ガスから二酸化硫黄を分離する方法及び装置
吸収液を用いて、ガス(4)から二酸化硫黄を分離する装置(1)は、二酸化硫黄を含有するガス(4)のための入口(2)と、二酸化硫黄が分離されたガス(16)のための出口(18)と、二酸化硫黄を含有するガス(4)の下からの通過を可能にすると共に上側部(12)に吸収液のフロー層(14)を保持するように配置されている、実質的に水平な多孔板(8)とを有する。多孔板(8)のそばには出口ボックス(20)が配置され、この出口ボックスは入口(2)からやって来るガス(4)中に散布する液体を通過せしめる。そして、第1のポンピング手段が冷却液の流れを出口ボックス(20)内へ供給するために配置され、また、第2のポンピング手段が上記冷却液の流れとは実質的に無関係である吸収液の流れを多孔板(8)の上へ供給して、フロー層(14)を形成する。二酸化硫黄を分離する方法において、上述した装置(1)を用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性吸収液を用いて、ガスから二酸化硫黄を分離する方法であって、
ガスが、まず、ガスが出口ボックスから流出する液体と混合される接触ゾーンを通過し、その後、上方へ流れ、前記出口ボックスのそばに配置されていると共に上方に前記吸収液のフロー層が形成されている、実質的に水平な多孔板を通過する方法に関する。
【0002】
本発明は、また、水性吸収液を用いて、ガスから二酸化硫黄を分離する装置であって、
a)二酸化硫黄を含有するガスのための入口及び二酸化硫黄が分離されたガスのための出口と、
b)前記入口と前記出口との間に設けられ、前記二酸化硫黄を含有するガスの下からの通過を可能にすると共に上側部に前記吸収液のフロー層を保持している、実質的に水平な多孔板と、
c)液体が通過するように配置されていると共に前記多孔板のそばに配置されている少なくともひとつの出口ボックスと、
d)前記出口ボックス内に配置され、前記ガスが上方に流れて前記多孔板を通過する前に、前記入口から来る前記ガスに液体を散布するための散布手段と、
を包含する装置に関する。
【背景技術】
【0003】
二酸化硫黄は、石炭、石油、天然ガス、産業及び一般廃棄物、及び泥炭等の硫黄を含有する物質の酸化により生成されるガスである。また、二酸化硫黄は、化学的プロセス、例えば、冶金プロセスにおいて、副産物として生成されることもある。通常、大気中に、大量の二酸化硫黄を放出することは許されないため、ある種の清浄が必要である。ひとつの例は、発電所や他の燃焼プラントにおける煙道ガスの浄化である。このようなプラント内で生成された煙道ガスは、一般に、とりわけ、吸収液中での二酸化硫黄の吸収により浄化される。前記吸収液は、例えば、水と、石灰、石灰石、ドロマイト、水酸化ナトリウム溶液及び二酸化硫黄の吸収に適した同様の物質のうちのひとつ又はそれ以上とから成る。
【0004】
国際公開WO 03/004137は、ガスから二酸化硫黄を除去する方法及び装置を開示している。この方法において、煙道ガスは、上方に吸収液のフロー層を保持している多孔板を通って上方へ流れる。この多孔板に沿って流れた吸収液は集められて、下方のコンテナへ流される。浄化しようとする煙道ガスは、まず、この煙道ガスが多孔板から下方へ流れる吸収液と接触する接触ゾーンを通過し、その後、多孔板を通って上方へ流れる。そして、この方法において、煙道ガスは、多孔板の下面に達する前に水蒸気で飽和されるようにされている。しかし、この国際公開WO 03/004137による方法は、前記接触ゾーンにおいて、不必要に高い圧力低下を引き起こすことが分かっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、従来技術に関する前記の欠点が除去され又は著しく低減される、二酸化硫黄を分離する有効な方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、従来技術に関する前記欠点が除去され又は著しく低減される、二酸化硫黄を分離する簡単な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上述した最初の目的は、水溶性吸収液を用いて、ガスから二酸化硫黄を分離する方法であって、ガスが、まず、ガスが出口ボックスから流出する液体と混合される接触ゾーンを通過し、その後、上方へ流れ、前記出口ボックスのそばに配置されていると共に上方に前記吸収液のフロー層が形成されている、実質的に水平な多孔板を通過する方法において、冷却液の流れが、前記出口ボックス内に供給されて、この出口ボックスを通過し、また、前記冷却液の流れとは実質的に独立した吸収液の流れが、前記多孔板の上に供給されて、前記ガスから二酸化硫黄を分離する前記フロー層を形成することを特徴とする方法によって、達成される。
【0008】
この方法の利点は、吸収液の流量とは関係なく、入来するガスの十分な冷却のために、必要にしたがって冷却液の流量を制御することができるということである。例えば、ガスの流量、温度及び二酸化硫黄の含有量の変動などの負荷に関連して、前記2つの液体の流量を、必要な冷却及び二酸化硫黄の分離がそれぞれ実現されるように、互いに関係なく制御することができる。また、他の利点は、この方法は、冷却液の流量を、従来技術と比較して、著しく低減することができるため、ガスの圧力低下を低減するということであり、なおかつ、必要な冷却を提供することである。更に他の利点は、従来技術の場合とは異なり、前記多孔板から流出した吸収液は冷却液として使用されない。前記多孔板から流出した吸収液は、冷却プロセスにおいて蒸発し、また、好ましくないことに、再び煙道ガスと混合され得る、高濃度の溶解した二酸化硫黄を含有するものである。
【0009】
好適な実施形態によれば、前記出口ボックスは、細長く、かつ前記多孔板の側方縁部に沿って延びており、前記吸収液の流れは、前記多孔板の上を、前記出口ボックスの長手方向と実質的に平行な方向に通過する。前記細長い出口ボックスは、煙道ガスが前記出口ボックスから流出する冷却液と良好に接触するため、前記煙道ガスの良好な冷却をもたらす。前記出口ボックスを前記多孔板の側方縁部に沿って配置したことは、非常にコンパクトな構造をもたらす。前記出口ボックスから流出して煙道ガスにより同伴される冷却液は、有利な方法で、前記多孔板の下面を濡らし、かつ付着物のリスクを低減するであろう。
【0010】
好ましくは、前記出口ボックスから流出する冷却液は、液体が入っているコンテナに集められ、その液面は、前記接触ゾーンより下の水平面に位置しており、前記ガスが通って前記出口ボックスの下を水平方向に流れる流路が、前記液面と前記出口ボックスとの間に拡がっており、前記液面の水平面を示すパラメータ及び前記流路の高さは、前記ガスの前記流路内における平均速度が5〜35m/sの範囲内になるように制御される。このことの利点は、前記冷却プロセスの条件を、良好な冷却、前記多孔板の下面の良好な濡れ及び前記ガスの低い圧力低下が実現されるように、現在の負荷に対して調節することができるということである。
【0011】
好適な実施形態によれば、前記出口ボックスから流出する冷却液及び前記多孔板から流出する吸収液の流れは、共通のコンテナに集められる。本実施形態の利点は、前記方法を、簡単かつ複雑でないプラントで実行することができるということである。更に他の好適な実施形態によれば、前記冷却液の流れ及び前記吸収液の流れは、共通のコンテナから供給される。本実施形態の利点は、同じ液体が冷却及び吸収に使用されるということである。その結果として、本実施形態は、液体を扱うただひとつのシステムのみを必要とし、かつ2つの異なる液体を隔離させておく装置は必要ない。
【0012】
好適な実施形態によれば、前記出口ボックス内の静液圧と、前記接触ゾーンの直前の第1のポイント及び前記出口ボックス内の液面の上の第2のポイント間の間の圧力差との比は、前記静液圧が前記圧力差よりも大きくなるように、前記冷却液の流量によって制御される。したがって、前記冷却液の流量を用いて、前記出口ボックス内の液柱の高さは、煙道ガスが前記出口ボックスの底部を通って入ることができないように調節される。他の好適な実施形態によれば、前記出口ボックス内の液面の高さは、冷却液の流量に関して、前記出口ボックスの底部において冷却に適した流出速度が達成されるように制御される。
【0013】
好ましくは、煙道ガスは、前記出口ボックスの下を実質的に水平方向に送られる。このことの利点は、煙道ガスが前記出口ボックスの下及び前記出口ボックスの下に形成されている前記接触ゾーンを通過する際に、水平方向の流れ方向を有するため、煙道ガスの冷却が効率的になるということである。また、他の利点は、煙道ガスが前記出口ボックスのそばに配置されている前記多孔板に達したときにも、煙道ガスは水平方向に流れることになるということである。このことは、圧力低下を低減し、前記多孔板から流出する吸収液の層内の煙道ガスの分布を改善する。
【0014】
本発明によれば、前記他の目的は、水溶性吸収液を用いて、二酸化硫黄をガスから分離する装置であって、
a)二酸化硫黄を含有するガスのための入口及び二酸化硫黄が分離されたガスのための出口と、
b)前記入口と前記出口との間に設けられ、前記二酸化硫黄を含有するガスの下からの通過を可能にすると共に上側部に前記吸収液のフロー層を保持している、実質的に水平な多孔板と、
c)液体が通過するように配置されていると共に前記多孔板のそばに配置されている少なくともひとつの出口ボックスと、
d)前記出口ボックス内に配置され、前記ガスが上方に流れて前記多孔板を通過する前に、前記入口から来る前記ガスに液体を散布するための散布手段と、
を包含する装置において、更に、
e)冷却液の流れを前記出口ボックス内へ供給する第1のポンピング手段と、
f)前記冷却液の流れとは実質的に独立した吸収液の流れを、前記フロー層を形成するために、前記多孔板の上へ供給する第2のポンピング手段と、
を包含することを特徴とする装置によって、達成される。
【0015】
この装置の利点は、前記冷却液の流量及び前記吸収液の流量が互いに独立しているということにより、前記装置が幅広い能力を有しているということである。その結果として、例えば、煙道ガスの流量、温度、水分含有量及び二酸化硫黄含有量などの負荷を、前記装置の機能を危うくすることなく、幅広い範囲内で変化させることができる。例えば、安定した層をもたらす、吸収液のフロー層の適当な厚さの設定は、単に、前記第2のポンピング手段を用いて、前記第1のポンピング手段からの相互作用を伴うことなく実行することができる。他の利点は、前記煙道ガスの圧力低下が低くなり、これにより、前記装置の機械的強度に対する要求が低減されるということである。
【0016】
好適な実施形態によれば、前記出口ボックスから流出する冷却液の流れを集めるためのコンテナが配置され、このコンテナには前記液体が入っており、その液面が前記出口ボックスの下に位置して、前記液面と前記出口ボックスとの間に前記ガスのための流路を形成する。前記液面は、前記流路の高さ及びそれ故前記煙道ガスの速度を制御することを可能にする。
【0017】
好適な実施形態によれば、前記出口ボックスから流出する冷却液の流れ及び前記多孔板から流出する吸収液の流れを集めるために、共通のコンテナが配置されている。このことの利点は、前記装置が、構造に関して単純になるということである。他の好適な実施形態によれば、前記コンテナ内の前記液面は、前記多孔板の実質的に全体の下及び前記出口ボックスの実質的に全体の下の両方に拡がっている。このことの利点は、前記出口ボックス及び前記多孔板から流出する液体が、液面にぶつかって集められるということである。これにより、例えば、金属面に集められる液体の結果である摩耗及びウェット・ドライゾーンが防止される。
【0018】
好適な実施形態によれば、前記多孔板は、前記出口ボックスと平行な第1の側方縁部と、この第1の側方縁部に対して直角な第2の側方縁部とを有する矩形板の形状を有し、前記第1のポンピング手段及び第2のポンピング手段は、前記第2の側方縁部と平行なラインに沿って連続して配置されている巨大なポンプから成る。本実施形態の利点は、前記巨大なポンプが、著しく増加した摩耗をうけることなく、高濃度の浮遊物を含有する液体をポンピングすることができるということである。高濃度の浮遊物は、一定量の固形物のために、より小さなコンテナ容量が必要であるため、前記装置が小さくなり、かつコストが低くなるという利点を与える。圧縮空気によって作動される巨大なポンプは、前記液体の移送と共に、亜硫酸イオン等の前記液体中の酸化されていない物質の酸化を実行する。前記多孔板の矩形状は、前記出口ボックスの長手方向と直角なラインに沿って配置された前記巨大なポンプと共に、著しくコンパクトな構造をもたらす。
【0019】
好適な実施形態によれば、前記多孔板は、前記第2のポンピング手段によって2つの部分に分けられている矩形板の形状を有し、前記第2のポンピング手段は上から見て巨大なポンプの形をして、このポンプが前記吸収液の流れを前記2つの部分の上に分配するために配置され、また、前記出口ボックスは、細長く、かつ前記多孔板の第1の側方縁部に沿って配置されていると共に前記巨大なポンプの長手方向に対して実質的に直角を形成する。吸収液は、前記多孔板の前記2つの部分を越えて2つの反対の方向に送られるため、前記巨大なポンプによってポンピングされた吸収液は、前記多孔板を越える短い距離だけ移動することになる。このことは、前記ガスの圧力低下を低減し、かつ二酸化硫黄の分離を改善する。
【0020】
他の好適な実施形態によれば、前記装置は、各々が実質的に矩形板の形状を有する第1及び第2の前記多孔板を有し、これらの多孔板が、それぞれ、上から見て細長い巨大なポンプの形をしている第2のポンピング手段によって、2つの部分に分けられており、前記細長い巨大なポンプが、前記吸収液の流れを前記2つの部分の上に分配するために配置され、かつ前記第1及び第2の細長い出口ボックスが、それぞれ、前記第1及び第2の多孔板の第1の側方縁部に沿って配置されていると共に前記各巨大なポンプの長手方向に対して実質的に直角を形成し、入来するガスのための入口空間が2つの前記出口ボックスの間に延びている。本実施形態は、著しくコンパクトで単純な構造をもたらす。
【0021】
更に他の好適な実施形態によれば、前記装置は、前記出口ボックスから流出する冷却液を集めるように配置されている第1のコンテナと、前記多孔板から流出する吸収液の流れの少なくとも一部分を集めるように配置されている第2のコンテナとを有する。本実施形態の利点は、前記2つのコンテナ内の液面を、互いに独立して設定することができるということである。更に他の好適な実施形態によれば、前記装置は、前記第1のコンテナから前記第2のコンテナへ液体を供給する第3のポンピング手段を有する。このことは、前記第1のコンテナ内の液面を前記第2のコンテナ内の液面よりも低くすることができるという利点を有する。更に他の好適な実施形態によれば、前記第1のポンピング手段及び前記第2のポンピング手段は、前記冷却液の流れ及び前記吸収液の流れをそれぞれ前記第2のコンテナから供給するために配置されている。本実施形態は、ひとつの液体のみが前記装置内で処理されるため、コンパクトで高価でない設計をもたらす。
【0022】
