説明

カーブベルトコンベヤ

【課題】 無端状カーブベルトの表面に油、水、粉等が付着した場合でも、該ベルトを安定して回転駆動することができる駆動機構を備えたカーブベルトコンベヤを提供する。
【解決手段】 平面円弧形状をなした無端状カーブベルト3を、平面円弧形状をしたフレーム1の周方向両側に配置した折り返し部材2,2’に亘って巻装し、折り返し部材間に位置する無端状カーブベルトの往路側3a又は復路側3bの何れか一方、又は両方の外周縁部を、該無端状カーブベルトを挟んで上下に対応配置した無端回動する回転部材4a〜4cで挟持し、その回転部材の無端回動による挟持箇所の移動により前記無端状カーブベルトを周方向に回動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカーブベルトコンベヤに関し、詳しくは無端状カーブベルトを駆動回転させる駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
カーブベルトコンベヤにおける無端状カーブベルトの駆動方式として、平面略円弧形状のフレームに巻装したカーブベルトの往路側(上側)又は復路側(下側)の何れか一方または両方の外周縁部をローラ(駆動ローラとピンチローラ)で上下より挟み、そのローラを駆動回転することでカーブベルトを駆動する方式が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1記載のカーブベルトコンベヤは、旧来のように無端状カーブベルトの表面に引掛け用桟やビード等を備えていないため、無端状カーブベルトの製作が容易で、安価に製作できると共に、引掛け用桟やビード等の突起物が存在しない為、ベルトの着脱交換も容易に行うことができるという利点を有する。
しかし、その反面、油、水、粉等が無端状カーブベルトの表面に付着した場合、その油、水などが該ベルトを挟持する上下のローラに付着した時、無端状カーブベルトを挟持する摩擦力が低下し、それによって無端状カーブベルトへの回転伝達力が低下し、ベルトの回転走行が不安定になるという問題点を有する。
【0004】
【特許文献1】特開平11−59837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、無端状カーブベルトの表面に油、水、粉等が付着した場合でも、該ベルトを安定して回転駆動することができる駆動機構を備えたカーブベルトコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に本発明のカーブベルトコンベヤは、無端状カーブベルトの往路側又は復路側の何れか一方、又は両方の外周縁部を、該無端状カーブベルトを挟んで上下に対応配置した無端回動する回転部材で挟持し、その回転部材の無端回動による挟持箇所の移動により前記無端状カーブベルトを周方向に回動するようにしたことを特徴とする(請求項1)。即ち、本発明のカーブベルトコンベヤは、無端状カーブベルトの外周縁部を無端回動する回転部材で上下より挟持し、その挟持箇所を回転部材の回動で移動させてカーブベルトを周方向に回動するようにしたものである。
上記挟持の形態としては、磁石の吸着作用を利用する形態(請求項2)、スプリング等の弾性体による圧着作用を利用する形態(請求項7)等が上げられる。
【0007】
上記手段によれば、無端状カーブベルトの外周縁部を無端回動する回転部材で上下より挟持し、その挟持した位置が無端回動する回転部材の始端側から終端側に移動することで無端状カーブベルトは周方向に一緒に移動される。この動作が無端回動する回転部材によって連続して行なわれることで、無端状カーブベルトは駆動回転される。
【0008】
前記回転部材は、無端状カーブベルトの外周縁より径方向内側位置に配置した無端回動する回転帯と、該回転帯の外側面(回転部材同士が対向する面)に所定間隔を置いて磁石又は磁石に対して吸着する金属板を固着して構成され、カーブベルトを挟んで対応する回転部材の磁石同士の吸着、又は磁石と金属板の吸着でカーブベルトを挟持し、移送するように構成する(請求項2)。磁石同士を吸着させる場合は、一方の回転部材の回転帯にN極又はS極の何れか一方を固着し、その回転部材と対応して配置する回転部材の回転帯には前記回転部材の磁石と吸着作用を生じる反対極の磁石を固着する。
前記回転帯としては、伸び縮みが殆ど無く弾性変形の少ない部材、例えばチェーンを使用し、これに取付片を介して平板状の磁石又は金属板を取付けて構成する(請求項3)。尚、回転帯には、前記チェーンの他に、タイミングベルト(歯付ベルト)、スチールベルト等を使用することができる。
