説明

カーペット用一次基布

少なくとも第一の繊維層と第二の繊維層とを含む、カーペット用一次基布であって、第一の繊維層と第二の繊維層との両方がランダムレイド繊維の不織布層であり、第一の繊維層と第二の繊維層との両方が層全体にわたって均一な組成を有しており、該繊維の線密度は1〜25dtexの範囲内であり、第一の繊維層と第二の繊維層との両方が、少なくとも2つの異なるポリマーを含み、且つ、第一の層中に含まれる少なくとも1つのポリマーが、第二の層中に含まれるポリマーとは異なることを特徴とする、カーペット用一次基布。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明:
本発明は、少なくとも2つの異なる繊維層を含む、カーペット用一次基布に関する。
【0002】
タフテッドカーペットのための不織布のカーペット用一次基布は、長年知られている。カーペット製造において使用される不織布のカーペット用一次基布は、ポリエステル繊維、例えばPETの幹を含む不織布、または幹ポリプロピレン繊維を含む不織布のいずれかである。ここで使用される、繊維という用語は、ステープルファイバーおよびフィラメントの両方に関する。
【0003】
一般に、ポリプロピレンまたはポリエステル繊維は、1〜25dtexの範囲、好ましくは2〜20dtexの範囲、最も好ましくは5〜15dtexの範囲のフィラメントであり、必要とされる加工安定性を提供する。単位dtexは、フィラメントの細さを10000メートルあたりのそれらのグラムでの質量として定義する。
【0004】
幹繊維は、機械的なニードリングおよび/または微細なウォータージェットを用いた水流交絡によってからみ合わされ、随意に化学的結合剤を用いて結合され得る。
【0005】
選択的に、幹繊維を熱的に、例えばカレンダー、または通気結合またはその種のものによって、繊維の形態で存在するか、または粉末または顆粒として添加された、より低融点のポリマー(lower melting polymer)を使用して、結合することができる。より低融点のポリマーが繊維の形態で存在する場合、該ポリマーは別々のモノコンポーネント繊維として存在し得るか、またはそのより低融点のポリマーは、同じ繊維中で幹ポリマーと共に、いわゆるバイコンポーネント繊維またはマルチコンポーネント繊維において存在し得る。バイコンポーネント繊維は、当該技術分野において、例えば並んでいる、コア/シースの、または区分けされた、パイル繊維(pie fiber)としてよく知られている。選択的に、単独のポリマーから構成されるがしかし繊維の長さ方向に沿って結晶性が変化する繊維を、バイコンポーネント繊維として使用することもでき、なぜなら、結晶性の変化は、繊維の長さ方向によって異なる融点を有するポリマーからなる繊維部分をもたらすからである。かかる効果は、例えばWO93/13254号内に開示されている通り、例えば繊維をスピンドロー法において異なる度合いに延伸して結晶性を変化させる、従って、繊維の長さ方向に沿って融点を変化させることによって得ることができる。
【0006】
幹ポリマーの両方、例えばポリエステルまたはポリプロピレンと、より低融点のポリマーとが、別々のモノフィラメントとして存在する場合、いわゆるバイフィラメント不織布型が作製される。選択的に、より低融点のポリマーが、同一のフィラメント中に、幹ポリマーとして存在し、従ってバイコンポーネントフィラメントの不織布を形成できる。
【0007】
WO03/033801号は、単一の不織布層内の種々の部分において組成が異なり、この単一層内での各部分の機械的特性に影響し、成型された、またはタフテッドの車用カーペットの最適化が容易になる、マルチレイヤー不織布のカーペット用基布を開示している。
【0008】
US6808786号は、音響特性を改善するための、2部式のカーペット用一次基布を開示している。第一の層は織布または不織布材料である。第二の基布層は、吸音する音響特性を得るために、マイクロフィラメントスパンレース材料で形成される。両者の層は、別々の製造段階において接着ウェブを用いて互いに結合される。
【0009】
