カーペットの敷設構造
【課題】 本発明は、カーペットの敷設部の形状が異なる車種の共通化を図り、同一形状のカーペットの大量生産によって、製造コストを削減することが可能なカーペットの敷設構造を提供することにある。
【解決手段】 本発明は、ラゲージカーペット9の敷設部であるリヤフロア3,4の形状が異なる車種の自動車A,Bに適用され、敷設部のうち、自動車Aのリヤフロア3が自動車Bのリヤフロア4の形状よりも大きく形成されたカーペットの敷設構造において、自動車Aのリヤフロア3に配設されるラゲージカーペット9には、自動車Bのリヤフロア4の形状に沿ってカーペット折曲げ用のスリット部11が形成され、スリット部11を折曲げることにより、自動車Aのリヤフロア3のラゲージカーペット9が自動車Bのリヤフロア4に配設可能に構成されている。
【解決手段】 本発明は、ラゲージカーペット9の敷設部であるリヤフロア3,4の形状が異なる車種の自動車A,Bに適用され、敷設部のうち、自動車Aのリヤフロア3が自動車Bのリヤフロア4の形状よりも大きく形成されたカーペットの敷設構造において、自動車Aのリヤフロア3に配設されるラゲージカーペット9には、自動車Bのリヤフロア4の形状に沿ってカーペット折曲げ用のスリット部11が形成され、スリット部11を折曲げることにより、自動車Aのリヤフロア3のラゲージカーペット9が自動車Bのリヤフロア4に配設可能に構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる車種のフロア形状に配設されるカーペットの共通化を図ることが可能なカーペットの敷設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の中には、リヤシートの後部側にラゲージルームが設けられているものがあり、図11に示す如く、このラゲージルームのリヤフロアパネル51の上面には、ラゲージカーペット52が配設されている(例えば、特許文献1参照)。このようなラゲージカーペット52は、ラゲージルームのリヤフロアパネル51に対応した形状に形成されており、先端部52aがリヤスカートパネル53の前方面に一致させた位置に配置されている。
【0003】
ところで、上記ラゲージルームのリヤフロアパネル51の形状よりも大きい車種の自動車の場合は、図11の鎖線で示すように、別オーダでその敷設部であるリヤフロアパネル51aに対応した大きさのラゲージカーペット54が配設されていた。一方、近年の自動車業界においては、製造コストの削減の要請から、各車種で用いられる部品の共通化を図ることが望まれている。
【特許文献1】実開昭58−108929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のカーペットの敷設構造では、形状の小さなラゲージルームに適用されるラゲージカーペットをこれよりも大きなラゲージルームのリヤフロアに使用すると、これらラゲージカーペットとリヤフロアとの間に隙間が形成されることになるので、当該隙間からリヤフロアの塗装面が見えてしまい、見栄えが悪くなるという不具合を有していた。
【0005】
一方、従来の敷設構造では、形状の大きなラゲージルームに適用されるラゲージカーペットをこれよりも小さなラゲージルームのリヤフロアに配設する場合、ラゲージカーペットの長さがリヤフロアよりも大きくなるので、当該ラゲージカーペットを折曲げて使用する必要がある。このような使用態様において、ラゲージカーペットの折曲げ幅が小さい場合は、当該ラゲージカーペットの端部を折曲げることができず、リヤフロア面上にラゲージカーペットの浮き上がりが生じることもあるので、外観を損ねるおそれがあった。
また、ラゲージカーペットの折曲げ幅が大きい場合においても、自動車のコーナ部ではどうしても当該ラゲージカーペットの浮き上がりが生じてしまい、外観の向上を図ることが困難であった。
【0006】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、カーペットの敷設部の形状が異なる車種の共通化を図り、同一形状のカーペットの大量生産によって、製造コストを削減することが可能なカーペットの敷設構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来技術の有する課題を解決するために、請求項1の本発明では、カーペットの敷設部の形状が異なる車種に適用され、前記敷設部のうち、一方の敷設部が他方の敷設部の形状よりも大きく形成されたカーペットの敷設構造において、前記一方の敷設部に配設されるカーペットには、前記他方の敷設部の形状に沿ってカーペット折曲げ用のスリット部が形成され、該スリット部を折曲げることにより、前記一方の敷設部のカーペットが前記他方の敷設部に配設可能に構成されている。
【0008】
請求項2の本発明では、請求項1の発明において、前記敷設部が、リヤシートの後部側に位置する車両のリヤフロアである。
