説明

カーブコンベアおよびカーブベルト

【課題】カーブベルトの波打ち走行を抑制し、ベルトのロック現象、ビードの破損を防止する。
【解決手段】外周縁部に分割ビードが設けられたカーブベルト10をエンドローラ21、22に掛け回しカーブコンベア20に装着する。カーブコンベア20の下側を走行するカーブベルト10を駆動ローラ23とニップベアリング24、25とで把持し、駆動ローラ23の回転によりカーブベルト10を搬送する。下側を走行するカーブベルト10の分割ビードをガイドバー32、33で保持するとともに、ガイドバー32、33と対面する支持板34、35で支持する。カーブベルト10の逆曲げ半径Rを、ベルトの出口側に設けられたニップベアリング24と駆動ローラ23とによってカーブベルト10が把持される位置から出口側の支持板34までの距離Dの1/2よりも大きく設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト位置を維持するためのビードがベルト外周縁部に設けられたカーブベルトを搬送用ベルトとして用いるカーブコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
カーブコンベアでは、一対のエンドローラにカーブベルトを掛け回し、カーブベルトを扇形に張設する。カーブコンベアでは、扇形の中心に向けた向心力がカーブベルトに作用するため、カーブベルトの外周縁部にはこの向心力に抗してベルトのずれを防止するベルト保持機構が設けられる。ベルト保持機構としては、例えばカーブベルトの外周縁部に沿って設けられたビードをコンベア本体に固定された保持機構により保持し、ベルトの径方向への変位を規制しながら、ベルトを周方向に搬送する。特に、エンドローラが小径となるカーブコンベアでは、ビードの割れを防止するため、ビードを周方向に沿って多数の短冊状の小片(分割ビード)に分割し、この分割ビードをガイドバーにより保持するものが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−338022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし上記カーブコンベアにおいて、ベルト張力を与えて駆動することが出来ない場合、ベルト周方向には一定の弛みが与えられる。このとき、保持機構には摺動抵抗があるため、ベルト駆動部の出口側(ベルト緩み側)においてベルトに逆曲げが発生してベルトが波打ち、分割ビードがカーブコンベアに設けられる支持板などのフレームに接触し、ベルトがロックし、これによりビードの破損を惹起する。
【0004】
本発明は、カーブベルトの波打ち走行を抑制し、ベルトのロック現象、ビードの破損を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るカーブコンベアは、カーブベルトと、カーブベルトを搬送するための駆動ローラと、カーブベルトを駆動ローラに押圧し、把持するニップベアリングと、駆動ローラのベルトの緩み側に設けられた支持板とを備え、カーブベルトの逆曲げ半径が、カーブベルトが駆動ローラとニップベアリングとにより把持される位置から支持板までの距離の1/2よりも大きいことを特徴としている。
【0006】
カーブベルトは、カーブコンベアの本体に設けられたベルト保持機構に係合され、カーブベルトの外周縁部に沿って隣接して配列された多数の分割ビードを備えることが好ましく、逆曲げ半径は隣接する分割ビード同士の干渉により決定される。このとき、分割ビードの形状、または隣接する分割ビード間の間隔に基づいて逆曲げ半径が決定される。また、分割ビードはベルト保持機構に係合される突起部を備え、これら突起部同士の接触により逆曲げ半径が決定される。
【0007】
本発明のカーブベルトは、カーブベルトを駆動ローラとニップベアリングとの間に挟んで搬送し、駆動ローラのベルトの緩み側にカーブベルトの走行をガイドする支持板を備えるカーブコンベアにおいて用いられるカーブベルトであって、カーブベルトの逆曲げ半径は、カーブベルトが駆動ローラとニップベアリングとにより把持される位置から支持板までの距離の1/2よりも大きいことを特徴とするカーブベルト。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明によれば、カーブベルトの波打ち走行を抑制し、ベルトのロック現象、ビードの破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態であるカーブベルトの外周縁近傍における部分拡大図である。
【0010】
カーブベルト10は、扇形状のシートの両端を繋ぎ合わせ、例えば円錐台形状の無端ベルトとしたものである。カーブベルト10は、一対のエンドローラ(図示せず)に掛け回され、扇状に張設されて使用される。カーブベルト10の表面(搬送面側)10Aにおいて、その外周縁部には、短冊状の多数の分割ビード11が、カーブベルト10の全周に渡り周方向に沿って隣接して配置される。
【0011】
図2は、本実施形態のカーブコンベア20の模式的な側面図である。図2において、カーブコンベア20は、張設されたカーブベルト10の内周縁側から見たベルト周方向に沿った外周縁近傍の側面を展開した模式図であり、カーブベルト10の扇形中央部が、図2におけるカーブコンベア20の略中央に対応する。図2に示されるように、カーブベルト10は、エンドローラ21、22に掛け回され、カーブベルト10のカーブコンベア20の上側を走行する面は、図示しない支持板によって水平に支持され搬送面を構成する。
