説明

カーボンベース物質による基材の被覆方法

本発明は、カーボンベース物質による基材の被覆方法に関する。前記方法は、基材を、ポリマーフィルムで、基材の外側表面の少なくとも一ヶ所に少なくとも部分被覆する工程、及びポリマーフィルムを、酸素を本質的に含まない雰囲気中で、200℃〜2500℃の範囲の温度で炭化する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンベース物質による基材の被覆方法に関する。これは、基材を、ポリマーフィルムで、その外側表面の少なくとも一ヶ所で少なくとも部分被覆し、次いでポリマーフィルムを、酸素を実質的含まない雰囲気中で、200℃〜2500℃の範囲の温度で炭化することによる。
【背景技術】
【0002】
熱分解炭素は、特性が広範囲で異なる非常に強固な耐磨耗性物質として長く知られている。熱分解炭素は、その構造及び組成から生物学的適合性があり、そのため、医療技術における物質又は被覆物質として、特に全てのタイプの医療インプラントを製造するのに長く用いられている。乱層構造の熱分解炭素は、場合によっては、シリコン合金炭素微結晶を含むが、例えば、ステントの被覆及び人工心臓弁の製造に用いられる。米国特許第6,569,107号明細書には、炭素物質が化学的又は物理的蒸着法(CVD又はPVD)によって被覆される炭素被覆腔内ステントが記載されている。ドイツ特許DE3902856号明細書には、炭素繊維物品のコーキング、熱分解炭素の溶浸、及びそれに続くCVD炭素による表面封止によって製造された熱分解炭素を含む成形品が記載されている。
【0003】
PVD又はCVD条件下での熱分解炭素の析出は、適当なガス状又は揮発性炭素前駆体を慎重に選択することが必要で、基材上に、高温で、しばしばプラズマ条件下で、不活性ガス雰囲気中又は高い減圧下で析出される。加えて、種々の真空スパッタリング方法が、種々の構造の熱分解炭素を製造する最新技術で記載されている(例えば米国特許第6,355,350号明細書を参照されたい)。
【0004】
これらの先行技術の方法はすべて、炭素基材の析出が、極度の温度及び/又は圧力条件下で、慎重に複雑な処理制御により行われるという共通した事実を有する。
【0005】
さらに、基材物質及び最新技術で適用されたCVD炭素層の異なる熱膨張係数により、しばしば、層の基材に対する低い接着性のみが達成され、その結果、剥離、分解、及び一般的に不十分な表面品質が生じる。
【0006】
従って、例えばマイクロエレクトロニクス用途のための炭素物質又は炭素被覆基材の、生物学的適合性がある表面被覆を提供しうるような、基材をカーボンベース物質で被覆する、安価かつ容易な方法が切望されてきた。
【0007】
本発明の目的は、従って、広く入手可能な安価な出発物質を用いた、また制御容易なプロセス条件を用いた、カーボンベース物質による基材の被覆方法を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、医療技術用途の、特に、その表面特性が、制御された態様においてそれにより特定の所望される目的に適合しうる多様なタイプの医療インプラント用途のカーボンベース物質で被覆された基材を提供することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の他の目的は、マイクロエレクトロニクス用途のために、炭素被覆基材の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的に対する本発明の解決策は、請求項1に記載の方法からなる。本発明の方法の好ましい実施形態は、添付の従属請求項から誘導される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の範囲において、炭素被覆製品は、先ず基材をポリマーフィルムで表面の上に少なくとも部分被覆し、次いで酸素を含まない雰囲気中で、高温で炭化又は熱分解することによって、容易に製造されうることが見出された。
【0012】
本発明の文脈の範囲において、炭化又は熱分解は、通常、炭化水素に基づくポリマー物質であり、炭化後に大量の非晶質炭素が残留しているカーボンベース出発化合物の部分熱分解又はコーキングをいうと理解される。
【0013】
基材
本発明で用いられうる基材には、全ての実質的に耐熱性物質、すなわち、用いられる炭化条件及び/又は熱分解条件下で安定であり、好ましくはその形状を保持する物質が含まれうる。本発明で用いられうる基材の例としては、金属、合金、セラミック、グラファイト、ガラス、石、炭素繊維物質、炭素繊維複合材物質、鉱物、骨物質、及び炭酸カルシウムに基づく骨模造品等が含まれる。
【0014】
被覆の炭化中に、同時に焼結されて仕上げセラミックが形成されうるため、基材としてのセラミック生地の使用は本発明にも好都合でありうる。例えば、従来の市販の従来のセラミック(窒化ホウ素、炭化ケイ素等)、もしくは酸化ジルコニウム及びα−又はγ−Alのナノ結晶質生地、又は圧縮非晶質ナノスケールAlOOHエアロゲルを用いうる。これにより、温度約500〜2000℃、好ましくは約800℃で、ナノ多孔質炭素被覆成形品がもたらされ、多孔度約10nm〜100nmを有する被覆が得られる。
