説明

カーボンブラック分散液、黒色感光性組成物、カラーフィルタ、及び液晶表示装置

【課題】 本発明の課題は、カーボンブラック顔料の分散液の安定性を向上させ、十分な感度、適切なパターン形状や微細パターンを得ることのできるカーボンブラック分散液及び黒色感光性組成物、それを用いた遮光性の高いブラックマトリクスを有するカラーフィルタ及びそのカラーフィルタを含む液晶表示装置を提供することである。
【解決手段】少なくとも(A)カーボンブラック顔料、(B)高分子分散剤、(C)溶剤からなるカーボンブラック分散液において、前記(B)高分子分散剤のうちの一つが、不飽和二重結合とウレタン結合を有する化合物であることを特徴とするカーボンブラック分散液である。またその分散液を使用した黒色感光性組成物、それを用いた遮光性の高いブラックマトリクスを有するカラーフィルタ及びそのカラーフィルタを含む液晶表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル、ビデオカメラ等のカラーフィルタに使用されるブラックマトリクス用のアルカリ現像性の黒色感光性樹脂組成物とそれを使用したカラーフィルタ、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子機器の軽薄短小化や高機能化の進展に伴い、微細パターンを精度良く形成することが望まれている。たとえば、液晶ディスプレイ等に使用されるカラーフィルタにおいても、ブラックマトリクス(以下BMと略記することもある)として遮光性が高く、線幅が狭いものが要求されている。
【0003】
種々のブラックマトリクス用の黒色感光性組成物の中には、エチレン性不飽和結合を有する特定の化合物を含有する感光性組成物、カーボンブラック顔料、及び光重合開始剤を含有するものがある。この黒色感光性組成物に紫外線もしくは電子線を照射することによって重合硬化させることができる。
【0004】
この黒色感光性組成物及びアルカリ現像性の黒色感光性樹脂組成物として、特許文献1には、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂に不飽和一塩基性化合物を反応してなるアルカリ現像性感光性組成物が提案されている。また、特許文献2には、ジシクロペンタジエン骨格を有するクレゾール又はノボラックエポキシに不飽和一塩基性化合物を反応してなる黒色感光性組成物が提案されている。また、特許文献3には、アルカリ可溶性不飽和樹脂及び該樹脂を含有する感放射線性組成物が提案されている。しかし、これらの公知の黒色アルカリ現像性の感光性組成物では、感度が低く、適切なパターン形状や微細パターンを得ることが困難であった。そのため、密着性、耐アルカリ性に優れ、微細パターンを精度良く形成できるアルカリ現像性感光性組成物が望まれていた。
【0005】
また、特許文献4には、カーボンブラック分散液の分散剤として、トリレンジイソシアネートの3量体、グリコール類アルコールとアミンを反応させた高分子分散剤が提案されている。しかし、これを用いても十分な感度、及び密着性を得ることが困難であった。
【0006】
以下に特許文献を示す。
【特許文献1】特許3148429号公報
【特許文献2】特許3938375号公報
【特許文献3】特開平2003−89716号公報
【特許文献4】特開平2006−171781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カラーフィルタのブラックマトリクスの遮光性を増加するために、ブラックマトリクス用の黒色感光性組成物中の黒色顔料濃度を高くする方向の開発が進んでいる。黒色顔料濃度を高くすると、感光感度を向上させるための感光性樹脂や不飽和二重結合を有する化合物の添加量が少なくなり、十分な感度、適切なパターン形状や微細パターンを得ることが難しくなっている。更に、顔料濃度が高くなることで、顔料分散液の安定性が低下するようになって来た。安定性が低いと黒色感光性組成物の感度や解像性も低下する。通常、黒色顔料としてカーボンブラックが使用されている。
【0008】
本発明の課題は、カーボンブラック顔料の分散液の安定性を向上させ、十分な感度、適切なパターン形状や微細パターンを得ることのできるカーボンブラック分散液及び黒色感光性組成物、それを用いた遮光性の高いブラックマトリクスを有するカラーフィルタ及びそのカラーフィルタを含む液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、本発明の請求項1に係わる発明は、少なくとも(A)カーボンブラック顔料、(B)高分子分散剤、(C)溶剤からなるカーボンブラック分散液において、前記(B)高分子分散剤が、少なくとも不飽和二重結合とウレタン結合を有する化合物を含むことを特徴とするカーボンブラック分散液である。
【0010】
本発明の請求項2に係わる発明は、前記不飽和二重結合とウレタン結合を有する化合物が、フェニルメタンイソシアネートの多量体と水酸基を有する多官能又は単官能(メタ)アクリル化合物を反応させた一般式(1)に示すウレタンアクリレート樹脂、であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンブラック分散液である。
【0011】
【化2】

(式(1)においてRは、多官能又は単官能(メタ)アクリル化合物を示し、nは0〜10である。)。
【0012】
本発明の請求項3に係わる発明は、前記ウレタンアクリレート樹脂の添加量がカーボンブラック顔料に対して、5質量%から50質量%であることを特徴とする請求項2に記載のカーボンブラック分散液である。
【0013】
本発明の請求項4に係わる発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーボンブラック分散液に、少なくとも(D)バインダー樹脂、(E)光重合開始剤、(F)エチレン性二重結合を少なくとも一個以上有する化合物、を加えたことを特徴とする黒色感光性組成物である。
【0014】
本発明の請求項5に係わる発明は、カーボンブラック顔料が全固形分の40質量%から60質量%の範囲で含まれることを特徴とする請求項4に記載の黒色感光性組成物である。
【0015】
本発明の請求項6に係わる発明は、請求項4または5に記載の黒色感光性組成物を使用してブラックマトリクスを形成したことを特徴とするカラーフィルタである。
【0016】
本発明の請求項7に係わる発明は、請求項6に記載のカラーフィルタを使用したことを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明請求項1の発明によって、カーボンブラック顔料の分散安定性がよいカーボンブラック分散液を得ることができる。
【0018】
本発明請求項2の発明によって、さらに分散安定性がよいカーボンブラック分散液を得ることができる。
【0019】
