説明

カーボンナノチューブを安全に充填する方法と、充填システムと、それを用いた工業プラント

【課題】カーボンナノチューブ(CNT)を二重弁装置(30)を有する連結装置(300)を介して1つの容器(106)から他方の容器(200)へ移して充填する充填方法。CNTを容器中に包装するのに用いられる。
【解決方法】各容器に各弁が連結され、各弁(31、32)は独立して閉じられ、密封され、両方の弁が連結したときにのみ開かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ(CNT)を一つの容器から別の容器へ安全に移すための工業的方法に関するものである。本発明はさらに、上記方法を用いた充填システムと、この充填システムを備えたカーボンナノチューブの安全な包装(パッケージング)プラントにも関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(CNT)は直径が0.4ナノメートル〜50ナノメートルで、長さが直径の100倍以上である粒子である。カーボンナノチューブ(CNT)は束状構造を形成し、平均直径が約400ミクロンの粒度を有する粉末の形で存在する。
CNTの使用が拡大してきたことに伴って、CNTメーカは量的に多量のCNT粉末を取り扱うことになり、CNTを容器に包装(パッケージ)したり、反応装置と貯蔵ホッパーとの間で輸送する方法が求められている。しかし、CNT粉末が空気中に放出された場合の危険は少ないか、現在のところ不明であるとしても、CNTのハンドリングし、CNTのパッケージング・輸送システムの設計に当たっては環境および個人に対する潜在的な安全性の問題を考慮する必要がある。実際に、本出願人はCNTを一つの容器から他の容器へ充填する時の困難性に遭遇している。CNTを容器中に充填する工業プラントの設計では、容器へのパッケージング操作を行なわなければならない。
【0003】
特許文献1(欧州特許第EP 1 468 917号公報)には粉末、顆粒、ペースト、液体または気体を1つの容器から他の容器へ移送する装置が記載されている。この移送装置は1つの容器の開口部を閉じる、開位置と閉位置との間を移動する円錐弁と、この円錐弁の駆動機構と、他の容器に配置されたシャットオフヘッドと、円錐弁をスラストさせた時に上記シャットオフヘッドを上記容器の内部へ移動させ、スラストを受けない場合、シャットオフヘッドが初期位置へ戻るようにする機構とを備えている。
円錐弁は容器内に収容された液圧式、電気式、空気圧式のシリンダ型駆動機構によって移動する。シャットオフヘッドは他の容器中に収容された戻り機構と連結している。弁の駆動機構は容器内に収容されている。従って、上記機構を外部から制御できるようにするために、容器にアダプターを付ける必要がある。
【0004】
この特許文献1に記載の装置はカーボンナノチューブの移送に関するものではないが、いずれにせよ、この移送装置をカーボンナノチューブには使えない。すなわち、弁を駆動するスラスト機構が容器内部にあるため、この弁は被移送粉末と接触することになる。そのためこの弁は汚染され、故障する危険がある。被移送粉末が極めて細かいカーボンナノチューブのようなナノ粒子ではこの危険はさらに増大する。しかも、この装置では円錐弁を運動させるための外部制御装置を容器内に通す必要があるため、カーボンナノチューブを工業用に充填する方法としては使えない。こうした決定の他に、弁のスラスト機構およびシャットオフヘッドの戻し機構を備え、それを収納した容器内部で縦方向軸線に沿って移動させなければならないため上記タイプの弁は複雑になり、大型になってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第EP 1 468 917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CNTが人および環境に与える影響はまだ不明であるが、本発明者は工業的スケールでCNTを移送するという課題を解決しなければならなくなった。この課題を解決するために、本発明者は環境に対する安全性が最高レベルで、しかも、工業的スケールで使用可能な解決策を選択した。
【0007】