【0012】
一方、カーブベルト10のカーブコンベア20の下側を走行する面は、駆動ローラ23と、一対のニップベアリング24、25によって把持され、カーブベルト10は駆動ローラ23の回転により搬送される。すなわち、図2おいて、駆動ローラ23は時計回りに回転され、駆動ローラ23とニップベアリング24、25によって把持されたカーブベルト10は、図中A方向に走行される。
【0013】
ニップベアリング24、25は、ベアリング保持部材26にそれぞれ軸支され、ベアリング保持部材26は、回動部材27に保持される。回動部材27の一端は、シャフト28によりベルトコンベア本体に軸支され、他端には回動部材27をベルトコンベア本体に固定するための取付機構29が設けられる。本実施形態において取付機構29は、例えばフック30を用いた機構であり、フック30をベルトコンベア本体に設けられた金具31に係合させることにより、回動部材27はベルトコンベア本体に固定される。
【0014】
すなわち、ベルト取り外し時には、フック30が金具31から取り外され、回動部材27がシャフト28の周りに回動されてニップベアリング24、25が駆動ローラ23から離接される。一方、ベルト取り付け時には、回動部材27を回動して、ニップベアリング24、25と駆動ローラ23の間にカーブベルト10が挟まれた状態でニップベアリング24、25を駆動ローラ23に押圧し、フック30を金具31に係合させてニップベアリング24、25の位置を固定する。これにより、カーブベルト10は、駆動ローラ23とニップベアリング24、25の間に把持され、駆動ローラ23の回転にともなって搬送される。
【0015】
図2において、カーブベルト10の外周縁部に設けられた分割ビード11は、図2に描かれたカーブベルト10の輪郭線に沿って配置されるが、図2において分割ビード11は省略されている。カーブコンベア本体には、カーブベルト10の外周縁に沿ってベルト保持機構であるガイドバー32、33が設けられ、分割ビード11(突起部14)は、これらのガイドバー32、33に係合される。これによりカーブベルト10は径方向への運動を規制されながも周方向に摺動自在にカーブコンベア本体に保持される。
【0016】
図2では、カーブコンベア本体の下側に設けられた2個のガイドバー32、33のみが描かれ、上側のガイドバーについては省略されているが、カーブコンベア本体の上側の面にもカーブベルト10の外周縁部に沿って複数のガイドバーが設けられ、分割ビード11の突起部14は、これらのガイドバーに係合し保持される。なお、カーブコンベア本体の下側に設けられるガイドバー32、33は、駆動ローラ23を挟んでその両側に配置される。
【0017】
また、ガイドバー32、33に対応した位置には、駆動ローラ23を挟んで支持板34、35が設けられ、カーブベルト10の下側の面は、ガイドバー32、33と支持板34、35の間を支持板34、35の面に沿って走行する。
【0018】
本実施形態においてカーブベルト10は、ベルト周方向に一定の緩みを与えられてエンドローラ21、22に掛け回される。また、ガイドバー32、33と分割ビード11との間には一定の摺動抵抗が存在する。これらのことから、駆動ローラ23の出口側(ベルト緩み側)では、走行するカーブベルト10に弛みが生じる。駆動ローラ23の出口側に発生するベルトの弛みは逆曲げを発生するため、撓みが大きいと分割ビード11が支持板32に接触し、ベルトの走行がロックしたり、分割ビード11が破損したりする。ここで逆曲げとは、ベルト背面側(表面側)に曲率中心がある曲げのことである。
【0019】
本実施形態では、このような分割ビード11と支持板34の接触が発生しないように、カーブベルト10の逆曲げ半径(ビード位置における逆曲げ半径)Rを、駆動ローラ23と出口側のニップベアリング24とによってカーブベルト10が把持される位置から出口側の支持板34までの距離Dの1/2よりも大きく設定する。好ましくは、逆曲げ半径Rは距離Dの1〜1.5倍以上に設定される。なお逆曲げ半径Rは、隣接する分割ビード11間の間隔dや分割ビード11の形状によって制御(調整)される。
【0020】
次に分割ビード11の形状について図3〜図5を参照して説明し、逆曲げ半径Rとの関係について説明する。なお、図3〜図5はそれぞれ分割ビード11の平面図、側面図、断面図であり、図3の側面図には、分割ビード11の一部が断面図として示され、図5は図3のV−V線に沿った突起部14の形状を示す断面図である。
【0021】
分割ビード11は、互いに所定の間隔(隙間)dをあけて配置され(図1参照)、各分割ビード11は、ピン12およびフック13(図3参照)を用いてカーブベルト10に取り付けられる。図2、図3に示されるように、分割ビード11の本体11Aは、平面形状が僅かに台形状に成形された板部材からなり、板状の本体11Aには、その長手方向略中央部に、幅方向に延在する突起部14が設けられる。なお突起部14は、カーブコンベア本体に取り付けられたガイドバー32、33等(図2参照)に係合され、ベルト周方向にはガイドバーに沿って摺動自在とされながらも、径方向への変位は規制される。
【0022】
分割ビード11の本体11Aにおいて、突起部14に対し一方の側(幅の広い側)には、その略中央にピン12を挿通するための孔15が設けられる。また本体11Aにおいて、孔15が設けられた側とは反対側(幅の狭い側)の端部には、突起部14が設けられた面に対して反対側の面にフック13が設けられる。