タフテッドカーペットの製造方法は、カーペット用一次基布材料をタフト機に供給する段階、基布材料を、タフト糸を用いてタフト加工して、タフトを示す表面と、バックステッチが形成されている裏面とを有する生機カーペットを得る段階を含む。タフトとは、生機またはカーペットの表面上のタフト糸の可視部分である。バックステッチとは、生機カーペット裏面上のタフト糸の可視部分である。
【0010】
何年にもわたり、不織布のカーペット用一次基布は、カーペット製造業者および消費者のさらにより厳しい要求に合致させるために、常に改善されてきた。新規のタフト加工技術、例えば、単独のカーペット中に高いタフトと低いタフトとを有するカーペットを製造するためのハイロータフティングは、タフトをタフト加工工程中に定位置に保持するために改善されたステッチ保持力を有するカーペット用一次基布を必要とする。特に重要なのは、仕上げられたカーペットの外見を改善すること、タフト加工中に生じる欠陥の効果的な修繕を可能にすること、およびタフト加工しやすくすること、即ち、タフト針の貫通抵抗をより低くし、且つタフト加工の間の針のたわみを低減することを提供して、タフト加工しやすくすること、裏面の垂れ(backtag)を回避すること、ステッチ保持性能を高めること、およびタフト加工中のノイズを低減することである。
【0011】
生機カーペット中に新規に形成されたタフトは、カーペット用一次基布材料のステッチ保持力によって、定位置に保持される。ステッチ保持は、裏面から、生機カーペットからのループを除去するために必要な力である。これが、カーペット用一次基布とタフト糸との間の相互作用がどれだけ強いかを決定する。ステッチ保持は、タフト加工後に引き続く加工段階において、タフトを定位置に固定するためにプレコートが適用されるまでの、破損の可能性を決定する。この加工段階は、染色、プレコート、幅出し、蒸しおよび/または生機カーペットのロールの輸送を含み得る。それらの加工段階の各々は、温度および/または印加される張力に関して、厳しい条件下で実行され、カーペット用一次基布材料に高い要求を課す。プレコートのタフト結合性能は、主に、タフトがプレコートされたカーペット中の定位置にどれだけ良好に保持されるかを決定する。プレコーティング後、プレコートされたカーペットの裏面上に重い層をコートするか、且つ/またはカーペット用二次基布を適用することができる。
【0012】
カーペット用一次基布は、良好なタフト保持特性を示すべきである。カーペット用一次基布は、タフト加工の動的な工程の間、タフトを定位置に保持し、生機カーペット中で一様なカーペット表面のために本質的に同じ高さのタフトを得るために、高いステッチ保持力を有するべきである。カーペット用一次基布のステッチ保持力は、タフトを、タフト加工工程の間にタフトが形成される定位置に据え、且つ、形成直後、引き続くタフトの形成の間、該タフトを定位置に保持する能力である。それが、タフト加工工程の間の生機カーペットの表面および裏面の垂れを決定する。裏面の垂れは、生機カーペット内のゆるい、または不均一なバックステッチであり、本質的に元はカーペット表面上にあり、今は(部分的に)裏面上にあるタフトである。引き続く加工段階、例えば乾燥およびプレコートの間、カーペット用一次基布のステッチ保持力は、カーペット表面をタフト加工の間に製造された通りに保持するために充分高くなければならない。
【0013】
生機カーペット内のタフトを定位置に固定するために、プレコーティングを生機カーペットの裏面に適用することがある。タフトの結合は、1つのタフトを表面から、(プレコートされた、または仕上げられた)カーペットの外に完全に抜き取るために必要とされる力である。それが、カーペット用一次基布の、パイル繊維と接着剤コーティングとの間の接着結合がどれだけ強いかを決定する。プレコートは一般に、ラテックス溶液としてのいずれかで、または発泡ラテックスとして、生機カーペットの裏面に適用され、引き続き、ラテックスが乾燥されてタフトのベースとカーペット用一次基布との間の結合を形成する。
【0014】
プレコートがカーペット用一次基布材料への高すぎる親和性を有する場合、プレコートはカーペット用一次基布を貫通して移動し、カーペットの表面で可視になる。これは、ラテックス浸出として知られ、特定のカーペット構成においては望ましくない。
