説明

カーペットバッキングを付けるためのホットフィルムラミネーション(真空支援)

【課題】 本発明は、良好な一次および二次バッキングの間の接続強さを有するタフトカーペットを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の基材にラミネートする方法は、少なくとも1つの熱可塑性フィルムを多孔質基材上に配置する工程;少なくとも1つの熱可塑性フィルムを加熱軟化させる工程;ラミネートされた基材を生成させるために、少なくとも1つの熱可塑性フィルムと多孔質基材とを結合させる工程;および、ラミネートされた基材を冷却する工程を含み得る。ここで、結合させる工程は、熱可塑性フィルムを多孔質基材に吸引する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される実施形態は、一般に、多孔質基材のコーティング方法に関する。別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、カーペットのラミネーション方法に関する。より具体的な態様として、本明細書に開示される実施形態は、真空支援によるホットフィルムラミネーション方法に関する。別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、ポリオレフィン接着剤およびバッキングを、主としてポリオレフィンのグレー(griege good)に付けるための方法に関する。別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、改善されたタフトロック(tuft lock)を有する完成したカーペットに関する。
【背景技術】
【0002】
タフト加工された製品は、カーペットおよび人工芝を含めて、ヤーンを一次バッキングにタフト加工することによって製造される。タフトカーペットの工業的生産に対する基本的製造手法は、織スクリムまたは一次カーペットバッキングから始めること、および、これをタフト加工機または織機に供給することである。カーペット表面繊維が、一次カーペットバッキングを貫いて針で通され、それに埋め込まれ、こうして、タフト加工されたバッキングまたはグレーが形成される。各タフトの基部は、通常、一次バッキングを貫いて延びており、一次バッキングの裏側表面に露出している。タフトカーペットおよびタフトカーペットの製造方法は、例えば、米国特許第5714224号に記載されている。
【0003】
タフト加工は、通常、ヤーンを通した往復運動する針を一次バッキングに差し込んで、ヤーンのタフトを形成することによって実施される。ルーパーまたはフック(通常、針とタイミングの合った関係で動作する)は、針がバッキングファブリックを貫くそれらの往復運動行程の最も端の位置にある時に、ルーパーが針孔の真上に位置するように置かれている。針がその位置に達すると、ヤーンはルーパーによって針から引き取られ、しばらくの間、保持される。ヤーンのループまたはタフトは、一次バッキングを通って針が元に移動することから生じる。通常、この過程は、ニードリング設備を通してバッキングが前進することによりループがルーパーから離れつつ、繰り返される。望まれる場合、ループは、例えば、ループをカットするためにタフト加工工程においてルーパーとナイフの組合せを用いることによって、カットパイルとなるようにカットできる。代わりに、ループはカットされないままであってもよい。タフト加工工程において差し込まれたヤーンのタフトは、通常、ヤーンの解撚、さらにはバッキングの収縮によって、その場所に保たれる。
【0004】
次いで、タフト加工の後、グレーの洗浄および乾燥が行われ、次に、グレーに仕上げ作業が行われ、この作業は、接着剤または二次バッキングを、タフト加工された一次バッキングの裏側に付けることを含み得る。グレーは通常、タフト、または表面繊維を一次バッキングに固定するために、接着剤コーティングにより裏打ちされる。バッキングの裏側または縫い目のある表面は、バッキングへのタフトのロッキングまたは固定を強化するために、接着剤、例えば、天然もしくは合成ゴム、樹脂ラテックス、エマルジョン、またはホットメルト接着剤によりコーティングされ得る。このような接着剤の使用により、タフトカーペットの寸法安定性もまた向上し得るし、結果的にスキッドおよびスリップ抵抗の向上した一層長持ちのするカーペットが得られる。低コストカーペットでは、バッキングとしてラテックス接着剤コーティングだけが行われることが多い。
【0005】
より高コストのカーペットでは、二次バッキングおよびラテックス接着剤コーティングの両方が行われることが多い。通常、タフトカーペットは、仕上げ作業において、二次バッキング(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはエチレン−プロピレンコポリマーからなる熱可塑性フィルムまたは織布もしくは不織布、あるいはジュート(jute)のような天然繊維)を、タフト加工された一次バッキングにラミネートすることによって、さらに安定化される。仕上げ作業において使用される接着剤は、一次バッキングを二次バッキングに接合させる。
【0006】
タフトカーペットのパイルを形成するのに用いられる表面繊維またはヤーンは、通常、ナイロン、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、羊毛、綿、レーヨンなどを含めて、かなりの数の種類の繊維のいずれか1つからなる。
【0007】
通常、タフト加工されたパイルカーペットのための一次バッキングは、1種または複数の天然もしくは合成の繊維またはヤーン、例えば、ジュート、羊毛、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、およびレーヨンからなる織布または不織布である。合成材料、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびエチレン−プロピレンコポリマーのフィルムもまた、一次バッキングをなすために使用され得る。
【0008】
同様に、タフト加工されたパイルカーペットのための二次バッキングは、通常、1種または複数の天然もしくは合成の繊維またはヤーンからなる織布または不織布である。タフト加工されたパイルカーペットのための二次バッキングには、目の粗い(open)織物またはもじり(leno)織物(すなわち、経糸方向のテープヤーンおよび緯糸方向のステープル紡績繊維)が含まれ得る。
【0009】
例えば、ラテックス接着剤コーティングの塗布は、カーペットの一次バッキング材料を、材料の表側表面に狭い間隔で直立した多数のヤーンのループからなるパイルを形成する様に、表面繊維で縫うことによってグレーを準備することを含む。その後、こうして形成されたグレーの裏側表面は、通常、水性分散体(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、アクリル系、ビニル系、または他の一般的な水性ラテックス分散体)の状態で塗布されるラテックスポリマーバインダーによりコーティングされる。次いで、コーティングされたグレーは、ラテックス接着剤コーティングを乾燥させるためにオーブンを通され、表面繊維は一次バッキングに接合される。
【0010】
望まれる場合、二次バッキングが、一次バッキングの下面に接合されてもよい。二次バッキングを有するタフトカーペットを製造するために、グレーの裏側表面はラテックスポリマーバインダーによりコーティングされる。次いで、二次バッキングが、コーティングされた裏側表面に付けられ、得られる構造体は、ラテックス接着剤コーティングを乾燥させて二次バッキングをグレーに接合させるためにオーブンを通される。
【0011】
カーペットの前記製造方法は米国における大多数のカーペット加工において用いられている。このカーペット製造方法は、それが、長い高温空気乾燥設備と一緒に、特別なコーティング装置を必要とするという点で不都合を有する。乾燥ステップは、カーペットのコストを引き上げ、生産速度に限界を設け、装置に大きな資本投資を必要とし、コーティングおよび乾燥装置を設置するために大きな面積を必要とする。さらに、ラテックス接着剤組成物は、特に、しっかりと密閉された建物で用いられる時、頭痛、涙目、呼吸困難、および吐き気の原因であり得るガスを発生し得る。さらに、カーペットの過熱が、ラテックスの乾燥の間に起こり得るが、これが、次には、カーペットの色合いに影響を及ぼし得る。
【0012】
したがって、カーペット製造業者は、タフトカーペットの製造のための新しい手法を開発しようと試み続けている。1つの手法は、ラテックス組成物の代わりにホットメルト接着剤組成物を用いるタフトカーペットの製造である。ホットメルト接着剤は、十分な加熱により、カーペットのバッキング表面およびタフトの縫い目を濡らし、それらに浸透するのに十分なだけ軟化し流動するアモルファスポリマーである。さらに、ホットメルト接着剤は、バッキング表面および/またはタフトの縫い目に接着するまたは付く傾向がある。
【0013】
ホットメルト接着剤の使用によって、塗布後の組成物の乾燥の必要がなくなり、さらに、二次バッキング材料が望まれる時、二次バッキングは、ホットメルト組成物が塗布された後、乾燥ステップの必要なしに、直ちに付けられ得る。
【0014】
ホットメルト組成物の塗布は、通常、溶融状態のホットメルト組成物が入った容器内に位置するアプリケータロールの上に、グレーの裏側表面を通すことによって、実施される。通常、ドクターブレードが、塗布ロールから構造体の裏側表面に転移される接着剤の量を制御するために用いられる。グレーの裏側表面へのホットメルト組成物の塗布後で、冷却の前に、望まれる場合、二次バッキングが裏側表面に接触させられ、次いで、得られる構造体がニップロールを通過し、加熱される。
【0015】
カーペットラミネーション工程において、接着剤の基本的必要条件は、一次バッキング、その裏側に突き出るタフトの縫い目、および二次バッキングを強く接合させる能力を含む。このような組成物は、通常、このようなポリマーの接着性の理由から、アモルファスまたは実質的に非結晶性である。ホットメルト接着剤の活性化温度、すなわち、接着剤がバッキングの表面およびタフトの縫い目を濡らし、それらに浸透するのに十分なだけ軟化し流動する温度は、バッキングおよび表面ヤーンが、溶融する、または加熱による他の損傷(例えば、バッキングの配向ポリオレフィンヤーンの緩和)を受ける温度より低くなければならない。接着剤はまた、バッキングの良好な濡れおよびタフトの縫い目の十分な包み込みを達成して、引き抜き、ピリング(pilling)、および毛羽立ち(fuzzing)に対してタフトヤーンに耐性があるようにするために、仕上げに用いられる温度で十分に低い粘度を有さなければならない。さらに、工業的実施では、ホットメルト接着剤を用いるカーペット製造法の経済性が、依然として工業的カーペット製造における支配的なラミネーション法である通常のラテックスラミネーション技法の経済性と少なくとも同じでなければならない。
【0016】
かなりの数のホットメルト接着剤およびホットメルト接着剤を用いる方法が、カーペットラミネーションにおける使用のために提案されている。例えば、米国特許第3551231号は、ホットメルト接着剤カーペットラミネーション法を開示し、この方法では、エチレン−ビニルアセタートコポリマー、ならびに任意選択で、ワックス(例えば、マイクロクリスタリンおよびポリエチレンワックス)、フィラー(例えば、炭酸カルシウム)、樹脂増量剤(例えば、ジシクロペンタジエンアルキル化ポリマー)、および酸化防止剤からなる溶融接着剤が、タフト加工された一次バッキングに塗布され、次いで、二次バッキングが加圧下に溶融接着剤に接触させられ、その後、このアセンブリが接着剤を固化させるために冷却される。カーペットの製造に用いられる様々なホットメルト組成物を開示する他の特許には、米国特許第4875954号、米国特許第4844765号、米国特許第4576665号、米国特許第4522857号、米国再発行特許第31,826号、米国特許第3940525号、米国特許第3676280号、米国特許第3900361号、米国特許第3537946号、米国特許第3583936号、米国特許第3390035号、および英国特許公開第971958号が含まれる。
【0017】
このような特許に開示されているように、溶融状態の接着剤がバッキング材料に塗布される。別のバッキング材料が、加圧下に、その接着剤に接触させられ、接着剤の溶融、およびその後の冷却が2つのバッキング材料を接合する役目を果たす。通常、溶融接着剤の塗布は、ラテックスラミネーション法において用いられるもののような、アプリケータロール(これは、溶融接着剤の浴を通る)を用いて、またはバッキングへの溶融接着剤の押出によって実施される。溶融状態のホットメルト接着剤の取扱いおよび塗布のために必要とされる大きな加熱された容器または押出機は、ラテックスラミネーション法では必要とされない;したがって、通常のラテックス法を溶融状態のホットメルト接着剤の使用に変えることは、かなりの資本投資を必要とし得る。
【0018】
米国特許出願公開第20060076100号は、グレーにホットメルト接着剤を塗布する単一パスの方法を開示する。さらに、この‘100号の公開に記載されているように、いくつかの他の特許は、ホットメルト接着剤を用いる仕上がった広幅カーペットの別の製造方法を教示する。例えば、米国特許出願公開第2003/0211280号(この開示は参照によって本明細書に全体として組み込まれる)は、グレーカーペットおよび接着性バッキング材料を含むカーペットの製造方法を提供する。この接着性バッキング材料は、押出コーティング、ならびに、(a)接着性バッキング材料を付ける前にグレーを予熱するステップ、(b)接着性バッキング材料を一次バッキング材料の裏側に引き付けるように、接着性バッキング材料を真空に委ねるステップ、(c)接着性バッキング材料を一次バッキング材料の裏側に押し付けるように、ニップロールの圧力に加えて、接着性バッキング材料を空気正圧装置に委ねるステップ、および、(d)接着性バッキング材料を一次バッキング材料の裏側に付けた後、カーペットを熱浸漬するステップ、から選択される少なくとも1つのさらなるステップによって、グレーカーペットに付けられる。
【0019】
米国特許出願公開第20050266205号は、二次バッキングをグレーにアニールするためのポリウレタンの使用を開示する。ポリウレタンモノマーが一次バッキングに塗布され、ここで、このポリウレタンは、グレーにポリウレタンの層をコーティングする2つのロールの間に液体として溜められる。真空、ブロアー、または超音波装置が、グレーへのモノマーの浸透を増すために使用され得る。
【0020】
EP1752506A1は、コーティングによる、カーペット、人工芝などのウェッブの裏地を提供する方法を開示する。カーペットのウェッブが予熱ステーションを通過し、次いで、ホットメルトユニットのスプレーヘッドのスプレー開口部に沿って進み、そこで、ホットメルトが、得られるカーペットウェッブの裏面へのコーティングとして塗布される。次に、カーペットウェッブは、後加熱ステーションを通して送られる。予熱ステーションおよび後加熱ステーションのいずれにおいても、カーペットの面を貫くようにカーペットを通して、空気が送られる、または吸い込まれる。
【0021】
ホットメルト組成物および方法は、ラテックス法よりかなり単純であるが、不均一な品質のカーペットの生成に、時々、遭遇する。具体的には、ホットメルト接着剤を用いるこのようなカーペットは、再現性のある一貫性で、大きなスクリム接合(仕上がったカーペットから二次バッキングを取り除くのに必要とされる力)、大きなタフト引抜き強さ(カーペットからタフトの1つを引き出すのに必要とされる力)、および大きな耐毛羽立ち性(カーペットの個々のヤーンが毛羽立ち毛玉を生成する目安)を有するように製造できない。したがって、このようなホットメルト組成物は、コスト、スピード、および安全性の観点からは魅力的であるが、完全に満足できるカーペットの製造においては、いくつかの困難に遭遇している。例えば、米国特許第3551231号を参照。
【0022】
