーション装置であって、前記地図情報には、前記路側放送を受信することのできる受信可能道路区間に関する情報である受信可能道路区間情報が含まれており、自車両の現在地及び前記受信可能道路区間情報を用いた自動受信条件が成立したことに基づいて、前記オーディオ機器に前記路側放送を受信させることを特徴とする。
【0010】
上記構成では、自動受信条件を、自車両の現在地及び受信可能道路区間情報を用いた条件としており、その受信可能道路区間情報は路側放送を実際に受信することができる道路区間を示している。そのため受信可能道路区間に入ったにもかかわらず、建物等が電波障害となって路側放送に雑音が多く含まれてしまうという事態は生じにくい。また、受信可能範囲を道路区間として記憶しているので、路側に設置される開始標識と受信可能道路区間の開始位置とが対応することになるため、自車両が路側放送の開始標識を通過しても、路側放送の受信が開始されない事態が生じない。また、受信可能範囲を道路区間として記憶しているので、一般道路を走行中に高速道路用の路側放送の受信を開始してしまうことも防止できる。このように、路側放送を適切に受信できるようになる。
【0011】
ところで、路側放送の自動受信条件に対し、車両の運転者から様々な要望が出されている。詳しくは、車両の運転者には、路側放送を常時自動で全て聞きたいと考える者もいれば、路側放送を常時自動で全て聞きたいわけではなく、自車両の現在地から目的地までの経路に関する路側放送だけ自動で聞きたいと考える者もいる。他にも、上記オーディオ機器を手動で全て操作したいと考える者もいる。
【0012】
その点、上記請求項1に記載の構成において、例えば請求項2に記載の発明のように、前記自動受信条件の他に、手動受信条件が用意されており、自車両の運転者がそのいずれかの受信条件を選択できるようになっていることが望ましい。これにより、車両の運転者は、手動受信条件を選択することにより、自分が望むときに路側放送を受信できる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、前記自動受信条件として、自車両の現在地から目的地までの経路上に渋滞が発生した場合に、その渋滞発生地点よりも前記経路上で自車両側に位置する受信可能道路区間の開始地点を自車両が通過したことが含まれることとした。これにより、カーナビゲーション装置は、自車両の現在地から目的地までの経路上に渋滞が発生した場合であって、その渋滞発生地点よりも経路上で自車両側に位置する受信可能道路区間の開始地点を自車両が通過するとき、オーディオ機器に路側放送を受信させるようになる。したがって、上記自車両の現在地から目的地までの経路において自車両の前方に存在する渋滞に関する路側放送だけ自動で聞きたい者の要望に対応することができるようになる。
【0014】
同様に、請求項4に記載の発明では、前記自動受信条件として、自車両が渋滞に巻き込まれたと判断されたとき、自車両の現在地から目的地までの経路上に位置する受信可能道路区間のうち、その判断時に自車両に直近の受信可能道路区間の開始地点を自車両が通過したことが含まれることとした。これにより、カーナビゲーション装置は、自車両が渋滞に巻き込まれたと判断された場合であって、自車両の現在地から目的地までの経路上に位置する受信可能道路区間のうち、その判断時に自車両に直近の受信可能道路区間の開始地点を通過したとき、オーディオ機器に上記路側放送を受信させるようになる。したがって、実際に渋滞に巻き込まれたときにだけ路側放送を自動で聞きたい者の要望に対応することができるようになる。
【0015】
また請求項5に記載の発明では、前記自動受信条件として、自車両の現在地から目的地までの経路上にある全ての受信可能道路区間において、自車両が各開始地点を通過したことが含まれることとした。これにより、カーナビゲーション装置は、自車両の現在地から目的地までの経路上にある全ての受信可能道路区間において、自車両が各開始地点を通過したとき、オーディオ機器に上記路側放送を受信させるようになる。したがって、上記路側放送を常時自動で全て聞きたいと考える者の要望に対応することができるようになる。
【0016】
ところで、路側放送は同一内容を繰り返すため、自車両の運転者は、放送内容を把握した後、路側放送の受信を途中で終了させて、他の放送を聞いたり、楽曲を聴いたりしたい場合もある。その点、請求項6に記載の発明のように、前記路側放送以外の音声情報の出力の実行が自車両の運転者によって指示されたときは、自車両の運転者によって指示された音声情報の出力を実行することが望ましい。これにより、オーディオ機器に路側放送を受信させている途中であっても、路側放送の受信を強制的に終了させ、他の音声情報を出力させることができるようになる。
