説明

カーボンナノチューブ浸出繊維を含有する電気装置とその製造方法

カーボンナノチューブが浸出した連続繊維を含む電気装置が本明細書に記載される。電気装置には、少なくとも第1電極層と第2電極層とを含み、この場合、この第1電極層及び第2電極層はカーボンナノチューブが浸出した複数の連続繊維を含有する。ある実施形態において、電気装置は、スパーセパレータであり、更に、少なくとも基板と、第1電極層と第2電極層との間に配置される隔離材料の層と、第1電極層及び第2電極層と接触する電解質と、を含む。連続繊維を等角的に巻回することによって、第1電極層及び第2電極層を形成することができる。電気装置は、それぞれが隔離材料の層によって互いに分離された任意の層数の付加電極層を含むことができる。電気装置の製造方法も本明細書に記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的にエネルギー貯蔵に関し、特に、カーボンナノチューブを用いたエネルギー貯蔵に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、2010年3月2日出願の米国仮特許出願第61/309,827号に基づき、合衆国法典第35巻(35 U.S.C.)第119条に従って優先権を主張するものであり、参照により全内容が本明細書に組み込まれる。
【0003】
(連邦政府の資金提供による研究開発の記載)
適用なし。
【背景技術】
【0004】
コンデンサは、電荷を蓄積して貯蔵するために用いる電気装置である。コンデンサは、少なくとも2つの面においてバッテリーとは区別される。まず、コンデンサにおける電荷の貯蔵は、バッテリーの化学的分離というよりむしろ物理的電荷分離に基づく。次に、コンデンサの充電放電速度は、バッテリーで生じる化学反応より非常に急速である。
【0005】
従来のコンデンサにおいて、電荷分離は、誘電体材料によって分離された2枚の導電プレートによって維持される。印加電位がある場合には、誘電体材料内で電界が高まり、導電プレートの間で機械力を生じさせる。導電プレートに維持される電荷のそれらの間の電位差に対する比は、静電容量と称され、その単位はファラドである。
【0006】
従来のコンデンサのさまざまな改良品が開発されている。電解コンデンサは、その導電プレートのうちの1つとしてイオンを含有する液体を利用する。この様な電解コンデンサは、一般的に、従来のコンデンサより非常に高い静電容量値を示す。しかしながら、それらの実用性は、各々の導電プレートが分極電位状態(polarized voltage state)に維持されなければならないという要件によって、いくぶん制限される。
【0007】
スーパーキャパシタ(別名:電気二重層コンデンサ、電気化学的二重層コンデンサ、スーパーコンデンサ、ウルトラキャパシタ又は疑似キャパシタ )は、さらに高い静電容量値示すことができる。スーパーキャパシタにおいて、導電プレートの顕著な物理的分離がないという点で、スーパーキャパシタは従来のコンデンサおよび電解コンデンサと著しく異なる。その代わりに、スーパーキャパシタは導電プレートの間(<100μm)に無視できるほど薄い物的障壁(physical barrier)を組み入れることによって電荷分離を維持する。物的障壁は、スーパーキャパシタが充電状態の場合、効果的に電荷分離を維持させる一方で、急速な充放電速度を得るために電荷担体(charge carriers )に対して十分に透過性である。
【0008】
多くの従来のスーパーキャパシタでは、現在、その中に分散された電解質から電荷担体を保持するための高表面積基質(high surface area substrate)として活性カーボン粒子を用いる。活性カーボン粒子は高表面積を有するが、ある種の電荷担体は、活性カーボン粒子の多孔性内部に透過して高い表面積を利用するには大きすぎる。図1は、活性カーボン粒子105を含むスーパーキャパシタ100の先行技術例の概略図を示す。スーパーキャパシタ100は、それぞれ、正端子103および負端子104に接続された導電層101および導電層102を含む。導電層101および導電層102は、それぞれ、活性カーボン粒子105と、活性カーボン粒子105との混合陽イオン106および陰イオン107を含む電解質と、を含む。陽イオン106および陰イオン107は、活性カーボン粒子105の内部または外部に存在し得る。導電層101および導電層102は、電解質の陽イオン106および陰イオン107に対して透過性である隔離材料108の層によって、物理的に互いに分離される。図1に示すように、スーパーキャパシタ 100は放電状態である。
【0009】
カーボンナノチューブを含むある種の高性能材料は、スーパーキャパシタの活性カーボン粒子の代替として提案され、それらの高い接近可能表面積を与えるものとなっている。カーボンナノチューブは、それらの電気伝導性によりこの点に関してははるかに有益となり得る。カーボンナノチューブがスーパーキャパシタの性能を改良するための大きな可能性を有するが、これまでの研究努力では、スーパーキャパシタの電解質媒質内に少量のカーボンナノチューブをランダムに分散させることに成功するだけであった。このように、現在の製造技術は、少量のカーボンナノチューブを含有する低蓄電容量のスーパーキャパシタの製造に適しているだけである。
【0010】
前述のことを考慮すると、大量のカーボンナノチューブを含有する高容量スーパーキャパシタおよび他の電気装置があれば、当該技術分野においては大いに有用である。高蓄電容量を有するこのような高容量スーパーキャパシタを容易に作成する方法を提供できれば、相当に有用でもある。本発明はこれらの必要性を満たし、関連する利点をも提供するものである。
【発明の概要】
【0011】
ある実施形態において、本願明細書に記載されている電気装置は、第1電極層と、第2電極層とを含み、前記第1電極層及び前記第2電極層は、カーボンナノチューブが浸出した複数の連続繊維を含む。
【0012】
ある実施形態において、本願明細書に記載されている方法は、カーボンナノチューブが浸出した複数の連続繊維を提供し、前記複数の連続繊維の第1部分から第1電極層を形成し、前記複数の連続繊維の第2部分から第2電極層を形成することを含む。
【0013】
他の実施形態において、本願明細書に記載されている方法は、カーボンナノチューブが浸出した複数の連続繊維を提供し、基板の周囲に等角的に前記複数の連続繊維の一部を巻回することによって第1電極層を形成し、第1電極層上に等角的に前記複数の連続繊維の分離部分を巻回することによって少なくとも2つの付加電極層を形成することを含む。
【0014】
前述では、後述の詳細な説明をより良く理解するために、本開示の特徴をある程度広く概説した。本開示の更なる特徴及び利点は後述されるが、これらは特許請求の範囲の主題を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】活性カーボン粒子を含むスーパーキャパシタの先行技術例の概略図を示す。
【図2A】本願のスーパーキャパシタの例示的な実施形態における第1電極層の等角概略図を示す。
【図2B】電極端子が基板上に配置されている本願のスーパーキャパシタの例示的な実施形態における第1電極層の等角概略図を示す。
【図3】電極層の連続繊維の縦軸に対して平行に視た本願のスーパーキャパシタの例示的な実施形態の概略図を示す。
【図4】コイン状プレスサンプル・スーパーキャパシタ構造(a coin press sample supercapacitor structure)の概略図を示す。
【図5】本開示のスーパーキャパシタの例示的なサイクリックボルタモグラム(cyclic voltammogram)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示及びその利点を十分に理解するために、以下の詳細な説明を、本開示の特定の実施形態を説明する添付図面と一致させて説明する。
【0017】
本開示は、一つには、カーボンナノチューブが浸出した連続繊維から形成される電極層を含む電気装置に対してなされるものである。本明細書において、このような連続繊維を、カーボンナノチューブ浸出繊維又はカーボンナノチューブ浸出繊維材料と言う。本開示は、一つには、カーボンナノチューブが浸出した連続繊維から形成される電極層を有する電気装置を作るための方法に対してもなされるものである。
【0018】
前述のように、スーパーキャパシタは、一般的に、従来のコンデンサ又は電解コンデンサより非常により高い静電容量値を示す。したがって、それらはエネルギー貯蔵用途(例えば太陽エネルギー収積、水力発電エネルギー収積および風力発電基地エネルギー収積)において顕著な利益をもたらした。スーパーキャパシタの急速充放電サイクルは、これらの目的等によく適しているが、それは、スーパーキャパシタが配電網需要(electrical grid demand)が低い場合は、容易に過剰エネルギーを引き受け、かつ、配電網需要が高い場合は、蓄積エネルギーを急速に開放することができるからである。さらに、スーパーキャパシタは、充放電を非劣化で何十万回もできるものであり、この点に関してはバッテリーよりはるかに優れている。加えて、急速充放電サイクル及び充放電安定性のあるスーパーキャパシタは、急速充放電の多重サイクルが望ましい、例えば、ハイブリッド・ガソリン電気自動車等の用途に特に有益である。
【0019】
上記の用途等に対する関心が強まり、現在利用可能なものより高いエネルギー貯蔵限界を有するスーパーキャパシタが、必要とされている。スーパーキャパシタの静電容量は、電極表面積(例えば導電プレートの面積)に比例する。活性カーボン粒子を含む従来のスーパーキャパシタにおいて、有効電極表面積をどれだけ増加させることができるかに関しては固有限界がある。すなわち、従来のスーパーキャパシタにおいて使用される活性カーボン粒子は、漸近静電容量値に達する前に、非常に小さくされることができるだけである。さらに、活性カーボン粒子の限定された細孔寸法は、それらの有効表面積を減少させ、若干の電解質には問題となりうる。カーボンナノチューブは活性カーボンより非常に高い単位重量当りの有効表面積を提供するので、これらの要素はスーパーキャパシタの静電容量を著しく増加させるポテンシャル(potential)を提供する。スーパーキャパシタの活用が有望視されているにもかかわらず、カーボンナノチューブを、それらの非常に高い有効表面積を利用することができる状態でスーパーキャパシタに入れることは、これまでむずかしかった。
【0020】
本開示の実施形態は、カーボンナノチューブが浸出した連続繊維から作られた電極を含む電気装置を記載する。このような連続カーボンナノチューブ浸出繊維は、係属中である同一出願人の、2009年11月9日に全て出願された米国特許出願第12/611,073号、第12/611,101号及び第12/611,103号、及び、2010年11月2日に出願された米国特許出願第12/938,328号に、記載されており、各出願について、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。このようなカーボンナノチューブ浸出繊維の繊維材料は、通常、限定されることなく様々であり、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維および有機繊維(例えばアラミド繊維)を含むことができる。このようなカーボンナノチューブ浸出繊維を、市販の連続繊維又は連続繊維の形態(例えば繊維トウ(fiber tows)又は繊維テープ(fiber tapes))から巻き取り可能な長さで容易に生成することができる。加えて、カーボンナノチューブの長さ、直径および被覆密度を、上述した方法によって容易に変更することができる。
【0021】
カーボンナノチューブ浸出繊維のカーボンナノチューブを、それらの成長条件に応じて、繊維材料の表面に対して略垂直、又は、繊維材料の縦軸に対して略平行に、配向することができる。本実施形態において、略垂直なカーボンナノチューブを有するカーボンナノチューブ浸出繊維を用いることにより、カーボンナノチューブ表面に対する電解質のより良好な暴露が可能となる。このことは、特に、カーボンナノチューブが実質的に束になっていない状態の場合に当てはまる。カーボンナノチューブ浸出繊維を生成する上述した方法は、略垂直な配向、及び、実質的に束になっていない状態を実現させるのに適しており、それによって、本実施形態において用いる高い有効表面積を有するカーボンナノチューブ浸出繊維が提供される。カーボンナノチューブ浸出繊維及びその製造方法に関するその他の詳細を以下に示す。
【0022】
カーボンナノチューブが本願の電気装置のスーパーキャパシタの実施形態における活性カーボン粒子に代わるだけでなく、この場合、カーボンナノチューブ浸出繊維は電極自体と区別もできなくなる。活性カーボン粒子を含む従来のスーパーキャパシタでは、活性カーボン粒子(図1参照)と接触している電極プレートがある。本願のスーパーキャパシタの実施形態において、カーボンナノチューブ浸出繊維は、分離された電極プレートと接触しておらず、それによって、カーボンナノチューブ浸出繊維自体が電極となっている。この特徴はスーパーキャパシタの構造における新しいパラダイムを意味する。さらに、本願のスーパーキャパシタの実施形態の構造では、多重電極層をその中に組み込むことができ、それによって、貯蔵可能な電気エネルギー量をさらに増加させている。有効電極表面積は、連続繊維のサイズ、長さ、直径及びその上のカーボンナノチューブの被覆密度に応じて、活性カーボン粒子を含む従来のスーパーキャパシタの最高約14,000倍であることが理解され得る。上記したように、これらのパラメータの全ては、カーボンナノチューブ浸出繊維の生成において容易に変更でき、本願のスーパーキャパシタの実施形態を所望の静電容量に合わせるために用いることができる。