【0015】
本発明の方法により、極めて高い機械的充填能力を有する被覆が得られ、特に、それにより、過酷な機械的ねじれ、引張り、及び歪み荷重下に、二次的に加えられる被覆の摩耗につながる、従来の被覆基材との層間剥離の問題が解決される。
【0016】
本発明に従って被覆された基材に用いられる物質、特に医療目的のものには、この一覧が全てというわけではないが、チタン、白金、パラジウム、金等の金属、コバルト−クロム合金等の合金、低多孔度のグラファイト、ポリマー、炭素繊維インプラント、リン酸カルシウムセラミック、ゼオライト、酸化アルミニウム、アパタイトセラミック等のセラミック等の医療及び歯科分野で従来用いられる物質全てが含まれる。
【0017】
ポリマーフィルムでその外側表面の少なくとも1ヶ所で被覆されうる場合には、基材は実質的にいかなる外形をも有しうる。本発明で使用しうる基材の好ましい例として、義肢及び関節置換等の医療インプラント、骨インプラント、人工股関節及び座骨インプラント、ニチノールステント等の金属ステント、ポリマーステント、骨ねじ等の外科整形用補助具、爪、義歯床等のステント等の管内(intraluminally)で用いられうる器具が含まれる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態としては、被覆される基材には、ステント、特に金属ステントが含まれる。
【0019】
本発明で用いられうる基材の他の例としては、マイクロエレクトロニクス及びマイクロメカニックス分野での構成要素、ガラス及び石並びに炭素繊維複合材物質中の金属セラミック等の構造物質、ラシヒリング、スルザーパッキング、カートリッジシステム及びフィルターシステム、及び断熱物質等が含まれる。
【0020】
ポリマーフィルム
耐熱性基材は、本発明の方法により、外側表面の少なくとも1ヶ所に少なくとも部分的に被覆される。医療装置のような、ある好ましい用途としては、通常、一種類以上のポリマーフィルムで外側表面全てが被覆される。
【0021】
本発明の一実施形態としては、ポリマーフィルムは、例えばフィルム収縮方法によって基材に適用されるポリマーフィルムの態様か、又は基材に接着されうる。熱可塑性ポリマーフィルムは、加熱時であっても、殆どの基材に接着して適用されうる。
【0022】
適当なフィルムは、脂肪族または芳香族ポリオレフィンのホモポリマーまたはコポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリペンテン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニルまたはポリビニルアルコールなどのポリビニル、ポリ(メタ)アルリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ワックス、パラフィンワックス、フィッシャー−トロプシュワックス、ならびにこれらのホモポリマーまたはコポリマーの混合物および組合せ等からなる。
【0023】
好ましい実施形態としては、発泡ポリオレフィン、フェノール発泡体、ポリスチレン発泡体、発泡ポリウレタン、フルオロポリマー発泡体等の発泡ポリマーに基づくポリマーフィルム及び被覆が好都合に用いられうる。これらは、炭化工程における発泡多孔度の関数として調整可能な孔構造を有する被覆を製造しうるという利点を有する。発泡ポリマーを製造するためには、ハロ炭化水素及び低沸点炭化水素等の従来の発泡剤を用いる、全ての従来の最新技術の発泡方法が用いられうる。
【0024】
本発明の他の実施形態によれば、ポリマーフィルムはまた、ラッカー、ラミネート、又は被覆から選択された基材の被覆が含みうる。好ましい被覆は、基材の表面パリレン化(parylenation)により製造されうる。このプロセスでは、まず基材は、通常約600℃の高温でパラシクロファン処理され、ポリ-(p−キシリレン)のポリマーフィルムが基材の表面に形成される。このフィルムは、次に、炭化又は熱分解工程で炭素に転化されうる。
【0025】
好ましい実施形態において、パリレン化及び炭化の系は、数回繰り返されうる。
【0026】
適当なラッカーベースポリマーフィルムは、例えば、アルキド樹脂、フッ素化ゴム、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アミン樹脂、オイルベース、ニトロベース、ポリエステル、ポリウレタン、タール、タール様物質、タールピッチ、ビチューメン、デンプン、セルロース、シェラック、再生可能な素材の有機物質、又はそれらの組合せからなるバインダーベースを含むラッカーから製造されうる。
【0027】