【0017】
一般に、カーナビゲーション装置では、自車両の現在地及び地図情報が表示部に表示され、自車両の搭乗者が視認可能になっている。そのため、請求項7に記載の発明のように、自車両の現在地及び地図情報とともに、前記受信可能道路区間を表示部に表示することとすれば、自車両の搭乗者は、上記受信可能道路区間についても、表示部によって視認することができるようになる。さらに、請求項8に記載の発明のように、前記受信可能道路区間を表示部に表示するとき、自車両の現在地から目的地までの経路上にある受信可能道路区間のうち、その表示時に自車両に直近の受信可能道路区間について、自車両の現在地からその受信可能道路区間の開始地点までの残りの距離を前記表示部に表示することとしてもよい。またさらに、請求項9に記載の発明のように、前記残りの距離を音声案内させることとしてもよい。これら請求項7〜9に記載の構成では、当該カーナビゲーション装置は、自車両の搭乗者に対しきめ細かなサービスを提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係るカーナビゲーション装置の一実施の形態について、図1〜図5を参照しつつ説明する。ここで、図1(a)は、本実施の形態の構成を示すブロック図であり、図1(b)は、本実施の形態が搭載される自車両(図示略)に搭載されるオーディオ機器の構成を示すブロック図である。はじめに、これら図1(a)及び(b)を参照して、本実施の形態の構成について説明する。
【0019】
本実施の形態では、自車両は、カーナビゲーション装置(図1(a)参照)及びオーディオ機器(図1(b)参照)を備える。
【0020】
図1(a)に示されるように、カーナビゲーション装置(カーナビ装置とも記載)10は、GPSアンテナ101、VICS(VICS:Vehicle Information andCommunication System)情報受信器102、G−BOOK通信器103、自車両の速度を検出する車速センサ104、自車両の角速度を検出する角速度センサ105、例えば目的地を入力する等の当該カーナビ装置10を操作するための操作部106、及び、例えばハードディスクドライブ等、地図情報を記憶保持する記憶保持部107を備える。なお、「VICS」及び「G−BOOK」は登録商標である。
【0021】
このうち、GPSアンテナ101は、図示しないGPS衛星から自車両の現在地を受信し、ナビ制御部108に自車両の現在地を出力する。VICS情報受信器102は、VICS−FM放送局からFM放送波を利用して放送されるFM多重放送を受信したり、高速道路に設置される電波ビーコンから高速道路の交通情報(渋滞情報、規制情報、緊急情報)を受信したり、一般道路に設置される光ビーコンから一般道路の交通情報を受信したりし、受信した交通情報をナビ制御部108に出力する。なお、この受信可能な交通情報は、ナビ制御部108がこの交通情報を文字や図形にて表示部109に表示するに適した情報となっている。また、G−BOOK通信器103は、G−BOOKセンターと携帯電話回線を介して通信接続し、このG−BOOKセンターから交通情報を取得する。そして、G−BOOK通信器103は、受信した交通情報をナビ制御部108に出力する。なお、この受信可能な交通情報も、ナビ制御部108がこの交通情報を文字や図形にて表示部109に表示するに適した情報となっている。
【0022】
ナビ制御部108は、上記GPSアンテナ101にて受信した自車両の現在地及び記憶保持部107に記憶保持された地図情報を用いて目的地への経路案内を行なう。この際、ナビ制御部108は、上記交通情報に基づいて経路を計算したり、上記自車両の速度及び角速度に基づいてマップマッチングしたりする。そして、ナビ制御部108は、自車両の現在地及び地図情報を表示部109に表示するとともに、スピーカ110を用いて目的地への経路を音声にて案内する。
【0023】
一方、図1(b)に示されるように、オーディオ機器20は、AMアンテナ201a及びAMラジオ部201b、FMアンテナ202a及びFMラジオ部202b、TVアンテナ203a及びTV受信部203b、各種アンテナ204a及び各種受信部204b、再生部205、並びに、信号切替部206を備える。
【0024】