【0023】
本明細書において、用語「繊維」、「繊維材料」又は「フィラメント」とは、同等に、基本構造特徴として、繊維質成分を有するあらゆる材料を言う。本明細書において、用語「連続繊維」とは、例えば、個々のフィラメント、ヤーン(yarns)、ロービング(rovings)、トウ(tows)、テープ、リボン、織布及び不織布(woven and non-woven fabrics)、プライ(plies)、マット等の、巻き取り可能な長さの繊維材料を言う。
【0024】
本明細書において、用語「巻き取り可能な長さ」又は「巻き取り可能な寸法」は、同等に、長さが限定されず、それによってカーボンナノチューブの浸出後に繊維材料をスプール(spool)又はマンドレル(mandrel)に巻き取っておくことを可能にする、繊維材料の少なくとも1つの寸法をいう。「巻き取り可能な長さ」又は「巻き取り可能な寸法」の繊維材料は、その上にカーボンナノチューブ浸出のための、バッチプロセス又は連続プロセスのいずれの使用を示す少なくとも一つの寸法を有する。
【0025】
本明細書において、用語「浸出する」とは、結合することを意味し、用語「浸出」とは、結合プロセスを意味する。本明細書において、「カーボンナノチューブ浸出繊維」又は「カーボンナノチューブ浸出繊維材料」は、同等に、カーボンナノチューブが結合した繊維材料を意味する。繊維材料に対するカーボンナノチューブのこのような結合には、機械的連結、共有結合、イオン結合、π−π相互作用(πスタッキング相互作用:pi-stacking interactions)又はファンデルワールス力の介在した物理吸着などが包含され得る。ある実施形態において、カーボンナノチューブは繊維材料に直接的に結合され得る。他の実施形態において、カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブの成長を媒介するために用いられるバリアコーティング又は触媒ナノ粒子を介して繊維材料に間接的に結合され得る。カーボンナノチューブが繊維材料に浸出する具体的な態様は、結合モチーフ(bonding motif)と呼ばれる。
【0026】
本明細書において、用語「ナノ粒子」とは、相当球径で約0.1から約100nmの直径を有する粒子を意味するが、ナノ粒子は必ずしも球形である必要はない。本明細書において、用語「触媒ナノ粒子」とは、カーボンナノチューブ成長を媒介するための触媒作用を有するナノ粒子を意味する。
【0027】
本明細書において、用語「遷移金属」とは、周期表のdブロック(3〜12族)にある任意の元素又は元素の合金を意味し、用語「遷移金属塩」とは、例えば遷移金属の酸化物、炭化物、窒化物などのあらゆる遷移金属化合物を意味する。カーボンナノチューブの合成に適した触媒ナノ粒子を形成する例示的な遷移金属には、例えば、Ni、Fe、Co、Mo、Cu、Pt、Au、Ag、これらの合金、これらの塩、及びこれらの混合物が含まれる。
【0028】
本明細書において、用語「サイジング剤(sizing agent)」又は「サイジング(sizing)」とは、繊維材料の健全性を保護するための、繊維材料とマトリックス材料との界面相互作用を強化するための、あるいは、繊維材料の特定の物理的性質を変更又は強化するためのコーティングとして、繊維材料の製造において用いられる材料を意味する。
【0029】
本明細書において、用語「長さが均一」とは、約1μmから約500μmに及ぶカーボンナノチューブ長さに関して、全てのカーボンナノチューブ長さの誤差が±約20%以内となるような長さをカーボンナノチューブが有する状態を意味する。極めて短いカーボンナノチューブ長さ(例えば、約1μmから約4μmまで)では、全てのカーボンナノチューブ長さの誤差は、±約1μm、すなわち、約20%よりも若干大きくてもよい。
【0030】
本明細書において、用語「密度分布が均一」とは、繊維材料上におけるカーボンナノチューブの被覆密度が、カーボンナノチューブにより被覆される繊維材料表面エリアにわたって±約10%の誤差を有している状態を意味する。
【0031】
本明細書において、用語「連続プロセス」とは、略連続して作動する多段プロセス、特に、カーボンナノチューブ浸出繊維を製造するプロセスを意味する。
【0032】
ある実施形態において、本明細書に記載された電気装置は、第1電極層と第2電極層とを含み、この第1電極層及び第2電極層は、カーボンナノチューブが浸出した複数の連続繊維を有している。ある実施形態において、電気装置は、スーパーキャパシタ(supercapacitor)である。
【0033】
ある実施形態において、電気装置は、基板と、第1電極層及び第2電極層と接触する電解質と、第1電極層と第2電極層との間に配置され電解質のイオンに対して透過性である隔離材料と、をさらに含む。ある実施形態において、第1電極層の複数の連続繊維は、基板の周囲に等角的に巻回され、第2電極層の複数の連続繊維は、離隔材料の周囲に等角的に巻回される。
【0034】
連続繊維に浸出するカーボンナノチューブの種類は、通常、限定されることなく様々である。様々な実施形態において、連続繊維に浸出するカーボンナノチューブは、例えば、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ及びこれらのあらゆる組み合わせなど、フラーレン族のうち円筒状をしたあらゆる数の炭素同素体であってよい。ある実施形態において、カーボンナノチューブはフラーレン様構造で閉塞される。換言すれば、このような実施形態では、カーボンナノチューブは閉塞端を有している。一方、他の実施形態では、カーボンナノチューブは端部が開口した状態である。ある実施形態において、閉塞されたカーボンナノチューブ端部は、適切な酸化剤(例えば、HN03/H2SO4)による処理によって開口され得る。ある実施形態において、カーボンナノチューブは他の物質を封入する。ある実施形態において、カーボンナノチューブは、繊維材料に浸出した後に共有結合的に機能化され得る(covalently functionalized)。ある実施形態において、プラズマプロセスは、カーボンナノチューブの機能化を促進するために用いられ得る。
【0035】
カーボンナノチューブは、そのキラリティに応じて、金属的、半金属的又は半導体的となり得る。カーボンナノチューブのキラリティを指定するために命名法の確立された体系が当業者に受け入れられており、2つの指数(n,m)を用いて識別している(ここで、nとmは、六方晶系のグラファイトが管状構造に形成される場合、グラファイトの切断部及び巻き方を表す整数である)。
また、キラリティに加えてカーボンナノチューブの直径も、その電気伝導性と熱伝導性に関する性質とに影響を与える。カーボンナノチューブの合成において、カーボンナノチューブの直径は、一定サイズの触媒ナノ粒子を用いることにより制御可能である。カーボンナノチューブの直径は、通常、その形成に触媒作用を及ぼす触媒ナノ粒子の直径程度である。このため、カーボンナノチューブの性質は、例えば、カーボンナノチューブの合成に用いられる触媒ナノ粒子のサイズを調整することで、ある一面でさらに制御される。限定しない例として、直径約1nmの触媒ナノ粒子を用いることにより、繊維材料に単層カーボンナノチューブが浸出する。より大きな触媒ナノ粒子は、主に、多層カーボンナノチューブを生成するために用いられるが、これは、その複数のナノチューブ層のために、あるいは、単層及び多層カーボンナノチューブの混合のために、より大きな直径を有する。多層カーボンナノチューブは、通常、電流を不均一に再分配する個々のナノチューブ層の間に発生し、電流を不均一に再分配する層間反応のために、単層カーボンナノチューブよりも複雑な導電率プロファイル(conductivity profile)を有する。一方、単層カーボンナノチューブの異なる部分を通る電流は変化しない。
【0036】
一般に、連続繊維に浸出するカーボンナノチューブは、どのような長さでもよい。本願のスーパーキャパシタの実施形態において、より長いカーボンナノチューブは、より高い有効表面積を有する電極を提供することができるため、一般により有益である。様々な実施形態において、カーボンナノチューブは、約1μmから約1,000μm、又は、約1μmから約500μm、に及ぶ長さを有することができる。ある実施形態において、カーボンナノチューブは、約100μmから約500μmに及ぶ長さを有することができる。他の実施形態において、カーボンナノチューブは、約1μmから約50μm、又は、約10μmから約25μm、に及ぶ長さを有することができる。実施例によっては、カーボンナノチューブは、略均一な長さである。
【0037】
ある実施形態において、カーボンナノチューブの平均長さは、約1μmから約500μmに及び、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、約150μm、約200μm、約250μm、約300μm、約350μm、約400μm、約450μm、約500μmや、これらの全中間値及び端数が含まれる。ある実施形態において、カーボンナノチューブの平均長さは、例えば、約0.5μmなど約1μm未満であり、これらの全中間値及び端数が含まれる。ある実施形態において、カーボンナノチューブの平均長さは、約1μmから約10μmに及び、例えば、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μmや、これらの全中間値及び端数が含まれる。また他の実施形態において、カーボンナノチューブの平均長さは約500μmよりも大きく、例えば、約510μm、約520μm、約550μm、約600μm、約700μmや、これらの全中間値及び端数が含まれる。
【0038】
カーボンナノチューブの平均長さは、連続繊維に浸出するカーボンナノチューブの重量百分率を決定する1つの因子である。概して、上述した同時係属中である特許出願に記載されているカーボンナノチューブ浸出繊維は、他の方法によって得られるものよりはるかに高いカーボンナノチューブ担持百分率を有する。例えば、カーボンナノチューブ浸出繊維は、約1重量%から約30重量%、又は、約40重量%から約50重量%の浸出カーボンナノチューブを含有する。本願のスーパーキャパシタの実施形態において、選択されたカーボンナノチューブ重量百分率は、好ましい静電容量によって決定される。
【0039】
連続繊維上のカーボンナノチューブ被覆密度は、浸出したカーボンナノチューブの重量百分率を決定する他の因子となり得る。繊維材料に浸出したカーボンナノチューブの密度の均一性に関して、ある実施形態では、繊維材料に浸出したカーボンナノチューブは、通常、密度分布が均一である。前述で定義したように、密度分布の誤差は、カーボンナノチューブが浸出する繊維材料の表面積全体で約10%である。限定しない例として、この誤差は、直径8nmの5層カーボンナノチューブで、1平方マイクロメートル当たり±約1500のカーボンナノチューブに相当する。このような形状ではカーボンナノチューブの内部空間を充填可能と仮定している。ある実施形態において、繊維材料のパーセント被覆率(すなわち、カーボンナノチューブで被覆される繊維材料の表面積の百分率)として表されるカーボンナノチューブ密度の最大値は、再び直径8nmの5層カーボンナノチューブにおいて内部空間を充填可能と仮定すると、約55%にもなる。55%の表面積被覆率は、前述の寸法を有するカーボンナノチューブに関して、1平方マイクロメートル当たり最大約15,000のカーボンナノチューブに相当する。ある実施形態において、被覆の密度は、1平方マイクロメートル当たり最大約15,000のカーボンナノチューブである。当業者であれば、繊維材料表面上における触媒ナノ粒子の配置、カーボンナノチューブの成長条件に対する繊維材料の曝露時間、及び、繊維材料に対するカーボンナノチューブの浸出に用いられる実際の成長条件自体を変えることにより、幅広いカーボンナノチューブ密度分布が得られることを認識できる。
【0040】
ある実施形態において、連続繊維上のカーボンナノチューブ被覆密度は、電解質のイオン寸法の変更を考慮して調整される。例えば、電解質がより大きいイオンを含有する場合、連続繊維上の、より低いカーボンナノチューブ被覆密度を用いて、様々なスーパーキャパシタの実施形態における充放電中の、十分なイオン移動度及び電極接触を確保することができる。
【0041】
