説明

ガイドローラー

【課題】 磁気テープよりも幅の広いリーダーテープと連結テープとの係止接続部分がガイドローラーを通過する際に、ガイドローラーの突縁や係止接続部分が損傷するのを回避することのできるガイドローラーを提供する。
【解決手段】 駆動装置11に設けられ、テープカートリッジ12から引き出された磁気テープ13を磁気ヘッド14に案内する、回転支持軸22に装着される円筒スリーブ状のガイドローラー10であって、両端開口部24には、両端に突縁32を形成するフランジ部材25が各々偏心可能に遊嵌装着されるとともに、各フランジ部材25が、中空内部37に設けられた弾性部材によって、ガイドローラー10と同心配置されるように付勢されている。弾性部材は、例えば回転支持軸22が貫通する軸受盤38とフランジ部材25との間に介装して中空内部37の中央に配設されるコイルスプリング26によって構成される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動装置に設けられて、テープカートリッジから引き出された磁気テープを磁気ヘッドに案内するガイドローラーに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】単一のリールに磁気テープが巻き取られたDLT等のテープカートリッジは、駆動装置に装着されると、磁気テープの繰り出し側端部に設けられたリーダーテープに駆動装置の連結テープが係止接続して、磁気テープがカートリッジ本体から駆動装置に引き出される。引き出された磁気テープは、ガイドローラーを経て磁気ヘッドと接触しつつ通過し、磁気ヘッドとの間で情報の交換を行う。
【0003】ガイドローラーは、回転支持軸に装着される円筒スリーブ状の部材であって、その両端には、外方に突出する突縁が形成され、両端の突縁の間隔が磁気テープの幅と略一致していて、磁気テープがガイドローラーから脱落するのを防止つつ磁気テープを案内する。
【0004】しかしながら、ガイドローラーには、磁気テープのみならず、磁気テープを繰り出すためのリーダーテープ及び連結テープや、このリーダーテープと連結テープとの係止接続部分も通過するため、かかる係止接続部分が磁気テープよりも幅の広いものであると、ガイドロ−ラーの両端の突縁に乗り上げて、この突縁や係止接続部分が損傷することになる。
【0005】本発明は、磁気テープよりも幅の広いリーダーテープと連結テープとの係止接続部分がガイドローラーを通過する際に、ガイドローラーの突縁や係止接続部分が損傷するのを回避することのできるガイドローラーを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、駆動装置に設けられ、テープカートリッジから引き出された磁気テープを磁気ヘッドに案内する、回転支持軸に装着される円筒スリーブ部材からなるガイドローラーであって、上記円筒スリーブ部材の両端開口部には、両端に突縁を形成するフランジ部材が各々偏心可能に遊嵌装着されるとともに、上記各フランジ部材が、中空内部に設けられた弾性部材によって、上記円筒スリーブ部材と同心配置されるように付勢されるガイドローラーを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のガイドローラーを、その好ましい実施形態について説明する。本実施形態のガイドローラー10は、図1に示すように、テープカートリッジ12が装着される駆動装置11において、テープカートリッジ12から引き出された磁気テープ13を、当該磁気テープ13との間で情報を交換する磁気ヘッド14に案内するために設けられたものである。
【0008】磁気テープ13の繰り出し側端部には、スプライシングテープ15を介してリーダーテープ16が取り付けられており(図2(a)参照)、このリーダーテープ16のピン17からなる先端係止部18に、駆動装置11の巻取りリール36にその一端が固定された、連結テープ19のワイヤフック20からなる先端係止部21を係止接続し(図2(b)参照)、しかる後に巻取りリール18に巻き取ってゆけば、磁気テープ13は、6箇所に設けられたガイドローラ10により案内されて、磁気ヘッド14と接触する通過経路を経て情報を読み込んだり書き込んだりしつつ移動してゆく。
【0009】本実施形態のガイドローラー10は、図3(a)及び(b)に示すように、回転支持軸22に装着される円筒スリーブ部材23と、これの両端開口部24に偏心可能にそれぞれ遊嵌装着されたフランジ部材25と、円筒スリーブ部材23の中空内部37に設けられた一対の弾性部材としてのコイルスプリング26とによって構成されている。
【0010】円筒スリーブ部材23は、縦方向中央部分に上記回転支持軸22が貫通する軸受盤38を備えるとともに、この軸受盤38を挟んだ両側に中空内部37を備える断面H型の円筒状の部材である。軸受盤38は、ベアリング機構39等を介して回転支持軸22に貫通支持されていることにより、ガイドローラー10は、回転支持軸22を中心としてスムースに回転できるようになっている。
【0011】各フランジ部材25は、円筒スリーブ部材23よりも僅かに大きな直径の円盤プレート部27と、この円盤プレート部27から中空内部37側に突出して円筒スリーブ部材23の両端開口部24から中空内部37に遊嵌状態で挿入配置される、その外径が中空内部37の内径より小さな挿入突起28とからなる。また、円盤プレート部27の周端部は、円筒スリーブ部材23の外側に突出して、ガイドローラー10の両端に、磁気テープ等の脱落を防止する突縁32を形成する。さらに、このフランジ部材25の中央部分には、円板プレート部27及び挿入突起28を貫通して、回転支持軸22の外径よりもその内径が大きな支持軸挿通孔33が形成されている。