【0009】
請求項3の本発明では、請求項1または2の発明において、前記敷設部は、前記リヤフロアの後方側端のコーナ部の形状のみが異なっている。
【0010】
請求項4の本発明では、請求項1〜3の発明のいずれかにおいて、前記カーペットを前記敷設部に固定する際に用いられるクリップ孔が、前記一方の敷設部と前記他方の敷設部とで同一位置に設けられている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、カーペットの敷設部の形状が異なる車種に適用され、前記敷設部のうち、一方の敷設部が他方の敷設部の形状よりも大きく形成されたものであって、前記一方の敷設部に配設されるカーペットには、前記他方の敷設部の形状に沿ってカーペット折曲げ用のスリット部が形成され、該スリット部を折曲げることにより、前記一方の敷設部のカーペットが前記他方の敷設部に配設可能に構成されているので、形状の大きな一方の敷設部のカーペットを形状の小さな他方の敷設部に配設することができる。したがって、異なる車種のカーペットの共通化が可能となり、同一形状および同一寸法のカーペットの大量生産によって、製造コストの削減を図ることができる。
【0012】
請求項2の発明では、前記敷設部がリヤシートの後部側に位置する車両のリヤフロアであるので、異なる車種の同一カーペットへの適用が容易となる。すなわち、自動車のリヤフロアは、フロント側と比較して平坦なフロア形状である場合が多いからである。
【0013】
請求項3の発明では、前記敷設部は前記リヤフロアの後方側端のコーナ部の形状のみが異なっているので、コーナ形状の異なる2種類の自動車に適用する場合に、カーペットのコーナ部にスリットを入れることにより、同一のカーペットを使用することができる。
【0014】
請求項4の発明では、前記カーペットを前記敷設部に固定する際に用いられるクリップ孔が、前記一方の敷設部と前記他方の敷設部とで同一位置に設けられているので、カーペットの敷設部への取付けが容易となり、取付作業の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係るカーペットの敷設構造を、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態に係るカーペットの敷設構造が適用される自動車の車室内後部を示す斜視図、図2は図1における自動車の車室内後部を示す平面図、図3は本発明の実施の形態に係るカーペットの敷設構造が適用される別の自動車の車室内後部を示す斜視図、図4は図3における自動車の車室内後部を示す平面図、図5は本発明の実施の形態に係るラゲージカーペットを示す平面図、図6は図5におけるX−X線断面図、図7は図3におけるY−Y線断面図、図8は本発明の実施の形態に係るラゲージカーペットの固定部を示す断面図、図9は本発明の実施の形態の変形例に係るカーペットの敷設構造を示すもので、図3におけるY−Y線断面図、図10は本発明の実施の形態の変形例に係るラゲージカーペットを示すもので、図5におけるX−X線断面図である。
【0017】
本発明の実施の形態に係るカーペットの敷設構造は、図1および図2に示す自動車Aの車室内後部(ラゲージルーム)1と、図3および図4に示す自動車Bの車室内後部(ラゲージルーム)2とに適用されるものであり、これら自動車A,Bは、車室内後部1,2に設けられたリヤフロア3,4の後端側のコーナ部5,6の形状のみが異なる車種である。すなわち、自動車A,Bは、リヤシート7,8の後方側に位置し、後述のラゲージカーペットの敷設部となるリヤフロア3,4の車幅方向の長さWと、前後方向の長さLとが一致している一方、自動車Aのコーナ部5の大きさが自動車Bのコーナ部6よりも外側に広くなるような形状で形成されている。したがって、本発明の実施の形態に係るカーペットの敷設構造は、一方の敷設部である自動車Aのリヤフロア3が、他方の敷設部である自動車Bのリヤフロア4の形状よりも大きく形成されている場合にも適用可能となっている。
【0018】
自動車Aのリヤフロア3には、図1、図2および図5に示す如く、リヤフロアパネル16(図8参照)などの上を覆うラゲージカーペット9が敷設されるようになっている。このラゲージカーペット9の外周形状は、自動車Aのリヤフロア3の外形形状と一致するような形状と大きさに形成されており、その後方側の左右両角部10には、これを間に挟んで斜めに延びる直線状のスリット部11がそれぞれ設けられている。このスリット部11は、ラゲージカーペット9の角部10を折曲げるために設けられたものであり、ラゲージカーペット9を貫通させながら一定の間隔を開けて配設した複数の切断部11aによって形成されている。
【0019】
また、ラゲージカーペット9の角部10において、スリット部11を形成する箇所は、自動車Aのラゲージカーペット9をこれよりも小さな形状の自動車Bのリヤフロア4に配設した場合に、ラゲージカーペット9の前方側の端部9aの位置を基準として、ラゲージカーペット9が自動車Bのコーナ部6と交差する2点a,b間を結ぶ箇所か、若しくはその近傍のコーナ部6に沿う箇所に設けられている。