ホットメルト接着剤カーペットラミネーション法での別の問題は、一次バッキングの裏側の表面ヤーンタフトの縫い目へではなく、むしろ二次バッキングの方への接着剤の効果のない配分であった。これは、二次バッキングが通常、二次バッキングと熱源もしくは加熱された表面との間の工程における直接接触、または一次バッキングのタフトの断熱効果、あるいはこれらの要因の組合せのいずれかの結果として、ラミネーション工程の間に、一次バッキングおよびタフトの縫い目より迅速に加熱されるために起こる。その結果、ホットメルト接着剤は二次バッキングの近傍で、より迅速に活性化するので、接着剤は、一次バッキングに優先して、二次バッキングの方に流れる傾向がある。二次バッキングに向かうこの優先的な流れは、二次バッキングが一次バッキングより多孔質である場合、例えば、一次バッキングが目を詰めて織られているかまたは高密度のタフトの縫い目を有し、二次バッキングが目を粗く織られている時、増加し得る。ホットメルト接着剤のこのような配分は、結果的に不完全なタフトの包み込みを生じ、このことが、ひいては、カーペットの劣った摩耗特性を生じる。剥離強さおよびタフト結合強さもまた犠牲にされ、接着剤は、構造体内部での接着剤の効果のない配分のために、事実上、無駄にされる。
【0023】
米国特許第3684600号から、一次バッキングに、ホットメルト接着剤による裏面コーティングの前に、溶融状態または溶液状態の低粘度プレコート組成物を塗布することが知られる。このプレコートは、タフトの縫い目の繊維を接合するのに十分な量で用いられ、そうすることにより、一次および二次バッキングの接合が強化され、耐毛羽立ち性のカーペットが得られる。様々なプレコート接着剤が、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリスチレン、ポリエステルおよびエチレン−ビニルアセタートコポリマーを含めて、開示されている。エチレン−ビニルアセタートコポリマーと、ワックスならびにポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、アルキル芳香族熱可塑性樹脂および不飽和脂肪族熱可塑性樹脂の樹脂混合物とのプレコートブレンドもまた開示されている。米国特許第4552794号もまた、カーペットラミネーションに用いられるプレコート組成物を開示する。
【0024】
プレコートホットメルト接着剤は、タフトの縫い目の包み込みを改善するために提案されたが、溶融状態のプレコートの塗布は、さらなる材料、工程ステップ、および装置を必要とすることによって、ラミネーション工程におけるさらなる費用および複雑さの原因となる。
【0025】
ホットメルト接着剤が溶融状態で塗布されるカーペットラミネーション法の代わりとして、米国特許第3734800号は、ホットメルトポリマーまたは他の熱可塑性樹脂を連続シートまたはフィルムに成形し、それを一次および二次バッキングの間に導き、バッキングおよび接着剤を接触させて加熱して接着剤を溶融させ、次いで、接着剤を固化させて高強度ラミネートを形成することを開示する。この‘800号特許によれば、その方法の利点は、ラミネーション工程において液体の必要性をなくすこと、および接着剤を溶融させるのに既存のラテックスラミネーションオーブンを使用できることにある。
【0026】
米国特許第6316088号は、ホットメルト接着剤分散体を基材シートに塗布することを開示する。この分散体はスプレーコーティングにより塗布でき、コーティング工程の間、基材シート(およびコンベヤーベルト)を横切って真空に引かれ得る。
【0027】
米国特許第3734812号は、他の用途で、不織テープをラミネートするための、接着性フィルムの使用を開示する。ポリマー材料の延伸不織テープをラミネートするための熱可塑性フィルム(例えば、低分子量の低密度ポリエチレン、エチレン−ビニルアセタートコポリマー、エチレンアクリルアミドコポリマー、およびポリプロピレン)が、農産物を動物、鳥および昆虫から保護するために、漁業に、カーテンもしくは室内装飾用品、または野菜、穀物、もしくは粉末用の袋として有用な、穴のあいた構造体を形成するのに使用され得る。
【0028】
米国特許第4434261号は、エチレン−ビニルアセタートまたは他のエチレンコポリマー、特定の可塑剤、フィラー、および他の添加剤を含む、押出可能で自立している(self-supporting)ホットメルト接着剤シート(スパンボンドポリエステルおよびポリプロピレンのような材料をラミネートするのに使用される)を開示する。しかし、カーペットの製造における使用は開示されていない。
【0029】
米国特許出願公開第20050266206号およびいくつかの関連ファミリーメンバー(米国特許出願公開第20040202817号、米国特許出願公開第20040079467号、米国特許出願公開第20030211280号、米国特許出願公開第20020134486号、PCT国際公開第1998038376号、PCT国際公開第1998038375号、PCT国際公開第1998038374号)は、グレーを接着剤バッキング材料により押出コーティングする方法を開示する。ニップロールは、ロール外周の約17パーセントに渡って真空を引くための真空スロットを装備し得る。
【0030】
流体バリアを有するカーペットが米国特許第5612113号に記載されている。これらのカーペットは、タフト加工されるヤーンが縫い込まれる一次バッキング、寸法安定性をもたらす二次バッキング、およびこぼれた流体を通さない材料の薄いフィルムを有し、このフィルムは、適切な接合を提供し、またこぼれた流体に溶けない接着剤によって、一次バッキングまたは二次バッキングのいずれかに接合されている。薄いフィルムに適する材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、これらの組合せ、ならびに表面処理され得る類似の熱可塑性材料、さらには、これらの繊維と、強化繊維を有するかまたは有さないかのいずれかの、不織または織繊維とのラミネートにより形作られる複合構造体が含まれる。フィルムの片側のコロナ処理は、フィルムをバッキングに接合可能にするのに十分である可能性があるとして、明白に開示されている。
【0031】
米国特許第7056407号は、二次バッキングなしに製造できる、タフト加工された物品(カーペットおよび人工芝を含めて)を開示する。通常、二次バッキングは、寸法安定性をもたせるために、カーペットおよびカーペット製造工程に必要であった。前記特許に記載のように、ポリウレタンでプレコートされたグレーに、またはプレコートされたグレーに付けられた発泡体層に、接触させられる、またはラミネートされる柔軟フィルムのコロナ処理は、二次バッキングなしに、得られる硬化されたカーペット物品を寸法安定性であるようにするのに十分なだけ強い接合を生じる。これらのタフト加工された硬化物品の剥離強さは、通常のタフト加工された物品のそれを超える。タフト加工された物品に二次バッキングを含めることは可能であるが、これは、通常、性質のさらなる改善なしに、工程および得られる製品のコストを増大させる結果になる。
【0032】
米国特許第5221394号は、裏打ちされた工業用圧着カーペットの製造方法を開示する。このカーペットは、バッキングフィルム、およびバッキングフィルムの片側の接着剤を含む。バッキングフィルムの他の側は、カーペットのウェッブに熱ラミネートされていて、カーペットを強化し、それに接着剤をもたせている。バッキングフィルムのコロナ放電が開示され、熱ラミネーションが繊維とバッキングを接合するために用いられる。
【0033】
多層一次バッキングを有するタフト加工された製品が、米国特許第5445860号に開示されている。これらのタフト加工された製品は、例えば、第1バッキング層、第2バッキング層および第1と第2バッキングの間に挟まれたエラストマーからなるタフト加工用バッキングにパイルヤーン繊維をタフト加工することによって製造される。タフト加工用バッキングが、1つのバッキング層とそのバッキング層に接着したエラストマーだけからなることも可能である。このように、第2バッキング層は任意選択である。第2バッキング層が存在する場合、エラストマーは第1と第2バッキング層の間に挟み込まれている。エラストマーは、エラストマーの固形シートとして付けられても、あるいは、それは溶融され、付けられてもよい。多層バッキングを形成した後、次に、パイルヤーン繊維が、バッキングおよびエラストマー層を貫いてタフト加工される。エラストマーの固形シートは、ある時点で加熱されて、エラストマーがパイルヤーン繊維に、またそれらの回りに流動するようになる。ひとたびエラストマー層が冷却されると、パイルヤーン繊維はタフト加工用バッキングに接合される。さらに、第1バッキング層へのエラストマーの接合は、第1バッキング層をコロナ放電またはガスフレーム(gas flame)により処理することによって改善され得ることが開示されている。第1バッキング層とエラストマーの間の接合は、また、例えば真空により第1バッキング層にエラストマーを吸引することによっても改善され得る。
【0034】
米国特許第5240530号は、表側表面から突き出した合成カーペット繊維のタフトを有する一次バッキング、および任意選択で、二次バッキングを含み、一次バッキングの裏側表面と二次バッキングの上側表面の間に、これらに一体化するように融合したアイソタクチックポリオレフィンポリマーの押出シートを有するカーペットを開示する。開示されているこのカーペットの製造方法は、押出シートを一次バッキングに、また任意選択で、二次バッキングに、それぞれのバッキングに押出シートを融合させて一体化するのに十分な高温で、接触させることを含む。
【0035】
米国特許第6860953号は、リサイクルされたプラスチックをカーペットバッキング層として用いる方法を開示する。リサイクルされた材料は、発泡剤と混合され、バッキングシートを成形するために、発泡剤の分解温度より低い温度で押し出される。床材への接着の後、バッキングシートは、発泡剤を活性化するために加熱され、バッキングシートは膨張し、クッションのあるバッキング層となる。
【0036】
米国特許第7018492号および関連する特許ファミリーメンバーの米国特許出願公開第20060204711号は、カーペットの製造方法を開示し、この方法は、タフト加工されたバッキングの縫い目のある側に、有機ポリマー成分を含む縫い目結合液体組成物を付けること、組成物の液体成分を除去して縫い目のフィラメントを接合させること、および、縫い目の側と1つまたは複数のバッキングに接触して溶融されるまたは溶融物として塗布され固化される熱可塑性バインダーにより、縫い目と1つまたは複数のバッキングを接合させることを含む。
【0037】
米国特許第7026031号は、人工芝の製造方法を開示し、この方法では、繊維が、コロナ放電により処理され、一次バッキングにタフト加工されてグレーが形成され、プレコートがグレーの裏側表面に塗布される。適切な繊維はポリオレフィンであり、適切なプレコートは反応性ポリウレタン混合物である。繊維は、それらが一次バッキングにタフト加工されてグレーを生成する前、またはそれらが一次バッキングにタフト加工された後のいずれかに、コロナ放電により処理され得る。プレコートは、その表側表面によって、グレーの裏側表面に付けられる。
【0038】
人工芝に関して、ポリウレタンは、運動用芝生のような要求の厳しい屋外用途で一般に好まれるバッキング材料として、水による劣化に対するポリウレタンの固有の耐性および一般に優れた耐久性のために、SBRラテックスを大部分置き換えた。その極性を有するナイロンは、ポリウレタンで製造されたプレコートと非常によく接合する。さらに、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)繊維またはテープを、これらの材料がナイロンより擦り取る性質がかなり少ないので、皮膚を擦り剥く怪我の発生率を減らすという理由で、用いる方向に向かう、業界における最近の動向がある。これらのポリオレフィンは非極性であるため、ポリウレタンプレコートへの接合はいくらか弱くなり、結果的に、ナイロン芝のタフト結合に比べて弱いタフト結合を生じる。
【0039】
業界における別の最近の動向は、リサイクルされ得るカーペットの生産である。製造工程の間のラテックス接着剤または非相溶性ポリマーの使用は、かなりのコストで、埋立地に送られる、カーペットの製造の間に生じる大量のカーペットの耳屑およびスクラップ、ならびに使用済みカーペットを結果的に生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】特表2001−517112号公報
【特許文献2】特開2003−319864号公報
【特許文献3】特開昭61−227032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
このように、通常のカーペットおよびカーペット製造法は知られているが、これらのカーペットおよび製造法は、そこで用いられる組成物に起因する固有の問題を有する。具体的には、表面繊維のタフトを一次バッキングに接着するために、また二次バッキングを一次バッキングに接着するために使用される接着剤は、非常に長い乾燥時間を必要とするために、製造工程の速度を遅くする組成物を含む。さらに、ラテックス組成物は、健康に有害な要因を生み出す有毒のオフガスを生成し得る。同様に、カーペットの製造に通常用いられるホットメルト組成物の多くは、スクリム接合、タフト引抜き強さ、および耐毛羽立ち性に関して、再現性のある一貫性を生じない。さらに、通常のラテックス接着剤およびホットメルト接着剤の使用は、カーペットがリサイクルされることを妨げる。
【0042】
したがって、良好な一次および二次バッキングの間の接続強さ、良好なタフトの縫い目の包み込み、ならびにタフト結合強さのタフトカーペットを提供する、改善されたカーペットラミネーション法が、特に主としてポリオレフィンを含むカーペットについて、依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0043】
一態様において、本明細書に開示される実施形態は、基材にラミネートする方法に関する。
【0044】
前記方法は、少なくとも1つの熱可塑性フィルムを多孔質基材またはタフト加工された基材上に配置すること;少なくとも1つの熱可塑性フィルムを加熱軟化させること;ラミネートされた基材を生成させるために、少なくとも1つの熱可塑性フィルムと多孔質基材とを結合させること;および、ラミネートされた基材を冷却することを含み得る。ここで、結合させることは、熱可塑性フィルムを多孔質基材に吸引することを含む。
【0045】
別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、基材にラミネートするための設備に関する。この設備は、熱可塑性フィルムを、多孔質基材またはタフト加工された基材上に配置するための装置;熱可塑性フィルムを加熱軟化させるためのヒーター;および、熱可塑性フィルムを、多孔質基材またはタフト加工された基材に吸引するための真空を含み得る。
【0046】
他の態様および利点は以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本明細書に開示される実施形態による、多孔質基材またはタフト加工された基材にコーティングする方法の簡略化された概略図である。
【図2】本明細書に開示される実施形態による、多孔質基材またはタフト加工された基材にコーティングする別の方法の簡略化された概略図である。
【図3】加熱およびロールキャスティングを用い、フィルムによりコーティングされたグレーの写真である。
【図4】加熱およびロールキャスティングを用い、フィルムによりコーティングされたグレーの写真である。
【図5】本明細書に開示される実施形態による、加熱、真空、およびロールキャスティングを用い、フィルムによりコーティングされたグレーの写真である。
【図6】図3〜5および比較試料のコーティングされたグレーのタフトロックを比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
