説明

カーペット罫描具

【課題】複雑な床の形状を容易に写し、カーペットを切断するための罫描を容易にするカーペット罫描具を提供する。
【解決手段】一定幅で直線的な細長い板材3を多数結束した板群5の結束を行う結束手段7は、この結束の強さを調整する調整手段11を有する。そして、このカーペット罫描具1を、板群5の先端が床の形状が複雑になっている部分に接しうる状態で置き、調整手段11で結束の強さを弱くして各板が移動できるようにし、板群5を板の長手方向へ手で押すことで、板材3は、床の形状が凹んでいるところは大きく移動し、出っ張っているところは少し移動する。これにより、板群5の先端が描く形状で床の形状を写す。その後に、調整手段11で結束の強さを強くして各板が移動できないようにし、カーペット罫描具1をカーペットの上に載せれば、板群5の先端が描く形状に沿って、容易に罫描が行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーペットを床の形状に沿って切断するために罫描するカーペット罫描具に関する。
【背景技術】
【0002】
カーペットを床の形状に沿って切断するためには、L字状の金属定規などで床の形状を採寸し、その寸法通りに、カーペットの裏地に印を入れ、その印通りにカッターで切断する作業を行う。
なお、特許文献1には、斜めに配置されるカーペットタイルを、壁の線に合わせて斜めに切断するために、並行リンク機構を利用した治具が記載される。
また、特許文献2には、壁に沿ってカーペットを切断する装置が記載される。
【特許文献1】特開平11−022175
【特許文献2】米国特許6230410
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、柱の出っ張りなどにより床の形状が複雑になっているときには、床の形状を採寸し、カーペットを切断する作業は面倒である。
この発明は、以上の問題点を解決するために、複雑な床の形状を容易に写し、カーペットの罫描を容易にするカーペット罫描具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するために、第一発明は、一定幅で直線的な細長い板材を多数結束した板群と、この結束を行う結束手段と、この結束の強さを調整する調整手段と、を有することを特徴とするカーペット罫描具である。
第二発明は、さらに、前記結束手段はベルトを有してなり、前記調整手段は前記ベルトの張力を調整する機構を有することを特徴とするカーペット罫描具である。
第三発明は、さらに、前記結束手段は前記板群を板厚方向へ囲む枠であり、前記調整手段は、前記枠の内部に前記枠の長辺に平行に配置された押え板と、この押え板を移動させて前記板群を押圧するために前記枠の長辺に設けられたネジと、を有することを特徴とするカーペット罫描具である。
第四発明は、さらに、前記板材は、その先端の板厚部分に、直角方向へ罫描針が突設されていることを特徴とするカーペット罫描具である。
【発明の効果】
【0005】
第一、第二、第三、又は第四発明によれば、この発明のカーペット罫描具を、板群の先端が床の形状が複雑になっている部分に接しうる状態で置き、調整手段で結束の強さを弱くして各板が移動できるようにし、板群を板の長手方向へ手で押すことで、板材は、床の形状が凹んでいるところは大きく移動し、出っ張っているところは少し移動する。これにより、板群の先端が描く形状で床の形状を写すことができる。その後に、調整手段で結束の強さを強くして各板が移動できないようにし、カーペット罫描具をカーペットの上に載せれば、板群の先端が描く形状に沿って、容易に罫描が行える。
【0006】
また、第二、又は第三発明によれば、簡易な構成で、カーペット罫描具の製造コストを抑えることができる。
また、第四発明によれば、床の形状を写した後に、調整手段で結束の強さを強くして各板が移動できないようにし、カーペット罫描具を裏返して、カーペットの裏側の上に載せ、板群の先端を打突、あるいは押圧などすれば、罫描針の跡がカーペットの裏側に印され、ペンなどを使わなくても、容易に罫描が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
この発明の実施形態を、図1、図2に示す。
図1(A)(B)に示すように、この実施形態にかかるカーペット罫描具1は、一定幅で直線的な細長い四角形の金属製の板材3を、多数枚、板厚方向へ重ね、結束した板群5を有する。板材3は、例えば、厚さ2から3ミリ、幅が20ミリ、長さが300から400ミリである。結束の力が弱ければ、各板は互いに接しながらスライドできる。この結束を行う結束手段7は、板群5を板厚方向へ巻くスチール製のベルト9を有してなる。
【0008】
図2に示すように、結束の強さを調整する調整手段11は、ベルト9を引っ張って張力を調整する機構を有する。すなわち、ベルト9の一方の端部に、コの字状の金具13が、コの字の両先端を中心に回動可能に、取付けられる。ベルト9の他方の端部には、略四角形の舌状の金属板15が、先端を中心に回動可能に、取付けられる。この金属板15には、両側に、コの字状の金具13を引っかけるための耳部17が形成される。コの字状の金具13を引っかけたまま耳部17を倒すと、コの字状の金具13は強い張力により一度伸びた後で、縮み、そして、ベルト9の両端部を強く引っ張った状態で、結束できる。