本発明請求項3の発明によって、分散液の経時安定性がよく、また黒色感光性組成物に使用した場合に露光感度が十分であり、さらにカラーフィルタのブッラクマトリクスとして使用した場合に十分なアルカリ耐性を有するようにすることができるカーボンブラック分散液をうることができる。
【0020】
本発明請求項4の発明によって、カラーフィルタのブラックマトリクス形成用として感光性、現像性、耐熱性に優れた黒色感光性組成物を得ることができる。
【0021】
本発明請求項5の発明によって、液晶表示装置用カラーフィルタのブラックマトリクスとして遮光性に優れ、かつ露光感度が高く、現像性、基板への密着性も良好な黒色感光性組成物を得ることができる。
【0022】
本発明請求項6の発明によって、優れた解像度、透明性、密着性を有する液晶表示装置用のカラーフィルタを得ることができる。
【0023】
本発明請求項7の発明によって、表示品質、信頼性が高い液晶表示装置を得ることができる。
【0024】
すなわち、本発明のカーボンブラック分散液及び黒色感光性組成物は、感度、解像度、透明性、密着性等に優れ、微細パターンを精度良く形成できる。また、本発明の黒色感光性組成物を用いて形成した、カラーフィルタは耐アルカリ性に優れ、カラーフィルタを含む液晶表示装置は信頼性が高く、表示品質も良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明のカーボンブラック分散液及び黒色感光性組成物及びカラーフィルタについて、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0026】
請求項1の発明のカーボンブラック分散液は、(A)カーボンブラック顔料、(B)高分子分散剤、(C)溶剤からなり、(B)高分子分散剤が少なくとも不飽和二重結合とウレタン結合を有する化合物を含むことを特徴とするものである。その他の分散剤については後記する。
【0027】
(A)カーボンブラック顔料としては、三菱化学社製のカーボンブラック#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#960、#950、#900、#850、MCF88、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、IL30B、IL31B、IL7B、IL11B、IL52B、#4000、#4010、#55、#52、#50、#47、#45、#44、#40、#33、#32、#30、#20、#10、#5、CF9、#3050、#3150、#3250、#3750、#3950、ダイヤブラックA、ダイヤブラックN220M、ダイヤブラックN234、ダイヤブラックI、ダイヤブラックLI、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックN339、ダイヤブラックSH、ダイヤブラックSHA、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックH、ダイヤブラックHA、ダイヤブラックSF,ダイヤブラックN550M、ダイヤブラックE、ダイヤブラックG、ダイヤブラックR、ダイヤブラックN760M、ダイヤブラックLR、キャンカーブ社製のカーボンブラックサーマックスN990、N991、N907、N908、N990、N991、N908、旭カーボン社製のカーボンブラック旭#80、旭#70、旭#70L、旭F−200、旭#66、旭#66U、旭#50、旭#35、旭#15、アサヒサーマル、デグザ社製のカーボンブラックColorBlack Fw200、ColorBlack Fw2、ColorBlack Fw2V、ColorBlack Fw1、ColorBlack Fw18、ColorBlack S170、ColorBlack S160、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、SpecialBlack250、SpecialBlack350、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printex140V(いずれも商品名)等を使用することができる。
【0028】
(B)高分子分散剤として、少なくとも不飽和二重結合とウレタン結合を有するフェニルメタンイソシアネートの多量体と水酸基を有する多官能又は、単官能(メタ)アクリル化合物を反応させたウレタンアクリレート樹脂を使用することが好ましい。なお、本発明においては、(メタ)アクリル化合物とはアクリル化合物とメタアクリル化合物の両方を示している。
【0029】
請求項2に記載のフェニルメタンイソシアネートの多量体としては、ポリメリックMDIとしてルプラネートM20S、M11S、M5S(BASF INOAC ポリウレタン社製)、M−100、M−200、M−50、M−300、M−1500、MX、CX(三井化学ポリウレタン社製)、ミリオネートMT、MR(日本ポリウレタン社製)などが市販されており、好ましく使用することができる。
【0030】
フェニルメタンイソシアネートの多量体のポリメリックMDIは、分散時に、25℃における粘度が400mPa・s以下のものを使用することが好ましい。400mPa・s以上のものでは、分散時に増粘し、分散が不十分になり、分散液の経時安定性が損なわれることがある。
【0031】
請求項2に記載の水酸基を有する多官能又は、単官能の(メタ)アクリル化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。また、多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0032】
多官能又は単官能(メタ)のアクリル化合物をフェニルメタンイソシアネートの多量体に付加反応させた式(1)に示す化合物において、アクリレートの導入率が高いほど高感度化が可能になり、また分散剤としての機能も向上する。
【0033】
カーボンブラック分散液において、ウレタンアクリレート樹脂の含有量はカーボンブラック顔料に対して、5質量%から50質量%が好ましい。5質量%以下では、黒色感光性組成物にした時に、感度不足になる。また、50質量%以上では、分散液中に他の分散剤を添加することができなくなり、分散安定性が悪くなる。
【0034】
カーボンブラック分散液に用いられるその他の(B)高分子分散剤としては、Disperbyk−161、162、163、164、166、182(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、EFKA−47、−47EA、−48、−49、−100、−400、−450(以上、EFKA社製);ソルスパース 13240、13940、17000、24000GR、28000、20000、12000、27000(以上、ゼネカ(株)製)などがあげられる。分散剤の添加量は特に限定されるものではない。
【0035】
分散液中の(B)高分子分散剤として、使用できる分散剤の量は、カーボンブラック顔料に対して、5質量%から60質量%の範囲で用いられることが好ましい。5質量%以下
