説明

カーブ区間検出装置

【課題】カーブ区間の存在を、確実に判定することのできるカーブ区間検出装置を提供する。
【解決手段】観測地点の前方の道路にある連続する複数のノードN1〜N4を取得し、前記取得されたノードとノードを結ぶリンクLa,Lb,Lcの長さa,b,cと、リンク同士の交わる角度α,βを用いて、リンクの長さa,b,cが開始リンク距離の閾値よりも小さく、リンク同士の交わる角度が開始リンク交差角の閾値よりも大きいという判定が2回連続した場合に、カーブ開始と判断する。
【効果】リンク同士の交わる交差角だけでなく、リンク長を加味することにより、実際の走行感覚に近いカーブ形状を、確実に検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路地図データ、特に地図描画用のリンク・ノードデータを含む道路地図データを使用して、カーブ区間の開始点及び終了点を検出し、さらにそのカーブ区間の曲率半径を求めるカーブ区間検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載装置においてこれから走行しようとする前方道路のカーブ情報を獲得することは、危険を予知して、走行の安全性を高めるために有用である。このため、従来、前方道路のカーブを検出するための試みがなされている。また、走行シミュレーションする場合でも、道路のカーブ区間を把握しておくことは必要である。
カーブ区間を検知する技術のひとつとして、道路地図データにおいて、前方数点のノードを取得し、各点を結ぶリンクの屈折角(交差角)の総和が一定値を超えた場合に、カーブ区間と判定する手法が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平11-232599号公報
【特許文献2】特開平11-232600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、前記特許文献1記載の技術では、リンク同士の交差角をチェックしているに過ぎないので、小さな角度で交差する距離の短いリンクが続く場合、実際の感覚では、カーブ区間と判断できる場合でも、カーブ区間でないと判定してしまうことがある。
そこで本発明は、カーブ区間の存在を、より確実に判定することのできるカーブ区間検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のカーブ区間検出装置は、ノードの座標データを含む道路地図データと、観測地点の前方の道路にある連続する複数のノードを取得するノード取得手段と、前記ノード取得手段により取得されたノードとノードを結ぶリンクの長さと、リンク同士の交わる角度を用いて、カーブ開始及びカーブ終了を判断するカーブ開始/終了判定手段とを備えることを特徴とする。
【0005】
この構成によれば、リンク同士の交わる角度(交差角)だけでなく、リンク長を加味することにより、実際の走行感覚に近いカーブ形状を、確実に検出することができる。
例えば、ノードとノードを結ぶリンクの長さが開始リンク距離よりも小さく、リンク同士の交わる角度が開始リンク交差角よりも大きいという判定が複数回連続した場合に、カーブ開始位置と判断する。この「開始リンク距離」は、カーブ開始を判断するためのリンク長の閾値であり、この開始リンク距離を越えるリンクは、直線路を形成するリンクとみなし、カーブ区間の判定対象から外す。そして、連続して複数回、前記判定を行うことにより、より確実な、実際の走行感覚に近いカーブ開始の判定ができる。
【0006】
前記判定条件を満たすリンクのうち、一番手前のリンクを構成するノードをカーブ開始位置と判断することが、実際の感覚に合致していて好ましい。
また、カーブ終了を判定する場合、ノードとノードを結ぶリンク同士の交わる角度が終了リンク交差角よりも小さいという判定が複数回連続した場合に、カーブ終了と判断する。連続して複数回、前記判定を行うことにより、より確実に、かつ実際の走行感覚に近い判断ができる。
【0007】