【0009】
上記手段によれば、無端回動する回転帯の外側面に固着した磁石同士の吸着作用、又は磁石と金属板との吸着作用で無端状カーブベルトが挟持され、そのカーブベルトを挟持した磁石同士又は磁石と金属板は回転帯の無端回動により該回転帯の始端側から終端側に向かって移動される。それにより、無端状カーブベルトを挟持しての移動が回転帯の無端回動によって連続的に行なわれる。
【0010】
そして、上記の如く構成した回転部材は、無端状カーブベルトの往路側と復路側の間、及び往路側又は復路側の何れか一方、又は両方の外側に配置し、それら各回転部材の中心線が平面視同一線上に位置するよう配置する(請求項4)。
又は、往路側と復路側の外側に配置する回転部材は、その中心線を往路側と復路側の間に配置する真中の回転部材の中心線に対して回転方向先端側が外側を向くように交差配置してもよい(請求項5)。尚、無端状カーブベルトの挟持移動を往路側と復路側の両方で行う場合、該無端状カーブベルトの往路側と復路側の間に配置する回転部材は、1個の回転部材を上下の回転部材の真中に配置して、往路及び復路の両方に共用してもよい。勿論、真中に配置する回転部材を、往路用と復路用、別々に配置してもよい。
【0011】
上記手段によれば、無端状カーブベルトの往路側,復路側の外周縁部を挟持する回転部材がその中心線を平面視同一線上に配置されていることで、対向する回転部材は始端側から終端側まで磁石と磁石、磁石と金属板が対向し、カーブベルトを確実に挟持移動することができる。そして、回転部材の駆動も、真中に配置した回転部材を駆動する回転力を歯車、ベルト等の動力伝達手段により上・下に配置する回転部材へ容易に伝達できるため、各回転部材が駆動回転する全駆動タイプに簡単に構成できる。
また、上下の回転部材を、真中の回転部材に対して互い違いに交差配置した場合は、無端状カーブベルトの外周縁を径方向外側に付勢しながら挟持移動することができる。
【0012】
更に、前記無端状カーブベルトの往路側又は復路側の外側に配置する回転部材は、対応するもう一方の回転部材とで挟持状態を維持できるようフレームに対して所定位置に固定してもよいが、対応するもう一方の回転部材に対して接離切り替え可能に構成してもよい(請求項6)。接離切り替えの方法としては、回転部材を取付けた部材を、一側部を中心として回動する方式、或いは鉛直方向に直線移動する方式等何れでもよい。
【0013】
上記手段によれば、無端状カーブベルトの往路側、或いは復路側を挟持する外側の回転部材が移動することで、挟持するもう一方の回転部材との間隔を広狭可変することができる。従って、該回転部材を移動して回転部材相互の間隔を開くことで挟持状態を解除でき、無端状カーブベルトの着脱交換を容易に行なうことが可能となる。
又、前記回転部材は、無端状カーブベルトの外周縁より径方向内側位置に配置した無端回動する回転帯と、該回転帯の外側面に所定間隔を置いて弾性体を固着して構成し、カーブベルトを挟んで対応する回転部材の弾性体同士の圧着でカーブベルトを挟持し、移送するようにしてもよい(請求項7)。
【発明の効果】
【0014】
本発明のカーブベルトコンベヤは、請求項1記載の構成により、無端状カーブベルトの往路側又は復路側の何れか一方、あるいは往路側と復路側の両方の外周縁部を、無端回動する回転部材で挟持して移動させるため、従来のローラで挟持回動する構造に比べて挟持箇所(面積)が多く、線接触から面接触になるため、無端状カーブベルトの表面に油、水、粉等が付着した場合でも、該ベルトを安定して回転駆動することができる。又、無端状カーブベルトが旋回中心側に移動するのを前記挟持構造で抑止することが出来る。
そして、無端状カーブベルトを挟持する回転部材を請求項2、3記載の構成とした場合は、カーブベルトを磁石の吸着力で挟持するため、無端状カーブベルトに特別な細工を施す必要が無く、桟などを具備しないベルトをそのまま使用することができる。しかも、磁石の吸着力で挟持するため、無端状カーブベルトに傷などが付きにくく、ベルトの寿命を永く保持することができる。
【0015】
又、請求項4記載の構成とした場合は、無端状カーブベルトを挟持する内側の回転部材を、往路側と復路側に共用することができ、装置の簡素化及びコストダウンを計ることができる。
【0016】
更に、請求項5記載の構成とした場合は、無端状カーブベルトの外周縁を径方向外側に付勢しながら回動することができる。従って、無端状カーブベルトが旋回中心方向にずれるのを更に抑制することができる。
【0017】