一態様において、本明細書に開示される実施形態は、多孔質基材のコーティング方法に関する。別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、カーペットラミネーション法に関する。より具体的な態様において、本明細書に開示される実施形態は、真空支援ホット(hot)フィルムラミネーション法に関する。別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、主としてポリオレフィンのグレーに、ポリオレフィン接着剤およびバッキングを付ける方法に関する。別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、改善されたタフトロックを有する完成したカーペットに関する。
【0049】
ここで図1を参照すると、タフト加工された基材(例えば、カーペットおよび人工芝)、不織布、織布、多孔質フィルム、テキスタイル、キャンバス、ならびに人工皮革を含めて、多孔質基材の、本明細書に開示の実施形態による、コーティング方法が例示されている。多孔質基材5およびラミネーションフィルム15は、ロール20の間で接合され得る。多孔質基材5(これは、材料の巻物6の状態で供給されても、あるいは、タフト加工またはカーペット製造工程(示されていない)から供給されてもよい)は、一次バッキング9の上側表面8から突き出たタフト7を含み得る。パイル10は、一次バッキング9から下向きに延び得る。
【0050】
ラミネーションフィルム15は、1つまたは複数の層(示されていない)を含んでいてもよく、1つまたは複数の発泡体層または発泡可能層、さらには添加剤およびフィラー(それぞれ、下で詳細に記載される)を含み得る。ラミネーションフィルム15(これは、1つまたは複数のポリマー層(示されていない)を含み得る)は、多孔質基材5の融解温度より低い融解温度を有する外側接着ポリマー層16を含み得る。外側接着ポリマー層16は、ロール20の間で、上側表面8およびタフト7の少なくとも一方と接触している関係に導かれ得る。次いで、熱源25が、ラミネーションフィルム15の温度を、接着ポリマー層16の融点より高く上げるために使用され得る。
【0051】
同時に、フィルム15および接着ポリマー層16と、バッキング9およびタフト7との接触を増すために、真空27が適用され得る。例えば、真空27は、ラミネーションフィルム、またはその一部分を、バッキング9およびタフト7に吸引し得る。真空27はどのような適切な真空装置またはブロアーを用いて適用されてもよい。適用された真空27は、溶融した接着フィルム層16を、タフト7の繊維(示されていない)およびバッキング9にまたはこれらの間に浸透させ、バッキング9へのパイル10の良好な接着(タフトロック)のために必要とされる濡れをもたらし得る。
【0052】
次いで、得られる複合構造体30の温度が、冷却源35を用いて下げられ得る。冷却源35には、自然の対流、強制対流、または当業者に知られている、基材の温度を低下させるための他の手段が含まれ得る。
【0053】
いくつかの実施形態において、真空37が、冷却過程を通して、フィルム15およびベース接着ポリマー層16と、バッキング9およびタフト7との間の増大した接触を保つために、適用され得る。別の実施形態において、複合構造体30は、溶融フィルム16がタフト7の繊維およびバッキング9またはこれらの間にさらに浸透するように、ロール39の間でプレスされ得る。ロール39はまた、複合構造体30に寸法安定性および仕上げをもたらし得る。
【0054】
ここで図2を参照すると、多孔質基材(例えば、カーペット、人工芝、不織布、織布、連続気泡(open cell)発泡体、テキスタイル、キャンバス、および人工皮革)の、本明細書に開示の実施形態による、別のコーティング方法が例示されている。全体的に見れば、多孔質基材55およびラミネーションフィルム65が、方法50の間に、複合構造体80を生成するように接合され得る。多孔質基材55(これは、材料の巻物56の状態で供給されても、あるいは、タフト加工またはカーペット製造工程(示されていない)から供給されてもよい)は、多孔質基材55の上側表面58から突き出たタフト(示されていない)を含み得る。パイル(示されていない)は、多孔質基材55から下向きに延び得る。
【0055】
ラミネーションフィルム65は、1つまたは複数の層(示されていない)を含んでいてもよく、外側接着ポリマー層66(これは、多孔質基材55の融解温度より高いまたはより低い融解温度を有し得る)は、上側表面58およびタフトの少なくとも一方と接触している関係に導かれる。ラミネーションフィルム65と多孔質基材55の接触の前に、熱源75が、ラミネーションフィルム65の温度を、接着ポリマー層66の融点より高く上げるために、使用され得る。接着ポリマー層66の融解は、溶融したポリマーの薄い層を生じ、その後、ラミネーションフィルム65および多孔質基材55が、例えばキャスティングロール83の使用によって、接触する関係に導かれ得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、ラミネーションフィルム65および多孔質基材55が接触している関係に導かれると同時に、またはその後で、真空87が、ラミネーションフィルム65と多孔質基材55の間の接触圧力を保つまたは増大させるために、適用され得る。適用された真空87は、溶融したフィルム層66を、多孔質基材55の構成要素(例えば、タフトカーペットのタフトの繊維(示されていない)およびバッキング)にまたはそれらの間に浸透させ、良好な接着(タフトロック)のために必要とされる濡れをもたらし得る。
【0057】
次いで、得られる複合構造体80の温度が、冷却源85を用いて下げられ得る。冷却源85には、自然の対流、強制対流、またはまたは当業者に知られている、基材の温度を低下させるための他の手段が含まれ得る。さらに、真空(示されていない)が、冷却過程を通して、ラミネーションフィルム65(およびベース接着ポリマー層16)と多孔質基材55の間の増大した接触を保つために適用され得る。
【0058】
別の実施形態において、複合構造体80は、溶融フィルム66を多孔質基材55にさらに浸透させるために、ロール(示されていない)の間でプレスされ得る。ロールはまた、複合構造体80に寸法安定性および仕上げをもたらし得る。
【0059】
別の実施形態において、ラミネーションフィルム(単層または多層)が、押出コーティング法を用いて、多孔質基材に付けられ得る。
【0060】
前記方法において、多孔質基材とラミネーションフィルムの間に生成する接合の強さは、ラミネーションフィルムの構成要素と、バッキングおよびタフトを含めて、多孔質基材の構成要素との相溶性に依存し得る。ラミネーションフィルムおよび多孔質基材に有用な材料は以下でより詳細に検討される。
【0061】
多孔質基材とラミネーションフィルムの間に生成される接合の強さは、また、ベース接着ポリマー層の厚さにも依存し得る。いくつかの実施形態において、ベース接着ポリマー層の厚さは、いくつかの実施形態では0.1から500ミクロン、さらに別の実施形態では0.5から75ミクロンの範囲であり得る。別の実施形態では、ベース接着ポリマー層の厚さは0.5から25ミクロンである。別の実施形態では、ベース接着ポリマー層の厚さは、0.75から5ミクロン;さらに別の実施形態では0.75から2ミクロンである。
【0062】
さらに、多孔質基材とラミネーションフィルムの間に生成される接合の強さは、加工条件、例えば、加工速度、ラミネーション温度(すなわち、向上した接合強さは、接着ポリマーの流動性の増加のために、ベース接着ポリマー層の融点を超える温度で起こり得る)、ならびに、適用された真空およびロール圧力(それぞれ、基材の中への、また基材の周りの接着ポリマーの接触および流動に影響を及ぼす)に依存し得る。
【0063】
前記のように、ラミネーションフィルムまたはそれらの(1つもしくは複数の)層は、接着ポリマー層(フィルムの外側層に含まれる最低融点のポリマー)の融解温度を超えて加熱され得る。いくつかの実施形態において、接着層は少なくとも融解温度の温度まで加熱され;別の実施形態では、接着層は融解温度を少なくとも5℃超え;別の実施形態では、融解温度を少なくとも10℃超え;また、さらに別の実施形態では、融解温度を少なくとも20℃超える温度まで加熱される。さらに別の実施形態では、ラミネーションフィルムは、少なくとも、フィルムに含まれる最高融点のポリマーの融点の温度まで加熱され得る。特定のポリマーの融点は、下に記載されるように、変わり得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態において有用なフィルムまたはそれらの(1つもしくは複数の)層は、250℃未満;別の実施形態では200℃未満;別の実施形態では150℃未満;別の実施形態では120℃未満;別の実施形態では100℃未満;別の実施形態では90℃未満;別の実施形態では80℃未満;またさらに別の実施形態では70℃未満の融解温度を有し得る。別の実施形態では、フィルムまたはそれらの(1つもしくは複数の)層は、少なくとも40℃;別の実施形態では少なくとも50℃の融解温度を有し得る。
【0064】
前記のように、真空は、基材の中への、また基材の周りの接着ポリマーの流動を増大させるために用いられ得る。適用される真空は、他の要因の中でも特に、基材のポアサイズ、接着剤の溶融粘度、温度、および接着剤と基材の間の流動/接触の所望の大きさのような要因に依存し得る。適用される真空は、様々な実施形態において、不完全な真空から最大限の真空まで変わり得る。
【0065】
別の実施形態において、分散体、例えばポリオレフィン分散体が、多孔質基材とラミネーションフィルムの間に配置され得る。この分散体は、密着(cling)層としての役目を果たし、分散体の大きな流動性のために、多孔質基材の構成要素(タフトおよびバッキングを含めて)とラミネーションフィルムの間の接着を向上させ得る。いくつかの実施形態において、分散体は、多孔質基材の全幅に渡って付けられ得る。別の実施形態では、分散体は、選ばれた部分に、例えば繊維タフトに付けられ得る(例えば、ストライプ状に)。
【0066】
本明細書に開示のラミネーション法で使用され得る熱源には、ポリマーの温度を上げるために使用され得るどのようなタイプの加熱も含まれる。例えば、熱源は、特に、放射、対流、マイクロ波、赤外線、高周波、または伝導加熱を含み得る。これらの加熱方法のための、当技術分野において知られている装置は、当業者に知られている。さらに、ベース接着ポリマー層の加熱を促進させるために、またはそれを選択的に加熱するために使用され得る添加剤が使用されてもよく、それらは当業者に知られている。
【0067】
前記のように、本明細書に開示の方法により形成される複合構造体(ラミネートされた基材)は、多孔質基材またはタフト加工された基材、タフトおよびパイル繊維、ラミネーションフィルム、分散体、フィラー、および添加剤を含み得る。これらの各々が、これから、より詳細に検討される。いくつかの実施形態において、多孔質基材またはタフト加工された基材、繊維、ラミネーションフィルム、および分散体の各々に用いられるポリマーは、相溶性の複数のポリマー、例えば、類似の主な構成要素または骨格を有し生成された複数のポリマーである。このため、複合構造体の構成成分の検討は、多孔質基材またはタフト加工された基材、繊維、ラミネーションフィルム、および分散体の各々に有用な熱可塑性樹脂から始める。
【0068】
(熱可塑性樹脂)
本発明において用いられる熱可塑性樹脂には、オレフィンポリマーおよびエラストマー、ならびに様々なオレフィンポリマーおよび/またはオレフィンエラストマーのブレンドが含まれ得る。いくつかの実施形態において、オレフィン樹脂は半結晶性樹脂である。「半結晶性」という用語は、標準的な示差走査熱量測定(DSC)による評価を受けた時、少なくとも1つの吸熱を有する樹脂であることを認定しようとするものである。半結晶性ポリマーは、走査温度が最後の吸熱極大点を過ぎて増加するにつれて、比較的なだらかな勾配を示すDSC吸熱を示す。これは、鋭い融点であると通常見なされるものを有するポリマーよりむしろ広い融解範囲のポリマーを表す。本開示の分散体に有用ないくつかのポリマーは、単一の融点を有するが、別のポリマーは2つ以上の融点を有する。
【0069】
いくつかのポリマーでは、1つまたは複数の融点は、ポリマーの全てまたは一部分が、かなり狭い温度範囲(例えば、摂氏数度)で融解する如く鋭いということがあり得る。別の実施形態では、ポリマーは約20℃の範囲に渡る広い融解特性を示し得る。さらに別の実施形態では、ポリマーは、50℃を超える範囲に渡る広い融解特性を示し得る。
【0070】
本開示において使用され得るオレフィン樹脂の例には、アルファ−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、および1−ドデセン)のホモポリマーおよびコポリマー(エラストマーを含めて)、典型的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマー、およびプロピレン−1−ブテンコポリマーによって代表される;1種のアルファ−オレフィンと共役または非共役ジエンとのコポリマー(エラストマーを含めて)、典型的には、エチレン−ブタジエンコポリマー、およびエチレン−エチリデンノルボルネンコポリマーによって代表される;ならびに、ポリオレフィン(エラストマーを含めて)、例えば、2種以上のアルファ−オレフィンと共役または非共役ジエンとのコポリマー、典型的には、エチレン−プロピレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−1,5−ヘキサジエンコポリマー、およびエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンコポリマーによって代表される;エチレン−ビニル化合物のコポリマー、例えば、エチレン−ビニルアセタートコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸またはエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、およびエチレン−(メタ)アクリラートコポリマー;スチレンコポリマー(エラストマーを含めて)、例えば、ポリスチレン、ABS、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、α−メチルスチレン−スチレンコポリマー、スチレンビニルアルコール、スチレンアクリラート(例えば、スチレンメタクリラート、スチレンブチルアクリラート、スチレンブチルメタクリラート)、スチレンブタジエンおよび架橋スチレンポリマー;スチレンブロックコポリマー(エラストマーを含めて)、例えば、スチレン−ブタジエンコポリマーおよびその水和物、ならびにスチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマー;ポリビニル化合物、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、ポリメチルアクリラート、およびポリメチルメタクリラート;ポリアミド、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、および、ナイロン12;熱可塑性ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタラート、およびポリブチレンテレフタラート;ポリカーボナート、ポリフェニレンオキシドなど;ガラス状炭化水素系樹脂、ポリ−ジシクロペンタジエンポリマーおよび関連ポリマー(コポリマー、ターポリマー)が含まれる;飽和モノオレフィン、例えば、ビニルアセタート、ビニルプロピオナート、およびビニルブチラートなど;ビニルエステル、例えば、モノカルボン酸のエステル(メチルアクリラート、エチルアクリラート、n−ブチルアクリラート、イソブチルアクリラート、ドデシルアクリラート、n−オクチルアクリラート、フェニルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、およびブチルメタクリラートなどが含まれる);アクリリニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、これらの混合物;開環メタセシスおよび交差メタセシス重合によって製造される樹脂などが含まれる。他の適切なポリマーには、エチレン−エチルアクリラート(EEA)コポリマー、エチレン−メチルメタクリラート(EMMA)コポリマー、エチレン−メチルアクリラート(EMA)コポリマー、およびエチレン−ブチルアクリラート(EBA)コポリマーが含まれる。これらの樹脂は、単独で、または2種以上の組合せとして使用され得る。
