カーナビゲーション装置
【課題】道路上を走行する路面電車や路線バスなどの路線車両についての最新情報を保持し、この最新情報に基づいて路線車両の走行状況に応じたルート算出を可能にする。
【解決手段】カーナビゲーション装置1は、ナビECU2、位置検出器3、地図データ記憶装置4と、表示装置5、音声出力装置6、操作スイッチ群9と、メディア接続部10、外部情報受信部11などを備えている。ナビECU2は、メディア接続部10又は外部情報受信部11により取得した交通機関データが、改廃されているときに当該交通機関データを更新し、道路データを用いて出発地から目的地までの通常ルートを算出すると共に、該通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には、当該路線車両の経路を外した特別ルートを算出し、いずれかのルートについての案内を行う。
【解決手段】カーナビゲーション装置1は、ナビECU2、位置検出器3、地図データ記憶装置4と、表示装置5、音声出力装置6、操作スイッチ群9と、メディア接続部10、外部情報受信部11などを備えている。ナビECU2は、メディア接続部10又は外部情報受信部11により取得した交通機関データが、改廃されているときに当該交通機関データを更新し、道路データを用いて出発地から目的地までの通常ルートを算出すると共に、該通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には、当該路線車両の経路を外した特別ルートを算出し、いずれかのルートについての案内を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルート算出機能を備えるものにあって、道路上を走行する路面電車や路線バスといった路線車両の走行状況に応じたルート算出が可能なカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、環境問題の観点などから、路面電車復活を唱える声が上がってきている。又、バスに関しては、特に通勤時間帯のラッシュ時に定時性を確保するために専用レーンを設置する場合がある。この路面電車や路線バスといった路線車両が走行する道路では、時間帯などによっては交通事情が大きく変わってしまうこともある。そのためにカーナビゲーション装置において、ルート案内する場合に、到着予測時刻に大きな影響を与えることがある。
【0003】
現在では、VICS(登録商標)やプローブといった外部からの交通情報システムで渋滞情報をキャッチし、ルート算出に反映する仕組みがあるが、VICSのカバー範囲外の道路であったり、プローグを搭載した車両があまり走っていないような地域では有効には機能しない。さらに、そのような地域で路面電車やバス専用レーンの改廃があった場合には、交通事情が大きく変わり、ルート案内が実態と異なるものになる可能性がある。
【0004】
上述の不具合を改善する方法として、最近のネットワークを応用した地図配信技術や、例えば下記特許文献1や特許文献2に開示されているように、踏み切り状態の案内への反映技術(外部から列車などの通過時間を読み込むことを含む)との組み合わせの応用が考えられる。
【特許文献1】特開2001−304887号公報
【特許文献2】特開2003−75170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの技術には、路面電車やバスレーンを走行する路面バスなどの路線車両の改廃や時刻表データを考慮した技術には言及しておらず、これら路線車両を考慮したルート案内が要望されている。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、道路上を走行する路面電車や路線バスなどの路線車両についての最新情報を保持し、この最新情報に基づいて路線車両の走行状況に応じたルート算出が可能なカーナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、取得手段により取得した交通機関データが、地図データ記憶手段に記憶されている交通機関データに対して改廃されているときには、更新手段により、当該交通機関データを更新するから、常に最新の交通機関データを保持できる。しかも、ルート算出手段が、地図データ記憶手段の道路データを用いて出発地から目的地までの通常ルートを算出すると共に、該通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には当該通常ルートに加えて、前記最新の交通機関データに基づいて当該路線車両の経路を外した特別ルートを算出するから、路線車両の最新のデータを加味した特別ルートに基づいて実態にあったルート案内を行うことが可能となる。しかも、通常ルートと特別ルートとがある場合にいずれかを選択手段により選択できて利便性が高い。
【0008】
この場合、前記算出手段が、前記地図データ記憶手段の道路データを用いて出発地から目的地までの通常ルートを算出すると共に、該通常案内ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には当該通常ルートに加えて、当該路線車両の経路を外した特別ルートを算出し、又、該通常案内ルート内もしくは近くに前記路線車両の経路が存在する場合には、当該路線車両への乗り換えを含めた併用ルートを算出するようにしても良い(請求項2の発明)。
【0009】
このようにすれば、路線車両を利用することも可能となる。
又、前記算出手段は、前記通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には、自車両が該経路で前記路線車両と遭遇もしくは接近することが予測されることを条件に、前記特別ルートを算出するようにしても良い(請求項3の発明)。この請求項3の発明は、次の点に着目してなされている。すなわち、前記通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合であっても、自車両が路線車両と遭遇もしくは接近することがない場合には、自車両が渋滞に巻き込まれることは少ないものである。このような場合には、路線車両の経路を含む通常ルートでも渋滞に巻き込まれることを回避できる。そして、通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合であって、自車両が路線車両と遭遇もしくは接近することが予想されたときに特別ルートを算出すれば良い。