また、前記ノードとノードを結ぶリンクの長さが終了リンク距離よりも大きく、かつ、リンク同士の交わる角度が終了リンク交差角よりも小さいという判定が複数回連続した場合に、カーブ終了位置と判断してもよい。前記「終了リンク距離」は、カーブ終了を判断するためのリンク長の閾値であり、この終了リンク距離よりも短いリンクは、リンク同士の交わる角度が終了リンク交差角よりも小さくても、カーブの終了とみなさず、カーブ区間終了の判定対象から外す。これにより、カーブ区間終了の判定対象は、「終了リンク距離」よりも長いリンクとなる。そして、連続して複数回、前記判定を行うことにより、より確実に、かつ実際の走行感覚に近い判断ができる。
【0008】
前記判定条件を満たすリンクのうち、一番遠くのリンクを構成するノードをカーブ終了位置とすることが、実際の感覚に合致していて好ましい。
本発明のカーブ区間検出装置は、前記ノード取得手段により取得されたノードとノードを結ぶリンクの長さを閾値と比較し、リンク長が閾値よりも短い場合に、先のノードを削除し、前記カーブ開始/終了判定手段は、前記ノード削除手段により削除されたノードを、その次のノードに交代してカーブ開始位置又は終了位置を判定することとしてもよい。これによって、リンク長が短い場合にそのリンクを構成するノードを間引くことにより、微小なクランクのようなリンクが存在した場合に、誤ってカーブと判断することを避けることができる。
【0009】
前記ノード取得手段は、観測地点から探索距離閾値以内にあるノードを取得することが好ましい。観測地点から長距離先までカーブ区間の判定を判定するとデータの処理量が増大するからである。また、このように観測地点から長距離先までカーブ区間の判定を行いたい場合には、観測地点を先に進めて改めて判定を行えば足りる。
さらに本発明のカーブ区間検出装置は、前記カーブ開始点からカーブ終了点までのリンク長の総和を、交差角の総和で割った値をカーブの曲率半径とする曲率半径算出手段をさらに備えるものでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明のカーブ区間検出装置のブロック構成図である。カーブ区間検出装置は、車載装置でもよく、オフィス、家庭などに設置されたパーソナルコンピュータで実現される装置であってもよいことを初めに断っておく。以下、パーソナルコンピュータを想定する。
【0011】
カーブ区間検出装置は、自車位置入力装置11、道路探索処理部12、道路地図データ13、カーブ判定処理部14、カーブ情報表示部15、判定値設定テーブル16などから構成される。前記自車位置入力装置11は、マウス、キーボードなどで実現される。前記道路地図データ13は、ハードディスクなどの大容量記憶媒体に格納されている。前記カーブ情報表示部15は、ディスプレイ装置により実現される。前記判定値設定テーブル16は、1つの設定ファイルに書き込まれている。前記道路探索処理部12及びカーブ判定処理部14の機能は、CD−ROMやハードディスクなど所定の媒体に記録されたプログラムを、パーソナルコンピュータが実行することにより実現される。
【0012】
前記道路探索処理部12は、道路地図データ13に基づいて、目的地までこれから走行する(あるいは走行シミュレートする)道路を探索する。この探索方法は、距離あるいは旅行時間が最短となる経路を探索するダイクストラ経路探索処理を採用してもよく、最短かどうかは考慮しないで、現在車両が走行している(あるいは走行シミュレートされている)道路とできるだけ同一種別の道路を探索していく経路探索処理を採用してもよい。前記道路探索処理部12は、探索した結果、その経路を構成する道路情報を前記カーブ判定処理部14に伝える。
【0013】
道路情報は、表1に示すように、リンク単位で、道路の有料/無料区分、道路種別(高速自動車道、都市高速道路、国道、都道府県道、市町村道など)、道路幅員(道路幅をメートル表示)、リンク種別(本線、連結路、サービスエリア側線、交差点内など)、都道府県コード、市町村コード、路線略号、路線番号、通称道路名称、通行規制情報(規制なし、通行禁止、一方通行など)、ノード構成点数、ノード座標などの情報からなる。
【0014】
【表1】

【0015】
ここで、「リンク」とは、道路区間を表すベクトルをいう。通常は、交差点から交差点までを1リンクとするが、道路区間を補間点で区切って、補間点ごとにリンクを定義することもある。リンクは、道路地図データ13を作成する時に自動的に設定されるが、ベースとなるディジタル地図の誤差などのため、一直線の道路が複数の短いジグザグのリンクに細分されることがある。