【0009】
図1(C)に示すように、各板材3は、その先端の板厚部分19に、上向きに、板厚部分19に対して直角方向へ罫描針21が突設されている。
【0010】
「使用方法」
このカーペット罫描具1を使用するには、まず、板群5の先端が、柱28の出っ張りなどで床の形状が複雑になっている部分に接しうる状態で、カーペット罫描具1を床30に置く。そして、調整手段11を構成する舌状の金属板15を起し、ベルト9の両端を離し、結束の強さを弱くする。これにより各板が移動できるようにする。そして、板群5を壁や柱に向かって、板の長手方向へ手で押す。
【0011】
そうすると、板材3は、床の形状が凹んでいるところの板材3は大きく移動し、出っ張っているところの板材3は少し移動する。これにより、各板はそれぞれに移動する。そうして板群5の先端が描く形状は、床の形状を写すことになる(図1(A))。
その後に、調整手段11を構成する舌状の金属板15を倒し、ベルト9の両端を引き寄せ、結束の強さを強くする。これにより、各板が移動できないようにする。そして、カーペット罫描具1をカーペット31の上に載せ、板群5の先端が描く形状に沿って、マジックペンなどで、容易に罫描が行える。
【0012】
あるいは、床の形状を写した後に、調整手段11で結束の強さを強くして各板が移動できないようにし、カーペット罫描具1を裏返して、カーペット31の裏側の上に載せる(図1(B))。そして、板群5の先端をハンマーで打突したり、足で踏んで押圧したり、手で強く押えたりして、罫描針21(図1(C)参照)の跡がカーペット31の裏側に印される。これにより、マジックペンなどを使わなくても、容易に罫描が行える。
罫描針21は、板材3が結束手段7から抜けるのを防止するためのストッパーの働きもする。
【0013】
「実施形態の効果」
この実施形態によれば、突出した柱などにより複雑になった床の形状を、定規などで採寸しなくても、容易に写し、カーペットの切断のための罫描を、容易に行うことができる。
【0014】
「他の実施形態」
以上の実施形態では、結束手段7はベルト9を有してなり、調整手段11はベルト9の張力を調整する機構を有するものであったが、他の実施形態では、たとえば図3(A)に示すように、結束手段7は前記板群5を板厚方向へ囲む枠23であり、調整手段11は、枠23の内部に、枠23の長辺に平行に配置された押え板25と、することができる。
【0015】
すなわち、枠23の長辺には、図3(B)(C)に示すように、二つのネジ27が設けられ、このネジの先端29は、押え板25の上面に、回転可能に遊嵌されている。各ネジ27を締めると、ネジの先端29が下降し、この押え板25を下方へ移動させて、板群5の板厚部分19を押圧する(図3(B))。各ネジ27を調整することで、押圧力を調整でき、よって結束の強さを調整できる。
また、他の実施形態では、調整手段は、板群の板材の間に打ち込まれる1本の、あるいは複数本の楔でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A)(B)は、この発明の一実施形態にかかるカーペット罫描具の使用状態を示す斜視図である。
【図2】(A)は、図1のカーペット罫描具の結束手段を示す斜視図、(B)は、(A)の調整手段の拡大図である。
【図3】(A)は他の実施形態にかかるカーペット罫描具の結束手段を示す斜視図、(B)は(A)の調整手段の拡大図、(C)は(B)の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
1…カーペット罫描具、3…板材、5…板群、7…結束手段、9…ベルト、11…調整手段、13…コの字状の金具、15…金属板、17…耳部、19…板厚部分、21…罫描針、23…枠、25…押え板、27…ネジ、29…ネジの先端、31・・カーペット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定幅で直線的な細長い板材を多数結束した板群と、この結束を行う結束手段と、この結束の強さを調整する調整手段と、を有することを特徴とするカーペット罫描具。
【請求項2】
前記結束手段はベルトを有してなり、前記調整手段は前記ベルトの張力を調整する機構を有することを特徴とする請求項1に記載のカーペット罫描具。
【請求項3】
前記結束手段は前記板群を板厚方向へ囲む枠であり、前記調整手段は、前記枠の内部に前記枠の長辺に平行に配置された押え板と、この押え板を移動させて前記板群を押圧するために前記枠の長辺に設けられたネジと、を有することを特徴とする請求項1に記載のカーペット罫描具。
【請求項4】
前記板材は、その先端の板厚部分に、直角方向へ罫描針が突設されていることを特徴とする請求項1、2、または3に記載のカーペット罫描具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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