【0020】
一方、自動車A,Bのリヤフロア3,4には、図1〜図8に示す如く、スペアタイヤの収納部12がそれぞれ設けられており、該収納部12の上にはスペアタイヤカバー13が載置されている。また、リヤフロア3,4の左右両側には、ホイールハウスインナーパネル14および該インナーパネルを覆うクォータートリム15が配設されている。そして、これらスペアタイヤカバー13、ホイールハウスインナーパネル14、クォータートリム15の一部およびリヤフロアパネル16は、ラゲージカーペット9によって覆われるように構成されている。また、自動車A,Bのリヤフロア3,4の後端側には、リヤスカート17、バックパネル18およびテールエンドトリム19等が設けられている。なお、スペアタイヤカバー13は、ラゲージカーペット9と一体に取付けられてもよく、あるいは別体に取付けられてもよい。
【0021】
また、ラゲージカーペット9のリヤフロア3,4への固定手段としては、複数個のクリップ20と、これらクリップ20を差し込む複数個のクリップ孔21が使用されている。クリップ20は、図8に示す如く、ラゲージカーペット9に取付けられており、各クリップ20の取付部は、スペアタイヤカバー13が載置されない箇所であって、ラゲージカーペット9が直接リヤフロア16に当接する位置に設けられている。また、クリップ孔21は、自動車Aのリヤフロア3と自動車Bのリヤフロア4とで同一位置に設けられており、これによってラゲージカーペット9の取付位置の共通化が図られている。そのため、クリップ孔21は、ラゲージカーペット9に取付けられたクリップ20と対応する位置で、自動車A,Bのリヤフロア3,4のリヤフロアパネル16に穿設されている。
【0022】
次に、本発明の実施の形態に係る敷設構造によってラゲージカーペット9を自動車A,Bのリヤフロア3,4に配設する作業手順を説明する。
まず、図1および図2に示す自動車Aのリヤフロア3にラゲージカーペット9を配設する場合、スペアタイヤカバー13およびリヤフロアパネル16等の上にラゲージカーペット9を載置し、前方側の端部9aを基準として位置決めしながら、各クリップ20をクリップ孔21に差し込んで固定すれば、ラゲージカーペット9は自動車Aのリヤフロア3に敷設されることになる(図1、図2および図8参照)。
また、図3および図4に示す自動車Bのリヤフロア4にラゲージカーペット9を配設する場合、スペアタイヤカバー13およびリヤフロアパネル16等の上にラゲージカーペット9を載置し、前方側の端部9aを基準として位置決めしながら、各クリップ20をクリップ孔21に差し込んで固定する。次いで、コーナ部6に位置するラゲージカーペット9の角部10をスリット部11より上方へ向かって折曲げれば、ラゲージカーペット9は自動車Bのリヤフロア4に敷設されることになる(図3、図4参照)。これにより、自動車Bのリヤフロア4の形状よりも大きなリヤフロア3を有する自動車Aのラゲージカーペット9を配設することが可能となる。
【0023】
このように、本発明の実施の形態に係るカーペットの敷設構造によれば、自動車Bのリヤフロア4の形状よりも大きなリヤフロア3を有する自動車Aのラゲージカーペット9でも配設することができる上、スリット部11で折曲げたラゲージカーペット9の角部10の先端がリヤスカート17などに寄り掛かるように配置され、当該角部10が車室内側に傾倒することはなく、見栄えが良くなる。また、ラゲージカーペット9の折曲げた角部10は、ハッチバック車などのバックドア側から見えないので、良好な外観が得られる。しかも、スリット部11は、切断部11aによって形成されているので、自動車Aのリヤフロア3にラゲージカーペット9を配設しても見えず、外観が損なわれることはない。
【0024】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0025】
例えば、既述の実施形態では、リヤフロア3,4の広さ形状が異なる車種の自動車A,Bに適用しているが、図9に示す如く、リヤフロア3,4の広さ形状が同じで、リヤスカート17の上端に車室内側へ突出した突出部17aが形成され、その突出長さが異なり、突出部17aの室内面に沿ってトリム22の位置が前後方向へずれて配設される場合にも適用することが可能である。このような場合、従来では2種類のラゲージカーペットを用意していたが、スリット部11を設けてラゲージカーペット9を折曲げることにより、1種類のラゲージカーペット9で対応することが可能である。
また、既述の実施形態では、間隔を開けて配設した複数の切断部11aによってスリット部11を形成したが、図10に示す如く、ラゲージカーペット9の裏面側でその肉厚方向に一定長さの切込み31aを入れることによってスリット部31を形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係るカーペットの敷設構造が適用される自動車の車室内後部を示す斜視図である。