【0015】
プレコートがカーペット用一次基布材料にあまり付着しない場合、プレコートは、タフトのベースとカーペット用一次基布との間で、さらなる加工の間にタフトを定位置に保つために充分に強い結合を形成しない。さらには、カーペット用一次基布が仕上げられたカーペット構成の他の成分に良好に結合されていない場合、織端の切断の際に問題が生じる。
【0016】
通常、タフトはカーペットの表面全体を覆うが、しかし、特定の条件下では、カーペット用一次基布はカーペットの使用の間、特に、カーペットが平坦ではない表面に設置される場合、可視になることがある。この1つの例は、かかる不織布の自動車用カーペットにおける使用である。車体床の幾何学的形状に基づいて、カーペットは曲げられなければならない、即ち、様々な領域で強く変形されなければならない。当然、トランスミッショントンネルの領域での変形が特に顕著である。そのような場合、カーペット用一次基布がタフト糸と同じ色を有することが有益である。先染めされたタフト糸がカーペットの製造のために使用される場合、カーペット用一次基布は本質的に先染めされたタフト糸と同じ色を有するべきである。しかしながら、カーペット用一次基布の製造業者にとって、種々の不織布のカーペット用一次基布を、各々利用され得る色のタフト糸のために製造することは経済的ではなく、且つ、同時にカーペット製造業者にとって、大量の異なる色のカーペット用一次基布の在庫を有することは経済的ではない。
【0017】
選択的に、カーペット用一次基布を染色されていない、いわゆる生成り(raw white)のタフト糸でタフト加工することができる。生機カーペットを後続の加工段階で染色できる。カーペット用一次基布が曲げられた際になお可視になりかねない、染色されたタフト糸と染色されたカーペット用一次基布との間での(大きすぎる)色の不整合を避けるために、カーペット用一次基布が良好な染色性を有することが好ましい。さらには、カーペット用一次基布がカーペットを曲げなくても可視であるカーペット構造が存在する。本質的に、カーペット用一次基布の表側(カーペットの表面側に向く側)を染色することのみが必要とされる。
【0018】
不織布の、カーペット用一次基布を、上述の要求に関して改善することが本発明の課題である。
【0019】
本発明の課題は、少なくとも第一の繊維層および第二の繊維層を含む、カーペット用一次基布であって、第一の繊維層と第二の繊維層との両方が、繊維層全体にわたって均質な組成を有し、その際、繊維の線密度は1〜25dtex、好ましくは2〜20dtex、より好ましくは5〜15dtexの範囲であって、第一の繊維層と第二の繊維層との両方が、少なくとも2つの異なるポリマーを含み、その際、第一の層中に含まれる少なくとも1つのポリマーは、第二の層中に含まれるポリマーとは異なることを特徴とする、カーペット用一次基布を用いて解決できる。
【0020】
ここで用いられる繊維層とは、ランダムレイド(randomly laid)繊維の不織布層を意味するとして理解されるべきである。
【0021】
ここで用いられる均質な組成とは、層全体にわたる繊維の種類および繊維の量が、標準的な不織布製造工程おいて遭遇する限界内で一定であることであると理解されるべきである。第一の繊維層および第二の繊維層はそれぞれ、少なくとも2つの異なるポリマーを含む。好ましくは、繊維層中の異なるポリマーは、異なる融点を有している。繊維層が2つの異なるポリマーからなる場合、1つのポリマーはもう1つのポリマーよりも低い融点を有する。
【0022】
本発明の好ましい実施態様において、カーペット用一次基布は、繊維に由来するバインダポリマーを用いて熱的に結合される。より低融点のポリマーの溶融温度が、各繊維層中で異なり得る、好ましくは異なるので、熱結合工程は、最も高い融点を有する、より低融点のポリマーに対応する温度で実施されるべきである。例えば、第一の層がPETおよびPA6ポリマーを含み、且つ第二の層がPETおよびPPポリマーを含む場合、第一の繊維層について融点が低い方のポリマーはPA6であり、且つ、第二の繊維層についてはPPである。PA6はPPよりも高い溶融温度を有するので、不織布はPA6の溶融温度で熱的に結合されるべきである。
