カーナビゲーション装置
【課題】従来のカーナビゲーション装置では、運転中に運転者が当該ナビで示されるルートなどを確認する際や、DVD再生映像を視聴したりする際に、視線を前方道路からある程度外して、ハンドル脇付近などに設置されたカーナビゲーション装置のディスプレイを見る必要があり危険である、という課題がある。
【解決手段】ここで長方形ディスプレイを回転させると、縦型のほうが運転者の視界に入りやすくなる。また、逆に横型では運転者の視界に入りにくくなる。これを利用して、本発明は、上記の視線移動に伴う課題を解決するために、回転することで縦型と横型の双方で利用できるディスプレイを備えるカーナビゲーション装置に関して、運転者の視界に入りやすい縦ディスプレイでの利用時には運転用のナビゲーション情報を表示し、少ない視線移動でナビゲーション情報を確認できるよう構成する。
【解決手段】ここで長方形ディスプレイを回転させると、縦型のほうが運転者の視界に入りやすくなる。また、逆に横型では運転者の視界に入りにくくなる。これを利用して、本発明は、上記の視線移動に伴う課題を解決するために、回転することで縦型と横型の双方で利用できるディスプレイを備えるカーナビゲーション装置に関して、運転者の視界に入りやすい縦ディスプレイでの利用時には運転用のナビゲーション情報を表示し、少ない視線移動でナビゲーション情報を確認できるよう構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者にナビゲーション用の情報などを、効率的に、かつ車両運転に際して邪魔にならないように提示するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車などの車両の多くに、目的地までのルートを示す地図情報や、ルート上の渋滞/規制情報、ルート近辺の店舗情報など、運転に必要と思われる各種のナビ情報を表示する機能を備えたカーナビゲーション装置が設置されている。また最近のカーナビゲーション装置には、AV(オーディオビジュアル)機能が付加されているものもあり、例えばワンセグやフルセグで放送されているテレビ番組映像の視聴や、DVDに記録された映像の再生視聴なども可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−114668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、運転中にテレビの番組映像やDVDの再生映像を視聴することは、視線を長期に前方道路から外すことになり危険である、という課題がある。なお、そのような危険な運転行為が行われないよう、例えば車両のブレーキシステムと連動させて、運転走行中にはそれら映像が表示されないよう工夫されたカーナビゲーション装置も提供されている。しかし、その場合には、カーナビゲーション装置と車両のブレーキシステムを連動させるため電気的に両機構を接続する必要があり、特に後付でカーナビゲーション装置を車両に取り付ける場合にユーザーの負担が大きい、という別の課題が生じる。
【0005】
また、運転者が当該ナビで示されるルートなどを確認する際にも、同様に視線を前方道路から外して、ハンドル脇付近などに設置されたカーナビゲーション装置のディスプレイを見ることになり、やはり危険である、という課題がある。そのため車両の運転者は、素早くカーナビゲーション装置の表示情報を確認してすぐに前方道路に視線を戻すか、あるいはいったん停車して表示情報を確認するなどしなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで、長方形ディスプレイを回転させると、縦型では横型に比べて上方により広く表示領域を設けることができる。そしてカーナビゲーション装置のディスプレイは、基本的に運転者の目の位置よりも下方向に設置される。つまり縦型のほうが運転者の視界に入りやすくなる。また、逆に横型では運転者の視界に入りにくくなる。
【0007】
これを利用して、本発明は、上記の視線移動に伴う課題を解決するために、回転することで縦型と横型の双方で利用できるディスプレイを備えるカーナビゲーション装置に関して、運転者の視界に入りやすい縦ディスプレイでの利用時には運転用のナビゲーション情報を表示し、少ない視線移動でナビゲーション情報を確認できるよう構成する。また運転者の視界に入りにくい横ディスプレイでの利用時には運転に利用される以外の例えば番組映像などを表示するよう構成する。
【0008】
具体的には、縦型と横型の双方で利用できる長方形の回転ディスプレイと、回転ディスプレイに対してカーナビゲーション画面を出力するナビ出力部と、回転ディスプレイに対してカーナビゲーション以外の画面を出力する非ナビ出力部と、回転ディスプレイが縦型で利用されている場合には回転ディスプレイに対してナビ出力部からの出力を表示するように制御し、回転ディスプレイが横型で利用されている場合には非ナビ出力部からの出力が表示されるように制御する制御部と、を有するカーナビゲーション装置を提供する。
【0009】
また、上記構成に加えて、その運転者の視界に入りやすい縦型利用時のディスプレイの上方領域に、例えば超過スピードなどの警告情報や分岐点までの距離情報など運転に際して優先度の高いと思われる情報(優先情報)を表示する機能をさらに備えるカーナビゲーション装置も提供する。
【0010】
具体的には、上記の構成要件に加えて、他の情報と比べて優先的に運転者に告知すべき優先情報を保持する優先情報保持部と、優先情報保持部から優先情報を選択してナビ出力部に出力する優先情報出力部と、を有し、ナビ出力部が、優先情報出力部から優先情報を受け取った場合には、回転ディスプレイを縦型にて利用する場合に表示領域の上半分となる領域のいずれかに優先情報が表示されるようにカーナビゲーション画面を構成する優先画面構成手段を有するカーナビゲーション装置を提供する。
【0011】
また、上記構成に加えて、その優先情報を表示するディスプレイ上の領域が、車両の運転視界(例えばフロントガラスを通して見える視界空間など)に含まれるよう構成することで、フロントガラス越しの前方道路からほとんど視線を動かすことなくディスプレイに表示された優先情報を確認することができるカーナビゲーション装置も提供する。具体的には、上記優先画面構成手段は、前記上半分となる領域を車両の運転視界の領域とするカーナビゲーション装置を提供する。
【0012】
また、逆にテレビ番組映像などが表示されている横型でのディスプレイ利用の場合には、そのディスプレイの全表示領域が前記運転視界よりも下側に配置されるよう構成したカーナビゲーション装置も提供する。
【0013】
また、上記のような機能、構成を備える各カーナビゲーション装置を搭載した車両も提供する。
【発明の効果】
【0014】
以上のような構成をとる本発明によって、運転者は運転中であっても視線をあまり動かすことなくナビゲーション用の情報が掲載されたカーナビゲーション画面を確認することができる。したがって、ナビを利用した車両の運転時における危険発生の可能性を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1のカーナビゲーション装置における情報表示の一例を表す概念図
【図2】実施例1のカーナビゲーション装置における情報表示の、別の一例を表す概念図
【図3】実施例1のカーナビゲーション装置における機能ブロックの一例を表す図
【図4】実施例1のカーナビゲーション装置における縦型でのディスプレイ利用時の画面表示の一例を表す概念図
【図5】実施例1のカーナビゲーション装置における情報表示の、さらに別の一例を表す概念図
【図6】実施例1のカーナビゲーション装置における横型でのディスプレイ利用時の画面表示の一例を表す概念図
【図7】実施例1のカーナビゲーション装置におけるハードウェア構成の一例を表す図
【図8】実施例1のカーナビゲーション装置における処理の流れの一例を表すフローチャート
【図9】実施例2のカーナビゲーション装置における情報表示の一例を表す概念図
【図10】実施例2のカーナビゲーション装置における機能ブロックの一例を表す概念図
【図11】実施例2のカーナビゲーション装置におけるハードウェア構成の一例を表す図
【図12】実施例2のカーナビゲーション装置における処理の流れの一例を表すフローチャート
【図13】実施例3のカーナビゲーション装置における情報表示の一例を表す概念図
【図14】実施例3のカーナビゲーション装置を車両に取り付けた際の取付形態の一例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0017】
なお、実施例1は、主に請求項1について説明する。また、実施例2は、主に請求項2について説明する。また、実施例3は、主に請求項3、4、5について説明する。
【0018】
≪実施例1≫
<概要>
図1及び図2は、本実施例のカーナビゲーション装置における情報表示の一例を表す概念図である。この図1にあるように、情報表示用のディスプレイ0101が縦型で利用されている際には、目的地までのルートを示した地図表示などを行う。そして図2にあるように、そのディスプレイ0201を90度回転させ横型で利用する際には、例えばテレビの受信番組の表示などを行う。このように本実施例のカーナビゲーション装置は、ディスプレイの縦型利用/横型利用の切替えに応じて情報表示内容を切替えることを特徴とする。
【0019】
ここで図1や2に示すように、カーナビゲーション装置のディスプレイは一般的にはダッシュボード上のハンドル脇など運転者の目の位置よりも下方向に設置されることが多い。つまり運転者の目はディスプレイよりも上方あることになる。そしてディスプレイは横長であり、図で示すように縦型で利用したほうが横型での利用時よりも上方に情報表示領域を設けることができる。したがってディスプレイを縦型で利用したほうが少ない視線移動で情報を視界に入ることができる。