又、請求項6記載の構成とした場合は、無端状カーブベルトを挟持する回転部材の一方(外側)が接離する為、該回転部材を移動させることで挟持状態を開放でき、無端状カーブベルトの着脱を容易に行うことができる。よって、無端状カーブベルトの交換、洗浄等を簡便に行うことができる。
更に、請求項7記載の構成とした場合は、無端状カーブベルトの外周縁を弾性体で機械的に圧着挟持して移送するため、安定したベルト回動を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係るカーブベルトコンベヤの実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る新規の回動機構を備えたカーブベルトコンベヤAを示し、該カーブベルトコンベヤAは、平面略扇形状をした平板状のフレーム1の周方向両側部に、折り返し部材のテールローラ2,2’が平面視90°の開き角度をおいて回転自在に架設され、その両テールローラ2,2’に亘って無端状カーブベルト3が巻装されて平面視略円弧形状の搬送路が構成されている。そして、前記フレーム1における周方向の中程位置には前記無端状カーブベルト3の往路側と復路側の外周縁部を上下より挟持する上下一対の回転部材4a,4b、及び4a,4cとからなる回動機構4,4’が配置され、その回動機構4,4’を構成する回転部材4a,4b,4cを駆動回転する駆動機構5が前記フレーム1の外周縁に沿って設置されている。
【0019】
フレーム1の周方向両側部に架設される折り返し部材のテールローラ2,2’は、短円筒状に形成した多数の小ローラ2aを、無端状カーブベルト3のベルト幅に対応してテールローラ軸2bの外側に回転自在に嵌装することにより、軸長に亘って同径の長軸状ローラとして構成されている。
そして、小ローラ2aを回転自在に支持したテールローラ軸2bは、それぞれフレーム1の両側部における内周部と外周部に設けた、フレーム1の軸受け部材6a,6b及び7a,7bの間に亘って水平に架設支持され、両テールローラ軸2bの軸芯相互は平面視90°の開き角で配置される。尚、上記両テールローラ軸2bの外径の延長線が交差する箇所に無端状カーブベルト3の旋回中心Oが位置するように設定してある。
【0020】
上記テールローラ軸2bに沿って並列嵌装される小ローラ2aは、個々の小ローラが独立して回転するように構成されている。即ち、カーブベルトコンベヤは、無端状カーブベルト3の内周側と外周側とで周速度が異なるが、上記したように無端状カーブベルト3の両端部を支持するテールローラ2,2’を、テールローラ軸2b上に多数の小ローラ2aを並列して構成することにより、それぞれの小ローラ2aがそれぞれの位置の周速度で回転するように構成されている。叉、上記小ローラ2aは、外径を十分に小さいローラで構成しているので、該カーブベルトコンベヤAの始端部及び終端部に接続される他のコンベヤとの接続部に生じる段差(隙間)を小さく抑えることができる。
【0021】
上記テールローラ2,2’間に巻装される無端状カーブベルト3は、略切頭円錐形をなしたドーナツ状のシートとして構成され、これを扁平に折畳んで平面扇形状態として、前記フレーム1の中心側から、外周部となる大径側を嵌装する。それにより、平面視略扇状の円弧形となる搬送路が構成される。尚、この無端状カーブベルト3としては、その肉厚内に、ベルト幅方向に向かって強靭な線材(芯材)を放射状に内設し、ベルト幅方向と回転方向とを均等に圧縮強度を増大したものを使用するのが好ましい。
そして、テールローラ2,2’間に巻装された無端状カーブベルト3の往路側3aの略全面は、該テールローラ2,2’を支持する平板状のフレーム1で下側から支承されるように構成されている。尚、フレーム1の周方向の両端縁は、前記テールローラ2,2’の近傍まで延びている。
【0022】
上記無端状カーブベルト3を駆動回転する回動機構4,4’は、該無端状カーブベルト3の往路側3aと復路側3bの外周縁寄りの間に配置した無端回動する回転部材4aと、前記回転部材4aと対応させて往路側3aのベルト外側(上側)、及び復路側3bのベルト外側(下側)に配置した無端回動する回転部材4b、4cとで構成されている。そして、無端状カーブベルトの往路側ベルト3aを駆動する回動機構4は該往路側ベルト3aの上下に配置された回転部材4aと回転部材4bとで構成され、無端状カーブベルトの復路側ベルト3bを駆動する回動機構4’は復路側ベルト3bの上下に配置された回転部材4aと回転部材4cとで構成される。
【0023】