【0012】各コイルスプリング26は、回転支持軸22の周囲を旋回するようにして、中空内部37の中央に配設されるとともに、その一端が円筒スリーブ部材23の軸受盤38に、他端がフランジ部材25の挿入突起28にそれぞれ接続固定されていることにより、フランジ部材25が円筒スリーブ部材23と同心状となるように付勢して、フランジ部材25がその遊嵌状態によって円筒スリーブ部材23の中心から偏心した場合でも、これをもとの同心状態に復元させることが可能となっている。
【0013】なお、回転支持軸22の上下の端部には、円筒スリーブ部材23と略同じ径の押さえフランジ板29が取り付けられていて、ガイドローラー10が回転する際のリーダーテープ16や磁気テープ13のがたつきや正常な走行位置からの脱落を防止している。
【0014】本実施形態のガイドローラー10によれば、磁気テープ13やリーダーテープ16、連結テープ19等、磁気テープ13と同等の幅を有するテープ部材30を案内する場合には、図3(a)に示すように、これらのテープ部材30は、両端の突縁32の間に収容された状態で、正常な走行位置から脱落することなく、磁気ヘッド14や巻取りリール36に向かってスムースに案内されてゆく。
【0015】一方、磁気テープ13より幅の広い、リーダーテープ16と連結テープ19との係止接続部分40のうち、特にピン17が通過する場合には、ピン17がガイドローラー10の突縁32に乗り上がろうとすると、ピン17は、図3(b)に示すように、遊嵌状態にあるフランジ部材25を、コイルスプリング26による付勢力に抗して図の右側に押し出すようにスライド移動させる。これによって、当該ピン17と接触する側の突縁32は後退して円筒スリーブ部材23や押さえフランジ板29の外周面と略面一の状態となり、ピン17からの圧力をガイドローラー10の全体で受けて、ガイドローラー10の突縁32や、ピン17等によって係止接続部分40が損傷するのを回避する。
【0016】係止接続部分40が通過して、磁気テープ13が案内されるようになると、図3(a)に示すように、フランジ部材25は、コイルスプリング26による付勢力によって再び円筒スリーブ部材23と同心状となるように復元し、その突縁32を円筒スリーブ23の全周に亘って突出させて、磁気テープ13を正常な走行位置から脱落させることなく案内する。
【0017】図4は本発明の他の実施形態を示すものであり、この実施形態によれば、フランジ部材25を円筒スリーブ部材23に対して同心状となるように付勢する弾性部材が、中空内部37の内周面と各フランジ部材25の挿入突起28の外周面との間に介装配置された、少なくとも3箇所、例えば平面で視て十字形の4箇所に配置されたスプリング部材35によって構成されている。
【0018】この実施形態によれば、各フランジ部材25は、4方向から中心に向かって付勢されていることから、上述の実施形態と同様に作用する。
【0019】本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変更が可能である。例えば、本発明は、ピン17とワイヤフック20による係止接続部分40の他、磁気テープ13より大きな幅の種々の係止接続部分を通過させる際にも採用することができる。
【0020】
【発明の効果】本発明のガイドローラーによれば、両端開口部には、両端に突縁を形成するフランジ部材が各々偏心可能に遊嵌装着されるとともに、上記各フランジ部材が、中空内部に設けられた弾性部材によって、ガイドローラーと同心配置されるように付勢されているので、磁気テープよりも幅の広いリーダーテープと連結テープとの係止接続部分がガイドローラーを通過する際に、ガイドローラーの突縁や係止接続部分が損傷するのを容易に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るガイドローラーを備えた駆動装置を示す内部平面図である。
【図2】(a)は、磁気テープの繰り出し側端部に取り付けられたリーダテープを示す斜視図、(b)は連結テープとリーダーテープとの係止接続部分の構成を示す説明図である。
【図3】(a)は、ガイドローラーにより磁気テープが案内される状況を示す断面図、(b)は、リーダーテープと連結テープとの係止接続部分が案内される状況を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るガイドローラーを示す断面図である。
【符号の説明】
10 ガイドローラー
11 駆動装置
12 テープカートリッジ
13 磁気テープ
14 磁気ヘッド
17 ピン
20 ワイヤフック
22 回転支持軸
23 円筒スリーブ部材
24 両端開口部
25 フランジ部材
26 コイルスプリング
28 挿入突起
32 突縁
35 スプリング部材
38 軸受盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】 駆動装置に設けられ、テープカートリッジから引き出された磁気テープを磁気ヘッドに案内する、回転支持軸に装着される円筒スリーブ部材からなるガイドローラーであって、上記円筒スリーブ部材の両端開口部には、両端に突縁を形成するフランジ部材が各々偏心可能に遊嵌装着されるとともに、上記各フランジ部材が、中空内部に設けられた弾性部材によって、上記円筒スリーブ部材と同心配置されるように付勢されるガイドローラー。
【請求項2】 上記弾性部材が、上記回転支持軸が貫通する軸受盤と上記フランジ部材との間に介装して上記中空内部の中央に配設されたコイルスプリングからなる請求項1記載のガイドローラー。
【請求項3】 上記弾性部材が、上記中空内部の内周面と各フランジ部材の挿入突起の外周面との間に介装するスプリング部材からなる請求項1記載のガイドローラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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