AMラジオ部201bは、AMアンテナ201aを用いてAM放送(音声放送)を受信し、その受信した音声情報を信号切替部206に出力する。同様に、FMラジオ部202bは、FMアンテナ202aを用いてFM放送(音声放送)を受信し、その受信した音声情報を信号切替部206に出力する。また同様に、TV受信部203bは、TVアンテナ203aを用いてTV放送(音声及び映像放送)を受信し、その受信した音声情報を信号切替部206に出力する。他にも、各種アンテナ204a及び各種受信部204bとしてそれぞれ単一のブロックにて図示しているが、各種受信部204bは、各種アンテナ204aを用いて音声情報を受信し、その受信した音声情報を信号切替部206に出力する。なお、各種受信部204bは、例えば無線LANやBlueToothによって音声情報を受信する。また、再生部205は、例えばカセットテープ、CD及びMD等の音楽メディアを再生し、その再生した音声情報を信号切替部206に出力する。
【0025】
また、オーディオ機器20は、操作部207、オーディオ制御部208及びスピーカ209を備える。
【0026】
このうち、操作部207には、自車両の搭乗者(オーディオ機器20の使用者)によってオーディオ機器20(詳しくはオーディオ制御部208)に対する指示が手動にて与えられる。詳しくは、自車両の搭乗者は、操作部207を手動操作することで、上記AMラジオ部201b〜各種受信部204b及び再生部205のうちどの音源の音声情報をスピーカ209から出力させるかについて、オーディオ制御部208に指示を与える。自車両の搭乗者は、AMラジオ部201b〜各種受信部204bのいずれかを音源として選択する場合、さらに操作部207を手動操作することで、その選択した音源が受信可能なチャンネルの中からいずれのチャンネルを聞くかについて、オーディオ制御部208に指示を与える。なお、こうしたチャンネルには、路側放送が含まれており、この路側放送は例えばAMラジオ「1620kHz」で放送される、また、この路側放送は特定の道路区間でのみ受信することができ、放送内容は、その路側放送が受信可能な特定の道路区間の交通情報や気象情報である。また、自車両の搭乗者は、再生部205を音源として選択する場合、さらに操作部207を手動操作することで、その選択した音源が再生可能な楽曲の中からいずれの楽曲を聴くかについて、オーディオ制御部208に指示を与える。
【0027】
オーディオ制御部208は、上記操作部207を通じて指示が与えられると、この与えられた指示に従って、上記音源及び信号切替部206を制御する。具体的には、オーディオ制御部208は、AMラジオ部201b〜各種受信部204bのいずれかが音源として選択された場合、選択された音源に対し、チャンネルを設定させるとともに、信号切替部206に対し、選択された音源の音声情報がスピーカ209から出力されるように信号を切替させる。
【0028】
ところで、上記VICS情報受信器102及びG−BOOK通信器103によって受信される交通情報は、カーナビ装置10の表示部109上に表示されるため、例えば渋滞の発生場所やその渋滞の程度、交通規制の実施場所等について、自車両の搭乗者は容易に確認することができる。ただし、例えば発生した渋滞が交通集中に起因するものなのか、あるいは、事故に起因するものなのか、事故に起因して渋滞が発生した場合にはその事故はどの程度のものなのか等々、発生した渋滞及び実施されている交通規制の詳細について知ることは難しい場合もある。
【0029】
一方、上記路側放送は、普及率の高いAMラジオ部201bによって受信することができ、かつ、上記VICS情報受信器102及びG−BOOK通信器103によって受信される交通情報よりも詳細な交通情報及び気象情報を受信することができる可能性がある。さらに、受信した詳細な交通情報及び気象情報を音声情報として出力するため、自車両の運転者が表示部109を視認する必要はなく交通安全に寄与する。
【0030】
ただし、車両の運転者には、路側放送を常時自動で全て聞きたいと考える者もいれば、路側放送を常時自動で全て聞きたいわけではなく、自車両の現在地から目的地までの経路に関する路側放送だけ自動で聞きたいと考える者もおり、他にも、路側放送を手動操作で聞きたいと考える者もいる。このように、路側放送の受信条件に対して、車両の運転者から様々な要望が出されている。
【0031】
そこで、本実施の形態では、カーナビ装置10の記憶保持部107に記憶保持される地図情報に、路側放送を受信することができる道路区間を示す路側放送区間に関する情報(以下、路側放送区間情報という)が含まれている。そして、自車両の現在地及び路側放送区間情報を用いた自動受信条件の成立をもって上記路側放送の受信を行う「全自動切替モード」及び「条件付自動切換モード」、並びに、オーディオ機器20(詳しくは操作部207)への操作である手動受信条件の成立をもって上記路側放送の受信を行う「手動切替モード」を用意し、操作部106への手動操作によってこれら3つのモードの中から選択されたモードにて上記路側放送の受信を行なうこととした。なお、上記路側放送区間情報は請求項の受信可能道路区間情報に相当するものである。