以下、前記回動機構4,4’を構成する回転部材4a,4b,4cについて説明する。尚、回転部材4a,4b,4cは、何れも同じ構造であるため、以下、回転部材4aについて説明する。
回転部材4aは、無端回動するチェーン(回転帯)8と、そのチェーン8の外側面に磁石9を所定の間隔を置いて固着して構成されている。
チェーン8に対する磁石9の固着は、図2及び図3に示すように、チェーン8の無端回動を阻害しないように、チェーン8を構成するリンクプレート8aに固着されている。その具体的な取付構造については後述する。
又、ベルトの挟持は磁石9のN極とS極の吸着作用で挟持するため、真中に配置する回転部材4aに装備する磁石9の磁極をN極とした場合、上下に配置する回転部材4b,4cに装備する磁石9の磁極はS極とする。
【0024】
上記回転部材4aは、フレーム1の周方向中程位置の外周縁に沿って鉛直に固着した取付板10に、周方向に所定の間隔を置いて回転自在に軸支したスプロケット11a,11bに亘って巻装されている。そして、一方のスプロケット11aを固着した軸12aは前記取付板10に取付けた軸受29を介して取付板10外方に突出され、その突出部分に駆動機構5が接続されている。又、他方のスプロケット11bを取付けた軸12bは軸12aとの軸間距離を調整し得るように取付板10に開設した長孔13に嵌合されている。これにより、軸12bを前記長孔13に沿って移動調整することでチェーン8の張り具合を調整できるように構成されている。
【0025】
回転部材4bは、前記取付板10の内側に取付けた補助取付板14に、周方向に所定の間隔を置いて回転自在に軸支したスプロケット15a,15bに亘って巻装されている。そして、一方のスプロケット15aを固着して軸16aは補助取付板14に取付けた軸受30を介して補助取付板14外方に突出され、その突出部分に駆動機構5が接続されている。
又、他方のスプロケット15bを取付けた軸16bは軸16aとの軸間距離を調整し得るように補助取付板14に開設した長孔17に嵌合されている。これにより、軸16bを前記長孔17に沿って移動調整することでチェーン8の張り具合を調整できるように構成されている。
【0026】
回転部材4cは、前記取付板10の内側に取付けた補助取付板14’に、周方向に所定の間隔を置いて回転自在に軸支したスプロケット18a,18bに亘って巻装されている。そして、一方のスプロケット18aを固着した軸19aは補助取付板14’に取付けた軸受31を介して補助取付板14’外方に突出され、その突出部分に駆動機構5が接続されている。
又、他方のスプロケット18bを取付けた軸19bは軸19aとの軸間距離を調整し得るように補助取付板14’に開設した長孔21に嵌合されている。これにより、軸19bを前記長孔21に沿って移動調整することでチェーン8の張り具合を調整できるように構成されている。
【0027】
そして、上記回転部材4bを取付けた補助取付板14と、回転部材4cを取付けた補助取付板14’は、回転部材4aを備えた前記取付板10に対して上下揺動自在に支持されている。
具体的には、図2に示すように、回転部材4bを取付けた補助取付板14と、回転部材4cを取付けた補助取付板14’は、駆動機構5が取り付けられたスプロケット15a、18a側の軸支部X、X’を中心として上下揺動自在に支持され、軸支部X、X’の反対側には、取付板10に開設した上下揺動の範囲を規制する円弧溝22,22’に嵌合するストッパピン23,23’が設けられている。又、取付板10には上下揺動する補助取付板14,14’に固着された軸受30,31が嵌入し、且つ上下動を可能にする楕円形の窓孔20,20’が開設されている。
上記構成により、補助取付板14,14’を水平状態に支持した状態では図5(a)に示すように回転部材4a、4b、4cが平行状態を維持し、回転部材4bと回転部材4aで往路側3aを挟持し、回転部材4aと回転部材4cで復路側3bを挟持して無端状カーブベルト3を周方向に回動する。そして、補助取付板14を上方へ、補助取付板14’を下方へそれぞれ回動すると、図5(b)に示すように回転部材4bと回転部材4cは真中に位置する回転部材4aに対して離間方向に移動し、それまでの挟持状態が開放される。それにより、無端状カーブベルト3の着脱を容易に行うことが可能となる。
【0028】
上記駆動機構5は、前記した回転部材4a,4b,4cを駆動回転するもので、図2及び図3に示すように、上下方向の真中に配置した回転部材4aを支持するスプロケット11aを固着した軸12aに駆動スプロケット5aを固着し、その駆動スプロケット5aとフレーム1に垂下固着したモータ5bの出力軸に固着したスプロケット5c及びアイドラ−スプロケット5dに亘ってチェーン5eを巻回し、モータ5bの回転力で回転部材4aが駆動回転されるように構成されている。