本願のある実施形態に従って、カーボンナノチューブが浸出した複数の連続繊維は、スーパーキャパシタの電極層を形成する。第1電極層は、中央基板の周囲に連続繊維を巻回することによって形成され、第2電極層及び全ての付加電極層は、第1電極層上に連続繊維を巻回することによって形成される。隔離材料層は、電極層の間に配置される。図2Aは、本願のスーパーキャパシタの例示的な実施形態における第1電極層の等角概略図を示す。図2に示すように、連続繊維201は、基板200の周囲に等角的に巻回されて、本願のスーパーキャパシタの第1電極層を形成する。連続繊維201の端子端部202は、スーパーキャパシタの充電又は放電用の電極端子に取り付けられる。電極端子は、ある実施形態においては基板上に配置され、又、他の実施形態においては他の場所に配置される。図2Bは、電極端子204が基板200上に配置された本願のスーパーキャパシタの例示的な実施形態における電極層の等角概略図を示す。連続繊維201は、基板200の周囲に等角的に巻回され、連続繊維201の端子端部202は、電極端子204に取り付けられる。必要に応じて、電極端子204は、任意に絶縁体材料205を介して基板200から電気的に絶縁される。第2電極端子は、必要に応じて、他の電極層の連続繊維との結線用に基板200に含まれる(図示せず)。
【0042】
図2A及び図2Bでは、連続繊維201の隣接巻線間に隙間をあけて示したが、図示された隙間は、図の明確化の目的のためのものであることが理解できる。当業者には明らかであるように、可能な限り隙間のない連続繊維201の隣接巻線とすることによって、単位面積当たりで、より多数のカーボンナノチューブを得ることができ、それによって、連続繊維の単位重量当りで、より高い電極層表面積、及び、より高い静電容量が得られる。
しかしながら、所定サイズのスーパーキャパシタにおいて、連続繊維201の隣接巻線間隔は、所望の静電容量を提供するために、必要に応じて変動可能である点に注目されたい。
【0043】
本実施形態においては排除されていないが、一般的には、連続繊維の単位重量当りでより小さな表面積を有する電極層を作るときに、連続繊維201の隣接巻線どうしが重なり合うことは、ほぼないというのが事実である。したがって、ある実施形態において、電極層の連続繊維は、この重なり合いを避けるために、互いに略平行である。しかしながら、隣接巻線間に隙間がある実施形態のため前述したように、隣接巻線において連続繊維201の若干の重なり合いは、必要に応じて、静電容量を調整するために利用される。電解質が各連続繊維の表面に十分に近づくことができるのであれば、より高次の連続繊維構造(higher order continuous fiber structures)(例えば、繊維トウ、繊維リボン、及び/又は繊維テープ)の場合、各連続繊維間における若干の接触は許されるという点に留意されたい。
【0044】
上記のように、第1電極層の生成後、電解質のイオンに対して透過性である隔離材料の層が、第1電極層上に配置される。次に、第2電極層が、隔離材料の層の周囲に連続繊維の分離部分を巻回することによって隔離材料の層の上に形成される。2つ以上の電極層を有するスーパーキャパシタを形成するために、必要に応じて、隔離材料の付加層の被覆、及び、その上に連続繊維を巻くことができる。
【0045】
図3は、電極層の連続繊維の縦軸に対して平行に視た本願のスーパーキャパシタの例示的な実施形態の概略図を示す。図3のスーパーキャパシタ300は、2つの電極層を含むが、上記のようにより多くの電極層を付加することができる。図3に示すように、スーパーキャパシタ300は、その上に浸出したカーボンナノチューブ303を有する連続繊維302(図2A及び図2B参照)で、周囲が覆われた基板301を含む。基板301の上部から下部を輪になって巻かれている連続繊維302の部分は、明確にするため省略されている。隔離材料304の層は、連続繊維302及びカーボンナノチューブ303の上に配置されている。その上に浸出したカーボンナノチューブ306を有する連続繊維305は、隔離材料304の層の周囲を覆う。また、隔離材料304の層の上部から下部を輪になって巻かれている連続繊維305の部分は、明確にするため省略されている。電解質(図示せず)は、連続繊維302,305及びその上に浸出したカーボンナノチューブ303,306と結合されている。隔離材料304の層は、第1電極層と第2電極層の間で電荷分離を提供する。
【0046】
さらに図3に関して、スーパーキャパシタ300は、その中に電解質を含有すると共に電気的絶縁を提供するために、外側絶縁体ケーシング307を更に含むことができる。図示する外側の絶縁ケーシングは、例えば、スーパーキャパシタ300を収容する絶縁箱、又は、スーパーキャパシタ300を覆う絶縁収縮ラップ(insulating shrink wrap)を含む。外側絶縁体ケーシング307の性質は、スーパーキャパシタの所望の作動要求に応じて変更し得る。例えば、スーパーキャパシタ300が曲がり易いままの方が望ましい場合、又は、電解質の放出が問題でない場合は、その中に構成要素を収めるのに、単純プラスチック製の収縮ラップの外側絶縁体ケーシングで十分である。しかしながら、スーパーキャパシタ300がより機械的支持を必要とする場合、又は、電解質の放出が特に問題となる場合には、外側絶縁体ケーシング307を、より堅固な材料(例えばプラスチック箱)から作ることができる。
【0047】
ある実施形態において、外側絶縁体ケーシング307を省略することができる。例えば、電解質の貯蔵タンク内にスーパーキャパシタ300(外側絶縁体ケーシング307なしで)を設置することによって、作動スーパーキャパシタを作ることができる。この場合、最も外側の電極層(図3のスーパーキャパシタでは第2電極層(連続繊維305及びその上に浸出したカーボンナノチューブ306)である)の周りで電解質が過剰である。
スーパーキャパシタの作動原理は、第2電極層の周囲における電解質の過剰により著しく変化しない。これらの実施形態において、電解質貯蔵タンク(electrolyte reservoir)用の容器(container)は、スーパーキャパシタ300の外側絶縁体ケーシング307であると考えることができる。例えば、電解質貯蔵タンクは、プラスチックのバケツ、又は、容器と同等のものに含まれる。しかしながら、必要に応じて、他の方法でその周囲から電気的に絶縁可能であるとき、これらの実施形態において、電解質貯蔵タンク用の容器が絶縁体であるという必要性はない。
【0048】
一般に、カーボンナノチューブが浸出可能な全ての種類の連続繊維は、本願のスーパーキャパシタ及びそれらの製造方法に使用することができる。上記の通りに、カーボンナノチューブは、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維及び有機繊維等の連続繊維にうまく浸出することができる。カーボンナノチューブ浸出繊維及びそれらの製造方法に関するその他の詳細を以下に示す。
【0049】
さまざまな実施形態において、各連続繊維(すなわち各フィラメント)は、約1μmから約100μmに及ぶ直径を有する。この範囲の直径を有する連続長繊維は、様々な商業的供給源から容易に調達することができる。
【0050】
ある実施形態において、連続繊維に浸出したカーボンナノチューブは、連続繊維の表面に対して略垂直である。浸出カーボンナノチューブがあらゆる所望の配向となるように、カーボンナノチューブ浸出繊維を製造することができるが、当業者は、略垂直配向により、カーボンナノチューブの表面積、それ故、電極層表面積が最大化することを理解するだろう。少なくともこの理由のため、カーボンナノチューブの略垂直な配向は、本実施形態において有益である。
【0051】
ある実施形態において、連続繊維はカーボンナノチューブが浸出する前に電気伝導性がある。本実施形態に使用できる例示的な導電繊維は、例えば、炭素繊維及び金属繊維(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等)を含む。連続繊維へのカーボンナノチューブの浸出はそれらに電気導伝性を与えるが、連続繊維がカーボンナノチューブ浸出前に当初から電気伝導性がある場合は、より良好な電流収集及び電荷貯蔵性質が一般に認められる。一方、別の実施形態において、連続繊維はカーボンナノチューブが浸出する前に非電導性である。このような実施形態において、電流収集及び電荷貯蔵の強化のために、導電率強化材(conductivity enhancer)を連続繊維に結合させて使用することができる。例えば、金属箔、金属リボン、金属粉及び/又は金属ナノ粒子等の金属形態(metal form)は、本実施形態における連続繊維に含まれる。このような実施形態において、金属ナノ粒子は、カーボンナノチューブの成長を媒介するために用いられる残留性触媒ナノ粒子(residual catalytic nanoparticles)を含む。このような導電率強化材は、連続繊維が同様に導電性である場合にも使用することができる。ある実施形態において、本願の電気装置は、さらに第1電極層及び第2電極層と結合する導電率強化材を含むが、この場合、導電率強化材は、少なくとも一つの金属形態(例えば金属箔、金属リボン、金属粉、金属ナノ粒子等)を含む。
【0052】
一般に、連続繊維は、本実施形態において、個別のフィラメントとしてそれらの中に設けられるというより、より高次の繊維形態(higher order fiber form)に使用される。このようなよりより高次の繊維形態は多様な構造があり、以下により詳細に検討される。ある実施形態において、例えば、連続繊維の繊維形態は、繊維トウ、繊維テープおよび/または繊維リボンである。他の実施形態において、繊維形態は、繊維ロービング(fiber roving)、ヤーン、ガラス繊維編組(glass fiber braid)、織布又は不織布、プライ及び/又はマット等である。ある実施形態において、個別のフィラメントは、より高次の繊維形態において互いに略平行である。ある実施形態において、連続繊維は第1電極層及び第2電極層において互いに略平行である。ある実施形態において、スーパーキャパシタにおいて使用される場合、基板及び隔離材料層の周囲の隣接巻線における連続繊維の重なりは、ほぼ見られない。
【0053】
ロービングには、撚り合わされ、細くされた不純物のない連続繊維からなる柔らかいストランド(strands)が含まれる。
【0054】
繊維トウは、通常、フィラメントを密に結合した連続繊維の束(bundle)であり、ある実施形態では、これが撚り合わされてヤーンとなる。ヤーンには、撚り合わされた繊維を密に結合した束が含まれるが、ここで、ヤーンにおける各繊維の直径は、比較的均一である。ヤーンには、「テックス(tex)」(1000リニアメーター当たりのグラム重量として示される)又は「デニール(denier)」(10,000ヤード当たりのポンド重量として示される)で表される様々な重量がある。ヤーンに関して、標準的なテックス範囲は、通常、約200テックスから約2000テックスまでである。
【0055】
繊維編組(Fiber braids)は、連続繊維が高密度に詰め込まれたロープ状構造体である。このようなロープ状構造体は、例えば、ヤーンから組まれる。編組構造体は、選択的に中空部分を含んでもよく、あるいは、別のコア材料の周囲に組まれてもよい。
【0056】
繊維トウには、撚り合わされていない連続繊維を結合した束が含まれる。このように、繊維トウは、単一動作で大量の略平行な繊維を操作するために便利な形態である。ヤーンと同様に、繊維トウにおける個々繊維の直径は概して均一である。また、繊維トウも様々な重量を有し、テックス範囲は、通常、約200テックスから約2000テックスの間である。加えて、繊維トウは、例えば、12Kトウ、24Kトウ、48Kトウなどの繊維トウ内にある数千の各繊維の数により、しばしば特徴付けられる。
【0057】
テープ及びリボンは、例えば、織布又は不織の扁平繊維トウとして組まれる連続繊維を含む。テープは様々な幅をもち、通常、リボンに類似する両面構造体である。同時係属中である出願人の特許出願に記載されるように、カーボンナノチューブは、テープの一面又は両面に浸出する。また、種類、直径又は長さの異なるカーボンナノチューブが、テープの各面で成長可能である。
【0058】
ある実施形態において、連続繊維は、布(fabrics)又はシート状構造体に組織化される。これらには、前述のテープに加えて、例えば、織布、不織布、不織繊維マット及び繊維プライが含まれる。このようなより高次の構造は、元となる、連続繊維、繊維トウ、ヤーン、フィラメントなどから組まれる。
【0059】
本願のスーパーキャパシタの実施形態の基板の特性は、特に制限されない。ある実施形態において、基板は絶縁体材料(例えば非導電性材料)である。このような実施形態において、基板の役割は、主構造であり、その上に本願のスーパーキャパシタを作り上げるための支えを提供する。このような非導電性基板の組成は広範囲にわたって様々であり、例えば、プラスチック、セラミック、酸化アルミニウム、酸化ケイ素および木材を含む。基板の剛性および機械的強度は、用途に応じて適応させることができる。例えば、スーパーキャパシタがある程度の柔軟性を維持するような、ある実施形態においては、基板には柔軟性のあることが望まれる。同様に、スーパーキャパシタが、ペイロード重量(payload weight)が懸念される用途向けのものである場合、例えば、軽量基板が用いられる(例えば、発泡ポリウレタン又はポリスチレン)。別の実施形態において、基板は必要に応じて電気伝導体である。基板が電気伝導性である実施形態において、それは、特に第1電極層の電流収集特性を増加させることができる。
【0060】