本発明の方法において、前記ポリマーフィルムの数層がインプラントに適用され、次いで共に炭化されうる。異なるポリマーフィルム物質、個々のポリマーフィルム中の任意の添加剤又は異なる厚さのフィルムを用いて、傾斜被覆は、例えば被覆内部に多様な多孔度プロフィール又は吸着プロフィールを有する制御された態様で、インプラントに適用されうる。さらに、ポリマーフィルムの被覆及び炭化の系を、一度又は、場合によってはさらに複数回繰返して、カーボンベース多層被覆をインプラント上に製造しうる。ポリマーフィルム又は基材は、添加剤を用いることによって、前構成されるか、又は変性されうる。以下に記載したような適当な後処理工程は、個々の層の酸化処理等の本発明の方法によるポリマーフィルムの被覆及び炭化の各工程後、又は個々の工程系の後に用いられうる。
【0028】
例えば熱的方法、圧縮方法、又はウェットインウェット方法等の成層技術によって、上記のラッカー又は被覆溶液により被覆されたポリマーフィルムを用いてインプラントを被覆することもまた、本発明に好都合でありうる。
【0029】
本発明のある実施形態において、ポリマーフィルムは、前記方法によるカーボンベース基材の被覆の肉眼的特性及び/又はフィルムの炭化性能に影響を及ぼす添加剤を与えられうる。適当な添加剤の例には、充填剤、増孔剤、金属又は金属粉等が含まれる。無機添加剤及び充填剤の例には、酸化ケイ素及び酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、ゼオライト、酸化ジルコニウム、酸化チタン、タルク、グラファイト、カーボンブラック、フラーレン、粘土物質、フィロケイ酸塩、ケイ化物、窒化物、金属粉末、特に、銅、金及び銀、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レ二ウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、又は白金等の触媒活性遷移金属が含まれる。
【0030】
ポリマーフィルム中のこれらの添加剤により、得られた炭素被覆と同様に、例えばフィルムの生物学的、機械的、及び熱的特性を変え、調整しうる。例えば、層状シリケートを組込むことによって、炭素層の熱膨張係数は、セラミック基材のものに適合されうるため、適用されるカーボンベース被覆は、大きな温度差にさらされた場合でさえ十分に接着する。アルミニウムベース充填剤を添加すると、熱膨張係数が増大し、ガラスベース、グラファイトベース又は石英ベース充填剤を添加すると、熱膨張係数が低減されるため、ポリマー系において成分を混合すると、結果として熱膨張係数を個々のベースで調整することができる。他の可能な特性の調整としては、例えば、これに限られないが、炭素繊維、ポリマー繊維、ガラス繊維、又は他の繊維を、織布又は不織布形態で添加して、繊維複合材を製造することにより達成されうる。これにより、被覆の弾性が明らかに増大する。
【0031】
ポリマーフィルムには、商業的に入手されうるか、又は実際にいかなる所望の寸法にも容易に製造されるという利点がある。ポリマーフィルムは、容易に入手可能であり、安価であり、幅広い種類の異なるタイプの基材に容易に適用されうる。本発明のポリマーフィルムは、基材に適用される前又は後に、折曲げ加工、エンボス加工、打抜加工、圧縮成形、押出し成形、ギャザリング、射出成形等による熱分解及び/又は炭化の前に、適当な方法で構築されうる。このように、ある規則的又は不規則なタイプの構造は、本発明の方法による製造される炭素被覆中に組込まれうる。
【0032】
本発明により用いられうるラッカー形態の被覆、又は他の被覆のポリマーフィルムは、例えば拡散、塗装、ラッカー塗、分散被覆又は溶融被覆、押出し成形、流延成形、浸漬によって液体、スラリー、又は糊状態から、もしくは粉体被覆、櫛噴霧被覆、焼結等を用いて、本質的に公知手段により固体状態からホットメルトとして基材に適用されうる。本目的に適当なポリマー物質又はフィルムを用いて、適当に成形された基材のラミネーションはまた、基材をポリマーフィルムで被覆するために本発明で用いられうる方法である。
【0033】
ポリマーフィルムを用いた基材の被覆において、特に好ましくは、ドイツ特許DE10351150号明細書に記載されるような印刷方法によりポリ及び/又はその溶液を適用することであり、その開示内容は完全に本明細書に引用して含まれる。この方法により、適用されたポリマー物質の層の厚さの、特に正確かつ再現性のある調整が可能となる。
【0034】
炭化
基材に適用されたポリマーフィルムを、場合によっては乾燥した後、被覆として基材に適用されたポリマーフィルムが、高温で本質的に酸素を含まない雰囲気中で炭化される炭化条件下で熱分解する。炭化工程温度は、好ましくは200℃〜2500℃の範囲で、用いたポリマーフィルム及び基材の特定の温度依存特性の関数として当業者に選択される。
【0035】
本発明の方法で一般的に用いられうる炭化工程の好ましい温度は、約200℃〜約1200℃である。ある実施形態では、250℃〜700℃の範囲の温度が好ましい。一般的に、温度は用いる物質の特性に従って選択されるため、ポリマーフィルムは、本質的に完全に、最低可能温度でカーボンベース固体に転化される。物質の多孔度、強度及び剛性同様他の特性は、熱分解温度の適当な選択及び/又は制御により、制御形態で調整されうる。