【0010】
この点を考慮した請求項3の発明においては、前記通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合であっても、自車両が路線車両と遭遇もしくは接近することがない場合には、通常ルートを採用しても渋滞に遭遇することを回避でき、また、特別ルートを算出する手間を省くことができる。
【0011】
又、前記地図データには駐車場データが含まれ、前記交通機関データには路線車両利用料金データが含まれ、前記併用ルートを算出したときには、乗り換え位置近くの駐車場位置、路線車両利用料金を呈示するようにしても良い(請求項4の発明)。このようにすれば、路面車両への乗り換え位置つまり駅や停留所の近くの駐車場を案内できると共に、該駅や停留所からの路線車両利用料金を呈示できて、利便性が高い。
【0012】
又、前記選択手段はユーザーが入力する入力手段であっても良い(請求項5の発明)。このようにすると、ユーザーのルート選択意思を逐一確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施例について図1ないし図9参照して説明する。
全体の電気的構成を概略的に示す図1において、カーナビゲーション装置1は、そのナビゲーション動作を制御する機能を有したナビECU2と、位置検出器3と、地図データ記憶装置4と、報知手段たる表示装置5と、音声を出力する報知手段たる音声出力装置6と、リモコン7からの信号を受信するリモコンセンサ8と、ナビゲーションに必要な各種操作を行なうための操作スイッチ群9と、メディア接続部10と、外部情報受信部11とを備えて構成されている。
【0014】
ナビECU2は、更新手段、ルート算出手段、案内手段に相当するものであり、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース及びこれらを接続するバスラインなど(何れも図示せず)を備えている。これらのうち、ROMには、カーナビゲーション用のプログラムなどが格納され、RAMにはプログラム実行時の処理データの他に地図データ記憶装置4から取得した道路データや、外部情報受信部11又はメディア接続部10が取得した交通機関情報などが一時的に格納される。
【0015】
位置検出器3は、図示しないが、ヨー角速度(ヨーレート)を検出するためのジャイロスコープや、車両の走行距離検出などに使用される車速センサ及びGPS用人工衛星からの信号を受信するGPS受信機から構成されており、車両の現在位置情報を算出する部分であり、また、時刻情報も含まれている。
【0016】
地図データ記憶装置4は、地図データ記憶手段に相当し、書き換え可能な記憶手段である例えばハードディスクドライブから構成されており、地図表示のための地図描画用データ、マップマッチングやルート探索、ルート誘導などの種々の処理に必要な道路データ、交差点の詳細データから成る交差点データなどが記憶されている。さらに、この道路データには、路面電車や路線バスなどの路線車両の経路データ、駅や停留所の地点や名称のデータが含まれている。特に、上記道路データは、表示可能な地図についての全部のノード及びリンクについての情報(ノードの位置情報、ノードの属性フラグなど)を網羅した状態となっている。上記リンクは固有IDが付けられていて、道路上の位置を認識できるようになっている。
【0017】
さらにこの地図データ記憶装置4には、前記路面電車や路線バスなどの時刻表データも記憶されている。
例えば、路面電車経路を含む道路(図2参照)に関する道路データは、図3に示すように、通常ノードと、駅ノードと、通常の道路リンクと、電車軌道付き道路リンクを有するデータとなっている。また、電車専用軌道と、路面軌道とを有する路面電車の経路データの全体は図4に示すように、駅ノードと、専用軌道リンクと、電車軌道付き道路リンクとを有する経路データとなっている。また、この場合、地図データ記憶装置4は、各駅A、B、C、Dにおける時刻表データも記憶し(図4に時刻表データの一部を示す)、さらに各駅近くの駐車場位置も記憶している。さらにこの地図データ記憶装置4には、バスレーンを備えた道路についても、同様に、バスレーン付き道路リンク、停留所ノードを有する道路データを記憶している。
【0018】
表示装置5は、地図画面などを表示するための例えばカラー液晶ディスプレイを含んで構成されており、車両の運転席近傍に設置される。この表示装置6の画面には、通常時において縮尺を複数段階に変更可能な道路地図が表示されると共に、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置及び進行方向を示すポインタが表示されるようになっている。また、目的地までのルート算出結果に基づいたルート案内機能の実行時には、道路地図に重ね合わせた状態で進むべき案内ルートが表示されるようになっている。さらに、ユーザーによる目的地などの検索及び入力のための各種の入力画面、並びに各種のメッセージやインフォメーションなども表示されるようになっている。
【0019】
音声出力装置6は、音声合成回路、アンプ、スピーカなどを備えたもので、ナビECU2からの音声情報に応じた音声出力を発生する構成となっており、前記ルート案内機能の実行時に音声ガイダンスを行うと共に、警告報知を行なう。
【0020】
操作スイッチ群9は、選択手段、入力手段に相当し、表示装置5の周辺に配置されたメカニカルスイッチや表示装置5のカラー液晶ディスプレイ上に形成されたタッチスイッチなどから成り、各種のデータや設定事項などの操作入力をナビECU2に与えるために設けられている。なお、リモコン7も選択手段、入力手段に相当する。
【0021】
メディア接続部10は、外部情報提供部に相当するメディア13(メモリカードや、フラッシュメモリ、さらにはハードディスクドライブなどから構成されている)を接続するものであり、取得手段に相当する。前記メディア13は、地図データや、路線車両経路データ、時刻表データについての更新情報を記憶しており、該メディア接続部10からこの更新情報の取得が可能である。
【0022】
外部情報受信部11は、上記メディア接続部10同様に取得手段に相当する。この外部情報受信部11は、外部情報提供部に相当する地上側設備12と広域通信網を介して通信可能である。この場合、この地上側設備12は、道路データや、路線車両経路データ、及び時刻表データについての最新情報を記憶しており、例えば定期的にあるいは必要に応じて更新すべき情報を外部に送信している。この更新情報を前記外部情報受信部11が取得する。なお、この更新情報には渋滞情報なども含まれている。