基板の寸法は、基板によりスーパーキャパシタ及びその構成要素を機械的に支持する必要がある場合を除き、特に限定されない。最終的に、より高い静電容量値を発生させる電極層の表面積は、そこに連続繊維が巻回された後、基板のサイズによって決定される。出来上がったスーパーキャパシタに対する所望の静電容量及び全ての使用可能なサイズ限定に応じて、基板は約1cm2から約100,000cm2に及ぶ表面積を有することができる。ある実施形態において、基板は、少なくともその表面積の大部分が上面と底面の組合せ面積により決定されるというような、薄さである(例えば疑似二次元の構造)。例えば、基板は、その表面積の約95%以上がその上面と底面であるような厚さを有する。他の実施形態において、基板は、その表面積の約95%未満がその上面と底面であるような、正確な三次元固形である。例えば、基板の例示的な形状は、例えば、円筒、球、半球、三角柱(triangular prisms)、底面が長方形の角柱(rectangular prisms)、正四角柱(square prisms)、菱形プリズム(rhombic prism)、台形プリズム(trapezoidal prisms)、五角形プリズム(pentagonal prisms)、六角形プリズム(hexagonal prisms)、七角形プリズム(heptagonal prisms)、八角形プリズム(octagonal prisms)、九角形プリズム(nonagonal prisms)、十角形プリズム(decagonal prisms)、などを含む。
図2A,図2B及び図3によって例示されるスーパーキャパシタは、底面が長方形の角柱基板で示されたが、当然のことながら、本開示の精神及び範囲内でなお機能しつつ、上述の基板形状の全てを利用することができる。
【0061】
ある実施形態において、本願の電気装置は、外側絶縁体ケーシングを更に含むことができる。例えば、例示的な絶縁体ケーシングは、プラスチック及びワックスを含む。ある実施形態において、外側絶縁体ケーシングは、収縮ラップ材料(例えばプラスチック製収縮ラップ)である。一般的に、全ての誘電体材料は、電気装置の電気絶縁を提供し様々な成分をその中に含有させるために使用される。2つの電極層がある場合は、外側絶縁体ケーシングは第2電極層の周りに配置される。付加電極層がある場合、外側絶縁体ケーシングは最も外側の電極層の周りに配置される。外側絶縁体ケーシングがあるスーパーキャパシタの実施形態において、電解質の第1部分は基板と隔離材料との間に存在し、電解質の第2部分は隔離材料の層と外側絶縁体ケーシングの間に存在する。前述のように、外側絶縁体ケーシングは、例えば、スーパーキャパシタが何らかの方法で電極層を接触させる電解質の貯蔵タンク内に配置される場合は、任意で省略することができる。すなわち、このようなスーパーキャパシタの実施形態において、基板、第1電極層、第2電極層および隔離材料の層は、電解質の貯蔵タンク内に存在する。
【0062】
ある実施形態において、外側絶縁体ケーシングは、約100μmから約10cmに及ぶ厚さを有する。他の実施形態において、外側絶縁体ケーシングは、約5mmから約5cm、又は、約1cmから約4cmに及ぶ厚さを有する。さらに他の実施形態において、外側絶縁体ケーシングは、約10μmから約1mm、又は、約100μmから約1mmに及ぶ厚さを有する。一般的に、外側絶縁体ケーシングは、それらの構造的完全性をなお維持しつつ、電気装置の電気絶縁を提供するためにできるだけ薄く作られる。当業者が理解するように、薄い外側絶縁体ケーシングにより、材料費は低く抑えられ、また、より軽量のスーパーキャパシタ及び他の電気装置の製造を可能にする。
【0063】
前述したように、本願の電気装置は、少なくとも第1電極層及び第2電極層の連続繊維が接続される電極端子を更に含むことができる。ある実施形態において、本願の電気装置は、第1電極層の複数の連続繊維に接続される第1電極端子と、第2電極層の連続繊維に接続される第2電極端子とを更に含む。付加電極層がある実施形態において、同数の付加電極端子をも含むことができる。電極端子は、存在する場合は、ある実施形態においては、基板上に配置される。基板が電気伝導性である実施形態において、電極端子は絶縁体材料によって基板から電気的に絶縁される。別の実施形態において、電極端子は基板から離れて配置される。例えば、電極端子は、必要に応じて、外側絶縁体ケーシング上に配置される。さらに他の実施形態において、第1電極層、第2電極層及び付加電極層の連続繊維が存在する場合、それらは、介在電極端子を介してではなく、直接的に電源及び/又は電気的負荷に接続される。
【0064】
本願のスーパーキャパシタの実施形態における隔離材料の層は、スーパーキャパシタが充電状態のときに、電解質のイオンの電荷分離を維持するのに充分な厚さを有するいかなる材料からも形成することができる。一般に、隔離材料は、本質的には浸透性であり、スーパーキャパシタが充電又は放電しているときには、電極層間でのイオンの高移動が可能であるが、一旦、スーパーキャパシタが充電状態に達したならば、電荷分離を維持することが可能となる、薄いフィルム誘電体(thin film dielectric substance)である。このように、隔離材料の層は、それを通過する電荷キャリアの移動に対して選択的な透過性がある。ある実施形態において、隔離材料は、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリエステル不織布及びポリアクリロニトリル不織布等の、不織ポリマー布である。他の実施形態において、隔離材料は、例えば、多孔性ポリ(フッ化ビニリデン )−ヘキサフルオロプロパン・コポリマー・フィルム、多孔性セルロースフィルム、クラフト紙(kraft pape)、レーヨン編布(rayon woven fabrics)等の、多孔性物質である。通常、電池において使用可能な全ての隔離材料を、本願のスーパーキャパシタにおいて使用することができる。
【0065】
隔離材料の多孔性の程度は、スーパーキャパシタが充電又は放電されているとき、電解質のイオンが隔離材料を通過するのに十分に移動性があるが、一旦スーパーキャパシタが充電された状態に達すると、電解質のイオンが電荷分離を維持するのに十分に不動的である、というようなものである。ある実施形態において、隔離材料の気孔率は、約90%より大きい。ある実施形態において、隔離材料の気孔率は、約90%から約95%に及び。他の実施形態において、隔離材料の気孔率は、約90%から約40%、又は、約87%から約50%、又は、約85%から約65%に及ぶ。
【0066】
気孔率に加えて、隔離材料の厚さにより、隔離材料を通過するイオン移動の程度を調整することができる。所定の気孔率において、隔離材料の層がより厚い場合には、隔離材料の層がより薄い場合よりも、電荷分離はより大きくなり、そして、イオンの移動度は低くなる。ある実施形態において、隔離材料の層の厚さは、約100μmより小さい。ある実施形態において、隔離材料の層の厚さは、約100μmから約50μmに及ぶ。ある実施形態において、隔離材料の層の厚さは、約50μmから約25μm、又は、約25μmから約10μmに及ぶ。ある実施形態において、隔離材料の層の厚さは、約10μmより小さい。ある実施形態において、隔離材料の層の厚さは、約10μmから約1μmに及ぶ。ある実施形態において、隔離材料の層の厚さは、約1μmより小さい。ある実施形態において、隔離材料の層の厚さは、約100nmから約1μmに及ぶ。ある実施形態において、隔離材料の層の厚さは、電解質体積と電圧スタンドオフ能力(voltage standoff capability)間のバランスを取るために最適化される。
【0067】
ある実施形態において、適切な隔離材料は、高気孔率(例えば、>90%)のポリプロピレン及び/又はポリエチレン電解膜(electrolytic membrane)である。このような電解膜は、ノースカロライナのシャーロットのCelgard LLCから入手できる。これらの電解膜は、高い電圧スタンドオフ能力(high electric voltage standoff capability)を示し、それによって、電極層を絶縁するための薄くて軽いフィルムが可能となる。ある実施形態において、紙の隔離材料(例えば、クラフト紙)も使用が可能である。
【0068】
本願のスーパーキャパシタの実施形態の電解質は、特に限定されない。ある実施形態において、電解質は無機電解質である。他の実施形態において、電解質は有機電解質である。当業者が理解するように、水溶性電解質(aqueous electrolytes )は、低い内部抵抗値を示すが、その使用範囲は約1Vに限定される。これに対して、有機電解質は、最高で約2.5V又は約3Vの使用電圧範囲を有するが、より高い内部抵抗を有する。本願のスーパーキャパシタ実施形態の他の構成要素と同様に、電解質の特性及び濃度は、異なる最終用途に見合うよう変えることができる。
【0069】
例示的な水溶性電解質(aqueous electrolytes)は、水溶性酸性溶液(aqueous acid solutions)(例えば硫酸、リン酸、塩酸、など)、水溶性塩基溶液(aqueous base solutions)(例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)及び中性溶液(neutral solutions)を含む。中性電解質溶液は、一般的に塩を水溶性媒質に溶かすことによって形成される。中性電解質としての使用に適している例示的な塩は、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等を含む。更なる水溶性電解質は、当業者によって想定されうる。一般に、水溶性電解質の濃度は、約0.1から約20M、又は、約1重量%から約100重量%に及ぶ。
【0070】
有機電解質は、有機溶媒に溶かされる電気分解の種(electrolytic species)を含む。例示的な電気分解の種は、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩(例えばテトラエチルアンモニウム又はテトラメチルアンモニウムのハロゲン化及び水酸化物(tetraethylammonium or tetramethylammonium halides and hydroxides)、第四ホスホニウム塩(quaternary phosphonium salts)、そして、リチウム、ナトリウム、又は、テトラフルオロホウ酸カリウム(potassium tetrafluoroborates)、過塩素酸塩(perchlorates)、ヘキサフルオロリン酸塩(hexafluorophosphates)、bis(トリフルオロメタン)スルホン酸塩(bis(trifluoromethane)sulfonates)、bis(トリフルオロメタン)スルホニルイミド(bis(trifluoromethane)sulfonylimides)、又は、tris(トリフルオロメタン)スルホニルメチド(tris(trifluoromethane)sulfonylmethides)を含む。一般に、有機溶媒内の電気分解の種の濃度は、約0.1Mから約5M、又は、約0.5Mから約3Mに及ぶ。
【0071】
有機電解質において使用される有機溶媒は、一般に高い比誘電率を有する非プロトン性有機溶媒(aprotic organic solvents)である。有機電解質に使用される例示的な有機溶媒は、限定されることなく、炭酸アルキル(例えば、炭酸プロピレン、エチレンカルボネート 、ブチレンカルボネート、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸エチルメチル、炭酸ブチルメチル、炭酸プロピルメチル、炭酸プロピルエチル、炭酸プロピルブチル、炭酸1,2−ブチレン、炭酸2,3−ブチレン、炭酸1,2−ペンテン、そして、炭酸2,3−ペンテン)、ニトリル(例えば、アセトニトリル、アクリロニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルそして、ベンゾニトリル)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、エチル・メチル・スルホキシド、そして、メチルベンジルスルホキシド)、アミド(例えば、ホルムアミド、メチルホルムアミド、そして、ジメチルホルムアミド)、ピロリドン(例えば、N-メチルピロリドン)、ラクトン(例えば、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、2−メチル-y-ブチロラクトン、そして、アセチル-y-ブチロラクトン)、リン酸トリエステル、ニトロメタン、エーテル(例えば、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−メトキシエトキシエタン、1,2−又は1,3−ジメトキプロパン、1,2−又は1,3−ジエトキプロパン、1,2−又は1,3−エトキシメトキシプロパン、1,2−ジブトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン及び他のアルキル、ジアルキル、アルコキシ又はジアルコキシ・テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキソラン、2-メチル-1,3-ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、スルホラン、3−メチルスルホラン、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ジエチレングリコール・ジアルキルエーテル、トリエチレングリコール・ジアルキルエーテル、エチレングリコール・ジアルキルエーテル、及び、テトラエチレングリコール・ジアルキルエーテル)、エステル(例えば、メチル又はプロピオン酸エチル等のプロピオン酸・アルキル、マロン酸ジエチル等のマロン酸・ジアルキル、メチルアセテート及びエチルアセテート等の酢酸・アルキル、及び、蟻酸メチル及び蟻酸エチル等の酢酸・アルキル)、そして、無水マレイン酸を含む。加えて、必要に応じて、有機ゲルなどを使用することができる。