では、分散が不十分で分散液の経時安定性が悪く、増粘などの不具合が発生する。また、60質量%以上の場合は黒色感光性組成物の感度が低下したり、カラーフィルタ用のブラックマトリクスのアルカリ耐性が低下したりする。
【0036】
カーボンブラック分散液の(C)溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、クロロホルム、塩化メチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノールアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートの単体、またはそれら任意の2種類以上の混合物であって、液状のものを使用する。しかし、これらに限定されるものではない。
【0037】
ここで、ウレタンアクリのレート樹脂を溶剤に溶解した溶液を調製して、そこへ(A)カーボンブラック顔料やウレタンアクリレート樹脂以外の(B)高分子分散剤を分散させる場合には、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、アトライター等の各種分散装置を用いて行うことができる。また、分散を良好に行うために、各種界面活性剤を添加して分散を行っても良い。
【0038】
また、別の方法として、カーボンブラック顔料と高分子分散剤を予め混合して顔料組成物を調製する場合、粉末のカーボンブラック顔料と高分子分散剤を単に混合するだけでも良いが、ニーダー、ロール、アトライター、スーパーミル等の各種粉砕機により機械的に混合する方法や、カーボンブラック顔料を溶剤に分散させた後、高分子分散剤を含む溶液を添加し、カーボンブラック顔料表面に高分子分散剤を吸着させる方法、などの混合方法を採用することが好ましい。
【0039】
本発明において使用する(D)バインダー樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレートなどのアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート、環状のシクロヘキシルアクリレートまたはメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートまたはメタクリレート、スチレンなどの内から3〜5種類程度のモノマーを用いて、分子量5000〜100000程度に重合した樹脂を用いる。
【0040】
アクリル系樹脂の一部に不飽和二重結合を付加させた樹脂は、上記のアクリル樹脂にイソシアネート基と少なくとも1個以上のビニル基を有するイソシアネートエチルアクリレート、メタクリロイルイソシアネートなどの化合物を反応させることによって得られる。
【0041】
更にバインダー樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸グリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の通常の光重合可能な樹脂等やカルド樹脂も、単体または混合して使用することができる。
【0042】
更に、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂等に(メタ)アクリル酸等のカルボン酸含化合物を付加させた後、酸価の付与と熱処理で解離する部分を結合するため、酸無水物を付加させ、さらに酸価調整のためにカルボン酸をキャップした樹脂なども使用できる。
【0043】
上記の(D)バインダー樹脂は酸価10〜150mgKOH/gのものが好ましく、より好ましくは50〜120mgKOH/gの範囲である。ここで樹脂の酸価は樹脂1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、通常は水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0044】
本発明に使用される(E)光重合開始剤としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4’−モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4’−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4’−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7−ビス(9’−アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2’−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、および一般式(2)で表される下記化合物等が挙げられる。
【0045】
【化3】

(式中、X1はハロゲン原子又はアルキル基を表し、R1はR、OR、COR、SR、CONRR’又はCNを表し、R2はR、OR、COR、SR、NRR’を表し、R3はR、OR、COR、SR、NRR’を表す。R及びR’は、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を表し、これらはハロゲン原子及び/又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。また、R及びR’は一緒になって環を形成していてもよく、nは0〜5である。)。
【0046】
本発明に使用できる(F)エチレン性二重結合を少なくとも一個以上有する化合物としては、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸N−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸亜鉛、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート等が挙げられる。
【0047】
本発明の黒色感光性組成物中にカーボンブラック顔料が40質量%から60質量%(全固形分中)の範囲で含まることが好ましい。40質量%以下では、十分な遮光性(光学濃度(OD値))を得ることが出来ない。光学濃度(OD値)が3.6以下の場合、パネル化した際にバックライトの光を透過させてしまう。また、顔料が60質量%を超えると、露光感度、現像液に対する溶解性が悪くなり。パターンの直線性や、基板にたいする密着性が低下する。
【0048】
本発明の黒色感光性組成物中に界面活性剤などを添加しても良い。界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤、高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤、高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができ、これらは組み合わせて用いてもよい。
【0049】
