説明

ガイド環付きテープとこれを用いたカーテン、及びガイド環付きテープのカーテン生地に対する取付構造

【課題】本発明は、カーテンの洗濯時にガイド環体が引紐と共に縺れることを防止でき、洗濯後のカーテンにガイド環体を簡単に取付けることができ、更には、外観体裁を良好に保つことができ、耐久性に優れ、製造容易で安価なガイド環付きテープ等の提供を課題とする。
【解決手段】テープ基材に列設したテープ貫通穴に対して、基体と該基体の表面側に一体となるガイド環を備えてなるガイド環体を、射出成形によって形成してなることを特徴とするガイド環付きテープ等を、解決手段とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンの引紐をガイドするガイド環をテープ基材上に列設してなるガイド環付きテープと、該ガイド環付きテープを備えたカーテン(特には、引紐を備えたローマンシェードタイプのカーテン)と、カーテンにおける開閉手段である引紐をガイドする手段であるガイド環を備えた、ガイド環付きテープのカーテン生地に対する取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、ローマンシェードタイプのカーテンは、引紐を引くことによってカーテンを上方へ持ち上げて開放を行うものであり、引紐を円滑に動かすために、カーテンの側縁部等にガイド環付きのスナップを列設する。このガイド環付きのスナップの取付けを、カーテンに直接行うことも現在行われているが、手間がかかるため、長尺のテープ上に一定間隔でスナップボタンを列設した、所謂スナップテープが用いられる。
【0003】
上記スナップテープとしては、例えば、テープ本体の一面に所要の間隔を保って環を起伏自在に付設したテープにおいて、前記環はプラスチックの成型品としてこれにテープ本体の環取付部への取付用嵌合体を備え、テープ本体に形成した環取付部はテープ本体に成型により付設した、前記雄嵌合体に対応するプラスチック成形の雌嵌合体とし、両嵌合体には嵌合面に、強制離脱可能の係合機構を備えたことを特徴とするカーテン類引き上げ用補助テープ(例えば、特許文献1参照。)が公知である。
【0004】
【特許文献1】実開昭63−27185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に係る発明は、合成樹脂製の雌スナップをテープ上に配列し、これと係合する雄スナップに引紐用ガイド環を形成した構成であり、当該構成は現在においても多用されている。特許文献1に係る構成は、雌スナップをテープ上に配列してあり、カーテン生地を洗濯するとき等には、雌スナップと係合してある全ての引紐用ガイド環を、雌スナップから脱着する必要が生じる。
【0006】
そして、雌スナップから取り外した引紐用ガイド環は、引紐の抜け止めによって引紐から外れることこそないものの、引紐に沿って引紐の最下端まで落下し、複数の引紐用ガイド環が無造作に固まった状態となる。このため、再びカーテン生地に取着された雌スナップに対して引紐用ガイド環の雄係合子を取付けるには、引紐の最下端で固まった引紐用ガイド環を一つずつ引紐の最下端から引上げてから、雌スナップに取付けなければならず、労力を伴うこととなる。
【0007】
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、カーテン生地の洗濯時における引紐とカーテン生地の離脱を容易とし、引紐用ガイド環が引紐と共に縺れることを防止でき、洗濯後のカーテンに引紐用ガイド環を簡単に取付けることができ、更には、外観体裁を良好に保つことができ、耐久性に優れ、製造容易で安価なガイド環付きテープと、該ガイド環付きテープを備えたカーテンと、該ガイド環テープのカーテン生地に対する取付構造の提供を、発明が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、テープ基材に列設したテープ貫通穴に対して、基体と該基体の表面側に一体となるガイド環を備えてなるガイド環体を、射出成形によって形成してなり、前記基体には基体貫通穴を形成したことを特徴とするガイド環付きテープを、課題を解決するための手段とする。
【0009】
また本発明は、上記ガイド環付きテープの構成において、基体貫通穴の内壁面の少なくとも一部に係合段部を形成したガイド環付きテープを、課題を解決するための手段とする。
【0010】
また本発明は、上記ガイド環付きテープについて、テープ基材は透明のメッシュ地としたことを特徴とするガイド環付きテープを、課題を解決するための手段とする。
【0011】
本発明は、上記いずれかのガイド環付きテープを、カーテン生地に取着し、ガイド環付きテープのガイド環に、引紐を通した構成を有することを特徴とするカーテンを、課題を解決するための手段とする。