【0020】
また、逆に横型では運転者の視界に入りにくく、大きく視線移動をする必要があり、運転の邪魔となることが少ない、という具合である。
【0021】
<機能的構成>
図3は、本実施例のカーナビゲーション装置における機能ブロックの一例を表す図である。なお、以下に記載する本カーナビゲーション装置の機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUや主メモリ、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)、情報入力に利用される入力デバイス、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、通信用インターフェース、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザーインターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。
【0022】
そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。また、この発明はカーナビゲーション装置として実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を記録媒体に固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0023】
そして、この図3にあるように、本実施例の「カーナビゲーション装置」(0300)は、「回転ディスプレイ」(0301)と、「ナビ出力部」(0302)と、「非ナビ出力部」(0303)と、「制御部」(0304)と、を有する。
【0024】
「回転ディスプレイ」(0301)は、縦型と横型の双方で利用できるよう長方形状で回転可能に構成されていることを特徴とする。なお、その回転動力は自動、手動のいずれでも良く、またその回転機構も、例えばディスプレイの中心/その他所定の点を軸として固定し回転する機構や、複数の軸で回転する機構や、いわゆるサイクロイド的な曲線で回転する機構などさまざまであって良い。
【0025】
ただしどのような回転機構であっても、この回転ディスプレイは、前述のように縦型で利用する場合にディスプレイの表示領域の一部又は全部が横型の表示領域よりも上方に位置するよう構成されている。そしてそのような構成によって、ディスプレイが縦型で利用された場合に、当該ディスプレイの表示画面が(視点がディスプレイよりも上にある)運転者の視界に入りやすいことを特徴とする。
【0026】
「ナビ出力部」(0302)は、回転ディスプレイに対してカーナビゲーション画面を出力する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、ナビ出力プログラムなどで実現することができる。「カーナビゲーション画面」とは、車両に関する情報や当該車両の運転に関する各種情報を示すための画面をいい、基本的には図4に示すように地図画像の上に、例えば目的地までのルート情報や分岐点までの距離情報などが表示された画面をいう。また、そのほかに、例えば地図上所定の地点(店舗など)の情報、渋滞などを含む交通規制/制限情報、スピード検知レーダの設置位置情報、到着予想時間情報や、あるいは現在の車両の時速情報、車間距離情報、燃費/ガソリン残量情報、バッテリー情報、急発進/急停車などから算出されるエコロジー運転の度合いを示す情報、走行可能距離情報、エンジン回転数情報、エンジン水温情報、走行距離、車内外の温度情報、ブーストメータ情報、ギアのポジション情報、ハンドルポジション(回転角度)情報、シートベルトの着用有無情報、ヘッドライト/ブレーキランプなどの機器の故障情報などを表示した画面も挙げられる。もちろん、地図画像を省略しテキストやアイコンなどのみで上記情報を示すようなナビゲーション画面も出力されて良い。
【0027】
また、ディスプレイが縦型で利用されカーナビゲーション画面を表示する際には、図5に示すように車両速度に応じて、その表示内容を変化させるよう構成しても良い。すなわち、図5(a)に示すように、例えば車両速度が40km/h以下など遅い場合は、カーナビゲーション画面の各種情報を確認する余裕もあるとして、裏道など細い道も含む地図画像を表示する。また、エコロジー運転の度合いを示す葉のマークや、平均速度、現在時刻、到着予想時刻などの情報を表示している。そして、より車両速度が出ている場合、例えば時速60km/hであれば、今度は図5(b)に示すように地図画像上の細い道や、エコロジー運転の葉のマークなどの表示が省略される。そしてさらに高速などにのって時速80km/h以上で走行中は、図5(c)に示すように、地図上は幹線道路のみ表示され、現在時刻や到着予想時刻などの表示も省略される、という具合である。
【0028】
そして、ここで出力されるカーナビゲーション画面は、上記のように運転に際して必要/便利な情報が表示されており、そのため走行運転中に運転者が前方道路からディスプレイに視線を移し、表示された情報を確認する必要性や頻度が高い。そこで本実施例のカーナビゲーション装置では、後述する制御部の構成によって、運転者の視線移動の少ない場合にディスプレイ上にカーナビゲーション画面が出力されるよう制御することを特徴とする。
【0029】
「非ナビ出力部」(0303)は、回転ディスプレイに対してカーナビゲーション以外の画面を出力する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、非ナビ出力プログラムなどによって実現できる。また、カーナビゲーション以外の画面とは、車両の運転に関係の無い情報が表示される画面をいい、例えば図6で示すようにチューナで受信したテレビ番組画面が挙げられる。またそのほかに、例えばDVDプレイヤーなどの再生映像画面、カーステレオで再生中のCDのトラック情報画面、カーラジオのチューニング画面、グラフィックイコライザ画面、ゲーム画面、テキストニュース画面、広告表示画面、インターネット接続先の情報画面なども挙げられる。
【0030】
このように非ナビ出力部で出力される画面は、もっぱら運転に関係の無い情報が表示されているため、カーナビゲーション画面とは逆に、走行運転中に運転者が視線を前方道路から移し、表示された情報を確認する必要性や頻度が低い。そこで本実施例のカーナビゲーション装置では、次の制御部の構成によって、運転者の視線移動の多い場合にディスプレイ上に上記画面が出力されるよう制御する、という具合である。
【0031】
「制御部」(0304)は、回転ディスプレイが縦型で利用されている場合には回転ディスプレイに対してナビ出力部からの出力を表示するように制御し、回転ディスプレイが横型で利用されている場合には非ナビ出力部からの出力が表示されるように制御する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、制御プログラムなどによって実現することができる。
【0032】
具体的に、ディスプレイが縦型で利用されているか横型で利用されているかを判断するための機構としては、例えば回転ディスプレイの回転軸に爪などを設け、その爪の掛かり位置を検出することで回転位置/角度を検出する機構や、角速度センサや重力センサを利用して回転位置/角度を検出する機構などが挙げられる。そして制御部では、このような機構によって検出したディスプレイの回転位置や回転角度に応じてディスプレイが縦型で利用されている横型であるか判断し、縦型であればナビ出力部を制御しディスプレイにカーナビゲーション画面を表示する。一方、横型であれば非ナビ出力部を制御しディスプレイにテレビ番組映像などを表示する、という具合である。
【0033】
以上のようにして本実施例のカーナビゲーション装置は、運転者の視界に入りやすく、少ない視線移動で確認可能な縦型でのディスプレイ利用時には、確認する必要性/頻度の高い情報が示されたカーナビゲーション画面を表示することができる。また逆に運転者の視界に入りにくく、比較的大きな視線移動を必要とする横型でのディスプレイ利用時には、運転には必要の無い(邪魔/危険になる可能性のある)テレビ映像などの非カーナビゲーション画面を表示することができる。
【0034】
また、一般的にカーナビゲーション装置の地図は進行方向を上として表示されるため、縦型のディスプレイにて特に地図ベースのカーナビゲーション画面を表示する構成によって、その進行先の情報をより多く画面上に表示できる効果も生じる。
【0035】
<ハードウェア構成>
図7は、上記機能的な各構成要件をハードウェアとして実現した際の、カーナビゲーション装置における構成の一例を表す概略図である。この図を利用してディスプレイでの情報表示処理におけるそれぞれのハードウェア構成部の働きについて説明する。
【0036】
この図にあるように、本実施例のカーナビゲーション装置は、ナビ出力部、非ナビ出力部及び制御部であり、またその他の各種演算処理を実行する「CPU(中央演算装置)」(0701)と、「主メモリ」(0702)と、を備えている。またナビゲーション用の各種情報を保持する「HDD(ハードディスク・ドライブ)」(0703)や、回転ディスプレイである「回転検知機構」(0704)や「ディスプレイ」(0705)も備えている。また、ユーザーからのフォーカス操作や選択操作などの操作入力を受け付ける「UI(ユーザーインターフェース)」(0706)や、テレビ放送の映像データを取得するための「放送受信チューナ」(0707)なども備えていると良い。そしてそれらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0037】
