説明

カーブコンベア

【課題】全体的に簡易な構成であって、端部ローラとしてストレートローラを用いるために、隣接コンベアからの搬送物の乗り移りがスムーズで、しかも、ベルトに対する挟圧力を高めることなく、駆動ローラに対するベルトのスリップを防止でき、以て過剰挟圧によるベルトの損傷を回避できてベルトの寿命を延ばすことができ、ベルトの脱着も容易なカーブコンベアを提供する。
【解決手段】扇形のフレーム1の両端に配置される端部ローラ2間にカーブベルト4を張架して構成されるカーブコンベアであって、前記端部ローラ2は、同径のフリーローラ5を複数縦に並べて支軸を遊挿して構成されるストレートなものであり、前記端部ローラ2の内の少なくとも一方の外周側に近接させてそれと同心に駆動ローラ11を配設し、前記カーブベルト4の外周側端縁が前記駆動ローラ11に巻き付くようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカーブコンベア、より詳細には、コンベアにより形成される搬送路の向きを途中で変える場合等に用いられる扇形のカーブコンベアで、カーブベルトを用いるものに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアにより形成される搬送路においてその搬送方向を変えるために、搬送路が円弧状となるカーブコンベアが用いられる。カーブコンベアには、カーブベルトを用いるもの(特開平10−181821号公報ほか)と、ベルトを用いずにテーパローラを並置するもの(実開昭63−59114号のマイクロフィルムほか)とがある。
【0003】
ベルトを用いるものとしては、扇形のフレームの両側にテーパローラ(一方が駆動側で他方が従動側)を配し、このテーパローラ間に無端のカーブベルトを円弧状に張設するタイプのものが一般的である(例えば、特開平10−181821号公報)。このようにカーブベルトの駆動にテーパローラを用いるのは、カーブベルトの場合、内周側と外周側とで周長が異なり、一軸上での駆動の場合、内周側と外周側とで周速が異なってくることから、両側の駆動及び従動ローラをテーパにすることで、その周長差及び内外周の速度差を吸収しているのである。
【0004】
しかし、このように両端部にテーパローラを用いた場合、それとそれに対向する当該カーブコンベアに連結されるコンベア(通常、直線コンベア)のストレートな端部ローラとの径寸の違いから(特に太径の外周側における差が大)、搬送物が乗り移るベルト間の隙間が外周側と内周側とで異なり、その結果、外周側と内周側とで搬送物の乗り移り条件が大きく異なってくる。そのため、搬送物の位置ずれが起こって接触し合ったり、乗り移りの際の衝撃で搬送物が傷んだりするおそれがある。
【0005】
そこで、コンベア間の乗り移りをスムーズに衝撃なく行わせるために、端部ローラを、連結する直線コンベアの端部ローラと同径のストレートローラとするタイプのカーブコンベアも考えられている(例えば、特開平11−59837号公報)。その場合、ストレートな端部ローラは、多数の短円筒状小ローラを縦に並べて支軸を挿通して構成し、フレームの中間部においてベルトを、駆動ローラと受けローラとで上下から挟むことにより駆動するセンタードライブ方式を採る。
【0006】
このセンタードライブ方式の場合、ベルトは、上段の往路側と下段の復路側において、内側の駆動ローラと外側の受けローラとに挟圧されて循環駆動される。しかるに、この場合、ベルトの駆動ローラ及び受けローラとの接触面積が少なくて摩擦度が小さいため、上記挟圧力が小さいと、駆動ローラに対してベルトがスリップしてしまい、円滑な駆動ができない。そこで、上記スリップを防止するために、上記挟圧力を強く設定することになるが、その結果、ベルトの被挟圧部が損傷しやすくなり、ベルトの寿命を縮める結果となっている。
【0007】
なお、このような挟み込み方式(フリクションドライブ方式)を取らずに、ベルトに孔を設けてこれに駆動スプロケットを噛合させるような方式のものもあるが(例えば特開平6−227631号公報)、構造が複雑になってコストも高いものとなる。
【0008】
【特許文献1】特開平11−59837号公報
【特許文献2】特開平10−181821号公報
【特許文献3】特開平7−323908号公報
【特許文献4】特開平6−340315号公報
【特許文献5】特開平6−227631号公報
【特許文献6】特開平3−264415号公報
【特許文献7】実開昭63−59114号のマイクロフィルム
【特許文献8】実開平3−85310号公報