本発明者は、予防原理を採用し、CNTを1つの容器から別の容器へ2つの容器の間に配置した機械的連結装置を介して移送するときに最高レベルの安全性を確保できる解決策を捜した。特に、工業的プロセスとして許容される方法でCNTを一つの貯蔵容器から別の貯蔵容器へ充填する操作を最高の安全性を確保して行える解決策を捜した。
この同じアプローチで、本発明者はCNTを製造する反応装置から、CNT粉末を輸送し、それを容器中に包装するまでを工業的プラント全体で最高レベルの安全性で行うことができる解決策を捜した。
【0008】
その結果、本発明者はCNTを収容した容器とそのCNTを受ける容器との間の連結(カップリング)を二重弁式の安全装置を用いて行う安全な充填方法を開発した。
この二重弁装置は移送中に外部空気に曝される部分が汚染されないので、移送中(さらには移送後でも)に環境に対して最大の密封性および安全性を確保できる。
【0009】
本発明者は、カーボン・ナノチューブを最大限の安全性で移送でき、しかも、1つ場所から他の場所へCNTを移送する工業的解決策を提供するために、容器に例えば「ブック、Buck、登録商標」または「グラット、Glatt、登録商標」タイプの二重弁装置を備える方法を選択した。これらの二重弁装置はバタフライバルブ(蝶弁、vanne a papillon)ともよばれている。この二重弁装置はかさばらない平らな2つの円筒形の要素から成る非常にコンパクトな装置で、密封性が高い。各要素が弁を構成し、その一方はアクティブ弁(vanne active)とよばれ、他方の弁は受け側弁(vane passive)とよばれる。
【0010】
上記の「ブック、Buck」または「グラット、Glatt」タイプの二重弁装置は医薬品の実験室でCNTよりも直径が大きな粒度を有する粉末を少量取扱うのに用いられてきた。この種の装置はアクティブ弁(第1弁)と受け側弁とから成る。開口制御装置は装置のアクティブ弁の外周部上にある。この二重弁装置が開かれるのは2つの弁が互いに連結(カップリング)した場合だけである。連結していない時には開口制御装置はロックされる。この種の弁によって互いに連結された2つの容器の間の流路は、開口制御装置の作用下で直径方向の軸を中心としてピボット運動する互いに対向したシャッタによって開閉される。容器内に収容された製品と接触するシャッタの表面が外部と接触することは決してない。従って、2つの弁の接続が遮断された後には、収容された製品(粉末等)はシャッタの外部表面上に存在することはない。従って、収容された製品の移送中だけでなく移送後も環境は保護される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一つの対象は、カーボンナノチューブ(CNT)を連結装置を介して通過させることによってカーボンナノチューブ(CNT)を1つの容器から別の容器へ移して充填する工業的な方法であって、上記連結装置は二重弁装置を有し、その各弁は上記2つの容器の一つと連結され、各弁は各々独立して密封状態で閉じられ、両方の弁が互いに連結したときのみにしか開かず、上記二重弁装置はバタフライ弁タイプの二重弁装置であることを特徴とする方法にある。
【0012】
本発明のCNTの充填方法をCNTの計量に用いる場合には、CNTはコンテナから計量装置へ移され、本発明方法は、アクティブ弁とよぶ一方の弁を上記コンテナに連結し、受け側弁とよぶ他方の弁を計量装置に連結することから成る。
本発明のCNTの充填方法を貯蔵ホッパーから容器中へCNTを充填するのに用いる場合の本発明方法は、アクティブ弁とよぶ一方の弁を上記貯蔵ホッパーの出口ラインへ連結し、受け側弁とよぶ他方の弁を上記コンテナに連結することから成る。
【0013】
本発明はさらに、カーボンナノチューブを1つの容器から別の容器へ移して充填する工業的な充填システムに関するものである。この場合の本発明充填システムは2つの容器の間を連結する手段を有し、この手段は二重弁装置を有し、その第1弁を上記2つの容器の一方と連結し、その第2弁を他方と連結し、各弁は各容器に取付けられた後に各々独立して密封状態で閉じられ、両方の弁は互いに連結でき、連結した時に各弁は開き、上記二重弁装置はバタフライ弁タイプの二重弁装置である。上記二重弁装置の少なくとも一つの弁はアクティブ弁、すなわち開口制御装置を有する弁である。第2の弁は受け側弁である。