【0016】
「ノード」とは、前記交差点や補間点をいう。ノードは、ノード番号、座標などで規定される。座標は、緯度経度のような絶対座標でもよく、区分地図に対する相対座標でもよい。
前記カーブ判定処理部14は、前記道路探索処理部12から取得される道路情報に基づいて、カーブ開始及びカーブ終了を判断する。
【0017】
ここで、用語の定義をしておく。「リンク長」はリンク端点となるノード同士のなす直線距離である。「開始リンク交差角」は、リンク同士の交わる角度について、カーブ開始を判断するための閾値、「終了リンク交差角」は、リンク同士の交わる角度について、カーブ終了を判断するための閾値、「開始リンク距離」は、カーブ開始を判断するためのリンク長の閾値、「終了リンク距離」は、カーブ終了を判断するためのリンク長の閾値である。また、「探索距離」は、前記自車位置入力装置11によって入力される自車位置から前方、カーブ判定処理を行う距離をいう。前記カーブ判定処理部14は、この探索距離以内の道路においてのみカーブ開始及びカーブ終了を判定する。「間引き距離」は、道路が短いジグザグのリンクに細分されることがあるので、このことを考慮して、短いリンクをカーブ判定処理の対象から除外するための閾値である。
【0018】
前記「開始リンク交差角」、「終了リンク交差角」、「開始リンク距離」、「終了リンク距離」、「探索距離」、「間引き距離」は、前記判定値設定テーブル16に書き込まれる。その記載例を、表2に示す。
【0019】
【表2】

【0020】
表2の記載例では、各種設定値は、有料道路/一般道路ごとに設定されている。
図2は、カーブ区間におけるカーブ開始位置とカーブ終了位置とを探索するための処理の概要を示す全体フローチャートである。
まず、探索の初回は、「総リンク長」を0mに初期化する(ステップS1)。「総リンク長」とは、前方のリンクをたどっていき、たどったリンク長の合計を足しこんでいくための変数である。
【0021】
次にカーブ開始位置探索処理を行う(ステップS2)。この処理の詳細は後述するが、処理中、探索したリンクのリンク長は、「総リンク長」に足しこまれていく。
カーブ開始位置が探索できたら(ステップS3のYES)、カーブ終了位置探索処理を行う(ステップS4)。この処理の詳細も後述するが、処理中、探索したリンクのリンク長は、「総リンク長」に足しこまれていく。
【0022】
カーブ終了位置が探索できたら(ステップS5のYES)、ステップS2に戻り、次のカーブ開始位置、カーブ終了位置の探索を行う。このようにして、カーブ開始位置、カーブ終了位置を順次探索するが、前記総リンク長が、設定された「探索距離」を越えると、探索を終了する(ステップS3のNO、ステップS5のNO)。
図3は、カーブ開始位置探索処理を示す詳細フローチャートである。
【0023】
まず、総リンク長と探索距離とを比較し(ステップT1)、総リンク長が探索距離よりも長くなれば、前方の探索距離以内におけるカーブ開始位置探索処理及びそれに続くカーブ終了位置探索処理を打ち切る。
総リンク長が探索距離以内であれば、ステップT2に進み、第1ノードN1の座標を獲得する。ここで、第1ノードN1とは、自車位置前方の一番近いノードをいう。
【0024】
さらに、第1ノードN1の次に近い第2ノードN2の座標を獲得する(ステップT3)。第1ノードN1から第2ノードN2までのリンクをLaとし、そのリンク長をaとする。
次に、リンク長aと「間引き距離」とを比較し(ステップT4)、リンク長aが間引き距離よりも短ければ、第2ノードN2のノード座標、リンク長の情報を削除して、ステップT3にもどり、その次のノードを探索し、それを第2ノードN2とする。つまり、「間引き距離」よりも短いリンクは、カーブ判定の対象から除去する。この「間引き処理」の詳細は、後に図5、図6を見ながら詳しく説明する。
【0025】
次に、第2ノードN2の次に存在する第3ノードN3の座標を獲得する(ステップT5)。第2ノードN2から第3ノードN3までのリンクをLbとし、そのリンク長をbとする。リンクLaとリンクLbとの角度をαとする。
カーブ判定処理部14は、リンク長bと間引き距離とを比較し(ステップT6)、リンク長bが間引き距離よりも短ければ、、第3ノードN3のノード座標、リンク長の情報を削除して、ステップT5にもどり、その次のノードを探索し、それを第3ノードN3とする。つまり、「間引き距離」よりも短いリンクは、カーブ判定の対象から除去する。この「間引き処理」の詳細も、後に図5、図6を見ながら詳しく説明する。