【0071】
特定の実施形態において、熱可塑性樹脂は、スチレン−ブタジエンコポリマーであり得る。例えば、スチレン−ブタジエンコポリマーは、界面活性剤で安定化されたスチレン−ブタジエンコポリマーラテックス(例えば、The Dow Chemical Companyから入手できるスチレン−ブタジエンコポリマーラテックスのTYKOTE(登録商標)およびDLシリーズ)の状態で供給され得る。例えば、The Dow Chemical Companyから入手できるDL460は、約46〜49重量パーセントの非揮発成分、約10のpH、および約4℃のガラス転移温度を有する。
【0072】
特定の一実施形態において、熱可塑性樹脂は、エチレンと、アルケン(例えば、1−オクテン)を含むコモノマーとのアルファ−オレフィンインターポリマーを含み得る。エチレンとオクテンのコポリマーは、単独で、または別の熱可塑性樹脂(例えば、エチレン−アクリル酸コポリマー)との組合せとして存在し得る。一緒に存在する場合、エチレンとオクテンのコポリマーと、エチレン−アクリル酸コポリマーとの間の重量比は、約1:10から約10:1の範囲、例えば、約3:2から約2:3であり得る。ポリマー樹脂、例えば、エチレン−オクテンコポリマーは、約50%未満、例えば約25%未満の結晶度を有し得る。いくつかの実施形態において、ポリマーの結晶度は、5から35パーセントの範囲にあり得る。別の実施形態では、結晶度は7から20パーセントの範囲にあり得る。
【0073】
本明細書に開示の実施形態は、また、少なくとも1種のマルチ−ブロックオレフィンインターポリマーを含み得るポリマー成分も含み得る。適切なマルチ−ブロックオレフィンインターポリマーには、例えば、米国特許仮出願第60/818911号(参照によって本明細書に組み込まれる)に記載のものが含まれ得る。「マルチ−ブロックコポリマー」または「マルチ−ブロックインターポリマー」という用語は、好ましくは線状に繋がった、2種以上の化学的に異なる区域またはセグメント(「ブロック」と呼ばれる)を含むポリマー、すなわち、重合したエチレン官能基に関して、ペンダントまたはグラフト様式でなく、末端−末端で繋がった、化学的に区別されるユニットを含むポリマーを表す。特定の実施形態において、前記ブロックは、それらに組み込まれるコモノマーの量とタイプ、密度、結晶度の大きさ、このような組成のポリマーに起因するクリスタリットのサイズ、タクティシティのタイプまたは度合い(アイソタクチックまたはシンジオタクチック)、位置規則性(regio-regularity)または位置不規則性、分岐(長鎖分岐または超分岐(hyper-branching)を含めて)の量、均質性、あるいは他の何らかの化学的または物理的性質が異なる。
【0074】
他のオレフィンインターポリマーには、スチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレンなどを含めて、モノビニリデン芳香族モノマーを含むポリマーが含まれる。特に、エチレンおよびスチレンを含むインターポリマーが使用され得る。別の実施形態では、エチレン、スチレンおよびC3〜C20アルファ−オレフィンを含み、任意選択でC4〜C20ジエンを含むコポリマーが使用され得る。
【0075】
適切な非共役ジエンモノマーには、6から15個の炭素原子を有する、直鎖、分岐鎖または環式の炭化水素ジエンが含まれ得る。適切な非共役ジエンの例には、これらに限らないが、直鎖非環式ジエン、例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、分岐鎖非環式ジエン、例えば、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、およびジヒドロミリセン(dihydromyricene)とジヒドロオシネン(dihydroocinene)との混合異性体、単環脂環式ジエン、例えば、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、および1,5−シクロドデカジエン、多環脂環式縮合環および架橋環ジエン、例えば、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン;アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、およびシクロアルキリデンノルボルネン、例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、およびノルボルナジエンが含まれる。EPDMを調製するために通常使用されるジエンの中で、特に好ましいジエンは、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、およびジシクロペンタジエン(DCPD)である。
【0076】
本明細書に開示の実施形態に従って使用され得る望ましいポリマーの1つの部類は、エチレン、C3〜C20のα−オレフィン、特にプロピレン、および任意選択で1種または複数のジエンモノマーのインターポリマーエラストマーを含む。この実施形態に使用される好ましいα−オレフィンは、式、CH2=CHR*によって示され、ここで、R*は、1から12個の炭素原子の線状または分岐状のアルキル基である。適切なα−オレフィンの例には、これらに限らないが、ポリプロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテンが含まれる。前記ポリプロピレン系ポリマーは、通常、当技術分野において、EPまたはEPDMポリマーと呼ばれる。このようなポリマー、特に、マルチブロックEPDM型ポリマーを調製するのに使用される適切なジエンには、4から20個の炭素原子を含む、共役または非共役、直鎖または分岐鎖、環式または多環式ジエンが含まれる。ジエンには、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノロボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、および5−ブチリデン−2−ノルボルネンが含まれ得る。
【0077】
他の適切な熱可塑性樹脂には、ジ−またはポリ−カルボン酸とジオール(ジフェノールを含む)とのエステル化生成物が含まれ得る。これらの樹脂は、米国特許第3590000号に例示されており、この特許は参照によって本明細書に組み込まれる。樹脂の他の具体例には、スチレン/メタクリラートコポリマー、およびスチレン/ブタジエンコポリマー;懸濁重合によるスチレンブタジエン;ビスフェノールAとプロピレンオキシドの反応、その後の、得られる生成物とフマル酸との反応により得られるポリエステル樹脂;ジメチルテレフタラート、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、およびペンタエリトリトールの反応により得られる分岐状ポリエステル樹脂、スチレンアクリラート、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0078】
さらに、本開示の特定の実施形態は、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、プロピレン−エチレンコポリマー、スチレン系コポリマーを、組成物の1成分として用い得る。本開示の他の実施形態は、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手できるUNOXOL 3,4−ジオールのような脂肪族ジオールを含むものを含めて、ポリエステル樹脂を使用し得る。
【0079】
選ばれた実施形態において、熱可塑性樹脂は、エチレン−アルファオレフィンコポリマー、またはプロピレン−アルファオレフィンコポリマーから生成される。特に、選ばれた実施形態において、熱可塑性樹脂は1種または複数の非極性ポリオレフィンを含む。
【0080】
特定の実施形態において、ポリプロピレン、ポリエチレン、これらのコポリマー、およびこれらのブレンド、さらには、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーのようなポリオレフィンが使用され得る。いくつかの実施形態において、オレフィンポリマーには、Elstonに発行された米国特許第3645992号に記載の均一ポリマー;Andersonに発行された米国特許第4076698号に記載の高密度ポリエチレン(HDPE);不均一分岐線状低密度ポリエチレン(LLDPE);不均一分岐超低密度線状ポリエチレン(ULDPE);均一分岐線状エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー;均一分岐で実質的に線状のエチレン/アルファ−オレフィンポリマー、これらは、例えば、米国特許第5272236号および米国特許第5278272号に開示の方法によって調製でき、これらの開示は参照によって本明細書に組み込まれる;ならびに、高圧フリーラジカル重合エチレンポリマーおよびコポリマー、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)またはエチレンビニルアセタートポリマー(EVA)が含まれる。
【0081】
米国特許第6566446号、米国特許第6538070号、米国特許第6448341号、米国特許第6316549号、米国特許第6111023号、米国特許第5869575号、米国特許第5844045号、または米国特許第5677383号(これらの特許の各々は、参照によって本明細書に組み込まれる)に記載のポリマー組成物、そのブレンドもまた、いくつかの実施形態において適切であり得る。いくつかの実施形態において、ブレンドは、2種の異なるチーグラー−ナッタポリマーを含み得る。別の実施形態では、ブレンドは、チーグラー−ナッタポリマーおよびメタロセンポリマーのブレンドを含み得る。さらに別の実施形態では、本発明で使用されるポリマーは、2種の異なるメタロセンポリマーのブレンドであり得る。別の実施形態では、シングルサイト触媒ポリマーが使用され得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、ポリマーはプロピレン系コポリマーまたはインターポリマーである。いくつかの特定の実施形態において、プロピレン/エチレンコポリマーまたはインターポリマーは、実質的にアイソタクチックなプロピレン連鎖を有するとして特徴付けられる。「実質的にアイソタクチックなプロピレン連鎖」という用語および類似の用語は、それらの連鎖が、一実施形態において約0.85を超え;別の実施形態では0.90を超え;別の実施形態では約0.92を超え、またさらに別の実施形態では約0.93を超える、13C NMRによって求めたアイソタクチックトライアッド(triad)を有することを意味する。アイソタクチックトライアッドは、当技術分野においてよく知られており、例えば、米国特許第5504172号およびWO 00/01745に記載されており、それらは、アイソタクチック連鎖を、13C NMRスペクトルによって求めたコポリマー分子鎖におけるトライアッド単位によって表す。
【0083】
オレフィンポリマー、コポリマー、インターポリマー、およびマルチ−ブロックインターポリマーは、そのポリマー構造に少なくとも1種の官能基を組み入れることによって官能化され得る。例示的な官能基には、例えば、エチレン性不飽和一−および二官能性カルボン酸、エチレン性不飽和一−および二官能性カルボン酸無水物、これらの塩およびこれらのエステルが含まれ得る。このような官能基はオレフィンポリマーにグラフトされ得る、あるいは、それは、エチレンおよび任意選択のさらなるコモノマーと共重合されて、エチレン、官能性コモノマーおよび任意選択の他の(1種または複数の)コモノマーのインターポリマーが生成されてもよい。ポリエチレンに官能基をグラフトする手段は、例えば、米国特許第4762890号、米国特許第4927888号、および米国特許第4950541号に記載されており、これらの特許の開示は参照によって全体として本明細書に組み込まれる。特に有用な1つの官能基は無水マレイン酸である。
【0084】
官能性ポリマーに存在する官能基の量は、変わり得る。官能基は、いくつかの実施形態では少なくとも約1重量パーセント;別の実施形態では少なくとも約5重量パーセント;また、さらに別の実施形態では少なくとも約7重量パーセントの量で存在し得る。官能基は、いくつかの実施形態では約40重量パーセント未満;別の実施形態では約30重量パーセント未満;また、さらに別の実施形態では約25重量パーセント未満の量で存在し得る。
【0085】
別の特定の実施形態において、熱可塑性樹脂は、エチレンビニルアセタート(EVA)系ポリマーであり得る。別の実施形態では、熱可塑性樹脂は、エチレン−メチルアクリラート(EMA)系ポリマーであり得る。別の特定の実施形態において、エチレン−アルファオレフィンコポリマーは、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセン、またはエチレン−オクテンコポリマーであり得る。別の特定の実施形態において、プロピレン−アルファオレフィンコポリマーは、プロピレン−エチレン、またはプロピレン−エチレン−ブテンコポリマーまたはインターポリマーであり得る。
【0086】
熱可塑性ポリマーは、標準的な示差走査熱量測定(DSC)による評価を受けた時、少なくとも1つの吸熱の観察によって求められる結晶度を有し得る。エチレン系ポリマーでは、ASTM D1238に従って、190℃(375°F)で、2.16kg(4.75ポンド)の荷重を用いて求めたメルトインデックス(「MI」)、いくつかの実施形態では約30g/10分以下;別の実施形態では約25g/10分以下;別の実施形態では約22g/10分以下;さらに別の実施形態では約18g/10分以下。別の実施形態において、エチレン系ポリマーは、約0.1g/10分以上;別の実施形態では約0.25g/10分以上;別の実施形態では約0.5g/10分以上;さらに別の実施形態では約0.75g/10分以上のメルトインデックス(MI)を有し得る。
【0087】
プロピレン系ポリマーは、いくつかの実施形態では約85g/10分以下;別の実施形態では約70g/10分以下;別の実施形態では約60g/10分以下;さらに別の実施形態では約50g/10分以下の、ASTM D1238に従って、230℃(446°F)で、2.16kg(4.75ポンド)の荷重を用いて求めたメルトフローレート(「MFR」)を有し得る。別の実施形態において、プロピレン系ポリマーは、約0.25g/10分以上;別の実施形態では0.7g/10分以上;別の実施形態では1.4g/10分以上;さらに別の実施形態では2g/10分以上のメルトフローレート(MFR)を有し得る。
【0088】
エチレン系ポリマーは、いくつかの実施形態では約0.845g/cc以上;別の実施形態では約0.85g/cc以上;別の実施形態では約0.855g/cc以上;さらに別の実施形態では約0.86g/cc以上の密度を有し得る。別の実施形態において、エチレン系ポリマーは、約0.97g/cc以下;別の実施形態では0.96g/cc以下;別の実施形態では0.955g/cc以下;さらに別の実施形態では0.95g/cc以下の密度を有し得る。
【0089】
プロピレン系ポリマーは、いくつかの実施形態において、約5重量パーセント以上のコモノマーを含み得る。別の実施形態では、プロピレン系ポリマーは約7重量パーセント以上のコモノマーを含み得る。別の実施形態では、プロピレン系ポリマーは、約35重量パーセント未満のコモノマー;さらに別の実施形態では約25重量パーセント未満のコモノマーを含み得る。