【0014】
上記二重弁装置は平ら且つコンパクトで、互いに対向したシャッタを有し、各シャッタはアクティブ弁の外周部にある開口制御装置の制御下に直径方向の軸を中心にピボット運動する。
本発明の充填システムは容器の直径と弁の直径とを合わせるためのアダプターを有する。各弁と連結できるようにするためにアダプターは各容器の開口に固定できる。
【0015】
本発明は、CNTを1つの容器から他方の容器へ移すか、1つの容器からCNTを移して他方の容器を充填することができる二重弁装置の弁を備えた任意の容器にも関するものである。
貯蔵容器タイプの容器は二重弁装置のアクティブ弁に連結される。CNTを包装する容器または他の移送容器は本発明装置の受け側弁に連結される。この弁は例えば容器の開口に直接接続することができる。
【0016】
本発明はさらに、本発明のカーボン・ナノチューブの充填システムを備えた、容器中にCNTを包装(パッケージング)するための工業的プラントにも関するものである。
本発明の上記以外の特徴および利点は、添付の図面を参照した以下の実施例の説明から明らかになるであろう。しかし、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の容器から別の容器へCNTを移すことを含む最初の用途で本発明方法を実行するためのCNT充填システムのダイアグラム。
【図2】本発明方法を実行するためのCNT充填システムを用いたCNTを容器中へ包装するための工業的プラントのダイアグラム。
【図3】3Aおよび3Bは図4の4Aおよび4Bの装置30のそれぞれ非結合位置および結合位置でのAA断面であり、図3Cおよび3Dは同じ装置のBB断面である。
【図4】装置30の図。
【図5】反応装置100とパッケージング段階との間の空気コンベヤラインを備えたCNTの工業的包装プラントのダイアグラム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
CNTを大規模に取扱う必要が生じたため、本発明者は製造フェーズすなわちCNTを製造する反応装置からCNTを容器中に包装、パッケージするまでをカバーする工業的プラントを作った。容器の寸法は末端ユーザーに応じて20リットルから2000リットルまで変化する。
本発明はこの開発の一部で成されたもので、一つの容器を他の容器に直接または出口ラインを介して機械的に連結する必要が生じたときに、CNTを1つの容器から別の容器へ移送するのに使用される。容器は包装(パッケージング)用の容器でも、他の容器、例えば計量用容器でもよい。
以下、本発明方法を2つの用途で使用する場合と、本発明方法を実行するためのシステムについて説明する。
【0019】
[図1]は本発明の最初の用途を示すダイアグラムである。図示した方法および実施システムを用いることでCNTを収容した容器10から他の容器20へCNTを移すことができる。CNTが移される容器20は例えば計量装置でもよい。容器20は貯蔵容器である。
2つの容器10、20の連結(カップリング)300は二重弁装置(double-valve device)30を介して行われる。弁31および弁32は2つの容器の各開口部に結合されている。
連結部からCNT粉末の全ての残留物を抜き出すために、二重弁装置30には吸引装置50が連結されている。
【0020】
CNTの輸送のためにシャトル容器を使用する必要はない。すなわち、容器が二重弁と同じ直径を有する開口を有する必要はなく、標準直径の容器を使用することができる。そのために容器の蓋は外す。そして、移送装置用に[図1]の33で示すような直径用のアダプターを取り付ける。これは標準容器の直径は二重弁の直径より大きいためである。アダプター33は円錐形で、その一方の開口は蓋の代わりに容器に取付けられ、他方の開口は弁31および/または32に固定される。
CNTを容器に詰める第2の用途の場合でのCNT充填方法を以下説明する。
【0021】