【0023】
ここで、ナビECU2は、現在位置を地図上に位置付けるマップマッチング処理を実行するという基本的な地図表示機能の他に、操作スイッチ群10やリモコン7を通じて目的地や経由地などの地点データが入力されたときに、その地点データに基づいて現在位置から目的地までのルート算出動作を例えばダイクストラ法を用いて行い、そのルート算出結果に基づいて設定された案内ルートを地図画面上に表示するというルート算出機能(ルート算出手段に相当)や、この機能により得られた案内ルートに基づいて音声や表示などにより種々のガイドを行うルート案内機能(案内手段に相当)など、周知の支援機能を備えている。
【0024】
この場合、ナビECU2は、後述するが、通常ルートと、特別ルートと、併用ルートとを算出できるものである。
上記ナビECU2の制御動作について図5及び図6を参照して説明する。図5には、更新処理に関する制御動作を示している。ステップS1では、外部情報受信部11が、外部データ提供部である地上側設備12から道路データや交通機関データの情報を取得したか、又は、メディア接続部10がメディア13から道路データや交通機関データの情報を取得したか、否かを判断する。
【0025】
ステップS2では、道路データ及び交通機関データに改廃などの更新情報が有るか否かを確認し、ステップS3で更新情報が有ることが判断されると、ステップS4で道路データを更新する。この更新の一例を図7(a)及び図7(b)に示す。図7(a)には、交通機関データ(路線車両の経路データ)が記憶されている場合のデータ内容を示しており、路面電車が廃止される更新情報があった場合には、この図7(a)で示される電車軌道付き道路リンク、駅ノード、専用軌道リンクを、図7(b)に示すように、廃止して、通常ノード及び通常リンクに戻すといった更新を行う。
【0026】
又、交通機関データが記憶されていない状態(図7(b)の状態)から、新規の交通機関データが追加された場合には、図7(a)に示すように、新規データ(この場合電車軌道付き道路リンク、駅ノード、専用軌道リンク)を追加更新する(地図データ記憶装置4に新規データを記憶する)。
【0027】
次のステップS5では、時刻表データ、料金データの更新の有無を確認し、ステップS6で、更新データが有ることが判断されると、ステップS7で、データを更新する。すなわち、時刻表データ、料金データが改定の場合には、改定された時刻表データ、料金データを更新する(地図データ記憶装置4に記憶されている前のデータを消去して改定データを記憶する)。また、時刻表データ、料金データが新設の場合には、新規データを更新する。また、交通機関廃止の情報を取得した場合には、これまでの時刻表データ及び料金データ情報は消去する。さらに、更新道路データに路面電車及びバスといった路線車両の経路データがなくても、時刻表データが有れば、該時刻表データを残す。さらに更新道路データに更新道路データに路面電車及びバスといった路線車両の経路データがあっても廃止情報があればこれら時刻表及び料金情報を消去する。
【0028】
次に図6に基づいて、ナビECU2が行うルート算出処理などについて説明する。
まずステップT1では、ユーザーによる目的地設定が有ったか否かを判断し、目的地設定が有ると、ステップT2で通常ルートを算出する。すなわち、路線車両経路を含む道路データに基づく通常のルート算出を行う。この場合、地上側設備12が渋滞情報を送信していれば、その渋滞情報を加味しても良い。
【0029】
ステップT3では、当該通常ルート中に路線車両経路が含まれているか否かを判断する。今、例えば、図8に示すように、通常ルートが点線で示すルートであった場合、区間Q−Q´間で路線車両経路が含まれていることになる。この区間Q−Q´間では、路線車両及び駅による渋滞が予測されるから、この区間Q−Q´間に代えて、路線車両経路ではない区間R−R´間を通る特別ルートを算出する。
【0030】
ここで、上述の通常ルート内に駅又は停留所が有るか(ステップT5)、もしくは通常ルートの近くに駅又は停留所が有るか(ステップT6)した場合、ステップT7に移行して、併用ルートを算出する。この併用ルートは、自車両から路線車両に乗り換えるルートである。例えば図9に示すように、乗り換えが可能な駅又は停留所までの自車両移動ルートを算出するとともに、当該駅又は停留所近くの駐車場を割出し、そこからの歩行ルートも算出し、さらに、時刻表データに基づく乗車時刻や、料金データに基づく路線車両利用料金を求め、表示装置5に表示する。さらに駐車料金を表示するようにしても良い。
【0031】
次のステップT8では、算出された各ルートを表示し、ステップT9でユーザーによるルート選択入力を待つ。ユーザーによりいずれかのルートが選択入力されると、ステップT10に移行して、選択されたルートをルート案内する。
【0032】
このように本実施例によれば、外部情報受信部11又はメディア接続部10により取得した交通機関データが、地図データ記憶装置4に記憶されている交通機関データに対して改廃されているときには、ナビECU2の更新手段により、当該交通機関データを更新するから、常に最新の交通機関データを保持できる。しかも、ナビECU2におけるルート算出手段が、地図データ記憶装置4の道路データを用いて出発地から目的地までの通常ルートを算出すると共に、該通常ルート内に路面電車やバスといった路線車両の経路が存在する場合には当該通常ルートに加えて、前記最新の交通機関データに基づいて当該路線車両の経路を外した特別ルートを算出するから、路線車両の最新のデータを加味した特別ルートに基づいて実態にあったルート案内を行うことが可能となる。しかも、通常ルートと特別ルートとがある場合にいずれかを選択手段により選択できて利便性が高い。
【0033】
又本実施例によれば、ナビECU2の算出手段が、該通常案内ルート内もしくは近くに前記路線車両の経路が存在する場合には、当該路線車両への乗り換えを含めた併用ルートを算出するから、路線車両を利用することも可能となる。
【0034】
又、本実施例によれば、前記地図データには駐車場データが含まれ、前記交通機関データには路線車両利用料金データが含まれ、前記併用ルートを算出したときには、乗り換え位置近くの駐車場位置、路線車両利用料金を呈示するようにしたから、路面車両への乗り換え位置つまり駅や停留所の近くの駐車場を案内できると共に、該駅や停留所からの路線車両利用料金を呈示できて、利便性が高い。