【0012】
また本発明は、上記いずれかのガイド環付きテープにおける基体貫通穴と係合する雄係合子を備えたスナップテープをカーテン生地に取着し、ガイド環付きテープのガイド環に引紐を通したガイド環付きテープの基体貫通穴とスナップテープの雄係合子が着脱可能として設けられてなることを特徴とするカーテンを、課題を解決するための手段とする。
【0013】
本発明は、上記いずれかのガイド環付きテープにおける基体貫通穴と係合する雄係合子を備えたスナップボタンをカーテン生地に直接取着し、ガイド環付きテープのガイド環に引紐を通したガイド環付きテープの基体貫通穴とスナップボタンの雄係合子が着脱可能として設けられてなることを特徴とするカーテンを、課題を解決するための手段とする。
【0014】
本発明は、上記いずれかのガイド環付きテープのテープ基材の裏面側をカーテン生地に当接する側として、前記テープ基材をカーテン生地に取着したことを特徴とするガイド環付きテープのカーテン生地に対する取付構造を、課題を解決するための手段とする。
【0015】
本発明は、上記いずれかのガイド環付きテープと、該ガイド環付きテープの基体貫通穴に係合する雄係合子を有するスナップボタンをカーテン側テープ基材上に列設したスナップテープとを備え、スナップテープをカーテン生地に取着した構成とし、引紐を通したガイド環付きテープの基体貫通穴が、スナップテープの雄係合子と係脱可能となることで、引紐がカーテン生地に対して着脱可能となることを特徴とするガイド環付きテープのカーテン生地に対する取付構造を、課題を解決するための手段とする。
【0016】
本発明は、上記いずれかのガイド環付きテープと、該ガイド環付きテープの基体貫通穴に係合する雄係合子を有するスナップボタンとを備え、スナップボタンをカーテン生地に取着した構成とし、引紐を通したガイド環付きテープの基体貫通穴が、カーテン生地に取着したスナップボタンの雄係合子と係脱可能となることで、引紐がカーテン生地に対して着脱可能となることを特徴とするガイド環付きテープのカーテン生地に対する取付構造を、課題を解決するための手段とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、テープ基材に列設したテープ貫通穴に対して、基体と該基体の表面側に一体となるガイド環を備えてなるガイド環体を、射出成形によって形成してなり、前記基体には基体貫通穴を形成したことを特徴とするガイド環付きテープとしたことから、非常に容易且つ安価に、基体の表側にガイド環を形成することができる。
【0018】
また、当該ガイド環付きテープをカーテンに直接取着することで、ガイド環に通した引紐を抜くだけで、簡単にカーテンの洗濯を行うことができる。カーテンの取付の際も、ガイド環体が落下することもなく、ガイド環体に引紐を通すだけでよいので、非常に便利である。
【0019】
そして、ガイド環の形成にともなって形成される基体貫通穴を、スナップボタンの雌係合穴として機能させることもでき、請求項5、6、8又は9に開示した構成への適用を可能とすることができる。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、上記請求項1に係る発明の構成において、基体貫通穴の内壁面の少なくとも一部に係合段部を形成したことによって、基体貫通穴が雌係合穴として機能する際に、対応する雄係合子との係止部を前記係合段部とすることで、雄係合子の先端がガイド環の紐通し穴内へ突出させることのない構成とすることができ、引紐の挿通を容易とすることができる。また、雄係合子の先端と引紐が擦れることもないため、雄係合子との係合によって引紐の耐久性を低下させることもない。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、上記請求項2の構成に加えて、テープ基材は透明のメッシュ地としたことから、カーテンに取着した状態で、テープ基材を透過してカーテンが視認できるため、テープ基材が非常に目立ちにくくなり、美観を向上させることができる。また、この効果は、カーテンがレース編みのカーテンであることで、更に顕著なものとすることができる。
【0022】
請求項4及び請求項7に係る発明によれば、上記請求項1、請求項2若しくは請求項3に係る発明であるガイド環付きテープを、カーテン生地に取着し、ガイド環付きテープのガイド環に、引紐を通した構成としたことによって、カーテン生地の洗濯時には、ガイド環に通した引紐を抜くだけで、簡単にカーテンの洗濯を行うことができる。また、洗濯後のカーテン生地の取付けにおいても、従来の引紐の最下端で固まった引紐用ガイド環を一つずつ引紐の最下端から引上げてから、雌スナップに取付けるといった煩雑な作業を行う必要がなく、ガイド環に紐を通すだけで簡単に取付けを行うことができる。