更に他の好適な実施形態によれば、前記散布手段は、少なくともひとつのノズルから成り、このノズルの最小穴径又は最小スリット幅の寸法は、1〜8cmである。このような寸法は、煙道ガス中への前記液体の良好な散布をもたらすことが分かっている。
【0023】
更に他の好適な実施形態によれば、前記出口ボックスは、前記多孔板の下面と同じ水平面に実質的に位置している底部を有する。このことの利点は、前記出口ボックスの底部と前記多孔板の底部とが、互いに整列することである。このことは、下に煙道ガスが送られる面が突出した部分を有しないため、煙道ガスの低い圧力低下をもたらす。また、他の利点は、前記冷却液及び吸収液が共通のタンクに集められた場合、前記吸収液を到達すべき前記多孔板に対して送り込まなければならない高さが、従来技術のような場合、すなわち、前記出口ボックスの底部が前記多孔板の下面の下の一定距離に位置している場合と比較して、低くなるということである。
【0024】
本発明の更に他の利点及び特徴は、以下の説明及び特許請求の範囲の記載から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明を、多くの実施形態によって、及び添付図面を参照して、より詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明による装置1を概略的に示す。装置1は、ボイラー(図示せず)からの煙道ガス4のための入口2を有する。図2を見て最も良く分かるように、煙道ガス4は、第1の工程において、接触ゾーン6を通過する。接触ゾーン6において、煙道ガス4は、液体と混合され、これにより、煙道ガスは、冷却されて、蒸発する液体の一部分によって、水蒸気で実質的に飽和される。それから、煙道ガス4は、水平矩形状の多孔板8を通過する。多孔板8は、煙道ガス4が通過することができる多数の一様に分布する穴10を有する。多孔板8は、その上側部12に、吸収液のフロー層14を保持する。煙道ガス4が吸収液のフロー層14を通過すると、二酸化硫黄が煙道ガス4から分離される。浄化された煙道ガス16は、浄化された煙道ガス16のための出口18を通って装置1を出る。
【0027】
接触ゾーン6には、細長い出口ボックス20から液体が供給される。出口ボックス20は、多孔板8の第1の側方縁部22に沿って延びていると共に上方が開口している。そして、出口ボックス20は、この出口ボックス20と吸収液のフロー層14とを隔離する細長い側壁24を有する。出口ボックス20は、ガス入口2内での液体凝縮を防ぐ断熱材28を備えている細長い二重壁のガイドレール26によって、ガス入口2の近傍に画成されている。出口ボックス20は、ノズル32の形の散布手段を備えている底部30を有する。ノズル32は、図2に矢印CLで示されている液体が底部30の方へ流下し、出口ボックス20から出て接触ゾーン6に入り、これによって、出口ボックス20の底部30の下に水平方向に導かれる煙道ガス4と液体を接触させるように、液体を散布するようにしている。出口ボックス20から流出し、かつまだ蒸発していない前記液体は、コンテナ34に集められる。コンテナ34内の液体36は、多孔板8の実質的に全体の下に、及びまた出口ボックス20の実質的に全体の下に拡がる液面38を有する。出口ボックス20の底部30と液面38との間には、煙道ガス4が通ることができる空間40の形の流路がある。はっきり分かるように、煙道ガス4は、ノズル32から出る液体の流れ42が、下縁において、垂直になるのではなく、偏向するように、ノズル32から出る液体の流れ42に対して作用する。高濃度の液体のカーテンが出口ボックス20から液面38まで全面的に形成されるように、流れ42は、液滴の大きさ及び流量に関して大きいことが重要である。液面38と出口ボックス20との間の空間40は、ノズル32において、コンテナ34内の液体の水平面により制御される高さH、すなわち、液面38の位置を有する。ある流量の煙道ガス4において、ある高さHは、空間40内での煙道ガス4のある速度を生じせしめる。このガス速度は、約35m/sを超えてはならないことが分かっている。より高い速度においては、空間40内での圧力低下が大きくなる。高い速度におけるさらに大きな欠点は、煙道ガス4が、ノズル32から出る液体の大部分を同伴することである。このことは、液面38と多孔板8との間に形成されている空間44内での圧力低下を大きくし、穴10を液体で詰まらせ、これにより、前記圧力低下はさらに大きくなる。空間40内でのガス速度は、煙道ガス4とノズル32により散布された液体との良好な接触を保障するために、約5m/sより高くすべきである。また、約5m/sにおいて、煙道ガス4は、ノズル32により散布される液体の一部分を同伴する。しかし、このことは、前記同伴された液体が、多孔板8の下面46を濡らし、下面46に対する付着物のリスクを低減するため、利点である。図2から明らかなように、出口ボックス20の底部30と、多孔板8の下面46とは、実質的に同じ水平面に位置している。このことは、ガイドレール26の丸められた形状と共に、煙道ガス4の低い圧力低下をもたらす。
【0028】
出口ボックス20は、液体の所望の流れがノズル32から出るように設計される。煙道ガス4が、穴10を通過するのではなく、ノズル32を通過するのを防ぐために、前記出口ボックスは、一定の静水圧Plを有しなければならない。煙道ガス中の圧力差dPrは、接触ゾーン6の直前に位置しているポイントAと、出口ボックス20内の液面48の真上に位置しているポイントBとから測定することができる。そして、出口ボックス20内の静水圧Plは、出口ボックス20内の液体の濃度と、重力gによる加速を乗じて、出口ボックス20の底部30からこの底部30の直上の液面48までの高さhlとして算出することができる。煙道ガスがノズル32を通過するのを防ぐためには、Plは、dPrよりも大きくなければならない。ノズル32から出る前記液体は、この液体と、接触ゾーン6内の煙道ガス4との良好な接触を実現するために、一定の速度を有しなければならない。0.2〜3m/sの液体速度が適正であることが分かっている。この液体速度を実現するためには、出口ボックス20内の静水圧Plは、dPrよりもかなり大きくなければならない。単に、dPrに対応するのに必要な高さより少なくとも約100mm高い高さhlは、上述した液体速度を可能にするのに適していることが分かっている。また、小さな高さHにおいては、空間40内で、高い圧力低下が得られ、これにより、圧力差dPrが大きくなり、これも出口ボックス20内で、より大きな高さhlを必要とする。
【0029】
図3は、第1の巨大なポンプ50の形の第1のポンピング手段を示す。巨大なポンプ50は、コンテナ34の底部54の真上の水平面から、出口ボックス20へ上方に垂直に延びる垂直チューブ52を有する。また、巨大なポンプ50は、垂直チューブ52の下に垂直に配置されている多数のエアノズル56を有し、これらのノズルには、制御弁60を有する導管58を介して、圧縮空気が供給される。この圧縮空気は、液体36の濃度を低下させ、垂直チューブ52内に、矢印CFで示す上方への液体の流れを生成する。この上方への液体の流れは、出口ボックス20に達してこの出口ボックスに供給された後、上述したように、接触ゾーン6内へ流出する。したがって、巨大なポンプ50により生成された液体の流れは、接触ゾーン6内に前記液体の流れが流出して、入来する煙道ガス4を冷却するので、冷却液の流れと呼ぶことができる。第1の巨大なポンプ50により生成されたこの冷却液の流れは、約2〜5リットル液体/m3の煙道ガスのL/G(すなわち、ガス流量に対する液体流量)に相当する。制御弁60は、出口ボックス20内の高さhlが適切なL/Gになるように、及びノズル32からの適切な流出速度をもたらすように調節される。hlの典型的な値は、0.5〜1mである。したがって、制御弁60は、煙道ガス4の十分な冷却及び多孔板8の下面46の十分な濡れが実現できるように、煙道ガス4の流量にしたがって、及び煙道ガス4の温度及び水含有量にしたがって、前記冷却液の流れを調節するのに用いることができる。図2から明らかであるように、出口ボックス20の幅wは、少なくとも出口ボックス20の上部において、巨大なポンプ50からこのポンプに沿って来る気泡が前記液体によって下方へ同伴されるのではなく、液面48への道が見つかるように十分でなければならない。このため、出口ボックス20内の垂直方向下方に流れる液体の速度は、適切には最大約1m/s、好ましくは、最大約0.5m/sである。このような速度は、前記液体の良好な脱気を可能にするのに適していることが分かっており、このことはまた、前記液体の密度を増加させる。wの選択も、出口ボックス20内の長手方向の水平速度が大きすぎず、出口ボックス20の内部が検査及びメンテナンスを実施しやすくなければならないという条件に影響される。
【0030】
図3に示すように、装置1は、細長い第2の巨大なポンプ62の形の第2のポンピング手段も有する。巨大なポンプ62は、コンテナ34の底部54の真上の水平面から、多孔板8の上側部12まで垂直方向上方へ延びる垂直チューブ64を有する。また、巨大なポンプ62は、垂直チューブ64の下に垂直方向に配置されている多数のエアノズル66を有し、これらのエアノズル66には、制御弁70を有する導管68を介して、圧縮空気が供給される。この圧縮空気は、液体36の濃度を低下させて、垂直チューブ64内に、矢印AFで示す上方への液体の流れを生成する。この上方への液体の流れは、多孔板8の上側部12に達し、多孔板8の上面にわたって水平方向に流れる層14を形成する。したがって、巨大なポンプ62によって生成された前記液体の流れは、多孔板8上において、入来する煙道ガス4から二酸化硫黄を分離して二酸化硫黄を吸収するので、吸収液と呼ぶことができる。第2の巨大なポンプ62によって生成された前記吸収液の流れは、約10〜50リットル吸収液/m3の煙道ガス、一般には、約15〜30リットル吸収液/m3の煙道ガスのL/G(すなわち、ガス流量に対する液体流量)に相当する。制御弁70は、層14が、所望量の二酸化硫黄を煙道ガスから分離することができるような十分な厚さを有するように、制御される。層14の典型的な厚さは、0.2〜0.3mであり、すなわち、出口ボックス20内の典型的な液面の高さhlよりもかなり小さい。制御弁70は、安定した層14が得られかつ二酸化硫黄の十分な分離が実現できるように、煙道ガス4の流量にしたがって、吸収液の流量及び煙道ガス4の二酸化硫黄含有量を調節するのに用いられる。したがって、第1の巨大なポンプ50及び第2の巨大なポンプ62は、煙道ガス4を冷却するように適応されている冷却液の流れと、この冷却液の流量とは無関係でかつ二酸化硫黄を煙道ガス4から分離するように適応されている吸収液の流れとを生成するために、互いに独立して制御することができる。
【0031】
液体36は、石灰石懸濁液の貯蔵部(図示せず)からコンテナ34に供給される石灰石と、水と、石こうと、煙道ガスからの二酸化硫黄の分離で形成された亜硫酸カルシウムとの混合物から実質的になる吸収液である。このような吸収液36は、例えば、国際公開WO 96/00122に開示されているような方法で準備することができる。図3から明らかなように、前記冷却液の流れも前記吸収液の流れも、コンテナ34によって供給される。すなわち、前記冷却液の流れ及び前記吸収液の流れは、共に、吸収液36から成る。前記吸収液中の固形物の含有量は、20〜30重量%程にすることができ、また、ある場合においては、高い固形物含有量の場合に、摩耗の増大を受けやすいいかなる可動部分も有しない巨大なポンプ50、62のおかげで、30重量%以上とすることができる。
【0032】
図4は、細長い巨大なポンプ62が、矩形状の多孔板8の第2の側方縁部72に沿ってどのようにして配置されているかを示し、第2の側方縁部72は第1の側方縁部22及び出口ボックス20の長手方向に対して直角を形成する。したがって、第1の巨大なポンプ50及び第2の巨大なポンプ62は、図1からも明らかなように、第2の側方縁部72と平行なラインに沿って連続して配置されている。
【0033】
また、図4から、吸収液の層14が、どのようにして、第2の巨大なポンプ62から、細長い出口ボックス20の長手方向と平行な、矢印ALで示す方向へ、多孔板8の上面にわたって水平方向に流れるかも明らかである。このことは、煙道ガス4の流れと、多孔板8の上面にわたって流れる吸収液の層14との間に、十字流関係を生じる。ガイドレール76は、第2の側方縁部72とは反対側の第3の側方縁部74に取り付られている。このガイドレール76は、煙道ガス4が多孔板8を外れて通過するのを防ぐために、多孔板8から液面38の下まで延びている。多孔板8の上を流れた吸収液は、第3の側方縁部74において、ガイドレール76に沿って下方へ流れ、コンテナ34内に集めることができる。したがって、第2の側方縁部72において、入口ゾーン78は、多孔板8に供給される吸収液のために形成され、また、第3の側方縁部74において、出口ゾーン80は、多孔板8を離れる吸収液のために形成されることになる。すなわち、吸収液36は、多孔板8の上側部12の全域を通過した後出口ゾーン80を通って、コンテナ34へ再循環され、この吸収液36が、多孔板8の上側部12への吸収液の流れとして、又は、出口ボックス20への冷却液の流れとして、再び送られる前に、亜硫酸塩の酸化のために空気と共に処理される。このことは、二酸化硫黄が、前記吸収液から蒸発することを防ぎ、これは、亜硫酸塩の含有量が高い吸収液が、接触ゾーン6における冷却に使用されている場合に起きる可能性がある。代わりに、ここでの前記吸収液の流れの亜硫酸塩の低含有量は、接触ゾーン6において、二酸化硫黄の一定の吸収をもたらす液体の流れ42を生じる。
【0034】
また、一定量の吸収液は、下方へ流れて穴10を通過し、コンテナ34内に集められる。すなわち、多孔板8の実質的に全体の下及び出口ボックス20の実質的に全体の下の両方に拡がるコンテナ34は、出口ボックス20から流出する前記冷却液の流れ及び多孔板8の上面にわたって流れる吸収液の流れに対して共通し、出口ボックス20から流出する冷却液、層14から下方へ流れて穴10を通過する吸収液、及び出口ゾーン80に達した吸収液を集める収集コンテナである。
【0035】
石灰石を含有する吸収液中の二酸化硫黄の吸収において、亜硫酸カルシウムが生成される。この亜硫酸カルシウムは、硫酸カルシウム、すなわち、石こうに変換して、再利用可能な残留生成物を生成し、また、装置1における、特に、多孔板8上での付着物のリスクを最小化すべきである。2つの巨大なポンプ50、62で使用される圧縮空気の流れは、上方に向けて各巨大なポンプ50、62内へ供給される液体への、約20〜25%の空気の混合に相当する。多くの場合、この量の空気は、生成された亜硫酸カルシウムを石こうに酸化させるのに十分である。ある場合においては、例えば、煙道ガス4自体が非常に小さい酸素含有量を有している場合においては、独立した酸化用装置82を用い、ノズル84によってコンテナ34内の吸収液36に追加的な酸化用空気を供給するのが都合が良いであろう。
【0036】