【0023】
本発明の好ましい実施態様において、種々のポリマーが別々の繊維中に存在して、バイフィラメント不織布層を含むカーペット用一次基布が創出される。
【0024】
本発明によるカーペット用一次基布は、唯一のポリマーからなる追加的な繊維層を含んでよい。例えば、カーペット用一次基布は、ポリアミド、例えばPA6の第一の繊維層、別々のポリエステルおよびポリアミド繊維からなる第二の繊維層(バイフィラメント不織布層を作製)、別々のポリエステルおよびポリオレフィン繊維からなる第三の繊維層(第二のバイフィラメント不織布層を作製)、および随意にポリオレフィン層、例えばPPの第四の繊維層からなることができる。
【0025】
本発明の他の好ましい実施態様において、バイコンポーネント不織布層を含むカーペット用基布を作り出すために、異なるポリマーが共にバイコンポーネント繊維中に存在する。最も好ましくは、異なるポリマーがコア/シースバイコンポーネント繊維中に共に存在する。
【0026】
本発明の好ましい実施態様において、第一の繊維層内の異なるポリマーは、別々の繊維中に存在し、且つ、第二の層内の異なるポリマーは、バイコンポーネント繊維中に共に存在して、バイフィラメント不織布層とバイコンポーネント不織布層との組み合わせを創出する。
【0027】
本発明の他の好ましい実施態様において、カーペット用一次基布は、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)のコア、およびポリアミド(PA)、例えばPA6のシースを有するコア/シースフィラメントからなる第一の層、およびポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)のコア、およびポリオレフィン、例えばPPのシースを有するコア/シースフィラメントからなる第二の層からなる。ポリエステルのコアおよびポリオレフィンのシースを有するコア/シースフィラメントからなる層がカーペット用一次基布の裏面に位置し、且つ、ポリエステルのコアおよびポリアミドのシースを有するコア/シースフィラメントからなる層がカーペット用一次基布の表面に位置する場合、カーペット用一次基布の表面に存在するポリアミドが、カーペット用一次基布の染色能力を、カーペット用一次基布全体における繊維全てを染色する必要なく、改善する。
【0028】
ポリエステルのコアおよびポリアミドのシースを有するコア/シースフィラメントからなる層がカーペット用一次基布の裏面に位置し、且つ、ポリエステルのコアおよびポリオレフィンのシースを有するコア/シースフィラメントからなる層がカーペット用一次基布の表面に位置する場合、裏面上のラテックス付着が改善されて、タフトを定位置に固定する一方、カーペット用一次基布の表面に存在するポリオレフィンが、ラテックスのポリオレフィンシース材料への低い親和性ゆえに、カーペット用一次基布を通じたラテックス浸出を防ぐ。
【0029】
本発明の他の好ましい実施態様において、カーペット用一次基布は、3層の繊維層からなり、第一の層および第三の層は両方とも、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)のコア、およびポリアミド(PA)、例えばPA6のシースを有するコア/シースフィラメントからなり、且つ、第一の層と第三の層との間に位置する第二の繊維層は、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)のコア、およびポリオレフィン、例えばPPのシースを有するコア/シースフィラメントからなる。カーペット用一次基布の裏面での層中に存在するポリアミドは、カーペット用一次基布へのラテックスの付着を改善し、従って、カーペット内でのタフトの結合を高める一方、第二の(中央の)層中に存在するポリオレフィンは、カーペット用一次基布を通じたラテックスが生機カーペットの表面側へ浸出することを防ぐ。カーペット用一次基布の表面側での層中に存在するポリアミドは、カーペット用一次基布の染色能力を改善し、従って仕上げられたカーペットにおけるカーペット用一次基布の可視性を低減する。