【0032】
具体的には、カーナビ装置10は、先の図1(a)に示すように、オーディオ機器20(詳しくは通信処理部211)に制御指令を送信するための通信処理部111を備えるとともに、オーディオ機器20は、先の図1(b)に示すように、カーナビ装置10(詳しくは通信処理部111)から送信される制御指令を受信するための通信処理部211を備える。ナビ制御部108は、これら通信処理部111及び211を通じて、オーディオ機器20に路側放送の受信を開始あるいは停止させることができるようになる。なお、これら通信処理部111及び211間における通信は、無線による通信であっても、有線による通信であってもよい。
【0033】
上記「全自動切替モード」が選択されている場合、ナビ制御部108は次のようにしてオーディオ機器20に路側放送を受信させる。すなわち、ナビ制御部108は、自車両の現在地から目的地までの経路上にある全ての路側放送区間において、自車両が各開始地点を通過したと判断するとき、オーディオ機器20に路側放送の受信を開始させる一方、自車両が各終了地点を通過したと判断するとき、オーディオ機器20に路側放送の受信を終了させる。これにより、路側放送を常時自動で全て聞きたいと考える運転者の要望に対応することができるようになる。
【0034】
上記「条件付自動切替モード」が選択されている場合、ナビ制御部108は次のようにしてオーディオ機器20に路側放送を受信させる。すなわち、ナビ制御部108は、上記VICS情報受信器102及びG−BOOK通信器103の少なくともいずれか一方を通じて自車両の現在地から目的地までの経路上に渋滞が発生したと判断し、その渋滞発生地点よりも経路上で自車両側に位置する路側放送区間の開始地点を自車両が通過すると判断するとき、オーディオ機器20に路側放送の受信を開始させる。そして、オーディオ機器20に路側放送の受信を開始させた後にあっては、ナビ制御部108は、その路側放送区間の終了地点を自車両が通過したと判断するとき、オーディオ機器20に路側放送の受信を終了させる。これにより、自車両の現在地から目的地までの経路に関する路側放送だけ自動で聞きたいと考える運転者の要望に対応することができるようになる。
【0035】
なお、上記「手動切替モード」が選択されている場合にあっては、ナビ制御部108は、上記「全自動切替モード」や上記「条件付切替モード」のようにオーディオ機器20の制御を行わない。自車両の搭乗者による操作部207の手動操作を受けて、オーディオ制御部208がオーディオ機器20を制御する。
【0036】
ナビ制御部108は、自車両の現在地及び地図情報だけでなく上記路側放送区間も表示部109に表示する。そして、ナビ制御部108は、上記路側放送区間を表示部109に表示するとき、自車両の現在地から目的地までの経路上にある路側放送区間のうち、その表示時に、自車両に直近の路側放送区間について、自車両の現在地からその路側放送区間の開始地点までの残りの距離も表示部109に表示する。さらに、ナビ制御部108は、スピーカ110を通じてこうした残りの距離を音声案内する。これにより、カーナビ装置10は、自車両の搭乗者に対してきめ細やかなサービスを提供することができるようになる。
【0037】
また、上記路側放送では同一内容の情報が繰り返し音声出力されるため、自車両の搭乗者は、放送内容を把握後、路側放送の受信を途中で終了させて、他の放送を聞いたり、楽曲を聴いたりしたい場合もある。そこで、本実施の形態では、自車両の搭乗者による操作部207の手動操作によって、例えば他の音源(AMラジオ部201b〜再生部205)から音声出力することが指示されたり、同一の音源(AMラジオ部201b)でも異なるチャンネルが選択されたりする等、上記路側放送以外の音声情報の出力の実行が指示されると、オーディオ制御部208は、スピーカ209から上記路側放送が音声出力されている途中であっても、指示された音源の音声出力をする、あるいは、異なるチャンネルの放送を音声出力する。
【0038】
図2に、カーナビ装置10の表示部109に表示される設定画面の一例を示す。この図2に示すように、本実施の形態では、上記路側放送の受信条件として、上記「全自動切替モード」、「条件付自動切換モード」及び「手動切替モード」から1つを選択することができ、VICS情報受信器102によって受信する交通情報を利用するか否か、及び、G−BOOK通信器103によって受信する交通情報を利用するか否かをそれぞれ選択することができる。VICS情報受信器102によって受信される交通情報、及び、G−BOOK通信器103によって受信される交通情報を双方とも利用しないことを選択すると、上記「条件付自動切換モード」を選択することができなくなる。既述したように、「条件付自動切換モード」が選択された場合、路側放送の受信開始を判断する際にこれら交通情報を利用するためである。