【0036】
孔は、好ましくは、その全開示内容が本明細書に引用して完全に含まれる、ドイツ特許DE10335131号及びPCT/EP04/00077号明細書に記載された処理方法等によって、インプラント上の本発明の層において製造される。
【0037】
2000℃以上までの非常に高い温度を用いて、本発明により、グラファイト形態のカーボンベース被覆が製造されうる。炭化温度を適切に選択して、低温における完全な非晶質から高温における高度な結晶まで、被覆の結晶度を制御して調整しうる。従って、特に所望の適用により、被覆の機械的特性をまた制御形態で、調整し、最適化しうる。
【0038】
本発明の方法の炭化工程における雰囲気は本質的に酸素を含まない。不活性ガスの混合物が好ましいのと同様に、例えば、窒素、アルゴン、ネオン等の希ガス、及び炭素と反応しないいかなる他の不活性ガス又はガス化合物をも含む、不活性ガス雰囲気を用いることが好ましい。窒素及び/又はアルゴンが好ましい。
【0039】
炭化は、通常、上記の不活性ガス等の存在下、標準気圧で行われる。必要に応じて、しかしより高い不活性ガス圧がまた、好都合に用いられうる。本発明の方法のある実施形態においては、炭化はまた、減圧(すなわち真空)で行われうる。
【0040】
加熱炉処理
熱分解工程は、好ましくは、連続加熱炉プロセスで行われる。場合によっては、構築され、被覆され、又は前処理されたポリマーフィルムは、一端で加熱炉中に送られ、他端で再び加熱炉から出てくる。好ましい実施形態として、ポリマーフィルム及び/又はポリマーフィルムから作られた物体は、加熱炉内の多孔板、スクリーン等上に留まるため、ポリマーフィルムは、熱分解及び/又は炭化プロセス中圧力下にありうる。これにより、物体を加熱炉内に固定する簡単な手段だけでなく、吸気効果及び、場合によっては、熱分解及び/又は炭化中にフィルム及び/又は構成要素を介した不活性ガス流もまた可能になる。
【0041】
加熱炉は、対応する不活性ガスロックを介して個々の部分に分割されるため、1以上の熱分解工程及び/又は炭化工程が、これらの個々の部分において、場合によっては、異なる温度レベル、異なる不活性ガス、及び/又は真空等の異なる熱分解及び/又は炭化条件下で行われうる。
【0042】
さらに、第二の活性化等の後処理工程はまた、場合によっては、加熱炉の対応する部分において、還元若しくは酸化、又は金属塩溶液による含浸等によって行われうる。
【0043】
これに代わるものとして、熱分解/炭化はまた、密閉型加熱炉において行われうる。これは、特に、熱分解及び/又は炭化が真空で行われる場合に好ましい。
【0044】
本発明の方法における熱分解及び/又は炭化中には、ポリマーフィルムは、通常、用いられる出発物質及び前処理に応じて、約5%〜95%、好ましくは約40%〜90%、特には50%〜70%の重量減を示す。加えて、ポリマーフィルム、及び/又は構造体及び/又はポリマーフィルムから製造された構成要素の収縮は、通常、本発明の方法の熱分解及び/又は炭化中でおこる。この収縮は、およそ0%〜約95%、好ましくは10%〜30%でありうる。
【0045】
本発明の方法において、被覆の導電率は、用いられる熱分解及び/又は炭化の温度、及び用いられる添加剤及び/又は充填剤物質のタイプ及び量に応じて広い範囲で調整されうる。これは、特に、マイクロエレクトロニクスにおける用途で好都合である。従って、より温度が低い場合に比べ、生じる被覆の黒鉛化のため、1000℃〜2500℃の範囲の温度で、導電率はより高く達成されうる。加えて、しかし、導電率は、例えばグラファイトをポリマーフィルムに添加することによってもまた増大し、次いで、低温で熱分解及び/又は炭化されうる。これらの変性した被覆基材は、例えば感知装置の製造に適する。
【0046】
本発明により製造されたカーボンベース被覆の炭素含有量は、出発物質及び充填剤物質のタイプ及び量に応じ、少なくとも1wt%(重量パーセント)、好ましくは少なくとも25wt%、場合によってはまた少なくとも60wt%、特に好ましくは少なくとも75wt%である。本発明の特に好ましい被覆の炭素含有量は少なくとも50wt%である。
【0047】
後処理
本発明の方法の好ましい実施形態において、得られた基材のカーボンベース被覆の物理的及び化学的特性は、さらに、炭化後の適当な後処置工程により変性され、その都度所望の用途に適合されうる。
【0048】
熱分解及び/又は炭化後に得られる多孔質カーボンベース被覆の特性は、制御態様で影響を受けた後、精製されうる。すなわち、ポリマーフィルムの一方の側又は両側を、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、タール、タールピッチ、ビチューメン、ゴム、ポリクロロプレン、又はポリ(スチレン-コ-ブタジエン)ラテックス物質、シロキサン、シリケート、例えば遷移金属塩等の金属塩及び/又は金属塩溶液、カーボンブラック、フラーレン、活性炭素粉末、炭素モレキュラーシーブ、ペロブスカイト、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ボロン、窒化ケイ素、Pt、Pd、Au、又はAg等の貴金属粉末、及びそれらの組合せで被覆するか、又はこれらの物質をポリマーフィルム構造中に標的として組込むことによる。加えて、多層被覆はまた製造されうる。得られた炭素被覆の熱膨張係数、同様に機械的特性は、例えば層状シリケート、ナノ粒子、又は無機ナノ複合材を、ポリマーフィルム中に組込むことによって、又はポリマーフィルムを、層状シリケート、金属、金属酸化物等により被覆することによって変性されうる。