【0026】
次にカーブ判定処理部14は、第3ノードN3の次に存在する第4ノードN4の座標を獲得する(ステップT7)。第3ノードN3から第4ノードN4までのリンクをLcとし、そのリンク長をcとする。リンクLbとリンクLcとの角度をβとする。さらに、リンク長cと間引き距離とを比較し(ステップT8)、リンク長cが間引き距離よりも短ければ、第4ノードN4のノード座標、リンク長の情報を削除して、ステップT7にもどり、その次のノードを探索し、それを第4ノードN4とする。
【0027】
図4は、「間引き」されなかった第2ノードN2〜第4ノードN4と、リンクLa,Lb,Lcと、角度α,βの関係を図示したリンク図である。カーブ判定処理部14は、これらのリンクLa,Lb,Lcのリンク長a,b,cと、角度α,βとの関係に基づいて、リンクLb,Lcがカーブ区間かどうかの判定と、第2ノードN2がカーブ開始位置かどうかの判定を行う(ステップT9)。
【0028】
このカーブ判定処理を、図4を参照して具体的に説明する。カーブ判定処理部14は、次の(A)の判定が成立し、かつ(B)の判定が成立した場合に、第2ノードN2をカーブ開始位置とする。
(A) α>開始リンク交差角, b<開始リンク距離
(B) β>開始リンク交差角, c<開始リンク距離
前記(A)(B)のいずれか又は両方が成立しなかった場合は、カーブの開始でないと判断して、リンク長aを「総リンク長」に足し込む(ステップT11)。そして、ノード座標を1つ進めて(ステップT12)、ステップT1に戻る。
【0029】
ステップT1では、総リンク長が探索距離よりも短い限りは、ステップT2以下の処理を繰り返す。総リンク長が探索距離を超えたら(ステップT1のNo)、探索距離以内では、カーブの開始は存在しないとして、図2のステップS3に戻る
カーブの開始ありと判断された場合、第2のノードの座標を、カーブ開始位置を登録して(ステップT10)、図2のステップS4へ進む。
【0030】
次に、「間引き処理」を説明する。図5及び図6は、「間引き処理」を説明するためのリンク図である。
地図上の位置検出誤差などのために、道路が、ジグザグにつながった複数のリンクで構成される場合がある。この場合、これらのリンクを用いると、カーブ開始/終了判定がうまく動作しない場合がある。そこで、これらの細かなリンクについては、そのリンク長が「間引き処理」よりも短い場合、リンクを飛ばす。
【0031】
図5は、「間引き」される前の一連のノードN1〜ノードN5と、それらのノードをつなぐリンクLa〜Leを図示したリンク図である。リンクLa〜Leの長さをそれぞれa〜eとする。間引き処理は次のようにして行う。間引き距離をDで表す。
ノードN1とノードN2とを結ぶリンクLaの距離aを算出した結果、aは間引き距離Dの範囲にないので、ノードN2をそのまま第2ノード座標とする。ノードN2とノードN3とを結ぶリンクLbの距離bは、間引き距離Dの範囲内にあるので、ノードN3を間引く。
【0032】
次に、ノードN2とノードN4とを直接結んで、リンクLcとする。リンクLcの距離cを算出した結果、cも間引き距離Dの範囲内なので、ノードN4を間引く
次に、ノードN2とノードN5とを直接結んで、リンクLdとする。リンクLdの距離dを算出した結果、dも間引き距離Dの範囲外なので、ノードN5を次の第3ノード座標とする。これにより、ノードN3とノードN4とが間引かれ、ノードN2とノードN5とが新しいリンクで結ばれる。
【0033】
図6は、ノードN2とノードN5とが新しいリンクで結ばれた状態を表す図である。同図において、ノードN5を改めて、ノードN3であらわし、新しいリンクをLbで表している。
図7は、カーブ終了位置探索処理を示す詳細フローチャートである。
まず、前記カーブ開始判定処理で用いた総リンク長と探索距離とを比較し(ステップU1)、総リンク長が探索距離よりも長くなれば、前方の探索距離以内にカーブの終わりは存在しないとして処理を終える。
【0034】
総リンク長が探索距離以内であれば、ステップU2に進み、第1ノードN1の座標を獲得する。ここで、第1ノードN1とは、前記カーブ開始判定処理でカーブ開始地点として登録されたノードから一番近いノードをいう。