【0039】
また、図2に示すように、本実施の形態では、路側放送区間の表示をするか否か、路側放送区間までの距離(上記残りの距離)を表示するか否か、及び、路側放送区間までの距離(上記残りの距離)の音声案内をするか否かを選択することができる。
【0040】
以上のように構成されたカーナビ装置10の動作について、図3を参照して説明する。ここで、図3は、カーナビ装置10が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0041】
カーナビ装置10によって図3に示す処理がそれぞれ開始されると、まず、ナビ制御部108は、ステップS101の判断処理として、「全自動切替モード」が選択されているか否かを判断する。「全自動切替モード」が選択されていないとき(ステップS101の判断処理において「No」)、ナビ制御部108は、続くステップS102の判断処理として、「条件付切替モード」に選択されているか否かを判断する。ここでも、「条件付き切替モード」が選択されていないとき(ステップS102の判断処理において「No」)、「手動切替モード」が選択されているため、ナビ制御部108はオーディオ機器20の制御を行わない。そのため、この処理全体をそのまま終了する。
【0042】
また、先のステップS102の判断処理において、「条件付切替モード」が選択されていると判断するとき、自車両の搭乗者は、VICS情報受信器102によって受信される交通情報、及び、G−BOOK通信器103によって受信される交通情報の少なくとも一方を利用することを選択している。そのため、ナビ制御部108は、続くステップS103の判断処理として、自車両の現在地から目的地までの経路上に渋滞が発生しているか否かをこれら交通情報に基づき判断する。ここで、渋滞が発生していないと判断するとき(ステップS103の判断処理において「No」)、ナビ制御部108は、その渋滞発生地点よりも経路上で自車両側に位置する路側放送区間の開始地点を自車両が通過したとしても、オーディオ機器20に路側放送の音声出力を開始させないため、この処理全体をそのまま終了する。
【0043】
一方、渋滞が発生していると判断されるとき(ステップS103の判断処理において「Yes」)とは、自車両の搭乗者は、路側放送による詳細な交通情報を聞きたいと所望している場合である。あるいは、「全自動切替モード」が選択されていると判断されるときとは(ステップS101の判断処理において「Yes」)、自車両の搭乗者は、渋滞が発生したか否かに関わらず、路側放送による詳細な交通情報を全て聞きたいと所望している場合である。そこで、ナビ制御部108は、続くステップS104の判断処理を通じて、経路上の路側放送区間の開始地点に自車両が到達したか否かを繰り返し判断する。
【0044】
経路上の路側放送区間の開始地点に自車両が到達したと判断するとき(ステップS104の判断処理において「Yes」)、ナビ制御部108は、続くステップS105の処理として、AMラジオ部201b〜各種受信部204bのいずれが音源として選択されていたか、さらにいずれのチャンネルが選択されていたか、あるいは、再生部205が音源として選択されていた場合にはいずれの楽曲が選択されていたか等々、オーディオ機器20の状態を記憶保持部210に記憶保持させる。そして、ナビ制御部108は、続くステップS106の処理として、スピーカ209から路側放送を出力する。
【0045】
ナビ制御部108は、続くステップS107の判断処理及びステップS108の判断処理を通じて、路側放送区間の終了地点に自車両が到達すると判断される(ステップS107の判断処理において「No」)まで、あるいは、自車両が路側放送区間内にいても操作部207に対し手動操作があると判断される(ステップS108の判断処理において「Yes」)まで、スピーカ209から路側放送の出力を継続する。
【0046】
そして、路側放送区間の終了地点に自車両が到達すると判断される(上記ステップS107の判断処理において「No」)とき、そもそも自車両は路側放送の路側放送区間内にいないため、ナビ制御部108は、続くステップS109の処理として、オーディオ機器20を元の状態に戻す。また、自車両が路側放送区間内にいても操作部207に対し手動操作があると判断される(上記ステップS108の判断処理において「Yes」)とき、ナビ制御部108は、実行指示された他の音源情報を出力させる。