また、「主メモリ」にはプログラムが読み出され、「CPU」は読み出された当該プログラムを参照し、プログラムで示される手順に従い各種演算処理を実行する。また、この「主メモリ」や「HDD」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」の演算処理においては、そのアドレスを特定し格納されているデータにアクセスすることで、データを用いた演算処理を行うことが可能になっている。
【0038】
ここで、ユーザーがディスプレイを回転させると、例えば回転軸に設けられた爪、あるいは重力センサなどを利用して「回転検知機構」がその回転を検知する。そして、その検知結果に応じて、ディスプレイが現在縦型で利用されているか、横型で利用されているかを示すフラグ情報を「主メモリ」のアドレス1に格納する。
【0039】
次に「CPU」は制御プログラムを解釈し、その解釈結果にしたがい「主メモリ」のアドレス1に格納されているフラグ情報を参照する。そして、フラグ情報が「回転ディスプレイが縦型で利用されている」旨を示している場合、「CPU」はナビ出力プログラムを読み出し、解釈する。そして、その解釈結果にしたがい、カーナビゲーション画面を生成するための情報、例えば出発地と目的地が指定されていればそのルートや目的地までの距離、時速などの情報を取得し、「主メモリ」のアドレス2に格納する。なお、ここで取得される情報は、予め初期設定やユーザー設定などとしてHDDなどに保持されていると良い。つづいて、「CPU」はそれら情報を利用してカーナビゲーション画面を生成し、「ディスプレイ」に当該画面を表示させる、という具合である。
【0040】
一方、「主メモリ」のアドレス1に格納されているフラグ情報が「回転ディスプレイが横型で利用されている」旨を示している場合、「CPU」は非ナビ出力プログラムを読み出し、解釈する。そして、その解釈結果にしたがい、カーナビゲーション以外の画面を生成するための情報、例えば「放送受信チューナ」にて受信されるテレビ番組の映像データなどを取得する。なお、ここでいずれのソースから情報を取得するかなども、予め初期設定やユーザー設定などとしてHDDなどに保持されていると良い。そして「CPU」は例えば取得した映像データを「ディスプレイ」に出力し、当該テレビ番組を表示させる、という具合である。
【0041】
<処理の流れ>
図8は、本実施例のカーナビゲーション装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0042】
この図にあるように、まず、カーナビゲーション装置の回転ディスプレイが、縦型で利用されているか、横型で利用されているか、を判断する(ステップS0801)。そして、ステップS0801での判断結果が、回転ディスプレイが縦型で利用されているとの判断結果である場合には、回転ディスプレイにてナビ出力部からの出力が表示されるよう制御し(ステップS0802A)、回転ディスプレイにカーナビゲーション画面が出力される(ステップS0803A)。
【0043】
一方、ステップS0801での判断結果が、回転ディスプレイが横型で利用されているとの判断結果である場合には、回転ディスプレイにて非ナビ出力部からの出力が表示されるよう制御し(ステップS0802B)、回転ディスプレイにカーナビゲーション以外の画面、例えばテレビ番組の映像データなどが出力される(ステップS0803B)。
【0044】
<効果の簡単な説明>
以上のように、本実施例のカーナビゲーション装置によって、運転者の視界に入りやすく、少ない視線移動で確認可能な縦型でのディスプレイ利用時には、確認する必要性/頻度の高い情報が示されたカーナビゲーション画面を表示することができる。また逆に運転者の視界に入りにくく、比較的大きな視線移動を必要とする横型でのディスプレイ利用時には、運転には必要の無い(邪魔/危険になる可能性のある)テレビ映像などの非カーナビゲーション画面を表示することができる。
【0045】
また、一般的にカーナビゲーション装置の地図は進行方向を上として表示されるため、本実施例の縦型のディスプレイにて特に地図ベースのカーナビゲーション画面を表示する構成によって、その進行先の情報をより多く画面上に表示できる効果も生じる。
【0046】
≪実施例2≫
<概要>
本実施例のカーナビゲーション装置は、上記実施例を基本として、ディスプレイが縦型で利用されている場合にはカーナビゲーション画面を表示する機能を備える。そしてその特徴点は、図9に示すように、縦型ディスプレイ全体の表示領域中でもよりユーザーの目に入り易いディスプレイの上方領域αに、例えば超過スピードなどの警告情報や分岐点までの距離情報など運転に際して優先度の高いと思われる情報(優先情報)を選択的に表示する機能をさらに備える点である。
【0047】
このようにして、ユーザーは運転に際して優先度の高いと思われる優先情報をさらにより少ない視線移動で確認することができる。
【0048】
<機能的構成>
図10は、本実施例のカーナビゲーション装置における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「カーナビゲーション装置」(1000)は、実施例1を基本として、「回転ディスプレイ」(1001)と、「ナビ出力部」(1002)と、「非ナビ出力部」(1003)と、「制御部」(1004)と、を有する。なお、これらの構成要件は実施例1にてすでに記載済みであるので、その説明は省略する。
【0049】
そして、本実施例のカーナビゲーション装置は、さらに「優先情報保持部」(1005)と、「優先情報出力部」(1006)を有する点と、ナビ出力部が「優先画面構成手段」(1007)をさらに有する点を特徴とする。
【0050】
「優先情報保持部」(1005)は、優先情報を保持する機能を有し、例えばフラッシュメモリやHDD、その他の記憶媒体/装置によって実現することができる。また「優先情報」とは、カーナビゲーション画面を構成する情報の中で、他の情報と比べて優先的に運転者に告知すべき情報をいい、例えば、事故を未然に防ぐための速度情報や超過速度情報、ルート間違いとならないための現在位置からルートの分岐点までの距離情報などが挙げられる。そのほかにも、右左折禁止などの交通規制情報や渋滞情報、エコロジー運転の度合い情報、ガソリン残量情報、なども挙げられる。そして優先情報保持部では、上記情報について、例えば優先情報であることを示す優先フラグ情報や、優先順位を示す優先順位情報を関連付けて保持する、あるいは情報IDと優先有無をテーブル化したリストなどを保持することで、他の情報と区別して優先情報を管理する、という具合である。
【0051】
なお、いずれの情報を「優先的」とするかについては、上記のように「事故を未然に防ぐため」や「ルート間違いとならないため」など所定の目的のため一般的に優先度が高いと考えられるものを優先的とする(予め設定がなされているなど)ほか、ユーザーが任意に優先的となる情報を設定するよう構成しても良い。
【0052】
また、各種センサなどから取得される状況情報などに応じて、優先情報が変化する(関連付けられた優先順位が変化する)よう構成しても良い。具体的には、例えば車両の走行前でシフトが「P」の位置にある場合、シートベルト着用有無や、ハザードランプなどの機器故障情報などの走行前の確認用情報を優先情報とする(優先フラグ情報や優先順位情報を付加する)。また、シフトが「R」の位置にある場合には、車庫入れ等の手助けとなるようハンドルの角度情報などを優先情報とする。そして、シフト1以降で通常走行時には、時速や車間距離などを優先情報とする。また、通常走行時でもガソリン残量が閾値以下になったらガソリン残量情報や現在地付近のSS(サービス・ステーション)の情報を優先情報としたり、ルートの分岐点付近に到達したら(分岐点までの距離が閾値以下となったら)その分岐点までの距離情報を優先情報としたりする、という具合である。
【0053】
「優先情報出力部」(1006)は、優先情報保持部から優先情報を選択してナビ出力部に出力する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、優先情報出力プログラムなどによって実現できる。具体的には、カーナビゲーション画面を構成する各種情報のうち、優先フラグ情報や優先順位情報が関連付けられている優先情報を取得し、ナビ出力部に出力する、という具合である。もちろん、前述のように各種センサなどから取得される状況情報などに応じてその優先フラグ付けなどが変化する場合には、その変化に応じて優先情報を取得し出力するよう構成すると良い。
【0054】
また、例えばユーザーが優先情報として3つ出力するように設定などしていれば、その設定情報に基づいて優先順位情報の上位3位までの優先情報を特定し、出力するよう構成しても良い。あるいは、ディスプレイの画面サイズや解像度情報を取得し、そのサイズや解像度に応じて設定された優先情報の表示個数を取得し、その個数分の上位の優先情報を特定し出力するよう構成しても良い。また、例えば制限速度内で直線道路を走行中など優先情報を表示する必要のない状況であれば(速度計情報やルート情報などからその旨判断されれば)、優先情報を出力しないよう構成しても良い。
【0055】
「優先画面構成手段」(1007)は、優先情報出力部から優先情報を受け取った場合には、回転ディスプレイを縦型にて利用する場合に表示領域の上半分となる領域のいずれかに優先情報が表示されるようにカーナビゲーション画面を構成する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、優先画面構成プログラムなどによって実現することができる。具体的に、例えばカーナビゲーション画面内で各種情報を配置するレイアウトを定める情報などにおいて、優先情報の表示領域を示す座標情報を回転ディスプレイの上方になるように設定し保持しておく。そして、地図画像やルート情報、現在時刻や速度情報など各種情報を取得しカーナビゲーション画面を生成する際に、当該保持されているレイアウト情報にしたがって表示情報を配置することで、優先情報が画面表示領域の上半分の所定領域に表示される、という具合である。