図5aは、出口ボックス20の底部30の、図1に示す領域Vを示す。底部30は、煙道ガス4の水平方向の流れ方向で見て、多数のノズル32から成る第1の列86と、多数のノズル32から成る第2の列88とを備える。これらのノズル32は、円形穴の形状を有する。この円形穴の形状は、円筒形とすることができ、又は、一端部を丸める、斜めに切ることができ、あるいは、ノズルに適した他の形状を有することができる。最小の径D、すなわち、ノズル32の最も狭い断面は、約1〜8cm、好ましくは、約1〜5cmとすべきである。約1cmよりも小さい径の場合には、液滴が冷却液の流れと煙道ガス4との間の接触時に得られ、これは少量であるため、前記液滴が煙道ガス4によりかなり同伴され、また、圧力低下を増大させ、かつ前記煙道ガスの冷却を低下させる。約8cmより大きい径を有するノズル32の場合には、前記冷却液と煙道ガス4との間で不十分な接触が得られ、前記煙道ガスの水蒸気との飽和が不十分になる。図5aから明らかなように、第1の列86のノズル32は、第2の列88のノズル32に対してずれている。この意図は、煙道ガス4の一団が、水蒸気を付加されることなく、接触ゾーン6を通過することを防ぐことである。
【0037】
図5bは、図5aに示す底部30の代替的な実施形態を示す。図5bに示す底部130は、煙道ガス4の水平方向の流れ方向で見て、第1のスリット132と第2スリット133とを有する。これらの2つのスリット132、133は、煙道ガス4の一団が、冷却液の流れと接触することなく、接触ゾーン6を通過することを防ぐために、互いに重なり合っている。最小スリット幅V、すなわち、スリット132、133の最も狭い断面は、円形ノズル32に対して上述したのと同じ理由により、約1〜5cmとすべきである。
【0038】
図6は、装置100の形の本発明の第2の実施形態を示す。装置100は、上述した多孔板8と実質的には同じ種類であるが、第1の部分109と第2の部分111とに分かれている矩形状の多孔板108を有していることにより、上述した装置1とは異なっている。細長い出口ボックス120は、2つの部分109、111に沿って、より具体的には、多孔板108の第1の側方縁部122に沿って延びている。この出口ボックス120には、出口ボックス120の中心に設けられた第1の巨大なポンプ150により、冷却液の流れが供給される。中心部に設けられた細長い第2の巨大なポンプ162は、第1の巨大なポンプ150と整列させられ、かつ出口ボックス120の長手方向に対して直角をなす。この第2の巨大なポンプ162は、多孔板108の2つの部分109、111の間に開口しており、吸収液の流れを前記2つの部分の各々に供給する。煙道ガスは、第1の巨大なポンプ150の両側で、出口ボックス120の下で水平方向に供給され、第1の工程において、出口ボックス120から流出する冷却液の流れによって冷却される。その後、煙道ガスは、上方へ流れて、多孔板108の部分109、111及び多孔板108の上を流れる吸収液の層(図6には示されていない)を通過する。
【0039】
共通の収集コンテナであって、多孔板108の全体の下及び出口ボックス120全体の下の両方に拡がるコンテナ134は、出口ボックス120から流出した冷却液の流れと、多孔板108を越えて流れた吸収液の流れとを集める。各部分109、111は、煙道ガスがそれぞれの部分109、111を外れて通過するのを防ぐガイドレール176、177を備えている。
【0040】
図7〜図9は、装置200の形の本発明の第3の実施形態を示す。図7から明らかなように、装置200は、第1の部分209Aと第2の部分211Aとに分かれている第1の多孔板208Aと、第1の部分209Bと第2の部分211Bとに分かれている第2の多孔板208Bとを有する。第1の細長い出口ボックス220Aは、図8にも示されている第1の多孔板208Aの第1の側方縁部222Aに沿って配置されている。第2の細長い出口ボックス220Bは、第2の多孔板208Bの第1の側方縁部222Bに沿って配置されている。互いに対向しているこれらの2つの出口ボックス220A、220Bの間には、空間221が形成されており、この空間には空間入口202が開口している。
【0041】
出口ボックス220Aには、出口ボックス220Aの中央に設けられた第1の巨大なポンプ250Aにより、冷却液の流れが供給される。中央に設けられた細長い第2の巨大なポンプ262Aは、第1の巨大なポンプ250Aと整列させられ、かつ出口ボックス220Aの長手方向に対して直角をなす。この第2の巨大なポンプ262Aは、多孔板208Aの2つの部分209A、211Aの間に開口し、これらの2つの部分209A、211Aの各々に、図7に矢印で示すように、吸収液の流れを供給する。これと対応して、第2の出口ボックス220Bには、第1の巨大なポンプ250Bによって冷却液の流れが供給され、また、第2の多孔板208Bには、細長い第2の巨大なポンプ262Bによって吸収液の流れが供給される。
【0042】
図9に最も良く示されている入口202を通って空間221に供給される煙道ガス204は、第1及び第2の出口ボックス220A、220Bの間に分配され、それぞれの出口ボックス220A、220Bの下を水平に通過したときに、それぞれの冷却液の流れによって冷却される。その後、煙道ガス204は、部分209A、211A及び209B、211B上に形成されている吸収液の層(図7〜図9には示されていない)を通過し、これにより、二酸化硫黄が分離される。部分209A、211A、209B、211Bの上に形成されている吸収液の層を横断するガスの圧力低下は、出口ボックス220A、220Bにわたる圧力低下よりもかなり大きい。各第2の巨大なポンプ262A、262Bが、同じ量の流れを、第1の多孔板208A及び第2の多孔板208Bに送り込むこと、すなわち、前記吸収液の層が多孔板208A、208Bの上で同じ厚さを有することを保障する制御は、煙道ガス204が2つの出口ボックス220A、220Bに均等に分配されることも保障することになる。そして、浄化された煙道ガス216は、入口202の両側に配置された、ガスのための出口218を通って装置200を出る。各出口ボックス220A、220Bから流出した冷却液の流れ及び各部分209A、211A、209B、211Bから流出した吸収液の流れは、共通のコンテナ234内に集められ、このコンテナ234からこれらの液体は、再び、各巨大なポンプ250A、262A、250B、262Bによって供給される。
【0043】
図10は、装置300の形の本発明の第4の実施形態を示す。煙道ガス304は、入口302を通って装置300に導入される。第1の工程において、煙道ガスは、図1及び図3に示されている出口ボックス20と実質的に同じ種類の出口ボックス320の下を水平方向に通過したときに、冷却され、水蒸気で飽和される。それから、煙道ガスは、上方へ流れて、多孔板308を通過し、この多孔板の上に形成されている吸収液のフロー層314を通過し、これにより、二酸化硫黄が分離される。浄化された煙道ガス316は、出口318を通って装置300を出る。出口ボックス320から流出した液体は、第1のコンテナ334に集められる。コンテナ334は、再循環ポンプ351を備えている。このポンプは、有益には、巨大なポンプとすることができ、導管353を介して、液体を第1のコンテナ334から層314へ供給する。コンテナ334には、液体336が入っており、その液面338は出口ボックス320の下に位置している。このため、液面338と出口ボックス320の底部との間には空間340が形成されており、煙道ガス304はこの空間を通って通過しなければならない。液面338の水平面及び空間340の幅は、出口ボックス320から流出する液体による煙道ガス304の冷却に適しているガス速度を実現できるように、再循環ポンプ351によって制御することができる。出口ボックス320には、第2のコンテナ335から、吸収液336の形の冷却液の流れが供給される。巨大なポンプとすることができる第1のポンプ350は、第2のコンテナ335から導管352を介して出口ボックス320へ、約2〜5 l/m3の煙道ガスのL/Gに相当する吸収液336を供給する。圧縮空気ノズル366と、圧縮空気ライン368と、制御弁370とを備える、巨大なポンプ362の形の第2のポンプは、吸収液336の形の吸収液の流れを、第2のコンテナ335からフロー層314へ及び多孔板308の上面に供給する。巨大なポンプ362によって送り込まれる吸収液の流れは、約15〜30 l/m3の煙道ガスに相当する。第2のポンプ362と反対側の、多孔板308の一端部には、戻し導管380が配置されており、この戻し導管は、吸収液を第2のコンテナ335へ再循環させる。すなわち、再循環ポンプ351は、液体を、第1のコンテナ334から第2のコンテナ335へ、そして層314を介して戻し導管380へ送り込むことになる。図10には示されていない、多孔板308の穴を通って流れる吸収液は、傾斜した底部381上に集められて、第1のコンテナ334へ流れる。第2のコンテナ335内の液面は、第1のコンテナ334内の液面とは無関係に、第1のコンテナ334内の液面よりも一般的に高い一定の液面に設定することができ、このことは、層314と、出口ボックス320への冷却液の流れとを生成するために、最小限のポンピング作用が必要であることを意味する。
【0044】
図11、図12a及び図12bは、装置400の形の本発明の第5の実施形態を示す。装置400は、図1〜図4に示す装置1と非常に似ており、そのため、装置1と同様の装置400の部材には、同じ符号が与えられており、ここでは、詳細に説明しない。図11に示す装置400において、吸収液のフロー層414は、このフロー層414を通過する煙道ガス4から二酸化硫黄を分離するために、矩形状の多孔板8上を水平に、矢印ALの方向に流れる。フロー層414の吸収液は、特に図3を参照して上述したような方法で、多孔板8の上に供給される。
【0045】
図12aは、出口ゾーン480を示し、この出口ゾーンは、装置400内において、多孔板8の第3の側方縁部74に取り付られているガイドレール76と、前記側方縁部74と反対側に配置されている垂直壁490との間に形成されている。吸収液が多孔板8を出て、コンテナ34へ流下していく出口ゾーン480には、絞り弁492が水平に配置されており、図11に示すモータ493によって回転するようにされている。絞り弁492は水平軸494を有し、この水平軸は、第3の側方縁部74と平行に延び、かつ図12bに最も良く示されているように、第1のフラップブレード495と第2のフラップブレード496とを有し、これらのフラップブレード495、496は共通の平面に沿って拡がっている。したがって、モータ493は、水平軸494で絞り弁492を回転させるように配置されている。
【0046】
図12bは、フラップブレード495、496と水平面との間に形成される角度αを示す。図を見て分かるように、第1の狭窄部497は第1のブレード495とガイドレール76との間に形成されており、また、第2の狭窄部498は第2のブレード496と垂直壁490との間に形成されている。吸収液が出口ゾーン480を通ってコンテナ34内へ流下するために、吸収液が克服しなければならない圧力低下は、これらの狭窄部497、498に左右される。モータ493を用いて、角度α及び狭窄部497及び498の幅を設定することができる。小さな角度α、例えば、約20〜30°の角度αでは、狭窄部497、498は小さくなる。それに伴って、吸収液は、出口ゾーン480を通ってコンテナ34内へ流下する際に、高い圧力低下をうけ、これにより、層414の厚さは、この層414の厚さと狭窄部497、498における圧力低下との間に平衡が得られるまで増加する。層414のより小さな厚みが所望される場合、角度αは、水平軸494及びフラップブレード495及び496を、例えば、約40〜50°の角度αまで回転させ、これにより、圧力低下が小さくなるように、狭窄部497及び498の幅を増加させるモータ493によって増加され、この場合、吸収液は、出口ゾーン480を通ってコンテナ34内へ流下する際に、より小さな圧力低下をうける。したがって、図11、図12a及び図12bに示す絞り弁492は、層414の厚さを調節する更なる可能性を与える。この調節は、出口ゾーン480に隣接する層414の厚さTに対してもっとも大きな影響を有する。すなわち、絞り弁492の利点は、層414の厚さの制御を改善し、層414における二酸化硫黄の十分な分離をもたらす層414の厚さを実現できるように、巨大なポンプ62の制御を補完するということである。また、他の利点は、層414の厚さが、多孔板8の上面にわたって見てより一様になり、このことが、出口ゾーン480に隣接する領域において、二酸化硫黄の分離が少なくなるというリスクを低減するということである。
【0047】
図13は、図4に示す断面図に実質的に相当する断面図であって、装置500の形の本発明の第6の実施形態を示す。装置500は、図1〜図4に示す装置1に非常に似ており、そのため、装置1と同様の装置500の部材には、同じ符号が与えられており、ここでは、詳細に説明しない。図13に示す装置500において、吸収液のフロー層514は、このフロー層514を通過する煙道ガス4から二酸化硫黄を分離するために、矩形状の多孔板8の上を水平に、矢印ALの方向に、入口ゾーン578から出口ゾーン80に流れる。ガイドレール592は、出口ゾーン578において、第2の側方縁部72と対向して配置されている垂直壁590から延びている。ガイドレール592は、多孔板8より上方の垂直方向の高さ位置で、壁590から多孔板8の方へ実質的に水平に延びている。図13に示すように、ガイドレール592は、弓形である。巨大なポンプ62により生成される上方への液体の流れAFは、ガイドレール592によって、垂直流れ方向から水平流れ方向に偏向され、多孔板8の上面に送られる流れALを形成する。ガイドレール592は、巨大なポンプ内に頻繁に生じる脈動を緩和し、巨大なポンプ62が多孔板8の上面に一様な流れを生成させる。さらに、前記偏向は、ガイドレール592によって、垂直チューブ64内で垂直方向速度を有する吸収液の流れが、出口ゾーン578を出るとき及び多孔板8の上に流れるときに、より高い初期水平速度を有することを引き起こす。このことは、多孔板8の上面にわたって層514の厚さをより一様にすることを助ける。図13に示す種類のガイドレールは、図6及び図7〜図9にそれぞれ示すような種類の装置100及び200での使用にも適していることは、認識されるであろう。例えば、装置100においては、多孔板108の第1の部分109の方へ延びている第1のガイドレールと、多孔板108の第2の部分の方へ延びている第2のガイドレールとが適当に配置される。図6に示す装置100においては、このようなガイドレールは、第1の部分109と第2の部分111との間の吸収液の流れの分配を改善するという追加的な機能を有するであろう。当然、ある装置及び同じ装置において、例えば、図12aに示すような絞り弁492と、図13に示すガイドレール592とを組み合わせることも可能である。
【0048】
本発明の上述した実施形態の多くの変形例が、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲内で考えられることは、認識されるであろう。
【0049】
図1〜図4、図6及び図7〜図9に記載したような矩形状の多孔板を有する実施形態は、モジュールシステムを生産するのに良く適している。したがって、例えば、煙道ガスの流れを一緒に処理するために、装置1から成る2〜4つのユニットを並行に構築することができる。
【0050】