さらに、第1ノードN1の次に近い第2ノードN2の座標を獲得する(ステップU3)。第1ノードN1から第2ノードN2までのリンクをLdとし、そのリンク長をdとする。
【0035】
次に、リンク長dと「間引き距離」とを比較し(ステップU4)、リンク長dが間引き距離よりも短ければ、第2ノードN2のノード座標、リンク長の情報を削除して、ステップU3にもどり、その次のノードを探索し、それを第2ノードN2とする。つまり、「間引き距離」よりも短いリンクは、カーブ判定の対象から除去するのである。この「間引き処理」の詳細は、上に説明したとおりである。
【0036】
次に、第2ノードN2の次に存在する第3ノードN3の座標を獲得する(ステップU5)。第2ノードN2から第3ノードN3までのリンクをLeとし、そのリンク長をeとする。リンクLdとリンクLeとの角度をθとする。
カーブ判定処理部14は、リンク長dと間引き距離とを比較し(ステップU6)、リンク長dが間引き距離よりも短ければ、第3ノードN3のノード座標、リンク長の情報を削除して、ステップU5にもどり、その次のノードを探索し、それを第3ノードN3とする。つまり、「間引き距離」よりも短いリンクは、カーブ判定の対象から除去する。
【0037】
次にカーブ判定処理部14は、第3ノードN3の次に存在する第4ノードN4の座標を獲得する(ステップU7)。第3ノードN3から第4ノードN4までのリンクをLfとし、そのリンク長をfとする。リンクLeとリンクLfとの角度をγとする。さらに、リンク長fと間引き距離とを比較し(ステップU8)、リンク長fが間引き距離よりも短ければ、第4ノードN4のノード座標、リンク長の情報を削除して、ステップU7にもどり、その次のノードを探索し、それを第4ノードN4とする。
【0038】
図8は、「間引き」されなかった第2ノードN1〜第3ノードN3と、リンクLd,Le,Lfと、リンク同士のなす角度θ,γの関係を図示したリンク図である。カーブ判定処理部14は、これらのリンクLd,Le,Lfのリンク長d,e,fと、角度θ,γとの関係に基づいて、リンクLd,Leがカーブ区間かどうかの判定と、第2ノードN2がカーブ終了位置かどうかの判定を行う(ステップU9)。
【0039】
このカーブ判定処理を、図8を参照して説明する。カーブ判定処理部14は、次の(C)の判定が成立し、かつ(D)の判定が成立した場合に、第2ノードN2をカーブ終了位置とする。
(C) θ<終了リンク交差角
(D) γ<終了リンク交差角
前記(C)(D)のいずれか又は両方が成立しなかった場合は、カーブ終了位置でないとみなして、リンク長eを総リンク長に足し込む(ステップU11)。そして、ノード座標を1つ進めて(ステップU12)、ステップU1に戻る。ステップU1では、総リンク長が探索距離よりも短ければ、ステップU2以下の処理を繰り返す。総リンク長が探索距離を超えたら(ステップU1のNo)、探索距離以内では、カーブの終了位置の探索を打ち切り、図2のステップS5に戻る。
【0040】
カーブの終了と判定された場合、第2のノードの座標を、カーブ終了位置を登録して(ステップU10)、正常終了のマークをつける。
なお、前記(C)(D)の判定処理において、リンク長e,fを考慮して判定することも可能である。すなわち、次の(C′),(D′)を同時に満たす場合をカーブの終了と判定することも可能である。
【0041】
(C′) θ<終了リンク交差角 e>終了リンク距離
(D′) γ<終了リンク交差角 f>終了リンク距離
リンク長e,fを考慮して判定をする利点は、リンク同士のなす角度θ,γが終了リンク交差角よりも小さくても、リンク長が短ければ、実際の走行感覚では、必ずしもカーブの終了と見ることのできない場合があるので、このような場合を回避するためである。
【0042】
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではない。例えば、以上のカーブ開始位置探索処理、カーブ終了位置探索処理の結果、カーブ区間がわかった場合に、カーブの曲率半径を求める処理を追加してもよい。
このカーブの曲率半径Rを求めるには、次式に示すように、前記カーブ開始点からカーブ終了点までのリンク長の総和Lを、交差角の総和Ωで割ればよい。