【0049】
被覆基材の本発明による製造においては、上記の添加剤をポリマーフィルム中に組込むことにより、適用する層の基材への接着を改良する可能性がある。さらに、例えば、これらの被覆基材が被覆の分解及び剥離に対してより耐性になるように外側層の熱膨張係数を基材のそれに対して調整する可能性がある。従ってこれらの被覆は耐久性があり、コンクリート用途においては、このタイプの従来製品よりもさらに長期安定性である。
【0050】
金属及び金属塩(特にまた貴金属及び遷移金属)を適用するか、又はそれを組込むことにより、得られるカーボンベース被覆の化学的、生物学的、及び吸着特性を、その都度所望の要件に合致させることができるため、得られる被覆は、例えば特定の用途に対する均一触媒特性をも付与されうる。
【0051】
本発明の方法の好ましい実施形態としては、カーボンベース被覆の物理的及び化学的特性は、さらに、熱分解及び/又は炭化の後、適当な後処理工程によって変性され、その都度所望の用途に適合される。
【0052】
適当な後処理としては、例えば、被覆が、水素、一酸化炭素、スチーム、酸素、空気、硝酸等、及び場合によっては、それらの混合物等の適当な還元剤及び/又は酸化剤により処理される、還元又は酸化後処理工程が含まれる。
【0053】
後処理工程は、場合によっては、例えば、40℃〜1000℃、好ましくは70℃〜900℃、特に好ましくは100℃〜850℃、最も特に好ましくは200℃〜800℃であり、特に約700℃である、高温、しかし分解温度未満で行われうる。特に好ましい実施形態としては、本発明により製造された被覆は、還元若しくは酸化により、又はこれらの後処理工程の組合せにより、室温で変性される。
【0054】
酸化若しくは還元処理により、又は添加剤、充填剤、又は機能性物質の組込みにより、本発明により製造された被覆の表面特性は、制御態様で影響を及ぼされうるか、及び/又は変性されうる。例えば、層状シリケート等の無機ナノ粒子又はナノ複合材を組込むことにより、親水特性又は疎水特性を被覆表面に付与することができる。
【0055】
さらに、被覆基材の表面特性はイオン注入によって変性されうる。例えば、窒素を注入することにより、確実にカーボンベース被覆の化学的耐性及び機械的耐性が増大する遷移金属が組込まれた窒化物、炭窒化物、又はオキシ窒化物相の形成が可能となる。炭素イオンの注入により、被覆の機械的強度が増大され、多孔質層の後圧縮に用いられうる。
【0056】
本発明により製造された被覆は、その後に適当な添加剤を組込むことにより生物学的適合性のある表面をも付与され、場合によっては、バイオ反応器又は薬剤ビークルとして用いられうる。それにより、薬剤又は酵素が物質中に導入され、例えば、その場合、前者は制御態様で、被覆の適当な遅延放出処方及び/又は選択的浸透特性により放出されうる。
【0057】
さらにある実施形態については、例えば表面被覆されたステントが親油性物質及び/又は活性成分を取込めるよう、本発明により製造された被覆をフッ化することが好ましい。
【0058】
本発明の方法により、基材上の被覆を、例えばカーボンベース被覆が微生物又は微生物の増殖を容易にするか、又は促進するような適当な後処理工程により、細孔サイズを変化させることによっても適切に変性しうる。適当な被覆基材は、そのとき例えばバイオ反応器中の微生物の成長培地として用いられうる。被覆の多孔度は、好都合に調整され、それにより外部表面に密集する細胞又は微生物への栄養分の供給が、基材上にある栄養分の沈積物又は活性成分の沈積物により確保され、栄養分が、カーボンベース被覆を介した浸透により基材から表面の微生物の密集部位へ到達するであろう。
【0059】
炭化された被覆はまた、場合によっては、他の任意の処理工程で所謂CVD処理(化学蒸着)に付されて、その表面構造、又は細孔構造及びその特性が変性されうる。これは、炭化された被覆を適当な前駆体ガスにより高温で処理することによりなされる。これらの方法は、長期にわたり最新技術で知られている。
【0060】
CVD条件下で十分な揮発性を有する殆ど全ての飽和及び不飽和炭素が、炭素を分離する前駆体として用いられうる。例には、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、線状及び分岐アルカン、炭素数C〜C20のアルケン及びアルキン、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素、同様に一つ以上のアルキル、アルケニル、及びアルキニル置換体を有する、トルエン、キシレン、クレゾール、スチレン等の芳香族が含まれる。