上述した実施形態は、全て、矩形状の多孔板を有する。しかし、円形、半円形又は扇形状の多孔板を形成すること、及び、多孔板の側方縁部の全部又は一部に沿って、ひとつ又はそれ以上の出口ボックスを配置することも可能であることは認識されよう。
【0051】
上述した実施形態において、煙道ガスは出口ボックスの下を水平方向に通過する。しかし、それほど好ましくはないが、入口2に対向して、ノズルを出口ボックスの壁に配置し、冷却液の流れを散布して、実質的に垂直方向に流れる煙道ガスを冷却させることも可能である。
【0052】
多孔板8は、幾つかの異なる方法で、及び複数の材料で形成することができる。特に好適な方法は、多孔板を、国際公開WO 96/00122に記載されているような方法で設計することである。ポリマー材料で形成された多孔板においては、入来するガスが低温であること(これは本発明を用いて実現することができる)が、多孔板が破損しないための条件である。
【0053】
前記巨大なポンプは、幾つかの他の種類のポンプ、例えば、渦巻きポンプ又はプロペラポンプと置き換えることができる。しかし、巨大なポンプは、同時酸化効果、及び過剰な摩耗を受けることなく、高容積の液体を用いて稼動するという能力により、特に好適である。
【0054】
上述した実施形態は、石炭燃料ボイラーからの煙道ガスの清浄に用いられる。しかし、本発明が二酸化硫黄をガスから分離する他のプロセスにも適用可能であることは認識されよう。このようなプロセスの実例は、石油、泥炭、生物燃料及び産業及び一般廃棄物の燃焼、及び鋼材や銅の冶金プロセス、セメント製造プロセス及び石油精製や天然ガス精製等の精製プロセス等である。前記装置は、二酸化硫黄と共に他の物質を吸収するのにも用いることができる。このような物質の実例は、塩化水素、フッ化水素、臭化水素及びヨウ化水素等のハロゲン化水素、臭素、水銀等の重金属、及び他の化合物である。
【0055】
二酸化硫黄の吸収は、複数の異なる吸収液を用いて実行することができる。水と混合した場合に、二酸化硫黄の分離に適している物質の実例は、石灰石、石灰、ドロマイト、水酸化ナトリウム等である。したがって、前記装置は、吸収液の特定の成分に限定されない。
【実施例】
【0056】
本実施例は、図1〜図4及び図5aを参照して説明した種類の装置を用いたパイロット実験に関する。
【0057】
ポリプロピレンで形成された多孔板8は、30mmの厚さと、約3.6%の穴無し領域を有し、穴10は22mmの径を有するものとした。穴22は、多孔板8の下面46で斜めにした。約96%が44μmのメッシュを通過する粒径を有する石灰石を、25重量%の水性懸濁液の形でコンテナ34に供給した。水を、コンテナ34に追加供給した。前記コンテナ内の吸収液36は、稼働中、約13重量%の固形物を含有し、約5.4のpHを有した。
【0058】
石油火力発電所からの清浄化された煙道ガス4であって、水蒸気で飽和されていない、入来するガスは、約190°の温度と、約2000ppmの二酸化硫黄濃度を有していた。煙道ガス4は、入口2を通って、空間40へ流れた。コンテナ34内の液面38は、空間40におけるガス速度が、約15m/sであるような液面に調節された。ポイントAとポイントBとの間の圧力差は、4600Paと測定された。第1の巨大なポンプ50は、3 l/m3の煙道ガスに応じて、冷却液の流れを出口ボックス20に供給した。第2の巨大なポンプ62は、20 l/m3の煙道ガスに応じて、吸収液を入口ゾーン78に供給して層14を形成した。入口ボックス20内の高さhlは、約7700Paの静水圧Plに応じて、700mmであった。出口ボックス20の底部30における円形穴32は、約2cmの径を有するものとした。円形穴32の数は、静水圧で穴32を出る液体の速度が約1.5m/sになるような数とした。目視検査に関する限り、ガス4は、出口ボックス20の底部30の円形穴32から出る吸収液の約10%を同伴し、吸収液の残りは液面38に達した。前記検査の過程においては、多孔板8の穴10の目詰まり及び多孔板8の下面46への付着物は、観察されなかった。また、ガス4により同伴された吸収液によってもたらされた浄化の効果を、下面46上で観察することができた。測定により、多孔板8の真下のガス4が、約57°の温度を保ち、かつ水蒸気で実質的に飽和されたことが分かった。したがって、限定された冷却液の流れが所望の冷却を達成するのに十分であった。装置1を出るガス16は、約55℃の温度を有し、かつ約22ppmの二酸化硫黄を含有していた。煙道ガスの流量の変化を伴う検査も実行し、接触又は冷却ゾーン6及びフロー層14が、煙道ガスの流量が変化したときに安定して作用することが実証された。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】水平面における断面図であり、本発明の第1の実施形態による装置を概略的に示す。
【図2】垂直面における断面図であり、図1の部分II−IIを示す。
【図3】垂直面における断面図であり、図1の部分III−IIIを示す。
【図4】垂直面における断面図であり、図1の部分IV−IVを示す。
【図5a】平面図であり、図1の領域Vを示す。
【図5b】平面図であり、出口ボックスの底部の代替的な実施形態を示す。
【図6】斜視断面図であり、本発明の第2の実施形態による装置を概略的に示す。
【図7】水平面における断面図であり、本発明の第3の実施形態による装置を概略的に示す。
【図8】斜視断面図であり、図7に示す装置を示す。
【図9】斜視断面図であり、図7に示す装置における、ガスのための入口及び出口を示す。
【図10】垂直面における断面図であり、本発明の第4の実施形態による装置を概略的に示す。
【図11】水平面における断面図であり、本発明の第5の実施形態による装置を概略的に示す。
【図12a】垂直面における断面図であり、図11の部分XII−XIIを示す。
【図12b】垂直面における拡大部分図であり、図12aに示す領域XIIbを示す。
【図13】垂直面における断面図であり、本発明の第6の実施形態による装置を概略的に示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性吸収液を用いて、ガスから二酸化硫黄を分離する方法であって、
ガスが、まず、ガスが出口ボックスから流出する液体と混合される接触ゾーンを通過し、その後、上方へ流れ、前記出口ボックスのそばに配置されていると共に上方に前記吸収液のフロー層が形成されている、実質的に水平な多孔板を通過する方法に関する。
【0002】
本発明は、また、水性吸収液を用いて、ガスから二酸化硫黄を分離する装置であって、
a)二酸化硫黄を含有するガスのための入口及び二酸化硫黄が分離されたガスのための出口と、
b)前記入口と前記出口との間に設けられ、前記二酸化硫黄を含有するガスの下からの通過を可能にすると共に上側部に前記吸収液のフロー層を保持している、実質的に水平な多孔板と、
c)液体が通過するように配置されていると共に前記多孔板のそばに配置されている少なくともひとつの出口ボックスと、
d)前記出口ボックス内に配置され、前記ガスが上方に流れて前記多孔板を通過する前に、前記入口から来る前記ガスに液体を散布するための散布手段と、
を包含する装置に関する。
【背景技術】
【0003】
二酸化硫黄は、石炭、石油、天然ガス、産業及び一般廃棄物、及び泥炭等の硫黄を含有する物質の酸化により生成されるガスである。また、二酸化硫黄は、化学的プロセス、例えば、冶金プロセスにおいて、副産物として生成されることもある。通常、大気中に、大量の二酸化硫黄を放出することは許されないため、ある種の清浄が必要である。ひとつの例は、発電所や他の燃焼プラントにおける煙道ガスの浄化である。このようなプラント内で生成された煙道ガスは、一般に、とりわけ、吸収液中での二酸化硫黄の吸収により浄化される。前記吸収液は、例えば、水と、石灰、石灰石、ドロマイト、水酸化ナトリウム溶液及び二酸化硫黄の吸収に適した同様の物質のうちのひとつ又はそれ以上とから成る。
【0004】
国際公開WO 03/004137は、ガスから二酸化硫黄を除去する方法及び装置を開示している。この方法において、煙道ガスは、上方に吸収液のフロー層を保持している多孔板を通って上方へ流れる。この多孔板に沿って流れた吸収液は集められて、下方のコンテナへ流される。浄化しようとする煙道ガスは、まず、この煙道ガスが多孔板から下方へ流れる吸収液と接触する接触ゾーンを通過し、その後、多孔板を通って上方へ流れる。そして、この方法において、煙道ガスは、多孔板の下面に達する前に水蒸気で飽和されるようにされている。しかし、この国際公開WO 03/004137による方法は、前記接触ゾーンにおいて、不必要に高い圧力低下を引き起こすことが分かっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、従来技術に関する前記の欠点が除去され又は著しく低減される、二酸化硫黄を分離する有効な方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、従来技術に関する前記欠点が除去され又は著しく低減される、二酸化硫黄を分離する簡単な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上述した最初の目的は、水溶性吸収液を用いて、ガスから二酸化硫黄を分離する方法であって、ガスが、まず、ガスが出口ボックスから流出する液体と混合される接触ゾーンを通過し、その後、上方へ流れ、前記出口ボックスのそばに配置されていると共に上方に前記吸収液のフロー層が形成されている、実質的に水平な多孔板を通過する方法において、冷却液の流れが、前記出口ボックス内に供給されて、この出口ボックスを通過し、また、前記冷却液の流れとは実質的に独立した吸収液の流れが、前記多孔板の上に供給されて、前記ガスから二酸化硫黄を分離する前記フロー層を形成することを特徴とする方法によって、達成される。
【0008】
この方法の利点は、吸収液の流量とは関係なく、入来するガスの十分な冷却のために、必要にしたがって冷却液の流量を制御することができるということである。例えば、ガスの流量、温度及び二酸化硫黄の含有量の変動などの負荷に関連して、前記2つの液体の流量を、必要な冷却及び二酸化硫黄の分離がそれぞれ実現されるように、互いに関係なく制御することができる。また、他の利点は、この方法は、冷却液の流量を、従来技術と比較して、著しく低減することができるため、ガスの圧力低下を低減するということであり、なおかつ、必要な冷却を提供することである。更に他の利点は、従来技術の場合とは異なり、前記多孔板から流出した吸収液は冷却液として使用されない。前記多孔板から流出した吸収液は、冷却プロセスにおいて蒸発し、また、好ましくないことに、再び煙道ガスと混合され得る、高濃度の溶解した二酸化硫黄を含有するものである。
【0009】
好適な実施形態によれば、前記出口ボックスは、細長く、かつ前記多孔板の側方縁部に沿って延びており、前記吸収液の流れは、前記多孔板の上を、前記出口ボックスの長手方向と実質的に平行な方向に通過する。前記細長い出口ボックスは、煙道ガスが前記出口ボックスから流出する冷却液と良好に接触するため、前記煙道ガスの良好な冷却をもたらす。前記出口ボックスを前記多孔板の側方縁部に沿って配置したことは、非常にコンパクトな構造をもたらす。前記出口ボックスから流出して煙道ガスにより同伴される冷却液は、有利な方法で、前記多孔板の下面を濡らし、かつ付着物のリスクを低減するであろう。
【0010】
好ましくは、前記出口ボックスから流出する冷却液は、液体が入っているコンテナに集められ、その液面は、前記接触ゾーンより下の水平面に位置しており、前記ガスが通って前記出口ボックスの下を水平方向に流れる流路が、前記液面と前記出口ボックスとの間に拡がっており、前記液面の水平面を示すパラメータ及び前記流路の高さは、前記ガスの前記流路内における平均速度が5〜35m/sの範囲内になるように制御される。このことの利点は、前記冷却プロセスの条件を、良好な冷却、前記多孔板の下面の良好な濡れ及び前記ガスの低い圧力低下が実現されるように、現在の負荷に対して調節することができるということである。
【0011】
好適な実施形態によれば、前記出口ボックスから流出する冷却液及び前記多孔板から流出する吸収液の流れは、共通のコンテナに集められる。本実施形態の利点は、前記方法を、簡単かつ複雑でないプラントで実行することができるということである。更に他の好適な実施形態によれば、前記冷却液の流れ及び前記吸収液の流れは、共通のコンテナから供給される。本実施形態の利点は、同じ液体が冷却及び吸収に使用されるということである。その結果として、本実施形態は、液体を扱うただひとつのシステムのみを必要とし、かつ2つの異なる液体を隔離させておく装置は必要ない。
【0012】
好適な実施形態によれば、前記出口ボックス内の静液圧と、前記接触ゾーンの直前の第1のポイント及び前記出口ボックス内の液面の上の第2のポイント間の間の圧力差との比は、前記静液圧が前記圧力差よりも大きくなるように、前記冷却液の流量によって制御される。したがって、前記冷却液の流量を用いて、前記出口ボックス内の液柱の高さは、煙道ガスが前記出口ボックスの底部を通って入ることができないように調節される。他の好適な実施形態によれば、前記出口ボックス内の液面の高さは、冷却液の流量に関して、前記出口ボックスの底部において冷却に適した流出速度が達成されるように制御される。
【0013】
好ましくは、煙道ガスは、前記出口ボックスの下を実質的に水平方向に送られる。このことの利点は、煙道ガスが前記出口ボックスの下及び前記出口ボックスの下に形成されている前記接触ゾーンを通過する際に、水平方向の流れ方向を有するため、煙道ガスの冷却が効率的になるということである。また、他の利点は、煙道ガスが前記出口ボックスのそばに配置されている前記多孔板に達したときにも、煙道ガスは水平方向に流れることになるということである。このことは、圧力低下を低減し、前記多孔板から流出する吸収液の層内の煙道ガスの分布を改善する。
【0014】
本発明によれば、前記他の目的は、水溶性吸収液を用いて、二酸化硫黄をガスから分離する装置であって、
a)二酸化硫黄を含有するガスのための入口及び二酸化硫黄が分離されたガスのための出口と、
b)前記入口と前記出口との間に設けられ、前記二酸化硫黄を含有するガスの下からの通過を可能にすると共に上側部に前記吸収液のフロー層を保持している、実質的に水平な多孔板と、
c)液体が通過するように配置されていると共に前記多孔板のそばに配置されている少なくともひとつの出口ボックスと、
d)前記出口ボックス内に配置され、前記ガスが上方に流れて前記多孔板を通過する前に、前記入口から来る前記ガスに液体を散布するための散布手段と、
を包含する装置において、更に、
e)冷却液の流れを前記出口ボックス内へ供給する第1のポンピング手段と、
f)前記冷却液の流れとは実質的に独立した吸収液の流れを、前記フロー層を形成するために、前記多孔板の上へ供給する第2のポンピング手段と、
を包含することを特徴とする装置によって、達成される。
【0015】
