説明

カーポート

【課題】屋根部を形成する雨除け部材を台風等の強風時には折り畳むことによって、その強風による被害を最小限度に抑えることができるカーポートを提供する。
【解決手段】支柱部1aの上端部に梁部1bを連接してなる支持枠1をカーポート用地Gに一定間隔おきに立設し、これら支持枠1には梁部1bの下面側に亘って梁部1bと直交する複数のガイドレール2,2を架設し、これらのガイドレール2,2に、可撓性の雨除け部材3を、ガイドレール2の全長に亘って伸びる伸張位置とガイドレール2の一端部側に折り畳まれて収縮する収縮位置とに伸縮可能に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用のカーポートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の家庭用カーポートとして、特許公報等の具体的な公知文献を挙げることはできないが、従来より家庭用カーポートとして使用されているルーフ式のカーポートは、支柱部の上端部に梁部を水平又は上り傾斜状に突設してなる略L字状の支持枠をカーポート用地の一側部に一定間隔おきに立設し、これら支持枠の梁部に、トタン等の金属板やポリカーボネート等の硬質プラスチック板からなるルーフ部材を架け渡して固定屋根を形成したものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のルーフ式カーポートは、上記のように屋根が金属板やプラスチック板等の硬質ので固定的に設置されているために、台風時のように強風が吹き荒れるような時にはその風圧でルーフ部材が吹き飛ばされたり、またルーフ部材と共に支持枠が破損するなどの被害を受けることが多かった。
【0004】
本発明は、上記の課題に鑑み、屋根部を形成する雨除け部材を台風等の強風時には折り畳むようにすることによって、そのような強風による被害をできるだけ少なくするようにしたカーポートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明のカーポートは、支柱部1aの上端部に梁部1bを連接してなる支持枠1をカーポート用地Gに一定間隔おきに立設し、これら支持枠1には梁部1bの下面側に亘って梁部1bと直交する複数のガイドレール2,2を架設し、これらのガイドレール2,2に、可撓性の雨除け部材3を、ガイドレール2の全長に亘って伸びる伸張位置とガイドレール2の一端部側に折り畳まれて収縮する収縮位置とに伸縮可能に取り付けてなることを特徴としている。
【0006】
請求項2は、請求項1に記載のカーポートにおいて、雨除け部材3にはその幅方向に延びる骨部材4を雨除け部材長手方向一定間隔おきに取り付け、各骨部材4の両端部にハンガー6を取り付けて、各ハンガー6をガイドレール2にスライド可能に支持させるようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項3は、請求項2に記載のカーポートにおいて、雨除け部材3が伸張位置において隣り合う骨部材4,4間で夫々断面円弧状の撓み部3aを形成するように、隣り合う骨部材4,4どうしを撓み部紐17で連結したことを特徴とする。
【0008】
請求項4は、請求項1に記載のカーポートにおいて、雨除け部材3には長さ方向一定間隔おきに折目21をつけて、その折山22の少なくとも両端部位にレール挿通孔23を設け、これらのレール挿通孔23にガイドレール2が挿通するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明によれば、平常時は、雨除け部材3を伸張位置に伸張させておいて、例えば台風シーズンに入って、もうすぐ台風が接近するというような時に、それまで伸張位置に保持していた雨除け部材3を折り畳むようにして伸張位置から収縮位置に収縮させることにより、台風等の強風によるルーフ式カーポートの被害を最小限度に抑えることができる。
【0010】
また、この発明のカーポートは、従来のルーフ式カーポートのルーフ部材と同様の機能を有する雨除け部材3を備えているが、この雨除け部材3は、ルーフ式カーポートの固定屋根とは異なり、折り畳み可能なもので、建築基準法で建ぺい率の対象となる建物の屋根には該当せず、あくまでも雨除け部材にすぎないものであり、従ってカーポートは屋根無しカーポートとなるため、所定の敷地に家を建てる場合に、その家屋部分を十分広くとることができる。
