Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
カーボンナノファイバー分散液、ならびに塗料組成物およびペースト組成物
説明

カーボンナノファイバー分散液、ならびに塗料組成物およびペースト組成物

【課題】 分散性及び分散安定性に優れたカーボンナノファイバー分散液、この分散液によって製造したカーボンナノファイバーを含有する塗料組成物およびペースト組成物を提供する。
【解決手段】 カーボンナノファイバー分散液は、溶媒、カーボンナノファイバー、アルカノールアミン、およびキレート剤を含有する。好ましくは、アルカノールアミンが、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、およびトリイソプロパノールアミンからなる群より選択される少なくとも1種であり、キレート剤が、アミノカルボン酸系キレート、ホスホン酸系キレート、グルコン酸系キレート、および有機酸からなる群より選択される少なくとも1種である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性に優れた塗膜を形成することができるカーボンナノファイバー分散液、ならびに塗料組成物およびペースト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、カーボンナノチューブを代表とした各種のカーボンナノ材料が開発されている。このカーボンナノ材料は、例えば、導電フィラー、熱伝導材料、発光素子、電池やキャパシターの電極材料、配線材料や配線どうしの電極接合材料、補強材料、黒色顔料などの各種用途において、多様な機能を有する材料として有望視されている。
【0003】
しかしながら、これらのカーボンナノ材料は、一般に、製造されたままの状態では、凝集体を形成しており、十分に分散させた状態にするのが非常に難しい。このため、製品にした際にその特性を十分に発揮できない、という問題がある。
【0004】
従来、カーボンナノ材料の分散性を高める手段として、例えば、ある特定のアミン価範囲に収まるように調製した非イオン性分散剤を用いてカーボンナノチューブを分散させる方法(特許文献1)や、分散剤及びアミン化合物とともにカーボンナノファイバーを分散させたポリイミドワニスを用いる方法(特許文献2)、酸性官能基を有する有機色素誘導体またはトリアジン誘導体と、アミノ基を有する分散樹脂を含むカーボンナノチューブコーティング用組成物を用いる方法(特許文献3)などが知られている。しかし、これらの従来技術では、いずれもカーボンナノファイバーが高濃度のときの分散性が十分ではなく、特に、分散安定性に改良の余地が多い、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−169121号公報
【特許文献2】特開2008−138039号公報
【特許文献3】特開2009−67933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の上記問題を解決したものであり、分散性及び分散安定性に優れたカーボンナノファイバー分散液、この分散液によって製造されるカーボンナノファイバーを含有する塗料組成物およびペースト組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下に示す構成によって上記課題を解決したカーボンナノファイバー分散液、この分散液によって製造したカーボンナノファイバーを含有する塗料組成物およびペースト組成物に関する。
(1)溶媒と、カーボンナノファイバーと、アルカノールアミンと、キレート剤と、を含有することを特徴とする、カーボンナノファイバー分散液。
(2)前記アルカノールアミンが、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、およびトリイソプロパノールアミンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記(1)記載のカーボンナノファイバー分散液。
(3)前記キレート剤が、アミノカルボン酸キレート、ホスホン酸系キレート、グルコン酸系キレート、および有機酸からなる群より選択される少なくとも1種である、上記(1)または(2)記載のカーボンナノファイバー分散液。
(4)100質量部の前記カーボンナノファイバー分散液中に0.1〜40質量部の前記アルカノールアミンを含有する、上記(1)〜(3)のうちのいずれかひとつ記載のカーボンナノファイバー分散液。
(5)100質量部の前記カーボンナノファイバー分散液中に0.01〜10質量部の前記キレート剤を含有する、上記(1)〜(4)のうちのいずれか一つ記載のカーボンナノファイバー分散液。
(6)前記カーボンナノファイバーの繊維径が1〜100nmであり、アスペクト比が5以上であり、X線回折により測定されるグラファイト層の[002]面の間隔が0.35nm以下である、上記(1)〜(5)のうちのいずれか一つ記載のカーボンナノファイバー。
(7)上記(1)〜(6)のうちのいずれか一つ記載のカーボンナノファイバー分散液と、バインダー成分と、を含有する塗料組成物。
(8)上記(1)〜(6)のうちのいずれか一つ記載のカーボンナノファイバー分散液と、バインダー成分と、を含有するペースト組成物。