本発明の黒色感光性組成物には、さらに熱可塑性有機重合体を用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。該熱可塑性有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、ポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル等が挙げられる。
【0050】
また、本発明の黒色感光性組成物には、必要に応じて、アニソール、ハイドロキノン、ピロカテコール、第三ブチルカテコール、フェノチアジン等の熱重合抑制剤や、可塑剤、接着促進剤、充填剤、消泡剤、レベリング剤等の慣用の添加物を加えることができる。
【0051】
本発明の黒色感光性組成物は、ロールコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、金属、紙、プラスチック等の支持基体上に適用される。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0052】
本発明の黒色感光性組成物は、光硬化性塗料、光硬化性接着剤、印刷版、印刷配線板用フォトレジスト等の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
【0053】
また、本発明の黒色感光性組成物を硬化させる際に用いられる活性光の光源としては、波長300〜450nmの光を発光するものを用いることができ、例えば、超高圧水銀、水銀蒸気アーク、カーボンアーク、キセノンアーク等を用いることができる。
【0054】
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、透明基板上に、少なくとも本発明の黒色感光性組成物を基板上に塗布した黒色膜を使用したブラックマトリクスと、着色層を具備するものである。ブラックマトリクスの厚さは、0.5μmから2.0μmが好ましい。0.5μm以下では、十分な遮光性が得られず、パネル化した際にバックライトの光の一部を透過してしまうので、表示品質が低下する。また、2.0μm以上では、パターン形成した場合にパターンの端面の断面形状が逆テーパ状となり、後工程である着色層用溶液の塗布において気泡の巻き込みが発生しやすい、などの問題が生じる。
【0055】
ブラックマトリクスは、本発明の黒色感光性組成物を使用して、通常の印刷法または通常のフォトリソグラフィー法により、透明基板上に形成することができる。
【0056】
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、液晶パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫等からなる透明電極が形成されていてもよい。
【0057】
フォトリソグラフィー法によりブラックマトリクスを形成する場合は、図1に示すように、まず透明基板上1に黒色感光性組成物2を、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.7〜2.5μmとなるように塗布する。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。次に、乾燥された黒色感光性組成物の膜に、所定のパターンを有するフォトマスク4を通して紫外線露光7を行う。その後、アルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレー等により現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成し、カラーフィルタ用ブラックマトリクス3を形成する。
【0058】
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記黒色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0059】
ブラックマトリクスを形成するのと同様の操作を着色層(赤色、緑色、青色)のパターン形成について繰り返すことによって、カラーフィルタを製造することができる(図2)。
【0060】
本発明の黒色感光性組成物の膜は、アルカリ溶解性なので、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を使用する。また、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。さらに、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
【0061】
現像方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
【実施例】
【0062】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0063】
一般式(1)で示される化合物の合成
(合成例1)
内容量が1リットルの反応容器に、2−ヒドロキシエチルアクリレート80gとM11S(BASF社製、粘度100〜150mPa・s)100gを混合し、60℃で8時間反応させ、多官能ウレタンアクリレート樹脂(1)を含む生成物を得た。
【0064】
(合成例2)
内容量が1リットルの反応容器に、トリメチロールプロパンジアクリレート150gとルプラネートM5S(BASF社製、粘度40〜60mPa・s)100gを混合し、60℃で8時間反応させ、多官能ウレタンアクリレート樹脂(2)を含む生成物を得た。
【0065】
(合成例3)
内容量が1リットルの反応容器に、トリメチロールプロパンジアクリレート150gとルプラネートM20S(BASF社製 、粘度170〜250mPa・s)100gを混合し、60℃で8時間反応させた。多官能ウレタンアクリレート樹脂(3)を含む生成物を得た。
【0066】
(合成例4)
内容量が1リットルの反応容器に、トリメチロールプロパンジアクリレート150gとルプラネートMP−102(BASF社製 、粘度550〜750mPa・s)100g
を混合し、60℃で8時間反応させた。多官能ウレタンアクリレート樹脂(4)を含む生成物を得た。
【0067】
<実施例1>
《カーボンブラック分散液(1)の作製》
カーボンブラック顔料25質量部、分散剤4質量部、分散助剤としてスルホン酸基を有する銅フタロシアニン誘導体を1.0部及び合成例1で合成した多官能ウレタンアクリレート樹脂(1)を2.5質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート67.5質量部を混合し、よく攪拌した後、直径0.5mmのビーズを用いてビーズミル分散機にて5時間撹拌して、5μmのフィルターでろ過し、カーボンブラック分散液(1)とした。(分散液中のウレタンアクリレート樹脂の含有量が顔料に対して、10質量%)。
【0068】
《黒色感光性組成物(1)の作成》