【図2】図1における自動車の車室内後部を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るカーペットの敷設構造が適用される別の自動車の車室内後部を示す斜視図である。
【図4】図3における自動車の車室内後部を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るラゲージカーペットを示す平面図である。
【図6】図5におけるX−X線断面図である。
【図7】図3におけるY−Y線断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るラゲージカーペットの固定部を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態の変形例に係るカーペットの敷設構造を示すもので、図3におけるY−Y線断面図である。
【図10】本発明の実施の形態の変形例に係るラゲージカーペットを示すもので、図5におけるX−X線断面図である。
【図11】従来のカーペットの敷設構造が適用される自動車の車室内後部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 自動車Aの車室内後部
2 自動車Bの車室内後部
3,4 リヤフロア
5,6 コーナ部
7,8 リヤシート
9 ラゲージカーペット
10 角部
11 スリット部
11a 切断部
16 リヤフロアパネル
20 クリップ
21 クリップ孔
31 スリット部
31a 切込み
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる車種のフロア形状に配設されるカーペットの共通化を図ることが可能なカーペットの敷設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の中には、リヤシートの後部側にラゲージルームが設けられているものがあり、図11に示す如く、このラゲージルームのリヤフロアパネル51の上面には、ラゲージカーペット52が配設されている(例えば、特許文献1参照)。このようなラゲージカーペット52は、ラゲージルームのリヤフロアパネル51に対応した形状に形成されており、先端部52aがリヤスカートパネル53の前方面に一致させた位置に配置されている。
【0003】
ところで、上記ラゲージルームのリヤフロアパネル51の形状よりも大きい車種の自動車の場合は、図11の鎖線で示すように、別オーダでその敷設部であるリヤフロアパネル51aに対応した大きさのラゲージカーペット54が配設されていた。一方、近年の自動車業界においては、製造コストの削減の要請から、各車種で用いられる部品の共通化を図ることが望まれている。
【特許文献1】実開昭58−108929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のカーペットの敷設構造では、形状の小さなラゲージルームに適用されるラゲージカーペットをこれよりも大きなラゲージルームのリヤフロアに使用すると、これらラゲージカーペットとリヤフロアとの間に隙間が形成されることになるので、当該隙間からリヤフロアの塗装面が見えてしまい、見栄えが悪くなるという不具合を有していた。
【0005】
一方、従来の敷設構造では、形状の大きなラゲージルームに適用されるラゲージカーペットをこれよりも小さなラゲージルームのリヤフロアに配設する場合、ラゲージカーペットの長さがリヤフロアよりも大きくなるので、当該ラゲージカーペットを折曲げて使用する必要がある。このような使用態様において、ラゲージカーペットの折曲げ幅が小さい場合は、当該ラゲージカーペットの端部を折曲げることができず、リヤフロア面上にラゲージカーペットの浮き上がりが生じることもあるので、外観を損ねるおそれがあった。
また、ラゲージカーペットの折曲げ幅が大きい場合においても、自動車のコーナ部ではどうしても当該ラゲージカーペットの浮き上がりが生じてしまい、外観の向上を図ることが困難であった。
【0006】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、カーペットの敷設部の形状が異なる車種の共通化を図り、同一形状のカーペットの大量生産によって、製造コストを削減することが可能なカーペットの敷設構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来技術の有する課題を解決するために、請求項1の本発明では、カーペットの敷設部の形状が異なる車種に適用され、前記敷設部のうち、一方の敷設部が他方の敷設部の形状よりも大きく形成されたカーペットの敷設構造において、前記一方の敷設部に配設されるカーペットには、前記他方の敷設部の形状に沿ってカーペット折曲げ用のスリット部が形成され、該スリット部を折曲げることにより、前記一方の敷設部のカーペットが前記他方の敷設部に配設可能に構成されている。