【0072】
ある実施形態において、電解質はイオン性液体(例えば、ベンジルジメチルプロピルアンモニウム・アルミニウム・テトラクロレート(benzyldimethylpropylammonium aluminum tetrachlorate)、ベンジルジメチルアンモニウム・イミド(benzyl dimethylammonium imide)、エチルメチルアンモニウム・重硫酸塩(ethylmethylammonium bisulfate)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ・テトラフルオロホウ酸塩 (1−butyl−3−methylimidazolium tetrafluoroborate)又はテトラエチルアンモニウム・テトラフルオロホウ酸塩 (tetraethylammonium tetrafluoroborate))である。上記の有機溶剤の全てが、このようなイオン性液体と結合して選択的に使われる。
【0073】
様々な実施形態において、本願の電気装置は、二つより多い電極層を含むことができる。ある実施形態において、電気装置は、更に隔離材料の少なくとも一つの付加層と、カーボンナノチューブが浸出した複数の連続繊維を含有する少なくとも一つの付加電極層とを含む。このような実施形態において、各電極層は隔離材料の層によって互いに分離される。さらに、電解質はこのような実施形態の各電極層と接触している。電極及び隔離材料の積層を繰り返すことによって、あらゆる層数の所望の層を有するスーパーキャパシタを形成することができる。例えば、重量が数十ポンドから数百ポンドであり、数千ファラド(Farads)の静電容量を有するスーパーキャパシタは、電極の積層を繰り返すことによって得られる。
【0074】
本願のスーパーキャパシタの実施形態の静電容量値は、広範囲にわたって変化する。様々な実施形態において、本開示のスーパーキャパシタは、連続繊維のグラム当りで、約0.5Farad/gramから約500Farad/gramに及ぶ静電容量を有する。ある実施形態において、スーパーキャパシタは、連続繊維のグラム当りで、約1Farad/gramから約250Farad/gramに及ぶ静電容量を有する。さらに他の実施形態において、スーパーキャパシタは、連続繊維のグラム当りで、約2Farad/gramから約100Farad/gramに及ぶ静電容量を有する。ある実施形態において、スーパーキャパシタは、連続繊維のグラム当りで、少なくとも約1Farad/gramの静電容量を有する。他の実施形態において、スーパーキャパシタは、連続繊維のグラム当りで、少なくとも約2Farad/gramの静電容量を有する。前述の値は2つの電極層のみを有するスーパーキャパシタ用であるということに留意する必要がある。スーパーキャパシタが2つより多い電極層を有する場合、静電容量は付加電極層の数に略正比例して増加する。すなわち、3つの電極層を有するスーパーキャパシタは、2つのみ電極層を有するスーパーキャパシタの約2倍の静電容量を有する。加えて、スーパーキャパシタは、単独で使用されてもよいし、又は、順番に積み重ねられてもよい。
【0075】
図4は、コイン状プレスサンプル・スーパーキャパシタ構造(a coin press sample supercapacitor structure)の概略図を示す。このようなスーパーキャパシタ構造は、スーパーキャパシタ402を形成するために、外側部分400と内側部分401とを結合することによって、本願明細書に記載されるスーパーキャパシタの試験用に、容易に作ることができる。図5は、本開示のスーパーキャパシタの例示的なサイクリックボルタモグラム(cyclic voltammogram)を示す。
【0076】
ある実施形態において、本願明細書に記載されている方法は、カーボンナノチューブが浸出した複数の連続繊維を提供し、これにより、前記複数の連続繊維の第1部分から第1電極層を形成し、前記複数の連続繊維の第2部分から第2電極層を形成することを含む。
【0077】
ある実施形態において、方法は、第1電極層及び第2電極層を電解質にさらし、第1電極層と第2電極層との間に隔離材料の層を付加することを更に含む。この場合、隔離材料は電解質のイオンに対して透過性がある。ある実施形態において、第1電極層の形成には、基板の周囲に等角的に複数の連続繊維の第1部分を巻回することが含まれ、第2電極層の形成には、第1電極層上に等角的に複数の連続繊維の第2部分を巻回することが含まれる。ある実施形態において、第1電極層を形成するための巻回、第2電極層を形成するための巻回、及び隔離材料の層の付加は、全て同時に行われてもよい。他の実施形態において、各層は、巻回され、又は、別に付加される。
【0078】
ある実施形態において、方法は、第2電極層上に少なくとも1つの隔離材料の付加層を付加することと、第2電極層上に少なくとも一つの付加電極層を巻回することを更に含む。このような実施形態において、少なくとも一つの付加電極層はカーボンナノチューブが浸出した複数の連続繊維を含み、そして、各電極層は隔離材料の層によって互いに分離される。さらに、電解質は各電極層と接触している。
【0079】
他の実施形態において、本願明細書に記載されている方法は、カーボンナノチューブが浸出した複数の連続繊維を提供し、基板の周囲に等角的に前記複数の連続繊維の一部を巻回することによって第1電極層を形成し、第1電極層上に等角的に前記複数の連続繊維の分離部分を巻回することによって少なくとも2つの付加電極層を形成することを含む。
【0080】
ある実施形態において、方法は、第1電極層及び少なくとも2つの付加電極層を電解質にさらすこと、及び、各電極層の間に隔離材料の層を付加することを更に含む。この場合、隔離材料は電解質のイオンに対して透過性である。
【0081】
ある実施形態において、複数の連続繊維は、例えば、繊維トウ、繊維テープ及び/又は繊維リボン等の繊維の形態で存在する。ある実施形態において、複数の連続繊維は、電極層において互いに略平行である。ある実施形態において、複数の連続繊維の各フィラメントは、繊維形態において互い略平行である。さらに実施形態では、電極層の隣接巻線において複数の連続繊維の重なり合いはほぼない。加えて、付加電極層がある場合、同様に、それらの層においての重なり合いはほぼない。選択的に、必要に応じて、隣接巻線間に隙間があってもよい。
【0082】
ある実施形態において、第1電極層は、隔離材料の層を付加する前に電解質にさらされる。しかしながら、隔離材料の層は電解質のイオンに対して透過性があるので、第1電極層は他の実施形態では製作の後半で電解液にさらされてもよい。ある実施形態において、第1電極層、第2電極層及び付加電極層が存在する場合、それらは、同時に電解質にさらされる。ある実施形態において、第1電極層、第2電極層及び付加電極層が存在する場合、それらは、電解質の貯蔵タンク内への同時浸漬によって、同時に電解質にさらされる。
【0083】
ある実施形態において、方法は、外側絶縁体ケーシングを電極層に付加することを更に含む。外側絶縁体ケーシングに関するその他の詳細は、先に記載されている。
【0084】
本明細書に開示された実施形態は、係属中であり、共同出願の米国特許出願第12/611,073号、第12/611,101号及び第12/611,103号、及び第12/938,328号(各出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載された方法で容易に作製されるカーボンナノチューブ浸出繊維材料を利用する。これらに記載されたプロセスの簡単な説明を以下にする。
【0085】
繊維材料にカーボンナノチューブを浸出させるために、カーボンナノチューブは繊維材料上に直接合成される。これは、ある実施形態において、繊維材料上にカーボンナノチューブ形成触媒(例えば、触媒ナノ粒子)を最初に配置することで可能となる。この触媒付着の前に、いくつかの準備プロセスを行ってもよい。
【0086】
ある実施形態において、繊維材料をプラズマで任意に処理して、触媒を受け入れる繊維表面を準備できる。例えば、プラズマで処理されたガラス繊維材料により、カーボンナノチューブ形成触媒が付着する粗面化されたガラス繊維表面がもたらされる。また、ある実施形態において、プラズマは、繊維表面を「浄化」する機能をも果たす。このように繊維表面を「粗面化(roughing)」するためのプラズマプロセスは、触媒の付着を容易にする。粗度は、通常、ナノメートルのスケールである。プラズマ処理プロセスにおいて、深さ及び直径がナノメートル単位のクレーター(crater)又はくぼみが形成される。このような表面改質は、限定するものではないが、アルゴン、ヘリウム、酸素、アンモニア、窒素及び水素など、種々異なる1以上のあらゆるガスのプラズマを用いても達成される。
【0087】
ある実施形態において、使用される繊維材料が、これに付随するサイジング剤を有する場合、このようなサイジング剤を、触媒の付着前に任意除去してもよい。任意的には、サイジング剤を触媒付着後に除去することもできる。ある実施形態において、サイジング剤の除去は、カーボンナノチューブの合成中、又は予熱工程におけるカーボンナノチューブの合成の直前に行われる。他の実施形態において、サイジング剤材料の中には、カーボンナノチューブ合成プロセスの全体にわたって残存するものがある。
【0088】
カーボンナノチューブ形成触媒(すなわち、触媒ナノ粒子)の付着前、又はこれと付随するさらにもう1つの工程として、繊維材料上のバリアコーティングの適用がある。バリアコーティングは、繊細な繊維材料(例えば、炭素繊維、有機繊維、ガラス繊維、金属繊維など)の健全性を保護するために設けられる材料である。このようなバリアコーティングには、例えば、アルコキシシラン、アルモキサン、アルミナナノ粒子、スピンオンガラス(spin on glass)及びガラスナノ粒子が含まれる。例えば、ある実施形態において、バリアコーティングは、Accuglass T−11 Spin−On Glass(Honeywell International Inc., Morristown, NJ)である。一実施形態において、カーボンナノチューブ形成触媒は、未硬化のバリアコーティング材に加えられて、その後、共に繊維材料に適用されてもよい。他の実施形態において、バリアコーティング材は、カーボンナノチューブ形成触媒の付着前に繊維材料に加えられる。このような実施形態において、バリアコーティングは、触媒の付着前に部分的に硬化してよい。バリアコーティング材は、後続のCVD又はCVD様カーボンナノチューブ成長のための炭素原料にカーボンナノチューブ形成触媒をさらすことが可能な程度に十分薄い厚さである。ある実施形態において、バリアコーティングの厚さは、カーボンナノチューブ形成触媒の有効径未満か、それとほぼ等しい。カーボンナノチューブ形成触媒及びバリアコーティングが適切に配置された時点で、バリアコーティングを十分に硬化させることができる。ある実施形態において、バリアコーティングの厚さは、触媒位置へのカーボンナノチューブ原料ガスのアクセスがまだ可能である限り、カーボンナノチューブ形成触媒の有効径よりも大きくてよい。このようなバリアコーティングは、カーボンナノチューブ形成触媒に対する炭素原料ガスのアクセスを可能にする程度に十分多孔質であってよい。
【0089】
ある実施形態では、バリアコーティングの厚さは、約10nmから約100nmに及ぶ。他の実施形態では、バリアコーティングの厚さは、40nmを含む、約10nmから約50nmに及ぶ。ある実施形態では、バリアコーティングの厚さは、約10nm未満であり、約1nm、約2nm、約3nm、約4nm、約5nm、約6nm、約7nm、約8nm、約9nm及び約10nmと、これらの全中間値とその端数を含む。
【0090】
理論に拘束されるものではないが、バリアコーティングは、繊維材料とカーボンナノチューブの中間層として機能し、また、繊維材料にカーボンナノチューブを機械的に浸出させる。このようなバリアコーティングを介した機械的な浸出は、有益なカーボンナノチューブ特性が繊維材料に伝えられることをなお許しつつ、繊維材料がカーボンナノチューブを組織化するための基盤としてさらに機能するカーボンナノチューブに対する強固なシステムを提供する。また、バリアコーティングを含むことの利点は、例えば、水分にさらされることに起因した化学的損傷、及び/又は、カーボンナノチューブ成長を促進するために用いられる高温での熱的損傷から、繊維材料を保護することを含む。