【0011】
請求項2に係る発明のように、雨除け部材3に、その幅方向に延びる骨部材4を雨除け部材長手方向一定間隔おきに取り付け、各骨部材4の両端部にハンガー6を取り付けて、各ハンガー6をガイドレール2にスライド可能に支持させるようにすることにより、雨除け部材3を伸張位置と収縮位置とに伸縮可能とすることができる。
【0012】
請求項3に係る発明のように、雨除け部材3が伸張位置において隣り合う骨部材4,4間で夫々断面円弧状の撓み部3aを形成するように、隣り合う骨部材4,4どうしを撓み部紐17で連結することにより、伸張位置、即ち使用位置では雨除け部材3が波板状又は蛇腹状を呈して、外観上の体裁、見栄えが良くなり、意匠的効果を発揮させることができる。
【0013】
請求項4に係る発明のように、雨除け部材3に長さ方向一定間隔おきに折目21をつけて、その折山22の少なくとも両端部位にレール挿通孔23を設け、これらのレール挿通孔23にガイドレール2を挿通させることにより、雨除け部材3を簡単容易に伸張位置と収縮位置とに伸縮可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の好適な実施形態を図面にもとづいて説明すると、図1は本発明に係るカーポートの正面図、図2は図1のX−X線に沿って断面した概略断面図、図3は平面図、図4の(a) は図2の一部拡大図、(b) は(a) のY−Y線断面図である。
【0015】
このカーポートは、支柱部1aの上端部に梁部1bを緩い上り傾斜状に連接してなる略L字状の支持枠1を、カーポート用地Gの一側部に一定間隔おきに複数本(ここでは4本)立設し、これらの支持枠1…には梁部1b…の下面側に梁部1bと直交する一対のガイドレール2,2を架け渡す一方、可撓性の雨除け部材3にその幅方向に延びる骨部材4を雨除け部材長手方向一定間隔おきに多数取り付け、各骨部材4の両端部にガイド輪5付きハンガー6を取り付け、各ハンガー6のガイド輪5をガイドレール2に転動可能に係合して、各ハンガー6をガイドレール2にスライド可能に支持させることにより、雨除け部材3を、図1に示すようにガイドレール2の全長に亘って伸びる伸張位置と、ガイドレール2の一端部側に折り畳まれて収縮する収縮位置とに伸縮可能に構成したものである。
【0016】
上記カーポートの構造について更に詳しく説明すれば、各支持枠1の支柱部1aには上端部にベンド部1oが一体に形成され、このベンド部1oの先端部には上り傾斜状の梁部1bを形成する管材1boがジョイント杆7を介して一体的に連結されている。尚、ベンド部1oの先端側は梁部1bの一部を形成する。
【0017】
前記一対のガイドレール2,2は、図4の(a)、(b) に示すように、下端部両側に溝形レール部2a,2aを有するステンレス製のチャンネル材からなるもので、梁部1bの両端部下面側に夫々L字状の固定金具8を介して固定された断面コ字状のレール取付枠9,9に夫々取り付けられている。各L字状固定金具8は、ビス10で梁部1bの下面側に取り付けられ、この固定金具8にレール取付枠9がボルト11で固定され、このレール取付枠9にガイドレール2がボルト12によって取り付けられる。
【0018】
雨除け部材3は、可撓性を有する比較的柔らかいプラスチックシート材又はテント材を所定の大きさの長方形に形成したもので、この雨除け部材3には、雨除け部材3の幅寸法にほぼ等しい長さを有する例えばアルミ製の棒材からなる骨部材4が、図5の(a) に示すように雨除け部材3の長手方向に一定間隔おきに取り付けられて固定され、各骨部材4の両端部にハンガー6が取り付けられる。
【0019】
各ハンガー6は、一対のガイド輪5,5を軸着したハンガー本体13の下部側の螺軸部13aに雨除け部材取付金具14を高さ調整可能に取り付けたもので、ガイド輪5,5をガイドレール2のレール部2a,2aに係合させた状態で雨除け部材取付金具14を前記各骨部材4の端部に取付け固定している。雨除け部材取付金具14は、略倒L字状に形成されたもので、上板部14aにハンガー本体13の螺軸部13aを挿通し、下側から螺軸部13aに螺合したナット15によって高さ調整可能に固定すると共に、下板部14bをボルト16によって骨部材4の端部に固定するようになっている。