【0023】
請求項5及び請求項8に係る発明によれば、上記請求項1、請求項2又は請求項3記載のガイド環付きテープにおける基体貫通穴と係合する雄係合子を備えたスナップテープをカーテン生地に取着し、ガイド環付きテープのガイド環に引紐を通したガイド環付きテープの基体貫通穴とスナップテープの雄係合子が着脱可能として設けられた構成によって、カーテン生地を洗濯する際に、スナップテープのテープ基材とガイド環付きテープのテープ基材を指で摘んで引き離すだけで、カーテン生地に取付けられたスナップテープの雄係合子と、ガイド環付きテープの基体貫通穴とを離脱でき、非常に簡単な操作でカーテン生地の取り外しを行うことができる。
【0024】
また、洗濯後、カーテン生地の取付けを行う際には、当該ガイド環付きテープのガイド環がテープ基材に固着されているため、引紐に沿って引紐の最下端まで落下することがなく、常にガイド環付きテープの状態で保持されていることから、一箇所のカーテンに取付けられたスナップテープの雄係合子とガイド環付きテープの基体貫通穴を係着すると、他の箇所のスナップテープの雄係合子とガイド環付きテープの基体貫通穴が重なる(対応する)位置に位置決めされ、簡単に係着することができる。
【0025】
請求項6及び請求項9に係る発明によれば、上記請求項1、請求項2又は請求項3記載のガイド環付きテープにおける基体貫通穴と係合する雄係合子を備えたスナップボタンをカーテン生地に直接取着し、ガイド環付きテープのガイド環に引紐を通したガイド環付きテープの基体貫通穴とスナップボタンの雄係合子が着脱可能として設けられた構成によって、カーテン生地を洗濯する際に、カーテン生地とガイド環付きテープのテープ基材を指で摘んで引き離すだけで、カーテンに取付けられたスナップボタンの雄係合子と、ガイド環付きテープの基体貫通穴とを離脱でき、非常に簡単な操作でカーテン生地の取り外しを行うことができる。
【0026】
また、洗濯後、カーテン生地の取付けを行う際には、当該ガイド環付きテープのガイド環がテープ基材に固着されているため、引紐に沿って引紐の最下端まで落下することがなく、常にガイド環付きテープの状態で保持されていることから、一箇所のカーテンに取付けられたスナップボタンの雄係合子とガイド環付きテープの基体貫通穴を係着すると、他の箇所のスナップボタンの雄係合子とガイド環付きテープの基体貫通穴が重なる(対応する)位置に位置決めされ、簡単に係着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、透明のメッシュ地からなるテープ基材に列設したテープ貫通穴に対して、表面及び裏面から射出成形し、基体を形成するに際して、基体の中央に、裏面側から基体を貫通する基体貫通穴を形成し、基体の表側にガイド環を一体に形成してなるガイド環付きテープによって、非常に容易、且つ、安価に製造でき、ガイド環から引紐を抜き取るか、ガイド環付きテープの基体に形成された基体貫通穴に対する雄係合子を有するスナップボタンを利用してカーテン生地の着脱を容易とし、カーテンに取着した状態で非常に目立ちにくくなり、美観を向上させることができ、更には、長期に亘って良好な耐久性を得ることができるガイド環付きテープを実現した。
【0028】
また、本発明は、上記ガイド環付きテープを、カーテン生地に取着し、ガイド環付きテープのガイド環に、引紐を通した構成を有するカーテンとしたことで、カーテン生地の洗濯時には、ガイド環に通した引紐の下端を解き、引紐を抜くだけで、簡単にカーテンの洗濯を行うことができ、洗濯後のカーテン生地の取付けにおいても、従来の引紐の最下端で固まった引紐用ガイド環を一つずつ引紐の最下端から引上げて雌スナップに取付けるといった煩雑な作業を行う必要がなく、ガイド環に紐を通し下端のガイド環に紐を結びつけるだけで簡単に取付けを行えるカーテンを実現した。
【0029】
更に、本発明は、上記したガイド環付きテープにおける基体貫通穴と係合する雄係合子を備えたスナップボタンをカーテン生地に取着し、ガイド環付きテープのガイド環に引紐を通したガイド環付きテープの基体貫通穴とスナップボタンの雄係合子が着脱可能として設けられてなるカーテンとしたことで、カーテン生地を洗濯する際に、スナップテープのテープ基材若しくはカーテン生地とガイド環付きテープのテープ基材を指で摘んで引き離すだけで、カーテン生地に取付けられたスナップボタンの雄係合子と、ガイド環付きテープの基体貫通穴とを離脱でき、非常に簡単な操作でカーテン生地の取り外しを行うことができ、洗濯後においては、カーテン生地の取付けを行う際には、当該ガイド環付きテープのガイド環がテープ基材に固着されているため、引紐に沿って引紐の最下端まで落下することがなく、常にガイド環付きテープの状態で保持されていることから、一箇所のカーテンに取付けられたスナップテープの雄係合子とガイド環付きテープの基体貫通穴を係着すると、他の箇所のスナップテープの雄係合子とガイド環付きテープの基体貫通穴が重なる(対応する)位置に位置決めされ、簡単に係着することができる利点を有するカーテンと、ガイド環付きスナップのカーテン生地に対する取付構造を実現した。