【0091】
更に後述するように、カーボンナノチューブ形成触媒は、遷移金属触媒ナノ粒子としてのカーボンナノチューブ形成触媒を含有する液体溶液として作製される。合成されたカーボンナノチューブの直径は、前述のように、遷移金属触媒ナノ粒子の大きさに関係する。
【0092】
カーボンナノチューブの合成は、高温で生じる化学蒸着(CVD)プロセス、又は、関連するカーボンナノチューブ成長プロセスに基づく。ある実施形態おいて、CVDベースの成長プロセスは、成長プロセス中にカーボン・ナノチューブが電界方向に従うように電界を与えることによってプラズマ助長されるであろう。他の例示的なカーボンナノチューブ成長プロセスには、例えば、マイクロキャビティ(micro-cavity)、レーザー・アブレーション、火炎合成、アーク放電、及び高圧一酸化炭素法(HiPCO)による合成が含まれる。具体的な温度は触媒の選択に依存するが、通常は、約500℃〜1000℃の範囲である。したがって、カーボンナノチューブの合成には、前記範囲の温度まで繊維材料を加熱して、これによりカーボンナノチューブの成長を支援することが含まれる。
【0093】
ある実施形態おいて、触媒を含んだ繊維材料上でCVDにより促進されるカーボンナノチューブ成長が行われる。CVDプロセスは、例えば、炭素含有原料ガス(アセチレン、エチレン又はエタノールなど)により進められる。カーボンナノチューブ成長プロセスでは、主要なキャリアガスとして、一般に、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン又はヘリウム)も用いられる。炭素含有原料ガスは、通常、混合物全体の約0%から約15%の範囲で供給される。CVD成長のための略不活性環境は、成長チャンバーから水分及び酸素を除去して準備される。
【0094】
カーボンナノチューブ成長プロセスにおいて、カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブを成長させる働きをする遷移金属触媒ナノ粒子の位置で成長する。強プラズマ励起電界の存在を任意に用いて、カーボンナノチューブの成長に影響を与えることができる。すなわち、成長は、電界方向に従う傾向がある。プラズマ・スプレー及び電界の配置(geometry)を適切に調節することにより、垂直配列の(すなわち、繊維材料の表面に対して垂直な)カーボンナノチューブを合成できる。一定の条件下では、プラズマがない場合であっても、密集したカーボンナノチューブは成長方向を略垂直に維持して、結果として、カーペット(carpet)又はフォレスト(forest)に似た高密度配列のカーボンナノチューブになる。
【0095】
触媒付着のプロセスに戻って、カーボンナノチューブを成長させることを目的として、繊維材料上に触媒ナノ粒子の層(一般に単層だけ)を提供するために、カーボンナノチューブ形成触媒は配置される。繊維素材上に触媒ナノ粒子を付着させる工程は、例えば、溶液のスプレー若しくは浸漬コーティングにより、又は、プラズマプロセスによって生じる気層蒸着、を含む多くの技術により可能である。このように、ある実施形態では、溶媒に触媒を含んだ溶液を形成した後、その溶液で繊維材料をスプレー若しくは浸漬コーティングすることにより、又はスプレー及び浸漬コーティングの組み合わせにより、触媒が適用される。単独であるいは組み合わせて用いられるいずれか一方の手法は、1回、2回、3回、4回、あるいは何回でも使用され、これにより、カーボンナノチューブを形成する働きをする触媒ナノ粒子が十分均一にコーティングされた繊維材料を提供することができる。例えば、浸漬コーティングが使用される場合、繊維材料は、第1の浸漬槽において、第1の滞留時間、第1の浸漬槽内に置かれる。第2の浸漬槽を使用する場合、繊維材料は、第2の滞留時間、第2の浸漬槽内に置かれる。例えば、繊維材料は、浸漬の形態及びラインスピードに応じて約3秒〜約90秒の間、カーボンナノチューブ形成触媒の溶液にさらされる。スプレー又は浸漬コーティングを用いることにより、繊維材料は、触媒の表面密度が約5%未満から約80%もの表面被覆率で得られる。高表面密度(例えば、約80%)では、カーボンナノチューブ形成触媒ナノ粒子はほぼ単分子層である。ある実施形態において、繊維材料上にカーボンナノチューブ形成触媒をコーティングするプロセスは単分子層だけを生成する。例えば、積み重ねたカーボンナノチューブ形成触媒上におけるカーボンナノチューブの成長は、カーボンナノチューブが繊維材料へ浸出する程度を低下させることがある。他の実施形態において、遷移金属触媒ナノ粒子は、蒸着技術、電解析出技術、及び当業者に既知の他のプロセス(例えば、遷移金属触媒を、有機金属、金属塩又は気相輸送を促進する他の組成物として、プラズマ原料ガスへ添加することなど)を用いて繊維材料上に付着する。
【0096】
カーボンナノチューブ浸出繊維を製造するためのプロセスは連続的に設計されるため、巻き取り可能な繊維材料は、一連の槽で浸漬コーティングを施すことが可能である(この場合、浸漬コーティング槽は空間的に分離されている)。例えば、炉から新たに形成されたガラス繊維など、発生期の繊維が新たに生成されている連続プロセスにおいて、カーボンナノチューブ形成触媒の浸漬又はスプレーは、新たに形成された繊維材料を十分に冷却した後の第1段階となり得る。ある実施形態において、新たに形成されたガラス繊維の冷却は、カーボンナノチューブ形成触媒粒子を分散させた冷却水の噴流で実施される。
【0097】
ある実施形態では、連続プロセスにおいて、繊維を生成してこれにカーボンナノチューブを浸出させる場合に、サイジング剤の適用に代えてカーボンナノチューブ形成触媒の適用が行われる。他の実施形態において、カーボンナノチューブ形成触媒は、他のサイジング剤の存在下で新たに形成された繊維材料に適用される。このようなカーボンナノチューブ形成触媒及び他のサイジング剤の同時適用は、繊維材料と表面接触するカーボンナノチューブ形成触媒を供給してカーボンナノチューブの浸出を確実にすることができる。またさらなる実施形態において、繊維材料が、例えば、焼きなまし温度近傍又はそれ未満の十分に軟化した状態にある間、カーボンナノチューブ形成触媒をスプレー又は浸漬コーティングにより発生期の繊維に適用し、これにより、カーボンナノチューブ形成触媒が繊維材料の表面に僅かに埋め込まれる。例えば、高温のガラス繊維材料上にカーボンナノチューブ形成触媒を付着する場合、ナノ粒子が溶融して結果的にカーボンナノチューブの特性(例えば、直径)が制御不能とならないように、カーボンナノチューブ形成触媒の融点を超えないように配慮する必要がある。
【0098】
カーボンナノチューブが繊維材料に浸出することは、例えば、水分、酸化、剥離(abrasion)圧縮及び/又は他の環境条件等を含む条件から繊維材料を保護するのに役立つ。この場合、カーボンナノチューブ自体はサイジング剤としての機能を果たす。このようなカーボンナノチューブをベースにしたサイジング剤は、従来のサイジング剤に代えて、又は従来のサイジング剤に加えて繊維材料に適用される。従来のサイジング剤は、存在する場合、繊維材料上でのカーボンナノチューブの浸出及び成長の前に、又は、後に適用される。従来のサイジング剤は、種類及び機能が大きく異なり、例えば、界面活性剤、静電気防止剤、潤滑剤、シロキサン、アルコキシシラン、アミノシラン、シラン、シラノール、ポリビニルアルコール、でんぷん及びこれらの混合物を含む。このような従来のサイジング剤を、様々な条件からカーボンナノチューブ自体を保護するためか、又はカーボンナノチューブによって与えられていないさらなる性質を繊維に与えるために使用することができる。ある実施形態において、従来のサイジング剤は、カーボンナノチューブの成長前に繊維材料から除去されてもよい。選択的に、従来のサイジング剤を、カーボンナノチューブ又はカーボンナノチューブ成長条件により適合する他の従来のサイジング剤に置き換えることができる。
【0099】
カーボンナノチューブ形成触媒溶液は、あらゆるdブロック遷移金属の遷移金属ナノ粒子溶液であってよい。また、ナノ粒子には、元素形態及び塩形態のdブロック金属からなる合金や非合金の混合物、並びにこれらの混合物が含まれる。このような塩形態には、限定するものではないが、酸化物、炭化物、窒化物、酢酸塩、硝酸塩などが含まれる。限定しない例示的な遷移金属ナノ粒子には、例えば、Ni、Fe、Co、Mo、Cu、Pt、Au及びAgと、これらの塩と、これらの混合物と、が含まれる。多くの遷移金属ナノ粒子触媒が、例えば、Ferrotec Corporation(Beford, NH)などの様々なサプライヤーから市販されており容易に入手できる。
【0100】
繊維材料にカーボンナノチューブ形成触媒を適用するために用いられる触媒溶液は、カーボンナノチューブ形成触媒が全域にわたって均一に分散可能ないかなる共通溶媒でもよい。このような溶媒には、限定するものではないが、水、アセトン、ヘキサン、イソプロピルアルコール、トルエン、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサン、又はカーボンナノチューブ形成触媒ナノ粒子の適切な分散系を形成するために極性が制御された他のいかなる溶媒も含まれる。触媒溶液中におけるカーボンナノチューブ形成触媒の濃度は、触媒対溶媒で、およそ1:1から1:10000の範囲内である。
【0101】
ある実施形態において、繊維材料にカーボンナノチューブ形成触媒を適用した後、繊維材料は軟化温度まで任意に加熱される。この工程は、繊維材料の表面にカーボンナノチューブ形成触媒を埋め込むのに役立ち、これにより、種結晶成長(seeded growth)を促して、成長するカーボンナノチューブの先端に触媒が浮き上がる(float)先端成長を阻止することが可能である。実施形態の中には、繊維材料上にカーボンナノチューブ形成触媒を付着した後、繊維材料が約500℃から約1000℃までの温度で加熱されるものがある。カーボンナノチューブの成長のために用いられるこのような温度への加熱は、繊維材料上の既存のサイジング剤を除去する役割を果たして、繊維材料上にカーボンナノチューブ形成触媒を直接付着させることを可能にする。また、ある実施形態では、カーボンナノチューブ形成触媒は、加熱前に、サイジング剤のコーティング表面上に置かれてもよい。加熱工程は、カーボンナノチューブ形成触媒を繊維材料表面上に配置したままにしながら、サイジング剤を除去するために用いられる。この温度での加熱は、カーボンナノチューブ成長のための炭素原料ガスの導入前に、又はこれと略同時に行われる。
【0102】
ある実施形態において、カーボンナノチューブを繊維材料に浸出させるプロセスには、繊維材料からサイジング剤を除去すること、サイジング剤除去後にカーボンナノチューブ形成触媒を繊維材料に適用すること、繊維材料を少なくとも500℃まで加熱すること、及び、繊維材料上にカーボンナノチューブを合成することが含まれる。ある実施形態において、カーボンナノチューブ浸出プロセスの工程には、繊維材料からサイジング剤を除去すること、繊維材料に対してカーボンナノチューブ形成触媒を適用すること、カーボンナノチューブの合成温度まで繊維を加熱すること、及び、触媒を含有する繊維材料上へ炭素プラズマをスプレーすること、が含まれる。このように、工業用のガラス繊維材料が使用される場合、カーボンナノチューブ浸出繊維を構成するためのプロセスには、繊維材料上に触媒ナノ粒子を配置する前に、繊維材料からサイジング剤を除去する個別の工程が含まれる。工業用サイジング剤の中には、これが存在する場合、カーボンナノチューブ形成触媒と繊維材料との面接触を防止して、繊維材料に対するカーボンナノチューブの浸出を抑制できるものがある。ある実施形態において、カーボンナノチューブの合成条件下でサイジング剤を確実に除去する場合には、サイジング剤の除去は、カーボンナノチューブ形成触媒付着後であって炭素含有原料ガスの供給直前又は供給中に行われる。
【0103】
カーボンナノチューブを合成する工程には、限定するものではないが、マイクロキャビティ(micro-cavity)、熱又はプラズマ助長CVD法、レーザー・アブレーション、アーク放電、火炎合成、及び、高圧一酸化炭素法(HiPCO)など、カーボンナノチューブを形成するための多数の手法が含まれる。CVD中、特に、サイジングされた繊維材料が、これにカーボンナノチューブ形成触媒を配置した状態で直接用いられる。ある実施形態において、従来のいかなるサイジング剤もカーボンナノチューブの合成中に除去可能である。ある実施形態において、他のサイジング剤は除去されないが、サイジング剤を介した炭素原料の拡散のため、繊維材料へのカーボンナノチューブの合成及び浸出を妨害することはない。ある実施形態において、アセチレンガスは、カーボンナノチューブ合成のための低温炭素プラズマジェットを形成するために、イオン化され得る。プラズマは触媒を有する繊維材料に向けられる。このように、ある実施形態では、繊維材料上におけるカーボンナノチューブの合成には、(a)炭素プラズマを形成すること、及び(b)繊維材料上に配置された触媒に炭素プラズマを向けること、が含まれる。成長するカーボンナノチューブの直径は、カーボンナノチューブ形成触媒の大きさにより決定される。ある実施形態において、サイジングされた繊維材料は、カーボンナノチューブの成長を容易にするために、約550℃〜約800℃に加熱され得る。カーボンナノチューブの成長を開始させるために、反応器(reactor)には2つ以上のガス、すなわち、不活性キャリアガス(例えば、アルゴン、ヘリウム又は窒素)及び炭素含有原料ガス(例えば、アセチレン、エチレン、エタノール又はメタン)が流される。カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ形成触媒の位置で成長する。