【0008】
請求項2の本発明では、請求項1の発明において、前記敷設部が、リヤシートの後部側に位置する車両のリヤフロアである。
【0009】
請求項3の本発明では、請求項1または2の発明において、前記敷設部は、前記リヤフロアの後方側端のコーナ部の形状のみが異なっている。
【0010】
請求項4の本発明では、請求項1〜3の発明のいずれかにおいて、前記カーペットを前記敷設部に固定する際に用いられるクリップ孔が、前記一方の敷設部と前記他方の敷設部とで同一位置に設けられている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、カーペットの敷設部の形状が異なる車種に適用され、前記敷設部のうち、一方の敷設部が他方の敷設部の形状よりも大きく形成されたものであって、前記一方の敷設部に配設されるカーペットには、前記他方の敷設部の形状に沿ってカーペット折曲げ用のスリット部が形成され、該スリット部を折曲げることにより、前記一方の敷設部のカーペットが前記他方の敷設部に配設可能に構成されているので、形状の大きな一方の敷設部のカーペットを形状の小さな他方の敷設部に配設することができる。したがって、異なる車種のカーペットの共通化が可能となり、同一形状および同一寸法のカーペットの大量生産によって、製造コストの削減を図ることができる。
【0012】
請求項2の発明では、前記敷設部がリヤシートの後部側に位置する車両のリヤフロアであるので、異なる車種の同一カーペットへの適用が容易となる。すなわち、自動車のリヤフロアは、フロント側と比較して平坦なフロア形状である場合が多いからである。
【0013】
請求項3の発明では、前記敷設部は前記リヤフロアの後方側端のコーナ部の形状のみが異なっているので、コーナ形状の異なる2種類の自動車に適用する場合に、カーペットのコーナ部にスリットを入れることにより、同一のカーペットを使用することができる。
【0014】
請求項4の発明では、前記カーペットを前記敷設部に固定する際に用いられるクリップ孔が、前記一方の敷設部と前記他方の敷設部とで同一位置に設けられているので、カーペットの敷設部への取付けが容易となり、取付作業の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係るカーペットの敷設構造を、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態に係るカーペットの敷設構造が適用される自動車の車室内後部を示す斜視図、図2は図1における自動車の車室内後部を示す平面図、図3は本発明の実施の形態に係るカーペットの敷設構造が適用される別の自動車の車室内後部を示す斜視図、図4は図3における自動車の車室内後部を示す平面図、図5は本発明の実施の形態に係るラゲージカーペットを示す平面図、図6は図5におけるX−X線断面図、図7は図3におけるY−Y線断面図、図8は本発明の実施の形態に係るラゲージカーペットの固定部を示す断面図、図9は本発明の実施の形態の変形例に係るカーペットの敷設構造を示すもので、図3におけるY−Y線断面図、図10は本発明の実施の形態の変形例に係るラゲージカーペットを示すもので、図5におけるX−X線断面図である。
【0017】
本発明の実施の形態に係るカーペットの敷設構造は、図1および図2に示す自動車Aの車室内後部(ラゲージルーム)1と、図3および図4に示す自動車Bの車室内後部(ラゲージルーム)2とに適用されるものであり、これら自動車A,Bは、車室内後部1,2に設けられたリヤフロア3,4の後端側のコーナ部5,6の形状のみが異なる車種である。すなわち、自動車A,Bは、リヤシート7,8の後方側に位置し、後述のラゲージカーペットの敷設部となるリヤフロア3,4の車幅方向の長さWと、前後方向の長さLとが一致している一方、自動車Aのコーナ部5の大きさが自動車Bのコーナ部6よりも外側に広くなるような形状で形成されている。したがって、本発明の実施の形態に係るカーペットの敷設構造は、一方の敷設部である自動車Aのリヤフロア3が、他方の敷設部である自動車Bのリヤフロア4の形状よりも大きく形成されている場合にも適用可能となっている。
【0018】
自動車Aのリヤフロア3には、図1、図2および図5に示す如く、リヤフロアパネル16(図8参照)などの上を覆うラゲージカーペット9が敷設されるようになっている。このラゲージカーペット9の外周形状は、自動車Aのリヤフロア3の外形形状と一致するような形状と大きさに形成されており、その後方側の左右両角部10には、これを間に挟んで斜めに延びる直線状のスリット部11がそれぞれ設けられている。このスリット部11は、ラゲージカーペット9の角部10を折曲げるために設けられたものであり、ラゲージカーペット9を貫通させながら一定の間隔を開けて配設した複数の切断部11aによって形成されている。