【0035】
図10は本発明の第2の実施例を示しており、この第2の実施例においては、ナビECU2における前記算出手段が、前記通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には、自車両が該経路で前記路線車両と遭遇もしくは接近することが予測されることを条件に、前記特別ルートを算出するようにした点が第1の実施例と異なる。
【0036】
すなわち、ステップT3で、通常ルート内に路線車両の経路が存在することが判断されると(「YES」)、ステップT3aに移行し、自車両が該経路で前記路線車両と遭遇もしくは接近することが予測されるか否かを判断する。この判断は次のようにしてなされる。例えば、図11に示すように、通常ルートがリンクa1で路線車両の経路であるリンク2に交差する場合、該リンク2を路線車両が通過する時刻を時刻表データから割出す。この割出方法は、次の通りである。今、A駅の発車時刻が「9:10」で、B駅の到着時刻が「9:15」とした場合、路線車両がリンク2を通過する時間帯J2は、
9:10+5分×(リンク2の距離/(リンク1の距離+リンク2の距離))以後であって、且つ9:15以前となる。
【0037】
この時間帯J2と、自車両がリンクa1を通過する時間帯(予想時間帯)とが重なるもしくは接近することをもって、自車両が該経路で前記路線車両と遭遇もしくは接近することが予測されると判断する。
なお、上記図11において路線車両がリンク1を通過する時間帯J1は、
9:10以後であって、9:10+5分×(リンク1の距離/(リンク1の距離+リンク2の距離))以前となる。
【0038】
この第2の実施例によれば、前記通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合であっても、自車両が路線車両と遭遇もしくは接近することがない場合には、通常ルートを採用しても渋滞に遭遇することを回避でき、また、特別ルートを算出する手間を省くことができる。
【0039】
本発明は上記した各実施例に限定されず、次のように変形して実施しても良い。サーバーを使用することにより、リアルタイムに路線車両の遅延情報が取得できる場合には、この遅延情報をもとに路線車両の通過時間帯を本発明の第3の実施例を示す図12のように、時刻表データを一時的に補正して、より実態に近いルート算出を行うようにしても良い。その際、遅れが出ている駅/停留所ノード間は「渋滞可能性有り」ということであるから、ルートから外すようにしても良く、また、「渋滞可能性有り」の表示を行うようにしても良い。
【0040】
外部データ提供部としては、外部情報受信部11又はメディア接続部10のいずれかでも良いし、また、別の外部データ提供部を用いるようにしても良い。
又、自車両を使用せずに路線車両のみを使用するルートを算出し、このルートを、通常ルートや、特別ルートあるいは併用ルートとともに表示し、選択させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施例を示すカーナビゲーション装置のブロック図
【図2】道路を概略的に示す平面図
【図3】道路データを概略的に示す模式図
【図4】路線車両の経路データを概略的に示す模式図
【図5】ナビECUのデータ更新に関する制御内容を示すフローチャート
【図6】ナビECUのルート算出に関する制御内容を示すフローチャート
【図7】道路データの更新を説明するための図
【図8】通常ルートと特別ルートとを説明するための図
【図9】併用ルートを説明するための図
【図10】本発明の第2の実施例を示す図6相当図
【図11】遭遇予想を説明するための模式図
【図12】本発明の第3の実施例に関し、路線車両の遅延情報をもとに路線車両の時刻表情報を一時的に補正する場合を説明するための図
【符号の説明】
【0042】
図面中、1はカーナビゲーション装置、2はナビECU(更新手段、ルート算出手段、案内手段)、3は位置検出器、4は地図データ記憶装置(地図データ記憶手段)、5は表示装置、6は音声出力装置、9は操作スイッチ群(操作手段、入力手段)10はメディア接続部(取得手段)、11は外部情報受信部(取得手段)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルート算出機能を備えるものにあって、道路上を走行する路面電車や路線バスといった路線車両の走行状況に応じたルート算出が可能なカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、環境問題の観点などから、路面電車復活を唱える声が上がってきている。又、バスに関しては、特に通勤時間帯のラッシュ時に定時性を確保するために専用レーンを設置する場合がある。この路面電車や路線バスといった路線車両が走行する道路では、時間帯などによっては交通事情が大きく変わってしまうこともある。そのためにカーナビゲーション装置において、ルート案内する場合に、到着予測時刻に大きな影響を与えることがある。
【0003】
現在では、VICS(登録商標)やプローブといった外部からの交通情報システムで渋滞情報をキャッチし、ルート算出に反映する仕組みがあるが、VICSのカバー範囲外の道路であったり、プローグを搭載した車両があまり走っていないような地域では有効には機能しない。さらに、そのような地域で路面電車やバス専用レーンの改廃があった場合には、交通事情が大きく変わり、ルート案内が実態と異なるものになる可能性がある。
【0004】
上述の不具合を改善する方法として、最近のネットワークを応用した地図配信技術や、例えば下記特許文献1や特許文献2に開示されているように、踏み切り状態の案内への反映技術(外部から列車などの通過時間を読み込むことを含む)との組み合わせの応用が考えられる。
【特許文献1】特開2001−304887号公報