【0104】
ある実施形態において、CVD成長プロセスはプラズマで助長される。プラズマは、成長プロセス中に電界を与えることにより生成される。この条件下で成長するカーボンナノチューブは電界方向に従う。したがって、反応器の配置を調節することにより、垂直配向のカーボンナノチューブが、繊維材料の表面に対して略垂直に成長する。ある実施形態では、繊維の周囲に放射状に成長させるために、プラズマは必要とされない。明確な面を有する繊維材料(例えば、テープ、マット、織布、パイルなど)に関して、カーボンナノチューブ形成触媒は、繊維材料の一面又は両面に配置可能である。これに対応して、このような条下、カーボンナノチューブもまた、繊維材料の一面又は両面で成長する。
【0105】
前述のように、カーボンナノチューブ合成は、巻き取り可能な長さの繊維材料にカーボンナノチューブを浸出させる連続プロセスを提供するのに十分な速度で行われる。以下に例示されるように、このような連続的な合成は、多くの装置構成により容易になる。
【0106】
ある実施形態において、カーボンナノチューブ浸出繊維材料は、「オール・プラズマ(all plasma)」プロセスで作製される。このような実施形態では、繊維材料は、多くのプラズマ介在工程を通って、最終的なカーボンナノチューブ浸出繊維材料を形成する。プラズマプロセスの第1には、繊維表面の改質工程が含まれる。これは、前述のように、繊維材料の表面を「粗面化(roughing)」して触媒の配置を容易にするためのプラズマプロセスである。また前述のように、表面改質は、限定するものではないが、アルゴン、ヘリウム、酸素、アンモニア、水素及び窒素などの種々異なる1以上のガスからなるプラズマを用いて実現できる。
【0107】
表面改質後、繊維材料は触媒の適用へと進む。本願のオール・プラズマプロセスにおいて、この工程は、繊維材料上にカーボンナノチューブ形成触媒を配置するためのプラズマプロセスである。カーボンナノチューブ形成触媒は、前述のように、通常、遷移金属である。遷移金属触媒は、例えば、磁性流体、有機金属、金属塩、これらの混合物、又は気相輸送の促進に適した他のあらゆる組成物など、限定しない形態の前駆体としてプラズマ原料ガスに添加され得る。カーボンナノチューブ形成触媒は、真空及び不活性雰囲気のいずれも必要とはせず、周囲環境の室温で適用可能である。ある実施形態において、繊維材料は触媒の適用前に冷却され得る。
【0108】
オール・プラズマプロセスを継続すると、カーボンナノチューブの合成がカーボンナノチューブ成長反応器で起こる。カーボンナノチューブの成長は、炭素プラズマが触媒を含む繊維にスプレーされるプラズマ助長化学蒸着を用いて実現される。カーボンナノチューブの成長は高温(触媒にもよるが、通常は約500℃〜約1000℃の範囲)で起こるので、触媒を含む繊維は炭素プラズマにさらされる前に加熱される。カーボンナノチューブ浸出プロセスのために、繊維材料は、軟化が始まるまで任意に加熱されてもよい。加熱後、繊維材料は炭素プラズマを受けられる状態になっている。炭素プラズマは、例えば、炭素を含む原料ガス(例えば、アセチレン、エチレン、エタノールなど)を、ガスのイオン化が可能な電界中に通すことにより生成され得る。この低温炭素プラズマは、スプレーノズルにより繊維材料に向けられる。繊維材料は、プラズマを受けるために、例えば、スプレーノズルから約1センチメートル以内など、スプレーノズルにごく近接している。ある実施形態において、繊維材料を高温に維持するために、加熱器を繊維材料の上側のプラズマ・スプレーに配置することができる。
【0109】
連続的なカーボンナノチューブ合成の別の構成には、カーボンナノチューブを繊維材料上に直接合成・成長させるための専用の矩形反応器が含まれる。その反応器は、カーボンナノチューブ浸出繊維材料を生成するための連続的なインラインプロセス用に設計され得る。ある実施形態において、カーボンナノチューブは、CVDプロセスにより、大気圧、かつ、約550℃から約800℃の範囲の高温で、マルチゾーン反応器(multi-zone reactor)内で成長する。カーボンナノチューブの合成が大気圧で起こるということは、繊維材料にカーボンナノチューブを浸出させるための連続処理ラインに反応器を組み込むことを容易にする一因である。このようなゾーン反応器を用いた連続的なインライン処理に合致する別の利点は、カーボンナノチューブの成長が数秒単位で発生するということであり、当該技術分野で標準的な他の手法及び装置構成における数分単位(又はもっと長い)とは対照的である。
【0110】
様々な実施形態によるカーボンナノチューブ合成反応器には、以下の特徴が含まれる。
【0111】
(矩形に構成された合成反応器)
当該技術分野で既知の標準的なカーボンナノチューブ合成反応器は横断面が円形である。これには、例えば、歴史的理由(研究所では円筒状の反応器がよく用いられる)及び利便性(流体力学は円筒状の反応器にモデル化すると容易になり、また、加熱器システムは円管チューブ(石英など)に容易に対応する)、並びに製造の容易性などの多くの理由がある。本開示は、従来の円筒形状を変えて、矩形横断面を有するカーボンナノチューブ合成反応器を提供する。変更の理由は以下の通りである。
【0112】
1)反応器により処理される多くの繊維材料は相対的に平面的である(例えば、形状が薄いテープやシート状、あるいは、開繊したトウ若しくはロービング(roving)など)ので、円形横断面では反応器の体積を十分に使用していない。この不十分な使用は、円筒状のカーボンナノチューブ合成反応器にとって、例えば、以下のa)ないしc)に挙げるような、いくつかの欠点となる。a)十分なシステムパージの維持;反応器の体積が増大すれば、同レベルのガスパージを維持するためにガス流量の増大が必要になる。これは、開放環境におけるカーボンナノチューブの大量生産には不十分なシステムとなる。b)炭素含有原料ガス流量の増大;前記a)のように、システムパージのための不活性ガス流を相対的に増大させると、炭素含有原料ガス流量を増大させる必要がある。例示的な12Kのガラス繊維ロービングが、矩形横断面を有する合成反応器の全体積に対して約2000分の1の体積であることを考慮されたい。同等の円筒状反応器(すなわち、矩形横断面の反応器と同じ平坦化されたガラス繊維材料を収容できるだけの幅を有する円筒状の反応器)では、ガラス繊維材料の体積は、反応器の体積の約17,500分の1である。CVDなどのガス蒸着プロセス(gas deposition processes)は、通常、圧力及び温度だけで制御されるが、体積は蒸着の効率に顕著な影響を与え得る。矩形反応器の場合、それでもなお過剰な体積が存在し、この過剰体積は無用の反応を促進する。しかしながら、円筒状反応器は、無用な反応の促進が可能なその体積が約8倍もある。このように競合する反応が発生する機会が増加することにより、所望の反応が有効に生じるには、円筒状反応器では一層遅くなってしまう。このようなカーボンナノチューブ成長の速度低下は連続的な成長プロセスの進行にとって問題となる。矩形反応器構成の別の利点は、矩形チャンバーの高さを更に低くすることで反応器の体積が低減され、これにより体積比が改善され反応が更に効率的になるという点である。本明細書に開示される実施形態の中には、矩形合成反応器の全体積が、合成反応器を通過中の繊維材料の全体積に対して僅か約3000倍にしかすぎないものがある。更なる実施形態の中には、矩形合成反応器の全体積が、合成反応器を通過中の繊維材料の全体積に対して僅か約4000倍にしかすぎないものもある。また更なる実施形態の中には、矩形合成反応器の全体積が、合成反応器を通過中の繊維材料の全体積に対して約10,000倍未満のものがある。加えて、円筒状反応器を使用した場合、矩形横断面を有する反応器と比較すると、同じ流量比を提供するためには、より大量の炭素含有原料ガスが必要である点に注目されたい。当然のことながら、他の実施形態の中には、矩形ではないがこれに類似し、かつ、円形横断面を有する反応器に対して、反応器の体積を同様に低減する多角形状で表される横断面を有する合成反応器がある。c)問題のある温度分布;相対的に小径の反応器を用いた場合、チャンバー中心からその壁面までの温度勾配はごく僅かである。しかし、例えば、工業規模の生産に用いられるなど、サイズの増大に伴い、このような温度勾配は増加する。温度勾配は、繊維材料の全域で製品品質がばらつく(すなわち、製品品質が半径位置に応じて変化する)原因となる。この問題は、矩形横断面を有する反応器を用いた場合に殆ど回避される。特に、平面的な基材が用いられる場合、基材のサイズが大きくなったときに、反応器の高さを一定に維持することができる。反応器の頂部と底部間の温度勾配は基本的にごく僅かであり、結果的に、生じる熱的な問題や製品品質のばらつきは回避される。
【0113】
2)ガス導入:当該技術分野では、通常、管状炉が使用されているので、一般的なカーボンナノチューブ合成反応器は、ガスを一端に導入し、それを反応器に通して他端から引き出している。本明細書に開示された実施形態の中には、ガスが、反応器の両側面又は反応器の頂面及び底面のいずれかを通して対称的に、反応器の中心又は対象とする成長ゾーン内に導入されるものがある。これにより、流入する原料ガスがシステムの最も高温の部分(カーボンナノチューブの成長が最も活発な場所)に連続的に補充されるので、全体的なカーボンナノチューブ成長速度が向上する。
【0114】
(ゾーン分け)
比較的低温のパージゾーンを提供するチャンバーは、矩形合成反応器の両端から延びる。出願人は、仮に高温ガスが外部環境(すなわち、反応器の外部)と接触(mix)すると、繊維材料の劣化(degradation)が増加することを究明した。低温パージゾーンは、内部システムと外部環境間の緩衝となる。当該技術分野で既知のカーボンナノチューブ合成反応器の構成では、通常、基材を慎重に(かつ緩やかに)冷却することが求められる。本願の矩形カーボンナノチューブ成長反応器の出口における低温パージゾーンは、連続的なインライン処理に必要とされるような短時間の冷却を実現する。
【0115】
(非接触、ホットウォール型、金属製反応器)
ある実施形態において、金属製ホットウォール型(hot-walled)反応器(例えば、ステンレス鋼)が用いられる。この種類の反応器の使用は、金属、特にステンレス鋼が炭素の付着(すなわち、すす及び副生成物の形成)を受けやすいために、常識に反するようにも考えられる。したがって、大部分のカーボンナノチューブ合成反応器は、炭素の付着が殆どないため、また、石英は洗浄しやすく試料の観察を容易にするため、石英製である。しかしながら、出願人は、ステンレス鋼上におけるすす及び炭素付着物が増加することにより、より着実、より効率的、より高速、かつ、より安定的なカーボンナノチューブ成長がもたらされること、を見つけた。理論に拘束されるものではないが、大気圧運転(atmospheric operation)と連動して、反応器内で起こるCVDプロセスでは拡散が制限されることが示されている。すなわち、カーボンナノチューブ形成触媒に「過度に供給される(overfed)」、つまり、過量の炭素が、(反応器が不完全真空下で運転している場合よりも)その相対的に高い分圧により反応器システム内で得られる。結果として、開放システム(特に清浄な(clean)もの)では、過量の炭素がカーボンナノチューブ形成触媒の粒子に付着して、カーボンナノチューブの合成能力を低下させる。ある実施形態において、反応器に「汚れが付いて(dirty)」いる、すなわち、金属反応器壁にすすが付着している状態の場合に、矩形反応器を意図的に運転する。炭素が反応器壁上の単分子層に付着すると、炭素は、それ自体を覆って付着しやすくなる。得られる炭素の中には、この機構により「回収される(withdrawn)」ものがあるので、ラジカルの形で残っている炭素原料が、カーボンナノチューブ形成触媒を被毒させない速度でこの触媒と反応する。既存のシステムでは「清浄に(cleanly)」運転するが、連続処理のために開放状態であれば、減速した成長速度で、はるかに低い収率でしかカーボンナノチューブを生産できない。
【0116】
カーボンナノチューブの合成を、前述のように「汚れが付いて」いる状態で実施するのは概して有益であるが、それでも、装置のある部分(例えば、ガスマニフォールド及びガス入口)は、すすが閉塞状態を引き起こした場合、カーボンナノチューブの成長プロセスに悪影響を与える。この問題に対処するために、カーボンナノチューブ成長反応チャンバーの当該部分を、例えば、シリカ、アルミナ又はMgOなどのすす抑制コーティングで保護してもよい。実際には、装置のこれらの部分は、すす抑制コーティングで浸漬コーティングが施される。INVAR(商標名)は高温におけるコーティングの適切な接着性を確実にする同様のCTE(熱膨張係数)を有し、重要なゾーンにおけるすすの著しい堆積を防止するので、INVAR(商標名)などの金属が、これらのコーティングに用いられる。