【実施例】
【0030】
図1は本発明の実施例1に係るカーテンにおけるカーテン生地とガイド環付きテープを(1)係着する前の状態を示す斜視図、(2)係着後の状態を示す斜視図、図2は同実施例1に係るガイド環付きテープを示す(1)正面図、(2)背面図、図3は同実施例1に係るガイド環付きテープを示す(1)平面図、(2)右側面図(左側面図は対称につき省略)、図4は図2のA−A断面図及びB−B断面図、図5は本発明の実施例1に係るガイド環付きテープにおけるガイド環体を示す(1)拡大正面図、(2)拡大背面図、図6は同実施例1に係るガイド環付きテープにおけるガイド環体を示す(1)拡大平面図、(2)拡大右側面図、図7は図5の(1)C−C断面図、(2)D−D断面図である。
図8は本発明の実施例2に係るカーテン、及びガイド環付きテープを用いたカーテン生地に対する取付構造を示す(1)係着する前の状態を示す斜視図、(2)係着後の状態を示す斜視図、図9は本発明の実施例2に係るカーテン、及び、ガイド環付きテープのカーテン生地に対する取付構造を有するカーテンの裏面を表した説明図、図10は同実施例2に係るカーテン、及び、ガイド環付きテープのカーテン生地に対する取付構造を示す一部拡大断面図である。
図11は実施例2に係るカーテンのガイド環付きテープとスナップテープとを係着した状態を示す(1)正面図、(2)背面図、図12は同実施例2に係るガイド環付きテープとスナップテープとを係着した状態を示す(1)平面図(底面図は平面図と対称につき省略。)(2)右側面図(左側面図は右側面図と対称につき省略。)、図13は本発明の実施例2に係るガイド環付きテープとスナップテープとを係着した状態を示す(1)E−E断面図、(2)F−F断面図、図14は同実施例2に係るガイド環付きテープを示す(1)正面図、(2)背面図、図15は同実施例2に係るガイド環付きテープを示す(1)平面図(底面図は平面図と対称につき省略。)、及び(2)右側面図(左側面図は右側面図と対称につき省略。)、図16は本発明の実施例2に係る図7のガイド環付きテープを示す(1)G−G断面図、(2)H−H断面図、図17は本発明の実施例2に係るガイド環付きテープのガイド環体とスナップテープのスナップボタンを係着した状態を示す(1)拡大正面図、(2)拡大背面図、図18は本発明の実施例2に係るガイド環付きテープのガイド環体とスナップテープのスナップボタンを係着した状態を示す(1)拡大平面図(拡大底面図は拡大平面図と対称につき省略。)(2)拡大右側面図(拡大左側面図は拡大右側面図と対称につき省略。)、図19は本発明の実施例2に係るガイド環付きテープのガイド環体とスナップテープのスナップボタンを係着した状態を示す図17の(1)拡大J−J断面図、(2)拡大K−K断面図である。
図20は本発明の実施例2に係るスナップテープにおけるスナップボタンを示す(1)拡大正面図、(2)拡大背面図、図21は同実施例2に係るスナップテープにおけるスナップボタンを示す(1)拡大平面図(拡大底面図は拡大平面図と対称につき省略。)、(2)拡大右側面図(拡大左側面図は拡大右側面図と対称につき省略。)、図22は同実施例2に係る図19のスナップテープにおけるスナップボタンを示す(1)拡大L−L断面図、(2)拡大M−M断面図である。
図23は本発明の実施例3に係るカーテン、及び、ガイド環付きテープのカーテン生地に対する取付構造であって、ガイド環付きテープとカーテン側のスナップとを(1)係着する前の状態を示す斜視図、(2)係着後の状態を示す斜視図である。
【0031】
以下、各実施例に係る発明は、いずれも一般的なローマンシェードカーテン3の上下方向に複数のガイド環体10aを配置する構成である。ガイド環体10aは、基体にガイド環を設けたものである。そして、いずれもガイド環付きテープ1aとその取付構造、及び該取付構造を有するカーテンを特徴とするものである。
尚、下記いずれの実施例においても、列設するガイド環に引紐2を通した開閉方法自体は、公知の手段を用いている。
【0032】