【0056】
また、優先情報を表示する領域を示す座標情報などは、予め定められていても良いし、画面上半分の領域の中からユーザーが任意に設定可能に構成されていても良い。また、複数の優先情報が表示されるよう構成しても良いし、前述のように表示する優先情報の個数などに応じて、その表示領域の広さや個数が可変となるよう構成しても良い。また優先情報の表示領域を半透明のレイヤーとして地図画像に重畳し画面上に表示するよう構成しても良い。
【0057】
また、例えば優先情報がルートの分岐点までの距離を示す情報であれば、その地図上の分岐点を示すポイントを明滅表示させるなどして運転者により認識し易い表示となるよう構成しても良い。
【0058】
以上のように本実施例のカーナビゲーション装置によって、運転に際して優先度の高いと思われる優先情報が縦型で利用されているディスプレイの表示領域上方に表示されるので、ユーザーはさらにより少ない視線移動で、それら情報を確認することができる。
【0059】
<ハードウェア構成>
図11は、上記機能的な各構成要件をハードウェアとして実現した際の、カーナビゲーション装置における構成の一例を表す概略図である。この図を利用してディスプレイでの情報表示処理におけるそれぞれのハードウェア構成部の働きについて説明する。
【0060】
この図にあるように、本実施例のカーナビゲーション装置は、上記実施例と同様に、「CPU」(1101)と、「主メモリ」(1102)と、「HDD」(1103)と、「回転検知機構」(1104)や「ディスプレイ」(1105)と、「UI」(1106)と、「放送受信チューナ」(1107)などを備えている。
【0061】
ここで、上記実施例で記載したような処理によって、「回転ディスプレイが縦型で利用されている」旨を示すフラグ情報が「主メモリ」のアドレス1に格納されている。すると「CPU」は、優先情報出力プログラムを解釈し、それにしたがって、「HDD」に保持されている情報の中から、優先順位情報が関連付けられている優先情報を取得し、「主メモリ」のアドレス2に格納する。また、それ以外の情報、例えば地図画像データやルート情報、時刻情報なども取得し、優先情報と区別して「主メモリ」のアドレス3に格納する。続いて「CPU」は優先画面構成プログラムを解釈し、それにしたがい「HDD」に予め保持されているカーナビゲーション画面のレイアウト情報を参照し、画面の情報に優先情報が表示されるよう各種情報を配置したカーナビゲーション画面の画像データを生成する。そして、その画像データを「ディスプレイ」に出力し、表示する、という具合である。
【0062】
<処理の流れ>
図12は、本実施例のカーナビゲーション装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0063】
この図にあるように、まず、カーナビゲーション装置の回転ディスプレイが、縦型で利用されているか、横型で利用されているか、を判断する(ステップS1201)。そして、ステップS1201での判断結果が、回転ディスプレイが縦型で利用されているとの判断結果である場合には、カーナビゲーション画面を構成する優先情報とその他の情報を区別して取得する(ステップS1202A)。続いて、優先情報が画面上方の領域に表示されるようカーナビゲーション画面を生成し(ステップS1203A)、生成したカーナビゲーション画面を回転ディスプレイに出力する(ステップS1204A)。なお、ステップS1201での判断結果が、回転ディスプレイが横型で利用されているとの判断結果である場合には、実施例1で説明したような処理の流れとなるため、その説明は省略する。
【0064】
<効果の簡単な説明>
以上のように本実施例のカーナビゲーション装置によって、運転に際して優先度の高いと思われる優先情報が縦型で利用されているディスプレイの表示領域上方に表示される。したがってユーザーはさらにより少ない視線移動で、それら情報を確認することができる。
【0065】
≪実施例3≫
<概要>
本実施例は、上記実施例を基本として、その優先情報を表示するディスプレイの領域が、車両の運転視界の領域に含まれるよう構成することを特徴とするカーナビゲーション装置である。
【0066】
図13は、本実施例のカーナビゲーション装置による情報表示の一例を表す図である。この図では、例えば車両のダッシュボード(計器類やハンドルなどが備えられた運転席前面のボード)上のフロントガラスから見える領域を「運転視界」としている。したがって本実施例のカーナビゲーション装置は、回転ディスプレイを縦型で利用した場合に、運転視界と非運転視界との境界線であるフロントガラスとダッシュボードとの接続線βよりも上方に優先情報の表示領域αが配されるよう構成されている、という具合である。そして、それによって、運転者はフロントガラス越しの前方道路からほとんど視線を動かすことなくディスプレイに表示された優先情報を確認することができる。
【0067】
<機能的構成>
本実施例のカーナビゲーション装置における構成要件は、上記実施例2にて説明したものと同様であるので、その説明は省略する。そして、本実施例のカーナビゲーション装置の特徴点は、「優先画面構成手段」が、回転ディスプレイを縦型にて利用する場合に表示領域の上半分となる(優先情報が表示される)領域を車両の運転視界の領域とする点である。
【0068】
「運転視界」とは、フロントガラスの下端から地面に平行に引いた線よりも上方の空間にある視界範囲をいう。そしてフロントガラス越しに前方道路が見えることから、運転視界にあるものは基本的に運転中に視界に入り易いと考えることができる。したがって、運転視界に含まれるよう優先情報が表示される領域を配置することで、運転者は運転中に前方の道路から視線をあまり動かさずに、意識を回転ディスプレイに向ける程度でその優先情報を確認することができる。
【0069】
以下、図14を用いてさらに詳細に運転視界について説明する。この図にあるように、例えば、車両の運転席内には、その前面に「ダッシュボード」が配されている。またダッシュボードにはスピードメータやガソリンメータなどの「計器類」や「ハンドル」などが取り付けられている。またダッシュボード前方の外部には、図示しない「ボンネット」が設けられ、下部方向への視界がさえぎられている。そして、ボンネット上部には「フロントガラス」が配置され、運転者はそのフロントガラス越しに、ボンネットの先の伸びる道路やその他周囲の状況を確認しながら運転を行う。
【0070】
そして、本実施例のカーナビゲーション装置の「回転ディスプレイ」は、図に示すように「ダッシュボード」の例えばハンドルの右(あるいは左)側に取り付けられている。そしてその取り付けは、図13にあるように、縦型でディスプレイを利用した際の優先情報の表示領域αが、運転視界の境界線となる例えば「フロントガラス」と「ダッシュボード」との接続線βの上方に位置するよう取り付けられる。また、回転させて横型で利用した際には、回転ディスプレイの全表示領域が運転視界(例えばフロントガラスとダッシュボードの境界線βの上方空間)よりも下側に配置されるよう取り付けられる、という具合である。
【0071】
なお、例えば車両に後付でカーナビゲーション装置及びそのディスプレイを取り付ける場合には、その取り付け位置に応じて、ユーザーが優先情報の表示領域が運転視界に含まれるよう任意に設定しても良い。
【0072】
また、車両がフロントガラス(風防ガラス)を備えない自動二輪車などであれば、そのフロントガラスがあるとして、ヘッドライト最上部の点から地面に平行に引いた線の上方の空間にある視界範囲を運転視界とすると良い。
【0073】
<効果の簡単な説明>
以上のように、本実施例のカーナビゲーション装置は、回転ディスプレイを縦型で利用した際に優先情報の表示領域が運転視界となるよう車両に取り付けられているので、運転者は、運転視界内にある前方の道路から視線をあまり動かさずに、意識を回転ディスプレイに向ける程度でその優先情報を確認することができる。
【符号の説明】
【0074】
0200 カーナビゲーション装置
0201 回転ディスプレイ
0202 ナビ出力部
0203 非ナビ出力部
0204 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者にナビゲーション用の情報などを、効率的に、かつ車両運転に際して邪魔にならないように提示するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車などの車両の多くに、目的地までのルートを示す地図情報や、ルート上の渋滞/規制情報、ルート近辺の店舗情報など、運転に必要と思われる各種のナビ情報を表示する機能を備えたカーナビゲーション装置が設置されている。また最近のカーナビゲーション装置には、AV(オーディオビジュアル)機能が付加されているものもあり、例えばワンセグやフルセグで放送されているテレビ番組映像の視聴や、DVDに記録された映像の再生視聴なども可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−114668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、運転中にテレビの番組映像やDVDの再生映像を視聴することは、視線を長期に前方道路から外すことになり危険である、という課題がある。なお、そのような危険な運転行為が行われないよう、例えば車両のブレーキシステムと連動させて、運転走行中にはそれら映像が表示されないよう工夫されたカーナビゲーション装置も提供されている。しかし、その場合には、カーナビゲーション装置と車両のブレーキシステムを連動させるため電気的に両機構を接続する必要があり、特に後付でカーナビゲーション装置を車両に取り付ける場合にユーザーの負担が大きい、という別の課題が生じる。