【特許文献9】実開昭63−116412号公報
【特許文献10】実開昭62−189308号公報
【特許文献11】実開昭59−4966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、従来の両端にストレートロールを用いるベルト式カーブコンベアの場合は、センタードライブ方式を採るために駆動ローラに対してベルトがスリップしやすく、スリップ防止のためにベルトに対する挟圧力を強めるとベルトが傷みやすいという問題があった。
【0010】
本発明はかかる問題を解決するためになされたもので、全体的に簡易な構成であって、端部ローラとしてストレートローラを用いるために、隣接コンベアからの搬送物の乗り移りがスムーズで、しかも、ベルトに対する挟圧力を高めることなく、駆動ローラに対するベルトのスリップを防止でき、以て過剰挟圧によるベルトの損傷を回避できてベルトの寿命を延ばすことができ、ベルトの脱着も容易なカーブコンベアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、扇形のフレームの両端に配置される端部ローラ間にカーブベルトを張架して構成されるカーブコンベアであって、前記端部ローラは、同径のフリーローラを複数縦に並べて支軸を遊挿して構成されるストレートなものであり、前記端部ローラの内の少なくとも一方の外周側に近接させてそれと同心に駆動ローラを配設し、前記カーブベルトの外周側端縁が前記駆動ローラに巻き付くようにしたことを特徴とするカーブコンベアである。
【0012】
好ましくは、前記駆動ローラは、コンベアの出口側に配置され、また、前記カーブベルトの外周側端縁は、前記駆動ローラと、互いに共通のスプリングによって前記駆動ローラに上下から接圧するように作用を受ける受けローラによって挟圧される。あるいは受けローラは、駆動ローラの上下において取外し可能に取り付けられることもある。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上記構成であって、構成簡易であり、カーブベルトは、駆動ローラの半周分の周面に当接することになるので、十分に密着して適度の摩擦度が得られ、スリップすることはなく、また、端部ローラは自由回転する多数のフリーローラで構成されているため、全体的にストレートであっても、外周側と内周側の周長差の影響を受けることなく円滑な搬送が可能であり、連結するコンベアとの間の搬送物の乗り移りもスムーズであり、カーブベルトの脱着も容易といった効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態について、添付図面に依拠して説明する。本発明に係るカーブコンベアは、扇形の台フレーム1の両端に端部ローラ2、3を配し、端部ローラ2、3間に無端のカーブベルト4を張架して構成される。図示した例では、端部ローラ2が駆動側で、端部ローラ3が従動側であるが、双方とも駆動ローラとすることも可能である。カーブベルト4は、洗浄等のために取外し可能である。
【0015】
端部ローラ2、3は、同径のフリーローラ5を複数縦に並べ、各フリーローラ5が自由回転するように、支軸6を遊挿して構成される。フリーローラ5の径は、通例、連結するコンベア(普通直線コンベア)のストレートな端部ローラの径と同じかそれに近いものとされる。
【0016】
駆動側の端部ローラ2の支軸6は、台フレーム1の側板に突設された軸支板7、7間に支持される。一方、従動側の支軸6の内周側端部は、台フレーム1の側板に突設された軸支板8によって支持され、その外周側端部は、台フレーム1にその外側を覆うように設置されるフレームカバー9に取り付けられる軸支板10によって支持される。
【0017】
端部ローラ2の外周側に近接する位置に、端部ローラ2と同心上に駆動ローラ11が配設される。駆動ローラ11はフリーローラ5と同径で、フレームカバー9の外側面に設置されたモータ12によって回転駆動される。
【0018】
カーブベルト4は、台フレーム1に対して脱着可能で、台フレーム1の内周側から台フレーム1に被せてその外周側に移動させ、端部ローラ2、3の各フリーローラ5及び駆動ローラ11に巻き付けるようにする。必要に応じ、カーブベルト4の外周側端縁に沿って、突条13を形成する。この突条13は、そこに当接する受けローラ14、15(14a、15a)に係止されることにより、カーブベルト4の内周側への片寄りを防止する役目を果たすものである。
【0019】