【0061】
用いられうるセラミック前駆体には、BCl、NH、テトラエトキシシラン(TEOS)、SiH、ジクロロジメチルシラン(DDS)、メチルトリクロロシラン(MTS)等のシラン、トリクロロシリルジクロロボラン(TDADB)、ヘキサジクロロメチルシリルオキシド(HDMSO)、ALCl、TiCl、及びそれらの混合物が含まれる。
【0062】
これらの前駆体は、通常、CVD処理において約0.5vol%〜15vol%の低濃度で、窒素、又はアルゴン等の不活性ガスと混合して用いられる。水素はまた、適当なガス分離の混合物に加えられうる。500℃〜2000℃、好ましくは500℃〜1500℃、特に好ましくは700℃〜1300℃の温度で、これらの化合物は、本質的に均一に、熱分解された被覆の多孔系中に析出される、炭化水素のフラグメント及び/又は炭素、もしくはセラミック前駆体を分離し、それらは、細孔構造を変性し、かようにして本質的に均一な細孔サイズ及び細孔分布にさらに最適化される。
【0063】
本発明により製造されたカーボンベース被覆は、機械的強度が極めて良好である。ステンレススチール(例えば316L)上の本発明の被覆は、通常、弾性率約10〜30GPa、ビッカース硬度約200〜600(典型的には約400)、及び摩擦係数約0.03〜0.2(典型的には約0.14)である。層の剥離は、約30〜60N以上(引っかき接着)でのみ観察される。磨耗は、約40mN〜400mN以上で観察される。
【0064】
熱分解炭素は、通常、インプラントの外側被覆等の医療用途に用いられうる生物学的利用可能性が高い物質である。本発明で被覆された基材の生物学的適合性はまた、上記のように、炭化前に、制御態様で、添加剤、充填剤、蛋白質、もしくは機能性物質及び/又は医薬品をポリマーフィルム中に組込むことにより影響を受けるか、及び/又は変性されうる。このように、本発明により製造されたインプラントを用いる場合、身体の拒絶反応は減少又は完全に防止されうる。
【0065】
特に好ましい実施形態においては、本発明により製造された炭素被覆された医療インプラントは、適用された炭素層の多孔度を制御して調整することにより、活性成分を基材から外側雰囲気中に制御して放出するのに用いられうる。このように、医療インプラントは、例えば、蓄積物効果を有する薬剤ビークルとして用いられ、それにより、インプラントのカーボンベース被覆は、活性成分の放出を調節する膜として用いられうる。薬剤は生物学的適合性被覆にも適用されうる。これは、特に、金属の場合のように、活性成分が直接基材中に又はそれに適用されない場合に有用である。
【0066】
さらに、本発明により製造された被覆は、他の処理工程において薬剤のような医薬をロードされるか、又は体内の被覆インプラントを局部化するための造影剤であるマーカー、若しくは放射性アイソトープの治療又は診断量を充填されうる。後者は、特にポリマー層に比べて放射能の影響又は攻撃を受けないから、本発明のカーボンベース被覆が適する。
【0067】
医療分野において、本発明により被覆されたインプラントは、カーボンベース被覆の強度が高いのみならず、弾性及び柔軟性が十分であることから、特に顕著な長期安定性に特に優れることが証明されることにより、特に高ストレス下にある関節の場合、割れの発生又は層の剥離といういかなるリスク危険もなく、インプラントの動きに合致しうる。
【0068】
本発明は、好ましい実施形態を表す実施例に基づいてさらに詳細に説明されるが、これは、いかなる請求項に記載される本発明をも必然的に限定するものではない。
【実施例】
【0069】
実施例1:炭素
本発明により被覆された炭素物質を次のように調製した。ドクターブレードを用いて紙に市販のエポキシ化フェノール樹脂ラッカーで繰返し被覆した後、室温で乾燥することにより、ポリマーフィルムを紙に生地として坪量38g/mで適用した。乾燥重量は、125g/mであった。窒素下800℃48時間での熱分解により、非対称構造で、収縮率20%、及び重量減57%の寸法の炭素シートを得て、厚さ40マイクロメーターの開孔炭素基材の上の厚さ10マイクロメーターの、全厚が50マイクロメーターである本発明の稠密カーボンベース層を、そのまま紙から熱分解条件下で形成した。被覆炭素物質の吸着容量は、エタノール18g/m以下であった。
【0070】
実施例2:ガラス
デュロプラン[Duroplan](登録商標)ガラスを、界面活性剤を含む水浴中で15分間超音波洗浄して、その後蒸留水及びアセトンですすいで乾燥した。フェノール樹脂ベースの従来のパッキングラッカーを用いて、この物質を被覆重量2.0・10−4g/cmで浸漬被覆して被覆した。次いで、窒素下800℃48時間で炭化後、被覆重量は0.33・10−4g/cmに減少した。当初の無色から黒輝色に変化した被覆は、炭化後には殆ど不透明だった。被覆硬度を筆記具で、重量1kg角度45゜で被覆表面上の線引きにより試験した結果、硬度5Hまでは、表面に目視で判別可能な損傷は全く生じなかった。
【0071】