【0090】
様々な実施形態において有用な熱可塑性ポリマーの1つの部類は、エチレンと1−オクテンまたは1−ブテンとのコポリマーであり、ここで、エチレンコポリマーは、約90重量パーセント以下のエチレン;別の実施形態では約85重量パーセント以下のエチレン;別の実施形態では約50重量パーセント以上のエチレン;さらに別の実施形態では約55重量パーセント以上のエチレンを含む。エチレンコポリマーは、いくつかの実施形態では約10重量パーセント以上;別の実施形態では約15重量パーセント以上;別の実施形態では約50重量パーセント以下;さらに別の実施形態では約45重量パーセント以下の1−オクテンまたは1−ブテンを含み得る。上の重量パーセントの各々は、コポリマーの重量に対するものである。様々な実施形態において、エチレンコポリマーは、約0.25g/10分以上;別の実施形態では0.5g/10分以上;別の実施形態では30g/10分以下;さらに別の実施形態では20g/10分以下のメルトインデックスを有し得る。
【0091】
実施形態において有用な他のポリマーには、プロピレンおよびエチレン、1−オクテン、1−ヘキセンまたは1−ブテンのコポリマーが含まれ得る。ここで、このプロピレンコポリマーは、約95重量パーセント以下;別の実施形態では約93重量パーセント以下;別の実施形態では約65重量パーセント以上;さらに別の実施形態では約75重量パーセント以上のプロピレンを含む。プロピレンコポリマーは、1種または複数のコモノマー、例えば、エチレン、1−オクテン、1−ヘキセンまたは1−ブテンを、いくつかの実施形態では約5重量パーセント以上;別の実施形態では約7重量パーセント以上;別の実施形態では約35重量パーセント以下;さらに別の実施形態では25重量パーセント以下含み得る。様々な実施形態において、プロピレンコポリマーは、約0.7g/10分以上;別の実施形態では約1.4g/10分以上;別の実施形態では85g/10分以下;さらに別の実施形態では約55g/10分以下のメルトフローレートを有し得る。
【0092】
別法として、単一のポリマーの代わりに、本明細書に記載の物理的特徴を有する、ポリマーブレンドが用いられてもよい。例えば、記載された範囲外にある比較的大きなMIまたはMTRを有する第1ポリマーを、比較的低いMIまたはMFRの別のものと、合わせたMIまたはMFRおよびブレンドの平均密度が記載の範囲内にあるように、ブレンドすることが望ましいことであり得る。本明細書に記載の含泡体(froth)および発泡体(foam)の調製において実質的に同等の加工適性を有するブレンドを提供するために、より結晶性のアルファ−オレフィンポリマーが、比較的低い結晶度のもの(例えば、かなりの量の長鎖分岐を有するもの)と一緒にされ得る。本明細書において「ポリマー」が参照されている場合、同等の物理的特性を有するオレフィンポリマーのブレンドは、同様の結果を伴い使用され得る、また様々な実施形態の我々の記述に含まれると見なされていることが分かる。
【0093】
特定の実施形態において、熱可塑性樹脂は、0.857と0.911g/ccの間の密度、および、0.1から100g/10分のメルトインデックス(190℃、2.16kg荷重による)を有する、エチレン−オクテンコポリマーまたはインターポリマーであり得る。別の実施形態では、エチレン−オクテンコポリマーは、0.863と0.902g/ccの間の密度、および0.8から35g/10分のメルトインデックス(190℃、2.16kg荷重による)を有し得る。エチレン−オクテンコポリマーまたはインターポリマーは、エチレンおよびオクテンの20〜45重量パーセントのオクテンを組み入れ得る。
【0094】
特定の実施形態において、熱可塑性樹脂は、5と20重量%の間のエチレン含量、および0.5から300g/10分のメルトフローレート(230℃、2.16kgの荷重による)を有する、プロピレン−エチレンコポリマーまたはインターポリマーであり得る。別の実施形態では、プロピレン−エチレンコポリマーまたはインターポリマーは、9と12重量パーセントの間のエチレン含量、および1から100g/10分のメルトフローレート(230℃、2.16kgの荷重による)を有し得る。
【0095】
特定の実施形態において、熱可塑性樹脂は、0.911と0.925g/ccの間の密度、および0.1から100g/10分のメルトインデックス(190℃、2.16kg荷重による)を有する、低密度ポリエチレンであり得る。
【0096】
いくつかの実施形態において、熱可塑性樹脂は、50パーセント未満の結晶度を有し得る。別の実施形態では、樹脂の結晶度は5から35パーセントであり得る。さらに別の実施形態では、結晶度は7から20パーセントの範囲にあり得る。
【0097】
いくつかの実施形態において、熱可塑性樹脂は半結晶性ポリマーであり、110℃未満の融点を有し得る。別の実施形態では、融点は25から100℃であり得る。さらに別の実施形態では、融点は40と85℃の間であり得る。
【0098】
いくつかの実施形態において、熱可塑性樹脂はガラス状ポリマーであり、110℃未満のガラス転移温度を有し得る。別の実施形態では、ガラス転移温度は20から100℃の間であり得る。さらに別の実施形態では、ガラス転移温度は50から75℃であり得る。
【0099】
特定の実施形態において、熱可塑性樹脂は10,000g/モルを超える重量平均分子量を有し得る。別の実施形態では、重量平均分子量は、20,000から150,000g/モル;さらに別の実施形態では50,000から100,000g/モルであり得る。
【0100】
1種または複数の熱可塑性樹脂は、約1重量パーセントから約96重量パーセントの固体ポリマーの量で、本明細書に記載の水性分散体の中に含まれ得る。例えば、熱可塑性樹脂は、水性分散体に、一実施形態では約10重量パーセントから約60重量パーセント、また別の実施形態では約20重量パーセントから約50重量パーセントの量で存在し得る。
【0101】
(多孔質基材)
本明細書に開示のラミネーション法において使用され得る多孔質基材には、カーペット、人工芝、織布、不織布、連続気泡発泡体、キャンバス、人工皮革、濾過およびルーフィング用途向けの支持された多孔膜、穴のあいたバッキング、および他の多孔基材が含まれ得る。いくつかの実施形態において、多孔質基材には、カーペットまたは人工芝の製造の間のタフト加工処理および他の何らかの中間処理ステップの後で、ラミネートするまたはバッキングにタフトを固定するための本明細書に開示の方法の前の、グレー、タフト加工された基材、またはタフト加工されたバッキングが含まれ得る。
【0102】
(人工芝、カーペット、バッキング層、ならびにタフトおよびパイル繊維)
本明細書で用いられる場合、繊維という用語は、繊維、ヤーン、タフト、モノフィラメント、リボン、あるいは、例えばフィルムおよび/またはテープのようなこれらの前駆体を表す。人工芝、カーペット、バッキング層、ならびにタフトおよびパイル繊維の形成に使用される適切な繊維には、例えば、紡糸され、フィブリル化され、スリットされ、裂かれ、および/または鋸歯状化された(serrated)、繊維、ヤーン、フィルムおよびリボンが含まれ得る。いくつかの実施形態において、使用される繊維は、上で検討されたように、熱可塑性樹脂を含み得る。別の実施形態において、繊維は、エチレン系またはプロピレン系ホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、およびマルチ−ブロックインターポリマーを含み得る。
【0103】
カーペットおよび人工芝のための適切な一次バッキングには、織布および不織布の両方の一次バッキングが含まれ得る。より具体的には、適切なバッキングには、ジュート、ポリプロピレン、ポリエチレンなど、さらには、上で開示された熱可塑性樹脂を含めて、カーペットまたは人工芝のいずれかの一次バッキングとして適切であることが知られている任意の他の材料から製造されるものが含まれ得る。タフト加工される基材は、最初に、通常のやり方で製造されてよく、グレーは、繊維またはヤーンを一次バッキングにタフト加工することによって作製される。
【0104】
いくつかの実施形態において、多孔質基材またはバッキングには、織られた、編まれた、また、織られたのではない繊維ウェッブが含まれ得る。いくつかの実施形態において、基材は、合成繊維、天然繊維、またはこれらの組合せのような繊維から形作られ得る。合成繊維には、例えば、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアラミド、ポリウレタン、再生セルロース、およびこれらのブレンドが含まれる。ポリエステルには、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリトリフェニレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリ乳酸、およびこれらの組合せが含まれ得る。ポリアミドには、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、およびこれらの組合せが含まれ得る。ポリオレフィンには、例えば、プロピレン系ホモポリマー、コポリマー、およびマルチ−ブロックインターポリマー、ならびにエチレン系ホモポリマー、コポリマー、およびマルチ−ブロックインターポリマー、ならびにこれらの組合せが含まれ得る。ポリアラミドには、例えば、ポリ−p−フェニレンテラフタルアミド(KEVLAR(登録商標))、ポリ−m−フェニレンテラフタルアミド(NOMEX(登録商標))、およびこれらの組合せが含まれ得る。天然繊維には、例えば、羊毛、綿、亜麻、およびこれらのブレンドが含まれ得る。他の適切な材料には、上で開示された熱可塑性樹脂が含まれる。
【0105】
基材は、マイクロデニール繊維およびヤーン(フィラメント当たり1デニール未満を有する繊維またはヤーン)を含めて、任意のサイズの繊維またはヤーンから形成され得る。ファブリックは、ステープル繊維、フィラメント繊維、紡糸繊維、またはこれらの組合せのような繊維からなり得る。基材は、これらに限らないが、織布、編布、不織布、またはこれらの組合せを含めて、どのような種類のものでもよい。
【0106】
別の実施形態において、基材は、2成分繊維、多層フィルム、金属、テキスタイル、およびセラミックを含み得る。不織布には、弾性不織布およびソフト不織布が含まれ得る。別の実施形態において、基材には、コーティングされた基材を含めて、ファブリックまたは他のテキスタイル、多孔質フィルム、および他の不織布が含まれ得る。特定の実施形態において、基材は、ソフトまたは弾性不織布(例えば、ポリオレフィンエラストマーまたはポリウレタンエラストマーのような)のようなソフトテキスタイルであり得る。マイクロデニール繊維からなる織布および/またはニットもまた、所望の基材の性能を発揮し得る。
【0107】
いくつかの実施形態において、不織布は、ポリオレフィン単一成分繊維、例えばエチレン系またはプロピレン系ポリマーに基づき得る。別の実施形態では、2成分繊維(例えば、コアがポリプロピレンに基づき、シースがポリエチレンに基づき得る場合)が使用され得る。基材の実施形態において使用される繊維は連続、または非連続(例えば、ステープル繊維)であり得ることが理解されるべきである。
【0108】
適切なソフト不織布の例は、例えば、WO2005111282A1およびWO2005111291A1に記載されている。さらに、上記のものに類似の物理的性質を有するウェッブもまた、利用され得る。ウェッブ構造は、識別できる様にではないが、互いに差し込まれている、個々の繊維、フィラメント、または糸から形成してもよい。不織布またはウェッブは、メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法、およびカードボンドウェッブ法のような多くの方法により形成されている。不織布の坪量は、25g/mから150g/mを超える範囲にあり得る。
【0109】
いくつかの実施形態において、米国特許第6994763号に記載されるような、弾性不織布が使用され得る。弾性不織布は2成分繊維(コア成分はエラストマーポリマー、シースはポリオレフィンであり得る)に基づき得る。不織布は、20g/mから150g/mの範囲の坪量を有し得る、また、2成分に適応できるスパンボンド技法で製造され得る。2成分繊維のコア成分に対する市販エラストマーの代表的な例には、次のポリマーが含まれ得る:KRATON(登録商標)ポリマー、ENGAGE(商標)ポリマー、VERSIFY(商標)エラストマー、INFUSE(商標)オレフィンブロックコポリマー、VISTAMAXX(商標)ポリオレフィンエラストマー、VECTOR(商標)ポリマー、ポリウレタンエラストマー材料(「TPU」)、ポリエステルエラストマー、および異相(heterophasic)ブロックコポリマー。
【0110】
別の実施形態において、適切な弾性不織布は1種または複数の「エラストマー」ポリマーから形成され得る。「エラストマー」という用語は通常、伸びを受ける時、それらの弾性限界内で変形するまたは伸びるポリマーを表す。例えば、エラストマーフィラメントから形成されるスパンボンド布は、1回の引張りで30%の布の伸びの後、機械方向および横方向の布の回復可能伸びの値に対して、少なくとも約75%の二乗平均平方根平均回復可能伸びを通常有する。有利には、エラストマーフィラメントから形成されるスパンボンド布は、1回の引張りで50%の布の伸びの後、機械方向および横方向の布の回復可能伸びの値に対して、少なくとも約65%の二乗平均平方根平均回復可能伸びを通常有する。
【0111】
別の実施形態において、穴あきフィルムが、本明細書に記載の、複合構造体、基材、ラミネートフィルム層の(1つまたは複数の)層として使用され得る。穴あきフィルムの使用は構造体の強さを増し得る。穴あきフィルムの説明は、例えば、WO200080341A1、ならびに米国特許第3929135号および米国特許第4324246号に見出すことができる。穴あきフィルムには、フィルムの幅に渡り均一に、小さな開口場所を有する薄いポリマーフィルムが含まれ得る。
【0112】
いくつかの実施形態において、多孔質基材には、前記熱可塑性樹脂から形成され得る連続気泡発泡体が含まれ得る。いくつかの実施形態において、連続気泡発泡体には、マクロポアを有する発泡体が含まれ得る。別の実施形態では、連続気泡発泡体には、ミクロポアを有する発泡体が含まれ得る。さらに別の実施形態では、連続気泡発泡体基材は、例えば、図1および2に関して上で記載されたラミネーション法における吸引およびロールプレスの間に、溶融ポリマー(フィルム層とのラミネーションの間、下記)が連続気泡発泡体のポアに流れ込めるだけ十分に大きいポアを含み得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、多孔質基材は前記熱可塑性樹脂から形成され得る。別の実施形態において、基材には、前記熱可塑性樹脂から形成されるフィルム、ファブリック、および発泡体が含まれ得る。さらに別の実施形態において、基材には、含泡体、発泡体、熱可塑性シートまたはフィルム、織布または不織布、ガラス繊維、あるいはメルトスパンボンドまたはメルトブローによる材料を含み得る。
【0114】
多孔質基材は、溶融したラミネーションフィルム、またはその溶融部分が空隙スペースまたはポアに流れ込めるのに十分な空隙スペースを含み得る。いくつかの実施形態において、多孔質基材は、少なくとも0.1ミクロン;別の実施形態では少なくとも0.5ミクロン;別の実施形態では少なくとも1ミクロン;別の実施形態では少なくとも5ミクロン;さらに別の実施形態では少なくとも10ミクロンの平均ポアサイズを有し得る。別の実施形態において、多孔質基材は、0.1、0.25、0.5、1、2、5、10、または20ミクロンの下限から、1、2、5、10、20、50、または100ミクロンの上限までの平均ポアサイズを有し得る。
【0115】
(ラミネートフィルム層)