【0005】
また、運転者が当該ナビで示されるルートなどを確認する際にも、同様に視線を前方道路から外して、ハンドル脇付近などに設置されたカーナビゲーション装置のディスプレイを見ることになり、やはり危険である、という課題がある。そのため車両の運転者は、素早くカーナビゲーション装置の表示情報を確認してすぐに前方道路に視線を戻すか、あるいはいったん停車して表示情報を確認するなどしなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで、長方形ディスプレイを回転させると、縦型では横型に比べて上方により広く表示領域を設けることができる。そしてカーナビゲーション装置のディスプレイは、基本的に運転者の目の位置よりも下方向に設置される。つまり縦型のほうが運転者の視界に入りやすくなる。また、逆に横型では運転者の視界に入りにくくなる。
【0007】
これを利用して、本発明は、上記の視線移動に伴う課題を解決するために、回転することで縦型と横型の双方で利用できるディスプレイを備えるカーナビゲーション装置に関して、運転者の視界に入りやすい縦ディスプレイでの利用時には運転用のナビゲーション情報を表示し、少ない視線移動でナビゲーション情報を確認できるよう構成する。また運転者の視界に入りにくい横ディスプレイでの利用時には運転に利用される以外の例えば番組映像などを表示するよう構成する。
【0008】
具体的には、縦型と横型の双方で利用できる長方形の回転ディスプレイと、回転ディスプレイに対してカーナビゲーション画面を出力するナビ出力部と、回転ディスプレイに対してカーナビゲーション以外の画面を出力する非ナビ出力部と、回転ディスプレイが縦型で利用されている場合には回転ディスプレイに対してナビ出力部からの出力を表示するように制御し、回転ディスプレイが横型で利用されている場合には非ナビ出力部からの出力が表示されるように制御する制御部と、を有するカーナビゲーション装置を提供する。
【0009】
また、上記構成に加えて、その運転者の視界に入りやすい縦型利用時のディスプレイの上方領域に、例えば超過スピードなどの警告情報や分岐点までの距離情報など運転に際して優先度の高いと思われる情報(優先情報)を表示する機能をさらに備えるカーナビゲーション装置も提供する。
【0010】
具体的には、上記の構成要件に加えて、他の情報と比べて優先的に運転者に告知すべき優先情報を保持する優先情報保持部と、優先情報保持部から優先情報を選択してナビ出力部に出力する優先情報出力部と、を有し、ナビ出力部が、優先情報出力部から優先情報を受け取った場合には、回転ディスプレイを縦型にて利用する場合に表示領域の上半分となる領域のいずれかに優先情報が表示されるようにカーナビゲーション画面を構成する優先画面構成手段を有するカーナビゲーション装置を提供する。
【0011】
また、上記構成に加えて、その優先情報を表示するディスプレイ上の領域が、車両の運転視界(例えばフロントガラスを通して見える視界空間など)に含まれるよう構成することで、フロントガラス越しの前方道路からほとんど視線を動かすことなくディスプレイに表示された優先情報を確認することができるカーナビゲーション装置も提供する。具体的には、上記優先画面構成手段は、前記上半分となる領域を車両の運転視界の領域とするカーナビゲーション装置を提供する。
【0012】
また、逆にテレビ番組映像などが表示されている横型でのディスプレイ利用の場合には、そのディスプレイの全表示領域が前記運転視界よりも下側に配置されるよう構成したカーナビゲーション装置も提供する。
【0013】
また、上記のような機能、構成を備える各カーナビゲーション装置を搭載した車両も提供する。
【発明の効果】
【0014】
以上のような構成をとる本発明によって、運転者は運転中であっても視線をあまり動かすことなくナビゲーション用の情報が掲載されたカーナビゲーション画面を確認することができる。したがって、ナビを利用した車両の運転時における危険発生の可能性を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1のカーナビゲーション装置における情報表示の一例を表す概念図
【図2】実施例1のカーナビゲーション装置における情報表示の、別の一例を表す概念図
【図3】実施例1のカーナビゲーション装置における機能ブロックの一例を表す図
【図4】実施例1のカーナビゲーション装置における縦型でのディスプレイ利用時の画面表示の一例を表す概念図
【図5】実施例1のカーナビゲーション装置における情報表示の、さらに別の一例を表す概念図
【図6】実施例1のカーナビゲーション装置における横型でのディスプレイ利用時の画面表示の一例を表す概念図
【図7】実施例1のカーナビゲーション装置におけるハードウェア構成の一例を表す図
【図8】実施例1のカーナビゲーション装置における処理の流れの一例を表すフローチャート
【図9】実施例2のカーナビゲーション装置における情報表示の一例を表す概念図
【図10】実施例2のカーナビゲーション装置における機能ブロックの一例を表す概念図
【図11】実施例2のカーナビゲーション装置におけるハードウェア構成の一例を表す図
【図12】実施例2のカーナビゲーション装置における処理の流れの一例を表すフローチャート
【図13】実施例3のカーナビゲーション装置における情報表示の一例を表す概念図
【図14】実施例3のカーナビゲーション装置を車両に取り付けた際の取付形態の一例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0017】
なお、実施例1は、主に請求項1について説明する。また、実施例2は、主に請求項2について説明する。また、実施例3は、主に請求項3、4、5について説明する。
【0018】
≪実施例1≫
<概要>
図1及び図2は、本実施例のカーナビゲーション装置における情報表示の一例を表す概念図である。この図1にあるように、情報表示用のディスプレイ0101が縦型で利用されている際には、目的地までのルートを示した地図表示などを行う。そして図2にあるように、そのディスプレイ0201を90度回転させ横型で利用する際には、例えばテレビの受信番組の表示などを行う。このように本実施例のカーナビゲーション装置は、ディスプレイの縦型利用/横型利用の切替えに応じて情報表示内容を切替えることを特徴とする。
【0019】
ここで図1や2に示すように、カーナビゲーション装置のディスプレイは一般的にはダッシュボード上のハンドル脇など運転者の目の位置よりも下方向に設置されることが多い。つまり運転者の目はディスプレイよりも上方あることになる。そしてディスプレイは横長であり、図で示すように縦型で利用したほうが横型での利用時よりも上方に情報表示領域を設けることができる。したがってディスプレイを縦型で利用したほうが少ない視線移動で情報を視界に入ることができる。
【0020】
また、逆に横型では運転者の視界に入りにくく、大きく視線移動をする必要があり、運転の邪魔となることが少ない、という具合である。
【0021】
<機能的構成>
図3は、本実施例のカーナビゲーション装置における機能ブロックの一例を表す図である。なお、以下に記載する本カーナビゲーション装置の機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUや主メモリ、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)、情報入力に利用される入力デバイス、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、通信用インターフェース、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザーインターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。
【0022】
そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。また、この発明はカーナビゲーション装置として実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を記録媒体に固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0023】
そして、この図3にあるように、本実施例の「カーナビゲーション装置」(0300)は、「回転ディスプレイ」(0301)と、「ナビ出力部」(0302)と、「非ナビ出力部」(0303)と、「制御部」(0304)と、を有する。
【0024】
「回転ディスプレイ」(0301)は、縦型と横型の双方で利用できるよう長方形状で回転可能に構成されていることを特徴とする。なお、その回転動力は自動、手動のいずれでも良く、またその回転機構も、例えばディスプレイの中心/その他所定の点を軸として固定し回転する機構や、複数の軸で回転する機構や、いわゆるサイクロイド的な曲線で回転する機構などさまざまであって良い。
【0025】
ただしどのような回転機構であっても、この回転ディスプレイは、前述のように縦型で利用する場合にディスプレイの表示領域の一部又は全部が横型の表示領域よりも上方に位置するよう構成されている。そしてそのような構成によって、ディスプレイが縦型で利用された場合に、当該ディスプレイの表示画面が(視点がディスプレイよりも上にある)運転者の視界に入りやすいことを特徴とする。