以下に示す実施例のうち、実施例1は本発明のカーテンにおいて、カーテン生地に直接ガイド環付きテープを取着したものである。また、実施例2は、本発明のカーテン3において、カーテン生地30に間接的に取着したスナップボタン10bと、ガイド環付きテープ1aのガイド環体10aとを係脱自在とした構成を示すものである。実施例3はカーテン3に直接取着したスナップボタン10bと、ガイド環付きテープ1aのガイド環体10aとを係脱自在とした構成を示すものである。
【0033】
以下、各実施例について順次説明する。尚、本発明の対称とするカーテンは、引紐を有するカーテンであれば、特にローマンシェードカーテン以外のカーテンであってもよい。また、説明上、符号について、数字の後にaの文字を付記した符号はガイド環付きテープ1aに関するものとし、数字の後にbの文字を付した符号はスナップテープ1b若しくはカーテン側に取着されたスナップボタン10bに関するものとしている。
【0034】
(実施例1)
本発明の実施例1に係るカーテン生地に対するガイド環体10aの取付構造、及び実施例1に係るカーテンは、図1乃至図6に示すように、カーテン生地30に直接ガイド環付きテープ1aを縫着してなる。
【0035】
本発明の実施例1に係るガイド環付きテープは、テープ基材15a上にガイド環体10aを列説した構成を有する。具体的には、無色透明の耐熱性合成繊維のメッシュシートからなる長尺のテープ基材15aに10cm間隔で、貫通穴である位置決め穴150を形成し、テープ基材15aの表裏面における前記位置決め穴の周縁に表裏夫々6本の固定ピンを用いて図示されないスナップ成型用金型を固定し、該スナップ成型用金型内において射出成形を行うことでガイド環体10aを形成する。この際に、耐熱性合成繊維で形成されるテープ基材15aの細かいメッシュシートの目の中にガイド環体10aを形成する溶融した樹脂が入り込み、テープ基材15aに対して強固に当該ガイド環体10aが固着形成されてなる。
【0036】
前記ガイド環付きテープ1aにおけるガイド環体10aは、基体11aと該基体上に一体に形成されるガイド環13とからなる。図1乃至図6に示すように、基体11aは、幅約10.5mm、奥行約9mm、厚さ2mm程度の大きさであり、その中央に基体貫通穴12を備えている。
また、前記基体11aの上面に形成されるガイド環13は、基体貫通穴12を挟み対向して立設した高さ3.2mm程度の二本の脚部131と、該脚部131の上端相互に亘って形成される橋部130とからなる。前記基体貫通穴12の内壁において基体11aの下端から1.05mmの位置には、係合段部120を形成してある。係合段部120は内壁の全周囲に亘るものではなく、図7(1)(2)に示すように、内壁周囲の一部に形成している。
【0037】
当該係合段部120の構成は、本実施例1で使用するものではなく、後記する実施例2に係るカーテンと共通部品として使用するものである。しかしながら基体貫通穴12は、本実施例1に係るガイド環13を形成するために必要な構成であり、基体貫通穴12が裏面側から金型によって貫通してガイド環13を形成するため、ガイド環13の紐通し穴を形成するに足りる大きさを確保し、且つ、当該基体貫通穴12が雌係合子として機能することを可能とするための構成である。
【0038】
実施例1においては、ガイド環付きテープ1aにおけるガイド環体10aに引紐2を通し、引紐2の下端が当該ガイド環付きテープ1aの最下端に位置するガイド環体10aに結び付けてある。そして、ガイド環体10aのガイド環13内を連続して通し、カーテン3の上方に配置したガイドローラ4に案内し、昇降ロック機構(図示省略)を介して、最終的に一本に束ねた状態として、他端に引き手5を取付ける構成としている。
【0039】
そして本実施例1では、射出成形によって非常に容易且つ安価に、基体の表側にガイド環を形成することができ、また最下端のガイド環体10aに結び付けられた引紐を解き、ガイド環に通した引紐を抜くだけで、簡単にガイド環付きテープ1aを備えたカーテンの洗濯を行うことができる。カーテンの取付の際も、ガイド環体が落下することもなく、ガイド環体に引紐を通すだけでよいので、非常に便利である。
【0040】
(実施例2)
本発明の実施例2に係るカーテン生地に対するガイド環体10aの取付構造、及び実施例2に係るカーテンは、図8乃至図10に示すように、カーテン生地30に縫着されるカーテン側スナップテープ1bと、カーテン生地30には縫着されず、引紐2を取付ける側となるガイド環付きテープ1aとを用いた構成である。
【0041】
スナップテープ1bは、図14乃至図16に示すように、無色透明の耐熱性繊維のメッシュシートから成る長尺のテープ基材15bに10cm間隔で位置決め穴を形成し、該位置決め穴の周縁の表裏面に射出成形を行うことで、雄係合子を有するスナップボタン10bを形成してなる。このため耐熱性合成繊維で形成されるテープ基材15bの細かいメッシュシートの目の中に、スナップボタン10bを形成する溶融した樹脂が入り込み、テープ基材15bに対して強固にスナップボタン10bが固着形成される。