・カーボンブラック分散液 25.2質量部
・バインダー樹脂V259(新日鐵化学社製) 5.82質量部
・多官能ウレタンアクリレート樹脂(1) 0.81質量部
・アロニクスM−402(東亜合成社製) 1.18質量部
・イルガキュアー369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.23質量部
・イルガキュアーOXE−02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.46質量部
・BYK−323(ビックケミー社製) 0.01質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 27.9質量部
・シクロヘキサノン 36.9質量部
上記の組成比で混合し、混合物が均一になるよう十分に攪拌した後、2μmのフィルターでろ過して、黒色感光性組成物(1)を得た(顔料濃度45質量%)。
【0069】
《カラーフィルタの作製》
1)BMの形成
上記BM形成用の黒色感光性組成物(1)をガラス基板にスピンコートで塗布し、乾燥させ、膜厚1.6μmの塗膜を作製した。この塗膜を100℃で3分間加熱した後、所定の線幅30.5μmのストライプ状パターンを有するフォトマスクを用い、光源として超高圧水銀灯ランプを用いて200mJ/cm2露光した。次に、2.5質量%炭酸ナトリウム水溶液で60秒間現像し、現像後よく水洗し、さらに乾燥後、230℃で60分加熱処理してパターンを定着させて、所定のパターンを有するBMを基板上に形成した。なお、アルカリ現像液は以下の組成からなる。
・炭酸ナトリウム 1.5質量%
・炭酸水素ナトリウム 0.5質量%
・陰イオン系界面活性剤(花王・ペリレックスNBL) 8.0質量%
・水 90.0質量%。
【0070】
2)着色膜形成用分散液の作製
着色膜の形成に用いられる着色剤として、以下のものを使用した。
(赤色用顔料)
・C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
「イルガーフォーレッド B−CF」)
・C.I.Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
「クロモフタールレッド A2B」)
(緑色用顔料)
・C.I.Pigment Green 36(東洋インキ製造製「リオノールグリーン
6YK」)
・C.I.Pigment Yellow 150(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」)
(青色用顔料)
・C.I.Pigment Blue 15 (東洋インキ製造製「リアノールブルーES」)
・C.I.Pigment Violet 23(BASF社製「バリオゲンバイオレット 5890」)
上記の顔料を用いて、以下に示す赤色、緑色、青色の各分散液を作製した。
(赤色顔料分散液)
・赤色顔料:C.I.Pigment Red 254 18質量部
・赤色顔料:C.I.Pigment Red 177 2質量部
・アクリルワニス(固形分20質量%) 108質量部
上記の組成の混合物を均一に攪拌した後、ガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散し、5.0μmフィルタで濾過して赤色顔料分散液を作製した。
(緑色顔料分散液)
・C.I.Pigment Green 36 16質量部
・C.I.Pigment Yellow 150 8質量部
・アクリルワニス(固形分20質量%) 102質量部
上記の組成の混合物に対して、赤色顔料分散液と同様の作製方法を用いて、緑色顔料分散液を作製した。
(青色顔料分散液)
・C.I.Pigment Blue 15 50質量部
・C.I.Pigment Violet 23 2質量部
・分散剤(ゼネカ社製「ソルスバース20000」 ) 6質量部
・アクリルワニス(固形分20質量%) 200質量部
上記の組成の混合物に対して、赤色顔料分散液と同様の作製方法を用いて、青色顔料分散液を作製した。
【0071】
3)着色膜形成用レジストの作製
(赤色着色膜形成レジスト)
・赤色分散液 150質量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 13質量部
(大阪有機化学工業社製「TMP3A」 )
・光重合開始剤 4質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「Irgacure907」)
・増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」 ) 2質量部
・溶剤:シクロヘキサノン 257質量部
上記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して赤色着色膜形成レジストを得た。
(緑色着色膜形成レジスト)
・緑色分散液 126質量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 14質量部
(大阪有機化学工業社製「TMP3A」)
・光重合開始剤 4質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「Irgacure907」)
・増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」 ) 2質量部
・シクロヘキサノン 257質量部
上記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して、緑色着色膜形成レジストを得た。
(青色着色膜形成レジスト)
組成がそれぞれ下記組成となるように,赤色着色膜形成レジストと同様の方法で作製した。
・青色分散液 258質量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 19質量部
(大阪有機化学工業社製「TMP3A」)
・光重合開始剤 4質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「Irgacure907」)
・増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」 ) 2質量部
・シクロヘキサノン 214質量部。
【0072】
4)着色膜の形成
上記の方法によって得られた着色膜形成レジストを用いて以下のようにして着色膜を形成した。着色膜の形成は、まずガラス基板に、赤色着色膜形成用レジストをスピンコートにより仕上り膜厚が1.8μmとなるように塗布した。90℃5分間乾燥の後、着色膜形成用のストライプ状パターンを有するフォトマスクを通して高圧水銀灯の光を300mJ/cm2照射し、アルカリ現像液にて60秒間現像して、ストライプ形状の赤色の着色膜を得た。その後、230℃で30分間焼成した。BM部と着色膜の重なり部分の幅を3.0μmとした。
【0073】