【特許文献2】特開2003−75170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの技術には、路面電車やバスレーンを走行する路面バスなどの路線車両の改廃や時刻表データを考慮した技術には言及しておらず、これら路線車両を考慮したルート案内が要望されている。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、道路上を走行する路面電車や路線バスなどの路線車両についての最新情報を保持し、この最新情報に基づいて路線車両の走行状況に応じたルート算出が可能なカーナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、取得手段により取得した交通機関データが、地図データ記憶手段に記憶されている交通機関データに対して改廃されているときには、更新手段により、当該交通機関データを更新するから、常に最新の交通機関データを保持できる。しかも、ルート算出手段が、地図データ記憶手段の道路データを用いて出発地から目的地までの通常ルートを算出すると共に、該通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には当該通常ルートに加えて、前記最新の交通機関データに基づいて当該路線車両の経路を外した特別ルートを算出するから、路線車両の最新のデータを加味した特別ルートに基づいて実態にあったルート案内を行うことが可能となる。しかも、通常ルートと特別ルートとがある場合にいずれかを選択手段により選択できて利便性が高い。
【0008】
この場合、前記算出手段が、前記地図データ記憶手段の道路データを用いて出発地から目的地までの通常ルートを算出すると共に、該通常案内ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には当該通常ルートに加えて、当該路線車両の経路を外した特別ルートを算出し、又、該通常案内ルート内もしくは近くに前記路線車両の経路が存在する場合には、当該路線車両への乗り換えを含めた併用ルートを算出するようにしても良い(請求項2の発明)。
【0009】
このようにすれば、路線車両を利用することも可能となる。
又、前記算出手段は、前記通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には、自車両が該経路で前記路線車両と遭遇もしくは接近することが予測されることを条件に、前記特別ルートを算出するようにしても良い(請求項3の発明)。この請求項3の発明は、次の点に着目してなされている。すなわち、前記通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合であっても、自車両が路線車両と遭遇もしくは接近することがない場合には、自車両が渋滞に巻き込まれることは少ないものである。このような場合には、路線車両の経路を含む通常ルートでも渋滞に巻き込まれることを回避できる。そして、通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合であって、自車両が路線車両と遭遇もしくは接近することが予想されたときに特別ルートを算出すれば良い。
【0010】
この点を考慮した請求項3の発明においては、前記通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合であっても、自車両が路線車両と遭遇もしくは接近することがない場合には、通常ルートを採用しても渋滞に遭遇することを回避でき、また、特別ルートを算出する手間を省くことができる。
【0011】
又、前記地図データには駐車場データが含まれ、前記交通機関データには路線車両利用料金データが含まれ、前記併用ルートを算出したときには、乗り換え位置近くの駐車場位置、路線車両利用料金を呈示するようにしても良い(請求項4の発明)。このようにすれば、路面車両への乗り換え位置つまり駅や停留所の近くの駐車場を案内できると共に、該駅や停留所からの路線車両利用料金を呈示できて、利便性が高い。
【0012】
又、前記選択手段はユーザーが入力する入力手段であっても良い(請求項5の発明)。このようにすると、ユーザーのルート選択意思を逐一確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施例について図1ないし図9参照して説明する。
全体の電気的構成を概略的に示す図1において、カーナビゲーション装置1は、そのナビゲーション動作を制御する機能を有したナビECU2と、位置検出器3と、地図データ記憶装置4と、報知手段たる表示装置5と、音声を出力する報知手段たる音声出力装置6と、リモコン7からの信号を受信するリモコンセンサ8と、ナビゲーションに必要な各種操作を行なうための操作スイッチ群9と、メディア接続部10と、外部情報受信部11とを備えて構成されている。
【0014】
ナビECU2は、更新手段、ルート算出手段、案内手段に相当するものであり、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース及びこれらを接続するバスラインなど(何れも図示せず)を備えている。これらのうち、ROMには、カーナビゲーション用のプログラムなどが格納され、RAMにはプログラム実行時の処理データの他に地図データ記憶装置4から取得した道路データや、外部情報受信部11又はメディア接続部10が取得した交通機関情報などが一時的に格納される。
【0015】
位置検出器3は、図示しないが、ヨー角速度(ヨーレート)を検出するためのジャイロスコープや、車両の走行距離検出などに使用される車速センサ及びGPS用人工衛星からの信号を受信するGPS受信機から構成されており、車両の現在位置情報を算出する部分であり、また、時刻情報も含まれている。
【0016】
地図データ記憶装置4は、地図データ記憶手段に相当し、書き換え可能な記憶手段である例えばハードディスクドライブから構成されており、地図表示のための地図描画用データ、マップマッチングやルート探索、ルート誘導などの種々の処理に必要な道路データ、交差点の詳細データから成る交差点データなどが記憶されている。さらに、この道路データには、路面電車や路線バスなどの路線車両の経路データ、駅や停留所の地点や名称のデータが含まれている。特に、上記道路データは、表示可能な地図についての全部のノード及びリンクについての情報(ノードの位置情報、ノードの属性フラグなど)を網羅した状態となっている。上記リンクは固有IDが付けられていて、道路上の位置を認識できるようになっている。
【0017】
さらにこの地図データ記憶装置4には、前記路面電車や路線バスなどの時刻表データも記憶されている。
例えば、路面電車経路を含む道路(図2参照)に関する道路データは、図3に示すように、通常ノードと、駅ノードと、通常の道路リンクと、電車軌道付き道路リンクを有するデータとなっている。また、電車専用軌道と、路面軌道とを有する路面電車の経路データの全体は図4に示すように、駅ノードと、専用軌道リンクと、電車軌道付き道路リンクとを有する経路データとなっている。また、この場合、地図データ記憶装置4は、各駅A、B、C、Dにおける時刻表データも記憶し(図4に時刻表データの一部を示す)、さらに各駅近くの駐車場位置も記憶している。さらにこの地図データ記憶装置4には、バスレーンを備えた道路についても、同様に、バスレーン付き道路リンク、停留所ノードを有する道路データを記憶している。