本明細書に開示の実施形態において有用なラミネートフィルムには、前記熱可塑性樹脂から形成された単層フィルム、発泡可能単層フィルム、または単層発泡体が含まれ得る。別の実施形態において、本明細書に開示の実施形態において有用なラミネートフィルムには、多層構造体が含まれ得る。いくつかの実施形態において、多層構造体は2つ以上のフィルム層を含み得る。別の実施形態において、多層構造体は、1つまたは複数のフィルム層、および1つまたは複数の発泡体層を含み得る。別の実施形態では、多層構造体は、1つまたは複数のフィルム層、および1つまたは複数の膨張可能(発泡可能)フィルム層を含み得る。別の実施形態では、多層構造体は、1つまたは複数のフィルム層、発泡体層、および発泡可能層を含み得る。
【0116】
多層構造体の層は、ミクロ層フィルムを含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、フィルムは、1つまたは複数のミクロ層フィルム層を含んでいてもよく、各層は、150ミクロン未満の厚さを有する。別の実施形態では、フィルムは、1つまたは複数のミクロ層フィルム層または膨張可能ミクロ層フィルム層を含んでいてもよく、各層は、約100オングストロームを超え、約50ミクロン未満の厚さを有する。いくつかの実施形態において、本発明において用いられるフィルムは、フィルム層、発泡体層、および膨張可能フィルム層を含めて、合計で約1から約20,000の層を含み得る。
【0117】
単層フィルム、膨張可能フィルム、および発泡体は、1種または複数の前記熱可塑性樹脂から形成され得る。図1および2を参照して記載されたように、フィルムは、工程の様々な時点で、例えば、フィルムを多孔質基材上に配置する前または後で、加熱され得る。このため、いくつかの実施形態において、単層構造体は、多孔質基材の成分の融点より低い融点を有し得る、また別の実施形態では、単層構造体は、多孔質基材の成分の融点以上の融点を有し得る。
【0118】
本明細書に開示の実施形態において有用な多層構造体は、1種または複数の前記熱可塑性樹脂から形成され得る。構造体の少なくとも一方の外側層の融点が、多層構造体の残りの層の融点より低いことが好ましい。いくつかの実施形態において、例えば、多層構造体が一次バッキングまたは多孔質基材に付けられる場合、外側層(他の層より低い融点を有する)の温度は、その外側層の融点より高くし、外側層は一次バッキングまたは多孔質層と接合する。
【0119】
別の実施形態において、例えば、多層構造体が2つの基材(例えば、グレーまたはタフト加工された一次バッキング、および2次バッキング)の間に付けられる場合、多層構造体の両方の外側層が、他の内側の層より低い融点を有し得る。外側層(内側層より低い融点を有する)の温度は、外側層の融点より高くし、外側層は2つの基材と接合する。
【0120】
いくつかの実施形態において、多層構造体は、共押出され得る。別の実施形態において、多層構造体は、溶融フィルム、分散体、含泡体、または発泡体の層を、単層または多層のフィルム、発泡体、または膨張可能基材に付けること、配置すること、または合体させることを含み得る。
【0121】
上記のように、本発明に有用なラミネートフィルム層は、発泡体層および膨張可能層を含み得る。いくつかの実施形態において、膨張可能層は、多孔質基材に多層フィルムを配置する前に発泡させられ得る。別の実施形態では、ラミネーション工程の間に、接合層を溶融させるためのフィルムの加熱が、膨張可能層の発泡を引き起こし得る。別の実施形態では、発泡可能層の発泡は、前記ラミネーション工程の後で、または製造後工程において実施され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の膨張可能フィルムはまた、架橋可能であり得る。例えば、膨張可能フィルムは、膨張可能で架橋可能なフィルム層を、膨張させ架橋もするのに十分な熱を加えて発泡体を架橋するための架橋剤を含み得る。発泡体および膨張可能(発泡可能)構造体は、例えば、米国特許第6949588号、米国特許第6723793号、米国特許第6440241号、米国特許第4902721号、およびその他に開示されている。膨張可能である、架橋可能である、または両方であるフィルムは、本明細書では、変性可能(modifiable)フィルムと呼ばれることがある。
【0122】
例えば、個別の粒子、棒、バー(bar)、シート、または任意の形の状態の熱可塑性樹脂は、機械的または物理的な起泡または発泡剤を吸収させられる、または染み込ませられ得る。次いで、染み込ませられた樹脂は、所望の密度および形態の発泡体を生成するのに十分な温度に曝され得る。得られる発泡体の密度は、起泡剤または発泡剤の全量、発泡剤の蒸気圧、発泡剤の熱による体積膨張比、および発泡させられるポリマーの密度に依存する。
【0123】
いくつかの実施形態において、ラミネーションフィルムは、発泡体を含み得る。別の実施形態では、1つまたは複数の発泡体層を含む多層発泡体またはシートが使用され得る。さらに別の実施形態では、発泡体は、架橋可能であっても、または架橋されていてもよい。いくつかの実施形態では、発泡体または(1つもしくは複数の)発泡体層は、低密度発泡体、中密度発泡体、または高密度発泡体を含み得る。発泡体の密度は、例えば、いくつかの実施形態において、100kg/mから800kg/mの範囲にあり得る。様々な別の実施形態において、発泡体の密度は、50、100、150、200、250、300、350、400、450、または500kg/mの下限から、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、または1000 kg/mの上限までの範囲にあり得る。いくつかの実施形態において、発泡体には、マクロセル発泡体が含まれ得る;別の実施形態では、発泡体または(1つもしくは複数の)発泡体層には、ミクロセル発泡体が含まれ得る。
【0124】
いくつかの実施形態において、ラミネーションフィルムは、フィルム層および発泡体層の両方を含み得る。例えば、ラミネーションフィルムは、ポリスチレン発泡体層および接着フィルム層(例えば、VERSIFYポリマー)を含む多層構造体を含み得る。
【0125】
本明細書に開示の実施形態において有用なフィルム構造体は、特定の基材に合わせて製造され得る。例えば、フィルム構造体は、最終の繊維ロック強さ、タフトロック、または得られる複合構造体の他の性質を修正するために、1種または複数の熱可塑性樹脂を含み得る。別の例として、多成分構造体に使用される熱可塑性樹脂は、強さ、融点、およびフィルムの加工/取扱いのバランスを取るために、異なる密度のものであり得る。さらに、無機フィラーが1つまたは複数のフィルム層に添加されてもよく、これにより、得られる複合構造体の収縮が少なくなり、得られる複合構造体の密度(重さ)が増加する。
【0126】
(分散体層(POD))
上記のように、水性分散体が、ラミネートフィルムを付ける前に、結合強さを増すため、また/またはラミネートフィルム層と多孔質基材との相溶性を増すために、多孔質基材上に配置され得る。分散体は基材の全幅に渡って塗布されてもよい、あるいは、パターンとして、または基材の特定の部分に塗布されてもよい。いくつかの実施形態において、分散体は、基材にプレコートされ得る。別の実施形態では、分散体は、前記ラミネーション工程の前にインラインで塗布されてもよい、あるいは、ラミネーションステップの間に(例えば、フィルムと多孔質基材との接触の前に)塗布されてもよい。さらに別の実施形態において、分散体は、ラミネートフィルムに、フィルムの外側層上のコーティングとして、塗布されてもよい。
【0127】
本開示の実施形態において使用される分散体は、水、少なくとも1種の前記熱可塑性樹脂、および、いくつかの実施形態では、分散安定剤を含む。いくつかの実施形態では、熱可塑性樹脂は、自己安定性樹脂で、それ自体で水に容易に分散し得る。別の実施形態では、熱可塑性樹脂は、それ自体では容易に水に分散しない樹脂を含み得る。分散体はまた、含泡安定剤を含めて、様々な添加剤も含み得る。
【0128】
前記熱可塑性樹脂の分散体は、安定な分散体またはエマルジョンの生成を促進するように、安定剤を使用し得る。いくつかの実施形態において、安定剤は、界面活性剤、ポリマー(上で詳述された熱可塑性樹脂とは異なる)、またはこれらの混合物であり得る。別の実施形態において、樹脂は、自己−安定剤であり、そのため、外来のさらなる安定剤は必要でないということがあり得る。例えば、自己−安定系は、部分的に加水分解したポリエステルを含み得る、この場合、ポリエステルを水性塩基と一緒にすることによって、ポリエステル樹脂および界面活性剤様安定剤分子が生成され得る。特に、安定剤は、分散剤、分散体に泡を含ませるための界面活性剤として使用され得る、あるいは、両方の目的に役立ち得る。さらに、1種または複数の安定剤が組み合わせて使用され得る。
【0129】
特定の実施形態において、安定剤は、コモノマーまたはグラフト化モノマーのいずれかとして極性基を有する極性ポリマーであり得る。好ましい実施形態において、安定剤は、コモノマーまたはグラフト化モノマーのいずれかとして極性基を有する、1種または複数の極性ポリオレフィンを含み得る。典型的なポリマーには、エチレン−アクリル酸(EAA)およびエチレン−メタクリル酸コポリマー、例えば、PRIMACOR(商標)(The Dow Chemical Companyの商標)、NUCREL(商標)(E.I.DuPont de Nemoursの商標)、およびESCOR(商標)(ExxonMobilの商標)の商標で入手可能で、米国特許第4599392号、米国特許第4988781号、および米国特許第5938437号(これらの特許の各々は、参照によって本明細書に全体として組み込まれる)に記載のものが含まれる。他の適切なポリマーには、エチレン−エチルアクリラート(EEA)コポリマー、エチレン−メチルメタクリラート(EMMA)、およびエチレン−ブチルアクリラート(EBA)が含まれる。他のエチレン−カルボン酸コポリマーもまた使用され得る。当業者は、かなりの数の他の有用なポリマーもまた使用され得ることを認めるであろう。
【0130】
安定剤の極性基が特質として酸性または塩基性である場合、分散安定ポリマーは、対応する塩を生成するように、中和剤により部分的または完全に中和され得る。塩は、脂肪酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩で、酸を対応する塩基、例えばNaOH,KOH,およびNHOHにより中和することによって調製され得る。これらの塩は、より完全に下で記載されるように、分散ステップにおいてin situに生成され得る。特定の実施形態において、分散安定剤(例えば、長鎖脂肪酸またはEAA)の中和は、モルベースで25から200%、別の実施形態では、モルベースで50から110%であり得る。例えば、EAAでは、中和剤は、例えば、水酸化アンモニウムまたは水酸化カリウムのような塩基である。他の中和剤には、例えば、水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムが含まれ得る。当業者は、適切な中和剤の選択は、配合される特定の組成物に依存すること、および、このような選択は当業者の知識の範囲内であることを認めるであろう。
【0131】
使用され得る他の分散安定剤には、12から60個の炭素原子を有する、長鎖脂肪酸または脂肪酸塩が含まれる。別の実施形態では、長鎖脂肪酸または長鎖脂肪酸塩は12から40個の炭素原子を有し得る。
【0132】
さらなる分散安定剤には、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、または非イオン界面活性剤が含まれる。陰イオン界面活性剤の例には、スルホナート、カルボキシラート、およびホスファートが含まれる。陽イオン界面活性剤の例には、第4級アミンが含まれる。非イオン界面活性剤の例には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドを含むブロックコポリマー、およびシリコーン界面活性剤が含まれる。分散安定剤として有用な界面活性剤は、外部(external)界面活性剤または内部(internal)界面活性剤のいずれかであり得る。外部界面活性剤は、分散体の調製の間にポリマーに化学的に反応しない界面活性剤である。本発明において有用な外部界面活性剤の例には、ドデシルベンゼンスルホン酸およびラウリルスルホン酸の塩が含まれる。内部界面活性剤は、分散体の調製の間にポリマーに化学的に反応する界面活性剤である。本発明において有用な内部界面活性剤の例には、2,2−ジメチロールプロピオン酸およびその塩、または塩化アンモニウムにより中和されたスルホン化ポリオールが含まれる。
【0133】
特定の実施形態において、分散剤または安定剤は、用いられる熱可塑性樹脂(または熱可塑性樹脂混合物)の量に対して、ゼロを超え約60重量%までの範囲の量で使用され得る。熱可塑性樹脂および分散安定剤に関して、いくつかの実施形態において、熱可塑性樹脂は、組成物中の熱可塑性樹脂および分散安定剤の合計量の、約30重量%から約99重量%の間を成し得る。別の実施形態では、熱可塑性樹脂は、組成物中の熱可塑性樹脂および分散安定剤の合計量の、約50重量%と約80重量%の間を成し得る。さらに別の実施形態では、熱可塑性樹脂は、組成物中の熱可塑性樹脂および分散安定剤の合計量の約70重量%を成し得る。例えば、長鎖脂肪酸またはそれらの塩は、熱可塑性樹脂の量に対して、0.5から10重量%使用され得る。別の実施形態では、エチレン−アクリル酸またはエチレン−メタクリル酸コポリマーは、熱可塑性樹脂の量に対して、0.5から60重量%の量で使用され得る。さらに別の実施形態では、スルホン酸塩は、熱可塑性樹脂の量に対して、0.5から10重量%の量で使用され得る。
【0134】
上記のように、2種以上の分散安定剤が使用されてもよく、組合せが分散安定剤として、また含泡界面活性剤として使用され得る。当業者は、比較的安定な水性分散体を作り出すのに使用される分散剤は、用いられる熱可塑性樹脂の特質に応じて変わり得ることを認めるであろう。
【0135】
本明細書に開示の実施形態に従う分散体配合は、液体媒体(例えば水)、熱可塑性樹脂、分散安定剤、ならびに任意選択で、含泡界面活性剤、添加剤、およびフィラーを含み得る。いくつかの実施形態において、水性分散体は、サイズが約0.2から10ミクロン;別の実施形態では約0.5から5ミクロン;また約1から2ミクロンの範囲のポリオレフィン樹脂粒子を含み得る。
【0136】
熱可塑性樹脂、および、用いられる場合、分散安定剤は液体媒体(これは、いくつかの実施形態では、水である)に分散され得る。いくつかの実施形態において、約6から約14のpH範囲を実現するように、得られる分散体を中和するために、十分な塩基が加えられる。特定の実施形態において、十分な塩基が、約9から約12の間のpHを保つために加えられる。分散体の水含量は、熱可塑性樹脂および分散安定剤を合わせた含量(固形分含量)が約1体積%から約74体積%の間であるように調節され得る。別の実施形態では、固形分含量は、約25体積%から約74体積%の間の範囲である。さらに別の実施形態では、固形分含量は、約30重量%から約50重量%(フィラーを除いて)の間の範囲である。さらに別の実施形態では、固形分含量は、約40重量%から約55重量%(フィラーを除いて)の間の範囲である。
【0137】
いくつかの実施形態に従って生成される分散体は、約0.3から約8.0ミクロンの間の平均粒子サイズを有するとして特徴付けられ得る。別の実施形態では、分散体は、約0.8から約1.2ミクロンの平均粒子サイズを有し得る。本明細書で用いられる場合、「平均粒子サイズ」は、体積−平均粒子サイズを表す。粒子サイズを測定するために、例えば、レーザー回折技法が用いられ得る。本説明における粒子サイズは、分散体中のポリマーの直径を表す。球状でないポリマー粒子では、粒子の直径は、粒子の長軸および短軸の平均である。粒子サイズは、例えば、Beckman−Coulter LS230レーザー回折粒子サイズ分析装置または他の適切な装置で測定できる。
【0138】
特定の実施形態において、熱可塑性樹脂および分散安定剤は、分散体コンパウンドを生成するために、水および中和剤(例えば、アンモニア、水酸化カリウム、またはこれら2つの組合せ)と一緒に、押出機で溶融−混練される。当業者は、かなりの数の他の中和剤が使用され得ることを認めるであろう。いくつかの実施形態において、フィラーが、熱可塑性樹脂および分散安定剤をブレンドした後で添加され得る。