【0020】
尚、雨除け部材3に骨部材4を取り付けるには、骨部材4を雨除け部材3の下面側に当て付けて、骨部材4を接着剤で雨除け部材3に接着することにより固定するか、あるいは雨除け部材3に骨部材4を通し入れる袋部を予め形成しておいて、この袋部に骨部材4を挿通させるようにすればよい。
【0021】
図5の(a) は図1に示す雨除け部材3のように、雨除け部材3がガイドレール2の全長に亘って伸びた伸張位置にある状態を概略的に図示し、また同図の(b) は雨除け部材3がガイドレール2の一端側に折り畳まれて収縮した収縮位置にある状態を図示したもので、このように雨除け部材3は、(a) に示すような伸張位置と(b) に示すような収縮位置とに伸縮できるようになっている。
【0022】
尚、雨除け部材3の一端側(図5の左端側)に位置するハンガー6は、ガイドレール2の一端部に固定され、他端側(図5の右端側)にあるハンガー6は、ガイドレール2の他端部において、雨除け部材3を伸張位置に保持するために適当なストッパー手段によってガイドレール2に保持できるようになっている。簡単なストッパー手段の一例としては、ガイドレール2の他端部でレール部2aにガイド輪5を落とし込むような切欠部を設けておいて、雨除け部材3の伸張位置で雨除け部材3の先頭に位置するハンガー6のガイド輪5をその切欠部に落とし込むようにしたものでよい。
【0023】
また、この雨除け部材3は、図5から分かるように、伸張位置において雨除け部材3が隣り合う骨部材4,4間で夫々断面円弧状の撓み部3aを形成するように、隣り合う骨部材4,4どうしを撓み部形成用紐17によって連結しているから、伸張位置、つまり使用位置では雨除け部材3が波板状又は蛇腹状を呈して、外観上の体裁、見栄えが良くなり、意匠的効果を発揮することができる。尚、雨除け部材3の伸張位置では、撓み部形成用紐17は、図5の(c) に示すようにピンと張った状態にあるが、収縮位置においては、同図の仮想線図示のように撓んで折り畳まれた状態となり、また撓み部3aは更に撓んで折り畳まれた状態となる。
【0024】
また、上記一対のガイドレール2,2間には図1及び図3に一点鎖線で示すように複数組の交差筋違い18,18を介装し、これによって両ガイドレール2,2の間隔を保持するようにしている。図4の(a) には、各交差筋違い18の端部18aがレール取付枠9にボルト19で取り付けられている状態を示している。尚、この実施形態では、交差筋違い18,18をレール取付枠9,9間に介装しているが、このレール取付枠9にガイドレール2が一体的に取り付けられるから、両ガイドレール2,2間に交差筋違い18,18を介装したのと実質的に同じであって、両ガイドレール2,2の間隔を保持することができ、強風時に支持枠1の梁部1bが多少変形するようなことがあっても、雨除け部材3の伸縮動作をスムーズに行なわせることができる。
【0025】
上記のように構成されるカーポートにあっては、平常時は、雨除け部材3を図1及び図5の(a) に示すような伸張位置に伸張させて、適当なストッパー手段によりこの伸張位置に保持しておく。そして例えば台風の到来するシーズンに入って、もうすぐ台風が接近するというような時に、それまで伸張位置に保持していた雨除け部材3を、ストッパー手段による保持を解いた後、折り畳むようにして伸張位置から図5の(b) に示すような収縮位置に収縮させる。この収縮位置では、収縮した雨除け部材3を適当な紐で縛るようにするとよい。このように、台風等の強風時には、雨除け部材3を折り畳んで収縮することによって、台風等の強風によるカーポートの被害を最小限度に抑えることができる。
【0026】
図4及び図5に示す実施形態では、雨除け部材3にその幅方向に延びる骨部材4を雨除け部材3長手方向一定間隔おきに取り付け、各骨部材4の両端部にハンガー6を取り付けて、各ハンガー6をガイドレール2にスライド可能に支持させるようにすることにより、雨除け部材3を伸張位置と収縮位置とに伸縮可能としたが、図6には他の伸縮手段によって雨除け部材3を伸縮させるようにした実施形態示す。即ち、この実施形態においては、(a) に示すように雨除け部材3には長さ方向一定間隔おきに折目21をつけ、各折目21の外側部分である折山22には(a) に示すように当該折山22の両端部位にレール挿通孔23,23を貫通形成し、しかして例えばワイヤーからなるガイドレール2を、雨除け部材長手方向に隣り合う折山22,22の対向するレール挿通孔23,23どうし間に挿通させるようにしたもので、これにより雨除け部材3を(a) に示すような伸張位置と(b) に示すような収縮位置とに伸縮可能とすることができる。