【0018】
表示装置5は、地図画面などを表示するための例えばカラー液晶ディスプレイを含んで構成されており、車両の運転席近傍に設置される。この表示装置6の画面には、通常時において縮尺を複数段階に変更可能な道路地図が表示されると共に、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置及び進行方向を示すポインタが表示されるようになっている。また、目的地までのルート算出結果に基づいたルート案内機能の実行時には、道路地図に重ね合わせた状態で進むべき案内ルートが表示されるようになっている。さらに、ユーザーによる目的地などの検索及び入力のための各種の入力画面、並びに各種のメッセージやインフォメーションなども表示されるようになっている。
【0019】
音声出力装置6は、音声合成回路、アンプ、スピーカなどを備えたもので、ナビECU2からの音声情報に応じた音声出力を発生する構成となっており、前記ルート案内機能の実行時に音声ガイダンスを行うと共に、警告報知を行なう。
【0020】
操作スイッチ群9は、選択手段、入力手段に相当し、表示装置5の周辺に配置されたメカニカルスイッチや表示装置5のカラー液晶ディスプレイ上に形成されたタッチスイッチなどから成り、各種のデータや設定事項などの操作入力をナビECU2に与えるために設けられている。なお、リモコン7も選択手段、入力手段に相当する。
【0021】
メディア接続部10は、外部情報提供部に相当するメディア13(メモリカードや、フラッシュメモリ、さらにはハードディスクドライブなどから構成されている)を接続するものであり、取得手段に相当する。前記メディア13は、地図データや、路線車両経路データ、時刻表データについての更新情報を記憶しており、該メディア接続部10からこの更新情報の取得が可能である。
【0022】
外部情報受信部11は、上記メディア接続部10同様に取得手段に相当する。この外部情報受信部11は、外部情報提供部に相当する地上側設備12と広域通信網を介して通信可能である。この場合、この地上側設備12は、道路データや、路線車両経路データ、及び時刻表データについての最新情報を記憶しており、例えば定期的にあるいは必要に応じて更新すべき情報を外部に送信している。この更新情報を前記外部情報受信部11が取得する。なお、この更新情報には渋滞情報なども含まれている。
【0023】
ここで、ナビECU2は、現在位置を地図上に位置付けるマップマッチング処理を実行するという基本的な地図表示機能の他に、操作スイッチ群10やリモコン7を通じて目的地や経由地などの地点データが入力されたときに、その地点データに基づいて現在位置から目的地までのルート算出動作を例えばダイクストラ法を用いて行い、そのルート算出結果に基づいて設定された案内ルートを地図画面上に表示するというルート算出機能(ルート算出手段に相当)や、この機能により得られた案内ルートに基づいて音声や表示などにより種々のガイドを行うルート案内機能(案内手段に相当)など、周知の支援機能を備えている。
【0024】
この場合、ナビECU2は、後述するが、通常ルートと、特別ルートと、併用ルートとを算出できるものである。
上記ナビECU2の制御動作について図5及び図6を参照して説明する。図5には、更新処理に関する制御動作を示している。ステップS1では、外部情報受信部11が、外部データ提供部である地上側設備12から道路データや交通機関データの情報を取得したか、又は、メディア接続部10がメディア13から道路データや交通機関データの情報を取得したか、否かを判断する。
【0025】
ステップS2では、道路データ及び交通機関データに改廃などの更新情報が有るか否かを確認し、ステップS3で更新情報が有ることが判断されると、ステップS4で道路データを更新する。この更新の一例を図7(a)及び図7(b)に示す。図7(a)には、交通機関データ(路線車両の経路データ)が記憶されている場合のデータ内容を示しており、路面電車が廃止される更新情報があった場合には、この図7(a)で示される電車軌道付き道路リンク、駅ノード、専用軌道リンクを、図7(b)に示すように、廃止して、通常ノード及び通常リンクに戻すといった更新を行う。
【0026】
又、交通機関データが記憶されていない状態(図7(b)の状態)から、新規の交通機関データが追加された場合には、図7(a)に示すように、新規データ(この場合電車軌道付き道路リンク、駅ノード、専用軌道リンク)を追加更新する(地図データ記憶装置4に新規データを記憶する)。
【0027】
次のステップS5では、時刻表データ、料金データの更新の有無を確認し、ステップS6で、更新データが有ることが判断されると、ステップS7で、データを更新する。すなわち、時刻表データ、料金データが改定の場合には、改定された時刻表データ、料金データを更新する(地図データ記憶装置4に記憶されている前のデータを消去して改定データを記憶する)。また、時刻表データ、料金データが新設の場合には、新規データを更新する。また、交通機関廃止の情報を取得した場合には、これまでの時刻表データ及び料金データ情報は消去する。さらに、更新道路データに路面電車及びバスといった路線車両の経路データがなくても、時刻表データが有れば、該時刻表データを残す。さらに更新道路データに更新道路データに路面電車及びバスといった路線車両の経路データがあっても廃止情報があればこれら時刻表及び料金情報を消去する。
【0028】
次に図6に基づいて、ナビECU2が行うルート算出処理などについて説明する。
まずステップT1では、ユーザーによる目的地設定が有ったか否かを判断し、目的地設定が有ると、ステップT2で通常ルートを算出する。すなわち、路線車両経路を含む道路データに基づく通常のルート算出を行う。この場合、地上側設備12が渋滞情報を送信していれば、その渋滞情報を加味しても良い。
【0029】
ステップT3では、当該通常ルート中に路線車両経路が含まれているか否かを判断する。今、例えば、図8に示すように、通常ルートが点線で示すルートであった場合、区間Q−Q´間で路線車両経路が含まれていることになる。この区間Q−Q´間では、路線車両及び駅による渋滞が予測されるから、この区間Q−Q´間に代えて、路線車両経路ではない区間R−R´間を通る特別ルートを算出する。