【0139】
別の実施形態では、熱可塑性樹脂(例えば、自己安定性樹脂)が、分散体コンパウンドを生成するために、水および中和剤(例えば、アンモニア、水酸化カリウム、またはこれら2つの組合せ)と一緒に、押出機で溶融−混練され得る。さらに別の実施形態では、熱可塑性樹脂および安定剤が、中和剤を用いないで、水と一緒に、押出機で溶融−混練される。
【0140】
当技術分野において知られているどのような溶融−混練手段も使用され得る。いくつかの実施形態において、ニーダー、BANBURY(登録商標)ミキサー、一軸押出機、または多軸押出機が使用される。本開示による分散体の製造方法は、特に限定されない。例えば、1つの好ましい方法は、米国特許第5756659号および米国特許出願公開第20010011118号による、前記成分を溶融−混練することを含む方法である。
【0141】
本開示の実施形態において使用され得る押出装置は、次の様に記述され得る。押出機(特定の実施形態では2軸押出機である)は、背圧調節器、メルトポンプ、またはギアポンプに連結され得る。所望の量の塩基および初期の水が、塩基容器および初期水容器から、それぞれ供給される。適切な如何なるポンプも使用され得るが、いくつかの実施形態では、240barの圧力で約150cc/minの流れを供給するポンプが、押出機に塩基および初期水を供給するために使用され得る。別の実施形態において、液体注入ポンプが、200barで300cc/min、または133barで600cc/minの流れを供給し得る。いくつかの実施形態では、塩基および初期水は予熱ヒーターで予熱される。
【0142】
分散体の製造において、通常、分散安定界面活性剤は、粘度が低く、良好に混合され得る時には、酸化防止剤、殺菌剤などと共に分散体に添加される。ここで、分散安定剤が添加された後で、無機フィラーは、良好な分散を保証し、またフィラーが凝集し塊になることを防ぐのに十分なだけゆっくりと添加されるべきである。最後に、増粘剤が、所望の粘度を得るために添加され得る。
【0143】
いくつかの実施形態において、本発明において使用される水性分散体は、エチレンビニルアセタートコポリマーを含み得る。別の実施形態では、本発明において使用される水性分散体は、スチレン−ブタジエンコポリマーを含み得る。さらに別の実施形態では、本発明において使用される水性分散体は、アクリルポリマー、ウレタンポリマー、エポキシポリマー、およびこれらのためのモノマーからの1種または複数を含み得る。
【0144】
(添加剤)
本明細書に開示のポリマー、分散体、フィルム、および発泡体は、それらが予定する用途に応じて、熱可塑性樹脂の重量の約2〜100パーセント(乾燥重量ベース)の範囲の量の無機フィラーを任意選択で含み得る。これらの任意選択の成分には、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン粉末、ポリマー粒子、中空ガラススフィア、フィブリル化繊維、ポリマー繊維(例えば、ポリオレフィン系ステープルモノフィラメント)などが含まれ得る。吸収性物品として用いられるように設計された発泡体は、ポリマー発泡体の全体に均一に分布した、大量の液体吸収性材料、例えば、綿短繊維または他のセルロース繊維を含み得る。
【0145】
フィラーは、従来から用いられているもの、例えば、細かく砕かれたフィラー、粉砕されたフィラー、沈降フィラーまたはマイクロクリスタリンフィラー(例えば、特に、水酸化アルミニウム、長石、ドロマイト、炭酸カルシウム、石灰岩、およびウォラストナイト)から選択され得る。水酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムの混合物(後者は、しばしば細かく粉砕された石灰岩の状態にある)が好ましい。フィラーは、通常、100部のポリオール当たり50部から350部、より好ましくは100部から300部の量で用いられる(これらの部数は重量部である)。発泡体層では、フィラーの量は通常、より少ない、すなわち、100部程度である。
【0146】
添加剤はまた、本開示の範囲から逸脱することなく、熱可塑性樹脂、分散安定剤、界面活性剤、またはフィラーと共に使用され得る。例えば、添加剤には、湿潤剤、界面活性剤、静電防止剤、消泡剤、ブロキング防止剤、ワックス分散顔料、中和剤、増粘剤、相溶化剤、光沢剤(brightener)、難燃剤、UV安定剤、保湿剤、レオロジー調整剤、殺生物剤、保存剤、殺真菌剤、酸化防止剤、耐オゾン剤、プロセスオイル、可塑剤、加工助剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、UV吸収剤、架橋剤、カーボンブラック、エネルギー吸収剤、および当業者に知られている他の添加剤が含まれ得る。
【0147】
他の適切な添加剤には、フィラー、例えば、有機または無機粒子(珪藻土、クレー、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、粉末金属が含まれる)、有機または無機繊維(炭素繊維、窒化ケイ素繊維が含まれる)、スチールワイヤもしくはメッシュ、およびナイロンまたはポリエステルのコーディング(cording)、ナノサイズの粒子、クレーなど;タッキファイヤ、オイル伸展剤(パラフィンまたはナプテレニック(napthelenic)オイルが含まれる);ならびに他の天然および合成ポリマー、ポリマー繊維(ナイロン、レーヨン、綿、ポリエステル、およびポリアミドが含まれる)、金属繊維、フレークまたは粒子、膨張可能層状ケイ酸塩、リン酸塩または炭酸塩、例えば、クレー、マイカ、シリカ、アルミナ、アルミノケイ酸塩またはアルミノリン酸塩、カーボンウィスカー、ナノ粒子(ナノチューブを含めて)、ウォラストナイト、グラファイト、ゼオライト、およびセラミック、例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素またはチタニアが含まれる。シラン系または他のカップリング剤もまた、より良好なフィラーの接合のために、用いられ得る。通常のフィラーの他の例には、ミル加工されたガラス、炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、タルク、ベントナイト、三酸化アンチモン、カオリン、フライアッシュ、または他の知られているフィラーが含まれる。他の添加剤には、混合助剤および乳化剤が含まれる。
【0148】
他の物質、例えば、脂肪オイルおよび機能性添加剤は、繊維およびフィラーに加えて、熱可塑性樹脂の物理的性質を変えたいと望む時に、使用され得る。電気的またはルミネセンスの性質が必要とされる最終用途に、得られるポリマーが用いられようとする場合、ポリマーを導電性にするように電解質が、または、ポリマーをルミネセンス性にするように蛍光または燐光添加剤が使用され得る。
【0149】
マイクロ波吸収剤もまた、材料を電磁放射(通常、マイクロ波または高周波)によって加熱できるようにするために、材料に添加剤として使用され得る。他の作用剤(特定の性質を変えるまたは向上させるためにポリマー材料に添加される)もまた、ポリマーに改善された加熱性を付与し得る。このような添加剤は、ポリマーのマイクロ波加熱を容易にするためにポリマーに添加され得る。マイクロ波吸収剤は、米国特許仮出願第60/809568号、米国特許仮出願第60/809526号、および米国特許仮出願第60/809520号(それぞれ、2006年5月31に出願され、これらの特許の各々は参照によって本明細書に組み込まれる)に、より完全に記載されている。
【0150】
上記のように、複合構造体は、多孔質基材上にラミネートフィルム層を配置することによって形成され得る。いくつかの実施形態において、第2基材がラミネートフィルム層の上に配置されてもよく、2つの基材の間にラミネートフィルム層が挟み込まれる。さらに別の実施形態において、水性分散体が、多孔質基材とラミネートフィルム層の間に、基材とラミネートフィルム層の接着性を向上させるために、塗布され得る。
【0151】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示の方法を用いて形成されたカーペットまたは人工芝は、少なくとも約2.0kgのタフトロックを有し得る。別の実施形態では、カーペットまたは人工芝は、少なくとも2.5kg;別の実施形態では少なくとも3kg;別の実施形態では少なくとも3.25kg;別の実施形態では少なくとも3.4kg;別の実施形態では少なくとも3.5kg;別の実施形態では少なくとも3.6kg;別の実施形態では少なくとも3.75kg;別の実施形態では少なくとも4kg;さらに別の実施形態では少なくとも4.5kgのタフトロックを有し得る。
【0152】
本明細書に開示の方法を用いて形成される複合構造体の様々な実施形態は、以下の実施例によって例示され得る。
【実施例】
【0153】
以下の試料の説明および結果では、メルトフローレートは、ASTM D1238(例えば、ポリエチレンでは、190℃、2.16kgの荷重;ポリプロピレンでは、230℃、2.16kgの荷重)に従って測定され、密度は、ASTM D792に従って測定され、融点は、ASTM D3418に従ってDSCによって測定され、ビカット軟化温度は、ASTM D1525に従って測定され、また、タフトロックは、ISO 4919に従って測定される。
【0154】
(試料1〜3、単層フィルムラミネーション)
・試料1(加熱およびロールキャスティング)
エチレン−オクテン均一コポリマー(AFFINITY PF1140G、約0.896g/ccの密度、約1.6g/10分のメルトインデックス、94℃のDSC融解温度、および77℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形成された250ミクロンの厚さを有するフィルムを、図1に関連して上で記載した方法に従って、カーペット上に配置する。ここで、ポリマーの融点より上にフィルムの温度を上げるために熱を加えるが、加熱/ラミネーションまたは冷却段階の間、真空は適用しない。
【0155】
・試料2(加熱およびロールキャスティング)
エチレン−オクテン均一コポリマー(AFFINITY PF1140G、約0.896g/ccの密度、約1.6g/10分のメルトインデックス、94℃のDSC融解温度、および77℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形成された250ミクロンの厚さを有するフィルムを、図1に関連して上で記載した方法に従って、カーペット上に配置する。ここで、ポリマーの融点より上にフィルムの温度を上げるために熱を加えるが、加熱/ラミネーションまたは冷却段階の間、真空は適用しない。
【0156】
・試料3(加熱、真空、およびロールキャスティング)
エチレン−オクテン均一コポリマー(AFFINITY PF1140G、約0.896g/ccの密度、約1.6g/10分のメルトインデックス、94℃のDSC融解温度、および77℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形成された250ミクロンの厚さを有するフィルムを、図1に関連して上で記載した方法に従って、カーペット上に配置する。ここで、ポリマーの融点より上にフィルムの温度を上げるために熱を加え、加熱/ラミネーションの段階の間、真空を適用する。
【0157】
(結果)
図3、4、および5は、それぞれ、試料1、2、および3の、タフト加工されコーティングされたバッキング(グレー)の写真である。見られるように、図3および4のタフト(試料1および2)は、緩く結合しており、他方、図5のタフト(試料3)はしっかりと結合している。
【0158】
タフトロックおよび収縮を含めて、前記試料の各々の性質を試験する。結果は、真空支援ラミネーション(試料3)のタフトロックが、ロールキャスティング(試料1〜2)に勝ることを示す。さらに、試料2のタフトロックは、従来のスチレン−ブタジエンラテックスをコーティングしたカーペット(比較試料1)と同等またはそれに勝る。
【0159】
(試料4〜13、多層フィルムラミネーション)
・試料4
エチレン−オクテン均一コポリマー(AFFINITY EG 8100G、0.87g/ccの密度、約1g/10分のメルトインデックス、55℃のDSC融解温度、および43℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた200ミクロンの厚さの第1層、およびエチレン−オクテン不均一コポリマー(DOWLEX SC 2108、0.935g/ccの密度、約2.5g/10分のメルトインデックス、および118℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた50ミクロンの厚さの第2層を有する多層フィルムを、図1に関連して上で記載した方法に従って、カーペット上に配置する。ここで、AFFINITYポリマーの融点より上にフィルムの温度を上げるために熱を加え、加熱/ラミネーション段階の間、真空を適用する。
【0160】
(試料5)
エチレン−オクテンコポリマー(AFFINITY EG 8100G、0.87g/ccの密度、約1g/10分のメルトインデックス、55℃のDSC融解温度、および43℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた200ミクロンの厚さの第1層、ならびにポリエチレン(DOWLEX SC 2108、0.935g/ccの密度、約2.5g/10分のメルトインデックス、および118℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)および100部のポリエチレン当たり70部の炭酸カルシウムから形作られた50ミクロンの厚さの第2層を有する多層フィルムを、図1に関連して上で記載した方法に従って、カーペット上に配置する。ここで、AFFINITYポリマーの融点より上にフィルムの温度を上げるために熱を加え、加熱/ラミネーション段階の間、真空を適用する。
【0161】
(試料6)
エチレン−オクテンコポリマー(AFFINITY EG 8100G、0.87g/ccの密度、約1g/10分のメルトインデックス、55℃のDSC融解温度、および43℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた50ミクロンの厚さの第1層、ならびにポリエチレン(DOWLEX SC 2108、0.935g/ccの密度、約2.5g/10分のメルトインデックス、および118℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)および100部のポリエチレン当たり70部の炭酸カルシウムから形作られた200ミクロンの厚さの第2層を有する多層フィルムを、図1に関連して上で記載した方法に従って、カーペット上に配置する。ここで、AFFINITYポリマーの融点より上にフィルムの温度を上げるために熱を加え、加熱/ラミネーション段階の間、真空を適用する。
【0162】
(試料7)
エチレン−ビニルアセアートコポリマー(ELVAX 3182、約28重量パーセントのビニルアセタート、0.95g/ccの密度、約3g/10分のメルトインデックス、73℃のDSC融解温度、および49℃のビカット軟化温度、E.I.du Pont de Nemours and Companyから入手可能)から形作られた200ミクロンの厚さの第1層、およびポリエチレン(DOWLEX SC 2108、0.935g/ccの密度、約2.5g/10分のメルトインデックス、および118℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた50ミクロンの厚さの第2層を有する多層フィルムを、図1に関連して上で記載した方法に従って、カーペット上に配置する。ここで、ELVAXポリマーの融点より上にフィルムの温度を上げるために熱を加え、加熱/ラミネーション段階の間、真空を適用する。
【0163】
(試料8)