【0030】
本発明によるカーペット用一次基布は、ステッチ保持能力も改善でき、なぜなら、各々の層中で、より低融点のポリマーがカーペット用一次基布のタフト糸のポリマーに対する摩擦を最大に調整できるからである。
【0031】
他の好ましい実施態様において、本発明によるカーペット用一次基布は、1つまたは複数の追加的な層を含んでよく、その各々の追加的な層は、織布層、不織布層、スクリム層、一方向フィラメントまたは糸の層、およびフィルム層からなる群から選択される。好ましくは、カーペット用一次基布は、第一の繊維層と第二の繊維層との間に位置する追加的な(単数または複数の)層を含む。
【0032】
例えば追加的な層を、カーペット用一次基布を追加的に補強して、ステッチ保持性能をさらに改善するために、および/またはラテックス浸出に対するバリア性をさらに改善するために使用することができる。
【0033】
実施例1
全ての試料を、コレクター表面上の互いの上部に、3層のフィラメントを堆積するために一般に公知の技術を使用して、スパンボンドした。各々の試料において、基布の基本重量は126g/m2である。フィラメントは、全てコア/シース型であった。堆積後、試料を230℃で熱的に結合した。
【0034】
参照試料は、各々42g/m2の基本重量を有し且つコア/シースの容積比74/26を有するバイコンポーネントフィラメントからなり、PETのコアおよびPA6のシース、且つ線密度15dtexの、3つの同一の繊維層からなった。
【0035】
本発明による試料1は、コア/シース容積比74/26、PETのコアおよびPA6のシース、且つ、線密度15dtexを有するフィラメントの2つの同一の外側の層、およびコア/シース容積比74/26、PETのコアおよびPPのシース、および線密度15dtexの内側の層からなった。全ての3つの層は、基本重量42g/m2を有した。
【0036】
試料の関連する特性を測定した。タフト加工前後での破壊強さおよび破断点伸びを、1992年8月付けのEN29073−3に準拠して、200mm/分の速度で測定した。
【0037】
針貫通抵抗は、単独の針、Groz−Beckert針 型番HK01 R−W−P−Bがカーペット用一次基布を貫通するために必要とされる力を測定することによって決定された。3750の個々の針貫通の、平均貫通力、最小貫通力および最大貫通力を測定して、貫通力を記述する関連パラメータを得た。なぜなら、カーペット用一次基布は、特性において、ほんの数mm2であるタフト針の幾何学的形状と比較し得るレベルの有意なばらつきを常に示すからである。
【0038】
カーペット用一次基布のステッチ保持能力は、裏面の垂れの形成に決定的な条件下でカーペット用一次基布をタフト加工すること、およびタフト加工の間に形成された完全な裏面の垂れの数を数えること、即ち、生機カーペットから完全に除去されたタフトの数を、12.2cmずつ、9600のタフトを含有する1mの範囲で数えることによって決定された。タフト加工を、Groz−Beckert 0660針を用い、1/5’’(5.08mm)のゲージで、Texture Tex PA6.6タフト糸、型番3252 O 2x 1350dtex、機械の速度600rpm、カーペット用一次基布の供給速度と生機カーペットが出てくる速度との間の速度差4.4%、ステッチ率 10cmあたり40ステッチ、およびパイル長に相応する給糸11.8mmで行った。パイル長は、生機カーペットから100のタフトを引き抜くこと、および取り出されたタフト糸の総長を測定することにより決定された。パイル長は、タフト糸の総長を取り出されたタフトの数で割って算出できる。
【0039】
表1
【表1】

【0040】
表2
【表2】

【0041】