実施例3:ガラス(CVD被覆)(比較例)
デュロプラン[Duroplan](登録商標)ガラスを、15分間超音波洗浄して、蒸留水及びアセトンですすいで乾燥した。窒素流によるバブラー中で、30℃のベンゼンをガラス表面と1000℃で30分間接触させ、それをフィルムとしてガラス表面上に析出させることにより、化学蒸着(CVD)により、この物質を、0.05・10−4g/cmのカーボンで被覆した。当初の無色から灰輝色に変化したガラス表面は、炭化後には透明であった。筆記具により角度45゜重量1kgで被覆表面上に線引きすることによる被覆の硬度試験では、硬度6Bまでは、表面に目視で判別可能ないかなる損傷も現れなかった。
【0072】
実施例4:ガラスファイバー
直径200マイクロメーターのデュロプラン[Duroplan](登録商標)ガラス繊維を、15分間超音波洗浄して、次いで蒸留水及びアセトンですすいで乾燥する。次いで、市販のパッキングラッカーを用いて、この物質を被覆重量2.0・10−4g/cmで浸漬被覆することにより被覆する。次いで800℃48時間で熱分解及び炭化の後、被覆重量は、0.033・10−4g/cmに減少する。当初の無色から黒輝色に変化した被覆は、炭化後には殆ど全く不透明である。ラジウム180゜での曲げによる接着試験では、いかなる剥離、すなわち表面に目視で判別可能ないかなる損傷をも生じない。
【0073】
実施例5:ステンレススチール
0.1mm箔の形状のステンレススチール1.4301番[Goodfellow]を、15分間超音波洗浄して、蒸留水及びアセトンですすいで乾燥する。次いで、従来のパッキングラッカーを用いて、この物質を被覆重量2.0・10−4g/cmで浸漬被覆することにより被覆する。続く窒素下800℃48時間で熱分解及び炭化の後、被覆重量は、0.49・10−4g/cmに減少する。当初の無色であった被覆は、炭化後にマットブラック色になる。筆記具で、角度45゜重量1kgで被覆表面上に線引きすることによる被覆の硬度試験では、硬度4Bまで、表面に目視で判別可能な損傷は全くない。接着片引離し試験(長さ少なくとも3cmのテサ[Tesa](登録商標)テープ片を、親指で60秒間押つけて表面に接着し、次いで表面から角度90゜で引離す)では、殆どいかなる接着も示されない。
【0074】
実施例6:ステンレススチール(CVD被覆)(比較例)
0.1mm箔のステンレススチール1.4301番[Goodfellow]を、15分間超音波洗浄し、蒸留水及びアセトンですすいで乾燥する。次いで、化学蒸着(CVD)によって、この物質を0.20・10−4g/cmの量で被覆する。そのようにして、窒素流によるバブラー中で、30℃のベンゼンを高温の金属表面と1000℃で接触させることにより、高温で分解してフィルムとして金属表面上に析出させる。初めに金属質であった表面は、本析出後に黒輝色になる。筆記具で、角度45゜重量1kgで被覆表面上に線引きする被覆の硬度試験では、硬度4Bまで、表面に目視で判別可能な損傷は全く示されない。
【0075】
長さ少なくとも3cmのテサ[Tesa](登録商標)接着テープ片を、表面に親指で60秒間表面に押つけた後、表面から角度90゜で再度引離すテサ[Tesa](登録商標)接着フィルム引離し試験では、明らかな目視による灰色接着が示される。
【0076】
実施例7:チタン
0.1mm箔としての99.6%チタン[Goodfellow]を、15分間超音波処理し、蒸留水及びアセトンですすいで乾燥する。従来のパッキングラッカーを用いて、この物質を2.2・10−4g/cmの量で浸漬被覆することにより被覆する。次いで窒素下800℃48時間での熱分解及び炭化の後、被覆重量は、0.73・10−4g/cmに減少する。初めに無色であった被覆は、マット灰色味黒輝色になる。筆記具により、角度45゜重量1kgで被覆表面上に線引きする被覆の硬度試験では、硬度8Hまで、表面に目視で判別可能な損傷は全く示されない。例えば、被覆は、クリップでは削られないであろう。長さ少なくとも3cmのテサ[Tesa](登録商標)テープ片を、表面に親指で60秒間押付け、次いで角度90゜で表面から引離す引離し試験では、全く接着は示されない。
【0077】
実施例8:チタン(CVD仕上げ)
1mmフィルムとしての99.6%チタン[Goodfellow]を、15分間超音波洗浄し、蒸留水及びアセトンですすいで乾燥する。市販のパッキングラッカーを用いて、この物質を2.2・10−4g/cmの量で被覆する。続く窒素下800℃48時間での熱分解及び炭化の後、被覆重量は、0.73・10−4g/cmに減少する。さらに、化学蒸着(CVD)によって、この物質を0.10・10−4g/cmで被覆する。そのようにして、窒素流によるバブラー中で、30℃のベンゼンを高温の被覆金属表面と1000℃で30分接触させた後に分解し、フィルムとして金属表面上に析出させる。初めに金属質であった表面は、この析出後に黒輝色になる。400℃に冷却後、空気をその上に3時間通すことにより表面酸化する。筆記具を用いて、角度45゜重量1kgで被覆表面上に線引きする被覆の硬度試験では、硬度8Hまで、表面に目視で判別可能な損傷は全く示されない。長さ少なくとも3cmのテサ[Tesa](登録商標)接着テープ片を、親指で表面に60秒間押付け、次いで表面から角度90゜で引離す引離し試験では、テープに接着する灰色物質が示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材をカーボンベース物質で被覆するための方法であって、該方法は、