[図2]はCNTを輸送せずに包装を行なう第1の典型的な実施例のダイアグラムで、CNT粉末を貯蔵した貯蔵ホッパー103から容器200中へCNTを移す場合である。ホッパー103の出口と容器200の開口との間の機械的連結は「ブック(Buck)、登録商標)」または「グラッツ(Glatt)、登録商標)」の名称で市販(上記と同じ社名の会社から市販)のバタフライ弁タイプの二重弁装置30によって行われる。容器200の直径が弁32の直径と同じでない場合には、直径を合わせるために容器200に上記アダプター33を付けることができる。
【0022】
反応装置100からこの包装ステーションまでに必要なこの工業プラントの要素は以下の通りである:
(1)冷却装置101
(2)スクリーン102
(3)貯蔵ホッパー103
(4)弁301、302
(5)二重弁装置30を含む包装用充填システム300
【0023】
コークスを含まない非常に高品質の粉末を得るために最大粒子を除去する。そのために冷却装置の後にスクリーン102を配置して大径粒子を除去する。このスクリーン102は完全に密封され且つオペレータとCNT粉末との間の接触を許すものであってはならない。例としてはリテック(RITEC)社のコンパクトなスクリーンがある。スクリーンのカットオフは0.1m2の濾過面積の場合、400mmのスクリーン直径で2mmである。この装置の利点は横方向のモーターを備え、スクリーニング性能が大きい点にあり、高流速で粉末を連続的にスクリーニングすることができる。
スクリーン102の出口にホッパー103を連結する。ホッパーは錐体形で、ステンレス鋼で作られ、典型的な実施例では350リットルの容積を有している。
バタフライ−タイプ二重弁装置30を用いることによって機械的連結300によってホッパーの入口から容器200の開口までの間でCNTを安全に充填することができる。
【0024】
このダイアグラムに図示していない変形例では、ホッパー103からのCNTを制御弁を通することができる。その場合には装置30のアクティブ弁31をこの制御弁に連結する。
包装容器200は装置30の受け側弁32に連結する。
【0025】
上記「ブック(Buck)、登録商標)」のような蝶型二重弁装置は粉末と外部との間の接触を避けることができるので、CNT粉末を完全な安全な状態で移することができる。こ種の弁を用いることでCNT粉末を高い密封性でダスト無しに移すことができる。この弁の設計からCNT粉末の外部への漏れ(リーク)と汚染を避けることができる。
この実施例では、アクティブ弁31が貯蔵ホッパーの出口に接続され、受け側弁32が包装容器200の開口に接続されている。
【0026】
次に[図3]の3A〜3Dと[図4]の4A〜4Dとを用いて上記二重弁装置の機能について説明する。
容器20または容器200上の受け側弁32が他の容器10([図1])またはホッパー103([図2])からCNTを受けるアクティブ弁32に連結された時には、各弁のシャッタ34、35の2つの外側表面が互いに当接し、CNT粉末によってこれら外側表面が汚染されるのを防止される。従って、弁31、32が互いに離れた時に外部と接触するシャッタ34、35の表面が粉末で汚染されることはない。さらに、2つの弁31、32の連結で開口制御装置36がアンロックされて、その後にシャッタが制御下にピポット運動できるようになる。この制御は自動でも手動でもよい。二重弁が開口した後に外部への漏れ(リーク)無しに、CNT粉末は流れることができる。
【0027】
[図5]は運搬後に包装を行う第2実施例のダイアグラムである。この場合のプラント12はCNTを製造する反応装置100から遠く離れた(例えば他の建物または異なる階にある)貯蔵ホッパー106へCNTを移送する回路を含んでいる。
運搬タイプとしては高濃度で粒子を運搬でき、CNT粉末の品質を保存でき、微粉末の生成を防止できる空気コンベアを選択する。搬送気体は空気である。
完全に安全に運送するために、回路内を減圧して、万一リークした場合でもCNT粉末が大気中に放出されないような操作を選択した。
【0028】
反応装置100から包装段階までの工業的プラントを構成する要素は以下の通りである:
(1)CNTを製造するための反応装置(100)、
(2)冷却装置(101)、
(3)エアーロック(120)、
(4)空気コンベヤ(400)、