【0029】
又、前記回転部材4aを駆動回転する駆動スプロケット5aを固着した軸12aの側部には動力伝達歯車24が固着され、その動力伝達歯車24と噛合する従動歯車25が回転部材4bを巻回支持する一方のスプロケット15aを固着した軸16aに、同様に従動歯車25’が回転部材4cを巻回支持する一方のスプロケット18aを固着した軸19aに固着されている。それにより、回転部材4aを駆動回転させる回転力を歯車伝達機構を介して上下に配置された回転部材4b,4cを支持するスプロケットの一方に伝達し、回転部材4a,4b,4cの全てを駆動回転することが出来る。尚、動力伝達歯車24と従動歯車25,25’の歯数を同じにすることで、回転部材4a,4b,4cを同期回転することが出来る。尚、回転部材4a,4b,4cは前記動力伝達歯車24及び従動歯車25,25’が無くとも、該回転部材4aの駆動回転により、磁石の吸着力を介して連繋回転する。
【0030】
次に、上記した回転部材4a,4b,4cにおけるチェーン(回転帯)8に対する磁石9の固着構造を図4に基づいて説明する。
図4(a)は、チェーン8を構成する各リンクプレート8aにおける長さ方向の略中央位置の外周縁に、磁石取付片26を直角水平方向外側に向けて一体に突出形成し、その内外(左右)のリンクプレート8aの磁石取付片26に亘って台板27をネジ止め固定し、その台板27の上面(外側面)中央に磁石9をネジ止め固定する。尚、磁石9の外表面(ベルトと当接する面)は面一となるように、磁石に座ぐりを施してネジ止め固定する。又、台板27に対する磁石9の固定は、ネジ止めに限定されず、接着材による固定でもよいものであり、従来の全ての取付方法が適用される。しかし、ネジ止めとした場合は、磁石が損傷した場合の交換を容易に行なうことができるという利点を有する。
【0031】
図4(b)は、チェーン8を構成する各リンクプレート8aにおける長さ方向の略中央位置の外側面に、立方体形状の取付台28を接着材などを用いて固定し、その取付台28の上面に磁石9をネジ止め固定する。尚、磁石のネジ止めは、図4(a)と同様、該磁石9の表面が面一となるように、磁石に座ぐりを施してネジ止め固定する。この取付構造の場合は対向する内外(左右)のリンクプレート8aに夫々磁石9が固着される。
【0032】
上記した構造でチェーン8に固着する磁石9としては、ネオジウム、或いはフェライト等を使用する。尚、カーブベルトコンベヤの使用状況においては、使用後の水洗いが必要となる場合もあり、水洗いをするコンベヤの場合は上記した磁石材として、水に浸けても錆びることが無い磁石材、例えばフェライト製の磁石を使用すると有益である。
【0033】
上記した実施の形態は、無端状カーブベルト3の往路側3aと復路側3bの外周縁を挟持する回転部材4a,4b,4cの中心線を平面視同一線上に重ねて配置したが、図6に示すように上下に配置する回転部材4b,4cの中心線を、中央に配置する回転部材4aの中心線に対して回転方向先端側を所定角度外側に向けて配置し、挟持移動する方向を径方向外側に向けるようにしてもよい。
即ち、無端状カーブベルト3の往路側3aを回動する回動機構4と、復路側3bを回動する回動機構4’における共用の回転部材4aは前示実施例と同様、旋回中心と無端状カーブベルトの周方向の略中心を結ぶ中心線に対して略直角に配置し、往路側3aの回動機構4のもう一方の回転部材4bは回転帯8の回転方向先部が前記回転部材4aに対して径方向外側を向くように傾斜配置する。同様に、復路側3bの回動機構4’のもう一方の回転部材4cは回転帯8の回転方向先部が前記回転部材4aに対して径方向外側を向くように傾斜配置する。
尚、この場合は、回転部材4a,4b,4cを駆動する各軸の軸芯が平面視同一線上に位置しないため、前示実施例のように真中の回転部材4aを駆動する回転力を、歯車伝達機構等を利用して上下に配置した回転部材4b,4cを回転させることは出来ない。従って、回転部材毎に駆動機構を設けるか、或いは磁石9の吸着作用によって、上下の回転部材を従動回転するようにする。
【0034】
上記した実施の形態におけるベルトの挟持構造は、ベルトの上下に配置した回転帯に磁石9を取り付け、そん磁石の吸着作用で挟持するようにしたものであるが、弾性体で挟持する構成としてもよい。
例えば、図4(a)、(b)の形態において、台板27又は取付台28の上面に、磁石9に替えてスプリングで外側に付勢された圧着板を設け、そうした圧着板同士でベルトを挟持するようにする。