この装置の利点は、前記冷却液の流量及び前記吸収液の流量が互いに独立しているということにより、前記装置が幅広い能力を有しているということである。その結果として、例えば、煙道ガスの流量、温度、水分含有量及び二酸化硫黄含有量などの負荷を、前記装置の機能を危うくすることなく、幅広い範囲内で変化させることができる。例えば、安定した層をもたらす、吸収液のフロー層の適当な厚さの設定は、単に、前記第2のポンピング手段を用いて、前記第1のポンピング手段からの相互作用を伴うことなく実行することができる。他の利点は、前記煙道ガスの圧力低下が低くなり、これにより、前記装置の機械的強度に対する要求が低減されるということである。
【0016】
好適な実施形態によれば、前記出口ボックスから流出する冷却液の流れを集めるためのコンテナが配置され、このコンテナには前記液体が入っており、その液面が前記出口ボックスの下に位置して、前記液面と前記出口ボックスとの間に前記ガスのための流路を形成する。前記液面は、前記流路の高さ及びそれ故前記煙道ガスの速度を制御することを可能にする。
【0017】
好適な実施形態によれば、前記出口ボックスから流出する冷却液の流れ及び前記多孔板から流出する吸収液の流れを集めるために、共通のコンテナが配置されている。このことの利点は、前記装置が、構造に関して単純になるということである。他の好適な実施形態によれば、前記コンテナ内の前記液面は、前記多孔板の実質的に全体の下及び前記出口ボックスの実質的に全体の下の両方に拡がっている。このことの利点は、前記出口ボックス及び前記多孔板から流出する液体が、液面にぶつかって集められるということである。これにより、例えば、金属面に集められる液体の結果である摩耗及びウェット・ドライゾーンが防止される。
【0018】
好適な実施形態によれば、前記多孔板は、前記出口ボックスと平行な第1の側方縁部と、この第1の側方縁部に対して直角な第2の側方縁部とを有する矩形板の形状を有し、前記第1のポンピング手段及び第2のポンピング手段は、前記第2の側方縁部と平行なラインに沿って連続して配置されている巨大なポンプから成る。本実施形態の利点は、前記巨大なポンプが、著しく増加した摩耗をうけることなく、高濃度の浮遊物を含有する液体をポンピングすることができるということである。高濃度の浮遊物は、一定量の固形物のために、より小さなコンテナ容量が必要であるため、前記装置が小さくなり、かつコストが低くなるという利点を与える。圧縮空気によって作動される巨大なポンプは、前記液体の移送と共に、亜硫酸イオン等の前記液体中の酸化されていない物質の酸化を実行する。前記多孔板の矩形状は、前記出口ボックスの長手方向と直角なラインに沿って配置された前記巨大なポンプと共に、著しくコンパクトな構造をもたらす。
【0019】
好適な実施形態によれば、前記多孔板は、前記第2のポンピング手段によって2つの部分に分けられている矩形板の形状を有し、前記第2のポンピング手段は上から見て巨大なポンプの形をして、このポンプが前記吸収液の流れを前記2つの部分の上に分配するために配置され、また、前記出口ボックスは、細長く、かつ前記多孔板の第1の側方縁部に沿って配置されていると共に前記巨大なポンプの長手方向に対して実質的に直角を形成する。吸収液は、前記多孔板の前記2つの部分を越えて2つの反対の方向に送られるため、前記巨大なポンプによってポンピングされた吸収液は、前記多孔板を越える短い距離だけ移動することになる。このことは、前記ガスの圧力低下を低減し、かつ二酸化硫黄の分離を改善する。
【0020】
他の好適な実施形態によれば、前記装置は、各々が実質的に矩形板の形状を有する第1及び第2の前記多孔板を有し、これらの多孔板が、それぞれ、上から見て細長い巨大なポンプの形をしている第2のポンピング手段によって、2つの部分に分けられており、前記細長い巨大なポンプが、前記吸収液の流れを前記2つの部分の上に分配するために配置され、かつ前記第1及び第2の細長い出口ボックスが、それぞれ、前記第1及び第2の多孔板の第1の側方縁部に沿って配置されていると共に前記各巨大なポンプの長手方向に対して実質的に直角を形成し、入来するガスのための入口空間が2つの前記出口ボックスの間に延びている。本実施形態は、著しくコンパクトで単純な構造をもたらす。
【0021】
更に他の好適な実施形態によれば、前記装置は、前記出口ボックスから流出する冷却液を集めるように配置されている第1のコンテナと、前記多孔板から流出する吸収液の流れの少なくとも一部分を集めるように配置されている第2のコンテナとを有する。本実施形態の利点は、前記2つのコンテナ内の液面を、互いに独立して設定することができるということである。更に他の好適な実施形態によれば、前記装置は、前記第1のコンテナから前記第2のコンテナへ液体を供給する第3のポンピング手段を有する。このことは、前記第1のコンテナ内の液面を前記第2のコンテナ内の液面よりも低くすることができるという利点を有する。更に他の好適な実施形態によれば、前記第1のポンピング手段及び前記第2のポンピング手段は、前記冷却液の流れ及び前記吸収液の流れをそれぞれ前記第2のコンテナから供給するために配置されている。本実施形態は、ひとつの液体のみが前記装置内で処理されるため、コンパクトで高価でない設計をもたらす。
【0022】
更に他の好適な実施形態によれば、前記散布手段は、少なくともひとつのノズルから成り、このノズルの最小穴径又は最小スリット幅の寸法は、1〜8cmである。このような寸法は、煙道ガス中への前記液体の良好な散布をもたらすことが分かっている。
【0023】
更に他の好適な実施形態によれば、前記出口ボックスは、前記多孔板の下面と同じ水平面に実質的に位置している底部を有する。このことの利点は、前記出口ボックスの底部と前記多孔板の底部とが、互いに整列することである。このことは、下に煙道ガスが送られる面が突出した部分を有しないため、煙道ガスの低い圧力低下をもたらす。また、他の利点は、前記冷却液及び吸収液が共通のタンクに集められた場合、前記吸収液を到達すべき前記多孔板に対して送り込まなければならない高さが、従来技術のような場合、すなわち、前記出口ボックスの底部が前記多孔板の下面の下の一定距離に位置している場合と比較して、低くなるということである。
【0024】
本発明の更に他の利点及び特徴は、以下の説明及び特許請求の範囲の記載から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明を、多くの実施形態によって、及び添付図面を参照して、より詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明による装置1を概略的に示す。装置1は、ボイラー(図示せず)からの煙道ガス4のための入口2を有する。図2を見て最も良く分かるように、煙道ガス4は、第1の工程において、接触ゾーン6を通過する。接触ゾーン6において、煙道ガス4は、液体と混合され、これにより、煙道ガスは、冷却されて、蒸発する液体の一部分によって、水蒸気で実質的に飽和される。それから、煙道ガス4は、水平矩形状の多孔板8を通過する。多孔板8は、煙道ガス4が通過することができる多数の一様に分布する穴10を有する。多孔板8は、その上側部12に、吸収液のフロー層14を保持する。煙道ガス4が吸収液のフロー層14を通過すると、二酸化硫黄が煙道ガス4から分離される。浄化された煙道ガス16は、浄化された煙道ガス16のための出口18を通って装置1を出る。
【0027】
接触ゾーン6には、細長い出口ボックス20から液体が供給される。出口ボックス20は、多孔板8の第1の側方縁部22に沿って延びていると共に上方が開口している。そして、出口ボックス20は、この出口ボックス20と吸収液のフロー層14とを隔離する細長い側壁24を有する。出口ボックス20は、ガス入口2内での液体凝縮を防ぐ断熱材28を備えている細長い二重壁のガイドレール26によって、ガス入口2の近傍に画成されている。出口ボックス20は、ノズル32の形の散布手段を備えている底部30を有する。ノズル32は、図2に矢印CLで示されている液体が底部30の方へ流下し、出口ボックス20から出て接触ゾーン6に入り、これによって、出口ボックス20の底部30の下に水平方向に導かれる煙道ガス4と液体を接触させるように、液体を散布するようにしている。出口ボックス20から流出し、かつまだ蒸発していない前記液体は、コンテナ34に集められる。コンテナ34内の液体36は、多孔板8の実質的に全体の下に、及びまた出口ボックス20の実質的に全体の下に拡がる液面38を有する。出口ボックス20の底部30と液面38との間には、煙道ガス4が通ることができる空間40の形の流路がある。はっきり分かるように、煙道ガス4は、ノズル32から出る液体の流れ42が、下縁において、垂直になるのではなく、偏向するように、ノズル32から出る液体の流れ42に対して作用する。高濃度の液体のカーテンが出口ボックス20から液面38まで全面的に形成されるように、流れ42は、液滴の大きさ及び流量に関して大きいことが重要である。液面38と出口ボックス20との間の空間40は、ノズル32において、コンテナ34内の液体の水平面により制御される高さH、すなわち、液面38の位置を有する。ある流量の煙道ガス4において、ある高さHは、空間40内での煙道ガス4のある速度を生じせしめる。このガス速度は、約35m/sを超えてはならないことが分かっている。より高い速度においては、空間40内での圧力低下が大きくなる。高い速度におけるさらに大きな欠点は、煙道ガス4が、ノズル32から出る液体の大部分を同伴することである。このことは、液面38と多孔板8との間に形成されている空間44内での圧力低下を大きくし、穴10を液体で詰まらせ、これにより、前記圧力低下はさらに大きくなる。空間40内でのガス速度は、煙道ガス4とノズル32により散布された液体との良好な接触を保障するために、約5m/sより高くすべきである。また、約5m/sにおいて、煙道ガス4は、ノズル32により散布される液体の一部分を同伴する。しかし、このことは、前記同伴された液体が、多孔板8の下面46を濡らし、下面46に対する付着物のリスクを低減するため、利点である。図2から明らかなように、出口ボックス20の底部30と、多孔板8の下面46とは、実質的に同じ水平面に位置している。このことは、ガイドレール26の丸められた形状と共に、煙道ガス4の低い圧力低下をもたらす。
【0028】
出口ボックス20は、液体の所望の流れがノズル32から出るように設計される。煙道ガス4が、穴10を通過するのではなく、ノズル32を通過するのを防ぐために、前記出口ボックスは、一定の静水圧Plを有しなければならない。煙道ガス中の圧力差dPrは、接触ゾーン6の直前に位置しているポイントAと、出口ボックス20内の液面48の真上に位置しているポイントBとから測定することができる。そして、出口ボックス20内の静水圧Plは、出口ボックス20内の液体の濃度と、重力gによる加速を乗じて、出口ボックス20の底部30からこの底部30の直上の液面48までの高さhlとして算出することができる。煙道ガスがノズル32を通過するのを防ぐためには、Plは、dPrよりも大きくなければならない。ノズル32から出る前記液体は、この液体と、接触ゾーン6内の煙道ガス4との良好な接触を実現するために、一定の速度を有しなければならない。0.2〜3m/sの液体速度が適正であることが分かっている。この液体速度を実現するためには、出口ボックス20内の静水圧Plは、dPrよりもかなり大きくなければならない。単に、dPrに対応するのに必要な高さより少なくとも約100mm高い高さhlは、上述した液体速度を可能にするのに適していることが分かっている。また、小さな高さHにおいては、空間40内で、高い圧力低下が得られ、これにより、圧力差dPrが大きくなり、これも出口ボックス20内で、より大きな高さhlを必要とする。
【0029】
図3は、第1の巨大なポンプ50の形の第1のポンピング手段を示す。巨大なポンプ50は、コンテナ34の底部54の真上の水平面から、出口ボックス20へ上方に垂直に延びる垂直チューブ52を有する。また、巨大なポンプ50は、垂直チューブ52の下に垂直に配置されている多数のエアノズル56を有し、これらのノズルには、制御弁60を有する導管58を介して、圧縮空気が供給される。この圧縮空気は、液体36の濃度を低下させ、垂直チューブ52内に、矢印CFで示す上方への液体の流れを生成する。この上方への液体の流れは、出口ボックス20に達してこの出口ボックスに供給された後、上述したように、接触ゾーン6内へ流出する。したがって、巨大なポンプ50により生成された液体の流れは、接触ゾーン6内に前記液体の流れが流出して、入来する煙道ガス4を冷却するので、冷却液の流れと呼ぶことができる。第1の巨大なポンプ50により生成されたこの冷却液の流れは、約2〜5リットル液体/m3の煙道ガスのL/G(すなわち、ガス流量に対する液体流量)に相当する。制御弁60は、出口ボックス20内の高さhlが適切なL/Gになるように、及びノズル32からの適切な流出速度をもたらすように調節される。hlの典型的な値は、0.5〜1mである。したがって、制御弁60は、煙道ガス4の十分な冷却及び多孔板8の下面46の十分な濡れが実現できるように、煙道ガス4の流量にしたがって、及び煙道ガス4の温度及び水含有量にしたがって、前記冷却液の流れを調節するのに用いることができる。図2から明らかであるように、出口ボックス20の幅wは、少なくとも出口ボックス20の上部において、巨大なポンプ50からこのポンプに沿って来る気泡が前記液体によって下方へ同伴されるのではなく、液面48への道が見つかるように十分でなければならない。このため、出口ボックス20内の垂直方向下方に流れる液体の速度は、適切には最大約1m/s、好ましくは、最大約0.5m/sである。このような速度は、前記液体の良好な脱気を可能にするのに適していることが分かっており、このことはまた、前記液体の密度を増加させる。wの選択も、出口ボックス20内の長手方向の水平速度が大きすぎず、出口ボックス20の内部が検査及びメンテナンスを実施しやすくなければならないという条件に影響される。
【0030】
図3に示すように、装置1は、細長い第2の巨大なポンプ62の形の第2のポンピング手段も有する。巨大なポンプ62は、コンテナ34の底部54の真上の水平面から、多孔板8の上側部12まで垂直方向上方へ延びる垂直チューブ64を有する。また、巨大なポンプ62は、垂直チューブ64の下に垂直方向に配置されている多数のエアノズル66を有し、これらのエアノズル66には、制御弁70を有する導管68を介して、圧縮空気が供給される。この圧縮空気は、液体36の濃度を低下させて、垂直チューブ64内に、矢印AFで示す上方への液体の流れを生成する。この上方への液体の流れは、多孔板8の上側部12に達し、多孔板8の上面にわたって水平方向に流れる層14を形成する。したがって、巨大なポンプ62によって生成された前記液体の流れは、多孔板8上において、入来する煙道ガス4から二酸化硫黄を分離して二酸化硫黄を吸収するので、吸収液と呼ぶことができる。第2の巨大なポンプ62によって生成された前記吸収液の流れは、約10〜50リットル吸収液/m3の煙道ガス、一般には、約15〜30リットル吸収液/m3の煙道ガスのL/G(すなわち、ガス流量に対する液体流量)に相当する。制御弁70は、層14が、所望量の二酸化硫黄を煙道ガスから分離することができるような十分な厚さを有するように、制御される。層14の典型的な厚さは、0.2〜0.3mであり、すなわち、出口ボックス20内の典型的な液面の高さhlよりもかなり小さい。制御弁70は、安定した層14が得られかつ二酸化硫黄の十分な分離が実現できるように、煙道ガス4の流量にしたがって、吸収液の流量及び煙道ガス4の二酸化硫黄含有量を調節するのに用いられる。したがって、第1の巨大なポンプ50及び第2の巨大なポンプ62は、煙道ガス4を冷却するように適応されている冷却液の流れと、この冷却液の流量とは無関係でかつ二酸化硫黄を煙道ガス4から分離するように適応されている吸収液の流れとを生成するために、互いに独立して制御することができる。