【0019】
また、ラゲージカーペット9の角部10において、スリット部11を形成する箇所は、自動車Aのラゲージカーペット9をこれよりも小さな形状の自動車Bのリヤフロア4に配設した場合に、ラゲージカーペット9の前方側の端部9aの位置を基準として、ラゲージカーペット9が自動車Bのコーナ部6と交差する2点a,b間を結ぶ箇所か、若しくはその近傍のコーナ部6に沿う箇所に設けられている。
【0020】
一方、自動車A,Bのリヤフロア3,4には、図1〜図8に示す如く、スペアタイヤの収納部12がそれぞれ設けられており、該収納部12の上にはスペアタイヤカバー13が載置されている。また、リヤフロア3,4の左右両側には、ホイールハウスインナーパネル14および該インナーパネルを覆うクォータートリム15が配設されている。そして、これらスペアタイヤカバー13、ホイールハウスインナーパネル14、クォータートリム15の一部およびリヤフロアパネル16は、ラゲージカーペット9によって覆われるように構成されている。また、自動車A,Bのリヤフロア3,4の後端側には、リヤスカート17、バックパネル18およびテールエンドトリム19等が設けられている。なお、スペアタイヤカバー13は、ラゲージカーペット9と一体に取付けられてもよく、あるいは別体に取付けられてもよい。
【0021】
また、ラゲージカーペット9のリヤフロア3,4への固定手段としては、複数個のクリップ20と、これらクリップ20を差し込む複数個のクリップ孔21が使用されている。クリップ20は、図8に示す如く、ラゲージカーペット9に取付けられており、各クリップ20の取付部は、スペアタイヤカバー13が載置されない箇所であって、ラゲージカーペット9が直接リヤフロア16に当接する位置に設けられている。また、クリップ孔21は、自動車Aのリヤフロア3と自動車Bのリヤフロア4とで同一位置に設けられており、これによってラゲージカーペット9の取付位置の共通化が図られている。そのため、クリップ孔21は、ラゲージカーペット9に取付けられたクリップ20と対応する位置で、自動車A,Bのリヤフロア3,4のリヤフロアパネル16に穿設されている。
【0022】
次に、本発明の実施の形態に係る敷設構造によってラゲージカーペット9を自動車A,Bのリヤフロア3,4に配設する作業手順を説明する。
まず、図1および図2に示す自動車Aのリヤフロア3にラゲージカーペット9を配設する場合、スペアタイヤカバー13およびリヤフロアパネル16等の上にラゲージカーペット9を載置し、前方側の端部9aを基準として位置決めしながら、各クリップ20をクリップ孔21に差し込んで固定すれば、ラゲージカーペット9は自動車Aのリヤフロア3に敷設されることになる(図1、図2および図8参照)。
また、図3および図4に示す自動車Bのリヤフロア4にラゲージカーペット9を配設する場合、スペアタイヤカバー13およびリヤフロアパネル16等の上にラゲージカーペット9を載置し、前方側の端部9aを基準として位置決めしながら、各クリップ20をクリップ孔21に差し込んで固定する。次いで、コーナ部6に位置するラゲージカーペット9の角部10をスリット部11より上方へ向かって折曲げれば、ラゲージカーペット9は自動車Bのリヤフロア4に敷設されることになる(図3、図4参照)。これにより、自動車Bのリヤフロア4の形状よりも大きなリヤフロア3を有する自動車Aのラゲージカーペット9を配設することが可能となる。
【0023】
このように、本発明の実施の形態に係るカーペットの敷設構造によれば、自動車Bのリヤフロア4の形状よりも大きなリヤフロア3を有する自動車Aのラゲージカーペット9でも配設することができる上、スリット部11で折曲げたラゲージカーペット9の角部10の先端がリヤスカート17などに寄り掛かるように配置され、当該角部10が車室内側に傾倒することはなく、見栄えが良くなる。また、ラゲージカーペット9の折曲げた角部10は、ハッチバック車などのバックドア側から見えないので、良好な外観が得られる。しかも、スリット部11は、切断部11aによって形成されているので、自動車Aのリヤフロア3にラゲージカーペット9を配設しても見えず、外観が損なわれることはない。
【0024】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0025】
例えば、既述の実施形態では、リヤフロア3,4の広さ形状が異なる車種の自動車A,Bに適用しているが、図9に示す如く、リヤフロア3,4の広さ形状が同じで、リヤスカート17の上端に車室内側へ突出した突出部17aが形成され、その突出長さが異なり、突出部17aの室内面に沿ってトリム22の位置が前後方向へずれて配設される場合にも適用することが可能である。このような場合、従来では2種類のラゲージカーペットを用意していたが、スリット部11を設けてラゲージカーペット9を折曲げることにより、1種類のラゲージカーペット9で対応することが可能である。