次に、緑色着色膜形成用レジストも同様にスピンコートにより仕上り膜厚が1.8μmとなるように塗布した。90℃5分間乾燥した後、前述の赤色着色膜と隣接した位置にパターンが形成されるようにフォトマスクを通して露光し現像することで、緑色着色膜を得た。その後、230℃で30分間焼成した。
【0074】
さらに、赤色、緑色と全く同様にして、青色着色膜形成用レジストについても仕上り膜厚が1.8μmで赤色、緑色の着色膜と隣接した青色着色膜を得た。以上で、基板上に赤、緑、青3色のストライプ状の着色膜を持つカラーフィルタ(1)が得られた。その後、230℃で30分間焼成した。
【0075】
<実施例2>
《カーボンブラック分散液(2)の作製》
合成例2で合成した多官能ウレタンアクリレート樹脂(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、カーボンブラック分散液(2)を得た。(分散液中のウレタンアクリレート樹脂の含有量が顔料に対して、10質量%)。
《黒色感光性組成物(2)の作製》
合成例2で合成した多官能ウレタンアクリレート樹脂(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、黒色感光性組成物(2)を得た(顔料濃度45質量%)。
カラーフィルタ(2)も実施例1と同様に作製した。
【0076】
<実施例3>
《カーボンブラック分散液(1)の作製》
実施例1と同じ組成の多官能ウレタンアクリレート樹脂(1)を用いたカーボンブラック分散液(1)を作製した。(分散液中のウレタンアクリレート樹脂の含有量が顔料に対して、10質量%)。
《黒色感光性組成物(3)の作製》
・カーボンブラック分散液(1) 32.48質量部
・バインダー樹脂V259(新日鐵化学社製) 3.00質量部
・多官能ウレタンアクリレート樹脂(1) 0.42質量部
・アロニクスM−402(東亜合成社製) 0.90質量部
・イルガキュアー369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.15質量部
・イルガキュアーOXE−02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.30質量部
・BYK−323(ビックケミー社製) 0.01質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24.7質量部
・シクロヘキサノン 36.7質量部
上記の組成比で混合し、混合物が均一になるよう十分に攪拌した後、2μmのフィルターでろ過して、黒色感光性組成物を得た(顔料濃度58質量%)。
また、カラーフィルタは実施例1と同様に作製した。
【0077】
<実施例4>
《カーボンブラック分散液(1)の作製》
実施例1と同じ組成の多官能ウレタンアクリレート樹脂(1)を用いたカーボンブラック分散液(1)を作製した。(分散液中のウレタンアクリレート樹脂の含有量が顔料に対して、10質量%)。
《黒色感光性組成物(4)の作製》
・カーボンブラック分散液(1) 22.40質量部
・バインダー樹脂V259(新日鐵化学社製) 6.90質量部
・多官能ウレタンアクリレート樹脂(1) 0.95質量部
・アロニクスM−402(東亜合成社製) 1.29質量部
・イルガキュアー369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.25質量部
・イルガキュアーOXE−02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.40質量部
・BYK−323(ビックケミー社製) 0.01質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 29.0質量部
・シクロヘキサノン 36.9質量部
上記の組成比で混合し、混合物が均一になるよう十分に攪拌した後、2μmのフィルターでろ過して、黒色感光性組成物を得た(顔料濃度40質量%)。
また、カラーフィルタは、実施例1と同様に作製した。
【0078】
<実施例5>
《カーボンブラック分散液(3)の作製》
ウレタンアクリレート樹脂の添加量を9.0質量部に変更する以外は、実施例1と同様に作製した。すなわち、カーボンブラック顔料25質量部、分散剤4質量部、分散助剤としてスルホン酸基を有する銅フタロシアニン誘導体を1.0部及び合成例1で合成した多官能ウレタンアクリレート樹脂(1)を9.0質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート67.5質量部を混合し、よく攪拌した後、直径0.5mmのビーズを用いてビーズミル分散機にて5時間撹拌して、5μmのフィルターでろ過し、カーボンブラック分散液(3)とした。(分散液中のウレタンアクリレート樹脂の含有量が顔料に対して、36質量%)。
《黒色感光性組成物(5)の作製》
・カーボンブラック分散液(3) 25.2質量部
・バインダー樹脂V259(新日鐵化学社製) 3.41質量部
・多官能ウレタンアクリレート樹脂(1) 0.47質量部
・アロニクスM−402(東亜合成社製) 1.18質量部
・イルガキュアー369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.23質量部
・イルガキュアーOXE−02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.46質量部
・BYK−323(ビックケミー社製) 0.01質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 31.0質量部
・シクロヘキサノン 36.9質量部
上記の組成比で混合し、混合物が均一になるよう十分に攪拌した後、2μmのフィルターでろ過して、黒色感光性組成物を得た(顔料濃度45質量%)。
また、カラーフィルタは実施例1と同様に作製した。
【0079】
<実施例6>
《カーボンブラック分散液(4)の作製》
ウレタンアクリレート樹脂の添加量を1.25質量部に変更する以外は、実施例1と同様に作製した。すなわち、カーボンブラック顔料25質量部、分散剤4質量部、分散助剤としてスルホン酸基を有する銅フタロシアニン誘導体を1.0部及び合成例1で合成した多官能ウレタンアクリレート樹脂(1)を1.25質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート67.5質量部を混合し、よく攪拌した後、直径0.5mmのビーズを用いてビーズミル分散機にて5時間撹拌して、5μmのフィルターでろ過し、カーボンブラック分散液(4)とした。(分散液中のウレタンアクリレート樹脂の含有量が顔料に対して、5.0質量%)。
《黒色感光性組成物(6)の作製》
・カーボンブラック分散液(4) 25.2質量部
・バインダー樹脂V259(新日鐵化学社製) 6.19質量部
・多官能ウレタンアクリレート樹脂(1) 0.86質量部
・アロニクスM−402(東亜合成社製) 1.18質量部