(5)空気濾過(108)を備えた減圧チャンバ(105)、
(6)インラインスクリーン(102)、
(7)貯蔵ホッパー(106)、
(8)計量弁(104)、
(9)空気濾過器(107)、
(10)蝶型二重弁装置(安全弁付き装置)を用いた包装用充填システム300。
【0029】
エアーロック 120は反応装置100で製造したCNT粉末を回収することができ、減圧の代わりに窒素を用いることで空圧コンベアで移送する前にこの粉末を不活性化して痕跡量のエチレンおよび水素を除去することができる。必要な場合には、エアーロック 120に加圧器を付けてブローバックで運転することもできる。
水素の存在はリーク時に空気と接触した場合に危険である。CNTの輸送前にエアロック120の出口に接地したインライン分析装置でエチレン濃度を検査した後にカーボン・ナノチューブの輸送を行う。エチレンが存在しなくなれば、水素は無くなったと仮定できる。
【0030】
コークスを含まない非常に高品質な粉末を得るために最大粒子を除去する。そのために搬送回路400の減圧チャンバ105の後にインライン・スクリーン102を配置して大径粒子を除去する。このスクリーン102を完全に密封してオペレータとCNT粉末との間に接触が起きないようにする。コンパクトなスクリーンの例はリテック(RITEC)社から市販されている。スクリーンのカットオフは0.1m2の濾過面積の場合、400mmのスクリーン直径で2mmである。このツールは粉末のスクリーニングを高流速で連続的に行うことができる。この装置の利点は側部モータでスクリーニング性能が高い点にある。
【0031】
ホッパー106はピラミッド形にし、ステンレス鋼で作るのが好ましい。本実施例の容積は350リットルである。反応装置100で製造したCNTの量を求めるために秤量装置(図示せず)を配置することもできる。
CNT粉末と一緒に運ばれた空気はHEPAフィルタH14のような非常に高効率の濾過器を備えた空気濾過装置107へ送られる。HEPAフィルタは空気中の0.3マイクロメートルの直径の粒子の保持能力が99.995%という効率を有している。
本発明のCNTを包装するための充填システムを用いることで種種の異なる容積(小容積:1〜10リットル、大容積:60〜200リットル、1m3まで)(重量で100g〜100kg)のカーボン・ナノチューブを粉末をハンドリングせずに完全に安全な運転で供給することができる。
【0032】
ホッパーのCNTの入口と容器の開口との間の機械的連結300はバタフライ−タイプの二重弁装置30(ブック、Buck、登録商標」または「グラット、Glatt、登録商標」)によって行うことができる。ホッパーからのCNTは先ず最初に制御弁104を通る。二重弁装置30のアクティブ弁31は制御弁104に連結している。
制御弁104は大型化を避けるためにドジマット(DOSIMAT)タイプの計量装置を有している。この弁は断面DN 150を有し、円形のディスクセットから成る。このディスクセットは軸線を中心にピポット運動するシリンダーによって運動され、完全に閉じたときから大きく開いたときまで変化する三日月形の開口を通って製品の流れを大きく、または、小さく通過させる。
【0033】
さらに、CNTを使用するプラントに設けられた受取りホッパーに移送した後に空にされる容器を受ける準備も用意されている。この場合には受取りホッパーアクティブ弁を付けて移送が完全に安全に実行できるようにする。
上記の工業的プラントを用いることで、CNT粉末は完全に安全に包装でき、この安全性はコンテナーへの包装ときでも、反応装置から安全連結装置30までの運搬ライン全体で確保される。
【符号の説明】
【0034】
100 反応装置、
200 容器、
300 連結(カップリング)装置
30 二重弁装置、
31、32 弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブ(CNT)を連結装置(300)を介して通過させることによってカーボンナノチューブ(CNT)を1つの容器から別の容器へ移して充填する工業的な方法であって、上記連結装置(300)は二重弁装置(30)を有し、その各弁(31、32)は上記2つの容器の一つと連結され、各弁(31、32)は各々独立して密封状態で閉じられ、両方の弁が互いに連結したときのみにしか開かず、上記二重弁装置(30)はバタフライ弁タイプの二重弁装置であることを特徴とする方法。