【0026】
「ナビ出力部」(0302)は、回転ディスプレイに対してカーナビゲーション画面を出力する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、ナビ出力プログラムなどで実現することができる。「カーナビゲーション画面」とは、車両に関する情報や当該車両の運転に関する各種情報を示すための画面をいい、基本的には図4に示すように地図画像の上に、例えば目的地までのルート情報や分岐点までの距離情報などが表示された画面をいう。また、そのほかに、例えば地図上所定の地点(店舗など)の情報、渋滞などを含む交通規制/制限情報、スピード検知レーダの設置位置情報、到着予想時間情報や、あるいは現在の車両の時速情報、車間距離情報、燃費/ガソリン残量情報、バッテリー情報、急発進/急停車などから算出されるエコロジー運転の度合いを示す情報、走行可能距離情報、エンジン回転数情報、エンジン水温情報、走行距離、車内外の温度情報、ブーストメータ情報、ギアのポジション情報、ハンドルポジション(回転角度)情報、シートベルトの着用有無情報、ヘッドライト/ブレーキランプなどの機器の故障情報などを表示した画面も挙げられる。もちろん、地図画像を省略しテキストやアイコンなどのみで上記情報を示すようなナビゲーション画面も出力されて良い。
【0027】
また、ディスプレイが縦型で利用されカーナビゲーション画面を表示する際には、図5に示すように車両速度に応じて、その表示内容を変化させるよう構成しても良い。すなわち、図5(a)に示すように、例えば車両速度が40km/h以下など遅い場合は、カーナビゲーション画面の各種情報を確認する余裕もあるとして、裏道など細い道も含む地図画像を表示する。また、エコロジー運転の度合いを示す葉のマークや、平均速度、現在時刻、到着予想時刻などの情報を表示している。そして、より車両速度が出ている場合、例えば時速60km/hであれば、今度は図5(b)に示すように地図画像上の細い道や、エコロジー運転の葉のマークなどの表示が省略される。そしてさらに高速などにのって時速80km/h以上で走行中は、図5(c)に示すように、地図上は幹線道路のみ表示され、現在時刻や到着予想時刻などの表示も省略される、という具合である。
【0028】
そして、ここで出力されるカーナビゲーション画面は、上記のように運転に際して必要/便利な情報が表示されており、そのため走行運転中に運転者が前方道路からディスプレイに視線を移し、表示された情報を確認する必要性や頻度が高い。そこで本実施例のカーナビゲーション装置では、後述する制御部の構成によって、運転者の視線移動の少ない場合にディスプレイ上にカーナビゲーション画面が出力されるよう制御することを特徴とする。
【0029】
「非ナビ出力部」(0303)は、回転ディスプレイに対してカーナビゲーション以外の画面を出力する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、非ナビ出力プログラムなどによって実現できる。また、カーナビゲーション以外の画面とは、車両の運転に関係の無い情報が表示される画面をいい、例えば図6で示すようにチューナで受信したテレビ番組画面が挙げられる。またそのほかに、例えばDVDプレイヤーなどの再生映像画面、カーステレオで再生中のCDのトラック情報画面、カーラジオのチューニング画面、グラフィックイコライザ画面、ゲーム画面、テキストニュース画面、広告表示画面、インターネット接続先の情報画面なども挙げられる。
【0030】
このように非ナビ出力部で出力される画面は、もっぱら運転に関係の無い情報が表示されているため、カーナビゲーション画面とは逆に、走行運転中に運転者が視線を前方道路から移し、表示された情報を確認する必要性や頻度が低い。そこで本実施例のカーナビゲーション装置では、次の制御部の構成によって、運転者の視線移動の多い場合にディスプレイ上に上記画面が出力されるよう制御する、という具合である。
【0031】
「制御部」(0304)は、回転ディスプレイが縦型で利用されている場合には回転ディスプレイに対してナビ出力部からの出力を表示するように制御し、回転ディスプレイが横型で利用されている場合には非ナビ出力部からの出力が表示されるように制御する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、制御プログラムなどによって実現することができる。
【0032】
具体的に、ディスプレイが縦型で利用されているか横型で利用されているかを判断するための機構としては、例えば回転ディスプレイの回転軸に爪などを設け、その爪の掛かり位置を検出することで回転位置/角度を検出する機構や、角速度センサや重力センサを利用して回転位置/角度を検出する機構などが挙げられる。そして制御部では、このような機構によって検出したディスプレイの回転位置や回転角度に応じてディスプレイが縦型で利用されている横型であるか判断し、縦型であればナビ出力部を制御しディスプレイにカーナビゲーション画面を表示する。一方、横型であれば非ナビ出力部を制御しディスプレイにテレビ番組映像などを表示する、という具合である。
【0033】
以上のようにして本実施例のカーナビゲーション装置は、運転者の視界に入りやすく、少ない視線移動で確認可能な縦型でのディスプレイ利用時には、確認する必要性/頻度の高い情報が示されたカーナビゲーション画面を表示することができる。また逆に運転者の視界に入りにくく、比較的大きな視線移動を必要とする横型でのディスプレイ利用時には、運転には必要の無い(邪魔/危険になる可能性のある)テレビ映像などの非カーナビゲーション画面を表示することができる。
【0034】
また、一般的にカーナビゲーション装置の地図は進行方向を上として表示されるため、縦型のディスプレイにて特に地図ベースのカーナビゲーション画面を表示する構成によって、その進行先の情報をより多く画面上に表示できる効果も生じる。
【0035】
<ハードウェア構成>
図7は、上記機能的な各構成要件をハードウェアとして実現した際の、カーナビゲーション装置における構成の一例を表す概略図である。この図を利用してディスプレイでの情報表示処理におけるそれぞれのハードウェア構成部の働きについて説明する。
【0036】
この図にあるように、本実施例のカーナビゲーション装置は、ナビ出力部、非ナビ出力部及び制御部であり、またその他の各種演算処理を実行する「CPU(中央演算装置)」(0701)と、「主メモリ」(0702)と、を備えている。またナビゲーション用の各種情報を保持する「HDD(ハードディスク・ドライブ)」(0703)や、回転ディスプレイである「回転検知機構」(0704)や「ディスプレイ」(0705)も備えている。また、ユーザーからのフォーカス操作や選択操作などの操作入力を受け付ける「UI(ユーザーインターフェース)」(0706)や、テレビ放送の映像データを取得するための「放送受信チューナ」(0707)なども備えていると良い。そしてそれらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0037】
また、「主メモリ」にはプログラムが読み出され、「CPU」は読み出された当該プログラムを参照し、プログラムで示される手順に従い各種演算処理を実行する。また、この「主メモリ」や「HDD」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」の演算処理においては、そのアドレスを特定し格納されているデータにアクセスすることで、データを用いた演算処理を行うことが可能になっている。
【0038】
ここで、ユーザーがディスプレイを回転させると、例えば回転軸に設けられた爪、あるいは重力センサなどを利用して「回転検知機構」がその回転を検知する。そして、その検知結果に応じて、ディスプレイが現在縦型で利用されているか、横型で利用されているかを示すフラグ情報を「主メモリ」のアドレス1に格納する。
【0039】
次に「CPU」は制御プログラムを解釈し、その解釈結果にしたがい「主メモリ」のアドレス1に格納されているフラグ情報を参照する。そして、フラグ情報が「回転ディスプレイが縦型で利用されている」旨を示している場合、「CPU」はナビ出力プログラムを読み出し、解釈する。そして、その解釈結果にしたがい、カーナビゲーション画面を生成するための情報、例えば出発地と目的地が指定されていればそのルートや目的地までの距離、時速などの情報を取得し、「主メモリ」のアドレス2に格納する。なお、ここで取得される情報は、予め初期設定やユーザー設定などとしてHDDなどに保持されていると良い。つづいて、「CPU」はそれら情報を利用してカーナビゲーション画面を生成し、「ディスプレイ」に当該画面を表示させる、という具合である。
【0040】
一方、「主メモリ」のアドレス1に格納されているフラグ情報が「回転ディスプレイが横型で利用されている」旨を示している場合、「CPU」は非ナビ出力プログラムを読み出し、解釈する。そして、その解釈結果にしたがい、カーナビゲーション以外の画面を生成するための情報、例えば「放送受信チューナ」にて受信されるテレビ番組の映像データなどを取得する。なお、ここでいずれのソースから情報を取得するかなども、予め初期設定やユーザー設定などとしてHDDなどに保持されていると良い。そして「CPU」は例えば取得した映像データを「ディスプレイ」に出力し、当該テレビ番組を表示させる、という具合である。
【0041】
<処理の流れ>
図8は、本実施例のカーナビゲーション装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0042】