【0047】
図4に、路側放送区間の表示部109への表示例、及び、自車両の現在地から路側放送区間の開始地点までの残りの距離についての音声案内例を示す。なお、自車両は、一般道路と立体交差する高速道路を走行中であるものとする。
【0048】
この図4に示すように、自車両位置Aは路側放送区間の開始地点aの手前の位置である。そのため、ナビ制御部108は、自車両が自車両位置Aに到達すると、「あと○○mで路側放送区間の開始地点に到達します」と音声案内する。また、自車両位置Bは路側放送区間の開始地点aとほぼ同一の位置である。そのため、ナビ制御部108は、自車両が自車両位置Bに到達すると、「路側放送区間の開始地点です」と音声案内する。さらに、自車両位置Cは路側放送区間の終了地点bとほぼ同一の位置である。そのため、ナビ制御部108は、自車両が自車両位置Cに到達すると、「路側放送区間の終了地点です」と音声案内する。一方、図4に示すように、自車両位置Dは経路上の次の可能道路区間の開始地点まで距離がある。そのため、ナビ制御部108は、先の自車両位置Aのような音声案内を行わない。また、自車両位置F及び自車両位置Gも経路上の地点ではないため、音声案内を行わない。
【0049】
図5に、上記残りの距離の表示部109への表示例を示す。なお、自車両は、一般道路と立体交差する高速道路を走行中であるものとする。この図5に示すように、自車両位置Hは路側放送区間の開始地点aの手前の位置である。ここで、ナビ制御部108は、自車両が自車両位置Hであるとき、「路側放送区間の開始地点までの○○km」旨を表示部109に表示する。
【0050】
上記実施の形態のカーナビ装置10では、路側放送を受信することのできる路側放送区間の開始地点及び終了地点を含む地図情報が記憶保持部107に記憶保持されており、上記路側放送の受信条件として、「全自動切替モード」及び「条件付自動切換モード」並びに「手動切替モード」を用意がされ、これら3つのモードの中から操作部106への手動操作によって選択されたモードにて上記路側放送の受信が開始されることとした。これにより、上記路側放送区間内に自車両が位置するとき、オーディオ機器20は路側放送を良好に受信することができる。そして、こうした良好な受信状態が保証される路側放送区間情報及び自車両の現在地を用いた自動受信条件の成立をもって、オーディオ機器20に路側放送を受信させるため、路側放送を適切に受信することができるようになる。
【0051】
また、各モードの受信条件を予め定めておくため、車両の運転者の多様な要望に対応することができるようになる。
【0052】
なお、本発明に係るカーナビゲーション装置は、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変形して実施することが可能である。すなわち、上記実施の形態を適宜変更した例えば次の形態として実施することもできる。
【0053】
上記実施の形態では、「条件付自動切替モード」が選択されている場合、ナビ制御部108は、上記VICS情報受信器102及びG−BOOK通信器103の少なくともいずれか一方を通じて自車両の現在地から目的地までの経路上に渋滞が発生したと判断し、その渋滞発生地点よりも経路上で自車両側に位置する路側放送区間の開始地点を自車両が通過したと判断するとき、オーディオ機器20に路側放送の受信を開始させていたが、これに限らない。他に例えば、自車両が渋滞に巻き込まれたと判断された場合であって、自車両の現在地から目的地までの経路上に位置する路側放送区間のうち、その判断時に自車両に直近の路側放送区間の開始地点を自車両が通過したと判断するとき、オーディオ機器20に路側放送の受信を開始させてもよい。なお、自車両が渋滞に巻き込まれたか否かについては、一般道路を走行中の自車両の車速センサ104にて検出される速度が例えば「10km/h」以下である期間が所定期間を超えるとき、自車両が渋滞に巻き込まれたと判断してもよい。高速道路を走行中の自車両の車速センサ104にて検出される速度が例えば「50km/h」以下である期間が所定期間を超えるとき、自車両が渋滞に巻き込まれたと判断してもよい。これによっても、自車両の現在地から目的地までの経路に関する路側放送だけ自動で聞きたいと考える運転者の要望に対応することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)は、本発明に係るカーナビゲーション装置の一実施の形態について、その全体構成の一例を示すブロック図。(b)は、カーナビゲーション装置とともに自車両に搭載されるオーディオ機器について、全体構成の一例を示すブロック図。