該実施例は、本発明による基布がタフト加工前に減少された強度および伸長を有するにもかかわらず(表1; 参照用の基布と比較した場合、約50〜60%低い)、本発明の基布はタフト加工後に改善された強度および伸長を示すことを明らかに示す(表2; 参照用の基布と比較した場合、約25%まで高い)。本発明のカーペット用一次基布の針の貫通力はより低く、そのことにより、タフト加工の間に針がたわむ危険が減少する。また、本発明による基布を用いて製造された生機カーペット中の裏面の垂れの数は著しく減少、即ち、裏面の垂れは29から8つに減少した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第一の繊維層および第二の繊維層を含み、第一の繊維層と第二の繊維層との両方がランダムレイド繊維の不織布層であり、繊維の線密度が1〜25dtexの範囲である、カーペット用一次基布であって、第一の繊維層と第二の繊維層との両方が繊維層全体にわたって均質な組成を有し、且つ、第一の繊維層と第二の繊維層との両方が少なくとも2つの異なるポリマーを含み、且つ、第一の繊維層中に含まれる少なくとも1つのポリマーは、第二の繊維層に含まれるポリマーとは異なることを特徴とする、カーペット用一次基布。
【請求項2】
カーペット用一次基布が、繊維に由来するバインダポリマーによって熱的に結合されている、請求項1に記載のカーペット用一次基布。
【請求項3】
第一の繊維層中の異なるポリマーが、別々の繊維中に存在し、且つ、第二の繊維層中の異なるポリマーが、バイコンポーネント繊維中に存在する、請求項1または2に記載のカーペット用一次基布。
【請求項4】
第一の繊維層と第二の繊維層との両方における異なるポリマーが、別々の繊維中に存在する、請求項1または2に記載のカーペット用一次基布。
【請求項5】
第一の繊維層と第二の繊維層との両方における異なるポリマーが、バイコンポーネント繊維中に存在する、請求項1または2に記載のカーペット用一次基布。
【請求項6】
バイコンポーネント繊維が、コア/シースバイコンポーネント繊維である、請求項3または5に記載のカーペット用一次基布。
【請求項7】
第一の繊維層中のバイコンポーネント繊維が、ポリエステルコアおよびポリアミドシースからなり、且つ、第二の繊維層中のバイコンポーネント繊維が、ポリエステルコアおよびポリオレフィンシースからなる、請求項5に記載のカーペット用一次基布。
【請求項8】
カーペット用一次基布が、1つのポリマーからなるさらなる繊維層を含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載のカーペット用一次基布。
【請求項9】
カーペット用一次基布が、少なくとも2つの異なるポリマーからなるさらなる繊維層を含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載のカーペット用一次基布。
【請求項10】
カーペット用一次基布が、第一の繊維層、第二の繊維層および第三の繊維層からなり、各々の繊維層中の異なるポリマーが、バイコンポーネント繊維中に存在し、且つ、第一の繊維層および第三の繊維層中のバイコンポーネント繊維が、ポリエステルコアおよびポリアミドシースからなり、且つ、第二の繊維層中のバイコンポーネント繊維が、ポリエステルコアおよびポリオレフィンシースからなる、請求項9に記載のカーペット用一次基布。
【請求項11】
カーペット用一次基布が、1つまたは複数の追加的な層を含み、各々の追加的な層は、織布層、不織布層、スクリム層、一方向フィラメントまたは糸の層、およびフィルム層からなる群から選択される、請求項1から10までのいずれか1項に記載のカーペット用一次基布。

【公表番号】特表2013−513735(P2013−513735A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542508(P2012−542508)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069042
【国際公開番号】WO2011/069996
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(501080701)コルボント ベスローテン フェンノートシャップ (7)
【氏名又は名称原語表記】Colbond B.V.
【住所又は居所原語表記】Westervoortsedijk 73, 6827 AV Arnhem, The Netherlands
【Fターム(参考)】