【0117】
(触媒還元及びカーボンナノチューブ合成の組み合わせ)
本明細書に開示されたカーボンナノチューブ合成反応器において、触媒還元及びカーボンナノチューブ成長のいずれもが反応器内で起こる。還元工程が個別の工程として実施されると、連続プロセスに用いるものとして十分タイムリーに行えなくなるため、このことは重要である。当該技術分野において既知の標準的なプロセスにおいて、還元工程の実施には、通常1〜12時間かかる。本開示によれば、両工程は1つの反応器内で生じるが、これは、少なくとも1つには、炭素含有原料ガスを導入するのが、円筒状反応器を用いる当該技術分野では標準的となっている反応器の端部ではなく、中心部であることに起因する。還元プロセスは、繊維が加熱ゾーンに入ったときに行われる。この時点に至るまでに、ガスには、触媒を(水素ラジカルの相互作用を介して)還元する前に反応器壁と反応して冷える時間があるということである。還元が起こるのは、この移行領域である。システム内で最も高温の等温ゾーンでカーボンナノチューブの成長は起こり、反応器の中心近傍におけるガス入口の近位で最速の成長速度が生じる。
【0118】
ある実施形態において、例えば、トウ又はロービングなど(例えば、ガラスロービングのように)、緩くまとまった(loosely affiliated)繊維材料が使用される場合、連続プロセスには、トウ又はロービングのストランド(strand)又はフィラメントを広げる工程が含まれる。このように、トウ又はロービングは、アンスプールされる(unspooled)ときに、例えば、真空ベースの開繊システム(vacuum-based fiber spreading system)を用いて開繊される(spread)。例えば、サイジングされて比較的堅いガラス繊維ロービングを使用する場合、ロービングを「軟化」して繊維の開繊を容易にするために、更なる加熱を用いることができる。個々のフィラメントを含有する開繊繊維(spread fiber)は、フィラメントの全表面積をさらせるよう十分分離して開繊され、こうして後続の処理工程でロービングがより効率的に反応できるようにする。例えば、開繊トウ又は開繊ロービングは、前述のようにプラズマシステムで構成される表面処理工程を経る。その後、粗面化された開繊繊維はカーボンナノチューブ形成触媒の浸漬槽を通過する。その結果、表面で放射状に分布した触媒粒子を有するガラスロービングの繊維となる。触媒を含んだロービングの繊維は、その後、前述のように、例えば、矩形チャンバーなどの適切なカーボンナノチューブ成長チャンバーに入るが、ここでは、大気圧CVD又はプラズマ助長CVDプロセスを通る流れを用いて、毎秒数ミクロンの速度でカーボンナノチューブを合成する。ロービングの繊維は、こうして放射状に配列されたカーボンナノチューブを備えて、カーボンナノチューブ成長反応器を出る。
【0119】
本発明は開示された実施形態を参照して説明されたが、当業者であれば、これらが本発明の例示にすぎないことを容易に認識するであろう。当然のことながら、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例を考え出すことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極層と、
第2電極層と、
を含んで構成され、
前記第1電極層及び前記第2電極層は、カーボンナノチューブが浸出した複数の連続繊維を含んで構成されることを特徴とする電気装置。
【請求項2】
基板と、
前記第1電極層と前記第2電極層との間に配置され、電解質のイオンに対して透過性である隔離材料の層と、
前記第1電極層及び前記第2電極層と接触する電解質と、
を更に含んで構成される請求項1に記載の電気装置。
【請求項3】
前記第1電極層の前記複数の連続繊維は、前記基板の周囲に等角的に巻回され、
前記第2電極層の前記複数の連続繊維は、前記隔離材料の層の周囲に等角的に巻回される請求項2に記載の電気装置。
【請求項4】
前記基板及び前記隔離材料層の周囲の隣接巻線における前記複数の連続繊維の重なり合いは略ない請求項3に記載の電気装置。
【請求項5】
少なくとも1つの隔離材料の付加層と、
カーボンナノチューブが浸出した複数の連続繊維を含んで構成される少なくとも1つの付加電極層と、
を更に含んで構成され、
各電極層は隔離材料の層によって互いに分離され、かつ、前記電解質は各電極層と接触している請求項3に記載の電気装置。
【請求項6】
外側絶縁体ケーシングを更に含んで構成される請求項5に記載の電気装置。
【請求項7】
前記基板、前記第1電極層、前記第2電極層及び前記隔離材料の層は、前記電解質の貯蔵タンク内に存在する請求項2に記載の電気装置。
【請求項8】
前記第1電極層の前記複数の連続繊維に接続される第1電極端子と、
前記第2電極層の前記複数の連続繊維に接続される第2電極端子と、
を更に含んで構成される請求項2に記載の電気装置。
【請求項9】
前記第1電極端子と前記第2電極端子は前記基板上に配置される請求項8に記載の電気装置。
【請求項10】
前記複数の連続繊維は、繊維トウ、繊維テープ、繊維リボン及びそれらの組合せからなる群より選択される繊維形態を含んで構成される請求項1に記載の電気装置。
【請求項11】
前記複数の連続繊維は、前記第1電極層及び前記第2電極層において互いに略平行である請求項1に記載の電気装置。
【請求項12】
前記連続繊維は、カーボンナノチューブが浸出する前に電気伝導性である請求項1に記載の電気装置。
【請求項13】
前記連続繊維は、連続金属繊維を含んで構成される請求項12に記載の電気装置。
【請求項14】
前記連続繊維は、連続炭素繊維を含んで構成される請求項12に記載の電気装置。
【請求項15】
前記連続繊維は、カーボンナノチューブが浸出する前に非電気伝導性である請求項1に記載の電気装置。
【請求項16】
前記第1電極層及び前記第2電極層と結合される導電率強化材を更に含んで構成され、
前記導電率強化材は、金属箔、金属リボン、金属粉、金属ナノ粒子及びそれらの組合せからなる群より選択される金属形態を含んで構成される請求項15に記載の電気装置。
【請求項17】
外側絶縁体ケーシングを更に含んで構成される請求項1に記載の電気装置。
【請求項18】
前記外側絶縁体ケーシングは、収縮ラップ材料を含んで構成される請求項17に記載の電気装置。
【請求項19】
スーパーキャパシタを含んで構成される請求項1に記載の電気装置。
【請求項20】
前記スーパーキャパシタは、連続繊維のグラム当りで、少なくとも約1Farad/gramの静電容量を有する請求項19に記載の電気装置。
【請求項21】
前記スーパーキャパシタは、連続繊維のグラム当りで、少なくとも約2Farad/gramの静電容量を有する請求項20に記載の電気装置。
【請求項22】
前記浸出したカーボンナノチューブは、前記連続繊維の表面に対して略垂直である請求項1に記載の電気装置。
【請求項23】
電解質は、非有機電解質を含んで構成される請求項1に記載の電気装置。
【請求項24】
電解質は、有機電解質を含んで構成される請求項1に記載の電気装置。
【請求項25】
カーボンナノチューブが浸出した複数の連続繊維を提供すること、
前記複数の連続繊維の第1部分から第1電極層を形成すること、及び、
前記複数の連続繊維の第2部分から第2電極層を形成すること、
を含んで構成されることを特徴とする方法。
【請求項26】
前記第1電極層と前記第2電極層との間に隔離材料の層を付加すること、
前記第1電極層と前記第2電極層を電解質にさらすこと、
を更に含んで構成され、
前記隔離材料は、電解質のイオンに対して透過性である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
第1電極層の形成は、基板の周囲に等角的に前記複数の連続繊維の前記第1部分を巻回することを含んで構成され、
第2電極層の形成は、前記第1電極層上に等角的に前記複数の連続繊維の前記第2部分を巻回することを含んで構成される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
基板の周囲に等角的に前記複数の連続繊維の前記第1部分を巻回すること、第1電極層上に等角的に前記複数の連続繊維の前記第2部分を巻回すること、及び、前記第1電極層と前記第2電極層との間に隔離材料の層を付加することは、全て同時に行われる請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1電極層及び前記第2電極層の隣接巻線における前記複数の連続繊維の重なり合いは略ない請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記第1電極層は、前記隔離材料の層の付加前に前記電解質にさらされる請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記第1電極層及び前記第2電極層は、前記電解質に対して同時にさらされる請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記第1電極層及び前記第2電極層は、前記電解質の貯蔵タンク内に同時に浸漬されることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第2電極層上に少なくとも1つの隔離材料の付加層を付加することと、
前記第2電極層上に少なくとも1つの付加電極層を巻回することと、
を更に含んで構成され、
前記少なくとも一つの付加電極層は、カーボンナノチューブが浸出した複数の連続繊維を含んで構成され、
各電極層は隔離材料の層によって互いに分離され、かつ、
前記電解質は各電極層と接触している請求項26に記載の方法。
【請求項34】
外側絶縁体ケーシングを付加することを更に含んで構成される請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記複数の連続繊維は、繊維トウ、繊維テープ、繊維リボン及びそれらの組合せからなる群より選択される繊維形態を含んで構成される請求項25に記載の方法。
【請求項36】
前記複数の連続繊維は、前記第1電極層及び前記第2電極層において互いに略平行である請求項25に記載の方法。
【請求項37】
外側絶縁体ケーシングを付加することを更に含んで構成される請求項25に記載の方法。
【請求項38】
前記連続繊維はカーボンナノチューブが浸出する前に電気伝導性であり、前記連続繊維は連続金属繊維、連続炭素繊維及びそれらの組合せからなる群より選択される請求項25に記載の方法。
【請求項39】
カーボンナノチューブが浸出した複数の連続繊維を提供することと、
基板の周囲に等角的に前記複数の連続繊維の一部を巻回することによって第1電極層を形成することと、
前記第1電極層上に等角的に前記複数の連続繊維の分離部分を巻回することによって前記第1電極層上に少なくとも2つの付加電極層を形成することと、
を含んで構成されることを特徴とする方法。
【請求項40】
各電極層の間に隔離材料の層を付加することと、
前記第1電極層及び前記少なくとも2つの付加電極層を電解質にさらすことと、
を更に含んで構成され、
前記隔離材料は、前記電解質のイオンに対して透過性である請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1電極層は、隔離材料の層を付加する前に前記電解質にさらされる請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1電極層及び前記少なくとも2つの付加電極層は、前記電解質に同時にさらされる請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記連続繊維はカーボンナノチューブが浸出する前に電気伝導性であり、前記連続繊維は連続金属繊維、連続炭素繊維及びそれらの組合せからなる群より選択される請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記複数の連続繊維は、繊維トウ、繊維テープ、繊維リボン及びそれらの組合せからなる群より選択される繊維形態を含んで構成される請求項39に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−521657(P2013−521657A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556205(P2012−556205)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2011/026824
【国際公開番号】WO2011/109485
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(511201392)アプライド ナノストラクチャード ソリューションズ リミテッド ライアビリティー カンパニー (31)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED NANOSTRUCTURED SOLUTIONS, LLC
【Fターム(参考)】