【図2】上記実施の形態の表示部について、設定画面の一例を示す模式図。
【図3】上記実施の形態によって実行される処理の処理手順を示すフローチャート。
【図4】上記実施の形態において、路側放送区間の表示例、及び、自車両の現在地から路側放送区間の開始地点までの残りの距離の音声案内例を示す模式図。
【図5】上記実施の形態において、自車両の現在地から路側放送区間の開始地点までの残りの距離の表示例を示す模式図。
【符号の説明】
【0055】
10…カーナビゲーション装置、101…GPSアンテナ、102…VICS情報受信器、103…G−BOOK通信器、104…車速センサ、105…角速度センサ、106…操作部、107…記憶保持部、108…ナビ制御部、109…表示部、110…スピーカ(音声出力部)、111…通信処理部、20…オーディオ機器、201a…AMアンテナ、201b…AMラジオ部、202a…FMアンテナ、202b…FMラジオ部、203a…TVアンテナ、203b…TV受信部、204a…各種アンテナ、204b…各種受信部、205…再生部、206…信号切替部、207…操作部、208…オーディオ制御部、209…スピーカ(音声出力部)、210…記憶保持部、211…信号処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路側放送を受信することができるオーディオ機器とともに自車両に搭載され、自車両の現在地及び地図情報を用いて目的地への経路案内を行うカーナビゲーション装置であって、
前記地図情報には、前記路側放送を受信することのできる受信可能道路区間に関する情報である受信可能道路区間情報が含まれており、
自車両の現在地及び前記受信可能道路区間情報を用いた自動受信条件が成立したことに基づいて、前記オーディオ機器に前記路側放送を受信させることを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記自動受信条件の他に、手動受信条件が用意されており、自車両の運転者がそのいずれかの受信条件を選択できるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記自動受信条件として、自車両の現在地から目的地までの経路上に渋滞が発生した場合に、その渋滞発生地点よりも前記経路上で自車両側に位置する受信可能道路区間の開始地点を自車両が通過したことが含まれることを特徴とする請求項1または2に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記自動受信条件として、自車両が渋滞に巻き込まれたと判断されたとき、自車両の現在地から目的地までの経路上に位置する受信可能道路区間のうち、その判断時に自車両に直近の受信可能道路区間の開始地点を自車両が通過したことが含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
前記自動受信条件として、自車両の現在地から目的地までの経路上にある全ての受信可能道路区間において、自車両が各開始地点を通過したことが含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項6】
前記路側放送以外の音声情報の出力の実行が自車両の運転者によって指示されたときは、自車両の運転者によって指示された音声情報の出力を実行することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項7】
自車両の現在地及び地図情報とともに、前記受信可能道路区間を表示部に表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項8】
前記受信可能道路区間を表示部に表示するとき、自車両の現在地から目的地までの経路上にある受信可能道路区間のうち、その表示時に自車両に直近の受信可能道路区間について、自車両の現在地からその受信可能道路区間の開始地点までの残りの距離を前記表示部に表示することを特徴とする請求項7に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項9】
前記残りの距離を音声案内することを特徴とする請求項8に記載のカーナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−222678(P2009−222678A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70212(P2008−70212)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】