【0027】
図6に示すような伸縮手段による雨除け部材3の伸縮構造によれば、伸縮構造が極めて簡単な構造であるから、製作が容易でコストの低廉化を図ることができる。この場合、ガイドレール2としてのワイヤーは、緊張させた状態に取り付ける。また、ワイヤーの他、金属線状体をガイドレール2として使用することができる。また、図6の実施形態では、各折山22の両端部の2箇所にレール挿通孔23を設けているが、レール挿通孔23は、両端部と中間部との3箇所でもよいし、雨除け部材3の幅寸法によっては、3箇所以上設けて、3本以上のガイドレール2を架設するようにしてもよい。
【0028】
また以上の実施形態では、支持枠1を、支柱部1aとこの上端部に連接される梁部1bとで略L字状に形成したものとしているが、支持枠1としては、両側一対の支柱部1a,1aと両支柱部1a,1aの上端部どうしをつなぐ梁部1bとで略門形に形成したものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るカーポートの正面図である。
【図2】図1のX−X線に沿って断面した概略断面図である。
【図3】図3は同カーポートの平面図、
【図4】(a) は図2の一部拡大図、(b) は(a) のY−Y線断面図である。
【図5】(a) は雨除け部材がガイドレールの全長に亘って伸びた伸張位置にある状態を示す概略断面図、(b) は雨除け部材がガイドレールの一端部側に折り畳まれて収縮した収縮位置にある状態を示す概略断面図、(c) は雨除け部材の一部拡大断面図である。
【図6】雨除け部材の他の伸縮手段を示すもので、(a) は伸張位置にある雨除け部材の斜視図、(b) は伸縮位置にある雨除け部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 支持枠
1a 支柱部
1b 梁部
2 ガイドレール
3 雨除け部材
3a 撓み部
4 骨部材
5 ガイド輪
6 ハンガー
17 撓み部形成用紐
21 折目
22 折山
23 レール挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱部の上端部に梁部を連接してなる支持枠をカーポート用地に一定間隔おきに立設し、これら支持枠には梁部の下面側に亘って梁部と直交する複数のガイドレールを架設し、これらのガイドレールに、可撓性の雨除け部材を、ガイドレールの全長に亘って伸びる伸張位置とガイドレールの一端部側に折り畳まれて収縮する収縮位置とに伸縮可能に取り付けてなることを特徴とするカーポート。
【請求項2】
雨除け部材にはその幅方向に延びる骨部材を雨除け部材長手方向一定間隔おきに取り付け、各骨部材の両端部にハンガーを取り付けて、各ハンガーをガイドレールにスライド可能に支持させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のカーポート。
【請求項3】
雨除け部材が伸張位置において隣り合う骨部材間で夫々断面円弧状の撓み部を形成するように、隣り合う骨部材どうしを撓み部形成用紐で連結したことを特徴とする請求項2に記載のカーポート。
【請求項4】
雨除け部材には長さ方向一定間隔おきに折目をつけて、その折山の少なくとも両端部位にレール挿通孔を設け、これらのレール挿通孔にガイドレールが挿通するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のカーポート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−208640(P2008−208640A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47232(P2007−47232)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000109152)ダイワラクダ工業株式会社 (16)
【Fターム(参考)】