この図にあるように、まず、カーナビゲーション装置の回転ディスプレイが、縦型で利用されているか、横型で利用されているか、を判断する(ステップS0801)。そして、ステップS0801での判断結果が、回転ディスプレイが縦型で利用されているとの判断結果である場合には、回転ディスプレイにてナビ出力部からの出力が表示されるよう制御し(ステップS0802A)、回転ディスプレイにカーナビゲーション画面が出力される(ステップS0803A)。
【0043】
一方、ステップS0801での判断結果が、回転ディスプレイが横型で利用されているとの判断結果である場合には、回転ディスプレイにて非ナビ出力部からの出力が表示されるよう制御し(ステップS0802B)、回転ディスプレイにカーナビゲーション以外の画面、例えばテレビ番組の映像データなどが出力される(ステップS0803B)。
【0044】
<効果の簡単な説明>
以上のように、本実施例のカーナビゲーション装置によって、運転者の視界に入りやすく、少ない視線移動で確認可能な縦型でのディスプレイ利用時には、確認する必要性/頻度の高い情報が示されたカーナビゲーション画面を表示することができる。また逆に運転者の視界に入りにくく、比較的大きな視線移動を必要とする横型でのディスプレイ利用時には、運転には必要の無い(邪魔/危険になる可能性のある)テレビ映像などの非カーナビゲーション画面を表示することができる。
【0045】
また、一般的にカーナビゲーション装置の地図は進行方向を上として表示されるため、本実施例の縦型のディスプレイにて特に地図ベースのカーナビゲーション画面を表示する構成によって、その進行先の情報をより多く画面上に表示できる効果も生じる。
【0046】
≪実施例2≫
<概要>
本実施例のカーナビゲーション装置は、上記実施例を基本として、ディスプレイが縦型で利用されている場合にはカーナビゲーション画面を表示する機能を備える。そしてその特徴点は、図9に示すように、縦型ディスプレイ全体の表示領域中でもよりユーザーの目に入り易いディスプレイの上方領域αに、例えば超過スピードなどの警告情報や分岐点までの距離情報など運転に際して優先度の高いと思われる情報(優先情報)を選択的に表示する機能をさらに備える点である。
【0047】
このようにして、ユーザーは運転に際して優先度の高いと思われる優先情報をさらにより少ない視線移動で確認することができる。
【0048】
<機能的構成>
図10は、本実施例のカーナビゲーション装置における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「カーナビゲーション装置」(1000)は、実施例1を基本として、「回転ディスプレイ」(1001)と、「ナビ出力部」(1002)と、「非ナビ出力部」(1003)と、「制御部」(1004)と、を有する。なお、これらの構成要件は実施例1にてすでに記載済みであるので、その説明は省略する。
【0049】
そして、本実施例のカーナビゲーション装置は、さらに「優先情報保持部」(1005)と、「優先情報出力部」(1006)を有する点と、ナビ出力部が「優先画面構成手段」(1007)をさらに有する点を特徴とする。
【0050】
「優先情報保持部」(1005)は、優先情報を保持する機能を有し、例えばフラッシュメモリやHDD、その他の記憶媒体/装置によって実現することができる。また「優先情報」とは、カーナビゲーション画面を構成する情報の中で、他の情報と比べて優先的に運転者に告知すべき情報をいい、例えば、事故を未然に防ぐための速度情報や超過速度情報、ルート間違いとならないための現在位置からルートの分岐点までの距離情報などが挙げられる。そのほかにも、右左折禁止などの交通規制情報や渋滞情報、エコロジー運転の度合い情報、ガソリン残量情報、なども挙げられる。そして優先情報保持部では、上記情報について、例えば優先情報であることを示す優先フラグ情報や、優先順位を示す優先順位情報を関連付けて保持する、あるいは情報IDと優先有無をテーブル化したリストなどを保持することで、他の情報と区別して優先情報を管理する、という具合である。
【0051】
なお、いずれの情報を「優先的」とするかについては、上記のように「事故を未然に防ぐため」や「ルート間違いとならないため」など所定の目的のため一般的に優先度が高いと考えられるものを優先的とする(予め設定がなされているなど)ほか、ユーザーが任意に優先的となる情報を設定するよう構成しても良い。
【0052】
また、各種センサなどから取得される状況情報などに応じて、優先情報が変化する(関連付けられた優先順位が変化する)よう構成しても良い。具体的には、例えば車両の走行前でシフトが「P」の位置にある場合、シートベルト着用有無や、ハザードランプなどの機器故障情報などの走行前の確認用情報を優先情報とする(優先フラグ情報や優先順位情報を付加する)。また、シフトが「R」の位置にある場合には、車庫入れ等の手助けとなるようハンドルの角度情報などを優先情報とする。そして、シフト1以降で通常走行時には、時速や車間距離などを優先情報とする。また、通常走行時でもガソリン残量が閾値以下になったらガソリン残量情報や現在地付近のSS(サービス・ステーション)の情報を優先情報としたり、ルートの分岐点付近に到達したら(分岐点までの距離が閾値以下となったら)その分岐点までの距離情報を優先情報としたりする、という具合である。
【0053】
「優先情報出力部」(1006)は、優先情報保持部から優先情報を選択してナビ出力部に出力する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、優先情報出力プログラムなどによって実現できる。具体的には、カーナビゲーション画面を構成する各種情報のうち、優先フラグ情報や優先順位情報が関連付けられている優先情報を取得し、ナビ出力部に出力する、という具合である。もちろん、前述のように各種センサなどから取得される状況情報などに応じてその優先フラグ付けなどが変化する場合には、その変化に応じて優先情報を取得し出力するよう構成すると良い。
【0054】
また、例えばユーザーが優先情報として3つ出力するように設定などしていれば、その設定情報に基づいて優先順位情報の上位3位までの優先情報を特定し、出力するよう構成しても良い。あるいは、ディスプレイの画面サイズや解像度情報を取得し、そのサイズや解像度に応じて設定された優先情報の表示個数を取得し、その個数分の上位の優先情報を特定し出力するよう構成しても良い。また、例えば制限速度内で直線道路を走行中など優先情報を表示する必要のない状況であれば(速度計情報やルート情報などからその旨判断されれば)、優先情報を出力しないよう構成しても良い。
【0055】
「優先画面構成手段」(1007)は、優先情報出力部から優先情報を受け取った場合には、回転ディスプレイを縦型にて利用する場合に表示領域の上半分となる領域のいずれかに優先情報が表示されるようにカーナビゲーション画面を構成する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、優先画面構成プログラムなどによって実現することができる。具体的に、例えばカーナビゲーション画面内で各種情報を配置するレイアウトを定める情報などにおいて、優先情報の表示領域を示す座標情報を回転ディスプレイの上方になるように設定し保持しておく。そして、地図画像やルート情報、現在時刻や速度情報など各種情報を取得しカーナビゲーション画面を生成する際に、当該保持されているレイアウト情報にしたがって表示情報を配置することで、優先情報が画面表示領域の上半分の所定領域に表示される、という具合である。
【0056】
また、優先情報を表示する領域を示す座標情報などは、予め定められていても良いし、画面上半分の領域の中からユーザーが任意に設定可能に構成されていても良い。また、複数の優先情報が表示されるよう構成しても良いし、前述のように表示する優先情報の個数などに応じて、その表示領域の広さや個数が可変となるよう構成しても良い。また優先情報の表示領域を半透明のレイヤーとして地図画像に重畳し画面上に表示するよう構成しても良い。
【0057】
また、例えば優先情報がルートの分岐点までの距離を示す情報であれば、その地図上の分岐点を示すポイントを明滅表示させるなどして運転者により認識し易い表示となるよう構成しても良い。
【0058】
以上のように本実施例のカーナビゲーション装置によって、運転に際して優先度の高いと思われる優先情報が縦型で利用されているディスプレイの表示領域上方に表示されるので、ユーザーはさらにより少ない視線移動で、それら情報を確認することができる。
【0059】
<ハードウェア構成>
図11は、上記機能的な各構成要件をハードウェアとして実現した際の、カーナビゲーション装置における構成の一例を表す概略図である。この図を利用してディスプレイでの情報表示処理におけるそれぞれのハードウェア構成部の働きについて説明する。
【0060】
この図にあるように、本実施例のカーナビゲーション装置は、上記実施例と同様に、「CPU」(1101)と、「主メモリ」(1102)と、「HDD」(1103)と、「回転検知機構」(1104)や「ディスプレイ」(1105)と、「UI」(1106)と、「放送受信チューナ」(1107)などを備えている。
【0061】
ここで、上記実施例で記載したような処理によって、「回転ディスプレイが縦型で利用されている」旨を示すフラグ情報が「主メモリ」のアドレス1に格納されている。すると「CPU」は、優先情報出力プログラムを解釈し、それにしたがって、「HDD」に保持されている情報の中から、優先順位情報が関連付けられている優先情報を取得し、「主メモリ」のアドレス2に格納する。また、それ以外の情報、例えば地図画像データやルート情報、時刻情報なども取得し、優先情報と区別して「主メモリ」のアドレス3に格納する。続いて「CPU」は優先画面構成プログラムを解釈し、それにしたがい「HDD」に予め保持されているカーナビゲーション画面のレイアウト情報を参照し、画面の情報に優先情報が表示されるよう各種情報を配置したカーナビゲーション画面の画像データを生成する。そして、その画像データを「ディスプレイ」に出力し、表示する、という具合である。