【請求項2】
一方の容器がコンテナ(10)で、他方の容器が計量装置(20)で、アクティブ弁とよぶ一方の弁を上記コンテナ(10)に連結し、受け側弁とよぶ他方の弁を計量装置(20)に連結し、上記アクティブ弁(31)は開口制御装置を有する弁であり、この開口制御装置は2つの弁は互いに連結されていない時にはロックされている、CNTの計量に用いられる請求項1に記載のCNTの充填方法。
【請求項3】
一方の容器が貯蔵ホッパー(103または106)であり、他方の容器がコンテナー(200)であり、アクティブ弁とよぶ一方の弁を上記貯蔵ホッパー(103)の出口ラインへ連結し、受け側弁とよぶ他方の弁を上記コンテナ(200)に連結し、上記アクティブ弁(31)は開口制御装置を有する弁であり、この開口制御装置は2つの弁は互いに連結されていない時にはロックされている、CNTの計量に用いられる請求項1に記載のCNTの充填方法。
【請求項4】
カーボンナノチューブ(CNT)を1つの容器から別の容器へ移して充填する工業的な充填システムであって、上記2つの容器の間を連結する手段を有し、この手段は二重弁装置(300)を有し、その第1弁(31)は上記2つの容器の一方と連結され、その第2弁(32)は他方と連結され、各弁は各容器に取付けられた後に各々独立して密封状態で閉じられ、両方の弁は互いに連結でき、連結した時に各弁は開き、上記二重弁装置はバタフライ弁タイプの二重弁装置であることを特徴とする充填システム。
【請求項5】
二重弁装置の少なくとも一方の弁(31)が開口制御装置を有するアクティブ弁であり、他方の弁(32)は受け側の弁である請求項4に記載の充填システム。
【請求項6】
バタフライ弁タイプの二重弁装置が平ら且つコンパクトで、互いに対向したシャッタ(34、35)を有し、各シャッタ(34、35)はアクティブ弁(31)の外周部にある開口制御装置の制御下に直径方向の軸を中心にピボット運動する請求項4または5に記載の充填システム。
【請求項7】
容器の直径と弁(31; 32)の直径との間を合わせるにアダプター(33)を有する請求項4または5または6に記載の充填システム。
【請求項8】
バタフライ弁タイプの二重弁装置の弁(31)を有し、この弁が1つの容器から他方の容器へCNTを移すか、1つの容器から他方の容器へCNTを充填するために他方の弁(32)と連結することができることを特徴とする、請求項4〜7のいずれか一項に記載の充填システム用の容器。
【請求項9】
CNTの貯蔵容器を構成し、上記容器(10、103、106)が二重弁装置のアクティブ弁(31)と連結する請求項7に記載の容器。
【請求項10】
CNTを包装する容器または別の容器(200)を構成し、この容器が上記受け側弁(32)と連結する請求項7に記載の容器。
【請求項11】
請求項4〜7のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブの充填システムを有することを特徴とする工業的な包装設備。
【請求項12】
CNTの製造する反応装置(100)と、冷却装置(101)と、エアーロック(120)と、空気輸送コンベヤ(400)と、空気濾過装置(108)を備えた減圧チャンバ(105)と、インラインスクリーン(102)と、貯蔵ホッパー(106)と、計量弁(104)と、空気濾過器(107)とをさらに有する請求項11に記載の工業的な包装設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−77024(P2010−77024A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292159(P2009−292159)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【分割の表示】特願2009−22088(P2009−22088)の分割
【原出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】