a)基材を、ポリマーフィルムで、該基材の外側表面の少なくとも1ヶ所で少なくとも部分被覆する工程、及び
b)ポリマーフィルムを、酸素を本質的に含まない雰囲気中で、200℃〜2500℃の範囲の温度で炭化する工程
を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記ポリマーフィルムは、充填剤、増孔剤、金属、エキステンダー、潤滑剤、及び顔料の群から選択される添加剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記添加剤は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、酸化ジルコニウム、酸化チタン、タルク、グラファイト、カーボンブロック、ゼオライト、粘土鉱物、フィロケイ酸塩、フラーレン、触媒、金属、及び金属化合物等から選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマーフィルムは、脂肪族又は芳香族の、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリペンテン、ポリブタジエン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル又はポリビニルアルコール等のポリビニル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ワックス、パラフィンワックス、フィッシャー-トロプシュワックスのホモポリマー又はコポリマー、並びにこれらのホモポリマー又はコポリマーの混合物及び組合せから選択されるフィルムを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマーフィルムは、ラッカー、ラミネート、又は被覆から選択される被覆を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーフィルムは、バインダーベースを含むラッカーから製造されるラッカーフィルムであり、前記バインダーベースは、アルキド樹脂、塩素化ゴム、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、フェノール樹脂、アミン樹脂、オイルベース、ニトロベース、ポリエステル、ポリウレタン、タール、タール様物質、タールピッチ、ビチューメン、デンプン、セルロース、シェラック、ワックス、再生可能な素材である有機物質、又はそれらの組合せからなることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記カーボンベース物質は、炭化後、酸化及び/又は還元後処理に付され、場合によっては、炭素及び/又はセラミックを析出するためのCVD手順に付されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記基材は、金属、合金、セラミック、ゼオライト、グラファイト、ガラス、石、砂、炭素繊維複合材、骨又は骨様物質、骨代替物、鉱物、前駆物質、及びセラミック生地、同様にそれらの組合せから選択されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記基材は、医療インプラント、ステント、又は触媒担体から選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記被覆基材は、活性成分又は微生物を充填されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記適用された活性成分は、制御された態様で、使用のために環境中に放出されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法によって製造可能である炭素被覆基材。

【公表番号】特表2007−502708(P2007−502708A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529774(P2006−529774)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004987
【国際公開番号】WO2004/101177
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505257349)ブルー メンブレーンス ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】