【0030】
ここで、上述の通常ルート内に駅又は停留所が有るか(ステップT5)、もしくは通常ルートの近くに駅又は停留所が有るか(ステップT6)した場合、ステップT7に移行して、併用ルートを算出する。この併用ルートは、自車両から路線車両に乗り換えるルートである。例えば図9に示すように、乗り換えが可能な駅又は停留所までの自車両移動ルートを算出するとともに、当該駅又は停留所近くの駐車場を割出し、そこからの歩行ルートも算出し、さらに、時刻表データに基づく乗車時刻や、料金データに基づく路線車両利用料金を求め、表示装置5に表示する。さらに駐車料金を表示するようにしても良い。
【0031】
次のステップT8では、算出された各ルートを表示し、ステップT9でユーザーによるルート選択入力を待つ。ユーザーによりいずれかのルートが選択入力されると、ステップT10に移行して、選択されたルートをルート案内する。
【0032】
このように本実施例によれば、外部情報受信部11又はメディア接続部10により取得した交通機関データが、地図データ記憶装置4に記憶されている交通機関データに対して改廃されているときには、ナビECU2の更新手段により、当該交通機関データを更新するから、常に最新の交通機関データを保持できる。しかも、ナビECU2におけるルート算出手段が、地図データ記憶装置4の道路データを用いて出発地から目的地までの通常ルートを算出すると共に、該通常ルート内に路面電車やバスといった路線車両の経路が存在する場合には当該通常ルートに加えて、前記最新の交通機関データに基づいて当該路線車両の経路を外した特別ルートを算出するから、路線車両の最新のデータを加味した特別ルートに基づいて実態にあったルート案内を行うことが可能となる。しかも、通常ルートと特別ルートとがある場合にいずれかを選択手段により選択できて利便性が高い。
【0033】
又本実施例によれば、ナビECU2の算出手段が、該通常案内ルート内もしくは近くに前記路線車両の経路が存在する場合には、当該路線車両への乗り換えを含めた併用ルートを算出するから、路線車両を利用することも可能となる。
【0034】
又、本実施例によれば、前記地図データには駐車場データが含まれ、前記交通機関データには路線車両利用料金データが含まれ、前記併用ルートを算出したときには、乗り換え位置近くの駐車場位置、路線車両利用料金を呈示するようにしたから、路面車両への乗り換え位置つまり駅や停留所の近くの駐車場を案内できると共に、該駅や停留所からの路線車両利用料金を呈示できて、利便性が高い。
【0035】
図10は本発明の第2の実施例を示しており、この第2の実施例においては、ナビECU2における前記算出手段が、前記通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には、自車両が該経路で前記路線車両と遭遇もしくは接近することが予測されることを条件に、前記特別ルートを算出するようにした点が第1の実施例と異なる。
【0036】
すなわち、ステップT3で、通常ルート内に路線車両の経路が存在することが判断されると(「YES」)、ステップT3aに移行し、自車両が該経路で前記路線車両と遭遇もしくは接近することが予測されるか否かを判断する。この判断は次のようにしてなされる。例えば、図11に示すように、通常ルートがリンクa1で路線車両の経路であるリンク2に交差する場合、該リンク2を路線車両が通過する時刻を時刻表データから割出す。この割出方法は、次の通りである。今、A駅の発車時刻が「9:10」で、B駅の到着時刻が「9:15」とした場合、路線車両がリンク2を通過する時間帯J2は、
9:10+5分×(リンク2の距離/(リンク1の距離+リンク2の距離))以後であって、且つ9:15以前となる。
【0037】
この時間帯J2と、自車両がリンクa1を通過する時間帯(予想時間帯)とが重なるもしくは接近することをもって、自車両が該経路で前記路線車両と遭遇もしくは接近することが予測されると判断する。
なお、上記図11において路線車両がリンク1を通過する時間帯J1は、
9:10以後であって、9:10+5分×(リンク1の距離/(リンク1の距離+リンク2の距離))以前となる。
【0038】
この第2の実施例によれば、前記通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合であっても、自車両が路線車両と遭遇もしくは接近することがない場合には、通常ルートを採用しても渋滞に遭遇することを回避でき、また、特別ルートを算出する手間を省くことができる。
【0039】
本発明は上記した各実施例に限定されず、次のように変形して実施しても良い。サーバーを使用することにより、リアルタイムに路線車両の遅延情報が取得できる場合には、この遅延情報をもとに路線車両の通過時間帯を本発明の第3の実施例を示す図12のように、時刻表データを一時的に補正して、より実態に近いルート算出を行うようにしても良い。その際、遅れが出ている駅/停留所ノード間は「渋滞可能性有り」ということであるから、ルートから外すようにしても良く、また、「渋滞可能性有り」の表示を行うようにしても良い。
【0040】
外部データ提供部としては、外部情報受信部11又はメディア接続部10のいずれかでも良いし、また、別の外部データ提供部を用いるようにしても良い。
又、自車両を使用せずに路線車両のみを使用するルートを算出し、このルートを、通常ルートや、特別ルートあるいは併用ルートとともに表示し、選択させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施例を示すカーナビゲーション装置のブロック図
【図2】道路を概略的に示す平面図
【図3】道路データを概略的に示す模式図
【図4】路線車両の経路データを概略的に示す模式図
【図5】ナビECUのデータ更新に関する制御内容を示すフローチャート
【図6】ナビECUのルート算出に関する制御内容を示すフローチャート
【図7】道路データの更新を説明するための図
【図8】通常ルートと特別ルートとを説明するための図
【図9】併用ルートを説明するための図
【図10】本発明の第2の実施例を示す図6相当図
【図11】遭遇予想を説明するための模式図
【図12】本発明の第3の実施例に関し、路線車両の遅延情報をもとに路線車両の時刻表情報を一時的に補正する場合を説明するための図
【符号の説明】
【0042】