・イルガキュアー369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.23質量部
・イルガキュアーOXE−02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.46質量部
・BYK−323(ビックケミー社製) 0.01質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 27.3質量部
・シクロヘキサノン 36.9質量部
上記の組成比で混合し、混合物が均一になるよう十分に攪拌した後、2μmのフィルターでろ過して、黒色感光性組成物を得た(顔料濃度45質量%)。
また、カラーフィルタは実施例1と同様に作製した。
【0080】
<比較例1>
《カーボンブラック分散液(5)の作製》
合成例3で合成した多官能ウレタンアクリレート樹脂(3)を用いた以外は実施例1と同様にして、カーボンブラック分散液(5)を得た。(分散液中のウレタンアクリレート樹脂の含有量が顔料に対して、10質量%)。
《黒色感光性組成物(比1)の作製》
合成例3で合成した多官能ウレタンアクリレート樹脂(3)を用いた以外は実施例1と同様にして、黒色感光性組成物(比1)を得た(顔料濃度45質量%)。
また、カラーフィルタは実施例1と同様に作製した。
【0081】
<比較例2>
《カーボンブラック分散液(6)の作製》
合成例4で合成した多官能ウレタンアクリレート樹脂(4)を用いた以外は実施例1と同様にして、カーボンブラック分散液(6)を得た。(分散液中のウレタンアクリレート樹脂の含有量が顔料に対して、10質量%)
《黒色感光性組成物(比2)の作製》
合成例4で合成した多官能ウレタンアクリレート樹脂(4)を用いた以外は実施例1と同様にして、黒色感光性組成物(比2)を得た(顔料濃度45質量%)。
また、カラーフィルタは実施例1と同様に作製した。
【0082】
<比較例3>
《カーボンブラック分散液(1)の作製》
実施例1と同じ組成の多官能ウレタンアクリレート樹脂(1)を用いたカーボンブラック分散液(1)を作製した。
《黒色感光性組成物(比3)の作製》
・カーボンブラック分散液(1) 21.28質量部
・バインダー樹脂V259(新日鐵化学社製) 7.33質量部
・多官能ウレタンアクリレート樹脂(1) 1.01質量部
・アロニクスM−402(東亜合成社製) 1.33質量部
・イルガキュアー369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.25質量部
・イルガキュアーOXE−02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.42質量部
・BYK−323(ビックケミー社製) 0.01質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 29.6質量部
・シクロヘキサノン 36.9質量部
上記の組成比で混合し、混合物が均一になるよう十分に攪拌した後、2μmのフィルターでろ過して、黒色感光性組成物(比3)を得た(顔料濃度38質量%)。
また、カラーフィルタは実施例1と同様に作製した。
【0083】
<比較例4>
《カーボンブラック分散液(1)の作製》
実施例1と同じ組成の多官能ウレタンアクリレート樹脂(1)を用いたカーボンブラック分散液(1)を作製した。(分散液中のウレタンアクリレート樹脂の含有量が顔料に対して、10質量%)
《黒色感光性組成物(比4)の作製》
・カーボンブラック分散液(1) 34.1質量部
・バインダー樹脂V259(新日鐵化学社製) 2.35質量部
・多官能ウレタンアクリレート樹脂(1) 0.33質量部
・アロニクスM−402(東亜合成社製) 0.84質量部
・イルガキュアー369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.25質量部
・イルガキュアーOXE−02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.27質量部
・BYK−323(ビックケミー社製) 0.01質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 23.9質量部
・シクロヘキサノン 36.7質量部
上記の組成比で混合し、混合物が均一になるよう十分に攪拌した後、2μmのフィルターでろ過して、黒色感光性組成物(比4)を得た(顔料濃度61質量%)。
また、カラーフィルタは実施例1と同様に作製した。
【0084】
<比較例5>
《カーボンブラック分散液(7)の作製》
ウレタンアクリレート樹脂の添加量を1.0質量部に変更する以外は、実施例1と同様に作製した。すなわち、カーボンブラック顔料25質量部、分散剤4質量部、分散助剤としてスルホン酸基を有する銅フタロシアニン誘導体を1.0部及び合成例1で合成した多官能ウレタンアクリレート樹脂(1)を1.0質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート67.5質量部を混合し、よく攪拌した後、直径0.5mmのビーズ
を用いてビーズミル分散機にて5時間撹拌して、5μmのフィルターでろ過し、カーボンブラック分散液(7)とした。(分散液中のウレタンアクリレート樹脂の含有量が顔料に対して、4.0質量%)。
《黒色感光性組成物(比5)の作製》
・カーボンブラック分散液(7) 25.2質量部
・バインダー樹脂V259(新日鐵化学社製) 6.28質量部
・多官能ウレタンアクリレート樹脂(1) 0.87質量部
・アロニクスM−402(東亜合成社製) 1.18質量部
・イルガキュアー369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.23質量部
・イルガキュアーOXE−02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.46質量部
・BYK−323(ビックケミー社製) 0.01質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 27.2質量部
・シクロヘキサノン 36.9質量部
上記の組成比で混合し、混合物が均一になるよう十分に攪拌した後、2μmのフィルターでろ過して、黒色感光性組成物(比5)を得た(顔料濃度45質量%)。
また、カラーフィルタは実施例1と同様に作製した。
【0085】
<比較例6>
《カーボンブラック分散液(8)の作製》
ウレタンアクリレート樹脂の添加量を12.75質量部に変更する以外は、実施例1と同様に作製した。すなわち、カーボンブラック顔料25質量部、分散剤4質量部、分散助剤としてスルホン酸基を有する銅フタロシアニン誘導体を1.0部及び合成例1で合成した多官能ウレタンアクリレート樹脂(1)を12.75質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート67.5質量部を混合し、よく攪拌した後、直径0.5mmのビーズを用いてビーズミル分散機にて5時間撹拌して、5μmのフィルターでろ過し、カーボンブラック分散液(8)とした。(分散液中のウレタンアクリレート樹脂の含有量が顔料に対して、51質量%)。