【0042】
前記雄係合子を有するスナップボタン10bは、図20乃至図22に示すように、幅約10.5mm、奥行約9mm、厚さ約3mmのスナップボタン基体11bの中央には、該スナップボタン基体11bの上端からの高さが2mmとなる雄係合子14を設けてある。雄係合子14の先端には基端側から先端に至る柱状の基部141よりも幅径の大きい拡径頭部140を形成してある。拡径頭部140の下端位置は、スナップボタン基体11bの上端(雄係合子14の下端)から1.05mmとしてある。
【0043】
ガイド環付きテープ1a自体の構成は、該ガイド環付きテープ1aにおけるガイド環体10aに引紐2を通し、引紐2の下端が当該ガイド環付きテープ1aの最下端に位置するガイド環体10aに結び付けてある。そして、ガイド環体10aのガイド環13内を連続して通し、カーテン3の上方に配置したガイドローラ4に案内し、昇降ロック機構(図示省略)を介して、最終的に一本に束ねた状態として、他端に引き手5を取付ける構成としている。
【0044】
スナップテープ1bとガイド環付きテープ1aの双方の係合子が係着した状態では、カーテン3に引紐2が装着された状態となる。また、スナップテープ1bとガイド環付きテープ1aの双方の係合子が脱着した状態で、スナップテープ1bのテープ基材15bが縫着されたカーテン3が、引紐2から取り外された状態となる構成である。
【0045】
実施例2において用いるガイド環付きテープ1aは、前記実施例1に係るガイド環付きテープと同一の構成である。従って、ガイド環付きテープ1aのガイド環体10aも同様に実施例1と同様であるから、基体貫通穴12の内壁において基体11aの下端から1.05mmの位置で、且つ内壁の周囲の一部に、係合段部120を形成してある。その他詳細な構成についても実施例1におけるガイド環付きテープ1aと同一である。
【0046】
即ち、本実施例2におけるスナップボタン10bの雄係合子14の高さHとガイド環体10aのスナップボタン基体11aの厚さ寸法D(図19(1)参照。)を同一とし且つ雄係合子14が基体貫通穴12に嵌り込んだ状態で係止する構成である。このため、スナップテープ1bのスナップボタン10bとガイド環付きテープ1aのガイド環体10aにおけるスナップボタン基体11aとを係合させると、スナップボタン10bの雄係合子14の上端はガイド環体10aのスナップボタン基体11aの上端と同一平面上(所謂面一)に配置される。当該構成によってガイド環体10aに通した引紐は、雄係合子の干渉を受けず、引紐2に対するガイド環体10aの円滑なガイド機能を確保することができる。
【0047】
以上の構成から、本実施例2に係るカーテンは、洗濯時に引紐を解いて外す必要がなく、専ら、スナップボタン10bの雄係合子14とガイド環体10aの雌係合穴として機能する基体貫通穴12とを離脱させることによって、スナップテープ1bが縫着されたカーテン生地30をガイド環付きテープ1aから外すことで行なえる。
【0048】
また、カーテン生地30の取付けにおいては、スナップテープ1bに列設されるスナップボタン10bの雄係合子14とガイド環付きテープ1aに列設されるガイド環体10aの基体貫通穴12とを係着させることで行える。ガイド環体は引紐に沿って落下することもないから、その取付けも非常に容易に行うことができる。
【0049】
(実施例3)
次に、本実施例3に係るカーテン生地に対するガイド環体10aの取付構造、及び実施例3に係るカーテンについて、以下に示す。本実施例3に係るガイド環体10aの取付構造は、主要な構成であるガイド環付きテープ1aについては、実施例1及び実施例2と同一のものである。
【0050】
本実施例3に係るガイド環体10aの取付構造、及び実施例3に係るカーテンは、図23に示すように、実施例2におけるスナップテープ1bを使用せず、これに代えて、カーテンに直接スナップボタン10bを縫着したものである。スナップボタン10bの形状は、実施例2におけるスナップテープ1bのスナップボタン10bと同様のものとしている。但し、実施例2のようなテープに対して射出成型によるものでなく、予め公知の手段によって成型されたスナップボタン10bを使用している。
【0051】
カーテンに直接スナップボタン10bを取付ける構成であるため、製造時にカーテンに対して加工する手間こそあるものの、一端カーテンにスナップボタン10bを取り付けると、実施例2と同様に、カーテンの洗濯時には引紐2をガイド環体10aから取り外す必要がなく、洗濯後のカーテンの取付けも非常に簡単に行うことができる利点を有する。
【0052】