図面中、1はカーナビゲーション装置、2はナビECU(更新手段、ルート算出手段、案内手段)、3は位置検出器、4は地図データ記憶装置(地図データ記憶手段)、5は表示装置、6は音声出力装置、9は操作スイッチ群(操作手段、入力手段)10はメディア接続部(取得手段)、11は外部情報受信部(取得手段)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、出発地から目的地までのルートを算出して案内するカーナビゲーション装置であって、
道路データと、予め定められた時刻表に従って通る路面電車や路線バスなどの道路上を走行する路線車両の経路データ及び当該路線車両の時刻表データを含む交通機関データとを、書き換え可能に記憶する地図データ記憶手段と、
外部データ提供部から提供される交通機関データの情報を取得する取得手段と、
この取得手段により取得した交通機関データが、該地図データ記憶手段に記憶されている交通機関データに対して改廃されているときに当該交通機関データを更新する更新手段と、
前記地図データ記憶手段の道路データを用いて出発地から目的地までの通常ルートを算出すると共に、該通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には当該通常ルートに加えて、当該路線車両の経路を外した特別ルートを算出する前記ルート算出手段と、
前記ルート算出手段により算出されたルートが複数である場合にいずれかのルートを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択されたルートについての案内を行う案内手段と
を備えたことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記地図データ記憶手段の道路データを用いて出発地から目的地までの通常ルートを算出すると共に、該通常案内ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には当該通常ルートに加えて、当該路線車両の経路を外した特別ルートを算出し、又、該通常案内ルート内もしくは近くに前記路線車両の経路が存在する場合には、当該路線車両への乗り換えを含めた併用ルートを算出することを特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には、自車両が該経路で前記路線車両と遭遇もしくは接近することが予測されることを条件に、前記特別ルートを算出することを特徴とする請求項1又は2に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記地図データには駐車場データが含まれ、
前記交通機関データには路線車両利用料金データが含まれ、
前記併用ルートを算出したときには、乗り換え位置近くの駐車場位置、路線車両利用料金を呈示することを特徴とする請求項2又は3に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
前記選択手段はユーザーが入力する入力手段であることを特徴とする1ないし4のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項1】
車両に搭載され、出発地から目的地までのルートを算出して案内するカーナビゲーション装置であって、
道路データと、予め定められた時刻表に従って通る路面電車や路線バスなどの道路上を走行する路線車両の経路データ及び当該路線車両の時刻表データを含む交通機関データとを、書き換え可能に記憶する地図データ記憶手段と、
外部データ提供部から提供される交通機関データの情報を取得する取得手段と、
この取得手段により取得した交通機関データが、該地図データ記憶手段に記憶されている交通機関データに対して改廃されているときに当該交通機関データを更新する更新手段と、
前記地図データ記憶手段の道路データを用いて出発地から目的地までの通常ルートを算出すると共に、該通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には当該通常ルートに加えて、当該路線車両の経路を外した特別ルートを算出する前記ルート算出手段と、
前記ルート算出手段により算出されたルートが複数である場合にいずれかのルートを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択されたルートについての案内を行う案内手段と
を備えたことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記地図データ記憶手段の道路データを用いて出発地から目的地までの通常ルートを算出すると共に、該通常案内ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には当該通常ルートに加えて、当該路線車両の経路を外した特別ルートを算出し、又、該通常案内ルート内もしくは近くに前記路線車両の経路が存在する場合には、当該路線車両への乗り換えを含めた併用ルートを算出することを特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記通常ルート内に前記路線車両の経路が存在する場合には、自車両が該経路で前記路線車両と遭遇もしくは接近することが予測されることを条件に、前記特別ルートを算出することを特徴とする請求項1又は2に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記地図データには駐車場データが含まれ、
前記交通機関データには路線車両利用料金データが含まれ、
前記併用ルートを算出したときには、乗り換え位置近くの駐車場位置、路線車両利用料金を呈示することを特徴とする請求項2又は3に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
前記選択手段はユーザーが入力する入力手段であることを特徴とする1ないし4のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−38625(P2010−38625A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199600(P2008−199600)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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