(9)上記(7)または(8)の塗料組成物またはペースト組成物によって形成された、導電性塗膜。
【発明の効果】
【0008】
上記(1)に記載される本発明の一態様のカーボンナノファイバー分散液によれば、カーボンナノファイバーが均一に分散した良好な分散状態であり、かつ、分散安定性がよいカーボンナノファイバー分散液を提供することができる。したがって、この分散液を用いることにより、従来と比較して、より均一な導電性を有する材料を容易に得ることができる。上記(6)に記載される他態様のカーボンナノファイバー分散液によれば、分散されるカーボンナノファイバーの物質的特徴を定めることで、さらに導電性の高い材料を容易に得ることができる。また、上記(7)または(8)に記載される本発明の他態様の塗料組成物またはペースト組成物によれば、均一な導電性を有する導電性塗膜を容易に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。なお、%は特に示さない限り、また数値固有の場合を除いて質量%である。
【0010】
[カーボンナノファイバー分散液]
本発明のカーボンナノファイバー分散液は、溶媒、カーボンナノファイバー、アルカノールアミン、およびキレート剤を含有することを特徴とする。
【0011】
金属微粒子等の触媒を用いた触媒化学気相成長法により、さまざまな直径や構造のカーボンナノファイバーを合成することができ、触媒がカーボンナノファイバーの成長起点となっている。
アルカノールアミンは、キレート剤と組み合わせることにより、カーボンナノファイバー分散液の分散性、分散安定性を良好にする。これは、キレート剤がカーボンナノファイバーの触媒に配位するとともに、キレート剤とアルカノールアミンとの相互作用により溶剤に対する濡れ性が向上するためである。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノブタノールアミン、ジブタノールアミン、トリブタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−メチルイソプロパノールアミン、N−メチルブタノールアミンが挙げられ、分散安定性の観点から、好ましくは、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンである。アルカノールアミンは、上記のものを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0012】
キレート剤としては、アミノカルボン酸系キレート、ホスホン酸系キレート、グルコン酸系キレート、有機酸が挙げられる。アミノカルボン酸キレートとしては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、2−ヒドロキシプロピレンジアミン二コハク酸(HPDS)、2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−二コハク酸(HPDDS)、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、エチレンジアミンジグルタル酸(EDGA)、O,O’−ビス(2−アミノエチル)エチレングリコール−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、エチレンジアミン−N,N’−ジグルタル酸(EDDG)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸(CyDTA)、グリシンアミド−N,N’−二コハク酸(GADS)が挙げられる。
ホスホン酸系キレートとしては、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ジホスホン酸、1,2−プロパンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンビス(メチレンホスホン酸)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。グルコン酸系キレートとしては、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウムが挙げられる。有機酸としては、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸が挙げられる。分散性および分散安定性の観点から、好ましくは、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、グルコン酸、酒石酸、1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ジホスホン酸である。キレート剤は、上記のものを単独で又は2種以上を
組み合わせて使用することができる。
【0013】
カーボンナノファイバーは、繊維径が1〜100nmであり、アスペクト比が5以上であり、X線回折により測定されるグラファイト層の[002]面の間隔が0.35nm以下であると好ましい。