《黒色感光性組成物(比6)の作製》
・カーボンブラック分散液(8) 25.2質量部
・バインダー樹脂V259(新日鐵化学社製) 2.06質量部
・多官能ウレタンアクリレート樹脂(1) 0.28質量部
・アロニクスM−402(東亜合成社製) 1.18質量部
・イルガキュアー369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.23質量部
・イルガキュアーOXE−02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.46質量部
・BYK−323(ビックケミー社製) 0.01質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 32.8質量部
・シクロヘキサノン 36.7質量部
上記の組成比で混合し、混合物が均一になるよう十分に攪拌した後、2μmのフィルターでろ過して、黒色感光性組成物(比6)を得た(顔料濃度45質量%)。
また、カラーフィルタは実施例1と同様に作製した。
【0086】
上記のように作製したカーボンブラック分散液と黒色感光性組成物について、以下の方法で評価した。
<カーボンブラック分散液の安定性>
カーボンブラック分散液の分散終了後から1日経過した後の粘度と40℃の恒温槽で7日間経過後の粘度の差が1mPa・s以下であるものを○、1〜2mPa・sの変化であ
るものを△、2mPa・s以上の粘度変化が確認できたものを×とした。結果を表1に示す。
<遮光性>
形成したパターンをマクベス光学濃度計(TD−907)で測定し、光学濃度(OD値)が3.6以上のものを○、3.6以下のものを×とした。
<感度>
露光時に、露光量が100mJ/cm2で十分だったものを○、100mJ/cm2では不十分で、200mJ/cm2で露光したものを△、それ以上の照射露光量が必要なものを×とした。
<解像度>
露光現像時に、線幅5μm〜9μmでも良好にパターン形成できたものを○、線幅10〜30μmであれば良好にパターン形成できたものを△、線幅30μm以上のものでないと良好なパターン形成ができなかったものを×と評価した。
<密着性>
JIS D 0202の試験方法に従い、塗膜に基盤目状にクロスカットを入れ、次いでセロハンテープによってピーリングテストを行い、基盤目の剥離の状態を目視により評価した。全く剥離が認められなかったものを○、剥離が認められたものを×とした。
<耐アルカリ性>
加熱処理後の塗膜をa)5質量%NaOH水溶液中24時間、b)4質量%KOH水溶液中50℃で10分間、c)1質量%NaOH水溶液中80℃で5分間の条件で浸漬し、浸漬後の外観を目視により評価した。外観変化もなくレジストの剥離も全くなかったものを○、レジストの浮きが見られたりレジストの剥離が認められたものを×とした。それぞれの評価結果を表2に示す。
【0087】
【表1】

表1に示されているように、実施例1、2、5、6で作製したカーボンブラック分散液(1)、(2)、(3)、(4)は分散安定性が良好であった。一方、比較例1、2、5、6で作製したカーボンブラック分散液は、比較例5のカーボン分散液(7)の分散安定性が良好である以外は、分散安定性が好ましくなかった。
【0088】
【表2】

表2に示されているように、実施例1〜6の黒色感光性組成物は、感度、解像度に優れるものであった。また、得られたカラーフィルタのブラックマトリクスは、基板との密着性、耐アルカリ性に優れるものであった。
【0089】
それに対して、比較例1〜6の黒色感光性組成物は、感度が低いため露光量を多くせざるを得ず、解像度が低下し、線幅30μm以上でないと形成できず、また、得られたカラーフィルタのブラックマトリクスは密着性、耐アルカリ性も思わしくなかった。
【0090】
また、液晶表示装置に本発明のカラーフィルタを用いることで、光漏れが少なく、信頼性も高い液晶表示装置を作製することができた。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】フォトリソグラフィ法でカラーフィルタのブラックマトリクスを作製する場合の工程の説明図である。
【図2】フォトリソグラフィ法でカラーフィルタの着色層を作製する場合の工程の説明図である。
【符号の説明】
【0092】
1:透明基板(ガラス)
2:BM塗布膜
3:完成したBM
4:フォトマスク
5:着色塗布膜
6a:完成した着色膜(Red)
7:露光光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(A)カーボンブラック顔料、(B)高分子分散剤、(C)溶剤からなるカーボンブラック分散液において、前記(B)高分子分散剤が、少なくとも不飽和二重結合とウレタン結合を有する化合物を含むことを特徴とするカーボンブラック分散液。
【請求項2】
前記不飽和二重結合とウレタン結合を有する化合物が、フェニルメタンイソシアネートの多量体と水酸基を有する多官能又は単官能(メタ)アクリル化合物を反応させた一般式(1)に示すウレタンアクリレート樹脂、であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンブラック分散液。
【化1】

(式(1)においてRは、多官能又は単官能(メタ)アクリル化合物を示す。)
【請求項3】
前記ウレタンアクリレート樹脂の添加量がカーボンブラック顔料に対して、5質量%から50質量%であることを特徴とする請求項2に記載のカーボンブラック分散液。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーボンブラック分散液に、少なくとも(D)バインダー樹脂、(E)光重合開始剤、(F)エチレン性二重結合を少なくとも一個以上有する化合物、を加えたことを特徴とする黒色感光性組成物。
【請求項5】
カーボンブラック顔料が全固形分の40質量%から60質量%の範囲で含まれることを特徴とする請求項4に記載の黒色感光性組成物。
【請求項6】
請求項4または5に記載の黒色感光性組成物を使用してブラックマトリクスを形成したことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項7】
請求項6に記載のカラーフィルタを使用したことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−237466(P2009−237466A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86325(P2008−86325)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】