【0031】
液体36は、石灰石懸濁液の貯蔵部(図示せず)からコンテナ34に供給される石灰石と、水と、石こうと、煙道ガスからの二酸化硫黄の分離で形成された亜硫酸カルシウムとの混合物から実質的になる吸収液である。このような吸収液36は、例えば、国際公開WO 96/00122に開示されているような方法で準備することができる。図3から明らかなように、前記冷却液の流れも前記吸収液の流れも、コンテナ34によって供給される。すなわち、前記冷却液の流れ及び前記吸収液の流れは、共に、吸収液36から成る。前記吸収液中の固形物の含有量は、20〜30重量%程にすることができ、また、ある場合においては、高い固形物含有量の場合に、摩耗の増大を受けやすいいかなる可動部分も有しない巨大なポンプ50、62のおかげで、30重量%以上とすることができる。
【0032】
図4は、細長い巨大なポンプ62が、矩形状の多孔板8の第2の側方縁部72に沿ってどのようにして配置されているかを示し、第2の側方縁部72は第1の側方縁部22及び出口ボックス20の長手方向に対して直角を形成する。したがって、第1の巨大なポンプ50及び第2の巨大なポンプ62は、図1からも明らかなように、第2の側方縁部72と平行なラインに沿って連続して配置されている。
【0033】
また、図4から、吸収液の層14が、どのようにして、第2の巨大なポンプ62から、細長い出口ボックス20の長手方向と平行な、矢印ALで示す方向へ、多孔板8の上面にわたって水平方向に流れるかも明らかである。このことは、煙道ガス4の流れと、多孔板8の上面にわたって流れる吸収液の層14との間に、十字流関係を生じる。ガイドレール76は、第2の側方縁部72とは反対側の第3の側方縁部74に取り付られている。このガイドレール76は、煙道ガス4が多孔板8を外れて通過するのを防ぐために、多孔板8から液面38の下まで延びている。多孔板8の上を流れた吸収液は、第3の側方縁部74において、ガイドレール76に沿って下方へ流れ、コンテナ34内に集めることができる。したがって、第2の側方縁部72において、入口ゾーン78は、多孔板8に供給される吸収液のために形成され、また、第3の側方縁部74において、出口ゾーン80は、多孔板8を離れる吸収液のために形成されることになる。すなわち、吸収液36は、多孔板8の上側部12の全域を通過した後出口ゾーン80を通って、コンテナ34へ再循環され、この吸収液36が、多孔板8の上側部12への吸収液の流れとして、又は、出口ボックス20への冷却液の流れとして、再び送られる前に、亜硫酸塩の酸化のために空気と共に処理される。このことは、二酸化硫黄が、前記吸収液から蒸発することを防ぎ、これは、亜硫酸塩の含有量が高い吸収液が、接触ゾーン6における冷却に使用されている場合に起きる可能性がある。代わりに、ここでの前記吸収液の流れの亜硫酸塩の低含有量は、接触ゾーン6において、二酸化硫黄の一定の吸収をもたらす液体の流れ42を生じる。
【0034】
また、一定量の吸収液は、下方へ流れて穴10を通過し、コンテナ34内に集められる。すなわち、多孔板8の実質的に全体の下及び出口ボックス20の実質的に全体の下の両方に拡がるコンテナ34は、出口ボックス20から流出する前記冷却液の流れ及び多孔板8の上面にわたって流れる吸収液の流れに対して共通し、出口ボックス20から流出する冷却液、層14から下方へ流れて穴10を通過する吸収液、及び出口ゾーン80に達した吸収液を集める収集コンテナである。
【0035】
石灰石を含有する吸収液中の二酸化硫黄の吸収において、亜硫酸カルシウムが生成される。この亜硫酸カルシウムは、硫酸カルシウム、すなわち、石こうに変換して、再利用可能な残留生成物を生成し、また、装置1における、特に、多孔板8上での付着物のリスクを最小化すべきである。2つの巨大なポンプ50、62で使用される圧縮空気の流れは、上方に向けて各巨大なポンプ50、62内へ供給される液体への、約20〜25%の空気の混合に相当する。多くの場合、この量の空気は、生成された亜硫酸カルシウムを石こうに酸化させるのに十分である。ある場合においては、例えば、煙道ガス4自体が非常に小さい酸素含有量を有している場合においては、独立した酸化用装置82を用い、ノズル84によってコンテナ34内の吸収液36に追加的な酸化用空気を供給するのが都合が良いであろう。
【0036】
図5aは、出口ボックス20の底部30の、図1に示す領域Vを示す。底部30は、煙道ガス4の水平方向の流れ方向で見て、多数のノズル32から成る第1の列86と、多数のノズル32から成る第2の列88とを備える。これらのノズル32は、円形穴の形状を有する。この円形穴の形状は、円筒形とすることができ、又は、一端部を丸める、斜めに切ることができ、あるいは、ノズルに適した他の形状を有することができる。最小の径D、すなわち、ノズル32の最も狭い断面は、約1〜8cm、好ましくは、約1〜5cmとすべきである。約1cmよりも小さい径の場合には、液滴が冷却液の流れと煙道ガス4との間の接触時に得られ、これは少量であるため、前記液滴が煙道ガス4によりかなり同伴され、また、圧力低下を増大させ、かつ前記煙道ガスの冷却を低下させる。約8cmより大きい径を有するノズル32の場合には、前記冷却液と煙道ガス4との間で不十分な接触が得られ、前記煙道ガスの水蒸気との飽和が不十分になる。図5aから明らかなように、第1の列86のノズル32は、第2の列88のノズル32に対してずれている。この意図は、煙道ガス4の一団が、水蒸気を付加されることなく、接触ゾーン6を通過することを防ぐことである。
【0037】
図5bは、図5aに示す底部30の代替的な実施形態を示す。図5bに示す底部130は、煙道ガス4の水平方向の流れ方向で見て、第1のスリット132と第2スリット133とを有する。これらの2つのスリット132、133は、煙道ガス4の一団が、冷却液の流れと接触することなく、接触ゾーン6を通過することを防ぐために、互いに重なり合っている。最小スリット幅V、すなわち、スリット132、133の最も狭い断面は、円形ノズル32に対して上述したのと同じ理由により、約1〜5cmとすべきである。
【0038】
図6は、装置100の形の本発明の第2の実施形態を示す。装置100は、上述した多孔板8と実質的には同じ種類であるが、第1の部分109と第2の部分111とに分かれている矩形状の多孔板108を有していることにより、上述した装置1とは異なっている。細長い出口ボックス120は、2つの部分109、111に沿って、より具体的には、多孔板108の第1の側方縁部122に沿って延びている。この出口ボックス120には、出口ボックス120の中心に設けられた第1の巨大なポンプ150により、冷却液の流れが供給される。中心部に設けられた細長い第2の巨大なポンプ162は、第1の巨大なポンプ150と整列させられ、かつ出口ボックス120の長手方向に対して直角をなす。この第2の巨大なポンプ162は、多孔板108の2つの部分109、111の間に開口しており、吸収液の流れを前記2つの部分の各々に供給する。煙道ガスは、第1の巨大なポンプ150の両側で、出口ボックス120の下で水平方向に供給され、第1の工程において、出口ボックス120から流出する冷却液の流れによって冷却される。その後、煙道ガスは、上方へ流れて、多孔板108の部分109、111及び多孔板108の上を流れる吸収液の層(図6には示されていない)を通過する。
【0039】
共通の収集コンテナであって、多孔板108の全体の下及び出口ボックス120全体の下の両方に拡がるコンテナ134は、出口ボックス120から流出した冷却液の流れと、多孔板108を越えて流れた吸収液の流れとを集める。各部分109、111は、煙道ガスがそれぞれの部分109、111を外れて通過するのを防ぐガイドレール176、177を備えている。
【0040】
図7〜図9は、装置200の形の本発明の第3の実施形態を示す。図7から明らかなように、装置200は、第1の部分209Aと第2の部分211Aとに分かれている第1の多孔板208Aと、第1の部分209Bと第2の部分211Bとに分かれている第2の多孔板208Bとを有する。第1の細長い出口ボックス220Aは、図8にも示されている第1の多孔板208Aの第1の側方縁部222Aに沿って配置されている。第2の細長い出口ボックス220Bは、第2の多孔板208Bの第1の側方縁部222Bに沿って配置されている。互いに対向しているこれらの2つの出口ボックス220A、220Bの間には、空間221が形成されており、この空間には空間入口202が開口している。
【0041】
出口ボックス220Aには、出口ボックス220Aの中央に設けられた第1の巨大なポンプ250Aにより、冷却液の流れが供給される。中央に設けられた細長い第2の巨大なポンプ262Aは、第1の巨大なポンプ250Aと整列させられ、かつ出口ボックス220Aの長手方向に対して直角をなす。この第2の巨大なポンプ262Aは、多孔板208Aの2つの部分209A、211Aの間に開口し、これらの2つの部分209A、211Aの各々に、図7に矢印で示すように、吸収液の流れを供給する。これと対応して、第2の出口ボックス220Bには、第1の巨大なポンプ250Bによって冷却液の流れが供給され、また、第2の多孔板208Bには、細長い第2の巨大なポンプ262Bによって吸収液の流れが供給される。
【0042】
図9に最も良く示されている入口202を通って空間221に供給される煙道ガス204は、第1及び第2の出口ボックス220A、220Bの間に分配され、それぞれの出口ボックス220A、220Bの下を水平に通過したときに、それぞれの冷却液の流れによって冷却される。その後、煙道ガス204は、部分209A、211A及び209B、211B上に形成されている吸収液の層(図7〜図9には示されていない)を通過し、これにより、二酸化硫黄が分離される。部分209A、211A、209B、211Bの上に形成されている吸収液の層を横断するガスの圧力低下は、出口ボックス220A、220Bにわたる圧力低下よりもかなり大きい。各第2の巨大なポンプ262A、262Bが、同じ量の流れを、第1の多孔板208A及び第2の多孔板208Bに送り込むこと、すなわち、前記吸収液の層が多孔板208A、208Bの上で同じ厚さを有することを保障する制御は、煙道ガス204が2つの出口ボックス220A、220Bに均等に分配されることも保障することになる。そして、浄化された煙道ガス216は、入口202の両側に配置された、ガスのための出口218を通って装置200を出る。各出口ボックス220A、220Bから流出した冷却液の流れ及び各部分209A、211A、209B、211Bから流出した吸収液の流れは、共通のコンテナ234内に集められ、このコンテナ234からこれらの液体は、再び、各巨大なポンプ250A、262A、250B、262Bによって供給される。
【0043】
図10は、装置300の形の本発明の第4の実施形態を示す。煙道ガス304は、入口302を通って装置300に導入される。第1の工程において、煙道ガスは、図1及び図3に示されている出口ボックス20と実質的に同じ種類の出口ボックス320の下を水平方向に通過したときに、冷却され、水蒸気で飽和される。それから、煙道ガスは、上方へ流れて、多孔板308を通過し、この多孔板の上に形成されている吸収液のフロー層314を通過し、これにより、二酸化硫黄が分離される。浄化された煙道ガス316は、出口318を通って装置300を出る。出口ボックス320から流出した液体は、第1のコンテナ334に集められる。コンテナ334は、再循環ポンプ351を備えている。このポンプは、有益には、巨大なポンプとすることができ、導管353を介して、液体を第1のコンテナ334から層314へ供給する。コンテナ334には、液体336が入っており、その液面338は出口ボックス320の下に位置している。このため、液面338と出口ボックス320の底部との間には空間340が形成されており、煙道ガス304はこの空間を通って通過しなければならない。液面338の水平面及び空間340の幅は、出口ボックス320から流出する液体による煙道ガス304の冷却に適しているガス速度を実現できるように、再循環ポンプ351によって制御することができる。出口ボックス320には、第2のコンテナ335から、吸収液336の形の冷却液の流れが供給される。巨大なポンプとすることができる第1のポンプ350は、第2のコンテナ335から導管352を介して出口ボックス320へ、約2〜5 l/m3の煙道ガスのL/Gに相当する吸収液336を供給する。圧縮空気ノズル366と、圧縮空気ライン368と、制御弁370とを備える、巨大なポンプ362の形の第2のポンプは、吸収液336の形の吸収液の流れを、第2のコンテナ335からフロー層314へ及び多孔板308の上面に供給する。巨大なポンプ362によって送り込まれる吸収液の流れは、約15〜30 l/m3の煙道ガスに相当する。第2のポンプ362と反対側の、多孔板308の一端部には、戻し導管380が配置されており、この戻し導管は、吸収液を第2のコンテナ335へ再循環させる。すなわち、再循環ポンプ351は、液体を、第1のコンテナ334から第2のコンテナ335へ、そして層314を介して戻し導管380へ送り込むことになる。図10には示されていない、多孔板308の穴を通って流れる吸収液は、傾斜した底部381上に集められて、第1のコンテナ334へ流れる。第2のコンテナ335内の液面は、第1のコンテナ334内の液面とは無関係に、第1のコンテナ334内の液面よりも一般的に高い一定の液面に設定することができ、このことは、層314と、出口ボックス320への冷却液の流れとを生成するために、最小限のポンピング作用が必要であることを意味する。
【0044】
図11、図12a及び図12bは、装置400の形の本発明の第5の実施形態を示す。装置400は、図1〜図4に示す装置1と非常に似ており、そのため、装置1と同様の装置400の部材には、同じ符号が与えられており、ここでは、詳細に説明しない。図11に示す装置400において、吸収液のフロー層414は、このフロー層414を通過する煙道ガス4から二酸化硫黄を分離するために、矩形状の多孔板8上を水平に、矢印ALの方向に流れる。フロー層414の吸収液は、特に図3を参照して上述したような方法で、多孔板8の上に供給される。
【0045】
図12aは、出口ゾーン480を示し、この出口ゾーンは、装置400内において、多孔板8の第3の側方縁部74に取り付られているガイドレール76と、前記側方縁部74と反対側に配置されている垂直壁490との間に形成されている。吸収液が多孔板8を出て、コンテナ34へ流下していく出口ゾーン480には、絞り弁492が水平に配置されており、図11に示すモータ493によって回転するようにされている。絞り弁492は水平軸494を有し、この水平軸は、第3の側方縁部74と平行に延び、かつ図12bに最も良く示されているように、第1のフラップブレード495と第2のフラップブレード496とを有し、これらのフラップブレード495、496は共通の平面に沿って拡がっている。したがって、モータ493は、水平軸494で絞り弁492を回転させるように配置されている。