【0035】
本発明のカーブベルトコンベヤは、無端状カーブベルトの往路側又は復路側の何れか一方、或いは両方の外周縁を、該ベルトを挟んで上下に配置した無端回動する回転部材で挟持し、その回転部材の無端回動による挟持箇所の移動で無端状カーブベルトを周方向に回動するため、無端状カーブベルトを安定して確実に回動することが出来る。そして、無端状カーブベルトは該ベルトの上下に配置し、挟持部分がベルト内に装着された回転部材で挟持するため、挟持部材はベルトより径方向外側に突出せず、従ってコンベヤ全体をコンパクトに構成することができるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るカーブベルトコンベヤの実施の一例を示す一部切欠平面図。
【図2】図1の(2)−(2)線に沿える拡大断面図。
【図3】図2の(3)−(3)線に沿える拡大断面図。
【図4】チェーンに対する磁石の固着構造を示し、(a)は図3の要部拡大図、(b)は他の固着構造を示す拡大図。
【図5】回転部材の駆動機構、及び上下揺動機構を示し、(a)はベルトを挟持する状態の正面図、(b)は回転部材を支持した補助取付板を揺動して挟持状態を開放した正面図。
【図6】上下に配置した回転部材を、真中に配置した回転部材に対して傾斜配置した構成を示す平面図。
【符号の説明】
【0037】
A…カーブベルトコンベヤ 1…フレーム
2,2’…折り返し部材(テールローラ) 3…無端状カーブベルト
4,4’…回動機構 4a〜4c…回転部材
5…駆動機構 8…回転帯(チェーン)
9…磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面円弧形状をなした無端状カーブベルトを、平面円弧形状をしたフレームの周方向両側に配置した折り返し部材に亘って巻装し、折り返し部材間に位置する無端状カーブベルトの往路側又は復路側の何れか一方、又は両方の外周縁部を、該無端状カーブベルトを挟んで上下に対応配置した無端回動する回転部材で挟持し、その回転部材の無端回動による挟持箇所の移動により前記無端状カーブベルトを周方向に回動することを特徴とするカーブベルトコンベヤ。
【請求項2】
前記回転部材は、無端状カーブベルトの外周縁より径方向内側位置に配置した無端回動する回転帯と、該回転帯の外側面に所定間隔を置いて磁石又は磁石に対して吸着する金属板を固着して構成され、カーブベルトを挟んで対応する回転部材の磁石同士の吸着、又は磁石と金属板の吸着でカーブベルトを挟持し、移送することを特徴とする請求項1記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項3】
前記回転部材の回転帯がチェーンで、これに取付片を介して平板状の磁石又は金属板が取り付けられていることを特徴とする請求項2記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項4】
前記回転部材が、無端状カーブベルトの往路側と復路側の間、及び往路側又は復路側の何れか一方、又は両方の外側に配置され、それら各回転部材の中心線が平面視同一線上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項5】
前記回転部材が、無端状カーブベルトの往路側と復路側の間、及び往路側又は復路側の何れか一方、又は両方の外側に配置され、更に、往路側と復路側の外側に配置する回転部材の中心線が真中の回転部材の中心線に対して回転方向先端側が外側を向くように交差配置されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項6】
前記無端状カーブベルトの往路側又は復路側の外側に配置される回転部材は、対応するもう一方の回転部材に対して接離切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項7】
前記回転部材は、無端状カーブベルトの外周縁より径方向内側位置に配置した無端回動する回転帯と、該回転帯の外側面に所定間隔を置いて弾性体を固着して構成され、カーブベルトを挟んで対応する回転部材の弾性体同士の圧着でカーブベルトを挟持し、移送することを特徴とする請求項1記載のカーブベルトコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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