【0062】
<処理の流れ>
図12は、本実施例のカーナビゲーション装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0063】
この図にあるように、まず、カーナビゲーション装置の回転ディスプレイが、縦型で利用されているか、横型で利用されているか、を判断する(ステップS1201)。そして、ステップS1201での判断結果が、回転ディスプレイが縦型で利用されているとの判断結果である場合には、カーナビゲーション画面を構成する優先情報とその他の情報を区別して取得する(ステップS1202A)。続いて、優先情報が画面上方の領域に表示されるようカーナビゲーション画面を生成し(ステップS1203A)、生成したカーナビゲーション画面を回転ディスプレイに出力する(ステップS1204A)。なお、ステップS1201での判断結果が、回転ディスプレイが横型で利用されているとの判断結果である場合には、実施例1で説明したような処理の流れとなるため、その説明は省略する。
【0064】
<効果の簡単な説明>
以上のように本実施例のカーナビゲーション装置によって、運転に際して優先度の高いと思われる優先情報が縦型で利用されているディスプレイの表示領域上方に表示される。したがってユーザーはさらにより少ない視線移動で、それら情報を確認することができる。
【0065】
≪実施例3≫
<概要>
本実施例は、上記実施例を基本として、その優先情報を表示するディスプレイの領域が、車両の運転視界の領域に含まれるよう構成することを特徴とするカーナビゲーション装置である。
【0066】
図13は、本実施例のカーナビゲーション装置による情報表示の一例を表す図である。この図では、例えば車両のダッシュボード(計器類やハンドルなどが備えられた運転席前面のボード)上のフロントガラスから見える領域を「運転視界」としている。したがって本実施例のカーナビゲーション装置は、回転ディスプレイを縦型で利用した場合に、運転視界と非運転視界との境界線であるフロントガラスとダッシュボードとの接続線βよりも上方に優先情報の表示領域αが配されるよう構成されている、という具合である。そして、それによって、運転者はフロントガラス越しの前方道路からほとんど視線を動かすことなくディスプレイに表示された優先情報を確認することができる。
【0067】
<機能的構成>
本実施例のカーナビゲーション装置における構成要件は、上記実施例2にて説明したものと同様であるので、その説明は省略する。そして、本実施例のカーナビゲーション装置の特徴点は、「優先画面構成手段」が、回転ディスプレイを縦型にて利用する場合に表示領域の上半分となる(優先情報が表示される)領域を車両の運転視界の領域とする点である。
【0068】
「運転視界」とは、フロントガラスの下端から地面に平行に引いた線よりも上方の空間にある視界範囲をいう。そしてフロントガラス越しに前方道路が見えることから、運転視界にあるものは基本的に運転中に視界に入り易いと考えることができる。したがって、運転視界に含まれるよう優先情報が表示される領域を配置することで、運転者は運転中に前方の道路から視線をあまり動かさずに、意識を回転ディスプレイに向ける程度でその優先情報を確認することができる。
【0069】
以下、図14を用いてさらに詳細に運転視界について説明する。この図にあるように、例えば、車両の運転席内には、その前面に「ダッシュボード」が配されている。またダッシュボードにはスピードメータやガソリンメータなどの「計器類」や「ハンドル」などが取り付けられている。またダッシュボード前方の外部には、図示しない「ボンネット」が設けられ、下部方向への視界がさえぎられている。そして、ボンネット上部には「フロントガラス」が配置され、運転者はそのフロントガラス越しに、ボンネットの先の伸びる道路やその他周囲の状況を確認しながら運転を行う。
【0070】
そして、本実施例のカーナビゲーション装置の「回転ディスプレイ」は、図に示すように「ダッシュボード」の例えばハンドルの右(あるいは左)側に取り付けられている。そしてその取り付けは、図13にあるように、縦型でディスプレイを利用した際の優先情報の表示領域αが、運転視界の境界線となる例えば「フロントガラス」と「ダッシュボード」との接続線βの上方に位置するよう取り付けられる。また、回転させて横型で利用した際には、回転ディスプレイの全表示領域が運転視界(例えばフロントガラスとダッシュボードの境界線βの上方空間)よりも下側に配置されるよう取り付けられる、という具合である。
【0071】
なお、例えば車両に後付でカーナビゲーション装置及びそのディスプレイを取り付ける場合には、その取り付け位置に応じて、ユーザーが優先情報の表示領域が運転視界に含まれるよう任意に設定しても良い。
【0072】
また、車両がフロントガラス(風防ガラス)を備えない自動二輪車などであれば、そのフロントガラスがあるとして、ヘッドライト最上部の点から地面に平行に引いた線の上方の空間にある視界範囲を運転視界とすると良い。
【0073】
<効果の簡単な説明>
以上のように、本実施例のカーナビゲーション装置は、回転ディスプレイを縦型で利用した際に優先情報の表示領域が運転視界となるよう車両に取り付けられているので、運転者は、運転視界内にある前方の道路から視線をあまり動かさずに、意識を回転ディスプレイに向ける程度でその優先情報を確認することができる。
【符号の説明】
【0074】
0200 カーナビゲーション装置
0201 回転ディスプレイ
0202 ナビ出力部
0203 非ナビ出力部
0204 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型と横型の双方で利用できる長方形の回転ディスプレイと、
回転ディスプレイに対してカーナビゲーション画面を出力するナビ出力部と、
回転ディスプレイに対してカーナビゲーション以外の画面を出力する非ナビ出力部と、
回転ディスプレイが縦型で利用されている場合には回転ディスプレイに対してナビ出力部からの出力を表示するように制御し、回転ディスプレイが横型で利用されている場合には非ナビ出力部からの出力が表示されるように制御する制御部と、
を有するカーナビゲーション装置。
【請求項2】
他の情報と比べて優先的に運転者に告知すべき優先情報を保持する優先情報保持部と、
優先情報保持部から優先情報を選択してナビ出力部に出力する優先情報出力部と、
を有し、
ナビ出力部は、優先情報出力部から優先情報を受け取った場合には、回転ディスプレイを縦型にて利用する場合に表示領域の上半分となる領域のいずれかに優先情報が表示されるようにカーナビゲーション画面を構成する優先画面構成手段を有する
請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカーナビゲーション装置であって、優先画面構成手段は、前記上半分となる領域を車両の運転視界の領域とするカーナビゲーション装置。
【請求項4】
回転ディスプレイが横型にて利用される場合に回転ディスプレイの全表示領域が前記運転視界よりも下側に配置される請求項3に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一に記載のカーナビゲーション装置を備えた車両。
【請求項1】
縦型と横型の双方で利用できる長方形の回転ディスプレイと、
回転ディスプレイに対してカーナビゲーション画面を出力するナビ出力部と、
回転ディスプレイに対してカーナビゲーション以外の画面を出力する非ナビ出力部と、
回転ディスプレイが縦型で利用されている場合には回転ディスプレイに対してナビ出力部からの出力を表示するように制御し、回転ディスプレイが横型で利用されている場合には非ナビ出力部からの出力が表示されるように制御する制御部と、
を有するカーナビゲーション装置。
【請求項2】
他の情報と比べて優先的に運転者に告知すべき優先情報を保持する優先情報保持部と、
優先情報保持部から優先情報を選択してナビ出力部に出力する優先情報出力部と、
を有し、
ナビ出力部は、優先情報出力部から優先情報を受け取った場合には、回転ディスプレイを縦型にて利用する場合に表示領域の上半分となる領域のいずれかに優先情報が表示されるようにカーナビゲーション画面を構成する優先画面構成手段を有する
請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカーナビゲーション装置であって、優先画面構成手段は、前記上半分となる領域を車両の運転視界の領域とするカーナビゲーション装置。
【請求項4】
回転ディスプレイが横型にて利用される場合に回転ディスプレイの全表示領域が前記運転視界よりも下側に配置される請求項3に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一に記載のカーナビゲーション装置を備えた車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−208566(P2010−208566A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58997(P2009−58997)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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