【0046】
図12bは、フラップブレード495、496と水平面との間に形成される角度αを示す。図を見て分かるように、第1の狭窄部497は第1のブレード495とガイドレール76との間に形成されており、また、第2の狭窄部498は第2のブレード496と垂直壁490との間に形成されている。吸収液が出口ゾーン480を通ってコンテナ34内へ流下するために、吸収液が克服しなければならない圧力低下は、これらの狭窄部497、498に左右される。モータ493を用いて、角度α及び狭窄部497及び498の幅を設定することができる。小さな角度α、例えば、約20〜30°の角度αでは、狭窄部497、498は小さくなる。それに伴って、吸収液は、出口ゾーン480を通ってコンテナ34内へ流下する際に、高い圧力低下をうけ、これにより、層414の厚さは、この層414の厚さと狭窄部497、498における圧力低下との間に平衡が得られるまで増加する。層414のより小さな厚みが所望される場合、角度αは、水平軸494及びフラップブレード495及び496を、例えば、約40〜50°の角度αまで回転させ、これにより、圧力低下が小さくなるように、狭窄部497及び498の幅を増加させるモータ493によって増加され、この場合、吸収液は、出口ゾーン480を通ってコンテナ34内へ流下する際に、より小さな圧力低下をうける。したがって、図11、図12a及び図12bに示す絞り弁492は、層414の厚さを調節する更なる可能性を与える。この調節は、出口ゾーン480に隣接する層414の厚さTに対してもっとも大きな影響を有する。すなわち、絞り弁492の利点は、層414の厚さの制御を改善し、層414における二酸化硫黄の十分な分離をもたらす層414の厚さを実現できるように、巨大なポンプ62の制御を補完するということである。また、他の利点は、層414の厚さが、多孔板8の上面にわたって見てより一様になり、このことが、出口ゾーン480に隣接する領域において、二酸化硫黄の分離が少なくなるというリスクを低減するということである。
【0047】
図13は、図4に示す断面図に実質的に相当する断面図であって、装置500の形の本発明の第6の実施形態を示す。装置500は、図1〜図4に示す装置1に非常に似ており、そのため、装置1と同様の装置500の部材には、同じ符号が与えられており、ここでは、詳細に説明しない。図13に示す装置500において、吸収液のフロー層514は、このフロー層514を通過する煙道ガス4から二酸化硫黄を分離するために、矩形状の多孔板8の上を水平に、矢印ALの方向に、入口ゾーン578から出口ゾーン80に流れる。ガイドレール592は、出口ゾーン578において、第2の側方縁部72と対向して配置されている垂直壁590から延びている。ガイドレール592は、多孔板8より上方の垂直方向の高さ位置で、壁590から多孔板8の方へ実質的に水平に延びている。図13に示すように、ガイドレール592は、弓形である。巨大なポンプ62により生成される上方への液体の流れAFは、ガイドレール592によって、垂直流れ方向から水平流れ方向に偏向され、多孔板8の上面に送られる流れALを形成する。ガイドレール592は、巨大なポンプ内に頻繁に生じる脈動を緩和し、巨大なポンプ62が多孔板8の上面に一様な流れを生成させる。さらに、前記偏向は、ガイドレール592によって、垂直チューブ64内で垂直方向速度を有する吸収液の流れが、出口ゾーン578を出るとき及び多孔板8の上に流れるときに、より高い初期水平速度を有することを引き起こす。このことは、多孔板8の上面にわたって層514の厚さをより一様にすることを助ける。図13に示す種類のガイドレールは、図6及び図7〜図9にそれぞれ示すような種類の装置100及び200での使用にも適していることは、認識されるであろう。例えば、装置100においては、多孔板108の第1の部分109の方へ延びている第1のガイドレールと、多孔板108の第2の部分の方へ延びている第2のガイドレールとが適当に配置される。図6に示す装置100においては、このようなガイドレールは、第1の部分109と第2の部分111との間の吸収液の流れの分配を改善するという追加的な機能を有するであろう。当然、ある装置及び同じ装置において、例えば、図12aに示すような絞り弁492と、図13に示すガイドレール592とを組み合わせることも可能である。
【0048】
本発明の上述した実施形態の多くの変形例が、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲内で考えられることは、認識されるであろう。
【0049】
図1〜図4、図6及び図7〜図9に記載したような矩形状の多孔板を有する実施形態は、モジュールシステムを生産するのに良く適している。したがって、例えば、煙道ガスの流れを一緒に処理するために、装置1から成る2〜4つのユニットを並行に構築することができる。
【0050】
上述した実施形態は、全て、矩形状の多孔板を有する。しかし、円形、半円形又は扇形状の多孔板を形成すること、及び、多孔板の側方縁部の全部又は一部に沿って、ひとつ又はそれ以上の出口ボックスを配置することも可能であることは認識されよう。
【0051】
上述した実施形態において、煙道ガスは出口ボックスの下を水平方向に通過する。しかし、それほど好ましくはないが、入口2に対向して、ノズルを出口ボックスの壁に配置し、冷却液の流れを散布して、実質的に垂直方向に流れる煙道ガスを冷却させることも可能である。
【0052】
多孔板8は、幾つかの異なる方法で、及び複数の材料で形成することができる。特に好適な方法は、多孔板を、国際公開WO 96/00122に記載されているような方法で設計することである。ポリマー材料で形成された多孔板においては、入来するガスが低温であること(これは本発明を用いて実現することができる)が、多孔板が破損しないための条件である。
【0053】
前記巨大なポンプは、幾つかの他の種類のポンプ、例えば、渦巻きポンプ又はプロペラポンプと置き換えることができる。しかし、巨大なポンプは、同時酸化効果、及び過剰な摩耗を受けることなく、高容積の液体を用いて稼動するという能力により、特に好適である。
【0054】
上述した実施形態は、石炭燃料ボイラーからの煙道ガスの清浄に用いられる。しかし、本発明が二酸化硫黄をガスから分離する他のプロセスにも適用可能であることは認識されよう。このようなプロセスの実例は、石油、泥炭、生物燃料及び産業及び一般廃棄物の燃焼、及び鋼材や銅の冶金プロセス、セメント製造プロセス及び石油精製や天然ガス精製等の精製プロセス等である。前記装置は、二酸化硫黄と共に他の物質を吸収するのにも用いることができる。このような物質の実例は、塩化水素、フッ化水素、臭化水素及びヨウ化水素等のハロゲン化水素、臭素、水銀等の重金属、及び他の化合物である。
【0055】
二酸化硫黄の吸収は、複数の異なる吸収液を用いて実行することができる。水と混合した場合に、二酸化硫黄の分離に適している物質の実例は、石灰石、石灰、ドロマイト、水酸化ナトリウム等である。したがって、前記装置は、吸収液の特定の成分に限定されない。
【実施例】
【0056】
本実施例は、図1〜図4及び図5aを参照して説明した種類の装置を用いたパイロット実験に関する。
【0057】
ポリプロピレンで形成された多孔板8は、30mmの厚さと、約3.6%の穴無し領域を有し、穴10は22mmの径を有するものとした。穴22は、多孔板8の下面46で斜めにした。約96%が44μmのメッシュを通過する粒径を有する石灰石を、25重量%の水性懸濁液の形でコンテナ34に供給した。水を、コンテナ34に追加供給した。前記コンテナ内の吸収液36は、稼働中、約13重量%の固形物を含有し、約5.4のpHを有した。
【0058】
石油火力発電所からの清浄化された煙道ガス4であって、水蒸気で飽和されていない、入来するガスは、約190°の温度と、約2000ppmの二酸化硫黄濃度を有していた。煙道ガス4は、入口2を通って、空間40へ流れた。コンテナ34内の液面38は、空間40におけるガス速度が、約15m/sであるような液面に調節された。ポイントAとポイントBとの間の圧力差は、4600Paと測定された。第1の巨大なポンプ50は、3 l/m3の煙道ガスに応じて、冷却液の流れを出口ボックス20に供給した。第2の巨大なポンプ62は、20 l/m3の煙道ガスに応じて、吸収液を入口ゾーン78に供給して層14を形成した。入口ボックス20内の高さhlは、約7700Paの静水圧Plに応じて、700mmであった。出口ボックス20の底部30における円形穴32は、約2cmの径を有するものとした。円形穴32の数は、静水圧で穴32を出る液体の速度が約1.5m/sになるような数とした。目視検査に関する限り、ガス4は、出口ボックス20の底部30の円形穴32から出る吸収液の約10%を同伴し、吸収液の残りは液面38に達した。前記検査の過程においては、多孔板8の穴10の目詰まり及び多孔板8の下面46への付着物は、観察されなかった。また、ガス4により同伴された吸収液によってもたらされた浄化の効果を、下面46上で観察することができた。測定により、多孔板8の真下のガス4が、約57°の温度を保ち、かつ水蒸気で実質的に飽和されたことが分かった。したがって、限定された冷却液の流れが所望の冷却を達成するのに十分であった。装置1を出るガス16は、約55℃の温度を有し、かつ約22ppmの二酸化硫黄を含有していた。煙道ガスの流量の変化を伴う検査も実行し、接触又は冷却ゾーン6及びフロー層14が、煙道ガスの流量が変化したときに安定して作用することが実証された。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】水平面における断面図であり、本発明の第1の実施形態による装置を概略的に示す。
【図2】垂直面における断面図であり、図1の部分II−IIを示す。
【図3】垂直面における断面図であり、図1の部分III−IIIを示す。
【図4】垂直面における断面図であり、図1の部分IV−IVを示す。
【図5a】平面図であり、図1の領域Vを示す。
【図5b】平面図であり、出口ボックスの底部の代替的な実施形態を示す。
【図6】斜視断面図であり、本発明の第2の実施形態による装置を概略的に示す。
【図7】水平面における断面図であり、本発明の第3の実施形態による装置を概略的に示す。
【図8】斜視断面図であり、図7に示す装置を示す。
【図9】斜視断面図であり、図7に示す装置における、ガスのための入口及び出口を示す。
【図10】垂直面における断面図であり、本発明の第4の実施形態による装置を概略的に示す。
【図11】水平面における断面図であり、本発明の第5の実施形態による装置を概略的に示す。
【図12a】垂直面における断面図であり、図11の部分XII−XIIを示す。
【図12b】垂直面における拡大部分図であり、図12aに示す領域XIIbを示す。
【図13】垂直面における断面図であり、本発明の第6の実施形態による装置を概略的に示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性吸収液(36)を用いて、ガス(4)から二酸化硫黄を分離する方法であって、ガス(4)が、まず、ガス(4)が出口ボックス(20)から流出する液体(42)と混合される接触ゾーン(6)を通過し、その後、上方へ流れ、前記出口ボックス(20)のそばに配置されていると共に上方に前記吸収液のフロー層(14)が形成されている、実質的に水平な多孔板(8)を通過する方法において、
冷却液の流れ(CF)が、前記出口ボックス(20)に供給されて、この出口ボックスを通過し、また、前記冷却液の流れ(CF)とは実質的に独立した吸収液の流れ(AF)が、前記多孔板(8)の上に供給されて、前記ガス(4)から二酸化硫黄を分離する前記フロー層(14)を形成することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記出口ボックス(20)が、細長く、かつ前記多孔板(8)の側方縁部(22)に沿って延びており、前記吸収液の流れ(AF)が、前記多孔板(8)の上を、前記出口ボックス(20)の長手方向に対して実質的に平行な方向(AL)に通過する方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法において、前記出口ボックス(20)から流出する前記冷却液の流れ(42)が、前記液体(36)が入っているコンテナ(34)内に集められ、その液面(38)が、前記接触ゾーン(6)より下の水平面に位置しており、前記ガス(4)が通って前記出口ボックス(20)の下を水平方向に流れる流路(40)が、前記液面(38)と前記出口ボックス(20)との間に拡がっており、前記液面(38)の水平面を表すパラメータ及びそれ故前記流路の高さ(H)が、前記ガス(4)の前記流路(40)内における平均速度が5〜35m/sの範囲内になるように制御される方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法において、前記出口ボックス(20)から流出する前記冷却液の流れ(CL)及び前記多孔板(8)から流出する前記吸収液の流れ(AL)が、共通のコンテナ(34)に集められる方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、前記冷却液の流れ(CF)及び前記吸収液の流れ(AF)が前記共通のコンテナ(34)から供給される方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法において、前記出口ボックス(20)内の静液圧と、前記接触ゾーン(6)の直前の第1のポイント(A)及び前記出口ボックス(20)内の前記液面(48)の上の第2のポイント間の圧力差との比が、前記静液圧が前記圧力差よりも大きくなるように、前記冷却液の流れ(CF)によって制御される方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法において、前記煙道ガス(4)が、前記出口ボックス(20)の下を実質的に水平方向に流れる方法。
【請求項8】
水溶性吸収液を用いて、二酸化硫黄をガス(4)から分離する装置であって、
a)二酸化硫黄を含有するガス(4)のための入口(2)及び二酸化硫黄が分離されたガス(16)のための出口(18)と、
b)前記入口(2)と前記出口(18)との間に設けられ、前記二酸化硫黄を含有するガス(4)の下からの通過を可能にすると共に上側部(12)に前記吸収液のフロー層(14)を保持している、実質的に水平な多孔板(8)と、
c)液体(36)が通過するように配置されていると共に前記多孔板(8)のそばに配置されている少なくともひとつの出口ボックス(20)と、
d)、前記出口ボックス(20)内に配置され、前記ガスが上方に流れて前記多孔板(8)を通過する前に、前記入口(2)から来る前記ガス(4)に液体を散布するための散布手段(32)と、
を包含する装置において、更に、
e)冷却液の流れ(CF)を前記出口ボックス(20)内へ供給する第1のポンピング手段(50)と、