上記繊維径とアスペクト比のカーボンナノファイバーは、溶媒中で均一に分散すると共に、相互に十分な接触点を形成することができる。X線回折により測定されるグラファイト層の[002]面の積層間隔が上記範囲内であるカーボンナノファイバーは結晶性が高いため、このカーボンナノファイバーから電気抵抗が小さく高導電の材料を得ることができる。カーボンナノファイバーは、触媒が、Fe、Ni、Co、Mn、Cu、Mg、Al、およびCaからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上の系である触媒であると、キレート剤の配位し易さの観点から好ましく、Fe系、FeCo系、FeMn系、FeAl系、CoMg系、FeCoAl系、CoMnAlMg系であると、より好ましい。さらに、カーボンナノファイバーの圧密体の体積抵抗率が1.0Ω・cm以下であると、良好な導電性を発揮することができる。
【0014】
本明細書中で記載するカーボンナノファイバーの繊維径は、透過型電子顕微鏡写真(倍率10万倍)を観察して求めた質量平均粒子径である(n=50)。また、カーボンナノファイバーのアスペクト比は、透過型電子顕微鏡写真(倍率10万倍)を観察して、(長軸平均粒子径/短軸平均粒子径)を計算して求める(n=50)。X線回折による測定では、CuKα線を使用する。カーボンナノファイバーの圧密体の体積抵抗率は、三菱化学製ロレスタHP及びダイアインスツルメンツ製粉体測定ユニットを用いて、100kgf/cmで加圧し測定する。なお、上記カーボンナノファイバーは、一酸化炭素を主な原料ガスとした気相成長法によって製造されたカーボンナノファイバーを用いると、本発明の効果をより発揮することができる。一酸化炭素を主な原料ガスとした気相成長法によってカーボンナノファイバーを製造すると、トルエン着色透過度が95%以上のものが得られるので、分散性、透明性の観点から好ましい。
【0015】
カーボンナノファイバー分散液は、上記アルカノールアミン及び上記キレート剤と共に、溶媒を含有する。溶媒の種類は限定されない。例えば、水系、アルコール系、ケトン系、エステル系などの溶媒を用いることができる。分散性の観点から、水、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、N−メチルピロリドン(NMP)、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトンが好ましい。
【0016】
アルカノールアミンの含有量は、100質量部のカーボンナノファイバー分散液中の0.1〜40質量部であると、カーボンナノファイバー分散液の分散性、分散安定性の観点から、好ましい。1〜30質量部であると、より好ましい。
【0017】
キレート剤の含有量は、100質量部のカーボンナノファイバー分散液中の0.01〜10質量部であると、カーボンナノファイバー分散液の分散性、分散安定性の観点から、好ましい。0.05〜5質量部であると、より好ましい。
【0018】
カーボンナノファイバーの含有量は、100質量部のカーボンナノファイバー分散液中の0.01〜20質量部であることが好ましい。さらに好ましくは、3〜20質量部である。この含有量が0.01質量部より少ないと十分な導電性が得られない。一方、この含有量が20質量部より多いとカーボンナノファイバーを溶媒中に、十分に分散できない。
【0019】
カーボンナノファイバー分散液は、本発明の目的を損なわない範囲で、更に必要に応じ、慣用の各種添加剤を含有させることができる。このような添加剤としては、レベリング剤、粘度調整剤、消泡剤、硬化剤、酸化防止剤等が挙げられる。
レベリング剤としては、アクリル系重合体、変性シリコーン系、および高級アルコール等が使用できる。
粘度調整剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびシリカ等が使用できる。
消泡剤としては、脂肪酸エステル、リン酸エステル、およびシリコーンオイル等が使用できる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸、およびエリソルビン酸ナトリウム等が使用できる。
【0020】
本発明のカーボンナノファイバー分散液を用いた塗膜は、ヘーズ値(曇度)が低く、ヘーズ値が、好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下である。また、このカーボンナノファイバー分散液は、分散安定性がよいので、常温常圧条件下にて3ヶ月経過後でもヘーズ値が、好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下である。凝集したカーボンナノファイバーは、光の散乱を引き起こし、ヘーズ値が高くなる。カーボンナノファイバーの分散性がよいと、カーボンナノファイバーが繊維状に解け(ほどけ)やすくなり、その結果として光の散乱が抑制されるため、ヘーズ値が低くなるものと解釈される。
【0021】
[塗料組成物またはペースト組成物]
上記のカーボンナノファイバー分散液に、バインダー成分を含有させて、塗料組成物またはペースト組成物を作製することができる。
【0022】
バインダー成分としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、塩ビ−酢ビ樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル−スチレン共重合体、繊維素樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、セラック、ロジン誘導体、ゴム誘導体等の天然系樹脂等が挙げられる。