【0043】
R=L/Ω
また、以上の本発明の実施の形態では、カーブ区間検出装置は、パーソナルコンピュータの中に組み込まれていたが、自車位置検出機能を持った車載装置で実現することも可能であり、その場合、走行方向前方のカーブ区間の存在を予知でき、必要ならばその曲率半径も算出できるので、運転の安全に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のカーブ区間検出装置のブロック構成図である。
【図2】カーブ区間におけるカーブ開始位置とカーブ終了位置とを探索するための処理の概要を示す全体フローチャートである。
【図3】カーブ開始位置探索処理を示す詳細フローチャートである。
【図4】第2ノードN2〜第4ノードN4と、リンクLa,Lb,Lcと、角度α,βの関係を図示したリンク図である。
【図5】「間引き処理」を説明するためのリンク図(間引き前)である。
【図6】「間引き処理」を説明するためのリンク図(間引き前)である。
【図7】カーブ終了位置探索処理を示す詳細フローチャートである。
【図8】第2ノードN1〜第3ノードN3と、リンクLd,Le,Lfと、リンク同士のなす角度θ,γの関係を図示したリンク図である。
【符号の説明】
【0045】
11 自車位置入力装置
12 道路探索処理部
13 道路地図データ
14 カーブ判定処理部
15 カーブ情報表示部
16 判定値設定テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノードの座標データを含む道路地図データと、
観測地点の前方の道路にあるノードを取得するノード取得手段と、
前記ノード取得手段により取得されたノードとノードを結ぶリンクの長さと、リンク同士の交わる角度を用いて、カーブ開始及びカーブ終了を判断するカーブ開始/終了判定手段とを備えることを特徴とするカーブ区間検出装置。
【請求項2】
前記カーブ開始/終了判定手段は、ノードとノードを結ぶリンクの長さが開始リンク距離よりも小さく、リンク同士の交わる角度が開始リンク交差角よりも大きいという判定が複数回連続した場合に、カーブ開始と判断する請求項1記載のカーブ区間検出装置。
【請求項3】
前記カーブ開始/終了判定手段は、カーブ開始と判断した場合に、前記判定条件を満たすリンクのうち、一番手前のリンクを構成するノードをカーブ開始位置とする請求項2記載のカーブ区間検出装置。
【請求項4】
前記カーブ開始/終了判定手段は、ノードとノードを結ぶリンク同士の交わる角度が終了リンク交差角よりも小さいという判定が複数回連続した場合に、カーブ終了と判断する請求項1記載のカーブ区間検出装置。
【請求項5】
前記カーブ開始/終了判定手段は、ノードとノードを結ぶリンクの長さが終了リンク距離よりも大きく、リンク同士の交わる角度が終了リンク交差角よりも小さいという判定が複数回連続した場合に、カーブ終了と判断する請求項1記載のカーブ区間検出装置。
【請求項6】
前記カーブ開始/終了判定手段は、カーブ終了と判断した場合に、前記判定条件を満たすリンクのうち、一番遠方のリンクを構成するノードをカーブ終了位置とする請求項4又は請求項5記載のカーブ区間検出装置。
【請求項7】
前記ノード取得手段により取得されたノードとノードを結ぶリンクの長さを閾値と比較し、リンク長が閾値よりも短い場合に、先のノードを削除するノード削除手段をさらに備え、前記カーブ開始/終了判定手段は、前記ノード削除手段により削除されたノードを、その次のノードに交代してカーブ開始位置又は終了位置を判定する請求項1から請求項6のいずれかに記載のカーブ区間検出装置。
【請求項8】
前記ノード取得手段は、観測地点から探索距離閾値以内にあるノードを取得する請求項1から請求項7のいずれかに記載のカーブ区間検出装置。
【請求項9】
前記カーブ開始点からカーブ終了点までのリンク長の総和を、交差角の総和で割った値をカーブの曲率半径とする曲率半径算出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のカーブ区間検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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