エチレン系コポリマー(AFFINITY VP8770 G1、0.885g/ccの密度、約1g/10分のメルトインデックス、82℃のDSC融解温度、および57℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた200ミクロンの厚さの第1層、およびポリエチレン(DOWLEX SC 2108、0.935g/ccの密度、約2.5g/10分のメルトインデックス、および118℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた50ミクロンの厚さの第2層を有する多層フィルムを、図1に関連して上で記載した方法に従って、カーペット上に配置する。ここで、AFFINITYポリマーの融点より上にフィルムの温度を上げるために熱を加え、加熱/ラミネーション段階の間、真空を適用する。
【0164】
(試料9)
エチレン系コポリマー(AFFINITY PL1880G、0.902g/ccの密度、約1g/10分のメルトインデックス、99℃のDSC融解温度、および86℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた200ミクロンの厚さの第1層、およびポリエチレン(DOWLEX SC 2108、0.935g/ccの密度、約2.5g/10分のメルトインデックス、および118℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた50ミクロンの厚さの第2層を有する多層フィルムを、図1に関連して上で記載した方法に従って、カーペット上に配置する。ここで、AFFINITYポリマーの融点より上にフィルムの温度を上げるために熱を加え、加熱/ラミネーション段階の間、真空を適用する。
【0165】
(試料10)
エチレン−ビニルアセアートコポリマー(ELVAX 3120、約7.5重量パーセントのビニルアセタート、0.93g/ccの密度、約1.2g/10分のメルトインデックス、99℃のDSC融解温度、および84℃のビカット軟化温度、E.I.du Pont de Nemours and Companyから入手可能)から形作られた200ミクロンの厚さの第1層、およびポリエチレン(DOWLEX SC 2108、0.935g/ccの密度、約2.5g/10分のメルトインデックス、および118℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた50ミクロンの厚さの第2層を有する多層フィルムを、図1に関連して上で記載した方法に従って、カーペット上に配置する。ここで、ELVAXポリマーの融点より上にフィルムの温度を上げるために熱を加え、加熱/ラミネーション段階の間、真空を適用する。
【0166】
(試料11)
エチレン−ブチルアクリラートコポリマー(ELVALOY 3117 AC、約17重量パーセントのブチルアクリラート、0.924g/ccの密度、約1.5g/10分のメルトインデックス、99℃のDSC融解温度、および60℃のビカット軟化温度、E.I.du Pont de Nemours and Companyから入手可能)から形作られた200ミクロンの厚さの第1層、およびポリエチレン(DOWLEX SC 2108、0.935g/ccの密度、約2.5g/10分のメルトインデックス、および118℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた50ミクロンの厚さの第2層を有する多層フィルムを、図1に関連して上で記載した方法に従って、カーペット上に配置する。ここで、ELVALOYポリマーの融点より上にフィルムの温度を上げるために熱を加え、加熱/ラミネーション段階の間、真空を適用する。
【0167】
(試料12)
プロピレン−エチレンコポリマー(VERSIFY 2300、0.866g/ccの密度、約2g/10分のメルトインデックス、65℃のDSC融解温度、および30℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた200ミクロンの厚さの第1層、およびプロピレン系ランダムコポリマー(DOW PP R315−07RSB、0.9g/ccの密度、約7g/10分のメルトインデックス、および129℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた50ミクロンの厚さの第2層を有する多層フィルムを、図1に関連して上で記載した方法に従って、カーペット上に配置する。ここで、VERSIFYポリマーの融点より上にフィルムの温度を上げるために熱を加え、加熱/ラミネーション段階の間、真空を適用する。
【0168】
(試料13)
ポリオレフィンプラストマー(0.876g/ccの密度、約2g/10分のメルトインデックス、80℃のDSC融解温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた200ミクロンの厚さの第1層、およびプロピレン系ランダムコポリマー(DOW PP R315−07RSB、0.9g/ccの密度、約7g/10分のメルトインデックス、および129℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた50ミクロンの厚さの第2層を有する多層フィルムを、図1に関連して上で記載した方法に従って、カーペット上に配置する。ここで、ポリオレフィンプラストマーの融点より上にフィルムの温度を上げるために熱を加え、加熱/ラミネーション段階の間、真空を適用する。
【0169】
(試料14)
エチレン−オクテンコポリマー(AFFINITY EG 8100G、0.87g/ccの密度、約1g/10分のメルトインデックス、55℃のDSC融解温度、および43℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた200ミクロンの厚さの第1層、およびポリエチレン(HDPE KS10100、0.955g/ccの密度、約4g/10分のメルトインデックス、および128℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた50ミクロンの厚さの第2層を有する多層フィルムを、図1に関連して上で記載した方法に従って、カーペット上に配置する。ここで、AFFINITYポリマーの融点より上にフィルムの温度を上げるために熱を加え、加熱/ラミネーション段階の間、真空を適用する。
【0170】
(試料15)
エチレン−オクテンコポリマー(AFFINITY EG 8100G、0.87g/ccの密度、約1g/10分のメルトインデックス、55℃のDSC融解温度、および43℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた50ミクロンの厚さの第1層、およびポリエチレン(HDPE KS10100、0.955g/ccの密度、約4g/10分のメルトインデックス、および128℃のビカット軟化温度、The Dow Chemical Company(Midland、ミシガン州)から入手可能)から形作られた200ミクロンの厚さの第2層を有する多層フィルムを、図1に関連して上で記載した方法に従って、カーペット上に配置する。ここで、AFFINITYポリマーの融点より上にフィルムの温度を上げるために熱を加え、加熱/ラミネーション段階の間、真空を適用する。
【0171】
有利にも、本明細書に開示の実施形態は、多孔質基材をラミネートする改善された方法を提供し得る。このような方法およびこれらの方法で形成された製品は、次の利点の1つまたは複数を含み得る:より少ない資本投資;より小さい必要とされる作業空間;カーペットまたは人工芝における繊維の、類似の乃至より良好なタフトロック;仕上げへのさらなる効果が得られ得ること;カーペット繊維のより良好な寸法安定性;共押出による構造体を用いることにより、テキスタイル基材へのフィルムの接着に容易に適応;現行のテキスタイルの仕上げ作業より簡単な工程;および、これらの方法はコーティング工程のない設備で容易に実施され得ること。これらの方法は、特別なコーティング装置を必要としないで、多孔質基材上でのコーティング基材の類似の濡れおよび浸透(貫通)を許容し、また類似の乃至より良好な接着性能を許容し得る。さらに、これは、類似の乃至より良好な性能に対して、より少ないコストおよび複雑さで、低粘度系(水性または非水性)の利点と、熱可塑性材料の加工上の利点とを併せ持つ乾式方法である。これらの方法はまた、接着層を最適化すること、フィルムに他の機能(例えば、剛性)を組み合わせること、およびリサイクル材料の使用を許す。繊維とカーペットバッキングの間の接着の向上もまた実現され得る。
【0172】
本開示は限られた数の実施形態を含むが、本開示の利益を得る当業者は、本開示の範囲から逸脱しない他の実施形態が考案され得ることを認めるであろう。したがって、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【符号の説明】
【0173】
5 多孔質基材
6 材料の巻物
7 タフト
8 上側表面
9 一次バッキング
10 パイル
15 ラミネーションフィルム
16 外側接着ポリマー層
16 接着フィルム層
16 ベース接着ポリマー層
16 溶融フィルム
20 ロール
25 熱源
27 真空
30 複合構造体
35 冷却源
37 真空
39 ロール
50 方法
55 多孔質基材
56 材料の巻物
58 上側表面
65 ラミネーションフィルム
66 外側接着ポリマー層
75 熱源
80 複合構造体
83 キャスティングロール
85 冷却源
87 真空

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材にラミネートするための方法であって、
少なくとも1つの熱可塑性フィルムを多孔質基材上に配置する工程;
少なくとも1つの熱可塑性フィルムを加熱軟化させる工程;
ラミネートされた基材を生成させるために、少なくとも1つの熱可塑性フィルムと多孔質基材とを結合させる工程;および
ラミネートされた基材を冷却する工程
を含み、
前記結合させる工程が、熱可塑性フィルムを多孔質基材に吸引することを含む方法。
【請求項2】
第2基材を熱可塑性フィルムに接着する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2基材が、フィルム、発泡体、変性可能フィルム、および架橋可能発泡体の少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第2基材が少なくとも1mmの厚さである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
発泡体が、高密度発泡体および多層発泡体の少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
結合させる工程が、ロールプレスを行う工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
加熱軟化させる工程が、赤外線加熱、マイクロ波加熱、対流加熱、伝導加熱、放射加熱、および高周波加熱の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
加熱軟化させる工程が、配置する工程に先立つ、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
冷却する工程が、熱可塑性フィルムを、タフト加工された基材に吸引する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
熱可塑性フィルムが、エチレン系のホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、またはマルチ−ブロックインターポリマー、プロピレン系のホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、またはマルチ−ブロックインターポリマー、あるいはこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
熱可塑性フィルムが少なくとも2つの層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも2つの層が変性可能フィルム層である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
熱可塑性フィルムが変性可能フィルムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
変性可能フィルムが膨張可能フィルムを含み、該方法が膨張可能フィルムを膨張させる工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
タフト加工された基材がカーペットおよび人工芝の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ラミネートされたカーペットまたは人工芝が、少なくとも2kgのタフトロックを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
タフト加工された基材と熱可塑性フィルムの間に水性分散体層を付ける工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
水性分散体層が、
熱可塑性樹脂;および

を含み、水性分散体が約0.3から約0.8ミクロンの体積平均直径粒子サイズを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
水性分散体が分散安定剤をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
熱可塑性樹脂が、エチレン系のホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、またはマルチ−ブロックインターポリマー、プロピレン系のホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、またはマルチ−ブロックインターポリマー、あるいはこれらの組合せを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
水性分散体が、エチレンビニルアセタートコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、およびエポキシ、アクリルポリマー、ウレタンポリマー、またはこれらのモノマーの少なくとも1つをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法に従って製造されたカーペット。
【請求項23】
請求項1に記載の方法に従って製造された人工芝。
【請求項24】
基材にラミネートするための設備であって、
熱可塑性フィルムを、タフト加工された基材上に配置する装置;
熱可塑性フィルムを加熱軟化させるためのヒーター;および
熱可塑性フィルムを、タフト加工された基材に吸引するための真空
を備える設備。
【請求項25】
第2基材を熱可塑性フィルム上に配置する装置をさらに備える、請求項24に記載の設備。
【請求項26】
軟化した熱可塑性フィルムを冷却するためのクーラーをさらに備える、請求項24に記載の設備。
【請求項27】
クーラーが、冷却の間に、熱可塑性フィルムを、タフト加工された基材に吸引するための真空をさらに備える、請求項26に記載の設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−49285(P2013−49285A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−254495(P2012−254495)
【出願日】平成24年11月20日(2012.11.20)
【分割の表示】特願2010−502269(P2010−502269)の分割
【原出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】