【0023】
バインダー成分の含有量は、100質量部の塗料組成物またはペースト組成物中の5〜60質量部であると、塗工性の観点から、好ましい。さらに好ましくは、5〜30質量部である。
【0024】
この塗料組成物またはペースト組成物を基材に塗布し、乾燥または硬化等をすることにより、導電性塗膜を形成することができる。基材としては、電気・電子機器をはじめとして様々な分野において広く用いられている、各種の合成樹脂、ガラス、セラミックス等を挙げることができ、シート状、フィルム状、板状等の任意の形状のものを使用することが出来る。合成樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびフェノール樹脂等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
【0025】
この導電性塗膜は、表面抵抗率が低く、厚さが2〜3μmのとき、好ましくは、1×10Ω/□(Ω/sq.)以下、より好ましくは、1×10Ω/□以下である。また、この導電性塗膜は、ヘーズ値が低く、好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下である。また、このカーボンナノファイバー分散液は、分散安定性がよいので、3ヶ月経過後でもヘーズ値が、好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下である。ヘーズ値は、ヘーズメーターで測定する。
【0026】
[製造方法]
カーボンナノファイバー分散液は、上記アルカノールアミン及び上記キレート剤と共に溶媒に混合して分散させ、製造することができる。
【0027】
混合・分散に用いる装置は限定されない。例えば、押出機、プラストグラフ、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー、ニーダー、バンバリーミキサー、超音波分散装置、カレンダーロールなどを用いることができる。
【0028】
本発明のカーボンナノファイバー分散液を塗工し、または型に入れるなどして、意図する形状の材料を得ることができる。例えば、塗膜を形成することによって透明導電膜を得ることができ、また電気伝導性、熱伝導性、黒色顔料などのカーボンナノファイバーの特性を利用したバルク体を形成することができる。また、成形体に固着剤を添加することによって複合成形物を得ることができる。
【0029】
カーボンナノファイバー分散液にバインダー成分を添加して塗料組成物またはペースト組成物を形成することができ、また必要に応じて他の添加剤を含有させることができる。
具体的には、例えば、アクリル樹脂等のバインダー成分を添加することによって導電塗料やペーストを得ることができる。
【0030】
この塗料組成物やペースト組成物を基板上に適当な膜厚に塗布して乾燥させることによって、光学特性を有する被膜や導電性被膜を形成することができる。さらに焼き付けなどのおのおののバインダー成分に応じた硬化手段を用いることによって、高強度の硬化塗膜を形成することができ、耐久性に優れた黒色被膜や導電性被膜などを形成することができる。
この成膜方法は制限されないが、本発明の塗布組成物の基板への塗布または印刷は、常法により、例えば、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、スピンコート、スクリーン印刷、アプリケーター等の手法で行うことができる。その後、塗布組成物を、必要により加熱して水または溶媒を蒸発させ、塗膜を乾燥させて硬化させる。このとき、加熱または紫外線等を照射してもよい。
【0031】
他のフィラーと混合する場合には、本カーボンナノファイバー分散液中に所望のフィラーあるいは添加剤を加えれば容易に混合することができる。あるいは、本カーボンナノファイバー分散液を、予め他のフィラーを分散した溶媒やポリマー材と、非常に容易に混合することもできる。このように本発明のカーボンナノファイバー分散液をマスター分散液として利用することによって、非常に簡単に他の材料と混合することができる。
【実施例】
【0032】
以下に、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
表1に示すカーボンナノファイバー(触媒:CoMg系)、アルカノールアミン、キレート剤及び分散媒を混合し、ビーズミルを使用して分散液を調製した。表1の量は、質量部を示す。用いたカーボンナノファイバーの物理的特徴は以下の通りであった。アスペクト比は、5〜1000であった。X線回折により測定されたグラファイト層の[002]面の間隔は、0.337〜0.345nmであった。圧密体の体積抵抗率は、0.03〜0.07Ω・cmであった。トルエン着色透過度は、98〜99%であった。
【0034】
作製した分散液に、乾燥塗膜固形分中のカーボンナノファイバー含有率が4.5質量%となるようにアクリル樹脂溶液を混合して調製した塗料を、バーコーターNo.8を用いて、厚さが100μmのポリエステルフィルムに、塗工量が0.25(g/m)となるように塗布し、80℃で3分間乾燥して塗膜を作製した。