また、既述の実施形態では、間隔を開けて配設した複数の切断部11aによってスリット部11を形成したが、図10に示す如く、ラゲージカーペット9の裏面側でその肉厚方向に一定長さの切込み31aを入れることによってスリット部31を形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係るカーペットの敷設構造が適用される自動車の車室内後部を示す斜視図である。
【図2】図1における自動車の車室内後部を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るカーペットの敷設構造が適用される別の自動車の車室内後部を示す斜視図である。
【図4】図3における自動車の車室内後部を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るラゲージカーペットを示す平面図である。
【図6】図5におけるX−X線断面図である。
【図7】図3におけるY−Y線断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るラゲージカーペットの固定部を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態の変形例に係るカーペットの敷設構造を示すもので、図3におけるY−Y線断面図である。
【図10】本発明の実施の形態の変形例に係るラゲージカーペットを示すもので、図5におけるX−X線断面図である。
【図11】従来のカーペットの敷設構造が適用される自動車の車室内後部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 自動車Aの車室内後部
2 自動車Bの車室内後部
3,4 リヤフロア
5,6 コーナ部
7,8 リヤシート
9 ラゲージカーペット
10 角部
11 スリット部
11a 切断部
16 リヤフロアパネル
20 クリップ
21 クリップ孔
31 スリット部
31a 切込み
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーペットの敷設部の形状が異なる車種に適用され、前記敷設部のうち、一方の敷設部が他方の敷設部の形状よりも大きく形成されたカーペットの敷設構造において、前記一方の敷設部に配設されるカーペットには、前記他方の敷設部の形状に沿ってカーペット折曲げ用のスリット部が形成され、該スリット部を折曲げることにより、前記一方の敷設部のカーペットが前記他方の敷設部に配設可能に構成されていることを特徴とするカーペットの敷設構造。
【請求項2】
前記敷設部は、リヤシートの後部側に位置する車両のリヤフロアであることを特徴とする請求項1に記載のカーペットの敷設構造。
【請求項3】
前記敷設部は、前記リヤフロアの後方側端のコーナ部の形状のみが異なっていることを特徴とする請求項1または2に記載のカーペットの敷設構造。
【請求項4】
前記カーペットを前記敷設部に固定する際に用いられるクリップ孔は、前記一方の敷設部と前記他方の敷設部とで同一位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカーペットの敷設構造。
【請求項1】
カーペットの敷設部の形状が異なる車種に適用され、前記敷設部のうち、一方の敷設部が他方の敷設部の形状よりも大きく形成されたカーペットの敷設構造において、前記一方の敷設部に配設されるカーペットには、前記他方の敷設部の形状に沿ってカーペット折曲げ用のスリット部が形成され、該スリット部を折曲げることにより、前記一方の敷設部のカーペットが前記他方の敷設部に配設可能に構成されていることを特徴とするカーペットの敷設構造。
【請求項2】
前記敷設部は、リヤシートの後部側に位置する車両のリヤフロアであることを特徴とする請求項1に記載のカーペットの敷設構造。
【請求項3】
前記敷設部は、前記リヤフロアの後方側端のコーナ部の形状のみが異なっていることを特徴とする請求項1または2に記載のカーペットの敷設構造。
【請求項4】
前記カーペットを前記敷設部に固定する際に用いられるクリップ孔は、前記一方の敷設部と前記他方の敷設部とで同一位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカーペットの敷設構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−44593(P2006−44593A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231763(P2004−231763)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】
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