端部ローラ2の側の受けローラ14、15は、駆動ローラ11を上下から挟むように配置され、フレームカバー9に枢支されたローラ軸支持板16、17によって軸支される。18は、ローラ軸支持板16、17間に配架されたスプリングで、受けローラ14、15が常時駆動ローラ11に接圧して、駆動ローラ11との間にカーブベルト4を適圧にて挟持するよう作用する。あるいは、スプリング18を用いることなく、受けローラ14、15をローラ軸支持板16、17に取外し可能にし、適圧にて駆動ローラ11との間にカーブベルト4を挟持するように取り付けることもある。
【0020】
端部ローラ3の側の受けローラ14a、15aは、外周側最端部のフリーローラ5を上下から挟むように配置され、フレームカバー9に枢支されたローラ軸支持板16a、17aによって軸支される。ローラ軸支持板16a、17a間にも、上記同様に作用するスプリング18aが配架され、あるいは上記同様に、スプリング18aを用いることなく、受けローラ14a、15aをローラ軸支持板16a、17aに取外し可能に取り付ける。
【0021】
上記構成において、スプリング18の収縮力に抗して受けローラ14、15を駆動ローラ11から離し、あるいは、受けローラ14、15を外した状態でカーブベルト4をセットし(端部ローラ3側においても同様の操作をする。)、その後モータ12を始動すると、駆動ローラ11が回転し、駆動ローラ11と受けローラ14、15との間に挟持されているカーブベルト4が循環駆動される。その際カーブベルト4は、駆動ローラ11の半周分の周面に当接することになるので、十分に密着して適度の摩擦度が得られ、スリップすることはない。
【0022】
また、端部ローラ2、3は自由回転する多数のフリーローラ5で構成されているため、全体的にストレートであっても、外周側と内周側の周長差の影響を受けることなく円滑な搬送が可能であり、連結するコンベアとの間の搬送物の乗り移りもスムーズなものとなる。
【0023】
カーブベルト4の取外しは、上記セット操作と逆の操作を行なうことにより、簡単になし得る。
【0024】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るカーブコンベアの要部を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るカーブコンベアの一部を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るカーブコンベアの全体構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 台フレーム
2 端部ローラ
3 端部ローラ
4 カーブベルト
5 フリーローラ
6 支軸
7 軸支板
8 軸支板
9 フレームカバー
10 軸支板
11 駆動ローラ
12 モータ
14 受けローラ
15 受けローラ
16 ローラ軸支持板
16a ローラ軸支持板
17 ローラ軸支持板
17a ローラ軸支持板
18 スプリング
18a スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扇形のフレームの両端に配置される端部ローラ間にカーブベルトを張架して構成されるカーブコンベアであって、前記端部ローラは、同径のフリーローラを複数縦に並べて支軸を遊挿して構成されるストレートなものであり、前記端部ローラの内の少なくとも一方の外周側に近接させてそれと同心に駆動ローラを配設し、前記カーブベルトの外周側端縁が前記駆動ローラに巻き付くようにしたことを特徴とするカーブコンベア。
【請求項2】
前記駆動ローラは、コンベアの出口側に配置される請求項1に記載のカーブコンベア。
【請求項3】
前記カーブベルトの外周側端縁は、前記駆動ローラと、互いに共通のスプリングによって前記駆動ローラに上下から接圧するように作用を受ける受けローラによって挟圧される請求項1又は2に記載のカーブコンベア。
【請求項4】
前記駆動ローラに対向する受けローラを取り外し可能にして設置した請求項1又は2に記載のカーブコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−273462(P2006−273462A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91989(P2005−91989)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(596066219)株式会社ケイズベルテック (4)
【Fターム(参考)】