【0035】
このカーボンナノファイバー分散液のヘーズ値、および得られた塗膜の表面抵抗率及びヘーズ値を測定した。また、このカーボンナノファイバー分散液を室温で3ヶ月保管した後、そのヘーズ値を同様に測定した。これらのヘーズ値(%)は、スガ試験機製ヘーズメーターを用いて測定した。分散液のヘーズ値は、カーボンナノファイバーが40ppmとなるように分散媒を用いて希釈した希釈液を光路長3mmの石英セルに入れ、石英セルのヘーズ値(0.3%)を含んで測定した。塗膜のヘーズ値は、ベースフィルムであるポリエステルフィルムのヘーズ値(1.8%)を含んで測定した。塗膜の表面抵抗率は、三菱化学製ハイレスタUPを用いて測定した。これらの結果を表2に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
表2からわかるように、実施例1〜13の全てで、分散液のヘーズ値が低く、3ヶ月保管後もヘーズ値の変化は観察されなかった。また、塗膜の表面抵抗率も低く、ヘーズ値も低かった。カーボンナノファイバー分散液を3ヶ月保管した後に作製した塗膜にも、表面抵抗率、ヘーズ値の変化が観察されなかった。これに対して、アルカノールアミンを含まない比較例1と、キレート剤を含まない比較例2では、カーボンナノファイバーが分散しなかった。また、カーボンナノファイバーの繊維径が120nmの参考例1では、分散液および塗膜のヘーズ値が高めであった。アルカノールアミンの含有量が低い参考例2では、分散液の分散安定性が良好ではなく、塗膜の導電性が高めであった。アルカノールアミンの含有量が多い参考例3では、分散液の分散安定性が良好ではなく、塗膜のヘーズ値が高めであった。キレート剤の含有量が低い参考例4では、分散液のヘーズが高めで、分散安定性も良好ではなく、塗膜の表面抵抗率も高めであった。キレート剤の含有量が多い参考例5では、分散安定性が良好ではなく、3ヶ月保管後に作製した塗膜の表面抵抗率が高めであった。
【0039】
このように、本発明のカーボンナノファイバー分散液は、良好な分散性であり、かつ分散安定性がよく、このカーボンナノファイバー分散液を用いて形成される導電性塗膜は、表面抵抗率とヘーズ値が低いので、非常に有用である。また、このカーボンナノファイバー分散液は、分散性がよいので、容易に塗料組成物またはペースト組成物を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のカーボンナノファイバー分散液、塗料組成物またはペースト組成物は、例えば、透明導電用途、帯電防止用途、各種電池・蓄電池用途等の導電性塗膜の形成に非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒と、
カーボンナノファイバーと、
アルカノールアミンと、
キレート剤と、を含有することを特徴とする、カーボンナノファイバー分散液。
【請求項2】
前記アルカノールアミンが、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、およびトリイソプロパノールアミンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1記載のカーボンナノファイバー分散液。
【請求項3】
前記キレート剤が、アミノカルボン酸キレート、ホスホン酸系キレート、グルコン酸系キレート、および有機酸からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2記載のカーボンナノファイバー分散液。
【請求項4】
100質量部の前記カーボンナノファイバー分散液中に0.1〜40質量部の前記アルカノールアミンを含有する、請求項1〜3のいずれか1項記載のカーボンナノファイバー分散液。
【請求項5】
100質量部の前記カーボンナノファイバー分散液中に0.01〜10質量部の前記キレート剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項記載のカーボンナノファイバー分散液。
【請求項6】
前記カーボンナノファイバーの繊維径が1〜100nmであり、アスペクト比が5以上であり、X線回折により測定されるグラファイト層の[002]面の間隔が0.35nm以下である、請求項1〜5のいずれ1項記載のカーボンナノファイバー分散液。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載のカーボンナノファイバー分散液と、バインダー成分と、を含有する、塗料組成物。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項記載のカーボンナノファイバー分散液と、バインダー成分と、を含有する、ペースト組成物。
【請求項9】
請求項7または8記載の塗料組成物またはペースト組成物によって形成された、導電性塗膜。

【公開番号】特開2012−112088(P2012−112088A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235912(P2011−235912)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(597065282)三菱マテリアル電子化成株式会社 (151)
【Fターム(参考)】