【0023】
分割ビード11のフック13は、カーブベルト10に設けられたスリット(図示せず)にカーブベルト10の表面10A側からに挿入されて係止される。一方、孔15には、カーブベルト10を孔(図示せず)を通したピン12が挿通される。これにより分割ビード11はカーブベルト10に固定される。なお、分割ビード11は、幅の広い側がカーブベルト10の外周縁側に配置され、幅の狭い側が内側に配置されるとともに、本体11Aの長手方向は、カーブベルト10の径方向に沿って配置される。
【0024】
図5に示されるように、突起部14は、先端に向かうにしたがって、左右対称に幅が狭くなり、正面から見ると略台形状の形状を呈する。したがって、分割ビード11が略隙間なく隣接して配置されるとき、分割ビード本体11Aの突起部14の位置における幅をW、そのテーパー角(鉛直方向に対する側面の角度)をθとするとき逆曲げ半径Rは、略R=W/(2・tanθ)となる。また、隙間dを大きくすると、逆曲げ半径Rを上記値よりも小さい値とすることができる。なお、隙間dは、順曲げ(逆曲げの反対)における曲げ半径に影響するため、使用されるエンドローラ21、22の径と上記逆曲げ半径に求められる条件に基づいて決定される。
【0025】
以上のように、本実施形態によれば、カーブベルトの逆曲げ半径を、駆動ローラと出口側のニップベアリングとによってカーブベルトが把持される位置から出口側の支持板までの距離Dの1/2よりも大きく設定することにより、カーブベルトの波打ち走行を抑制して分割ビードと支持板との干渉を防止し、ベルト走行のロック現象の発生や、これによる分割ビードの破損を防止できる。
【0026】
なお、本実施形態では、突起部の形状をテーパー状とすることにより逆曲げ半径を制御したが、突起部の形状はこれに限定されるものではない。また、突起部をテーパー状とせず、隙間dと突起部の高さの大きさのみを制御して逆曲げ半径を制御することも可能である。この場合、突起部の高さをHとすると、逆曲げ半径Rは例えばR=(W+d)/tan(tan−1(d/H))と近似することができる。また、小径のエンドローラを用いるため分割ビードの間隔dを大きく設定した場合には、突起部の側面に突起等を設け、隣接する分割ビード間の干渉を利用して逆曲げ半径の大きくすることも可能である。
【0027】
また、本実施形態では、ベルト保持機構としてガイドバーを用いたが、これに換えてローラ等を用いる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明における第1実施形態のカーブベルトの外周縁近傍における部分拡大図である。
【図2】本実施形態のカーブコンベアの模式的な側面図である。
【図3】分割ビードの平面図である。
【図4】分割ビードの側面図である。
【図5】図3のV−V線に沿った分割ビードの断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 カーブベルト
11 分割ビード
14 突起部
21、22 エンドローラ
23 駆動ローラ
24、25 ニップベアリング
32、33 ガイドバー
34、35 支持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーブベルトと、
前記カーブベルトを搬送するための駆動ローラと、
前記カーブベルトを駆動ローラに押圧し、把持するニップベアリングと、
前記駆動ローラのベルトの緩み側に設けられた支持板とを備え、
前記カーブベルトの逆曲げ半径が、前記カーブベルトが前記駆動ローラと前記ニップベアリングとにより把持される位置から前記支持板までの距離の1/2よりも大きい
ことを特徴とするカーブコンベア。
【請求項2】
前記カーブベルトが、前記カーブコンベアの本体に設けられたベルト保持機構に係合され、前記カーブベルトの外周縁部に沿って隣接して配列された多数の分割ビードを備え、前記逆曲げ半径が隣接する前記分割ビード同士の干渉により決定されることを特徴とする請求項1に記載のカーブコンベア。
【請求項3】
前記分割ビードの形状、または隣接する分割ビード間の間隔に基づいて前記逆曲げ半径が決定されることを特徴とする請求項2に記載のカーブコンベア。
【請求項4】
前記分割ビードが前記ベルト保持機構に係合される突起部を備え、前記突起部同士の接触により前記逆曲げ半径が決定されることを特徴とする請求項2に記載のカーブコンベア。
【請求項5】
カーブベルトを駆動ローラとニップベアリングとの間に挟んで搬送し、前記駆動ローラのベルトの緩み側にカーブベルトの走行をガイドする支持板を備えるカーブコンベアにおいて用いられるカーブベルトであって、
前記カーブベルトの逆曲げ半径が、前記カーブベルトが前記駆動ローラと前記ニップベアリングとにより把持される位置から前記支持板までの距離の1/2よりも大きい
ことを特徴とするカーブベルト。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−230741(P2008−230741A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70592(P2007−70592)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】