尚、本発明は、上記実施例1乃至実施例3に限定されるものではなく、例えば、本発明に係るガイド環体10aのカーテン3に対する取付構造及びこれに用いるスナップテープにおいて、スナップボタン10b及びガイド環体10aの大きさ、細部形状、当該スナップボタン10b及びガイド環体10aの間隔、テープ基材15a、15bの厚さ、幅、長さ等は対象となるカーテンの大きさ、厚さ、柄等の事項に合わせて自由に設定することができる。
【0053】
また、カーテン生地30に対してスナップテープ1bを取着するに際して、本実施例では縫着により取着したが、縫着に代えて、接着、溶着等により取着することができる。
【0054】
更に、本発明におけるテープ基材15a、15bは、実施例において無色透明としたが、有色透明とすることができる。色彩は、カーテンの色柄に合わせたものを適宜選択することで、メッシュシートの目から透過するカーテンの色柄と、該カーテンの色彩と同系色の透明のメッシュシートによって、各テープ基材15a、15bを目立たなくさせることができる。
【0055】
また、基体貫通穴の形状、雄係合子の形状についても上記実施例に限定されるものではなく、例えば、基体貫通穴は係合段部を有さず、拡径頭部を備える雄係合子が基体貫通穴を貫通して、基体貫通穴の表面側縁部分と雄係合子の拡径頭部が係合する構成で、基体貫通穴若しくは雄係合子の弾性変形によって離脱が可能となる構成等とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施例1に係るカーテンにおけるカーテン生地とガイド環付きテープを(1)係着する前の状態を示す斜視図、(2)係着後の状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例1に係るガイド環付きテープを示す(1)正面図、(2)背面図である。
【図3】本発明の実施例1に係るガイド環付きテープを示す(1)平面図、(2)右側面図である。
【図4】本発明の実施例1に係るガイド環付きテープを示すA−A断面図及びB−B断面図である。
【図5】本発明の実施例1に係るガイド環付きテープにおけるガイド環体を示す(1)拡大正面図、(2)拡大背面図である。
【図6】本発明の実施例1に係るガイド環付きテープにおけるガイド環体を示す(1)拡大平面図、(2)拡大右側面図である。
【図7】本発明の実施例1に係るガイド環付きテープにおけるガイド環体を示す図5の(1)C−C断面図、(2)D−D断面図である。
【図8】本発明の実施例2に係るカーテン、及びガイド環付きテープを用いたカーテン生地に対する取付構造を示す(1)係着する前の状態を示す斜視図、(2)係着後の状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施例2に係るカーテン、及び、ガイド環付きテープのカーテン生地に対する取付構造を有するカーテンの裏面を表した説明図である。
【図10】本発明の実施例2に係るカーテン、及び、ガイド環付きテープのカーテン生地に対する取付構造を示す一部拡大断面図である。
【図11】本発明の実施例2に係るカーテンのガイド環付きテープとスナップテープとを係着した状態を示す(1)正面図、(2)背面図である。
【図12】本発明の実施例2に係るガイド環付きテープとスナップテープとを係着した状態を示す(1)平面図(底面図は平面図と対称につき省略。)(2)右側面図(左側面図は右側面図と対称につき省略。)である。
【図13】本発明の実施例2に係るガイド環付きテープとスナップテープとを係着した状態を示す図11の(1)E−E断面図、(2)F−F断面図である。
【図14】本発明の実施例2に係るガイド環付きテープを示す(1)正面図、(2)背面図である。
【図15】本発明の実施例2に係るガイド環付きテープを示す(1)平面図(底面図は平面図と対称につき省略。)、及び(2)右側面図(左側面図は右側面図と対称につき省略。)である。
【図16】本発明の実施例2に係る図7のガイド環付きテープを示す図14の(1)G−G断面図、(2)H−H断面図である。
【図17】本発明の実施例2に係るガイド環付きテープのガイド環体とスナップテープのスナップボタンを係着した状態を示す(1)拡大正面図、(2)拡大背面図である。
【図18】本発明の実施例2に係るガイド環付きテープのガイド環体とスナップテープのスナップボタンを係着した状態を示す(1)拡大平面図(拡大底面図は拡大平面図と対称につき省略。)(2)拡大右側面図(拡大左側面図は拡大右側面図と対称につき省略。)である。
【図19】本発明の実施例2に係るガイド環付きテープのガイド環体とスナップテープのスナップボタンを係着した状態を示す図17の(1)拡大J−J断面図、(2)拡大K−K断面図である。