f)前記冷却液の流れ(CF)とは実質的に独立した吸収液の流れ(AF)を、前記フロー層(14)を形成するために、前記多孔板(8)の上へ供給する第2のポンピング手段(62)と、
を包含することを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8記載の装置において、前記出口ボックス(20)から流出する前記冷却液の流れ(CL)を集めるためのコンテナ(34)が配置され、このコンテナ(34)には前記液体(36)が入っており、その液面(38)が前記出口ボックス(20)の下に位置して、前記液面(38)と前記出口ボックス(20)との間に前記ガス(4)のための流路(40)を形成している装置。
【請求項10】
請求項9記載の装置において、共通のコンテナ(34)が、前記出口ボックス(20)から流出する前記冷却液の流れ(CL)及び前記多孔板(8)から流出する前記吸収液の流れ(AL)を集めるために配置されている装置。
【請求項11】
請求項10記載の装置において、前記コンテナ(34)内の前記液面(38)が、前記多孔板(8)の実質的に全体の下及び前記出口ボックス(20)の実質的に全体の下の両方に拡がっている装置。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の装置において、前記多孔板(8)が、前記出口ボックス(20)と平行な第1の側方縁部(22)と、この第1の側方縁部(22)に対して直角である第2の側方縁部(72)とを有する矩形板の形状を有し、前記第1のポンピング手段(50)及び前記第2のポンピング手段(62)が、前記第2の側方縁部(72)と平行なラインに沿って連続して配置されている巨大なポンプ(50、62)から成る装置。
【請求項13】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の装置において、前記多孔板(108)が、前記第2のポンピング手段(162)によって2つの部分(109、111)に分けられている矩形板(108)の形状を有し、前記第2のポンピング手段が上から見て細長い巨大なポンプ(162)の形をして、このポンプ(162)が前記吸収液の流れを前記2つの部分(109、111)の上に分配するために配置され、また、前記出口ボックス(120)が、細長く、かつ前記多孔板(108)の第1の側方縁部(122)に沿って配置されていると共に前記巨大なポンプ(162)の長手方向に対して実質的に直角を形成している装置。
【請求項14】
請求項13記載の装置において、各々が実質的に矩形板(208A、208B)の形状を有する第1及び第2の前記多孔板(208A、208B)を有し、これらの多孔板が、それぞれ、上から見て細長い巨大なポンプ(262A、262B)の形をしている第2のポンピング手段(262A、262B)によって、2つの部分(209A,211A及び209B、211B)に分けられており、前記細長い巨大なポンプが、前記吸収液の流れを前記2つの部分(209A、211A及び209B、211B)の上に分配するために配置され、また、前記第1及び第2の細長い出口ボックス(220A、220B)が、それぞれ、前記第1及び第2の多孔板(208A及び208B)の第1の側方縁部(222A及び222B)に沿って配置されていると共に前記各巨大なポンプ(262A及び262B)の長手方向に対して実質的に直角を形成し、入来するガス(204)のための入口空間(221)が2つの前記出口ボックス(220A、220B)の間に延びている装置。
【請求項15】
請求項8又は9記載の装置において、前記出口ボックス(320)から流出する前記冷却液の流れを集めるために配置されている第1のコンテナ(334)と、前記多孔板(308)から流出する前記吸収液の流れの少なくとも一部分を集めるために配置されている第2のコンテナ(335)とを有している装置。
【請求項16】
請求項15記載の装置において、導管(353)を介して、液体を、前記第1のコンテナ(334)から前記第2のコンテナ(335)へ供給するために配置されている第3のポンピング手段(351)を有している装置。
【請求項17】
請求項15又は16記載の装置において、前記第1のポンピング手段(350)及び前記第2のポンピング手段(362)が、前記第2のコンテナ(335)から前記冷却液の流れ及び前記吸収液の流れをそれぞれ供給するために配置されている装置。
【請求項18】
請求項8〜17のいずれか一項に記載の装置において、前記散布手段(32;132、133)が少なくともひとつのノズル(32;132、133)から成り、このノズルの最小穴径(D)又は最小スリット幅(V)の寸法が1〜8cmである装置。
【請求項19】
請求項8〜18のいずれか一項に記載の装置において、前記出口ボックス(20)が、前記多孔板(8)の下面(46)と同じ水平面に実質的に位置している底部(30)を有している装置。
【請求項20】
請求項8〜19のいずれか一項に記載の装置において、前記吸収液の層(414)の厚さを調節する調節可能な絞り弁(492)が、前記多孔板(8)の上の吸収液を入口ゾーン(78)から出口ゾーン(480)へ送るために、前記出口ゾーン(480)内に配置されている装置。
【請求項1】
水溶性吸収液(36)を用いて、ガス(4)から二酸化硫黄を分離する方法であって、ガス(4)が、まず、ガス(4)が出口ボックス(20)から流出する液体(42)と混合される接触ゾーン(6)を通過し、その後、上方へ流れ、前記出口ボックス(20)のそばに配置されていると共に上方に前記吸収液のフロー層(14)が形成されている、実質的に水平な多孔板(8)を通過する方法において、
冷却液の流れ(CF)が、前記出口ボックス(20)に供給されて、この出口ボックスを通過し、また、前記冷却液の流れ(CF)とは実質的に独立した吸収液の流れ(AF)が、前記多孔板(8)の上に供給されて、前記ガス(4)から二酸化硫黄を分離する前記フロー層(14)を形成することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記出口ボックス(20)が、細長く、かつ前記多孔板(8)の側方縁部(22)に沿って延びており、前記吸収液の流れ(AF)が、前記多孔板(8)の上を、前記出口ボックス(20)の長手方向に対して実質的に平行な方向(AL)に通過する方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法において、前記出口ボックス(20)から流出する前記冷却液の流れ(42)が、前記液体(36)が入っているコンテナ(34)内に集められ、その液面(38)が、前記接触ゾーン(6)より下の水平面に位置しており、前記ガス(4)が通って前記出口ボックス(20)の下を水平方向に流れる流路(40)が、前記液面(38)と前記出口ボックス(20)との間に拡がっており、前記液面(38)の水平面を表すパラメータ及びそれ故前記流路の高さ(H)が、前記ガス(4)の前記流路(40)内における平均速度が5〜35m/sの範囲内になるように制御される方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法において、前記出口ボックス(20)から流出する前記冷却液の流れ(CL)及び前記多孔板(8)から流出する前記吸収液の流れ(AL)が、共通のコンテナ(34)に集められる方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、前記冷却液の流れ(CF)及び前記吸収液の流れ(AF)が前記共通のコンテナ(34)から供給される方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法において、前記出口ボックス(20)内の静液圧と、前記接触ゾーン(6)の直前の第1のポイント(A)及び前記出口ボックス(20)内の前記液面(48)の上の第2のポイント間の圧力差との比が、前記静液圧が前記圧力差よりも大きくなるように、前記冷却液の流れ(CF)によって制御される方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法において、前記煙道ガス(4)が、前記出口ボックス(20)の下を実質的に水平方向に流れる方法。
【請求項8】
水溶性吸収液を用いて、二酸化硫黄をガス(4)から分離する装置であって、
a)二酸化硫黄を含有するガス(4)のための入口(2)及び二酸化硫黄が分離されたガス(16)のための出口(18)と、
b)前記入口(2)と前記出口(18)との間に設けられ、前記二酸化硫黄を含有するガス(4)の下からの通過を可能にすると共に上側部(12)に前記吸収液のフロー層(14)を保持している、実質的に水平な多孔板(8)と、
c)液体(36)が通過するように配置されていると共に前記多孔板(8)のそばに配置されている少なくともひとつの出口ボックス(20)と、
d)、前記出口ボックス(20)内に配置され、前記ガスが上方に流れて前記多孔板(8)を通過する前に、前記入口(2)から来る前記ガス(4)に液体を散布するための散布手段(32)と、
を包含する装置において、更に、
e)冷却液の流れ(CF)を前記出口ボックス(20)内へ供給する第1のポンピング手段(50)と、
f)前記冷却液の流れ(CF)とは実質的に独立した吸収液の流れ(AF)を、前記フロー層(14)を形成するために、前記多孔板(8)の上へ供給する第2のポンピング手段(62)と、
を包含することを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8記載の装置において、前記出口ボックス(20)から流出する前記冷却液の流れ(CL)を集めるためのコンテナ(34)が配置され、このコンテナ(34)には前記液体(36)が入っており、その液面(38)が前記出口ボックス(20)の下に位置して、前記液面(38)と前記出口ボックス(20)との間に前記ガス(4)のための流路(40)を形成している装置。
【請求項10】
請求項9記載の装置において、共通のコンテナ(34)が、前記出口ボックス(20)から流出する前記冷却液の流れ(CL)及び前記多孔板(8)から流出する前記吸収液の流れ(AL)を集めるために配置されている装置。
【請求項11】
請求項10記載の装置において、前記コンテナ(34)内の前記液面(38)が、前記多孔板(8)の実質的に全体の下及び前記出口ボックス(20)の実質的に全体の下の両方に拡がっている装置。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の装置において、前記多孔板(8)が、前記出口ボックス(20)と平行な第1の側方縁部(22)と、この第1の側方縁部(22)に対して直角である第2の側方縁部(72)とを有する矩形板の形状を有し、前記第1のポンピング手段(50)及び前記第2のポンピング手段(62)が、前記第2の側方縁部(72)と平行なラインに沿って連続して配置されている巨大なポンプ(50、62)から成る装置。
【請求項13】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の装置において、前記多孔板(108)が、前記第2のポンピング手段(162)によって2つの部分(109、111)に分けられている矩形板(108)の形状を有し、前記第2のポンピング手段が上から見て細長い巨大なポンプ(162)の形をして、このポンプ(162)が前記吸収液の流れを前記2つの部分(109、111)の上に分配するために配置され、また、前記出口ボックス(120)が、細長く、かつ前記多孔板(108)の第1の側方縁部(122)に沿って配置されていると共に前記巨大なポンプ(162)の長手方向に対して実質的に直角を形成している装置。
【請求項14】
請求項13記載の装置において、各々が実質的に矩形板(208A、208B)の形状を有する第1及び第2の前記多孔板(208A、208B)を有し、これらの多孔板が、それぞれ、上から見て細長い巨大なポンプ(262A、262B)の形をしている第2のポンピング手段(262A、262B)によって、2つの部分(209A,211A及び209B、211B)に分けられており、前記細長い巨大なポンプが、前記吸収液の流れを前記2つの部分(209A、211A及び209B、211B)の上に分配するために配置され、また、前記第1及び第2の細長い出口ボックス(220A、220B)が、それぞれ、前記第1及び第2の多孔板(208A及び208B)の第1の側方縁部(222A及び222B)に沿って配置されていると共に前記各巨大なポンプ(262A及び262B)の長手方向に対して実質的に直角を形成し、入来するガス(204)のための入口空間(221)が2つの前記出口ボックス(220A、220B)の間に延びている装置。
【請求項15】
請求項8又は9記載の装置において、前記出口ボックス(320)から流出する前記冷却液の流れを集めるために配置されている第1のコンテナ(334)と、前記多孔板(308)から流出する前記吸収液の流れの少なくとも一部分を集めるために配置されている第2のコンテナ(335)とを有している装置。
【請求項16】
請求項15記載の装置において、導管(353)を介して、液体を、前記第1のコンテナ(334)から前記第2のコンテナ(335)へ供給するために配置されている第3のポンピング手段(351)を有している装置。
【請求項17】
請求項15又は16記載の装置において、前記第1のポンピング手段(350)及び前記第2のポンピング手段(362)が、前記第2のコンテナ(335)から前記冷却液の流れ及び前記吸収液の流れをそれぞれ供給するために配置されている装置。
【請求項18】
請求項8〜17のいずれか一項に記載の装置において、前記散布手段(32;132、133)が少なくともひとつのノズル(32;132、133)から成り、このノズルの最小穴径(D)又は最小スリット幅(V)の寸法が1〜8cmである装置。
【請求項19】
請求項8〜18のいずれか一項に記載の装置において、前記出口ボックス(20)が、前記多孔板(8)の下面(46)と同じ水平面に実質的に位置している底部(30)を有している装置。
【請求項20】
請求項8〜19のいずれか一項に記載の装置において、前記吸収液の層(414)の厚さを調節する調節可能な絞り弁(492)が、前記多孔板(8)の上の吸収液を入口ゾーン(78)から出口ゾーン(480)へ送るために、前記出口ゾーン(480)内に配置されている装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【公表番号】特表2007−521130(P2007−521130A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517046(P2006−517046)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000975
【国際公開番号】WO2005/007274
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000975
【国際公開番号】WO2005/007274
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】
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