【図20】本発明の実施例2に係るスナップテープにおけるスナップボタンを示す(1)拡大正面図、(2)拡大背面図である。
【図21】本発明の実施例2に係るスナップテープにおけるスナップボタンを示す(1)拡大平面図(拡大底面図は拡大平面図と対称につき省略。)、(2)拡大右側面図(拡大左側面図は拡大右側面図と対称につき省略。)である。
【図22】本発明の実施例2に係る図19のスナップテープにおけるスナップボタンを示す図20の(1)拡大L−L断面図、(2)拡大M−M断面図である。
【図23】本発明の実施例3に係るカーテン、及び、ガイド環付きテープのカーテン生地に対する取付構造であって、ガイド環付きテープとカーテン側のスナップとを(1)係着する前の状態を示す斜視図、(2)係着後の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1a ガイド環付きテープ
1b スナップテープ
10a ガイド環体
10b スナップボタン
11a 基体
11b スナップボタン基体
12 基体貫通穴
120 係合段部
13 ガイド環
130 橋部
131 脚部
14 雄係合子
140 拡径頭部
141 基部
15a テープ基材
150 位置決め穴
15b テープ基材
2 引紐
3 カーテン
30 カーテン生地
4 ガイドローラ
5 引き手
D 高さ(雄係合子の高さ)
H 厚み(基体の厚み)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ基材に列設したテープ貫通穴に対して、基体と該基体の表面側に一体となるガイド環とを備えてなるガイド環体を、射出成形によって形成してなり、前記基体には基体貫通穴を形成したことを特徴とするガイド環付きテープ。
【請求項2】
基体貫通穴の内壁面の少なくとも一部に係合段部を形成したことを特徴とする請求項1記載のガイド環付きテープ。
【請求項3】
テープ基材は透明のメッシュ地としたことを特徴とする請求項1又は2記載のガイド環付きテープ。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載のガイド環付きテープを、カーテン生地に取着し、ガイド環付きテープのガイド環に、引紐を通した構成を有することを特徴とするカーテン。
【請求項5】
請求項1、2又は3記載のガイド環付きテープにおける基体貫通穴と係合する雄係合子を備えたスナップテープをカーテン生地に取着し、ガイド環付きテープのガイド環に引紐を通したガイド環付きテープの基体貫通穴とスナップテープの雄係合子が着脱可能として設けられてなることを特徴とするカーテン。
【請求項6】
請求項1、2又は3記載のガイド環付きテープにおける基体貫通穴と係合する雄係合子を備えたスナップボタンをカーテン生地に直接取着し、ガイド環付きテープのガイド環に引紐を通したガイド環付きテープの基体貫通穴とスナップボタンの雄係合子が着脱可能として設けられてなることを特徴とするカーテン。
【請求項7】
請求項1、2又は3記載のガイド環付きテープのテープ基材の裏面側をカーテン生地に当接する側として、前記テープ基材をカーテン生地に取着したことを特徴とするガイド環付きテープのカーテン生地に対する取付構造。
【請求項8】
請求項1、2又は3記載のガイド環付きテープと、該ガイド環付きテープの基体貫通穴に係合する雄係合子を有するスナップボタンをカーテン側テープ基材上に列設したスナップテープとを備え、スナップテープをカーテン生地に取着した構成とし、引紐を通したガイド環付きテープの基体貫通穴が、スナップテープの雄係合子と係脱可能となることで、引紐がカーテン生地に対して着脱可能となることを特徴とするガイド環付きテープのカーテン生地に対する取付構造。
【請求項9】
請求項1、2又は3記載のガイド環付きテープと、該ガイド環付きテープの基体貫通穴に係合する雄係合子を有するスナップボタンとを備え、スナップボタンをカーテン生地に取着した構成とし、引紐を通したガイド環付きテープの基体貫通穴が、カーテン生地に取着したスナップボタンの雄係合子と係脱可能となることで、引紐がカーテン生地に対して着脱可能となることを特徴とするガイド環付きテープのカーテン生地に対する取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−189450(P2009−189450A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31271(P2008−31271)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【出願人】(390003296)尼崎製罐株式会社 (7)
【Fターム(参考)】